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障害学会第13回大会(2016年度)報告要旨 | 権藤 眞由美
 

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障害しょうがい学会がっかいだい13かい大会たいかい(2016年度ねんど報告ほうこく要旨ようし


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権藤ごんどう 眞由美まゆみ (ごんどう まゆみ)  立命館大学りつめいかんだいがく大学院だいがくいん

報告ほうこく題目だいもく

熊本くまもと地震じしん」において「福祉ふくし避難ひなんしょ」でかせた教訓きょうくんのこった課題かだい

報告ほうこくキーワード

福祉ふくし避難ひなんしょ災害さいがい弱者じゃくしゃ熊本くまもと地震じしん

報告ほうこく要旨ようし

1. 目的もくてき

 ほん報告ほうこくでは、2016ねん4がつ14にち2126ふん(前震ぜんしん)、翌々日よくよくじつ4がつ16にち25ふん(本震ほんしん)に熊本くまもとけん熊本くまもと地方ちほうにおいて気象庁きしょうちょう震度しんど階級かいきゅうではもっとおおきい震度しんど7を観測かんそくする地震じしんきたさいに、「福祉ふくし避難ひなんしょ」がどのように機能きのうしたのか、また避難ひなんしゃは、高齢こうれいしゃ障害しょうがいしゃ妊産婦にんさんぷ乳幼児にゅうようじ病者びょうしゃとう限定げんていされたひとたちを対象たいしょうとした避難ひなんしょであったのか。さらに東日本ひがしにっぽん大震災だいしんさいでは、「福祉ふくし避難ひなんしょ」が、介護かいご必要ひつよう高齢こうれいしゃ障害しょうがいしゃだけをあつめてひとところに収容しゅうようする施設しせつしてしまっていた。しかし、熊本くまもと地震じしんでは運営うんえいする「福祉ふくし避難ひなんしょ」によって一様いちようではなかった対象たいしょうしゃとそのみを検証けんしょうすることを目的もくてきとする。

2. 方法ほうほう

 ほん報告ほうこくは、文献ぶんけん調査ちょうさとフィールドワーク調査ちょうさおよびインタビュー調査ちょうさをもとにしている。文献ぶんけん調査ちょうさでは、2016ねん4がつ14にち以降いこう新聞しんぶん報道ほうどうにおいて「福祉ふくし避難ひなんしょ」にかんするものをとき系列けいれつ整理せいりする。また、「福祉ふくし避難ひなんしょ」にかんする提言ていげん研究けんきゅうかされた事例じれい実現じつげん可能かのうとしたみを分析ぶんせきする。

3. 「福祉ふくし避難ひなんしょ」の周知しゅうち理解りかい

 今回こんかい地震じしんで、「福祉ふくし避難ひなんしょ」に指定していされていた施設しせつが「協定きょうていむすんでいたが具体ぐたいてきなイメージがなかった」とはなしていた。現存げんそん施設しせつを「福祉ふくし避難ひなんしょ」として協定きょうていむすんでいるものの、実際じっさいにはそこではたら職員しょくいん被災ひさいしゃでありみずからの生活せいかつ現場げんば対応たいおうてき避難ひなんしょとなる「福祉ふくし避難ひなんしょ」としての役割やくわりまでかなかったのが現状げんじょうである。また、「避難ひなんしょ」や「福祉ふくし避難ひなんしょ」が何処どこにあるのか、さらに障害しょうがいったひとがそこに本当ほんとう避難ひなんできるのか、事前じぜんにリサーチしていた障害しょうがい当事とうじしゃはどれだけいただろうか。東日本ひがしにっぽん大震災だいしんさいであがっていた「福祉ふくし避難ひなんしょ」の周知しゅうちは、熊本くまもとでもできていなかったことがあきらかになった。これは、熊本くまもと地震じしん経験けいけんしたひとたちにのこった課題かだいのひとつでもある。

