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磯野 博「障害者雇用における保護雇用のあり方に関する一考察――障害者の所得保障のあり方を視野に入れて」
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磯野いその ひろし障害しょうがいしゃ雇用こようにおける保護ほご雇用こようのありかたかんするいち考察こうさつ――障害しょうがいしゃ所得しょとく保障ほしょうのありかた視野しやれて」

障害しょうがい学会がっかいだいかい大会たいかい報告ほうこく要旨ようし 於:立命館大学りつめいかんだいがく
20090927


報告ほうこく要旨ようし

 磯野いその ひろし静岡しずおか福祉ふくし医療いりょう専門せんもん学校がっこう
 「障害しょうがいしゃ雇用こようにおける保護ほご雇用こようのありかたかんするいち考察こうさつ――障害しょうがいしゃ所得しょとく保障ほしょうのありかた視野しやれて」

 昨今さっこん日本にっぽんにおいても、障害しょうがいしゃ権利けんり条約じょうやく批准ひじゅんけたうごきが加速かそくしてきており、つづき、労働ろうどう雇用こよう分野ぶんやにおける「合理ごうりてき配慮はいりょ」のありかた課題かだいになっている。それらの課題かだいは、昨年度さくねんど全国ぜんこく福祉ふくし保育ほいく労組ろうそとJDがおこなった障害しょうがいしゃ雇用こようかんするILOへの提訴ていそへのILOからの報告ほうこくしょをとおして、より具体ぐたいされている。この報告ほうこくしょは、ILOの各種かくしゅ条約じょうやく関連かんれんする勧告かんこく提訴ていそとの関連かんれん指摘してきし、日本にっぽん障害しょうがいしゃ雇用こよう問題もんだいてん逐次ちくじてき指摘してきしている。
 一方いっぽう世界せかい同時どうじきょう影響えいきょうから、障害しょうがいしゃまらず、母子ぼし家庭かてい外国がいこくじんといった社会しゃかいてき弱者じゃくしゃふくめたあらたな保護ほご雇用こようのありかた模索もさくされ、その一部いちぶ補正ほせい予算よさんなどにより具現ぐげんされている。
 ほん研究けんきゅうでは、昨年度さくねんど大会たいかいにおいて、JDの研究けんきゅう活用かつようし、しょ外国がいこく障害しょうがいしゃたいする保護ほご雇用こよう所得しょとく保障ほしょう状況じょうきょう概観がいかんすると同時どうじに、障害しょうがいしゃ労働ろうどう雇用こよう分野ぶんやにおいて「合理ごうりてき配慮はいりょ」を具現ぐげんする保護ほご雇用こようのありかた探求たんきゅうしてきた。そして、障害しょうがいしゃ保護ほご雇用こようが、社会しゃかいてき弱者じゃくしゃたいする保護ほご雇用こようとして波及はきゅう効果こうかおよぼす可能かのうせいについても言及げんきゅうしてきた。
 そのほん研究けんきゅうは、国内こくないにおける障害しょうがいしゃ雇用こよう特徴とくちょうてきみである滋賀しがけん社会しゃかいてき事業じぎょうしょかんするヒアリングをおこない、また、この滋賀しがけん社会しゃかいてき事業じぎょうしょ触発しょくはつされ、独自どくじ保護ほご雇用こようみをおこなっている各地かくちのヒアリングを予定よていしている。
 今回こんかい報告ほうこくをとおして、各地かくち障害しょうがいしゃへの保護ほご雇用こようかんするみと国内外こくないがい状況じょうきょう概観がいかんし、今後こんごのわがくに労働ろうどう弱者じゃくしゃ全体ぜんたいたいする保護ほご雇用こようのありかたかんする問題もんだい提起ていきあらためてっていきたい。
 それらをとおして、現在げんざい制度せいどてき硬直こうちょくしているという評価ひょうかもある障害しょうがい年金ねんきん今後こんごのありかたを、障害しょうがいしゃの稼得能力のうりょくとの関連かんれんからさい検討けんとうしていく道筋みちすじ見出みいだしていきたい。

報告ほうこく原稿げんこう ILO報告ほうこくしょ対照たいしょうひょう

障害しょうがい学会がっかいだいかい大会たいかい自由じゆう報告ほうこく

  磯野いその ひろし

 ところ ぞく静岡しずおか福祉ふくし医療いりょう専門せんもん学校がっこう

 e−mail:isono@can.ac.jp(@→@)

テーマ:障害しょうがいしゃ雇用こようにおける保護ほご雇用こようのありかたかんするいち考察こうさつ
   −障害しょうがいしゃ所得しょとく保障ほしょうのありかた視野しやれて−
1.報告ほうこく要旨ようし
 昨今さっこん日本にっぽんにおいても、障害しょうがいしゃ権利けんり条約じょうやく批准ひじゅんけたうごきが加速かそくしてきており、つづき、労働ろうどう雇用こよう分野ぶんやにおける「合理ごうりてき配慮はいりょ」のありかた課題かだいになっている。それらの課題かだいは、昨年度さくねんど全国ぜんこく福祉ふくし保育ほいく労組ろうそとJDがおこなった障害しょうがいしゃ雇用こようかんするILOへの提訴ていそへのILOからの報告ほうこくしょや、厚生こうせい労働省ろうどうしょう設置せっちされた「労働ろうどう雇用こよう分野ぶんやにおける障害しょうがいしゃ権利けんり条約じょうやくへの対応たいおうのありかたかんする研究けんきゅうかい」の「これまでの論点ろんてん整理せいり」をとおしてより具体ぐたいされている。
 ほん研究けんきゅうでは、昨年度さくねんど大会たいかいにおいて、JDの研究けんきゅう活用かつようし、しょ外国がいこく障害しょうがいしゃたいする保護ほご雇用こよう所得しょとく保障ほしょう状況じょうきょう概観がいかんすると同時どうじに、障害しょうがいしゃ労働ろうどう雇用こよう分野ぶんやにおいて「合理ごうりてき配慮はいりょ」を具現ぐげんする保護ほご雇用こようのありかた探求たんきゅうしてきた。そして、障害しょうがいしゃ保護ほご雇用こようが、社会しゃかいてき弱者じゃくしゃたいする保護ほご雇用こようとして波及はきゅう効果こうかおよぼす可能かのうせいについても言及げんきゅうしてきた。
 そのほん研究けんきゅうは、国内こくないにおける障害しょうがいしゃ雇用こよう特徴とくちょうてきみである滋賀しがけん社会しゃかいてき事業じぎょうしょかんするヒアリングをおこない、また、この滋賀しがけん社会しゃかいてき事業じぎょうしょ触発しょくはつされ、独自どくじ保護ほご雇用こようみをおこなっている札幌さっぽろきょうはたらけ事業じぎょうしょみにかんしてもヒアリングをおこなっている。
 今回こんかい報告ほうこくでは、各地かくち障害しょうがいしゃへの保護ほご雇用こようかんするみをとおして、今後こんごのわがくに労働ろうどう弱者じゃくしゃ
 今回こんかい報告ほうこくでは、各地かくち障害しょうがいしゃへの保護ほご雇用こようかんするみをとおして、今後こんごのわがくに労働ろうどう弱者じゃくしゃ全体ぜんたいたいする保護ほご雇用こようのありかたかんする問題もんだい提起ていきあらためてっていきたい。
 それらをとおして、現在げんざい制度せいどてき硬直こうちょくしているという評価ひょうかもある障害しょうがい年金ねんきん今後こんごのありかたを、障害しょうがいしゃの稼得能力のうりょくとの関連かんれんからさい検討けんとうしていく道筋みちすじ見出みいだしていきたい。
2.ILOへの提訴ていそ
 JD、WIの支援しえんけ、全国ぜんこく福祉ふくし保育ほいく労組ろうそは、2007ねんがつ日本にっぽん政府せいふ障害しょうがいしゃ雇用こよう政策せいさくは、国際こくさい労働ろうどうしゃ機関きかん(ILO)がさだめるだい159ごう条約じょうやくだい99ごう勧告かんこくだい168ごう勧告かんこく違反いはんすると、ILO159ごう条約じょうやく違反いはんかんする国際こくさい労働ろうどう機関きかん規約きやく24じょうもとづくもうてをおこなった。
 ILOは、2007ねん11月のだい30かい理事りじかいにおいてもうてを正式せいしき受理じゅりし、審議しんぎ委員いいんかい設置せっちし、審議しんぎ開始かいしした。そして、2009ねんがつ31にち提訴ていそたいする報告ほうこくしょ公表こうひょうした。
 報告ほうこくしょは、提訴ていそ内容ないよう条約じょうやく違反いはんであるとは明記めいきしなかった。しかし、提訴ていそかんして、ILO条約じょうやく勧告かんこく精神せいしん内容ないようにそぐわないという趣旨しゅし見解けんかいしめしている。また、提訴ていそたいする結論けつろん先送さきおくりし、日本にっぽん政府せいふたいして、2010ねん年次ねんじ報告ほうこくでの報告ほうこく要請ようせいし、より詳細しょうさい情報じょうほう提供ていきょうもとめている。そして、「条約じょうやく勧告かんこく適用てきよう専門せんもん委員いいんかい」に今後こんご調査ちょうさのフォローアップをゆだねている。
【ILO条約じょうやく勧告かんこくへの違反いはん
@雇用こよう施策しさくにおいて、労働ろうどう能力のうりょくもとづいて障害しょうがい定義ていぎ認定にんていおこなわれていない(だい
 159ごう条約じょうやくだいだいじょうだい168ごう勧告かんこくT 1)
A障害しょうがい種類しゅるいかかわらず、すべての障害しょうがいしゃたいするサービスや支援しえん保証ほしょうける
 (だい159ごう条約じょうやくだいじょうだい168ごう勧告かんこくT 4)
B保護ほご雇用こよう制度せいど確立かくりつであり、賃金ちんぎん労働ろうどうけん保障ほしょうがされていない(だい168ごう
 勧告かんこくU 11 b c m、だい99ごう勧告かんこく[ 33どう、35)


