(Translated by https://www.hiragana.jp/)
世界のはじまり チリの昔話 <福娘童話集 きょうの世界昔話>
ぶくむすめ童話どうわしゅう > きょうの世界せかい昔話むかしばなし 福娘童話集 きょうの世界の名作・昔話 童話・昔話・おとぎ話の福娘童話集
こう つげ
 


ぶくむすめ童話どうわしゅう > きょうの世界せかい昔話むかしばなし > その世界せかい昔話むかしばなし >世界せかいのはじまり

だい36

世界のはじまり

世界せかいのはじまり
チリの昔話むかしばなし → チリの国情こくじょうほう

音声おんせい配信はいしん
朗読ろうどく ゆめよみ おはなし ひなたぼっこ

 むかしむかし、このなかにはやまもなく、うみもなく、人間にんげんも、とりも、くさも、なかったころのおはなしです。
 てんには、かぞえきれないほどたくさんのかみさまが、んでいました。
 そのかみさまたちのなかに、たった一人ひとり、ほかのかみさまのなんじゅうばいも、なんひゃくばい、なんせんばいも、なんまんばいもおおきなからだの、大神おおがみさまがいました。
 大神おおがみさまは、からだがおおきいばかりでなく、ほかのかみさまのなんまんばいも、つよいちからをもっていました。
 かみさまたちがわるいことをしたり、大神おおがみさまのいうことをかなかったりすると、大神おおがみさまは、なんひゃくにんものかみさまをひとつかみにして、やっつけてしまうのです。
 大神おおがみさまにかなうものは、一人ひとりもいません。
 かみさまたちは、いつも大神おおがみさまににらみつけられて、はたらかなくてはならなかったのです。
 そこである大神おおがみさまがくも(くも)をまくらにして昼寝ひるねをしているあいだに、かみさまたちがあつまって、そうだんをはじめました。
 一人ひとりかみさまが、ちあがって、
「しょくん、われわれは、あさからばんまでだいかみのいうとおりにはたらいていなくてはならない。われわれには、ゆっくりあそんでいるひまもない。これでは、きゅうくつでたまらないではないか。どうだ、われわれがちからをあわせれば、あのおおきなおおきな大神おおがみをやっつけることもできるだろう。大神おおがみさえやっつければ、われわれは、だれからもしかられずにあそんでいられるのだ。さあ、大神おおがみをやっつけようではないか」
と、いいました。
「そうだ、そうだ!」
大神おおがみをやっつけよう!」
 おおぜいのかみさまが、さんせいしました。
 けれども、なかには、
「ぼくはいやだ。はんたいだ」
と、いうかみさまもいました。
「おい、どうしてだ? きみは大神おおがみにおさえつけられているほうがいいのか?」
「そうじゃない。大神おおがみさまのおおきさとちからのつよさをかんがえてみたまえ。ぼくたちがどんなにおおぜいあつまっても、ぜったいにかなわないよ。大神おおがみさまは、どんなことだってできるのだから。大神おおがみさまとけんかしたら、どんなめにあうかわからないぞ。いまのままが、いちばんいいとおもうよ」
 すると、あっちからもこっちからも、
「なるほど、そうだなあ。やっぱりたたかうのはむりだ。ぼくはいやだ」
「ぼくもいやだ。このままでいいよ」
と、いうこえこえました。
「なんだいくじなし。大神おおがみがこわいのか。大神おおがみをやっつけよう」
「だめだ。大神おおがみさまにをだすな!」
「やっつけるんだ!」
「おい、やめろ!」
 かみさまたちはいつのまにかふたつにわかれて、とっくみあいのけんかをはじめました。
 そのさわぎで、とうとう大神おおがみさまが、おきてしまいました。
 大神おおがみさまは、かみさまたちのあらそいをジッとまもりました。
 そんなこととはすこしもらずに、かみさまたちはむちゅうになって、けんかをつづけました。
 どうやら、「大神おおがみをやっつけろ!」と、いうかみさまたちのほうがつよいようで、「大神おおがみさまに、をだすな!」と、いっているかみさまたちが、けそうになりました。
 そこで大神おおがみさまは、のっそりちあがって、ドシン! ドシン! と、あしをふみならしました。
 するとくももとで、カミナリがゴロゴロなり、イナズマがピカピカとひかりました。
「しようのない、やつらだな」
と、いいながら大神おおがみさまは、
大神おおがみをやっつけろ!」
と、いっていたかみさまたちを、ひとまとめにしてつかみました。
「ろくでもないことをかんがえるやつらは、こうしてくれよう」
と、いって、ペッペッと、つばをはきかけました。
 すると、つかまえられたかみさまたちは、大神おおがみさまのなかで、たちまちひとかたまりのいしになってしまいました。
 大神おおがみさまは、そのいしおもいきりけとばしました。
