現在、日本人男性がいちばんかかりやすいがん――それが、ほかでもない前立腺がんです。国立がん研究センターがん情報サービスによれば、前立腺がんの罹患数は、近年、トップの座を占め続けていると推測されています。
長く、よい状態を保って生きていくためには、患者さん自身のがんの状態、全身の健康状態などを勘案しながら、最良の治療法を「選択」していくことが必要です。『 名医が答える! 前立腺がん 治療大全 』よりそのためのヒントを紹介します。

進行・再発を防ぐために心がけるべきことは?
「こうすれば前立腺がんの進行や再発を防げる」といえるようなことは、残念ながらありません。あれもダメ、これもダメ、毎日これをしなければ――などと制約だらけの毎日が、がんの進行・再発防止につながるわけではなく、治療後の回復を早めるわけでもありません。日々の生活を送るうえで大切なのは、「どうすれば快適かつ元気に過ごせるか」という視点です。心身ともに負担の少ないストレスフリーの生活が、快適な人生への近道です。生活を楽しむ気持ちを忘れないようにしましょう。
Photo by iStock● 無理のない範囲で生活改善
がん以外にもさまざまな病気が忍び寄ってくる年代です。年齢相応に健康な状態を維持しているほうがよいのは当然です。無理のない範囲で健康的な生活に変えていきましょう。
● どんどん出かける
手術や放射線療法のあとは、しばらくは排泄面でのトラブルが起こりやすくなります。「人前で失敗したくないから出かけるのをがまんする」より、「失敗しても大丈夫な方法を考える」ほうが、いきいきと過ごせます。うつうつとした気分で閉じこもっているより、人生の充実度もアップするでしょう。
● 家族もいっしょに楽しむ
家族のだれかががんになるということは、ほかの家族にとってもつらい経験になりがちです。しかし「これがベスト」と考えられる治療法を選択したら、それ以上、病気や治療のことばかりにとらわれているのはもったいない! どうしたら楽しく過ごせるかを考えていきましょう。
● 再発チェックを欠かさない
治療中も、治療が終了したあとも状態の変化を見守ることが必要です。通院・検査の指示は守るようにしましょう。
● 困った症状があれば適切に対処する
前立腺がんの治療の影響で起きることの多くは、排泄の悩みや性機能障害など、デリケートな問題です。いずれも対処のしかたはありますので、医師に相談しながら改善をはかっていきましょう。