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草山くさやま 太郎たろう　追手門学院大学おうてもんがくいんだいがく地域ちいき創造そうぞう学部がくぶ

■報告ほうこく題目だいもく

ブラインドサッカーにおける晴眼せいがんプレイヤーをめぐって

■報告ほうこくキーワード

障害しょうがい者しゃスポーツ、ブラインドサッカー、晴眼せいがんプレイヤー

■報告ほうこく要旨ようし

１研究けんきゅうに至いたる背景はいけい

　近年きんねん、メディアにおいてブラインドサッカーがよく紹介しょうかいされる。フットサルのルールをベースにしているこのスポーツは、視覚しかく障害しょうがいを有ゆうする４名めいのフィールドプレイヤーと、フィールドでプレイする選手せんしゅに音声おんせいで情報じょうほうを伝つたえるコーラーおよびゴールキーパーの２名めいの晴眼せいがん者しゃが連携れんけいしてゲームをすすめる。このように、ブラインドサッカーは視覚しかく障害しょうがい者しゃと晴眼せいがん者しゃがチームを組くんで行おこなうスポーツである。
　以前いぜんからブラインドサッカーに注目ちゅうもくしていたわたしは、「ブラインドサッカーの魅力みりょくと課題かだい」（草山くさやま　2016）において、ブラインドサッカーの歴史れきしと特徴とくちょう的てきなルールを概観がいかんしたあと、視覚しかく障害しょうがいプレイヤーの語かたりをとおしてブラインドサッカーの魅力みりょくを明あきらかにし、ブラインドサッカーの普及ふきゅう発展はってんにとって必要ひつような課題かだいを考察こうさつした。その結果けっか、ブラインドサッカーには「自由じゆうに動うごける」「仲間なかまとのつながり」「技術ぎじゅつの深ふかさ」「知的ちてきなスポーツ」という魅力みりょくが認みとめられることがわかった。また、ブラインドサッカーのプレイには「おもしろさ」だけでなく、時ときに「怖こわさ」がともなう旨むねも確認かくにんされた。したがって、ブラインドサッカーの普及ふきゅう発展はってんのためには、「技術ぎじゅつの深ふかさ」をもつ「知的ちてきなスポーツ」として魅力みりょくを伝つたえていくことと安全あんぜん対策たいさくを充実じゅうじつしていくことが課題かだいであることを示しめした（抜刷ぬきずりを報告ほうこく当日とうじつ配布はいふする）。

２研究けんきゅう目的もくてき

　ブラインドサッカーの国際こくさい大会たいかいにフィールドプレイヤーとして参加さんかできるのは全盲ぜんもうのプレイヤーのみである。先さきに記しるしたとおり、晴眼せいがん者しゃがエントリーできるポジションはゴールキーパーとコーラーに限かぎられる。 　しかし、日本にっぽん国内こくないのローカルルールでは、弱視じゃくし者しゃや晴眼せいがん者しゃもフィールドプレイヤーとして参加さんかすることができる。そこで今回こんかいは、晴眼せいがんのフィールドプレイヤーに注目ちゅうもくする。視覚しかく障害しょうがい者しゃがプレイすることを念頭ねんとうに考案こうあんされたこのゲームに、彼かれ／彼女かのじょらはなぜ参加さんかしているのだろう。
　晴眼せいがんプレイヤーがブラインドサッカーのフィールドプレイヤーとして参加さんかした契機けいきやブラインドサッカーに感かんじる面白おもしろさや難むずかしさを明あきらかにすることをとおして、これまでとは別べつの角度かくどからブラインドサッカーとはどのようなスポーツであるのかを考かんがえてみたい。

