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10月4日にちの世界せかいの昔話むかしばなし



コアラの尻尾しっぽが短みじかいわけ
オーストラリアの昔話むかしばなし　→　オーストラリアの国情こくじょう報ほう

おりがみをつくろう ( おりがみくらぶ より) こあらのかお

　むかしむかしの、オーストラリアのお話はなしです。
　カンガルーのボラーと、フクログマ(→コアラ)のコアボンは、とても仲良なかよしでした。
　いつもいっしょに、えさを探さがしに行いきました。

　ある時とき、雨あめがあまり降ふらないので、あたり一いち面めんすっかりかわききってしまいました。
　木きも草くさもかれてしまい、人間にんげんも動物どうぶつも生いきていられなくなりました。
　けれどもカンガルーのボラーとフクログマのコアボンは、水みずのある穴あなぐらを知しっていました。
　そして、その穴あなのそばで暮くらしていました。
　ところがその穴あなぐらにも、水みずのなくなるときがやってきました。
　カンガルーのボラーもフクログマのコアボンも、のどがかわきすぎてヒリヒリといたみました。
　ふと、カンガルーのボラーが言いいました。
「ずっと前まえ、ぼくがまだお母かあさんのお腹なかのポケットに入はいっていたころ、やっぱり水みずがなくなった事ことがあるんだよ。
　そのときお母かあさんは水みずを探さがして、あっちこっち歩あるきまわったんだ。
　ほかのカンガルーたちは、『赤あかん坊ぼうをポケットから出だして、すてちゃいなさい。そうすれば水みずを探さがすのも楽らくですよ』って、すすめたけど、お母かあさんはぼくをしっかりお腹なかの袋ふくろに入いれておいてくれたっけ。
　ずいぶん歩あるいてから、お母かあさんは水みずのなくなった川かわへ着ついたよ。
　そこでお母かあさんたら、カラカラにかわいた砂すなをほりはじめたんだ。
　うーんとながい事ことほったら、穴あなのそこから水みずがにじみ出でてきたんだ。
　そしてお母かあさんのほった穴あなにだんだん水みずがたまって、ぼくたちは水みずを飲のむ事ことが出来できたんだよ」
「そいつはすばらしい！　すぐ、川かわを探さがしに行いこうよ」
と、フクログマのコアボンが言いいました。
　二人ふたりは、水みずを探さがす旅たびに出でました。
　そしてようやく、川かわの土手どてにつきました。
　川かわには、ひとしずくの水みずもありません。
　川底かわぞこには、かわいた砂すながあるきりでした。
　カンガルーのボラーは、お母かあさんの手てつきを思おもい出だしながら砂すなをほりはじめました。
　ながい事ことながい事ことほったので、とうとうカンガルーのボラーはクタクタになってしまいました。
　そこで、コアボンに、
「おい、今度こんどは、きみやってくれよ」
と、たのみました。
　フクログマのコアボンは、働はたらくのが大だいきらいです。
「ぼく、なんだか気分きぶんが悪わるいんだ」
と、うそをつきました。
「そうか。それならいいよ」
　ボラーはしかたなく、ひと休やすみしてからまた砂すなをほりました。
　カンガルーのボラーの手ては、とてもしびれてきました。
　そのうちにようやく、穴あなのそこに水みずがにじみ出でてきました。
　水みずはだんだん穴あなにたまって、水みずたまりが出来できました。
　カンガルーのボラーは、いそいで仲良なかよしのフクログマのコアボンのところへ飛とんでいきました。
「おい、水みずが出でたよ！」
　ボラーの声こえを聞きくと、病気びょうきのふりをしていたコアボンは飛とびおきました。
　コアボンは水みずたまりに飛とんでいくと、頭あたまをつっこんでガブガブと飲のみはじめました。
　穴あなの上うえに、コアボンの尻尾しっぽだけがのぞいていました。
「気分きぶんが悪わるいと言いっていたくせに、よくもだましたな」
　カンガルーのボラーはだまされた事ことに気きがついて、カンカンに怒いかりました。
　それで穴あなの上うえにちょこんと出でているコアボンの尻尾しっぽを、チョキンと切きってしまったのです。

　フクログマの尻尾しっぽが短みじかくなったのは、こういうわけなのです。

おしまい