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課題集
長文ちょうぶん 7.1しゅう
 【1】キンコーンカンコーン、キンコーンカーンコーン。
 チャイムがなるのと同時どうじに、ぼくは教室きょうしつのドアをしました。今日きょう中休なかやすみは、校庭こうていおにごっこをすることにしていました。すこしでもなが時間じかんあそびたかったので、一番乗いちばんのりで校庭こうていにかけつけるつもりでした。
 【2】ぼくの教室きょうしつさんかいです。ドアをみぎがり、階段かいだんまで全速力ぜんそくりょくはしります。階段かいだんまえきゅうブレーキをかけると、キキキキーと上履うわばきが廊下ろうかにこすれるおとがしました。まるで自分じぶんくるまになったような気分きぶんです。
 【3】ここまではぼくが一番いちばんです。うしろに、ヒロトとフミヤがつづきます。これはけていられないぞ。ぼくは、しんなかおもいました。
 ぼくは、階段かいだんだんかしでりることにしました。かいまでは順調じゅんちょうばしました。【4】ところが、かいからいちかいりる途中とちゅうで、階段かいだんはずしてしまいました。一瞬いっしゅんなにきたのかわからないまま、ぼくはおどまでころがりました。
「いてえ。」
 ぼくはこしさえながらがりました。【5】ヒロトとフミヤは心配しんぱいそうにぼくのかおをのぞきみながら、
大丈夫だいじょうぶ? てるよ。」
います。ずきずきいたあしをふとてみるとひざからていました。
「あーあ、これじゃ、保健ほけんしつきだな。ちょっとってくるよ。」
【6】ぼくはそうって、いちかいにある保健ほけんしつかいました。ぼく一人ひとりこうとおもったのに、ヒロトとフミヤもついてきました。
「あら、どうしたの? 怪我けが?」
保健ほけんしつ田上たうえ先生せんせいは、ぼくとすっかり仲良なかよしです。【7】どうしてかというと、ぼくはしょっちゅう怪我けがをして保健ほけんしつくからです。
階段かいだんでこけちゃった。」
ぼくはずかしそうにいました。
をつけないと、ほんとうにあぶないのよ。階段かいだんはしらないこと。かお怪我けがしなくてよかったね。【8】かっこいいかお台無だいなしになっちゃうわよ。」
と、先生せんせいやさしく注意ちゅういしました。怪我けが消毒しょうどくするときは、とてもしみて、悲鳴ひめいをあげそうになりました。でも、格好かっこうわるいので我慢がまんしました。【9】怪我けがをしたのはぼくなのに、ヒロトとフミヤも、なんだかやめそうなかおになっていました。
「ごめんな。あそべなくなっちゃったな。」
うと、二人ふたりとも、
「いいよ。また、明日あしたやろう。」
ってくれました。明日あしたころばないように、もう一度いちど階段かいだんをかけおりるぞとぼくはおもいました。【0】

