(Translated by https://www.hiragana.jp/)
課題集
長文 4.1週
【
長文が
二つある
場合、
音読の
練習はどちらか
一つで
可。】
【1】「また、
止まってる。」
お
母さんが
部屋に
入ってきました。
二年生のときの
絵や
作文、
写真などがいろいろなところから
出てくるたび、
私は
片付けの
手を
止めてしまいます。
【2】「ちょっと
思い
出にひたっていただけ。」
とい
訳をしましたが、
机の
上には、たくさんのプリントや
本や
教科書が
山のようになっています。
「
思い
出もいいけれど、これじゃあ
夜までかかっても
終わらないわよ。」
【3】「
大丈夫、
大丈夫。ちゃんと
終わるって。」
「そう。
桃子おばちゃんたちとお
食事に
行くから
早く
終えてね。」
春休みなので、
親せきの
桃子おばちゃんたちと
夕飯を
食べに
行く
約束をしています。【4】それも、
私の
大好きなイタリアンだというではありませんか。もし、
終わらなくて、
行けなくなったら
大変です。
私は
急に
心配になって、
次々と
要らなそうなプリントを
ゴミ箱に
捨て
始めました。
【5】すると、プリントにまじって、クラスのひとみちゃんがかいたイラストが
出てきました。ひとみちゃんは、
絵が
上手で、いつもアニメの
主人公などをかいてくれるのです。うまいなあ。あっ、また
手が
止まった。【6】
私は、はっとして、
片付けを
続けました。
教科書をまとめて
壁の
本棚に
移し、ノートは
押入れの
中に
入れました。テストは
百点のと
九十点のを
上にして、
箱にしまいました。
机の
上の
山がだいぶ
片付いてくると、
今度は
細かいものが
目につき
始めました。【7】
下の
方が
欠けてしまったキラキラの
鉛筆のキャップや、
切れてしまったうさぎのヘアゴム、キティちゃんのメモの
切れはし。どうしてこんなものをとってあったのだろうというものばかりです。【8】まったく、
要らないものはちゃんと
捨ててよね、と
自分に
言いたくなりました。
机の
上がきれいになり、
本棚にも
新しい
教科書を
入れるスペースができると、
私はすがすがしい
気分になってきました。【9】まるで、だれか
他人の
部屋に
来たような
感じがします。その
上、
勉強もがんばりたくなってきたから
不思議です。やっぱり
大事なのは
環境だなと
私は
思いました。これで、おばちゃんたちとのお
食事にも
行けそうです。【0】
(
言葉の
森長文作成委員会 φ)
【1】
昔、
田んぼにはナマズやドジョウなどの
生き
物がたくさんすんでいました。しかし、
戦後、これらの
生き
物は
急速に
減ってしまいました。その
原因の
一つは、
田んぼの
水路がコンクリートなどで
固められたために
生き
物がすみにくくなったことです。【2】もう
一つの
原因は、
田んぼに、
強い
農薬がまかれたためにやはり
生き
物がすみにくくなったことです。
田んぼには、
稲を
弱らせてしまう
虫が
発生します。たとえば、ウンカです。【3】
梅雨のころ、
雲に
乗って
中国からやってくるウンカは、
日本の
田んぼで
数を
増やし、
稲の
汁を
吸ってつぎからつぎへと
枯らしてしまいます。ひどいときは、
田んぼの
稲が
全滅してしまうほどです。
今年もウンカの
大発生か。【4】ウンカ
悪いなあなどと
言ってはいられません。またヨコバイも、
稲に
病気をうつすやっかいな
虫です。
農薬をまくことで、
一時的に
害虫の
力を
抑えて
増え
方を
横バイにすることはできますが、
虫たちが
農薬に
抵抗性を
持ち、やがて
前よりも
農薬に
強くなってしまうという
問題があります。
【5】また、
農薬をまいたあと、
逆にウンカが
大発生してしまうこともあります。その
理由は、
農薬によって、ウンカやヨコバイを
食べるクモやアメンボなどの
天敵が
減ってしまうからです。
【6】そこで、
農薬を
使わないで
稲を
育てる
方法がいろいろと
考えられてきました。その
一つは、
小ブナを
田んぼに
泳がせることで、
害虫を
食べてもらったり、
草取りを
手伝ってもらったりする
方法です。【7】
草取りは
農家にとってはたいへんな
重労働ですが、コイやフナが
田んぼを
泳ぎまわっていると、
水がかきまわされてにごるので、
雑草が
生えにくくなるのです。
小ブナのおかげで、
農薬もほとんど
使わずにすみます。
【8】
田んぼにアイガモを
飼って、
害虫を
食べさせるという
方法もあります。アイガモは、
稲の
天敵であるウンカの
卵まで
食べてしまうので、
殺虫剤は
不要です。
雑草は、
水かきでけられたり、
食べられたりして、
生えてこなくなります。【9】その
上、アイガモのふんは、とてもいい
肥料になるので、
化学肥料をやらなくてもすむのです。まさに
一石二鳥。アイガモを
使う
方法はいかがですか。「あ、いいカモ!」【0】
言葉の
森長文作成委員会(
κ)
長文 4.2週
ねむって
冬をこす
動物――くまやかえるの
冬みん――
【1】
冬のころ、はたけや、にわの
土をほりかえすと、
中から、かえるやとかげなどがでてくることがありますね。
【2】いいきもちでねていたところを、おこされたといわんばかりに、
目をぱちくりさせて、あわててまた
土の
中にもぐりこみます。
【3】かえるや、とかげは、こうやって、
冬のあいだ、
土の
中でねむっているのです。