C障害しょうがいしゃ一般いっぱん労働ろうどうしゃ機会きかい均等きんとうまもられていない(だい159ごう条約じょうやくだいじょうだい168
 ごう勧告かんこくU 10、だい99ごう勧告かんこくだい25こう
D職業しょくぎょう訓練くんれん雇用こよう援助えんじょ妥当だとう調整ちょうせい十分じゅうぶん提供ていきょうがされていない(だい159ごう条約じょうやく
 だいじょうだい99ごう勧告かんこくV 5 7 9、だい168ごう勧告かんこくU 11 a)
日本にっぽん政府せいふもとめる勧告かんこく
@障害しょうがいしゃ自立じりつ支援しえんほう破棄はきする。
A障害しょうがいしゃへの応益おうえき負担ふたんによる費用ひよう負担ふたん撤廃てっぱいする。
B「おおくの法律ほうりつあいだことなる障害しょうがい定義ていぎ認定にんてい整合せいごうせいをとり、障害しょうがいしゃ職業しょくぎょうてきのう
 ちからもとづいた基準きじゅん障害しょうがいしゃ雇用こよう関連かんれん施策しさく改正かいせいおこなう。
C1996ねん総務そうむしょう行政ぎょうせい監察かんさつきょくおこなった「障害しょうがいしゃ雇用こよう政策せいさく状況じょうきょうかんする勧告かんこく
 を履行りこうする。
D「生産せいさんせいひくひとふくむすべての障害しょうがいしゃ雇用こよう施策しさくたいして、現在げんざい社会しゃかい福祉ふくし
 ほうによる処遇しょぐうをやめ、労働ろうどうほう労働ろうどう政策せいさくによる法的ほうてき保護ほご支援しえんおこなう。
E障害しょうがいしゃ雇用こよう促進そくしんほう規定きていされている重度じゅうど障害しょうがいしゃのダブルカウントによる法定ほうていやとい
 ようりつ計算けいさん方法ほうほう完全かんぜんかつ確実かくじつ廃止はいしする。
F重度じゅうど障害しょうがいしゃ職業しょくぎょうリハビリテーションセンターの利用りよう開放かいほうする。
GILO条約じょうやくおよび関連かんれんする勧告かんこくにおいてべられている「合理ごうりてき配慮はいりょ」を国連こくれん
 障害しょうがいしゃ権利けんり条約じょうやくでも規定きていしているように、労働ろうどうほう労働ろうどう政策せいさくむ。


【ILOからの報告ほうこくしょ
@授産じゅさん施設しせつ就労しゅうろう継続けいぞく支援しえん事業じぎょうBがた)の利用りようしゃへの労働ろうどうほう適用てきよう示唆しさしている。
 授産じゅさん施設しせつはたら障害しょうがいしゃたいして、最低さいてい賃金ちんぎん適用てきようなど、労働ろうどうけん保障ほしょうする保護ほご雇用こよう社会しゃかい支援しえん雇用こよう)を確立かくりつすることをもとめているといえる。
授産じゅさん施設しせつおこなわれる作業さぎょう適用てきようされる基準きじゅん国内こくない状況じょうきょう考慮こうりょする必要ひつようがあるとはいえ、とう委員いいんかいは、これらの基準きじゅんもまた機会きかいおよ待遇たいぐう均等きんとうだいじょう)などの条約じょうやく原則げんそくしたがわなければならないことに注目ちゅうもくする。とう委員いいんかいは、条約じょうやく目的もくてきである障害しょうがいしゃ社会しゃかいてき経済けいざいてき統合とうごうという観点かんてんから、また障害しょうがいしゃによる貢献こうけん十分じゅうぶん認識にんしきするという目的もくてきのため、授産じゅさん施設しせつおける障害しょうがいしゃおこな作業さぎょうを、妥当だとう範囲はんいで、労働ろうどうほう範囲はんいないおさめることはきわめて重要じゅうようであろうとおもわれる、と結論けつろんする」(だい75項目こうもく
保護ほご雇用こよう社会しゃかい支援しえん雇用こよう)とは>
 ILO条約じょうやく勧告かんこくでは、「障害しょうがいしゃ最低さいてい賃金ちんぎんほうやその労働ろうどう関連かんれんほう適用てきようすべきこと」を意味いみする。また、若林わかばやしのりは、「専門せんもん職員しょくいんなどの人件じんけん補助ほじょ」、「障害しょうがいしゃ賃金ちんぎん補助ほじょ」、「施設しせつ設備せつび補助ほじょ」、「運営うんえい補助ほじょ経営けいえいじょう赤字あかじ補填ほてん措置そち)」など、保護ほごてき措置そち包括ほうかつして定義ていぎしている。ほん研究けんきゅうでは、それに」労働ろうどう時間じかん労働ろうどう環境かんきょう整備せいび」、「特定とくてい製品せいひん製造せいぞう販売はんばいかんするライセンスを障害しょうがいしゃ雇用こようのために活用かつようするための規制きせい」なども包括ほうかつしたものとして定義ていぎする。



Aはたらでの利用りようりょう徴収ちょうしゅう応益おうえき負担ふたん)に懸念けねん表明ひょうめいしている。
 日本にっぽん政府せいふは「利用りようりょう減額げんがくした」と弁明べんめいしているが、日本にっぽん現状げんじょうは「職業しょくぎょうリハビリテーションの無償むしょう原則げんそく」に明確めいかく違反いはんしている。
障害しょうがいしゃ条約じょうやくだいじょう明記めいきされている項目こうもくなどの職業しょくぎょうリハビリテーションおよ雇用こようサービスは職安しょくあんつうじて無料むりょうける資格しかくがあることに注目ちゅうもくする。しかしながらとう委員いいんかいは、就労しゅうろう継続けいぞく支援しえん事業じぎょうBがた利用りようしゃたいして職業しょくぎょうリハビリテーションなどのサービス利用りようりょう支払しはら義務ぎむ導入どうにゅうされたことについて、かえ懸念けねん表明ひょうめいするものである」(だい79項目こうもく
B障害しょうがいしゃ雇用こようにおける「合理ごうりてき配慮はいりょ」を実質じっしつてきなものにし、雇用こようぬし義務ぎむにすることを明示めいじしている。
障害しょうがいのある労働ろうどうしゃ労働ろうどうしゃ全般ぜんぱんとのあいだ機会きかいおよ待遇たいぐう均等きんとうという原則げんそく推進すいしん尊重そんちょう確保かくほするうえで不可欠ふかけつであると強調きょうちょうする」
事業じぎょうぬし義務ぎむ明確めいかくは、重要じゅうようであるとかんがえる」
C障害しょうがいしゃ雇用こよう施策しさくにおける障害しょうがい定義ていぎ認定にんていかんして、「すべての種類しゅるい障害しょうがい対象たいしょうとする」という原則げんそくだい159ごう条約じょうやくだいじょうこうだいじょう)にもとづき、日本にっぽん政府せいふ障害しょうがい種類しゅるい限定げんていしていることを問題もんだいにしている。
D障害しょうがいしゃ雇用こよう施策しさくにおける障害しょうがい定義ていぎ認定にんていが、障害しょうがい関係かんけい手帳てちょうもとづいた医学いがくモデルに偏重へんちょうしているという問題もんだいかんしては、日本にっぽん政府せいふ弁明べんめいみとめ、問題もんだい否定ひていしている。



