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８月がつ２０日にちの小話こばなし

あせ

おりがみをつくろう ( おりがみくらぶ より) うちわ

　ある夏なつの暑あつい日ひ。
　外出がいしゅつ先さきから帰かえって来きた旦那だんな(だんな)が、小僧こぞうの信吉のぶよし（しんきち）に言いいました。
「あつい！　あつい！　あつい！　今日きょうのあつさはとくべつじゃ。信吉のぶよし、すまんが後うしろから、そこの大だいうちわであおいでおくれ」
「はーい」
　信吉のぶよしは返事へんじをすると、旦那だんなの後うしろにまわって、うちわの柄え（え）が折おれるくらいに力ちからを入いれて、大だいうちわで風かぜを送おくってやりました。
　すると旦那だんなの体からだから、みるみるあせが引ひいていきます。
「ああっ、さっぱりした。信吉のぶよし、お前まえのおかげで、あせはどこかへふっ飛とんでいったぞ」
　旦那だんなが気持きもち良よさそうに言いうと、後うしろの信吉のぶよしは全身ぜんしんにあせをかきながら言いいました。
「そうでございましょう。なにしろあせは、全部ぜんぶわたくしの方ほうにまいりましたから」

♪ちゃんちゃん
(おしまい)