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障害学会第13回大会(2016年度)報告要旨 | 榊原 賢二郎
 

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障害しょうがい学会がっかいだい13かい大会たいかい(2016年度ねんど報告ほうこく要旨ようし


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榊原さかきばら 賢二郎けんじろう (さかきばら けんじろう) 東京大学とうきょうだいがく大学院だいがくいん総合そうごう文化ぶんか研究けんきゅう

報告ほうこく題目だいもく

障害しょうがいスコア―障害しょうがい統計とうけい方法ほうほうろんについての考察こうさつ

報告ほうこくキーワード

障害しょうがい統計とうけい / ワシントングループ / 社会しゃかいてき排除はいじょ

報告ほうこく要旨ようし

 障害しょうがいしゃはどれぐらいいて、どの程度ていど困難こんなん経験けいけんしているのか。これらは障害しょうがい統計とうけい根本こんぽんてき課題かだいである。しかしこれらのいに、十分じゅうぶん理論りろんてき根拠こんきょってこたえている方法ほうほうろん見当みあたらない。ほん報告ほうこくは、これらのいにこたえる基礎きそとなる、障害しょうがい統計とうけいあらたないち手法しゅほう提示ていじし、社会しゃかいがくてき障害しょうがい統計とうけいへの貢献こうけん目指めざす。
 既存きそん障害しょうがい統計とうけいにおいて、障害しょうがいしゃすう算定さんてい方法ほうほうには、おおきくけてふたつあった。だいいちに、損傷そんしょう列挙れっきょし、いずれかに該当がいとうするひと障害しょうがいしゃとする方法ほうほうがある。その代表だいひょうれいは、障害しょうがい統計とうけいかんする専門せんもん会合かいごうであるワシントングループの質問しつもんぐんであろう。このうち損傷そんしょうかんする簡略かんりゃく質問しつもんぐん[UN ECOSOC Statistical Commission 2006: 8f.]は、「あなたは眼鏡めがねをかけても、ることがむずかしいですか」などの6質問しつもんからる。こうして簡略かんりゃく質問しつもんぐんは6種類しゅるい損傷そんしょう列挙れっきょするが、これらを損傷そんしょう基準きじゅん明確めいかくである。たとえば、なぜ視覚しかく聴覚ちょうかく機能きのう不全ふぜん損傷そんしょうである一方いっぽう嗅覚きゅうかく味覚みかく一覧いちらんふくまれていないのか。損傷そんしょう列挙れっきょする方法ほうほうは、損傷そんしょうとはなにか、損傷そんしょう一覧いちらん根拠こんきょなにかといういにこたえないかぎ根拠こんきょまる。
 だいに、「活動かつどう制限せいげん」をけているとかんがえる回答かいとうしゃを、障害しょうがいしゃとする方法ほうほうがある[U.S. Census Bureau 2014: D-57 Q59A_T]。すなわ身体しんたいてき精神せいしんてき理由りゆうにより、仕事しごとなどの活動かつどう困難こんなんである場合ばあい、そのひと障害しょうがいしゃ算入さんにゅうするのである。しかし、回答かいとうしゃみずからの困難こんなんについて回答かいとうするてん問題もんだいがある。就労しゅうろう重視じゅうしされる状況じょうきょうでは、失業しつぎょうしゃ失業しつぎょう原因げんいん活動かつどう制限せいげんもとめやすくなる。そのため、活動かつどう制限せいげん指標しひょうは、失業しつぎょうしゃちゅう障害しょうがいしゃすう過大かだい評価ひょうかしてしまう[Stapleton and Burkhauser 2003]。この限界げんかい克服こくふくするには、だれだれ障害しょうがいをどのように「観察かんさつ」しているのかを吟味ぎんみする必要ひつようがある。上記じょうき活動かつどう制限せいげんかんする質問しつもんでは、回答かいとうしゃ障害しょうがい回答かいとうしゃ観察かんさつするために、障害しょうがい現象げんしょう適切てきせつ測定そくていできないのであって、ことなる観察かんさつ仕方しかた採用さいようする必要ひつようがある。
 ほん報告ほうこくでは、上記じょうきふたつの方法ほうほう限界げんかいえる手法しゅほうひとつを提示ていじする。ほん報告ほうこく手法しゅほうは、ひとまず障害しょうがい重度じゅうどせい測定そくていする手法しゅほうであるが、障害しょうがいしゃすう算定さんていする基礎きそとしても使つかえる。具体ぐたいてき手法しゅほう当日とうじつ提示ていじするが、博士はかせ論文ろんぶん(障害しょうがい学会がっかいまでに生活せいかつ書院しょいんから刊行かんこう予定よてい)[榊原さかきばら 2015]で提示ていじした障害しょうがい損傷そんしょう定義ていぎもちい、仮設かせつ質問しつもん各種かくしゅ障害しょうがい重度じゅうどせい数値すうちする。一定いってい以上いじょう重度じゅうど損傷そんしょうを、質問しつもん調査ちょうさむことができる。そのためこの手法しゅほう障害しょうがい統計とうけいひとつの出発しゅっぱつてんとなりうる。
 学会がっかい大会たいかいまでに、報告ほうこくしゃ授業じゅぎょう受講じゅこうしている大学生だいがくせいたいして、この手法しゅほう使つかった質問しつもん調査ちょうさおこなう予定よていである。調査ちょうさ実施じっしできた場合ばあい結果けっか概要がいようあわせて提示ていじする。倫理りんりてき配慮はいりょとしては、ほん質問しつもん調査ちょうさ記名きめいであり、個人こじん特定とくていされないこと、回答かいとう自由じゆうであり、協力きょうりょくしないことによる不利益ふりえき一切いっさいないことをあらかじ回答かいとうしゃつたえる。また調査ちょうさ結果けっか概要がいよう講義こうぎなどのかたち回答かいとうしゃ還元かんげんする。東京大学とうきょうだいがく大学院だいがくいん総合そうごう文化ぶんか研究けんきゅう倫理りんり審査しんさけてから調査ちょうさおこなう予定よていであり、調査ちょうさわない場合ばあい方法ほうほう提示ていじのみとなる。

引用いんよう文献ぶんけん
榊原さかきばら賢二郎けんじろう(2015)「社会しゃかいてき包摂ほうせつ身体しんたい東京大学とうきょうだいがく大学院だいがくいん総合そうごう文化ぶんか研究けんきゅう2015年度ねんど博士はかせ論文ろんぶん
Stapleton, D. C. and R. V. Burkhauser(eds.)(2003), The Decline in Employment of People with Disabilities, Kalamazoo, MI: W.E. Upjohn Institute for Employment Research.
UN ECOSOC(=United Nations Economic and Social Council) Statistical Commission(2006), “Report of the Washington Group on Disability Statistics”, 2016ねん1がつ4にち取得しゅとく, http://unstats.un.org/unsd/statcom/doc07/2007-4e-Disability.pdf .
U.S. Census Bureau(2014), “Facsimile of 2014 Annual Social and Economic (ASEC) Supplement Questionnaire”, Washington DC: Center for Economic and Policy Research, 2016ねん1がつ5にち取得しゅとく, http://ceprdata.org/wp-content/cps/CPS_March_Questionnaire_2014_redesign.pdf .



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