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2010年ねん　2月がつ10日とおかの新作しんさく昔話むかしばなし



お正月しょうがつの一いち日にち目めの呼よび方かた
富山とやま県けんの民話みんわ → 富山とやま県けんの情報じょうほう

　むかしむかしのお正月しょうがつ、ある家いえの物置ものおきに住すんでいるネズミたちが、お正月しょうがつのあいさつをしています。
「明あけまして、おめでとうございます」
「おめでとうございます。どうぞ今年ことしも、よろしくお願ねがいします」
　その声こえに目めを覚さましたねぼすけネズミも、だれかとあいさつがしたくなりました。
　そこで庭にわへ出でてみると、ちょうど犬いぬがやってきました。
(そうだ。あの犬いぬに、あいさつをしよう)
　ネズミは、チューチュー鳴なきながら犬いぬのところへ行いって、
「今日きょうは、一いち月がつチュータチですね。おめでとう」
と、言いいました。
　すると、いつもワンワン鳴ないている犬いぬが、
「はい、おめでとう。でも、今日きょうはチュータチじゃない。ワンジツじゃ」
と、言いいました。
「ワンジツだって？　いいえ、今日きょうはチュータチですよ」
　ネズミは、むっとして言いいかえしました。
　すると、犬いぬも腹はらを立たてて、
「チュータチなもんか。今日きょうはワンジツじゃ！」
と、言いいました。
「チュータチ！」
「ワンジツ！」
　二に匹ひきはい争いあらそっているうちに、とうとう喧嘩けんかになってしまいました。
「よし！　それではどっちが正ただしいか、誰だれかに聞きいてみよう」
「いいとも、いいとも。誰だれに聞きいたところで、今日きょうはワンジツだけどな」
　その時とき、向むこうからネコがやってきました。
　そこで、犬いぬが聞ききました。
「ネコさん。ちょっと尋たずねるが、今日きょうはチュータチと思おもうか？　それともワンジツと思おもうか？」
「さあ？　どっちでもいいんじゃない？」
　ネコは、興味きょうみなさそうに答こたえました。
「どっちでもいいでは困こまる。ワンジツだろ！」
「いいや、チュータチだよね！」
「・・・うーん」
　困こまったネコは、しばらく考かんがえていましたが、
「さあ、わたしには、ニャンとも言いえないが、それより腹はらが減へってきた」
と、言いいながら、ネズミの顔かおをじろっと見みました。
「わ、わ、わたしを食たべないでー！」
　ネズミは、あわてて物置ものおきの中なかへ逃にげていきました。
　それを見みて犬いぬが、
「ほれ見みろ。やっぱりわしの言いった通とおりだ」
と、言いいました。
　するとネコが、こわい顔かおで怒鳴どなりました。
「わたしの大切たいせつな食たべ物ものを逃にがしてしまって、ニャンとしてくれる！」

　この話はなし、なかなか終おわりませんね。

おしまい