３研究けんきゅう方法ほうほう

　まず、晴眼せいがんプレイヤーの参加さんか資格しかくの変遷へんせんについて整理せいりするために、日本にっぽんブラインドサッカー協会きょうかい事務じむ局長きょくちょう松崎まつざき英吾えいご氏しからブラインドサッカー日本にっぽん選手権せんしゅけん等とうの実施じっし要項ようこうの提供ていきょうを受うけ、不明ふめいな点てんについてはき取きとり調査ちょうさを行おこなった（2013年ねん9月がつ）。
　次つぎに、ブラインドサッカーを行おこなっている３名めいの晴眼せいがんプレイヤーに対たいし、それぞれ約やく２時じ間あいだのインタビューを実施じっしした（2013年ねん9月がつ）。質問しつもんは「ブラインドサッカーを行おこなうようになった契機けいき」「ブラインドサッカーの面白おもしろさと難むずかしさ」等とうで、半はん構造こうぞう化か面接めんせつにより実施じっしした。

４結果けっか

　はじめに、晴眼せいがんプレイヤーの参加さんか資格しかくの変遷へんせんについて述のべる。ブラインドサッカーにおいて初はじめて晴眼せいがんプレイヤーの出場しゅつじょうが認みとめられたのは2008年ねん1月がつに開催かいさいされた第だい6回かい日本にっぽん視覚しかく障害しょうがい者しゃサッカー選手権せんしゅけん大会たいかいである。この大会たいかいの実施じっし要綱ようこうの「参加さんか資格しかく」には、「チーム登録とうろく上じょう、止やむを得えない場合ばあい、B１、B2/3クラス（注ちゅう）とも、晴眼せいがん者しゃの登録とうろくを2名めいまで認みとめる」と記しるされている。現在げんざいもブラインドサッカー日本にっぽん選手権せんしゅけん大会たいかいにおいてはフィールドプレイヤー４名めいのうち２名めいまで晴眼せいがんプレイヤーの出場しゅつじょうが認みとめられている。
　次つぎに、晴眼せいがんプレイヤーへのインタビューについてである。こちらについては、現在げんざい、データの分析ぶんせきを行おこなっているところであるため学会がっかい当日とうじつに報告ほうこくする。

注ちゅう：視覚しかく障害しょうがい者しゃスポーツでは「見みえにくい状態じょうたい」を「B1：全盲ぜんもうから光ひかり覚さとし（光ひかりを感かんじられる）まで」「B2：矯正きょうせい後ごの診断しんだんで、視力しりょく0.03まで、ないし、視野しや5度どまで」「B3：矯正きょうせい後ごの診断しんだんで、視力しりょく0.1まで、ないし、視野しや20度どまで」に分わけている。B1と診断しんだんされた人ひとがプレイするのがブラインドサッカーである。（日本にっぽんブラインドサッカー協会きょうかい　2016）

＊倫理りんり的てき配慮はいりょ

　本ほん研究けんきゅうならびに研究けんきゅうのために実施じっしした調査ちょうさは、「日本にっぽん社会しゃかい学会がっかい倫理りんり綱領こうりょう」(http://www.gakkai.ne.jp/jss/about/ethicalcodes.php)および「日本にっぽん社会しゃかい学会がっかい倫理りんり綱領こうりょうにもとづく研究けんきゅう指針ししん」(http://www.gakkai.ne.jp/jss/about/shishin.pdf)を遵守じゅんしゅして行おこなうものである。

文献ぶんけん

草山くさやま太郎たろう，2016，「ブラインドサッカーの魅力みりょくと課題かだい—視覚しかく障害しょうがいプレイヤーの語かたりから−」,『追手門学院大学おうてもんがくいんだいがく地域ちいき創造そうぞう学部がくぶ紀要きよう』第だい1号ごう、65-91
日本にっぽんブラインドサッカー協会きょうかい,2016,「ブラインドサッカーのルール」,日本にっぽんブラインドサッカー協会きょうかいホームページ,(2016年ねん7月がつ20日はつか取得しゅとく, http://www.b-soccer.jp/aboutbs/aboutbs_2)

障害しょうがい学会がっかい第だい13回かい大会たいかい（2016年度ねんど）