福ぶく娘むすめ童話どうわ集しゅう > きょうの江戸えど小話こばなし > ７月がつの江戸えど小話こばなし > 安全あんぜん水泳すいえい法ほう

７月がつ２５日にちの小話こばなし

安全あんぜん水泳すいえい法ほう

　今いまもむかしも、夏なつの娯楽ごらく(ごらく→あそび)といえば水泳すいえいですが、むかしは海水浴かいすいよく場じょうやプールなどはなく、川かわや池いけで泳およいでいたため、水みずの事故じこが大変たいへん多おおくありました。
　そのため夏場なつばになると、泳およぎ自慢じまんが教おしえる水泳すいえい教室きょうしつがはやったそうです。

　近頃ちかごろ、町まちの表通おもてどおりに『安全あんぜん水泳すいえい指南しなん所しょ(あんぜんすいえいしなんじょ)』という水泳すいえい教室きょうしつが出来できたと、若者わかものの間あいだで評判ひょうばんになりました。
　二に、三さん人にんが、寄より集あつまると、
「最近さいきんは水みずの事故じこが多おおいからな。どうだい？　安全あんぜん水泳すいえいとやらを、習ならいに行いこうじゃないか」
と、いう事ことになりました。
　そこで『安全あんぜん水泳すいえい指南しなん所しょ』に来きてみますと、けっこうな人数にんずうの若者わかものが集あつまっています。
　若者わかものたちがふんどし一いち丁ちょうで並ならんでいると、よく日焼ひやけをした水泳すいえいの師匠ししょうが現あらわれました。
「よし、そろっておるな。ではこれより、安全あんぜん水泳すいえいを指南しなんしよう」
　若者わかものたちは、どういうふうに習ならうのかと興味津々きょうみしんしんです。
　すると師匠ししょうは筆ふでにすみをつけて、みんなの足首あしくびのあたりに横よこすじをつけました。
「あの、先生せんせい。この印しるしは一体いったい？」
　一人ひとりの若者わかものが尋たずねると、水泳すいえいの師匠ししょうが答こたえました。
「これが安全あんぜん水泳すいえいの秘訣ひけつじゃ。これより深ふかい水みずに入はいらなければ、おぼれる心配しんぱいなし」

おしまい

関連かんれんする記念きねん日び紹介しょうかい
「国民こくみん皆みな泳およげの日ひ」について　(366日にちへの旅たび)より

記念きねん日びイメージキャラ　福ぶくちゃん　イラスト「ぺんた」 ※無断むだん転載てんさい禁止きんし