今年1月28日、経済アナリストの森永卓郎氏が死去した。
原発不明がんと闘いながらも、亡くなる直前までメディアに出演し続け、世界経済の行方に多くの警鐘を鳴らしてきた。
「AIバブルは崩壊する…」「日経平均はこれから大暴落する…」
彼がこう語った背景には一体何があるのか。そして残された私たちは、この先行き不透明な社会をどう乗り越えていくべきなのか。
森永卓郎氏が全日本人に送る最期の提言! 激動の時代を生き抜くための戦略と覚悟を『この国でそれでも生きていく人たちへ』より一部抜粋・再編集してお届けする。
『この国でそれでも生きていく人たちへ』連載第54回
『森永卓郎さん最期の提言「投資はこれから暴落するから危険」は本当なのか?…息子・康平さんが解説する“納得”の「投資論」』より続く。
新NISA反対派の「投資アレルギー」
2024年から始まった「新NISA制度」についても批判論があるようだが、投資をやると決めたのなら、新NISAをやらないという判断はナンセンスではないだろうか。
NISAは投資に際して非課税枠を設定する制度に過ぎないので、もともと投資をする予定だった人からすれば、合法的に税金を納めなくてよくなるのだから得ではある。もちろん、新NISAは「非課税枠の上限が設定されている」とか「損益通算ができない」といった点もあるが、それを気にするのはある程度資産のある人だろう。
なので、「新NISAをやるな」という意見は、ほぼ「そもそも投資自体やるべきでない」という意見なのだろう。
おそらく、1990年代の「バブル崩壊」を体験した世代は、「投資は怖い」と思いがちなのかもしれない。
森永卓郎氏父の場合も社会人になってからバブル崩壊を経験しているので、相場の過熱やその後の下落相場についての危機感を強く持っているのだろう。
また、父はマルクス経済学についても研究していたので、投資家ばかりが得をする、「マネー資本主義」全盛の現状についても問題意識が強い。
ただ、一方でこの10年くらいは日本でも株価指数は実際右肩上がりだったので、特に若い世代を中心に積極的に投資したいという人が増えている。