(Translated by https://www.hiragana.jp/)
課題集
長文 1.1週
アライグマは、なんでも
洗ってしまう
動物です。
食べ
物であろうとなかろうと、
身のまわりにあるどんなものも、
前足を
器用に
使って、ざぶりと
水にくぐらせてごしごしと
念入りに
洗います。アライグマが
洗わないのは、
自分の
体ぐらいです。
前足は
水の
中に
入れるくせに、
水浴びは
大きらいなのです。だから、きれい
好きに
見えて、
本当はきれい
好きではないのかもしれません。
何でも
洗うという
行動も、きれいにするためではなく、
遊びの
一種だと
言われています。
アライグマが、
一生懸命に
何かを
洗っているすがたは、たいへんかわいらしいものです。
昔、「あらいぐまラスカル」というアニメが
放映され、
日本人の
頭の
中に、アライグマはかわいらしい
動物であるというイメージが
定着しました。
多くの
人が、ペットとして
飼ってみたいと
思ったのです。そこで、もともと
北アメリカにすんでいたアライグマが、ペット
用に
数多く
輸入されました。
しかし、
野生のアライグマは、イヌやネコとはまったくちがいました。
小さいころは、
人間になつくのですが、
大人になるとあつかい
方が
難しくなります。
野生の
動物は、
自然の
中で
生きていくために、ある
程度獰猛な
性質を
持っています。アライグマは、
気の
荒い、ペットに
適した
動物ではなかったのです。そこで、
困った
飼い
主がアライグマをこっそり
捨ててしまうこともありました。
捨てられたアライグマは
野生化して、
畑の
農作物を
食べあらし、
被害が
出ました。
しかし、
畑をあらすアライグマが
悪いのでしょうか。
野生の
動物がいちばん
幸せに
暮らせるのは、もともと
住んでいた
場所です。
遠くはなれた
日本に
連れて
来られたアライグマは、
新しい
環境で
必死に
生きていただけなのです。
あつかいに
困って
捨ててしまう
人がいる
一方で、アライグマの
生態を
勉強して、
責任を
持って
飼ってくれる
里親を
探す
活動をしている
人たちもいます。
私たちは、もっと
動物のことを
勉強して、
動物と
人間がおたがいに
幸せに
暮らせるようにしていかなければならないのでしょう。
「ところで、アライグマさん、
本当に
獰猛なんですか。」
「どうもう、なあんちゃって。」
「いや、そうじゃなくて。」
言葉の
森長文作成委員会(
κ)
長文 1.2週
【1】
夏の
間、あんなにたくさん
見かけたカエルは、
冬にはまったく
見かけなくなります。カメやヘビも、
冬の
間は
見かけません。しかし、また
春になると、
姿を
現すようになります。【2】カエルにしてもヘビにしても、あんなに
毛がなくてつるつるの
体では、さぞ
冬には
寒いことでしょう。それに、
冬の
間は、エサにする
虫などの
生きものもとても
少なくなります。【3】それでは、こういう
生物たちは、
寒い
冬をどうやってすごしているのでしょう。
じつは、カエルやカメやヘビなどは、
冬の
間、
冬眠といって、
地面の
中や
池の
底、
木の
穴など、
比較的暖かそうで
安全な
場所にかくれて
寝ているのです。【4】カエルやヘビは
変温動物といって、
外の
気温が
下がってくると、
自分の
体温も
同じように
下がってしまいます。だから、
冬になって
気温が
下がって
活動できなくなると、
冬眠してしまうのです。
【5】この
冬眠の
間は、
体の
中に
蓄えたエネルギーを
使って
生きていますから、エサを
食べる
必要がありません。
息さえしなくても
大丈夫なものもいるといいますから
驚きます。【6】
息もせずに
生きられるとはちょっと
生意気ですね。こうして、まるで
死んだように
眠り
続け、カエルのいなくなった
世界は
静まりかえるのです。
【7】
春になり、
外が
暖かくなってくると、