 いしはビューンと、とんで、そらをつきやぶって地上ちじょうにおちました。
 おちたいしは、こなごなにとびちってやまになりました。
 ところが、やまになったいしのかけらのなかのほうには、まだきているかみさまがいました。
「おい、たすけてくれ。こんなところにとじこめたりして、まったくひどいだいかみさまだ!」
と、いって、かみさまたちはまっかになっておこりました。
 そのいきおいで、やまなかはにえくりかえりました。
 ゴーゴー、うなりをたてて、けむりや、はいや、いわをはきだして、火山かざんとなりました。
 火山かざんなかで、かみさまたちはなおも、
「ああ、きゅうくつだ、きゅうくつだ」
と、わめいてもがきました。
 そのひょうしに、火山かざんからまっあかばしらがあがり、それといっしょにかみさまたちは、火山かざんからふきあげられてしまいました。
 かみさまたちは、たかたかくまいあがって、そらにとどきました。
 大神おおがみさまは、すぐにかみさまをそらにぬいつけて、ほしにしてしまいました。
 こうなっては、どんなにあばれても、そらからはなれることはできません。
 かみさまたちは、
「こんなことになるとわかっていたら、大神おおがみさまをやっつけようとするんじゃなかった」
と、いって、なみだをポロポロこぼしました。
 そのなみだがたまって、うみができました。
 さからうかみさまたちをやっつけた大神おおがみさまは、一番いちばん息子むすこをつかまえて、フッといきをかけました。
 すると、人間にんげんおとこができあがりました。
「ほら、地上ちじょうてごらん。おまえはあそこでくらすんだよ」
 大神おおがみさまの息子むすこは、ヒラヒラと地上ちじょうにおりていきました。
一人ひとりでは、かわいそうですわ」
と、大神おおがみさまのおくさんがいいました。
心配しんぱいしなくていい。もう一人ひとりつくってやるよ」
と、いって、大神おおがみさまはそばにいた、よいかみさまをつまみあげて、いきをふきかけました。
 こうして、おんなひとができあがりました。
「おまえはおとこひとをさがして、二人ふたりでなかよくくらすんだよ」
 地上ちじょうについたおんなひとは、ゴツゴツしたいわだらけの地面じめんあるいておとこひとをさがしました。
「おお、かわいそうに。あしのうらが、さぞいたかろう」
 大神おおがみさまはこういって、地面じめんくさをはやし、はなのじゅうたんをひろげてやりました。
 おんなひとはたいそうよろこんで、はなをつむと、空中くうちゅうはなびらをまきちらしました。
 するとはなびらは、うつくしいとりやチョウや、いろいろなムシになって、おんなひとのまわりをとびまわりました。
 おんなひとは、ズンズンとあるいていきました。
 そのうちに、おなかがすいてきました。
「なにか、たべたいわ」
と、いって、おんなひとちどまると、のまえのくさがグングンとのびて、おおきなになりました。
 には、おいしそうながなっています。
 おんなひとは、それをとってたべました。
 元気げんきがでると、またたびをつづけました。
 そしてようやく、おとこひとつけました。
 二人ふたりはひとめただけで、きになりました。
 そしてをとりあって、なかよくくらすようになりました。
 しばらくすると、
「あの二人ふたりは、どうしたろう」
と、いって、大神おおがみさまはてんあなをあけて、そうっとおおきなあたまをのぞかせました。
 大神おおがみさまのあたまはキラキラひかって、地上ちじょうをてらしました。
「まあ、ごらんなさい、あのひかりを」
と、いって、おとこひとおんなひとそらあげました。
 二人ふたりはキラキラひかまるいものに、太陽たいようというをつけました。
 大神おおがみさまのおくさんも、地上ちじょうのことがりたくて、たまらなくなりました。
 そこで、大神おおがみさまがのぞいていないときに、そっとあなからかおをだして地上ちじょうました。
「あのやさしいひかりを、てごらん」
 おとこひとおんなひとは、そらあげていいました。
 そのやわらかいひかりに、がつというをつけました。
 こうして、大神おおがみさまのつくった二人ふたり人間にんげんは、やがてどもをうみ、太陽たいようつきまもられて、たのしくくらしはじめたのです。

おしまい

前のページへ戻る


ぶくむすめ姉妹しまいサイト

http://hukumusume.com

366にちへのたび
毎日まいにち記念きねんなどを紹介しょうかい
ぶくむすめ童話どうわしゅう
日本にっぽん最大さいだい童話どうわ昔話むかしばなししゅう
さくら SAKURA
おんな職業しょくぎょう紹介しょうかいなど
なぞなぞ小学校しょうがっこう
小学生しょうがくせいけなぞなぞ