言葉ことばもり長文ちょうぶんちょうぶん作成さくせい委員いいんかい ωおめが


長文ちょうぶん 7.2しゅう
 かがみをつかっておもしろいことをしてみましょう。あなたのかお正面しょうめんからおおきくうつっている写真しゃしん用意よういします。それから、のまんなか、はなくちとおかお中心ちゅうしんせんうえかがみてます。写真しゃしん半分はんぶんかがみうつったその半分はんぶんとをわせると、片方かたがたがわだけからできた左右さゆう対称たいしょうかおになります。かがみきをえると、もう片方かたがたがわでもおなじことができます。
 右側みぎがわだけでできたかお左側ひだりがわだけでできたかおとでは、かなりちがった印象いんしょうけます。おおきさやほっぺたのかたちなど、みぎひだりでは意外いがいおおきくことなっているのです。
 かおだけではありません。ひとからだは、左右さゆう対称たいしょうおもえますが、じつすこしちがっていて、手足てあしながさや筋肉きんにくのつきかたなどもおなじではないのです。
 ひとがまっすぐにあるくのはたりまえのようですが、じつまわりの景色けしきたしかめながらからだきをコントロールしています。そのため、視界しかいのきかない吹雪ふぶきのときなど、ただやみくもにすすんでいくと、よわあしほうすこしずつがっていってしまいます。そして、なが時間じかんあるいたあげく、結局けっきょく最初さいしょおな地点ちてんにもどってしまうこともあるのです。
 内臓ないぞうでは、みぎひだりはもっとちがいます。たとえば心臓しんぞうからだすこ左側ひだりがわにあります。あかちゃんをだきくときに、おかあさんは自然しぜんあかちゃんのあたま心臓しんぞうちかくにくるようにだききます。あかちゃんはおかあさんのおなかのなかにいるとき、おかあさんの心臓しんぞうおとをずっといていたので、このおとくと安心あんしんするのかもしれません。
 みぎひだりちがいは、普段ふだん生活せいかつでもやくちます。たとえば、野球やきゅうをするとき、みぎきのひとは、左手ひだりてでボールをキャッチし右手みぎてでボールをげます。リンゴのかわをむくときは、左手ひだりてでリンゴをささ右手みぎて包丁ほうちょううごかします。人間にんげんからだは、みぎひだりちがいをうまくかしているのです。

 ここで一句いっく
「ウインクを 両目りょうめでしたら ただのまばたき」

 言葉ことばもり長文ちょうぶんちょうぶん作成さくせい委員いいんかいαあるふぁ


長文ちょうぶん 7.3しゅう
 【1】あくるとしはるに、なたねはきいろいきれいなはなをさかせました。はながちって、みがなりました。
 【2】そのみをあつめて、きんじろうはあぶらやさんへもっていきました。
「あぶらやさん。このなたねのみを、あぶらととりかえっこしてくれませんか。」
と、たのみました。【3】すると、あぶらやさんは、
「おお、きんじろうさんのつくったなたねのみだね。よしよし。」
と、しんせつに、あぶらととりかえてくれました。

【4】「こんどは、もうじぶんのあぶらだもの。おじさんだってしからないだろう。」
 きんじろうは、よるのくるのが、まちどおしくてなりません。あんどんにあぶらをいれて、あかりをつけてほんみました。
 【5】ところが、おじさんは、やっぱりこわいかおして、
「きんじろうや。おまえはいったい、なにになるつもりじゃ。ひゃくしょうになるのに、べんきょうはいらないんだよ。あしたはあさはやくから、のらへいくのだ。はやくねなさい。」
【6】「はい。」
と、きんじろうは、またあかりをけさなければなりません。やっぱりきんじろうは、べんきょうができませんでした。

【7】「ああ、ひゃくしょうは、どうして、べんきょうをしてはいけないのだろう。そんなことはない。」
おもいました。
 【8】けれども、おじさんにめいわくをかけてはいけません。
「そうだ。やまへいくみちや、たんぼへいくみちで、ほんもう。」
 【9】くわをかつぎながら、また、しばをかつぎながら、きんじろうはほんみました。【0】

(たんちょうはん(にたんおさなかばへん 白木しらきしげるちょ 「うつくしいはなし・いじんのしん」より)


長文ちょうぶん 7.4しゅう
 チョコレート、キャンディー、ケーキなど、あまいお菓子かしおもかべるだけでしあわせな気分きぶんになれるひとおおいでしょう。それらのお菓子かしつくるのに大切たいせつなのが砂糖さとうです。しかし、砂糖さとうにはほかにもいろいろなはたらきがあります。