3.労働ろうどう雇用こよう分野ぶんやにおける障害しょうがいしゃ権利けんり条約じょうやくへの対応たいおうのありかたかんする研究けんきゅうかい
 本章ほんしょうは、厚生こうせい労働ろうどう科学かがく研究けんきゅう障害しょうがいしゃ自立じりつ支援しえんと「合理ごうりてき配慮はいりょ」にかんする研究けんきゅう」(研究けんきゅう代表だいひょうしゃ勝又かつまた幸子さちこ)の一環いっかんとして2009ねんがつ24にちった松井まつい亮輔りょうすけ法政大学ほうせいだいがく 現代げんだい福祉ふくし学部がくぶ 教授きょうじゅ)からのヒアリングをまとめたものである。
 「労働ろうどう雇用こよう分野ぶんやにおける障害しょうがいしゃ権利けんり条約じょうやくへの対応たいおうのありかたかんする研究けんきゅうかい」は、だいかい研究けんきゅうかい(2008.4.4)からだい10かい研究けんきゅうかい(2009.3.2まで開催かいさいされている。以下いかは、だい10かい研究けんきゅうかい提出ていしゅつされた「これまでの論点ろんてん整理せいり」をまえたものである。
基本きほんてき枠組わくぐみ
 ほん研究けんきゅうかい所管しょかん厚生こうせい労働省ろうどうしょう職業しょくぎょう安定あんていきょく障害しょうがいしゃ雇用こよう対策たいさくであるため、ほぼ障害しょうがいしゃ雇用こよう促進そくしんほう限定げんていした議論ぎろん終始しゅうしする。
@雇用こようりつ制度せいど差別さべつ禁止きんし
 障害しょうがいしゃ雇用こよう促進そくしんほうもとづく法定ほうてい雇用こようりつ積極せっきょくてき差別さべつ是正ぜせい措置そちのひとつであり、差別さべつ禁止きんしとはかならずしも矛盾むじゅんしないという意見いけん多数たすうめる。しかし、障害しょうがいしゃ雇用こようをさらに促進そくしんするためには、法定ほうてい雇用こようりつふくめ、雇用こようりつ制度せいど妥当だとうせいについて検討けんとう必要ひつようである。
A雇用こようりつ制度せいど差別さべつ禁止きんし対象たいしょうになる障碍しょうがい範囲はんい
 雇用こようりつ制度せいどは、雇用こよう契約けいやくむすび、労働ろうどう関係かんけい法規ほうき対象たいしょうになる障害しょうがいしゃ対象たいしょうになるが、差別さべつ禁止きんしは、労働ろうどうほうじょう雇用こよう契約けいやくには限定げんていされないので、雇用こよう契約けいやくがある就労しゅうろう継続けいぞく支援しえん事業じぎょうAがたはたら障害しょうがいしゃだけではなく、雇用こよう契約けいやくがない就労しゅうろう継続けいぞく支援しえん事業じぎょうBがたなどではたら障害しょうがいしゃにも適用てきようされるべきではないか。

障害しょうがい理由りゆうにする差別さべつ禁止きんし
@「最低さいてい賃金ちんぎん減額げんがく特例とくれい措置そち」は障害しょうがいしゃ差別さべつか??
 「合理ごうりてき配慮はいりょ」を提供ていきょうしたうえで、労働ろうどう能力のうりょく差異さいがあれば、賃金ちんぎん待遇たいぐう差異さいがあることは妥当だとうではないか。課題かだいは、労働ろうどう能力のうりょくをどのように評価ひょうかするかである。そもそも日本にっぽんでは、職務しょくむ内容ないよう賃金ちんぎん関係かんけい明確めいかくではなく、賃金ちんぎん規定きていする要素ようそは、年功序列ねんこうじょれつ扶養ふよう家族かぞく有無うむなど多様たようである。そのため、賃金ちんぎん差異さいが、障害しょうがいともな差別さべつかを判断はんだんすることが困難こんなんである。
職場しょくばにおける合理ごうりてき配慮はいりょ
@「合理ごうりてき配慮はいりょ」とは??
 「合理ごうりてき配慮はいりょ」は言葉ことばとしてはあたらしいが、実態じったいとしてはすで存在そんざいしており、モデルからルールへの問題もんだいといえるのではないか。
ex/厚労省こうろうしょう障害しょうがいしゃ雇用こよう対策たいさく基本きほん方針ほうしん」(2009.3.)
  「事業じぎょうぬしおこなうべき雇用こよう管理かんりかんして指針ししんとなるべき事項じこう」にある「適正てきせい雇用こよう管理かんり
  「重度じゅうど身体しんたい障害しょうがいしゃについては、職務しょくむ遂行すいこう能力のうりょく配慮はいりょした職務しょくむ設計せっけいおこなうとともに、就
  ろう支援しえん機器きき導入どうにゅうとう作業さぎょう容易よういにする設備せつび工具こうぐとう整備せいびはかる。また、必要ひつようおうじて、
  援助えんじょしゃ配置はいちとう職場しょくばにおける援助えんじょ体制たいせい整備せいびする。さらに勤務きんむ形態けいたい勤務きんむ場所ばしょとうにもはい
  おもんばかする」
A「合理ごうりてき配慮はいりょ」を個人こじん権利けんりとしてみとめる仕組しくみへの転換てんかん必要ひつようではないか??
 障害しょうがいしゃ雇用こよう促進そくしんほうは、おも事業じぎょうぬしたいする義務ぎむ罰則ばっそく規定きていした法律ほうりつであり、障害しょうがいしゃ個人こじん権利けんりとして「合理ごうりてき配慮はいりょ」を規定きていするためには、かなりのパラダイム転換てんかん必要ひつようになる。