眠っているカエルたちの
体もいっしょに
温まり、
体温が
上がってきます。すると、カエルたちの
体は
再び
活動を
始め、「ああ、おなかがすいたなあ」と、
外に
出てきます。【8】そのころには、エサたちも
冬眠から
目覚めたり、
新しく
生まれたりしてたくさんいるので、おなかいっぱい
食事をすることができます。
「
眠れる
森の
美女」という、
魔法使いに
眠らされたお
姫様の
話があります。【9】お
姫様は
王子様のキスで
長い
眠りから
目覚めますが、「
眠れる
森のカエルたち」にとっては、
春の
暖かい
太陽が、まるで「
王子様のキス」のように
思えることでしょう。カエルたちは、
太陽の
暖かさで
次々と
我に
返るのです。【0】
言葉の
森長文作成委員会(
τ)
長文 1.3週
昆虫は、いつも
危険にさらされています。
空から
舞い
降りてきた
鳥のくちばしに
一瞬のうちにはさまれてしまったり、
不意に
伸びてきたカエルの
舌に
巻き
取られてしまったり、
昆虫は、いつも
敵に
狙われています。そのために、
昆虫は、
敵から
身を
守るための
工夫をするようになりました。その
一つが
擬態です。
擬態とは、
自分の
姿を、
自分以外の
生物や
周囲の
色や
形に
似せることによって、
敵の
目をくらます
方法のことです。
擬態には、
大きく
分けると
二つの
種類があります。
一つは、
周りの
植物などに
似せて、
敵に
見つからないようにする
方法です。
木の
枝にそっくりのシャクトリムシやナナフシがこの
例です。
鳥だけではなく、
人間が
見ても、すっかりだまされてしまいます。
木の
枝が
落ちてきたと
思って
拾い
上げたら、それが
動き
出したのでびっくりしたという
経験がある
人もいるでしょう。この
種類には、ほかにも、その
名のとおり
枯れ
葉に
化けるカレハガや
木の
皮に
化けるキノカワガ、
花に
化けるハナカマキリなどがいます。
もう
一つの
種類は、
周りにいる
危険な
虫などに
似せて、
敵を
寄せつけないようにする
方法です。ハチに
似ているアブやスズメガなどがこの
例です。また、
悪臭を
発するマサギマダラに
化けるカバシタアゲハやキボシアゲハなどもいます。
敵に
襲われそうになると、
鳥の
目玉のような
羽を
見せたり、
毒々しい
色をして
敵を
脅かしたりする
昆虫もいます。
擬態の
目的は、
他の
動物から
身を
守ることだけとは
限りません。カマキリは、
葉の
色と
同じ
色をしているので、
獲物に
気づかれずに
狩りをすることができます。
葉っぱだと
思って
近づいてきた
虫は、すぐさまカマキリのカマに
捕えられてしまいます。カマキリの
前で
金切り
声を
上げても
後の
祭り。これっきりというわけです。
言葉の
森長文作成委員会(
Λ)
長文 1.4週
日本の
主食は、お
米です。
日本と
同じように、お
米を
主食とする
国は
多く、インド、
中国、
東南アジアの
諸国などがあります。お
米は、
粒のままで
食べる
場合が
多く、
水で
炊いてご
飯にしたり、
多めの
水で
炊いておかゆにしたり、
蒸しておこわにしたり、
蒸したあとついておもちにしたりするなど、さまざまな
食べ
方があります。また、
炊いたお
米をいためてたべる
焼き
飯や、いためてから
炊くピラフやパエリヤなどもよく
知られています。
世界には、お
米以外の
主食もあります。
代表的なものは
小麦です。
小麦は、アメリカ、インドなどで
多く
生産され、
食べ
方は、
粉にしてから
食べることが
多く、ねって
焼いたり、めんにしてゆでる
方法がほとんどです。パンやスパゲッティは、
小麦から
作られます。
中国で
食べられている
饅頭も、ねった
小麦粉を
丸めて
蒸したものです。
日本でおなじみの
肉まんも、
饅頭の
一種です。
トウモロコシは、
米、
小麦に
並んで、
世界三大穀物の
一つと
言われています。メキシコでは、トウモロコシの