 そのはたらきのひとつに、カビや微生物びせいぶつ増殖ぞうしょくするのをふせぐというものがあります。カビや微生物びせいぶつ湿しめったところ、つまり、水分すいぶんのあるところがきです。砂糖さとうは、もの水分すいぶんまわりをおおって、微生物びせいぶつやカビのはたらきをにぶらせます。ジャムや果物くだもの缶詰かんづめなどがそのれいです。果物くだものはほうっておくといたんだりくさったりしますが、砂糖さとうとともに調理ちょうりすることで長期間ちょうきかん保存ほぞんすることができます。

 水分すいぶんかか砂糖さとう性質せいしつは、なまクリームや卵白らんぱくあわてにも一役ひとやくっています。クリームやたまごのたんぱくしつ水分すいぶん砂糖さとうかかむことによって、あわがくずれるのをふせぎ、またあわ同士どうしがくっつくのををおさえてくれます。ふわふわのクリームをつくるのには、砂糖さとうかせないのです。
 にく煮込にこむときにも、そのはたらきが発揮はっきされます。調理ちょうりするまえしも準備じゅんびにく砂糖さとうをすりこんでおくと、やわらかくることができます。それは、砂糖さとうにくのたんぱくしつ水分すいぶんにくなかにとどめておくからです。

 あまさをつく調味ちょうみりょうというイメージのつよ砂糖さとうですが、実際じっさいには水分すいぶんむすびつきやすい性質せいしつわたしたちの生活せいかつなかでいろいろな役割やくわりをはたしているのです。
 はたらもの砂糖さとうは、えんした力持ちからもちなので、けっして「えっへん!」といばっているわけではありません。しかし、ダイエットをさけぶひとたちからは、かたきあつかいされています。「えっ? へん? 一生懸命いっしょうけんめいはたらいているのに……。」砂糖さとうからそんなこえこえてきそうです。

「カビくんは、どうして砂糖さとう苦手にがてなの。」
「だって、砂糖さとうってサ、トウってもあまいんだもん。」

  言葉ことばもり長文ちょうぶんちょうぶん作成さくせい委員いいんかいσしぐま


長文ちょうぶん 8.1しゅう
 【1】明日あしたは、神社じんじゃのおまつりがあります。天王てんのうさまてんのうさまばれているおまつりです。おじいちゃんがどものころからずっとつづいているおまつりだそうです。毎年まいとしどもたちは、水色みずいろ法被はっぴ神社じんじゃあつまります。【2】わたしともだちも、天王てんのうさまてんのうさまをとてもたのしみにしています。
 神社じんじゃからは、お囃子はやしふえおとこえてきました。明日あした練習れんしゅうをしているのです。太鼓たいこおともドンドンとおなかのそこひびきます。【3】おにいちゃんが、
「ちょっとてこよう。」
うので、わたしもついていくことにしました。
太鼓たいこ、たたいてみるか。ほれ。」
 そうこえをかけられてくと、おとうさんのともだちの中村なかむらさんがいました。【4】おにいちゃんは、
「え、やっていいの? やらせて、やらせて。」
と、だいよろこびでバチをしてもらいました。
「ドン、ドン、ドン」
 おにいちゃんはさんかいおおきくちました。中村なかむらさんは、
「もっとおもってたたかないと、いいおとないぞ。それ、もういちかい。」
いました。【5】おにいちゃんはもう一度いちどうでおおきくげてちました。
「ドーン、ドーン」
 今度こんどはおなかにひびおとです。ほかのおじさんも、
「うまいなあ。明日あした、たたいてみるか。」
わらっています。められたおにいちゃんは、ちょっぴり得意とくいそうです。
 【6】しばらくって満足まんぞくしたのか、
「おまえもやる?」
と、わたしにバチを手渡てわたしてくれました。おにいちゃんみたいに上手じょうずにできるかなあと心配しんぱいでしたが、わたしおもってみました。
「ドーン。」
 自分じぶんでもびっくりするくらいいいおとがでました。
【7】「おお、こりゃすごいぞ。」
 おじさんたちが拍手はくしゅしてくれました。
ふえいてみるから、ちょっとわせてみろ。」
 そうって、あかかおのおじさんがふえくちてました。お囃子はやしのメロディーはちいさなころからいているので、どこで太鼓たいこつかもっています。
【8】「ピーピピーピピーピ」
「ドンドン」
 わたしは、おもちました。メロディーにわせて、
「ドドン、ドドン、ドンドン」
つづけます。
「うわあ、たのしい。」
 いつのまにかとてもいい気分きぶんでたたいていました。【9】いつまでもたたいていたい気分きぶんでした。
 おかあさんは、よくわたしのことをずかしがりやだといます。わたしもそうだとおもっていました。でも、ずかしがりやのわたしはどこかへくだりってしまったみたいでした。【0】