B必要ひつよう配慮はいりょがなされなかった場合ばあい苦情くじょうもうてや救済きゅうさい措置そち整備せいび必要ひつようではないか??
 企業きぎょうない苦情くじょう処理しょり権利けんり擁護ようご仕組しくみをつくるか、障害しょうがいしゃ職業しょくぎょう生活せいかつ相談そうだんいんなどを活用かつようすることがかんがえられる。被用者ひようしゃ権利けんり擁護ようごのための委員いいんかなら重度じゅうど障害しょうがいしゃ代表だいひょうれるドイツの仕組しくみも参考さんこうになる
 都道府県とどうふけん労働ろうどうきょくもうけられている紛争ふんそう調整ちょうせい委員いいんかい地方ちほう労働ろうどう委員いいんかいなどによるあっせん、労働ろうどう審判しんぱん制度せいどなどの活用かつようかんがえられる。
C過度かど負担ふたんへの対応たいおうはどうするか??
 「合理ごうりてき配慮はいりょ」にようする事業主じぎょうぬし負担ふたん軽減けいげんのため、前述ぜんじゅつ保護ほご雇用こよう社会しゃかい支援しえん雇用こよう)の一環いっかんとして、「合理ごうりてき配慮はいりょ」を提供ていきょうする企業きぎょうたいする財政ざいせい支援しえんかんがえられる。
【その
@障害しょうがい定義ていぎ認定にんてい
 障害しょうがいしゃ雇用こよう施策しさく障害しょうがい定義ていぎ認定にんてい職業しょくぎょう能力のうりょくおうじたものにすることはこれまでも検討けんとうされてきたが、その都度つど断念だんねんされている。
A雇用こようりつ制度せいど納付のうふきん制度せいど見直みなお
 前述ぜんじゅつ保護ほご雇用こよう社会しゃかい支援しえん雇用こよう)の一環いっかんとして、企業きぎょうが、就労しゅうろう継続けいぞく支援しえん事業じぎょうなどに優先ゆうせん発注はっちゅうした場合ばあい、その発注はっちゅうがく一定いってい割合わりあい雇用こようりつにカウントされる。
 納付のうふきんがく最低さいてい賃金ちんぎんとリンクさせる。
B特例とくれい子会社こがいしゃのありかた
 特例とくれい子会社こがいしゃ親会社おやがいしゃなどへの移行いこうすすめるため、労働ろうどう条件じょうけんふくめ、特例とくれい子会社こがいしゃ親会社おやがいしゃ労働ろうどう条件じょうけんなどの関連かんれんをさらに強化きょうかする。
4.滋賀しがけん社会しゃかいてき事業じぎょうしょ
 本章ほんしょうは、滋賀しがけん社会しゃかいてき事業じぎょうしょかんして、どう要綱ようこう抜粋ばっすいをとおして概観がいかんする。tt
滋賀しがけん社会しゃかいてき事業じぎょうしょ設置せっち運営うんえい要綱ようこう()抜粋ばっすい
1 設置せっち目的もくてき
 社会しゃかいてき事業じぎょうしょは、作業さぎょう能力のうりょくはあるものの、対人たいじん関係かんけい健康けんこう管理かんりとう理由りゆうにより、一般いっぱん企業きぎょう就労しゅうろうできないでいるもの雇用こようし、生活せいかつ指導しどう健康けんこう管理かんりとう配慮はいりょした環境かんきょうした障害しょうがいのあるひともないひと対等たいとう立場たちば一緒いっしょはたらけるあたらしい職場しょくば形態けいたい構築こうちくすすめ、地域ちいき社会しゃかいざした障害しょうがいしゃ就労しゅうろう促進そくしんならびに社会しゃかいてき経済けいざいてき自立じりつはかることを目的もくてきとする。
だい2 設置せっちおよび運営うんえい主体しゅたい
 事業じぎょう実施じっし主体しゅたいは、滋賀しがけん障害しょうがいしゃ共同きょうどう作業さぎょうしょ設置せっち運営うんえい要綱ようこうさだめる障害しょうがいしゃ共同きょうどう作業さぎょうしょおよび滋賀しがけん機能きのう強化きょうかがた障害しょうがいしゃ共同きょうどう作業さぎょうしょ設置せっち運営うんえい要綱ようこうさだめる機能きのう強化きょうかがた障害しょうがいしゃ共同きょうどう作業さぎょうしょ設置せっち運営うんえい主体しゅたいのうち、だい1にかかげる目的もくてきをもって事業じぎょう実施じっししよ うとするものであり、かつ、だい4にかかげる要件ようけんすべたすものとする。
だい3 障害しょうがいしゃ従業じゅうぎょういん
 社会しゃかいてき事業じぎょうしょ障害しょうがいしゃ従業じゅうぎょういんは、つぎかかげるものであって、原則げんそくとして社会しゃかいてき事業じぎょうしょ所在しょざいする市町しちょう居住きょじゅうゆうし、町長ちょうちょう社会しゃかいてき事業じぎょうしょでの就労しゅうろう適当てきとうみとめたものとする。ただし、市町しちょう居住きょじゅうゆうするものであっても居住きょじゅう管轄かんかつする町長ちょうちょうが、社会しゃかいてき事業じぎょうしょでの就労しゅうろう適当てきとうみとめた場合ばあいは、就労しゅうろうできるものとする。