粉で
作った
生地をうすくのばして
焼いたトルティーヤが
主食です。そのほか、トウモロコシを
粉がゆにしたり、
蒸したりして
食べます。
世界には、それぞれの
国の
気候、
風土によっていろいろな
食べ
物があります。
寒くて
作物を
栽培できない
北極近くに
住むイヌイットは、カリブーやアザラシの
肉を
主食としています。
昔のイヌイットはアザラシなどの
肉を
生で
食べて、ビタミンCが
足りなくなるのを
防いでいました。もっとも、
氷の
上で
肉を
焼いて
食べていたら、
氷が
溶けて
海に
落ちてしまうという
理由もあったかもしれません。
北極を
探検したヨーロッパ
人たちは、
生肉を
食べるのをきらったために、
壊血病に
苦しめられました。
生肉を
受け
付けないヨーロッパ
人にとって、
壊血病の
問題は、なかなか
解決できませんでした。
生の
肉を
食べるのは、
北極というきびしい
場所で
生きのびていくためのイヌイットの
知恵だったのです。
言葉の
森長文作成委員会(
κ)
長文 2.1週
小さなアリの
世界は、
不思議です。
一つの
巣の
中のアリたちは、おたがいが
仲間であることをにおいでたしかめあいます。
巣の
外で
出会ったときも、おたがいの
触角がふれあっただけで
仲間だということがわかるので、
食べ
物をわけあたえたり、
協力してものを
運んだりします。
はたらきアリは、おどろくほど
大きなものを
運んでいることがあります。アリはたいへんな
力持ちで、
自分のからだの
二倍ぐらいの
重さのものなら
持ち
上げることができますし、
十倍の
重さのものでも
引きずって
運ぶことができます。
大きすぎて
一匹で
運べないものは、
仲間といっしょに
運んだり、その
場で
小さくちぎって
少しずつ
運んだりします。
仲間どうしはおたがいに
協力しますが、
巣がちがえばみんな
敵です。ちがう
巣のアリどうしが
出会うと、ものすごいたたかいになることがあります。じょうぶな
大あごや、おしりの
先からでる
蟻酸という
毒を
武器にたたかいます。
世界には、かわったアリがいます。おそろしいのは、アフリカにすんでいるサスライアリです。サスライアリの
通ったあとは、
食べられるものは
何一つ
残りません。サスライアリの
群れは、たとえニシキヘビだろうと、あっという
間に
骨だけにしてしまいます。
北アメリカやメキシコ
北部に
住むミツツボアリは、はたらきアリの
中におなかが
異常にふくらむものがいます。ほかのはたらきアリが
集めた
蜜をおなかにたくわえ、
蜜の
入れものの
役目をしながら、
巣の
天井からじっとぶらさがっているのです。はたらきアリはおなかが
空くと、おなかに
蜜をたくわえたアリの
頭をたたき、はき
出される
蜜をなめます。おなかに
蜜をたくわえたアリは、まるで
生きている
食糧倉庫です。
「
蜜、ありますか。」
「はい、どうぞ。」
「ありがとう。」
「ぼくにも、ください。」
「もう、ありません。」
「ありー。」
言葉の
森長文作成委員会(
κ)
長文 2.2週
動物は、
体温の
調節ができるかどうかで、
大きく
二つに
分けることができます。
一つは、カエルやヘビ、トカゲ、
多くの
昆虫など、
自分では
体温の
調節ができない
動物です。これらの
動物を
変温動物と
言います。つまり、
外が
寒くなってくると、
自分の
体の
温度もいっしょに
下がるのです。このような
動物は、
寒さの
厳しい
冬には、
暖かい
地面の
中や
木の
穴の
中で、
死んだように
眠って
過ごします。
もう
一つは、
自分で
体温を
一定に
保てる
動物です。
人間もそうですし、
鳥や
哺乳類はすべて、この
恒温動物の
仲間です。
恒温動物は、
定温動物とも
言います。
私たちは、
冬に
外の
気温が〇
度近くまで
下がっても、
体温はいつもと
同じままです。
人間は、
冬になるとエアコンをつけるなどして
