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12月27日にちの世界せかいの昔話むかしばなし



雪ゆき
中国ちゅうごくの昔話むかしばなし　→　中国ちゅうごくの国情こくじょう報ほう

　むかしむかし、冬ふゆがきて寒さむくなると、雪ゆきのかわりにお砂糖さとうや小麦粉こむぎこの降ふってくる村むらがありました。
　その村むらでは初はじめの日ひに小麦粉こむぎこが降ふってくると、その次つぎの日ひは、お砂糖さとうがたくさん降ふってくるのです。
　お砂糖さとうと小麦粉こむぎこがかわりばんこに空そらから降ふってくる、そんな日ひが十じゅう日にちも十じゅう五ご日にちも続つづくのです。
「やあ、今年ことしも降ふってきたぞ、白しろい粉こなが」
　小麦粉こむぎこの白しろい粉こなが降ふり出だすと、村むらの人ひとたちはおけや水みずがめや、そのほかいろんな入いれ物ものを持もち出だしてせっせと粉こなを集あつめます。
　そしてそれを袋ふくろに入いれて、大おおきな蔵ぞうにいっぱい粉こなの入はいった袋ふくろをつめこみます。
「やあ、今日きょうは甘あまい砂糖さとうだぞ」
　お砂糖さとうも小麦粉こむぎこと同おなじで、砂すなや土どがまじらないように、きれいに集あつめておきます。
　こうして一いち年ねん分ぶんのお砂糖さとうと小麦粉こむぎこをたくわえてしまうと、村むらの人ひとたちは遊あそんで暮くらせばいいのです。
「やあ、けっこう、けっこう。今年ことしも働はたらかなくていいわけだ」
「ほんとうに、ありがたいねえ。毎日まいにち寝ねころがっていればいいんだから」
　この村むらの人ひとたちは、ほかの村むらのように、畑はたけをたがやして麦むぎやマメをつくろうとしません。
　お腹なかが空あいたら、おだんごや砂糖さとうがしをつくって食しょくベればいいわけですから。

　ところが、前まえの年としの小麦粉こむぎこやお砂糖さとうが蔵ぞうにたくさん残のこっているうえに、今年ことしの分ぶんが集あつまるものですから、入いれる所ところがなくてはみ出だしてしまいます。
　そうなると村むらの人ひとたちの心しんの中なかにありがたいという気持きもちはすっかりなくなって、小麦粉こむぎこやお砂糖さとうをそまつにするようになりました。
　子こどもたちまで小麦粉こむぎこをおだんごにして石いしのように投なげてみたり、池いけにお砂糖さとうを流ながして遊あそんだりしました。

　やがて、今年ことしも冬ふゆがやってきました。
　けれども村むらの人ひとたちは、空そらからの贈おくり物ものを待まってはいません。
　もうあり余あまるほど、前まえの年としの分ぶんが残のこっていたからです。
　そのうちに、また白しろい粉こなが降ふってきました。
　みるみるうちに、あたり一いち面めんまっ白しろにつもりました。
　その時とき、外そとで遊あそんでいた子こどもたちがさけびました。
「あれー！　砂糖さとうじゃないぞー！」
「小麦粉こむぎこでもないぞー！」
「冷つめたい、冷つめたい、冷つめたい！」
「口くちの中なかへ入いれたら、とけてなくなるよー！」
　それを聞きいて、大人おとなたちも外そとへ飛とび出だしてきました。
「本当ほんとうだ。冷つめたくて、口くちに入いれるととけてしまうぞ！」
　空そらから降ふってきた白しろい粉こな、それはふつうの雪ゆきだったのです。
　そしてその次つぎの年としも、また次つぎの年としも、お砂糖さとうや小麦粉こむぎこは降ふってきませんでした。
　やがてたくわえてあったお砂糖さとうや小麦粉こむぎこもついになくなり、すっかりなまけ者ものになってしまった人ひとたちは、大変たいへん困こまったという事ことです。

おしまい