(1)障害しょうがいしゃ更生こうせい相談そうだんしょまたはども家庭かてい相談そうだんセンターにおいて知的ちてき障害しょうがい判定はんていされたもの
(2)身体しんたい障害しょうがいしゃ
(3)回復かいふく途上とじょうにある精神せいしん障害しょうがいしゃ
だい4 社会しゃかいてき事業じぎょうしょ要件ようけん
 社会しゃかいてき事業じぎょうしょは、県内けんない所在しょざいし、つぎ各号かくごうすべてに該当がいとうするものとする。
(1)障害しょうがいしゃ従業じゅうぎょういんが5めい以上いじょう20めい未満みまんでかつ、雇用こよう割合わりあいが50%以上いじょうじつ人数にんずう算定さんてい)であること。
(2)障害しょうがいしゃ従業じゅうぎょういん就労しゅうろう継続けいぞくし、維持いじできるように支援しえんする機能きのうゆうしていること。
(3)社会しゃかいてき事業じぎょうしょ内外ないがいにおいて、障害しょうがいしゃ理解りかいとう啓発けいはつ活動かつどうおこなっていること。
(4)社会しゃかいてき事業じぎょうしょ経営けいえい意思いし決定けってい障害しょうがいしゃ従業じゅうぎょういん参画さんかくしていること。
(5)従業じゅうぎょういん全員ぜんいん雇用こよう契約けいやく締結ていけつしていること。
(6)労働ろうどう保険ほけん労働ろうどうしゃ災害さいがい補償ほしょう保険ほけん雇用こよう保険ほけん)の適用てきよう事業じぎょうしょであること。
(7)事業じぎょうしょとしての経営けいえい方針ほうしん経営けいえい計画けいかく適切てきせつであるとともに、利益りえきげるための経営けいえい努力どりょくがなされていること。
だい6 運営うんえい基準きじゅん
(1)運営うんえい基本きほん原則げんそく
 社会しゃかいてき事業じぎょうしょは、適正てきせいかつ円滑えんかつ事業じぎょう運営うんえい留意りゅういするとともに、障害しょうがいしゃ従業じゅうぎょういん職業しょくぎょう生活せいかつしつ向上こうじょうつとめるものとする。
(2)労働ろうどう条件じょうけんとう
@運営うんえい主体しゅたい障害しょうがいしゃ従業じゅうぎょういん雇用こようするにたっては、関係かんけい機関きかん意見いけん十分じゅうぶん尊重そんちょうしておこなうこと。
A労働ろうどう時間じかん休日きゅうじつ賃金ちんぎんとうについては、就業しゅうぎょう規則きそくさだめ、労働ろうどう関係かんけい法規ほうきしたがっておこなうこと。
(3)就労しゅうろうともな福祉ふくしてき配慮はいりょ
 障害しょうがいしゃ従業じゅうぎょういんたいして、各人かくじん心身しんしん状況じょうきょう十分じゅうぶん勘案かんあんしつつ、職業しょくぎょう能力のうりょく十分じゅうぶんすため、介助かいじょ作業さぎょう支援しえんとう福祉ふくしてき配慮はいりょおこなうほか、福利ふくり厚生こうせいめんとうにおいて社会しゃかいてき自立じりつ助長じょちょうするようつとめるものとする。
だい7 従業じゅうぎょういん
(1)社会しゃかいてき事業じぎょうしょは、管理かんり運営うんえい責任せきにんしゃさだめなければならない。
(2)管理かんり運営うんえい責任せきにんしゃは、障害しょうがいしゃ福祉ふくし熱意ねついゆうし、企業きぎょう経営けいえい能力のうりょくまたは実績じっせきゆうするもののぞましい。
(3)社会しゃかいてき事業じぎょうしょには、障害しょうがいしゃ従業じゅうぎょういんとともにはたらきながら障害しょうがいしゃ従業じゅうぎょういん介助かいじょ相談そうだん作業さぎょう支援しえんとう福祉ふくしてき業務ぎょうむ従事じゅうじする従業じゅうぎょういんかなければならない。
(4)従業じゅうぎょういんは、事業じぎょうならびに作業さぎょう支援しえんとう必要ひつよう知識ちしき能力のうりょくゆうし、障害しょうがいしゃ福祉ふくし熱意ねついゆうするものであって、管理かんり運営うんえい責任せきにんしゃ適当てきとうみとめたものとする。
だい9 賃金ちんぎん支払しはらい
 雇用こよう契約けいやく締結ていけつした障害しょうがいしゃ従業じゅうぎょういんたいしては、ほうさだめる最低さいてい賃金ちんぎん以上いじょう賃金ちんぎん支払しはらわなければならない。
  また、ほうさだめる最低さいてい賃金ちんぎん適用てきよう除外じょがいについては、社会しゃかいてき事業じぎょうしょ目的もくてきはんしないようじゅうふん配慮はいりょうえあつかうこと。



