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2月がつ2日にちの世界せかいの昔話むかしばなし

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イラスト　「みずしま薫かおる」

ジャックとマメの木き
イギリスの昔話むかしばなし　→　イギリスの国情こくじょう報ほう

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投稿とうこう者しゃ　「オス我わが飢かつえ」　♂我わが飢かつえ【OsuGaki】　ASMRシチュエーションボイス

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制作せいさく: フリーアナウンサーまい【元もとTBS番組ばんぐみキャスター】

　むかしむかし、ジャックと言いう名前なまえの男おとこの子こが、お母かあさんと二人ふたりで暮くらしていました。
　ジャックのお父とうさんはジャックが小ちいさい頃ころに、雲くもの上うえからやって来きた大男おおおとこに食たべられてしまったのです。
　その時ときからジャックは家いえに一いち頭とうだけいるウシのミルクをしぼって町まちに売うりに行いき、そのお金かねで暮くらしを助たすけていました。
　けれどそのウシも年としを取とったので、とうとうミルクを出ださなくなってしまいました。
「仕方しかたないわね。このウシを売うって、お金かねに替かえましょう。ジャック、町まちへウシを売うりに行いってちょうだい」
「はーい」
　お母かあさんに頼たのまれたジャックは町まちまでウシを引ひいて行いきましたが、その途中とちゅうで一人ひとりのおじさんがジャックに声こえをかけてきました。
「坊ぼうや、そのウシとこのマメを取とり替かえっこしないかい？　これはね、幸運こううんを呼よぶ魔法まほうの豆まめなんだよ」
「魔法まほうの豆まめだって！　すごいや。うん、取とり替かえてもいいよ」
　ジャックは豆まめを受うけ取とると、喜よろこんで家いえに戻もどりました。
　その話はなしを聞きいたお母かあさんは、ジャックを叱しかりました。
「まったく、こんな豆粒まめつぶとウシを取とり替かえて来くるなんて、あんたはどうかしてるよ」
「でも、幸運こううんを呼よぶ魔法まほうの豆まめなんだよ」
「魔法まほうだなんて、うそに決きまっているじゃないの！　ええい、こんな物ぶつ！」
　お母かあさんは豆まめを取とり上あげると、窓まどからポイッと捨すててしまいました。

　次つぎの朝あさ、ジャックが目めを覚さましてみると、お母かあさんの捨すてた豆まめが大おおきな木きになっていたのです。
「すごーい。高たかすぎて天辺てっぺんが見みえないや。やっぱりあれは、魔法まほうの豆まめだったんだ。・・・よし、上うえへ登のぼってみよう」

　ジャックはさっそく、豆まめの木きをどんどんと登のぼりました。
　雲くもを越こえても、豆まめの木きはまだまだ続つづきます。
　そしてとうとう、ジャックは天辺てっぺんに着つきました。
　そこには、大おおきなお城しろがありました。
　ジャックがそのお城しろをたずねてみると、中ちゅうからおかみさんが出でて来きて言いいました。
「まあ、あなた、一体いったいどうやってこんなところまで来きたの？　ここは恐おそろしい人ひと食ぐい大男おおおとこの家いえよ。早はやくお家いえに帰かえりなさい」
　その時とき、大男おおおとこの足音あしおとが聞きこえて来きました。
「仕方しかたがないわ、こっちにいらっしゃい」
　おかみさんは、ジャックを台所だいどころのかまどに隠かくしてくれました。
　そこへ、大男おおおとこが帰かえって来きました。
　それはものすごい大男おおおとこで、三さん頭とうのウシを片手かたてにぶら下さげています。
「クンクン、おや？　人間にんげんの匂においだ。それも人間にんげんの子こどもの匂においがするぞ」
「あら、そんな事ことはありませんよ。人間にんげんの子こどもは、おととい食たべたばかりではありませんか」
「うむ、そうだったな」
　大男おおおとこはおかみさんの言葉ことばに納得なっとくすると、隣となりの部屋へやへ行いきました。
　そして大男おおおとこは金貨きんかの入はいった袋ふくろを二ふたつ取とり出だすと中なかの金貨きんかを数かぞえ始はじめましたが、そのうちに疲つかれて眠ねむってしまいました。
「すごい金貨きんかだ。あれがあれば、お母かあさんが喜よろこぶぞ！」
　ジャックはかまどを出でると、大男おおおとこの金貨きんかの袋ふくろを一ひとつかついで急いそいで家いえに帰かえりました。
　ジャックの持もち帰かえって金貨きんかを見みて、お母かあさんは大だい喜よろこびしました。

　それからしばらくして、ジャックはまた豆まめの木きを登のぼって大男おおおとこの家いえにやって来きました。
　ジャックがかまどに隠かくれていると、大男おおおとこがおかみさんに言いいました。
「おい、金かねの卵たまごを産うむメンドリを連つれて来こい」
　おかみさんがメンドリを連つれて来くると、大男おおおとこはテーブルの上うえで金かねの卵たまごを産うませました。
　キラキラと光ひかり輝かがやく、本物ほんものの金かねです。
　それを見みると、大男おおおとこはまた眠ねむってしまいました。
「よし、あのメンドリもいただこう」
　ジャックはメンドリを抱かかえると、そのまま家いえに帰かえりました。
　金かねの卵たまごを産うむメンドリのおかげで、ジャックはたちまちお金持かねもちになりました。
　でもジャックは、まだ満足まんぞくしていません。
　他ほかにも宝物ほうもつがあると思おもって、またまた大男おおおとこの家いえにやって来きたのです。
　ジャックがかまどに隠かくれていると、大男おおおとこは金かねの竪琴たてごと(たてごと)を持もって来きました。
　その竪琴たてごとは大男おおおとこが命令めいれいすると、ひとりでに音楽おんがくをかなでます。
　大男おおおとこはその竪琴たてごとの音色ねいろを聞ききながら、また眠ねむってしまいました。
「よし、今度こんどはあの竪琴たてごとだ！」
　ジャックは竪琴たてごとをつかむと、一目散いちもくさんに逃にげました。
　その時ときです。
「旦那だんなさま、ドロボウですよ！」
　驚おどろいた事ことに、竪琴たてごとが大声おおごえでしゃべったのです。
「なに！　小僧こぞう、きさまだな。金貨きんかとメンドリを盗ぬすんだのは！　そして今度こんどは、大切たいせつな竪琴たてごとを盗ぬすむと言いうのか。許ゆるさんぞ、食くってやる！」

　大男おおおとこは地響じひびきを立たてて、ジャックを追おいかけて来きました。
　ジャックは大急おおいそぎで豆まめの木きをおりると、お母かあさんに言いいました。
「お母かあさん、早はやく、早はやく！　早はやくオノを持もって来きて！」
　ジャックはお母かあさんからオノを受うけ取とると、豆まめの木きにオノを振ふり下おろしました。
　すると豆まめの木きの魔法まほうがとけたのか、豆まめの木きは元もとの豆粒まめつぶに戻もどってしまいました。
「あーーーーっ！」
　まだ豆まめの木きの途中とちゅうにいた大男おおおとこは高たかい空そらの上うえから落おちてしまい、そのままどこかへ消きえてしまいました。

　それからジャックは可愛かわいいお嫁よめさんをもらうと、お母かあさんと三さん人にんでいつまでも幸しあわせに暮くらしました。

おしまい