言葉ことばもり長文ちょうぶんちょうぶん作成さくせい委員いいんかい ωおめが


長文ちょうぶん 8.2しゅう
 日本にっぽん世界一せかいいち漫画まんが王国おうこくとよばれています。大人おとなけのものまでふくめると、いち年間ねんかんななおくさつ以上いじょう漫画まんが出版しゅっぱんされています。漫画まんがをもとにして、アニメーションや映画えいがやテレビ番組ばんぐみもたくさんつくられ、いろいろなくに言葉ことば翻訳ほんやくされて、世界中せかいじゅう人気にんきあつめています。
 では、漫画まんがは、いつの時代じだいからあったのでしょうか。いちばんふる漫画まんがは、いまからはちひゃくねんはっぴゃくねんほどまえにかかれたとわれています。それは、京都きょうと高山寺こうさんじというおてらにある、「鳥獣ちょうじゅう人物じんぶつ戯画ぎが」というです。
 そのなかには、人真似ひとまねをしてあそ動物どうぶつたちがかかれています。はじまりは、動物どうぶつたちの川遊かわあそび。かわびこむウサギや、およぐサル。ウサギに背中せなかながしてもらって、気持きもちよさそうなサルもいます。べつには弓矢ゆみや練習れんしゅうをしたり、相撲すもうをとってあそんだりするカエルやウサギの様子ようすがかかれています。カエルにばされて、ひっくりかえったウサギのそばで、見物けんぶつのカエルたちがだいわらいしているもあります。カエルの仏様ほとけさまにおけいきょうをあげているサルのおぼうさんのもあります。どの動物どうぶつきとえがかれ、いまにもなかからしてきそうです。
 このむかし漫画まんがには、セリフがかかれておらず、ストーリーもはっきりしません。しかしなかには、いま漫画まんがたところもあります。たとえばいま漫画まんがでは、すばやいうごきをあらわすためにせんなんほんなんぼんもひき、スピードのている様子ようすをあらわします。鳥獣ちょうじゅう人物じんぶつ戯画ぎがなかにも、おなじようなかきかたられるのです。
 こんなむかしから、漫画まんがたのしんでいた日本人にっぽんじん。これからも、たくさんの名作めいさくまれ、おおくのひとあいされていくことでしょう。
 漫画まんがは、世界中せかいじゅうマンガできる、日本にっぽんたからです。しかし、漫画まんががわかりやすいので、おおほんは読マンガ、漫画まんがならむという生活せいかつつづけていると、次第しだいちから低下ていかしてきます。おおほん一方いっぽうで、漫画まんがたのしくみ、漫画まんがかたについてもマンガできるくににしていきましょう。

 言葉ことばもり長文ちょうぶんちょうぶん作成さくせい委員いいんかいγがんま


長文ちょうぶん 8.3しゅう
 【1】しばさぶろうは、よろこんでくまもとの学校がっこうへはいりました。べんきょうをはじめました。
 けれども、おとうさんのいったとおり、がいこくのことばはたいへんむずかしいのでした。【2】がいこくの先生せんせいが、がいこくのことばでおしえてくれるのです。さっぱりわかりません。いまのように、字引じびきもありません。
 【3】しばさぶろうは、やっぱり、いやになりました。

学校がっこうをやめて、うちへかえって、ひゃくしょうをしよう。」
 【4】先生せんせいのところへいって、「学校がっこうをやめさせてください。」といおうとしました。けれども、しばさぶろうがいうまえに、先生せんせいからさきにききました。
【5】「しばさぶろうくん。元気げんきがありませんね。どうしたのです。」
「はい。その……。」
と、しばさぶろうは、なみだがでそうになりました。

 【6】じっと、こらえているうちに、ふと、先生せんせいのつくえのうえのしゃしんがにつきました。ぶらんこにのっている、がいこくのどものしゃしんです。先生せんせいどもにちがいありません。
 【7】はっとして、しばさぶろうはいいました。
先生せんせいは、とおいがいこくから、ひとりで、日本にっぽんへきてさびしくありませんか。」
 【8】すると、先生せんせいはにっこりとしていいました。
「そうですね。ときどき、どものことを、ゆめにます。でも、日本にっぽんでは、すぐなおる病気びょうきにかかっても、みんなにます。わたしひとりのことなどかんがえておられません。はやく日本にっぽんのみなさんに、ながいきをしていただきたいのです。」

 【9】ああ、なんとりっぱな、先生せんせいのことばでしょう。
 しばさぶろうは、いっぺんにこころがかわりました。もううれしくてなりません。
【0】「そうだ。べんきょうがむずかしいなんていっていてはいけないんだ。はやくよいおいしゃさんになって、日本にっぽんのみなさんにながいきをしてもらわなければならない。」
 つよく、そうおもいました。

たんちょうはんにたんおさなかばへん 白木しらきしげるちょ 「うつくしいはなし・いじんのしん」より)


長文ちょうぶん 8.4しゅう
 ようとしたら、ブーンというおとがして、あわててあかりをつけたことがありませんか。そして、ちいさながどこにいるかつけようとしたことがあるでしょう。
 日本にっぽんではむかしふせぐために蚊帳かやという道具どうぐ使つかっていました。これは、いちミリメートルほどのこまかいもうでできている四角しかくいテントのようなもので、部屋へやなか四方しほうからげるようになっています。網目あみめこまかいので、なかなかいれはいれませんが、すずしいふうとおすことができます。むかし日本人にっぽんじんは、おおあつなつよるを、蚊帳かやなか風鈴ふうりんおときながらすずしくごしたのです。

 しかし、昭和しょうわ後期こうきになると、殺虫さっちゅうざい下水道げすいどう普及ふきゅうした結果けっか自体じたいすくなくなり、蚊帳かや次第しだい使つかわれなくなっていきました。
 ところが、いま、この蚊帳かやふたた注目ちゅうもくされています。蚊帳かやは、電気でんき薬品やくひん使つかわないてんで、人間にんげんにも地球ちきゅうにももちろんにもやさしい道具どうぐだとかんがえられるようになってきたのです。

 日本にっぽんは、マラリヤの被害ひがいなやまされるアフリカ諸国しょこくにたくさんの蚊帳かやおくっています。これによっておおくの子供こどもたちのいのちたすかっているそうです。日本にっぽんではほとんど使つかわれることのなくなった蚊帳かやも、世界せかいではだい活躍かつやくをしているのです。日本人にっぽんじんのこれからの役割やくわりは、よりやすくより安全あんぜん蚊帳かや世界中せかいじゅうひろめることではないでしょうカ。