5.札幌さっぽろさわがい者共ものどもはたらけ事業じぎょう
 本章ほんしょうは、札幌さっぽろさわがい者共ものどもはたらけ事業じぎょうかんして、どう要綱ようこう抜粋ばっすいをとおして概観がいかんする。
札幌さっぽろさわがいしゃきょうはたらけ事業じぎょう運営うんえい補助ほじょ要綱ようこう抜粋ばっすい)】
目的もくてき) 
だいじょう この要綱ようこうは、さわがいのあるものもないもの対等たいとう立場たちばでともにはたらけるあたらしい職場しょくば形態けいたい構築こうちくすすめ、地域ちいき社会しゃかいざしたさわがいのあるもの就労しゅうろう促進そくしんならびに社会しゃかいてき経済けいざいてき自立じりつはかることを目的もくてきとしておこなわれる「さわがいしゃきょうはたらけ事業じぎょう」(以下いかきょうはたらけ事業じぎょう」という。)の運営うんえい経費けいひたいする補助ほじょについて、札幌さっぽろ補助ほじょきんとう事務じむ取扱とりあつかいかんする規程きてい昭和しょうわ36ねん訓令くんれいだい24ごう)にさだめるもののほか必要ひつよう事項じこうさだめ、もって札幌さっぽろ民間みんかん事業じぎょうしゃきょうはたらけにより、さわがいのあるもののより一層いっそう社会しゃかい参加さんかおよ自立じりつ充実じゅうじつした地域ちいき生活せいかつ促進そくしんはかることを目的もくてきとする。
補助ほじょきん交付こうふ
だいじょう 市長しちょうは、つぎじょう以下いか補助ほじょ条件じょうけん該当がいとうし、かつ補助ほじょすることが必要ひつようみとめられるきょうはたらけ事業じぎょう運営うんえいしゃたいし、予算よさん範囲はんいない補助ほじょきん交付こうふする。
補助ほじょ要件ようけん一般いっぱん原則げんそく
だいじょう この要綱ようこうにおいて、補助ほじょ対象たいしょうとするきょうはたらけ事業じぎょうは、以下いか要件ようけんをすべてたすものでなければならない。
(1) 法人ほうじんおこな事業じぎょうであること。
(2) 継続けいぞくせいのある事業じぎょうであること。
(3) 事業じぎょう拠点きょてん札幌さっぽろ市内しないであること。
(4) 事業じぎょう従業じゅうぎょうしゃについて、原則げんそくとして市内しない居住きょじゅうし、通常つうじょう一般いっぱん企業きぎょうとう就労しゅうろうすることが困難こんなんさわがいのある従業じゅうぎょうしゃが5わり以上いじょうかつ5にん以上いじょうであること。
(5) 事業じぎょう従業じゅうぎょうしゃについて、全員ぜんいん原則げんそくとして1週間しゅうかん30時間じかん以上いじょう勤務きんむする雇用こよう契約けいやくむすんでいること。
(6) 事業じぎょう従業じゅうぎょうしゃについて、法人ほうじんない事業じぎょう従業じゅうぎょうしゃ明確めいかく区分くぶんされていること。
(7) 事業じぎょう従業じゅうぎょうしゃについて、原則げんそくとして全員ぜんいん健康けんこう保険ほけん厚生こうせい年金ねんきん保険ほけんおよ雇用こよう保険ほけん適用てきよう対象たいしょうであること。
(8) 事業じぎょう管理かんり責任せきにんしゃ配置はいちすること。
(9) 事業じぎょう内容ないようおよ事業じぎょうおこな場所ばしょは、さわがいの種類しゅるい程度ていど十分じゅうぶん配慮はいりょがなされていること。
(10) 補助ほじょ事業じぎょう経理けいりについて、法人ほうじんない事業じぎょう区分くぶんされていること。
(11) そのほん要綱ようこうさだめられた要件ようけんたすこと。
補助ほじょきん算出さんしゅつ
だいじょう 運営うんえい補助ほじょきんは、別表べっぴょうだいらんさだめる基準きじゅんにより算出さんしゅつした金額きんがくと、別表べっぴょうだいらんさだめる補助ほじょ対象たいしょう経費けいひじつ支出ししゅつがくと、当該とうがい事業じぎょうそう収入しゅうにゅうがくから補助ほじょきん以外いがい収入しゅうにゅう控除こうじょした金額きんがく比較ひかくして、いずれかひくほうがく交付こうふする。
ただし、そのがくせんえん未満みまんはしすうがある場合ばあいは、これをてるものとする。
補助ほじょきん交付こうふ
だいじょう 補助ほじょきん交付こうふは、前条ぜんじょう補助ほじょ金額きんがく確定かくてい請求せいきゅうにより支出ししゅつする。ただし、市長しちょう必要ひつようみとめたときは、だいじょう補助ほじょきん交付こうふ決定けってい通知つうち概算がいさんがく交付こうふすることができる。
2 前項ぜんこうただししょ場合ばあいにおいて、確定かくていしたがく交付こうふしたがくえるときは、市長しちょうは、確定かくていしたがくたいする不足ふそくがく交付こうふし、たないときは、期限きげんさだめてそのたないがく返還へんかんさせなければならない。
さわがいのある従業じゅうぎょうしゃ
だい10じょう だいじょうだいごうさだめるさわがいのある従業じゅうぎょうしゃ原則げんそくとして以下いかものとする。
(1) 身体しんたい障害しょうがいしゃ手帳てちょう所持しょじしゃ
(2) 療育りょういく手帳てちょう所持しょじしゃ
(3) 精神せいしん保健ほけん福祉ふくし手帳てちょう所持しょじしゃ
(4) 障害しょうがいしゃ自立じりつ支援しえんほうによる医療いりょう受給じゅきゅうしゃしょう所持しょじしゃ
2 前項ぜんこうさだめるもの以外いがいものについては、市長しちょう別途べっと協議きょうぎすることとする。
3 さわがいのある従業じゅうぎょうしゃは、原則げんそくとしてきょうはたらけ事業じぎょう従事じゅうじするために、公共こうきょう職業しょくぎょう安定あんていしょとうのあっせんにより、新規しんき雇用こようされるものであること。
4 事業じぎょう実施じっしちゅうさわがいのある従業じゅうぎょうしゃ欠員けついんしょうじた場合ばあいは、すみやかに公共こうきょう職業しょくぎょう安定あんていしょとうのあっせんにより、さわがいしゃ新規しんき雇用こようすること。
5 障害しょうがいしゃ雇用こよう促進そくしんかんする法律ほうりつ施行しこう規則きそく昭和しょうわ51ねん労働省ろうどうしょうれいだい38ごうだい20じょうの2に規定きていする障害しょうがいしゃ介助かいじょとう助成じょせいきんどう規則きそくだい20じょうの2の3だいこうだいごう規定きていするだいごう職場しょくば適応てきおう援助えんじょしゃ助成じょせいきんおよくに団体だんたいとうからの同種どうしゅ助成じょせいによる援助えんじょ対象たいしょうとなっているものは、別表べっぴょう1のさわがいのある従業じゅうぎょうしゃすうにはふくまれないこととする。
(その従業じゅうぎょうしゃ
だい12じょう さわがいしゃ従業じゅうぎょうしゃ以外いがい従業じゅうぎょうしゃは、さわがいのある従業じゅうぎょうしゃとともにはたらきながら、さわがいのある従業じゅうぎょうしゃ介助かいじょ相談そうだん技術ぎじゅつ指導しどうおよ作業さぎょう支援しえんおこなわなければならない。
2 だいこうさだめる従業じゅうぎょうしゃは、常勤じょうきん換算かんさん方法ほうほうで、さわがいしゃ従業じゅうぎょうしゃにんに1にん以上いじょう配置はいちしなければならない。
3 だいじょうだいごうさだめる雇用こよう契約けいやく締結ていけつする従業じゅうぎょうしゃ以外いがいに、短期間たんきかんおよ短時間たんじかん雇用こよう契約けいやくむすもの当該とうがい事業じぎょう従事じゅうじさせることができる。
 なお、このものは、だいじょう各号かくごう要件ようけん適用てきようしないこととし、さわがいしゃであっても、別表べっぴょう1のさわがいのある従業じゅうぎょうしゃすうにはふくまれないこととする。
賃金ちんぎん支払しはらい
だい13じょう だいじょうだいごうさだめる雇用こよう契約けいやく締結ていけつした従業じゅうぎょうしゃたいして、最低さいてい賃金ちんぎんほう昭和しょうわ34ねん法律ほうりつだい137ごう)にさだめる最低さいてい賃金ちんぎん適用てきよう除外じょがい申請しんせいおこない、最低さいてい賃金ちんぎんの3/4を下回したまわ賃金ちんぎんとなる場合ばあいは、別表べっぴょう1のさわがいのある従業じゅうぎょうしゃすうにはふくまれないこととする。