暖房しますが、
森にいる
動物たちは、そうはいきません。
冬になると、エサも
少なくなります。そこで、リスやヤマネ、コウモリなどは、やはり
冬眠するのです。
しかし、
恒温動物の
冬眠は、
死んだように
眠り
続ける
変温動物の
冬眠とは
少し
違います。リスなどは、
冬眠に
入ると
体温を
下げ
始め、
体の
働きを
最小限にして
眠ります。この
間、エサは
食べませんが、
息だけはしています。
気温が
低くなっても、
死なない
程度の
体温調節は
行われているのです。また、
二週間くらいごとに
目覚めがあります。この
時、リスの
体温は
上がり、
秋のうちに
巣に
蓄えておいたエサを
食べたり、おしっこをしたりしますが、すぐにまた
体温が
下がって
冬眠状態になります。これを
冬の
間くり
返しながら、
春を
待っているのです。
みなさんも、
寒い
冬の
朝、「ああ、リスみたいに
冬眠して、
冬の
間眠ってすごしたいなあ」と
思うことがあるかもしれません。でも、そうしたら、クリスマスのケーキも、バレンタインのチョコも、
食べられません。
人間は、
暖かい
服や
暖房を
発明して、
寒い
冬の
間も
夏と
同じように
活動できるようになったのです。リスも、
本当は
冬眠などしないで、クリスマスくらいは、リースを
飾って
楽しみたいなあと
思っているかもしれません。
言葉の
森長文作成委員会(
τ)
長文 2.3週
いつも
空に
円く
見える
太陽が
欠けて
見えることがあります。
地球は
太陽の
周りを
回っています。その
地球の
周りを
月が
回っています。
地球と
太陽の
間に
月が
入ると、
月がじゃまになって
太陽が
見えなくなります。これを
日食といいます。
太陽は
光を
放っているので、
月がじゃまをしている
部分は
月の
影になり、
地球からは
見えないということになります。
月が
太陽を
完全に
隠してしまうことを
皆既日食といい、
一部を
隠すことを
部分日食といいます。
地球上に
映る
月の
影は
一つの
県ぐらいの
大きさなので、
一回の
日食で
皆既日食が
見られる
地域は
限られます。これを
見ようと
海外まで
出かける
人もいるくらいです。
月と
太陽では、
地球から
見た
見かけの
大きさはあまり
違いがありません。
実際は
地球から
太陽までの
距離は、
地球から
月までの
距離の
四百倍もありますが、
太陽が
月の
四百倍の
大きさであるため、
地球からの
見かけの
大きさはあまり
変わらないのです。しかし、よく
測ってみると、
月も
太陽も
見える
大きさが
少しずつ
変化します。これは
月や
太陽が
動くことによって、
地球の
観測地点からの
距離が
変わるからです。
月の
方が
大きいときは、
太陽全体を
隠しきって
皆既日食が
起こります。
太陽の
方が
大きいときは、
太陽の
方がはみ
出して、
金環日食となります。
日食の
仕組みが
分からなかった
古代には、
不吉なことが
起こる
前兆だと
考える
人も
多かったようです。
皆既日食を
見た
昔の
人は、
太陽がすっかり
見えなくなってしまうのですから、さぞ
怪奇な
現象だと
思ったことでしょう。
昔の
暦は
太陰暦といい、
月の
満ち
欠けを
一ヶ月として
作られていました。
現在の
暦は
太陽暦といい、
地球が
太陽の
周りを
回る
周期を
元に
作られています。
天体の
動きは、
私たちの
生活にも
利用されているのです。
言葉の
森長文作成委員会(
ν)
長文 2.4週
シマウマの
体の
模様は、まるで
横断歩道のようです。
横断歩道の
模様はとても
目立つので、シマウマの
白と
黒の
模様も、
草原の
中で
目立ってしまい、
肉食獣に
簡単に
見つかってしまうのではないかと
思うかもしれません。しかし、そんなことはありません。
アフリカの
日差しは
強烈です。
昼間、
太陽がぎらぎらと
照りつけて
大地が
熱くなると、かげろうが
