障害しょうがい者しゃ制度せいど改革かいかくの推進すいしんのための基本きほん的てきな方向ほうこう（第だい一いち次じ意見いけん）

平成へいせい２２年ねん６月がつ７日にち

障さわがい者しゃ制度せいど改革かいかく推進すいしん会議かいぎ

（中略ちゅうりゃく）

４．「地域ちいき生活せいかつ」を可能かのうとするための支援しえん

すべての障害しょうがい者しゃが家族かぞくへの依存いぞんから脱却だっきゃくし、自みずから選択せんたくした地域ちいきにおいて自立じりつした生活せいかつを営いとなむ権利けんりを有ゆうすることを確認かくにんするとともに、その実現じつげんのために２４時じ間あいだ介助かいじょ等とうを含ふくむ支援しえん制度せいどの構築こうちくを目指めざす。制度せいどの構築こうちくに当あたっては、地域ちいき間あいだ格差かくさが生しょうじないよう十じゅう分ふんに留意りゅういする。

（中略ちゅうりゃく）

３）「障害しょうがい者しゃ総合そうごう福祉ふくし法ほう」（仮称かしょう）の制定せいてい

　現行げんこうの障害しょうがい者しゃ自立じりつ支援しえん法ほうを廃止はいしして、新あらたな「障害しょうがい者しゃ総合そうごう福祉ふくし法ほう」（仮称かしょう）を制定せいていする。

　この制定せいていに当あたっては、制度せいどの谷間たにまを生うまない障害しょうがいの定義ていぎのもとに、すべての障害しょうがい者しゃが地域ちいきにおいて自立じりつした生活せいかつを営いとなむことができる制度せいど構築こうちくを目指めざすべきである。具体ぐたい的てきには、医学いがくモデルに偏かたよった障害しょうがい程度ていど区分くぶんを見直みなおすとともに応益おうえき負担ふたんを廃止はいしし、一人ひとり一いち人にんのニーズに基もとづいた地域ちいき生活せいかつ支援しえん体系たいけいを整備せいびし、最さい重度じゅうどであっても、どの地域ちいきであっても安心あんしんして暮くらせる、２４時じ間あいだ介助かいじょ制度せいどを始はじめとするサービスを提供ていきょうするものとする。そのためにも、入所にゅうしょ者しゃ・入院にゅういん者しゃの地域ちいき移行いこうを可能かのうとする仕組しくみを整備せいびするものとする。

障さわがい者しゃ総合そうごう福祉ふくし法ほう（仮称かしょう）の制定せいてい以前いぜんに早急そうきゅうに対応たいおうを要ようする課題かだいの整理せいり（当面とうめんの課題かだい）

（中略ちゅうりゃく）

来年度らいねんど概算がいさん要求ようきゅうに反映はんえいしてほしい事項じこうについて、作業さぎょうチームで検討けんとうし、「重点じゅうてん課題かだい」として、以下いかの４点てんにまとめた。

�@利用りよう者しゃ負担ふたんの見直みなおし

・基本きほん合意ごうい文書ぶんしょでも合意ごういされた応益おうえき負担ふたん廃止はいしの積つみ残のこし課題かだいとして、自立じりつ支援しえん医療いりょうにおいて障害しょうがい福祉ふくしサービスと同様どうように低てい所得しょとく者しゃ（市町村しちょうそん税ぜい非課税ひかぜい者しゃ）の自己じこ負担ふたんの無料むりょう化かを図はかること。

・所得しょとく区分くぶんの認定にんていにおいては利用りよう者しゃ本人ほんにんを基本きほんとし配偶はいぐう者しゃを含ふくめないこと。

・障害しょうがい福祉ふくしサービス、補ほ装具そうぐ、自立じりつ支援しえん医療いりょう、地域ちいき生活せいかつ支援しえん事業じぎょう、介護かいご保険ほけんの利用りよう者しゃ負担ふたんを合算がっさんし過大かだいな負担ふたんとならないようにすること。