「ブーン。」
「あ、や。蚊帳かやにゅうろう。」
「しまった。蚊帳かやはいられたカ。ヤーン。」

 言葉ことばもり長文ちょうぶんちょうぶん作成さくせい委員いいんかいαあるふぁ


長文ちょうぶん 9.1しゅう
 【1】今日きょうは、おかあさんにかみってもらうです。ぼくたち兄弟きょうだいは、おかあさんにかみってもらうことを、ママ床屋とこやんでいます。いつもママ床屋とこやなので、ぼくはいち床屋とこやさんへくだりったことがありません。
【2】「準備じゅんびできたよ。ひとりずつおいで。」
 お風呂場ふろばふろばからおかあさんのこえひびきます。ママ床屋とこやは、お風呂場ふろばふろばでおみせひらくのです。なつあついのではだかでちょうどいいけれど、ふゆのママ床屋とこやはぶるぶるふるえてしまいます。
 【3】ぼくはいそいでふくぎ、お風呂場ふろばふろばんでいきました。おかあさんは右手みぎてにバリカンをち、ぼくをるとにっこりしました。
「さあ、ろうか。したかないで、ちゃんとまえててね。」
 【4】そういながら、バリカンのスイッチをれました。ウイーンウイーンと、バリカンのおとみみちかくでこえます。ときどきかみられるので、ぼくは、
「いてっ。」
と、まるでカメのようにくびをすくめます。【5】おかあさんは、
「だめだめ。まっすぐにしていないと、へんなところをっちゃうよ。」
います。バリカンにられたかみが、パサリパサリとぼくのかた背中せなかにくっつきます。そのうち、ちくちくとしてきます。【6】からだちゅうかゆくてたまりません。
「ああ、もう限界げんかいだあ。」
と、ぼくが我慢がまんできなくなるころ、うしろのかみのカットがわるのです。
「できた、できた。じゃあ、今度こんど前髪まえがみ。さ、こっちいて。」
 ぼくは、くるりときました。【7】をつぶり、うごかないようにいきめます。
「はい、わり。頑張がんばったね。」
 ぼくはけました。おかあさんは、すこはなれてぼくをながめています。ぼくがうごいたからへんなところをってしまったのではないかと心配しんぱいになります。
【8】「うん。いいんじゃない。床屋とこやさんじゃないのに、なかなかうまいよね。」
と、おかあさんがいました。ぼくはほっとしました。
 シャワーであらながすと、ちくちくしたのがれてすっきりしました。【9】くもったかがみをごしごしといて、ぼくのかおうつしてみました。いつもとちがうぼくのかおです。自分じぶんでもなかなか格好かっこういいなとおもいました。【0】

言葉ことばもり長文ちょうぶんちょうぶん作成さくせい委員いいんかい ωおめが


長文ちょうぶん 9.2しゅう
 【1】そのときでした。
「こらっ、おまえなんかに、みずをのまれてたまるもんか。きたならしい。むこうへいってしまえ。」
 【2】きんじょのおとこがたけのぼうで、こじきをおいはらいました。
 ガンジーは、もう、がまんができませんでした。
【3】「おじいさん、まって。ぼくが、くんであげるよ。」
 ガンジーは、いそいでみずをくみあげると、こじきをやさしくつれもどしてきました。

【4】「ぼっちゃん、ありがとうございます。」
 としよりのこじきは、ぽろぽろなみだをこぼしながらも、さもおいしそうにみずをのみました。【5】やせたいぬも、ぺちゃぺちゃすいをのむと、さもうれしそうにガンジーのかおあげるのでした。
 ガンジーは、みんながじぶんをているのにがつくと、まっかになって、いえへかけこみました。

 【6】ゆうごはんのあとで、ガンジーは、おとうさんにきょうのはなしをくわしくしました。ガンジーのおとうさんは、インドでたかいくらいについているやくにんでした。【7】そのおとうさんは、にこにこすると、
「おお、おまえは、よいことをしてくれた。かわいそうなひとをたすけるのは、人間にんげんのつとめなんだ。よいことをするのに、しりごみしていてはいけない。【8】よくやったね。きょうのおこないは、ゆうきがあって、りっぱなものだ。おまえは、よわむしでもなければ、いくじなしでもないのだ。おおきくなっても、ただしいことをするそのゆうきをなくしてはいけない。」