立ちのぼります。シマウマの
住んでいるサバンナ
地帯は、
広くなだらかな
丘のところどころに、
背の
低い
木の
茂みや、
背丈の
高い
草むらがあります。ゆらゆらするかげろうの
中で、シマウマの
姿はちょうど
木や
草にまぎれて、
見えにくくなります。あのシマ
模様は、ライオンやハイエナの
嗅覚がとどかないところにいるかぎり、
身を
守るのにとても
都合がよいのです。このように、
身体を
見えにくくさせる
色のことを、
保護色と
呼びます。
シマウマが、なぜ
横断歩道のような
模様をしているかについて、もう
一つ
説があります。それは、サシバエ(
刺しバエ)から
身を
守るためという
説です。アフリカには、ツェツェバエという
大きなハエがいて、アブのように
人や
動物を
刺します。ツェツェバエという
名前は、ボツワナの
言葉で「
牛を
倒してしまうハエ」という
意味です。ハエにとっては、
栄えある
名前かもしれません。
人間がこのハエに
刺されると、
体の
中に
病原体が
入って、ときには
命を
落とすこともあります。
ツェツェバエの
目から
見ると、シマウマのシマ
模様は
見えにくいらしく、シマウマのまわりにたかるハエは、ほかの
動物と
比べてぐんと
少ないのです。
ところで、シマウマのしま
模様は、
一頭ずつすべて
異なっています。
人間の
指紋には
一つも
同じものがありませんが、シマウマの
模様もちょうどそれと
似ています。
私たち
人間から
見ると、どれも
同じように
見える
模様ですが、
一つとして
同じものがありません。
さて、しまのつく
動物は、ほかにもいます。シマリス、シマダイ、シマヘビ、
島田君。それは
人間です。
言葉の
森長文作成委員会(
κ)
長文 3.1週
【1】いまから
五千年くらい
昔のことです。
文明がさかえはじめたころの
人々は、
夜空を
見上げて、
宇宙というのは、
自分たちの
住んでいるこの
地球だけだと
思っていました。【2】きらめく
星は、
空という
高い
天井にはりついているもので、
太陽も
月も、
空にはりついて
動いて
行き、しずむと
地面の
下を
通ってまた
東にいくと
考えていたのです。
ギリシャ
時代になって、
宇宙のしくみが
考えられるようになりました。【3】
二世紀頃に
活躍した
天文学者プトレマイオスは、
天動説という
考えを
唱えました。それは、
地球が
宇宙の
中心にあって、そのまわりを
太陽や
月や
惑星がぐるぐる
回り、いちばん
外側に
恒星があるという
考え
方です。【4】まだ、
望遠鏡も
発明されていない
時代のこの
考え
方は、その
後千年もの
間人々に
信じられました。
十六世紀になって、
地球が
宇宙の
中心という
考え
方に
異議を
唱えたのは、ポーランドの
天文学者コペルニクスでした。【5】コペルニクスの
考え
方は、
宇宙の
中心は
太陽で、
地球と
惑星は
太陽のまわりを
円形の
軌道にそって
回っているというものでした。
地球の
方が
動いていると
考えられたことから、
地動説と
呼ばれています。
【6】はじめて
望遠鏡を
使って
星を
見たのは
十七世紀、イタリアのガリレオ・ガリレイでした。ガリレオは
望遠鏡によって、
月のクレーターや
太陽の
黒点などをつぎつぎと
発見しました。
ニュートンが「
万有引力の
法則」を
発見すると、
惑星の
動きはもっと
正確にわかるようになりました。【7】
万有引力の
法則では、すべてのものはたがいに
引き
合っていると
考えられました。そこで、
月と
地球、
地球と
太陽もたがいに
引かれ
合っていて、まわりを
回ることができるとしたのです。しかし、その
時もまだ、
宇宙の
中心は
太陽で、
宇宙とは
太陽系のことでした。
【8】
十八世紀になり、イギリスの
天文学者ハーシェルによって、
宇宙は
恒星の
世界までひろがり、
銀河系というものがわかるようになってきました。
私たちの
地球の