�A法ほうの対象たいしょうとなる障害しょうがいの範囲はんいの見直みなおし

制度せいどの谷間たにまにこれまで置おかれていた人ひとたちが、必要ひつような支援しえんを受うけられるような対応たいおうが必要ひつようである。手帳てちょうを所持しょじしない発達はったつ障害しょうがい、高次こうじ脳のう機能きのう障害しょうがい、軽度けいど障害しょうがいなどとともに、難病なんびょう、慢性まんせい疾患しっかんを有ゆうする人ひとたちが必要ひつような支援しえんを受うけられるように、申請しんせいに際さいしての必要ひつような手続てつづきを定さだめる。

�B地域ちいきでの自立じりつした暮くらしのための支援しえんの充実じゅうじつ

どんなに障害しょうがいが重おもい人ひとであっても、自分じぶんで選えらんだ地域ちいきで暮くらすために必要ひつような支援しえんの質しつと量りょうの充実じゅうじつにむけて必要ひつような対応たいおうをすること。

具体ぐたい的てきには

・障害しょうがい程度ていど区分くぶん（国庫こっこ負担ふたん基準きじゅん）を支給しきゅう決定けってい量りょうの上限じょうげんとしてはならないことについて、自治体じちたいへの周知しゅうち・技術ぎじゅつ的てき助言じょげんをさらに徹底てっていする。国庫こっこ負担ふたん基準きじゅんを超こえる分ぶんの国こくから市町村しちょうそんへの財政ざいせい支援しえんの強化きょうか

・地域ちいき生活せいかつ支援しえん事業じぎょうの地域ちいき格差かくさの解消かいしょうのための予算よさん確保かくほ

・視覚しかく障害しょうがい以外いがいも含ふくむ移動いどう支援しえんの個別こべつ給付きゅうふ化かや重度じゅうど訪問ほうもん介護かいごの知的ちてき・精神せいしん障害しょうがい者しゃ、障害しょうがい児じへの対象たいしょう拡大かくだい

・児童じどう一般いっぱん施策しさくにおける障害しょうがい児じ支援しえんの強化きょうか、重症じゅうしょう心身しんしん障害しょうがいなどそれぞれの生活せいかつニーズに着目ちゃくもくした支援しえんサービスの強化きょうか

�C新法しんぽう作成さくせい準備じゅんびのための調査ちょうさ、情報じょうほう収集しゅうしゅう、試行しこう事業じぎょう実施じっしについての予算よさん措置そち

新あらたな法律ほうりつ策定さくていにむけて、今後こんご部会ぶかいなどで検討けんとうする論点ろんてんにそって、次じ年度ねんど以降いこう実施じっしされなければならない調査ちょうさ、情報じょうほう収集しゅうしゅう、試行しこう的てきな事業じぎょう実施じっし評価ひょうかのための適切てきせつな予算よさん措置そちを講こうじること。

具体ぐたい的てきには

・地域ちいき移行いこうにむけての施設しせつ入所にゅうしょ者しゃ、入院にゅういん患者かんじゃへの実態じったい調査ちょうさ、試行しこう事業じぎょう、評価ひょうか活動かつどうなどの開始かいし

・新あらたな支給しきゅう決定けっていの仕組しくみのための試行しこう事業じぎょうや研究けんきゅうなどの開始かいし

・障害しょうがい者しゃの「社会しゃかい的てき事業じぎょう所しょ」や賃金ちんぎん補ほてん制度せいどの試行しこう的てき事業じぎょうや研究けんきゅうなどの開始かいし

第だい３　障害しょうがい者しゃ制度せいど改革かいかくの基本きほん的てき方向ほうこうと今後こんごの進すすめ方かた

第だい２の基本きほん的てき考かんがえ方かたを踏ふまえ、障害しょうがい者しゃ制度せいど改革かいかくの基本きほん的てき方向ほうこうと今後こんごの進すすめ方かたについては次つぎのとおりとする。

１.全体ぜんたい的てきな当面とうめんの進すすめ方かた

１）平成へいせい22年ねん内ないの進すすめ方かた

・　推進すいしん会議かいぎは、第だい一いち次じ意見いけんを基もとに、障害しょうがい者しゃ基本きほん法ほうの抜本ばっぽん改正かいせいを始はじめ、改革かいかくが必要ひつような分野ぶんやについて個別こべつに部会ぶかいや作業さぎょうチーム等とうを設もうけ、分野ぶんや別べつ課題かだいの検討けんとうに着手ちゃくしゅする。