長い
冬のあいだじゅう、ずっとねむりとおすなんて、ずいぶんねぼうですが、これは、どういうわけなのでしょう。
【4】かえるやとかげは、まわりの
温度につれて、からだの
温度がかわるという、きみょうなせいしつをもっています。ですから、
冬になってあたりがさむくなると、じぶんたちの
体おんも、きゅうにさがるのです。
【5】そうなると、もう、かつどうすることができません。あたたかいあなや
土の
中にもぐって、じっとしているのです。【6】こきゅうも、ゆるやかになり、
血のめぐりも、ほとんどとまっているといってよいくらいです。たべものは、もちろんたべません。
【7】はんぶん
死んだようなようすで、
冬をこすのです。これを、
冬みんといいます。
このほかに、りすや、やまねなども、
冬じゅう、
木のほらでねむってすごします。
【8】
小さな
動物ばかりではありません。おどろいたことに、あの
大きなくまも、
冬じゅう、あなの
中でねむっているのです。
これは、かえるや、とかげのように、からだがひえるためではありません。【9】
冬になると、ありや、かになど、くまの
大すきなたべものが、そのへんにいなくなるし、
木のみなどもなくなりますから、
秋のうちに、たくさんたべておいて、
冬のあいだは、あなにはいって、じっとしているわけなのです。【0】
(「
世界ふしぎめぐり
三年生」より
抜粋)
長文 4.3週
たびをする
草や
木のみ――たんぽぽややしのみ――
【1】みなさんは、もう
学校でならって、
知っているでしょうか。
植物のたねのなかには、たびをするものがあるのですよ。
いろいろのたねがたびをしますが、いちばんたのしそうなのは、たんぽぽの
空中りょ
行でしょうね。
【2】
春、たんぽぽの
花がさききってしまうと、
花びらがちったあとに
円いわたのような
白いものがのこります。
やがて
風がふくと、
一本一本のわた
毛が、ふわり、ふわりと、
空にまいあがるのです。そのわた
毛の
下には、ひとつずつ、たねがついています。
【3】きもちよさそうに、
空をとんでいったたんぽぽのわた
毛は、
風しだいで、たんぼのあぜにおりたり、みなさんのおうちをのぞいて、にわにおりたりします。
そして、そこの
地面にこしをおろして、あくる
年の
春、めをだし、
花をさかせるのです。
【4】
海をたびする
植物には、やしのみがあります。やしのみは、みなさんの
頭くらいあります。
海岸などに
生えていますので、
海の
中におちたものが、ふわりふわりと、
海のたびをして、
遠い
遠い
島にながれつき、そこで、めをだすことがあります。
【5】
人間のきものなどにくっついて、はこばれるのは、いのこづち、ぬすびとはぎなどの
草のみです。
みなさんが、きれいな
花をとろうとおもって、やぶの
中にはいると、きものにいっぱいついて、なかなかとれない
草のみがあるでしょう。【6】それが、いのこづちや、ぬすびとはぎのみなのです。こうして、ほうぼうへつれていってもらって、めをだすばしょをみつけるのです。
きみじかなのは、ほうせんかのたねでしょう。
花がちって、あとにみができます。【7】みなさんが、たねをとろうとおもって、ちょっと
手をかけでもすると、パチンと、すごいいきおいで、かわがはじけて、
中のたねは、
四方八方へ、とびちってしまいます。
【8】ひとところへ、たくさんのたねがおちたのでは、めがでてから、おたがいに、ようぶんをとりっこしたり、
太陽のひかりをうけられないものができたりしますから、できるだけ、いきおいをつけて、
遠くへちらばってとぶのです。
【9】てっぽううりも、これとおなじようなことをします。
たまはじきだけというきのこも、なん
万こという
胞子のはいっているたねを、
音をたててはじきだします。
【0】それでは、このように、じぶんの
力でりょ
行できない
木のみ――たとえば、かきのみなどは、どうするのでしょうか。
これらのみは、
鳥にたべてもらって、ふんといっしょに
地面に
落ちて、めをだします。かきのみや、なんてんのみなどが、じゅくして、うつくしく
色づくのは、
鳥にはやくたべてもらいたいからだといえましょう。
こうしてみると、
植物のたねのたびは、たのしいハイキングや、
遠足ではなくて、めをだすばしょをさがしてあるく、ひっこしなのですね。
(「
世界ふしぎめぐり
三年生」より
抜粋)
長文 4.4週
【
長文が
二つある
場合、
読解問題用の
長文は
一番目の
長文です。】
大昔の
鳥の
祖先は、ほかの
動物と
同じように
四本足を
使って
歩いていました。
長い
年月のあいだに、
前足が
翼に
進化し、
今のように
空を
飛べるようになったのです。
鳥は、
爬虫類の
仲間から
進化してきたので、トカゲの
前足の
骨組みと
鳥の
翼の
骨組みは、たいへんよく
似ており、この
二つをくらべると、
前足が
翼に
変わったことがよくわかります。また、
前足だけではなく、
体をおおっている
羽毛の
一部も
翼に
変わりました。
風に
向かって
進むと、
何枚も
重なった
風切羽によって、
鳥は
体を
空中に
浮かせることができます。
しかし、
翼だけがいくら
立派でも、
飛ぶことはできません。
翼を
動かす
部分も
大事です。
鳥の
胸の
骨には
大きな
出っ
張りがあり、
船底のような
形をしています。そこに、
翼をはばたかせる
筋肉がついています。
鳥の
胸の
筋肉は、たいへん
発達しており、この
筋肉の
力で
大きな
翼をはばたかせることができます。
自由に
空を
飛ぶためには、
体が
重くてはいけません。
普通、
体を
作っているもので、いちばん
重いのは
骨です。そこで
鳥の
骨は、
竹のように
中が
空洞になっていたり、スポンジのようにスカスカになっているなど、
体を
軽くするための
工夫が
見られます。しかし、スカスカの
骨といっても、すぐ
折れてしまうような
弱いものではなく、たいへんかたくて
丈夫にできています。
また、
体全体を
軽くするために、
骨の
数も
少なくなっています。あごの
骨は
歯と
一緒になって、くちばしに
変わりました。
歯がないため、
鳥は
食べ
物をすべて
丸のみにしてしまいます。「
鵜のみ」にするのは、
鵜だけではなかったということです。ただ、そのままではたいへん
消化が
悪いので、おなかの
中で
食べた
物を
砕くことができるようになっています。その
役目をするのが
砂肝です。
砂肝は
砂嚢とも
呼ばれ、その
名のとおり
砂が
入っています。
砂粒によって
食べ
物をすりつぶすのです。
変わっているのはくちばしだけではありません。
背骨の
数も
少なくなっていて、しかも
棒のようにまっすぐです。
首が
自由に
動くのに
比べて、
背骨は
自由な
動きがほとんどできません。
羽づくろいをする
鳥を
見ると、
体全体をひねることができないので、
首だけをぐるりとうしろに
回しています。しかし、そのおかげで、
空を
飛ぶときに
体が
安定する
上、
離着陸の
衝撃から
体全体が
守られるようになったのです。
体を
軽くしなくてはいけない
一方で、
鳥は
飛ぶために
多くのエネルギーを
必要とし、どんどん
食べ
物を
食べなくてはなりません。そこで
鳥は、
食べてすぐエネルギーに
変わるような
食物をとるようになりました。
多くの
鳥は
草食ではなく
肉食です。
植物性のものを
食べる
鳥もいますが、
種子や
果実など、すぐにエネルギーになるものを
食べます。
鳥は、
少しでも
体を
軽くするために、もう
一つ
工夫をしています。それは、フンをためこまないということです。もし、
鳥が
便秘になったら
大変なことです。フンの
重さで
飛べなくなってしまうからです。
公園などでハトにフンをかけられてハッと
驚いても、「フン!」などと
憤慨せずに、「フーン、
飛ぶためには
仕方がないのだな」と
優しく
理解してあげましょう。
言葉の
森長文作成委員会(
κ)
【1】
冷蔵庫がまだあまり
普通の
家庭にはなかったころ、
冷蔵庫には、
毒があって
危険な
物質が
使われていました。この
物質は、
液体からガスに
変わるときに
周りを
冷やす
性質を
持っていました。
【2】しかし、このように
危険な
物質を、
家庭におく
冷蔵庫に
使うわけにはいきません。そこで、
何かいい
方法はないものかと、
研究が
行われました。その
結果、フロンという
新しい
物質が
見つかりました。
【3】フロンは、
色も
匂いもない
物質で、
安定した
性質を
持っています。
性質が
安定しているということは、ほかのものといっしょにしても、ほとんど
反応を
起こさないということです。また、
燃えることもないので、
火事の
心配がありません。【4】さらに、
簡単に
液体にしたりガスにしたりできるので、
取り
扱いも
楽です。そして、
安く
作ることができるのも、
大きな
長所でした。
こうして、フロンは「20
世紀最大の
発明」として
歓迎され、
世界中で
使われるようになっていきました。【5】フロンは、まさに
時代のフロンティア(
最前線)でした。
日本では
特に、
精密機械の
工場で、
部品を
洗うのに
使われました。
普通の
水にはゴミやほこりが
溶けこんでいるため、
精密機械の
工場では
使えなかったのです。
【6】しかし、こんなに
長所ばかりがあると
思われたフロンに、
意外な
欠点があることがわかってきました。
地球の
上空にあるオゾン
層を、フロンが
破壊するということがわかってきたのです。
【7】フロンの
長所である
安定した
性質が、
逆に
欠点にもなっていたのです。フロンは
壊れにくく、ほかのものと
反応もしないため、そのままガスとなって
空気中に
出て
行きます。【8】そして
空の
高いところまで
行くと、
太陽の
強力な
紫外線によって
初めて
分解されることになります。そのときに、フロンから
出た
塩素がオゾン
層を
壊していくのです。
【9】オゾン
層は、
太陽の
強力な
紫外線から
地球上の
生き
物を
守っているバリアのようなものです。このバリアが
壊されると、
紫外線が
地球上に
降り
注ぎ、
生き
物に
大きな
害を
与えます。【0】こうして、ヒーローだったはずのフロンは、いつの
間にか
悪者になってしまいました。
しかし、
人間が
破壊したものは、
人間の
手によって
修復できるはずです。オゾン
層を
破壊することは、
人間にとってオーゾン(
大損)ですから、
今、
世界中でオゾン
層を
守る
対策が
進められています。
「フロンさん、
元気出してね。
君が
悪いわけじゃなく、たまたまオゾン
君と
仲が
悪かっただけなんだから。」
「うん、フロン、がんばる。フロンでも(ころんでも)ただでは
起きないわ。」
「そう。オゾン
君も、だんだん
元気が
出てきたようだから。」
「オイゾンも、これからがんばって、
紫外線からみんなを
守るでごわす。」
フロー、フロー、オゾン!
言葉の
森長文作成委員会(
τ)
長文 5.1週
【
長文が
二つある
場合、
音読の
練習はどちらか
一つで
可。】
【1】「ゴホッ、ゴホッ、エッヘン。」
お
母さんがひどい
風邪を
引きました。
咳と
鼻水、それに
熱もあるのです。
昨日から
寝込んでしまいました。それで、
仙台のおばあちゃんが
手伝いに
来てくれました。【2】でも、おばあちゃんは、
年をとっているし、うちの
台所に
慣れていないので、お
母さんの
代わりを
一人でやるのは
大変です。だから、ぼくは
学校から
帰ると、
朝お
父さんに
言われたとおり、お
手伝いをすることにしました。
【3】ぼくは、おばあちゃんが
洗濯物を
入れに
二階へ
行っている
間、
赤ちゃんの
美咲のめんどうを
見ることにしました。
美咲は、
普段は
機嫌がいいのですが、お
母さんがかまってくれないので、ぐずぐず
泣いてばかりいます。【4】ぼくは、
美咲のベッドのところへ
行って、ぬいぐるみを
見せたりガラガラを
鳴らしたりしました。
しばらく
遊んでいると、
美咲はスースーと
鼻を
鳴らして
眠り
始めました。そこで、ぼくは、
次の
仕事に
取りかかりました。【5】おばあちゃんが
取り
込んだ
洗濯物をたたむのです。
下着やシャツ、
美咲の
肌着など、いろいろなものがあります。ぼくは、まるでお
店屋さんのような
手つきでどんどんたたんでいきました。
中には、
形が
複雑でむずかしいものもあったけれど、どうにか
工夫してたたみました。
【6】「しょうちゃん、
味見をしてちょうだい。」
と、おばあちゃんが
味見用の
小皿をぼくにわたしました。
煮物のいいにおいがただよっています。
「うん、ちょっとうすいかな。」
ぼくは、
小皿を
返しながら
言いました。
煮物の
中のニンジンは、ぼくが
切ったものです。
【7】
食事がすんで、お
皿を
洗うのもぼくがやりました。
洗剤が
残っていたら
体によくないので、しっかりとすすぎました。それが
終わると、おばあちゃんと
一緒にお
風呂に
入ってきた
美咲に、パウダーをつけたり
服を
着せたりする
仕事です。【8】お
風呂が
大好きな
美咲は、とてもうれしそうに
元気いっぱい
手足を
動かしています。だから、そでに
手を
通すだけでも
一苦労でした。ようやく
身支度ができると、
散らばったバスタオルやおむつを
片付けて、
湯冷ましを
飲ませます。
【9】「しょうちゃん、ありがとう。よく
手伝ってくれるのねえ。
三年生っていうのは、こんなにいろいろできるんだね。」
寝る
前に、おばあちゃんが
感心したように
言いました。ぼくは、
今日は
遊びをがまんして、がんばってよかったなと
思いました。【0】
(
言葉の
森長文作成委員会 φ)
砂にうずまった
町――おそろしいさばくのあらし――
【1】わたしたちのすんでいる
日本には、
山があって、また
野原があって、
木が
青あおとしげり、きれいな
水がながれています。
ところが、この
地球上には、
木も
生えなければ
花もさかないし、
水もない、さばくというところがあります。
【2】さばくというと、みなさんは、はてしなくつづく、たいらな
砂原をかんがえるかもしれませんが、かならずしも、そうではありません。
【3】さばくには、
大きな
砂山が、なみのうねるようにつらなっていたり、
大小の
石や
岩がつみかさなっていたり、ごつごつした
岩はだがあらわれていたりして、たいらな
砂原はすくないくらいです。
【4】さばくのりょ
行で、こまるのは、あついことです。
日かげはないし、
砂はやけているし、
太陽のでているあいだは、とても、あるいてなどいられません。
【5】へディンは、
夜のうちにあるいて、
昼まは、
砂にあなをほり、その
中にねることにして、たびをつづけていきました。
昼まのあつさにひきかえて、さばくの
夜は、はんたいに、ぐっと
温度がさがります。【6】ときには、れい
度よりもひくくなり、しもがふることさえあります。
ですから、さばくをりょ
行する
人たちは、たいてい
毛おりのきものをきて、
毛おりのぬのを
頭にまいています。
これは、
昼まは、つよい
日ざしをさけ、
夜は、さむさをふせぐためなのです。
【7】さばくでは、
砂あらしというのも、おそろしいものです。
いままでしずかだったさばくに、とつぜん
風がふきだすと、
砂ぼこりで、まえをあるいている、なかまのすがたも、まったくみえなくなるほどです。
【8】さばくに
砂山がおおいのは、この
砂あらしのためにできたものですが、その
砂山もひとつところにとまっていないで、どんどんうごいていきます。
へディンがしらべたところによると、タクラマカンのさばくでは
一年のあいだに、
五十メートルも
砂山がうごいていたということです。
【9】そのために、むかし、タクラマカンさばくの
西のはしにさかえていた、たくさんの
町が、
砂の
下にうずまってしまいました。
この
砂の
下にうずまった
町については、ふるくから、いろいろとふしぎなことがつたえられていました。
【0】そこには、たくさんの
金や
銀がうずまっているのだが、だれひとりもちかえったものがいない。というのは、このさばくには、おそろしい
王がいて、
人びとが
金や
銀をさがしだしてよろこんでかえろうとすると、
道をまよわせて、
金や
銀をもとのところへかえすまでは、さばくをでることをゆるさないというのです。
(「
世界ふしぎめぐり
三年生」より
抜粋一部調整)
長文 5.2週
地球は
音よりはやい――
地球の
運動――
【1】むかし、キリスト
教の
教会では
神さまが
世界をお
作りになったとき、
人間のすんでいる
地球をまん
中にして、
太陽や、
月や、
星が、そのまわりをまわるようにしたのだとおしえていました。そして、そのころは、すべての
人が、そうしんじていたのです。
【2】コペルニクスは、
長いあいだ、
星をかんそくして、
(それはちがう。
太陽はうごかないでいて、
地球や、
月や、そのほかの
星が、
太陽のまわりを、ぐるぐるまわっているのだ。)
と、かんがえましたが、なかなかそれをいいだすことができませんでした。【3】というのは、そのころの
教会の
力は、たいそうつよくて、もしも、
教会のおしえにそむくことをいったら、どんなひどいめにあわされるかしれなかったからです。
けれども、コペルニクスは、ゆうきをだして、じぶんの
正しいとしんじていることを
本にしようとけっしんしました。【4】が、その
本ができあがったとき、コペルニクスは、びょうきで
死んでしまいました。
そのあと、コペルニクスのかんがえをせつめいしてあるいたブルーノという
学者は、
火あぶりにされ、さんせいする
本を
書いたガリレオは、さいばんにかけられました。
【5】このとき、ガリレオは、むりやりに、じぶんのかんがえをとりけさせられましたが、
「それでも、
地球はうごくのだ。」
と、つぶやいたということです。
こうして、
地球がうごくというかんがえは、
教会のきびしいはんたいにあいながらもだんだんにみとめられてきたのです。【6】
今では、
地球がうごいているということは、だれでも
知っている、あたりまえのことですが、むかしは、こんなにもたいへんなことだったのですね。
さて、
地球はこのように
太陽のまわりをまわっているのですが、ひとまわりするのに、およそ
三百六十五日かかります。
【7】わたしたちが、ふだん
一年とよんでいるのは、この、
地球が
太陽をひとまわりする
時間をいっているのです。
それでは、
地球は、どれくらいのはやさで、
走っているとおもいますか。
【8】おどろいてはいけませんよ。
一時間に、およそ
十万キロというはやさで
走っているのです。
特急「ひかり」が、いちばんはやく
走っているときで、
一時間に
二百二十キロ、
音よりはやいといわれる
ジェット機でも、
一時間に
千三百キロくらいのはやさですから、
地球のはやさとは、とてもくらべものになりませんね。
【9】わたしたちは、そんなにはやく
走っている
地球の
上にいて、よくたおれないものだと、ふしぎにおもいますね。それは、
地球には、
引力といって、ものをひきつける
力があって、
人間をひっぱっているから、たおれないのです。【0】
(「
世界ふしぎめぐり
三年生」より
抜粋一部調整)
長文 5.3週
牛のお
通りで
電車がとまる――
牛をうやまうインドの
人――
【1】
町のまん
中で、なにかじけんがあったのでしょうか。いままで
走っていた
電車がとまってしまいました。
自動車も、うごきません。
人ごみをのぞいてみますと、
牛が
二頭、
一頭は
電車のせんろに、
一頭はそれとならんで、のんきな
顔つきで、ねそべっています。
【2】「こまったなあ。はやくどいてもらわなくては、
通ることができない。」
と、
電車の
車しょうも、
自動車のうんてん
手も、こまった
顔です。
【3】つなをつけてひっぱるとか、ぼうでおいはらったらよいとおもいますが、だれも、そんなことをしようとおもわないようです。
【4】そのうちに、
牛はゆっくりとおきあがって、
町の
大通りを、さんぽでもするように、のそのそとあるいていきました。
電車も、
自動車も、なにごともなかったようにうごきだしました。
【5】これは、
日本のはなしではありません。インドのカルカッタという
町での、できごとなのです。
インドでは、こういったことはたびたびみられます。【6】インドの
人たちは
牛をたいへんだいじにします。だいじにするというよりも、
牛を、
神さまが、かりにすがたをあらわしたものだとおもってうやまうのです。
【7】ですから、カルカッタの
町にはなん
百頭という
牛が
野ばなしで、まい
日、のそのそとあるきまわっています。
町の
人たちは、まい
朝、その
牛に、たべものをささげます。
【8】ときには、
牛が
店さきのたべものなどを、しっけいすることもありますが、それでも、おこって
牛をおいはらうようなことは、けっしてしません。
牛が、
通り
道にねころんで、
通りをふさいだりしていても、
牛がうごきだすまで、のんびりと、まっているのです。
【9】インドでは、たいていの
人が
ヒンズー
教というおしえをしんじていますが、
ヒンズー
教のしん
者たちは、
牛ほどやくにたつ
動物はないとおもっているのです。【0】
(「
世界ふしぎめぐり
三年生」より
抜粋)
長文 5.4週
【
長文が
二つある
場合、
読解問題用の
長文は
一番目の
長文です。】
シベリアやアラスカといった、
寒さの
厳しい
地方で
暮らす
人々は、
古くから、
人や
物を
運ぶために、
犬ぞりを
使ってきました。シベリアン・ハスキーやサモエド、アラスカン・マラミュートといった
種類の、
寒さに
強く、
力持ちの
犬たちにそりを
引かせるのです。これらの
犬たちは、ふさふさした
毛と
厚い
脂肪を
持っているため、
北極の
氷の
上で
眠っても
平気です。また、
長い
距離を
走っても
耐えられる、すぐれた
体力の
持ち
主です。
なかでもハスキー
犬は、
探検家ピアリーやアムンゼンによる
北極や
南極探検に
使われ
有名になりました。また、ドッグレースや
犬ぞりレースで、いつも
優秀な
成績を
収めていました。
あるとき、アラスカのノームという
町に、ジフテリアという
恐ろしい
病気がはやりました。
現在では
多くの
国で
予防接種が
行われているので、ジフテリアはほとんど
流行することがありません。しかし、
当時はまだ、おおぜいの
人が
死ぬこともある
怖い
病気でした。ジフテリアの
症状を
抑えるには、ワクチンという
薬が
必要ですが、この
時ノームの
町では、ワクチンが
底をついてしまいました。あまりに
患者が
多かったからです。このままでは、
人々がどんどん
死んでしまいます。
ノームの
町からアラスカ
州の
政府があるアンカレッジに、
助けを
求める
連絡が
入りました。すぐにでも、ワクチンを
送らなければなりません。しかし、その
時はとても
天気が
悪く、
猛吹雪が
続き、
飛行機を
飛ばすことができません。
自動車でさえ
走れないようなひどい
嵐です。ワクチンをラクチンに
運べるような
状況ではありませんでした。
「そうだ。
犬ぞりで
運ぼう。」
政府は、そう
決断しました。そして、すぐさま
村々に
連絡が
行きました。ただちに
二十の
犬ぞりチームが、ワクチンを
届けるために
準備をしました。
外は、マイナス
五十度にもなる
厳しい
寒さと、
荒れ
狂う
吹雪です。この
中を、
二十の
犬ぞりチームは
五日間かけて
走り
通し、ワクチンは
無事にノームに
届けられたのです。このおかげで、
数百人の
命が
救われました。
このときの
働きをたたえて、ハスキー
犬の
銅像が、ニューヨークのセントラル・パークに
立てられています。また、この
出来事を
記念して、
毎年、
世界でいちばん
難しくいちばん
長い
犬ぞりレースがアラスカで
行われるようになりました。このレースは、アンカレッジからノームまでを
人間一人と
犬たち
十数匹で
走るレースです。ふつう、ゴールするのに
三週間くらいかかるそうです。
犬たちのがんばりも
相当なものですが、
人間の
根性もたいしたものです。こんなに
大変なレースの
後では、
犬たちに
号令をかけ
続けた
人間の
声もしわがれて、きっと「ハスキー・ボイス」になってしまうことでしょう。
寒い
地方で
使われる
犬ぞりのほかに、
日本にもさまざまなそりがあります。
有名なところでは、エビぞり、ひげそり、のっそり、ごっそり、もっそり、こっそり、ひっそり、げっそり、などです。
言葉の
森長文作成委員会(
τ)
【1】
哺乳類の
赤ちゃんは、
母親からミルクを
与えられて
育ちます。
動物のミルクの
成分は、みな
同じではなく、それぞれに
特徴があります。【2】たとえば、オランウータンやチンパンジーなどは、
母親がいつも
子供のそばにいてミルクを
与えることができる
生活をしているので、ミルクは
薄く、たんぱく
質と
脂肪が
少なくなっています。
【3】ところが、ライオンなどの
狩りに
出かける
動物は、
母親が
何時間も
留守にするため、その
間は
子供にミルクを
与えることができません。
長時間子供のお
腹を
満たしておく
必要があるので、ミルクは
濃く、たんぱく
質と
脂肪をたくさん
含んでいます。
【4】また、
寒い
地方や
水中にすむ
動物は、
体温をうばわれないように、
皮膚の
下にたくさんの
脂肪をたくわえています。この
仲間であるアザラシやアシカのミルクはとても
濃く、
脂肪がたくさん
含まれています。
【5】クジラやイルカの
赤ちゃんは、
水中でミルクを
飲みますが、まだ
赤ちゃんなので
長時間もぐっていることができません。そこで、
短い
時間でもたくさんの
栄養を
取れるように、やはり
濃いミルクになっています。
【6】
人間のお
腹の
中には、たくさんの
細菌がすんでいて、その
中には
役に
立つものと
病気のもとになるものがあります。
赤ちゃんのお
腹の
中にも、
生まれて
間もなく、さまざまな
細菌がすみつきはじめます。【7】
母乳には、
赤ちゃんにとって
役に
立つ
微生物が
増えるための
成分や、
病気のもとになる
細菌を
増やさないようにする
成分が
入っていて、
赤ちゃんの
健康を
保つ
大きな
役割りを
果たしています。
【8】
赤ちゃんが
生まれて
間もないころの
母乳は、
初乳と
呼ばれています。
人間の
体には、
外から
入ってきた
病気のもとを
撃退するための
免疫というシステムがありますが、
生まれたばかりの
赤ちゃんは、まだ
免疫を
十分に
持っていません。【9】
初乳には、お
母さんが
持っている
免疫物質がふくまれていて、それが
赤ちゃんの
体の
中で
吸収されて、いろいろな
病気から
赤ちゃんを
守っているのです。
おっぱいには、このようにいろいろなものがいっぱい
入っています。
【0】しかし、
赤ちゃんが
大きくなり、
自分でご
飯が
食べられるようになると、やがて
赤ちゃんは
自分の
力で
生きていくようになります。
そこで、「おっぱいさん、グッパーイ」となるわけです。
言葉の
森長文作成委員会(
κ)
長文 6.1週
【
長文が
二つある
場合、
音読の
練習はどちらか
一つで
可。】
【1】「やった!
跳べた。」
高田さんが
跳べたとき、クラス
中のみんながざわめきました。
高田さんはそのまま
動きません。じっと
立っています。
女子が
何人かかけよりました。うれしそうな
声をあげながら、
高田さんの
肩をゆすったり、
背中をたたいたりしています。【2】やっと、
高田さんが
顔をあげてこちらを
向きました。
「みんな、ありがとう。」
とても
小さな
声で、あまり
聞きとれませんでしたが、
確かに
口がそう
動きました。
誰からともなく
拍手が
起こります。パチパチパチパチ。【3】このクラスで
最後の
体育の
授業、ずっと
跳び
箱を
跳べなかった
高田さんがついに
跳んだのです。クラスの
誰もが
待ち
望んでいた
瞬間でした。
跳び
箱の
授業は、
二月に
入ってから
始まりました。【4】みんなが
大はしゃぎで
段を
上げている
中で、
高田さんは
何度跳んでも、
跳び
箱にまたがって
止まってしまうのでした。
「まだ、
跳べないの。」
と
言う
人もいました。
跳ぶ
前に、
「ドッスーン。」
などとからかう
人もいました。【5】もし、ぼくが
高田さんだったら、とっくに、できないと
言って
投げ
出してしまったことでしょう。
しかし、
高田さんは、あきらめませんでした。
何度も
何度も
挑戦していました。【6】
放課後、
先生と
練習している
日もありました。その
姿に、それまで
冷やかしたり
笑ったりしていた
人も、だんだん
応援するようになったのです。
やがて
体育は
次の
種目になりましたが、
特別に
高田さんのために
跳び
箱が
用意されました。【7】
高田さんは、
毎回黙々と
練習していました。クラスでいちばん
早く
七段を
跳べるようになった
川上君が、
何度もアドバイスしていました。
「
踏み
切りが
大事だから。そう、もう
一回やってみて。」
【8】また、
女子は
声をそろえて、
「
惜しい!」
「もう
少し!」
と
声をかけました。
先生の
出る
幕は、もうないくらいでした。
チャイムが
鳴って、
体育の
時間が
終わりました。みんなで
高田さんを
取り
囲むようにして、
体育館をあとにしました。【9】
高田さんの
顔は、まだ
真っ
赤だけれど、
何だか
輝いているように
見えました。やればできる。がんばればできないことなんかない、という
声がどこからか
聞こえてくるようでした。【0】
(
言葉の
森長文作成委員会 φ)
地球と
月のひっぱりっこ――みち
潮とひき
潮――
【1】
春になると、みなさんのなかには、おとうさんやおかあさんにつれられて、
潮ひがりにいく
人もあることでしょう。
潮ひがりは、たのしいものですね。
【2】ふだん
水のあるときには、
貝がみえないのに、
潮がひくと、くまでで、ちょっとかいただけで、いくらでも、
貝がでてくるのですからね。
海の
水は、へいきんして
一日に
二かいずつ、みちたり、ひいたりしています。【3】それは、まるで、
海がゆっくりといきをしているみたいです。
どうして、こんなことがおこるのでしょうか。
潮のみちひは、
月や
太陽が、
海の
水をさかんにひっぱるために、おこるのです。
【4】
地球の
運動のところで、
引力のことをお
話ししましたが、
地球ばかりでなく、
太陽でも
月でも、そのほかの
星でも、すべてのものはたがいにひっぱりあっています。【5】
引力は
大きなものほどつよいのですが、
近くにあるものは、
小さくても、
遠くにあるものより、つよく
引力をはたらかせます。
【6】たとえば、
太陽の
引力は、
月よりはるかに
大きいのですが、
地球からのきょりがずっと
遠いので、
海の
水をひっぱる
力は、
小さな
月のほうが、
太陽より
二ばい
半もつよいのです。
【7】ですから、
潮のみちひは、おもに
月の
引力のためにおこるとかんがえて、さしつかえありません。
月のひっぱる
力は、
近いところにあるものほどつよくはたらきます。【8】ですから、
地球の
上で、
月とむかいあっているところには、
月の
引力がいちばんつよくはたらき、
海の
水が
月のほうへひっぱられてもりあがり、みち
潮となります。【9】これにたいして、
地球の
上で
月と
反対のがわにあるところは、
月からいちばんはなれているので、
月の
引力はいちばんよわくなっていますが、ここでは、
月とはんたいのほうこうに、
地球の
遠心力がつよくはたらいているので、
月とはんたいのほうへ
海の
水がもりあがって、やはり、みち
潮となります。【0】
(「
世界ふしぎめぐり
三年生」より
抜粋)
長文 6.2週
家ちくといっしょにテントのたび――モンゴルの
人のくらし――
【1】わたしたちのくらしかたは、まず
家をつくって、そこにおちついてくらします。
学校へいくのも、おつとめにでるのも、その
家からです。
よほどのことがなければ、ひっこしはしません。
【2】ところが、
村ぜんたいが、いつもひとところにおちついていないで、
家をもって、あちこち、ひっこしてあるく
人たちがいます。
モンゴルの
人たちが、そうです。
【3】モンゴルは、あつささむさのちがいが、たいへんはげしいところで、しめりけがすくなく、
土地がひじょうにかわいています。
そのため、さばくやひろい
草原がひろがっており、おおくの
人びとが、
牛、うま、らくだ、ひつじ、やぎなどをかってくらしています。【4】そして、いつも
水や
草のあるところをさがして、つぎつぎとひっこしてあるくのです。
ふつう
一けんの
家で、ひつじを
二、
三百頭、
牛を
五十頭、
馬を
二十頭くらいもっています。【5】ですから、
村全体がひっこすとなると、たいへんなさわぎとなります。
しかし、
家は、ごくかんたんなもので、おりたたみができますから、たいしてせわはありません。
【6】やなぎの
木をくみあわせて、ほねぐみをつくり、それにひつじの
毛がわを、すっぽり
上からかぶせただけのすまいです。この
家のことを、パオといっています。
【7】パオは、くみたても、とりはずしも、
二、
三時間でできてしまうたいへんべんりな
家です。
モンゴルの
人たちのたべものは、おもに、ひつじや
牛のちち、にくなどです。【8】
朝は、チャオミイといって、ひつじのちちをいれたお
茶に、いった
粟をいれてたべます。
夕はんは、ゴリルといって、ひつじのにくに、うどんをまぜてにたものです。そして、
一日のうちに、なんかいもお
茶をのみます。【9】このお
茶は、ひつじの
毛がわととりかえて、
手にいれます。
ねんりょうには、ひつじや
牛のあぶらのほか、
牛のふんをかわかしたものをつかっています。パオも、ひつじの
毛がわでつくったものです。【0】
(「
世界ふしぎめぐり
三年生」より
抜粋)
長文 6.3週
遠くへたびをする
鳥――わたり
鳥のいろいろ――
【1】
春になると、つばめが
南の
国からとんできて、
家ののき
下などにすをつくるのを、みなさんは
知っていますね。
そこの
家の
人たちは、
「ああ、ことしもまた、つばめがやってきた。【2】よくわすれないで、くるもんだ。かわいいものだな。」
といって、じぶんの
子どもが、
長いたびからかえってきたように、かわいくおもうものです。
つばめは、くるそうそう、どろをくわえてきては、もとあったすの
手いれをして、やがて、そこにたまごをうみます。
【3】ひながかえると、こんどは、せっせとえさをさがしてきて、ひなをそだて、
秋になると、
大きくなった
子つばめをつれて、また
南の
国へかえっていきます。
南の
国って、いったいどこでしょう。
【4】おどろいてはいけませんよ。フィリピンとかインドネシアとか、
海をこえた、