位置が、
銀河系の
中のひとつになったのです。
【9】
二十世紀に
入ると、すぐれた
技術の
望遠鏡が
次々と
開発され、
恒星までの
距離を
測ることができるほど
高性能になりました。この
観測のおかげで、
銀河系の
大きさも、
銀河系の
中のさまざまな
天体のことも、そして
銀河系以外の
銀河、さらに
宇宙全体のすがたまでもがわかるようになってきたのです。
【0】
人間の
見る
世界は、どんどん
広がっていきます。やがて
宇宙の
大きさも
超えて
広がっていくのかもしれません。
言葉の
森長文作成委員会(
μ)
長文 3.2週
秋になると、「クマが
出た」「クマに
襲われた」などといったニュースを
聞くことがあります。これは、
冬ごもりに
備えてたくさんのエサを
食べようとしているクマが、
人間の
住んでいるところにまでやってきてしまうからです。
動物には、
外の
気温に
合わせて
体温が
下がってしまう
変温動物と、
外の
気温にかかわらず、
体温を
一定に
保てる
恒温動物がいます。
恒温動物といっても、
決して
体温が
高温というわけではありません。クマも、
冬の
間は
穴の
中でじっとしていますが、これはカエルのような
変温動物の
冬眠や、リスやヤマネのような
小動物の
冬眠とは
少し
違います。したがって、クマの
場合は
冬眠とは
呼ばず
冬ごもりと
呼んでいます。
冬ごもり
中のクマの
体温は、いつもと
比べて
二、
三度しか
下がりません。エサも
食べず、おしっこや
糞もしませんが、
完全に
眠っているわけではなく、いつでも
目覚めることができます。だから、
何かが
近くを
通ると
飛び
出してきたり、
冬でもエサを
探してうろついたりするものもいるそうです。
寒くてもエサが
見つかればええさ、と
思っているのでしょうか。
冬の
間、ほとんど
飲まず
食わずですごしたクマの
体重は、もとの
三分の
二くらいに
減ってしまいます。また、メスは、この
冬ごもりの
間に
一頭から
二頭の
子グマを
産みます。そして、
冬の
間、
何も
食べずに
子育てをするのです。
秋の
間にたくさん
食べて
栄養を
蓄えているとはいっても、
何ヶ月もエサも
食べず、
排泄もしないで
生きている
動物たちの
冬眠の
仕組みは、じつはまだあまりよくわかっていません。しかし、
人間も
冬眠できるようにして、その
間に
病気を
治療しようという
研究がされているそうです。もしかしたら
将来、
戸口に、「サンタさんへ。
冬眠中なのでプレゼントは
春になってからとどけてくださいね」などと
張り
紙をする
家が
出てくるかもしれません。
言葉の
森長文作成委員会(
τ)
長文 3.3週
お
正月に
食べるお
雑煮は、
新しい
年の
豊作や
家族の
健康を
祈る
気持ちがこめられたおめでたい
料理です。
しかし、お
雑煮と
言われて
思い
浮かべた
料理をほかの
人に
出すと、「これは、お
雑煮じゃないよ。」と
言われてしまうことがあるかもしれません。
実は、お
雑煮は、
日本全国それぞれの
地方で
見かけも
味も
異なるのです。たとえば、おもちの
形は
西日本では
丸、
東日本では
四角の
場合が
多く、
焼いてから
汁にいれるところや、
別ゆでしてから
汁に
入れるところなど、おもちの
入れ
方も
地方によって
違います。
汁の
味も、みそ
味のところもしょうゆ
味のところもあります。お
雑煮の
中の
具もさまざまです。
新潟ではサケやイクラ、
広島ではカキ、
福井では
茎のついたカブを
入れるそうです。ほかにも、
香川のように、あんこの
入った
甘い
丸もちを
白みその
汁に
入れるところや、
沖縄のようにお
雑煮をお
正月に
食べる
習慣がないところもあります。
「うちは
関西に
住んでいるけど、お
父さんもお
母さんも
関東出身だから
四角いもちを
使うよ。
最後にイクラを
乗せるのは、
新潟出身のおばあちゃんに
教わったんだって。」というふうに、お
