福ぶく娘むすめ童話どうわ集しゅう > きょうの世界せかい昔話むかしばなし > ３月さんがつの世界せかい昔話むかしばなし > 青あおい鳥とり

3月1日にちの世界せかいの昔話むかしばなし



青あおい鳥とり
メーテリンクの童話どうわ

　むかしむかし、あるところに、まずしい二人ふたりの子こどもがいました。
　お兄にいさんの名前なまえはチルチル、妹いもうとの名前なまえはミチルと言いいました。
　クリスマスの前まえの夜よるのことです。
　二人ふたりのへやに、魔法使まほうつかいのおばあさんがやってきて言いいました。
「わたしの孫まごが、今いま、病気びょうきでな。しあわせの青あおい鳥とりを見みつければ病気びょうきはなおるんじゃ。どうか二に人にんで、青あおい鳥とりを見みつけてきておくれ」
「うん、わかった」
　チルチルとミチルは鳥とりカゴを持もって、青あおい鳥とりを探さがしに旅たびに出でました。
　チルチルとミチルがはじめに行いった国くには、『思おもい出での国くに』でした。
　二人ふたりはこの国くにで、死しんだはずのおじいさんとおばあさんに出会であいました。
「人ひとは死しんでも、みんなが心しんの中なかで思おもい出だしてくれたなら、いつでもあうことができるんだよ」
　おじいさんは、そう言いいました。
　そして、チルチルとミチルに、この国くにに青あおい鳥とりがいることを教おしえてくれました。
　ところが、『思おもい出での国くに』を出でたとたん、青あおい鳥とりは黒くろい鳥とりに変かわってしまいました。
　チルチルとミチルは、つぎに病気びょうきや戦争せんそうなど、いやなものがいっぱいある『夜よるのごてん』に行いきました。
　ここにも、青あおい鳥とりはいました。
　でも、つかまえて『夜よるのご殿てん』を出でたとたん、青あおい鳥とりはみんな死しんでしまいました。
　それから二に人にんは『ぜいたくのごてん』や、これから生うまれてくる赤あかちゃんがいる『未来みらいの国くに』に行いきました。
　どこにも青あおい鳥とりはいましたが、持もち帰かえろうとすると、みんなだめになってしまうのです。
「さあ、起おきなさい。今日きょうはクリスマスですよ」
　お母かあさんのよぶ声こえが聞きこえました。
　目めを覚さますと、二人ふたりは自分じぶんたちの部屋へやのベッドの中なかにいました。
　青あおい鳥とりを探さがす旅たびは、終おわったのです。
　チルチルとミチルは、とうとう青あおい鳥とりをつかまえることが出来できませんでした。
　でも、チルチルとミチルが、ふと鳥とりカゴを見みると、中なかに青あおい羽根はねが入はいっているではありませんか。
「そうか、ぼくたちの飼かっていたハトが、ほんとうの青あおい鳥とりだったんだ。しあわせの青あおい鳥とりは、ぼくたちの家いえにいたんだね」
　二人ふたりはお互たがいに顔かおを見合みあわせて、ニッコリしました。
　魔法使まほうつかいのおばあさんは二に人にんに、しあわせはすぐそばにあっても、なかなか気きがつかないものだと教おしえてくれたのです。

おしまい