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太田 啓子「インクルーシブデザインにおける障害のある人の仕事の可能性」
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◆報告要旨
太田 啓子(大阪市立大学大学院生活科学研究科)
「インクルーシブデザインにおける障害のある人の仕事の可能性」
筆者は、奈良・たんぽぽの家でインクルーシブデザイン事業に関わってきた。インクルーシブデザインは最終的にはソーシャルインクルージョンを目指していると考えられている。筆者らは、2008年度に、東京・神戸でインクルーシブデザイン・ワークショップに参加した18名の障害のあるユーザーに、インタビュー調査を実施し、障害のある人がワークショップに参加して立場の異なる人との関係性の中から学びを得ていること、そしてその学びは障害のある人だけでなく、ワークショップに参加したデザイナーなども相互的に得ていることが示された(太田 2009)。さらに、ユーザー参加型のワークショップを主催するファシリテーターなどにもインタビュー調査を行い、障害のある人にユーザーとして「伝える力」「評価する力」「提案する力」の3つが必要なのではないかという仮説をたて、ワークショップやレクチャーなどのユーザー教育プログラムを実施した。つまりこれまでインクルーシブデザイン・ワークショップでのユーザーの役割を関係性に強く依拠してきたが、ユーザーリテラシーを高めることで「仕事」につなげようと考えてきた。
本年度は、インクルーシブデザインにおける障害のある人の仕事の可能性をさらに探ることを目的とした調査研究を行っている。筆者らは企業との商品開発型ワークショップにも取り組んできたが、実際に商品開発に結びついたというよりも、社員教育の向きが強かったと思われる。つまり、ユーザー参加型のワークショップは、企業にとってCSRの目的が強いといえるのが現状である。そのためユーザーの参加もワンショットにとどまっている。本報告では、インクルーシブデザインにおける障害のある人の仕事の可能性を考える上で、何が問題となっているのかという現状を整理し、どのような条件整備が必要なのか検討することを目的とする。
*作成: