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2010年ねん　9月17日にちの新作しんさく昔話むかしばなし



夫婦ふうふ
山口やまぐち県けんの民話みんわ→ 山口やまぐち県けんの情報じょうほう

　むかしむかし、い伝いつたえによると人間にんげんは、夫婦ふうふが背中合せなかあわせにくっついて生うまれてきたそうです。
　ある日ひの事こと、大勢おおぜいの人間にんげんたちが集あつまって、神かみさまにお願ねがいしました。
「神かみさま。わたしたち夫婦ふうふは、背中せなかと背中せなかとがくっついているので、夫婦ふうふでありながら女房にょうぼうや夫おっとの顔かおを見みる事ことが出来できません。どうか自分じぶんの女房にょうぼうや夫おっとの顔かおが見みられるように、背中せなかを割わっていただきたいのです」
　すると神かみさまは、
「なるほど、それは、もっともな事ことじゃ」
と、夫婦ふうふのくっついた背中せなかを割わってくれたのです。
　こうして夫婦ふうふの背中せなかが一斉いっせいに割われたのですが、普段ふだんから顔かおを見みていない二に人にんですから、一度いちど見失みうしなうと誰だれと誰だれが夫婦ふうふだったのか、分わからなくなってしまいました。
　そこで人間にんげんたちは困こまってしまい、また神かみさまにお願ねがいしました。
「願ねがい通どおり、背中せなかを割わってもらいましたが、今度こんどは誰だれが夫婦ふうふの片割かたわれであったのか、見分みわけがつかなくなりました。何なにとかして下ください」
　すると神かみさまは、
「それでは、お前まえたちに愛あいという力ちからを与あたえてやろう。外見がいけんや目先めさきの利益りえきにこだわらずに、その愛あいを信しんじて相手あいてを探さがせば、必かならずや、夫婦ふうふとして生うまれた片割かたわれを見みつける事ことが出来できるであろう」
と、人間にんげんに愛あいという力ちからを授さづけてくれたのです。

　人間にんげんは、時ときには外見がいけん、時ときにはお金かねや地位ちいなどの利益りえきに目めがくらんで、愛あいという神かみさまから頂いただいた力ちからを使つかわずに夫婦ふうふとなる人ひとがいますが、それでは末永すえながい幸しあわせを手てにする事ことは出来できません。
　外見がいけんや利益りえきに惑まどわされず、愛あいという力ちからを信しんじて夫婦ふうふとして生うまれた片割かたわれを見みつければ、必かならずその二人ふたりは、末永すえながい幸しあわせを手てに入いれることが出来できるでしょう。

おしまい