日光にっこうは東京とうきょうからわずか150キロの距離きょりだが、北海道ほっかいどう並なみの低湿ていしつ地帯ちたいでもある。しかし、ひと口くちに日光にっこうといっても、日光にっこう駅えき付近ふきんは海抜かいばつ530m、日光にっこうでもっとも高たかい白根山しらねさん2,578mで、標高ひょうこう差さは実じつに2,000m以上いじょう。そのため、同おなじ日光にっこうといっても、地域ちいきによって気象きしょうが異ことなっているのを、予あらかじめ知しっておきたい。

中禅寺湖ちゅうぜんじこ

日光にっこう駅えきがある市街地しがいちから馬うま返かえし（標高ひょうこう832m）までは、著いちじるしい気象きしょうの変化へんかは無ないが、いろは坂ざかを上のぼり始はじめると、気温きおんの低下ていかが肌はだに感かんじられる。さらに上のぼって明智めいち平ひらたを過すぎ、中禅寺湖ちゅうぜんじこ東側ひがしがわから華厳けごんノ滝たき周辺しゅうへん（標高ひょうこう1,274m）にかけては、男体山なんたいさんの南東なんとう斜面しゃめんという地形ちけいの影響えいきょうによって、霧きりの発生はっせいが多おおい。もっと上あがって、戦場ヶ原せんじょうがはら（標高ひょうこう1,394m）から湯元ゆもと（標高ひょうこう1,485m）にかけては霧きりはさほど多おおくは無ないが、1日にちのなかでも晴はれ、曇くもり、霧きり、雨あめ（冬ふゆは雪ゆき）など、急激きゅうげきに変化へんかする事ことがしばしばある。特とくに梅雨つゆの時期じきは、駅えき周辺しゅうへんから中禅寺湖ちゅうぜんじこ東ひがし半分はんぶんに雨あめが降ふっていても、梅雨つゆの影響えいきょうを受うけにくい中禅寺湖ちゅうぜんじこ西にし半分はんぶん戦場ヶ原せんじょうがはらは晴はれという日ひも多おおい。

このように、地形ちけいや気象きしょうの変化へんかに富とみ四季しきがはっきりしていることから、多おおくの生物せいぶつが息いきづき豊ゆたかで多様たような自然しぜん界かいを形成けいせいしているのである。

湯川ゆかわ

2005（平成へいせい17）年ねん、奥日光おくにっこうの湯ノ湖ゆのこ・湯川ゆかわ・戦場ヶ原せんじょうがはら・小田代原おだしろがはらの小沼おぬま湿原しつげんのうち260.41ヘクタールが「奥日光おくにっこうの湿原しつげん」としてラムサール条約じょうやく湿地しっちラムサール条約じょうやくとは、湿地しっちの保存ほぞんに関かんする国際こくさい条約じょうやく。水鳥みずとりを食物しょくもつ連鎖れんさの頂点ちょうてんとする湿地しっちの生態せいたい系けいを守まもる目的もくてきで制定せいていされた。として登録とうろくされている。ちなみに、旧きゅう日光にっこう市しの観光かんこう地ちとされているほとんどのエリアは、1934（昭和しょうわ9）年ねんに日光にっこう国立こくりつ公園こうえんに指定していされている。