 【9】いつも、じぶんをいくじなしだとばかりおもっていたガンジーは、はじめてそうでないことがわかりました。そして、むねが、すーっとあかるくなるのでした。【0】

たんちょうはんにたんおさなかばへん 白木しらきしげるちょ 「うつくしいはなし・いじんのしん」より)


長文ちょうぶん 9.3しゅう
【1】「おや。」
 ファーブルは、びっくりしてちどまりました。しょうとりのすが、あったのです。【2】すのなかには、青空あおぞらのようないろをした、うつくしいたまごがむっつ、おぎょうぎよくならんでいました。
「すばらしいなあ。」
 ファーブルは、むねがわくわくしました。

 【3】すのなかからひとつとりあげると、そっとポケットへいれました。うれしくてうれしくてたまりません。そのまま、いけのほうへいちもくさんにかけだしました。
 【4】けれど、それからしばらくたつとファーブルは、ふーふーいきをきって、また、すのところへはしってかえりました。【5】そして、さっきのたまごを、だいじそうにポケットからとりだしたのです。
「ごめんね。」
 ファーブルは、たまごをそっと、もとのところへならべてやりました。

【6】「ごめんね。おまえは、ノビタキってまえのとりなんだってね。そして、はたけのわるいむしをたいじして、おひゃくしょうさんをたすける、いいとりなんだってね。【7】ぼく、いまのそばで、きょうかいのぼくしさんにそれをおそわったの。ちっともしらなかったんだもの。ごめんね。」
 【8】ファーブルはそういうと、ぴょこんと、とりのすにあたまをさげるのでした。
 ピーチク、ピーチク……。
 【9】たまごのように、まっさお大空おおぞらでは、ひばりがしきりにないていました。【0】

たんちょうはんにたんおさなかばへん 白木しらきしげるちょ 「うつくしいはなし・いじんのしん」より)


長文ちょうぶん 9.4しゅう
 たまごはニワトリからまれます。そのニワトリはたまごからまれます。さてどちらがさきなのでしょう。
 たまごをうむ動物どうぶつは、ニワトリばかりではありません。サケ、マス、カエル、カメ、ヘビ、トカゲ、ハト、キジ、ダチョウ、それにちちどもをそだてるカモノハシも、たまごをうみます。サケとマスのたまごは見分みわけがつかないほどよくにていますが、サケのたまごからはサケが、マスのたまごからはマスが、まちがいなくうまれマス。たまごは、その動物どうぶつ生命せいめい宿やどしたカプセルなのです。
 とりがたまごをうみ、それをひなにかえすには、なんにちもかかります。そのあいだ親鳥おやどりは、外敵がいてきからたまごをまもるために、いろいろな工夫くふうをします。
 高山たかやまこうざんにすむライチョウは、ハイマツのなかをつくり、くさでわからなくしててきをあざむきます。川原かわらにすむコアジサシは、いしころと見分みわけのつかないようなたまごを小石こいしうえにうみます。コウノトリは、たかうえをつくり、てきちかづくのをふせぎます。このように親鳥おやどりたちは、一生懸命いっしょうけんめいたまごをまもっています。
 では、たまごからどもになるまでの変化へんかをいろいろな動物どうぶつでくらべてみましょう。メダカは水中すいちゅう生活せいかつをするさかなです。カエルはみずりく両方りょうほう生活せいかつします。ニワトリはりくだけで生活せいかつします。このように、メダカもカエルもニワトリも、生活せいかつする場所ばしょはちがうし、おやになったときのおおきさやかたちもちがいますが、たまごのなかそだつようすをくらべてみると、よくにたところがあります。

 ニワトリがさきか、タマゴがさきか。
「ニワトリさん、おさきにどうぞ。」
「いえいえ、タマゴさんこそおさきにどうぞ。」
「では、いっしょにそろって。」
「わたしたち、ニタワマトゴリ。」

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