食わず女房　群馬県の民話　＜節句の昔話特集＞　福娘童話集

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せっくのお話はなし　第だい２話わ

アニメサイズ Max 2560×1440　字幕じまく「日本語にほんご」「英語えいご」

イラスト　「夢ゆめ宮みや愛あい」　　運営うんえいサイト　「夢見ゆめみる小ちいさな部屋へや」

※本ほん作品さくひんは、読者どくしゃからの投稿とうこう作品さくひんです。　投稿とうこう希望きぼうは、メールをお送おくりください。→連絡れんらく先さき

投稿とうこう者しゃ　「もちがたる。」

食くわず女房にょうぼう
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♪音声おんせい配信はいしん(html5)

朗読ろうどく者しゃ ; スタヂオせんむ

♪音声おんせい配信はいしん(html5)

音声おんせい　ヤマネコギン

イラスト 01 (イラストタッチでイラスト大だい)無断むだん転載てんさい禁止きんし

　むかしむかし、あるところに、とてもけちな男おとこが住すんでいて、いつもこう言いっていました。

イラスト 02 (イラストタッチでイラスト大だい)無断むだん転載てんさい禁止きんし

「ああ、仕事しごとは良よくするが、ご飯はんんを食たべない嫁よめさんが欲ほしいなあ」
　そんな人ひとがいるはずないのですが、ある時とき、一人ひとりの女おんなが男おとこの家いえを訪たずねて来きて、

イラスト 03 (イラストタッチでイラスト大だい)無断むだん転載てんさい禁止きんし

「わたしはごはんを食たべずに、仕事しごとばかりする女おんなです。どうか、嫁よめにしてくださいな」

イラスト 04 (イラストタッチでイラスト大だい)無断むだん転載てんさい禁止きんし

と、言いうではありませんか。

イラスト 05 (イラストタッチでイラスト大だい)無断むだん転載てんさい禁止きんし

　それを聞きいた男おとこは大だい喜よろこびで、女おんなを嫁よめにしました。

イラスト 06 (イラストタッチでイラスト大だい)無断むだん転載てんさい禁止きんし

　男おとこの嫁よめになった女おんなは、とても良よく働はたらきます。
　そしてご飯はんを、全まったく食たべようとしません。

イラスト 07 (イラストタッチでイラスト大だい)無断むだん転載てんさい禁止きんし

「ご飯はんは食たべないし、良よく仕事しごとをするし、本当ほんとうにいい嫁よめじゃ」

　ところがある日ひ、男おとこは家いえの米べい俵たわら(こめだわら)が少すくなくなっているのに気きがつきました。

イラスト 08 (イラストタッチでイラスト大だい)無断むだん転載てんさい禁止きんし

「おや？　おかしいな。嫁よめは、ご飯はんんを食たべないはずだし」
　とりあえず男おとこは、嫁よめに聞きいてみましたが、

イラスト 09 (イラストタッチでイラスト大だい)無断むだん転載てんさい禁止きんし

「いいえ。わたしは知しりませんよ」
と、言いうのです。

イラスト 10 (イラストタッチでイラスト大だい)無断むだん転載てんさい禁止きんし

　あんまり変へんなので、

イラスト 11 (イラストタッチでイラスト大だい)無断むだん転載てんさい禁止きんし

　次つぎの朝あさ、男おとこは仕事しごとに行いくふりをして、家いえの天井てんじょうに隠かくれて見張みはっていました。

イラスト 12 (イラストタッチでイラスト大だい)無断むだん転載てんさい禁止きんし

　すると嫁よめは倉くら(くら)から米こめを一いち俵ひょうかついで来きて、

イラスト 13 (イラストタッチでイラスト大だい)無断むだん転載てんさい禁止きんし

　どこからか持もって来きた大おおきなカマで一いち度どにご飯はんを炊たきあげました。

イラスト 14 (イラストタッチでイラスト大だい)無断むだん転載てんさい禁止きんし

　そして塩しおを一いち升しょう(いっしょう→1.8リットル)用意よういすると、

イラスト 15 (イラストタッチでイラスト大だい)無断むだん転載てんさい禁止きんし

　おにぎりを次々つぎつぎと作つくって山やまの様ように積つみ上あげたのです。
(何なにじゃ？　お祭まつりじゃあるまいし、あんなにたくさんのおにぎりを作つくって、どうするつもりだ？)

イラスト 16 (イラストタッチでイラスト大だい)無断むだん転載てんさい禁止きんし

　男おとこが不思議ふしぎそうに見みていると、嫁よめは頭あたまの髪かみの毛けをほぐし始はじめ、頭あたまのてっぺんの髪かみの毛けをかきわけました。

イラスト 17 (イラストタッチでイラスト大だい)無断むだん転載てんさい禁止きんし

　すると頭あたまのてっぺんがザックリと割われて、大おおきな口くちが開ひらいたのです。

イラスト 18 (イラストタッチでイラスト大だい)無断むだん転載てんさい禁止きんし

　嫁よめはその口くちへ、おにぎりをポイポイポイポイと投なげ込こんで、

イラスト 19 (イラストタッチでイラスト大だい)無断むだん転載てんさい禁止きんし

　米べい一いち俵ひょう分ぶんのおにぎりを全部ぜんぶ食たべてしまいました。

イラスト 20 (イラストタッチでイラスト大だい)無断むだん転載てんさい禁止きんし

(あわわわわ。おらの嫁よめは、化物ばけものだ！)

イラスト 21 (イラストタッチでイラスト大だい)無断むだん転載てんさい禁止きんし

　怖こわくなった男おとこはブルブルと震ふるえましたが、嫁よめに気きづかれない様ように天井てんじょうから降おりると、仕事しごとから帰かえった様ような顔かおをして家いえの戸とを叩はたきました。
「おい。今いま、帰かえったぞ」
　すると嫁よめは、急いそいで髪かみの毛けをたばねて頭あたまの口くちを隠かくすと、
「あら、おかえりなさい」

イラスト 22 (イラストタッチでイラスト大だい)無断むだん転載てんさい禁止きんし

と、笑顔えがおで男おとこを出迎でむかえました。
「・・・・・・」
　男おとこはしばらく無言むごんでしたが、やがて決心けっしんして言いいました。

イラスト 23 (イラストタッチでイラスト大だい)無断むだん転載てんさい禁止きんし

　「嫁よめよ。
　実じつは今日きょう、山やまに行いったら山やまの神かみさまからお告つげがあってな、
『お前まえの嫁よめはええ嫁よめだが、家いえに置おいておくととんでもない事ことになる。はやく家かから追おい出だせ！』
と、言いうんじゃ。
　だからすまないけど、出でて行いってくれんか？」
　それを聞きいた嫁よめは、あっさりと言いいました。
「はい。
　出でて行いけと言いうのなら、出でて行いきます。