雑煮を
知るとその
家のいろいろなことがわかるのです。
アフリカのピグミー
族は
昔、ゾウを
捕まえて
食べていました。ですから、
「ぼくの
家では、おゾウ
煮にゾウを
入れて
食べるよ。」
という
家では、お
父さんがアフリカに
住んでいたのかもしれませんぞう。
現代では、いろいろな
地方や
国の
人同士が
結婚して、
新しい
家庭を
持つのは
珍しくありませんから、その
家オリジナルの
新しいお
雑煮を
考えてみるのもいいかもしれません。お
父さんとお
母さんは
関東と
関西の
出身だから、おもちの
形は
三角とか、お
母さんは
韓国出身だからキムチを
入れるなどという
家があってもよさそうです。ピンクのハート
型おもちにコンソメスープ、トリュフも
乗せたフランス
風お
雑煮、ちょっと
食べてみたい
気がします。
言葉の
森長文作成委員会(
Ν)
長文 3.4週
【1】
夏休みの
友といえばやはりカブトムシです。
昆虫の
王様と
呼ぶにふさわしいその
姿は、
子どもたちの
視線をとらえてはなしません。ペットショップのカブトムシコーナーは、
毎年黒山の
人だかりができていますし、
採集ツアーも
登場するほどです。
【2】いかにも
丈夫そうな
姿のカブトムシですが、その
命はそれほど
長いものではありません。
卵からかえり、
冬を
越した
幼虫は、
蛹へと
姿を
変え、
夏になると
成虫、つまりカブトムシへと
変身しますが、
成虫になってからの
命はおよそ
一か
月ほどといわれています。【3】ですから、
夏休みが
終わるころは、ちょうどカブトムシの
命もつきる
時期にあたるのです。クワガタムシも、カブトムシと
並んで
人気があります。カブトムシがひと
夏の
命なのに
対して、クワガタムシの
場合、
種類によっては
越冬できるものもあります。えっとうれしくなってしまうでしょう。
【4】
大切に
育てていたカブトムシの
死は
悲しいものですが、
死んでしまったからといってすぐに
飼育ケースを
処分してはいけません。ケースの
中の
腐葉土をそっとのぞいてみましょう。もしかしたら、
小さな
卵が
見つかるかもしれません。【5】
直径三ミリ
程度の
白くて
丸い
卵です。
孵化直前の
卵は
大きさは
五ミリ
程度になり、
色も
黄色味を
帯びてきます。この
卵をじょうずに
育てることができたら、
大切にしていたカブトムシの
二世と
対面できる
日がやってくるのです。
【6】
卵からかえった
幼虫は、おもに
腐葉土を
食べて
大きくなります。
幼虫時代に
摂取した
栄養が、
成虫のカブトムシの
大きさを
決定付けます。いったん
成虫になってしまったら、どんなに
樹液を
吸ったところでそれ
以上大きくはなりません。【7】
立派な
大きさのカブトムシは、
幼虫時代に
十分な
栄養を
取っていたのです。もしも
人間がカブトムシと
同じ
性質だったらどうでしょう。
成人したらいくら
食べても
太らないわけですから、ダイエットに
励んでいる
大人にとってはなんともうらやましい
話です。
【8】
通常、
一匹の
幼虫が
蛹になるまでに
食べる
腐葉土の
量は、
洗面器に
山盛り
一杯分にもなるそうです。カブトムシは、そんな
大量の
腐葉土をかぶっとむしゃむしゃ
食べてしまうのです。さすがに
昆虫の
王者、
驚いてしまいます。
【9】
友達に
自慢できるくらいの
大きなカブトムシを
育てるためには、
良質な
腐葉土を
絶えず
補充してあげることが
大切です。また、
飼育ケースの
中のフンを
取り
除いたり、
掃除をしたり、
根気よく
世話を
続けることが
必要です。
【0】では、カブトムシとクワガタムシでは、どちらが
強いでしょうか。カブトムシの
得意技は、カブト
割りでしょう。クワガタムシの
得意技は、もちろんクワ
固めです。
結果は、カブトもクワガタも、お
互いをムシして
引き
分けになりました。
言葉の
森長文作成委員会(
ω)