6.まとめと今後こんご課題かだい
 各地かくち独自どくじおこなわれている障害しょうがいしゃ雇用こよう施策しさくると、障害しょうがいしゃ権利けんり条約じょうやくもとめる障害しょうがいしゃ雇用こよう実現じつげんけたヒントがあるばかりではなく、障害しょうがいしゃふくめた労働ろうどう弱者じゃくしゃ全体ぜんたい対象たいしょうにした雇用こよう社会しゃかい支援しえん雇用こよう)を日本にっぽんでどのように実現じつげんすべきかのヒントもえてくる。
 また、転機てんきむかえている日本にっぽん障害しょうがいしゃ雇用こよう施策しさくのありかたは、硬直こうちょくしている障害しょうがい年金ねんきんなど、障害しょうがいしゃ所得しょとく保障ほしょうのありかたにもおおきな影響えいきょうあたえる。元来がんらい障害しょうがいともなう稼得能力のうりょく低下ていかおぎな機能きのう障害しょうがい年金ねんきんも、労働ろうどう能力のうりょく、稼得能力のうりょくもとづく支給しきゅう要件ようけんをより明確めいかくすべきだからである。くわえて、障害しょうがいしゃ自分じぶんらしく自立じりつした生活せいかつおくるための所得しょとく水準すいじゅん、その所得しょとくるための賃金ちんぎん年金ねんきん各種かくしゅ手当てあて関連かんれん明確めいかくにすることも課題かだいである。

作成さくせい
UP:20090904 REV:20090921
全文ぜんぶん掲載けいさい  ◇障害しょうがい学会がっかいだい6かい大会たいかい  ◇障害しょうがい学会がっかいだい6かい大会たいかい報告ほうこく要旨ようし
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