　　また、推進すいしん会議かいぎは、改革かいかくの推進すいしん体制たいせい、モニタリング機関きかんの在あり方かた、これまで議論ぎろんしていない事項じこうを含ふくめ各かく分野ぶんやにおいて更さらに検討けんとうすべき課題かだい等とうの事項じこうについて引ひき続つづき議論ぎろんを行おこない、平成へいせい22年ねん秋あきから年末ねんまつを目途もくとに、制度せいど改革かいかくの重要じゅうよう方針ほうしんに関かんする第だい二に次じ意見いけんを取とりまとめる。

・　政府せいふは、第だい一いち次じ意見いけんを踏ふまえ、速すみやかに制度せいど改革かいかくの方向ほうこう性せいを決定けっていするとともに、第だい二に次じ意見いけんを踏ふまえ、制度せいど改革かいかくの重要じゅうよう方針ほうしんを決定けっていすべきである。

　２）平成へいせい23年ねん以降いこうの進すすめ方かた

・　政府せいふは、制度せいど改革かいかくの重要じゅうよう方針ほうしんに基もとづき、障害しょうがい者しゃ基本きほん法ほうの抜本ばっぽん改正かいせいや制度せいど改革かいかくの推進すいしん体制たいせい等とうに関かんする法律ほうりつ案あんを平成へいせい23年ねんの常会じょうかいに提出ていしゅつすべきである。

（編へん注ちゅう：常会じょうかいとは１月がつからの通常つうじょう国会こっかいのこと。）

・　推進すいしん会議かいぎは、改革かいかく集中しゅうちゅう期間きかん内ないにおいて、改革かいかくが必要ひつような分野ぶんやの制度せいど・施策しさくの在あり方かたや次期じき障害しょうがい者しゃ基本きほん計画けいかくの在あり方かた・方向ほうこう性せい等とうを具体ぐたい化かするため、部会ぶかい・作業さぎょうチーム等とうでの議論ぎろんを踏ふまえ、必要ひつように応おうじ政府せいふに対たいする意見いけん提出ていしゅつを行おこなっていくこととする。

・　上記じょうきの法律ほうりつ案あんが成立せいりつし、施行しこうされた後のちは、３の１）−２において後述こうじゅつする、推進すいしん会議かいぎの機能きのうを継承けいしょうする審議しんぎ会かい組織そしきにおいて、検討けんとうすべき課題かだいについて引ひき続つづき議論ぎろんを行おこない、必要ひつように応おうじ政府せいふに対たいする意見いけん提出ていしゅつ等とうを行おこなっていくべきである。

（略りゃく）

　３）「障害しょうがい者しゃ総合そうごう福祉ふくし法ほう」（仮称かしょう）の制定せいてい

（略りゃく）

（今後こんごの進すすめ方かた）

　本年ほんねん４月がつから推進すいしん会議かいぎの下したに「総合そうごう福祉ふくし部会ぶかい」を設もうけたところである。当面とうめん対応たいおうが必要ひつような課題かだいについて、同どう部会ぶかいにおいて整理せいりされた意見いけんを踏ふまえ、政府せいふは必要ひつような対応たいおう策さくを講こうずるべきである。同どう部会ぶかいでは、推進すいしん会議かいぎにおける大枠おおわくの議論ぎろんの枠わく内ないで、障害しょうがい者しゃに係かかる総合そうごう的てきな福祉ふくし法制ほうせいである「障害しょうがい者しゃ総合そうごう福祉ふくし法ほう」（仮称かしょう）の制定せいていに向むけた検討けんとうに着手ちゃくしゅしているところであり、平成へいせい23年ねん夏なつから秋あきまでを目途もくとに結論けつろんを得える。これを受うけて、政府せいふは、24年ねんの常会じょうかいへの法案ほうあん提出ていしゅつ、25年ねん８月がつまでの施行しこうを目指めざすべきである。

（編へん注ちゅう：常会じょうかいとは１月がつからの通常つうじょう国会こっかいのこと。）