4. だれもが避難ひなんできる「福祉ふくし避難ひなんしょ

 熊本くまもと中央ちゅうおうにある熊本学園大学くまもとがくえんだいがくでは、前震ぜんしんから学内がくないに「福祉ふくし避難ひなんしょ」を開設かいせつ地域ちいき人々ひとびとれた。ペットと一緒いっしょ避難ひなんするひと独居どっきょ高齢こうれいしゃ障害しょうがいしゃだれもが安心あんしんして避難ひなんできるような体制たいせい敏速びんそくととのえられた。その背景はいけいには、①阪神はんしん淡路あわじ大震災だいしんさい東日本ひがしにっぽん大震災だいしんさいでの教訓きょうくんりえている教員きょういん社会福祉学部しゃかいふくしがくぶ筆頭ひっとうおおくいた、②げんわざわいソーシャルワークの授業じゅぎょう震災しんさいへのそなえを経験けいけんしていた学生がくせいがいた、③大学だいがくない授業じゅぎょう使用しようする福祉ふくし用具ようぐがあった、④福祉ふくし避難ひなんしょとなった建物たてものがバリアフリーであった、⑤衛生えいせいめん徹底てっていする看護かんご医師いし存在そんざい、⑥ケアをになった学生がくせいボランティアの存在そんざい、そして、地域ちいき人々ひとびととの関係かんけい大事だいじにしてきた大学だいがくのスタンスの意義いぎおおきい。

5. 考察こうさつ

 これまで震災しんさいでの教訓きょうくんかしだれでも避難ひなんできる「福祉ふくし避難ひなんしょ」はけっして運営うんえい不可能ふかのうではないことが熊本学園大学くまもとがくえんだいがく実践じっせんあきらかになった。しかし、運営うんえい主体しゅたいはあくまでも大学だいがく所属しょぞくする人々ひとびとであり「すくなくともなにかしらの一部いちぶ住民じゅうみん主体しゅたいとなるようなみは必要ひつようであったかもしれない」というてんにおいては今後こんご課題かだいとしてあげられるものであろう。ふたは、熊本くまもと地震じしん避難ひなんするひとれるがわも「福祉ふくし避難ひなんしょ」の周知しゅうちはできていなかった。みっに、「福祉ふくし避難ひなんしょ」として協定きょうていむすんでいてもかならずしも機能きのうするとはかぎらないということである。
 今回こんかい発表はっぴょうおける倫理りんりてき配慮はいりょについては、立命館大学りつめいかんだいがく研究けんきゅう倫理りんり指針ししんもとづき、人権じんけん保護ほごおよ法令ほうれい遵守じゅんしゅにつとめ調査ちょうさ対象たいしょうしゃ確認かくにん開示かいじ可能かのうなものを採用さいようする。報告ほうこくさいは、対象たいしょうしゃ氏名しめい匿名とくめいしたかたち報告ほうこくする。

参考さんこう引用いんよう文献ぶんけん
青木あおき千帆ちほ権藤ごんどう眞由美まゆみ,2011「「福祉ふくし避難ひなんしょ成立せいりつ経緯けいい」2011ねん障害しょうがい学会がっかい
天田あまだしろかい渡辺わたなべ克典かつのりへん,2015『大震災だいしんさい生存せいぞんがくあおゆみしゃ
大阪おおさか,2010『緊急きんきゅう雇用こよう創出そうしゅつ基金ききん事業じぎょう 福祉ふくし避難ひなんしょ計画けいかく策定さくていのための調査ちょうさ 報告ほうこくしょ特定とくてい営利えいり活動かつどう法人ほうじん ゆめふう基金ききん
小山こやまたか,2012「JDFいわて支援しえんセンターから 岩手いわて報告ほうこく」『季刊きかん福祉ふくし労働ろうどう135』現代書館げんだいしょかん
河野こうの秀忠ひでただ,2012『障害しょうがいしゃ問題もんだい総合そうごう そよかぜのようにまちよう82』関西かんさい障害しょうがいしゃ定期ていき刊行かんこうぶつ協会きょうかい
障害しょうがい学会がっかい,2012『障害しょうがいがく研究けんきゅう8』明石書店あかししょてん
認定にんていNPO法人ほうじん ゆめふう基金ききん,2013『障害しょうがいしゃ市民しみん防災ぼうさい提言ていげんしゅう 東日本ひがしにっぽんだい災害さいがいばん関西かんさい障害しょうがいしゃ定期ていき刊行かんこうぶつ協会きょうかい
山田やまだ昭義あきよし水谷みずたに2011「障害しょうがいしゃ避難ひなんしょ避難ひなんできない」『現代げんだい思想しそうVol.39‐7』青土おうづちしゃ



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