キリスト信徒しんとやまひでの心しんの窓まど

清きよしこの夜よる物語ものがたり

清きよしこの夜よる物語ものがたり

「きよしこのよる」は、約やく２００年ねん前まえ、オーストリヤの西にし、美うつくしいアルプスの山並やまなみに近ちかいチロル地方ちほう、オーベルンドルフという所ところで作つくられました。
　村むらの教会きょうかいはヨーゼフ・モールという神父しんぷ。この教会きょうかいでは毎年まいとし新あたらしいクリスマスの歌うたを作つくり発表はっぴょうするという習慣しゅうかんがあったそうです。
　詩しというのはなかなかできるものではありません。それにこの年としはもう一ひとつの心配しんぱい事ごとがありました。それは秋あきの大水おおみずで、教会きょうかいのオルガンが水みずに浸つかってこわれてしまっていることでした。
　モールさんはクリスマス・イブの集あつまりの後のち、村むらの近ちかくの丘おかに登のぼって、心しんを静しずめて、詩しを考かんがえることにしました。
　
１ 　きよしこの夜よる　星ほしは光ひかり
　　すくいのみ子こは　まぶねの中なかに
　　ねむりたもう　いとやすく　

　アルプスのほとりの空そらには、一いち杯はいに星ほしが光ひかっていました。スモッグも地球ちきゅう温暖おんだん化かもまだありません。
　きれいだな。そうだ、イエス様さまがお生うまれになった夜よるも、きっとこんな星ぼしが光ひかっていたかも知しれない。
　救すくい主ぬしイエス様さまがお生うまれになった夜よるは、一ひとつの星ほしだけが、明あかるく輝かがやいていました。
　博士はかせたちは大おおきな星ほしを見みつけて、イエス様さまがお生うまれ下くださったことを知しり、旅たびを始はじめたことが聖書せいしょに記しるされています。

２　きよしこの夜よる　み告つげうけし
　　まきびとたちは　御子みこの御前ごぜんに
　　ぬかずきぬ　かしこみて

　救すくい主ぬしキリストお誕生たんじょうの知しらせは、夜中よなか、寝ねないで羊ひつじの群ぐんの番ばんをしていた羊ひつじ飼かいたちに知しらされました。
「今日きょう、皆みなさんのために、救すくい主ぬしがお生うまれになりましたよ。とある家畜かちく小屋こやの飼葉かいば桶おけの中なかに、寝ねかせられておられますよ」
　そして、彼かれらは探さがし当あてたのです。その赤あかちゃんを。
　世界せかいで初はじめて、救すくい主ぬしに会あった人ひとたちが、彼かれらだったのです。

３　きよしこの夜よる　御子みこの笑えみに
　　恵めぐみのみ代よの　あしたのひかり
　　かがやけり　ほがらかに

　イエス様さまが誕生たんじょうしたことによって、だれでもどんな人ひとでも罪つみが赦ゆるされ、神かみさまの子供こどもになれる素晴すばらしい時代じだいが始はじまった、と歌うたいます。

　モールさんが、「きよしこの夜よる」を書かき上あげると、もうクリスマスの日ひの明あけ方がたになっていました。
　彼かれは友ともだちで小学校しょうがっこうの先生せんせいをしていたフランツ・グルーバーの所ところへ行いって、急いそいでメロディーを作つくってくれるように頼たのみました。グルーバーさんは教会きょうかいのオルガニストでした。
　メロディーを急いそいで作つくったグルーバーさんは、クリスマスの礼拝れいはいが始はじまる前まえに教会きょうかいを尋たずね、モールさんと二重唱にじゅうしょうをしてみました。
　まもなくクリスマスの礼拝れいはいが始はじまりました。新しんしい歌かの発表はっぴょうです。
　モールさんが歌うたいました。グルーバーさんはオルガンは使つかえなかったので、ギターで伴奏ばんそうをしながら、低ひくい音おとを歌うたいました。
　世界中せかいじゅうで愛あいされている「きよしこの夜よる」は、このようにして作つくられたのです。

ところで日本にっぽん訳やくには２ふたつの版はんがあるようです。

１番ばん 「救すくいの御子みこは　み母ははの胸むねに 眠ねむりたもう　夢ゆめやすく」

となっているのがあり、一番いちばん古ふるい「讃さん美歌みか」の版はんでした。