遠くのほうなのです。
これとはんたいに、
秋になると、
北の
国から
日本にやってきて、
冬のあいだじゅういて、
春にかえっていく
鳥もあります。
【5】がんや、かもなどが、そうです。
これは、どこからくるのかというと、ずっと
北のほうの、シベリアとか、カムチャッカという、さむいところからです。
夏のあいだじゅう、そこで、ひなをそだてて、
秋に
日本へやってくるのです。
【6】このように、
遠くからたびをしてくる
鳥を、わたり
鳥といっていますが、そのうちで、つばめのように
夏のあいだ
日本にいる
鳥を、
夏鳥といいます。
そして、がんや、かものように、
冬のあいだいる
鳥を
冬鳥といっています。
【7】
冬鳥には、このほか、つる、つぐみ、まひわなどがあります。
ほととぎすやかっこう、つつどり、おおるり、さんこうちょう、ぶっぽうそうなどは、
夏鳥です。
【8】うぐいすも、
春になると、
町の
近くにやってきます。けれど、これは、
夏のあいだ
山にすんでいて、
冬になると、あたたかい
海べや
野原にでてきて、そこでひなをうみ、
春のあいだ、
平野にすんでいるのです。
【9】うぐいすのほかにも、ひよどりや、もずなどは、
山と
平野のあいだだけを、いったりきたりしているのです。
こうしてみると、たいていの
鳥がたびをしているみたいですね。
それでも、ひとつところにいて、どこにもたびをしない
鳥も、いることはいます。
【0】みなさん、ごぞんじでしょう。
すずめ、からす。これは、たしかに、
一年じゅう、わたしたちの
目のまえをとんでいますね。
(「
世界ふしぎめぐり
三年生」より
抜粋一部調整)
長文 6.4週
【
長文が
二つある
場合、
読解問題用の
長文は
一番目の
長文です。】
コロンブスの
時代、
人々はまだ、
地球が
丸いとは
思っていませんでした。そのころ、ヨーロッパ
諸国は、
貿易を
行い
キリスト教を
広めるため、さかんに
船で
東方にあるアジア
進出を
目指していました。この
時代を
大航海時代と
呼んでいます。
イタリア
生まれのコロンブスは、
東を
目指す
人々とは
異なる
考えを
持っていました。
彼は、
地球が
丸いことを
信じていました。アフリカの
南をまわってアジアを
目指すよりも、
大西洋を
西へ
進んだほうが、ずっと
早くアジアにたどり
着けるはずだと
考えたのです。もう
一つ、コロンブスに
航海を
決心させたものがあります。それは、マルコ・ポーロの「
東方見聞録」でした。そこに
書かれていた、
黄金の
国ジパング(
日本)は、ヨーロッパの
人のあこがれの
的でした。
彼はスペインの
女王の
援助を
受け、サンタ・マリア
号に
乗って、
西回りでアジアに
行く
計画を
実行することになりました。
このとき、コロンブスが
要求したことは、もしインドを
見つけたらその
宝の
十分の
一を
自分がもらうこと、
発見した
土地の
総督になること、スペインの
貴族になることなどでした。
当時、
遠洋航海には
莫大な
資金が
必要でした。このため、イギリスやフランスは、コロンブスの
提案を
受け
入れることができませんでした。コロンブスにとってもスペインの
女王にとっても、
航海は
大きな
賭けだったのです。
サンタ・マリア
号の
乗組員たちは、
地図にも
載っていない
未知の
海域へと
航海に
出ました。そして、
二か
月以上の
航海を
経て、ようやく
陸地を
見つけることができたのです。コロンブスの
考えでは、そこはアジアのはずでした。
地球儀を
見るとわかりますが、ヨーロッパから
西に
向かって
大西洋を
横断すると、
巨大な
アメリカ大陸にぶつかります。
アメリカ大陸を
越えて
広い
太平洋を
横断しなければ、アジアに
到着することはできません。
実際の
地球は、コロンブスが
考えているより、ずっと
大きかったのです。
アメリカ大陸の
存在を
知らなかったのですから、コロンブスが
新大陸をアジアだと
思ったのも
無理はありません。コロンブスは、
上陸した
島々に
名前をつけ、スペインの
領土としました。
当時、インドという
言葉は
漠然とアジア
全体を
指す
言葉としても
使われていました。
アメリカ大陸にもともと
住んでいた
人々を、コロンブスはインドの
人という
意味でインディオスと
呼びました。
スペインに
帰ったあと、
彼の
発見はたいへんな
評判になりました。
彼は
一生、
自分が
発見した
陸地をアジアだと
信じていたそうです。
コロンブスのタマゴの
話は
有名です。この
話を
聞いて、ある
人が
同じようにタマゴを
立てようとすると、タマゴはうまく
立たずに、コロン。その
人はブスっとしていたそうです。はい、
縮めて
言うと、コロン。ブス。
言葉の
森長文作成委員会(
κ)
【1】
七五三というのは
年のことですが、
実際は
六歳や
四歳でおいをすることがあります。
七五三の
年は、
数え
年というもので、
実際の
年より
一つか
二つ
上になります。どうしてこういう
年の
数え
方をするのでしょう。
【2】
今は
誕生日がくると
一つ
年をとる
満年齢が
普通です。しかし、
昔はそうではありませんでした。
新しい
年がくると、みんないっせいに
一つ
年をとったのです。
【3】お
年玉というのは、もともと
年の
魂のことで、お
正月に
年の
魂であるお
餅を
食べて、
年を
一つとったというわけです。
この
数え
年の
考え
方は
東洋のもので、
西洋では
昔から
今のような
満年齢の
数え
方でした。【4】
西洋では、
赤ちゃんが
生まれてきたときから、
年齢を
数えます。しかし、
日本では、お
母さんのおなかにいるときから
赤ちゃんの
年齢を
数えるため、
生まれた
瞬間に
一歳としました。【5】もし、
十二月三十一日に
生まれたとしたら、その
赤ちゃんは
生まれたときにもう
一歳です。そして、
次の
日に
元旦を
迎えると、すぐに
二歳になるのです。
【6】だれもが
同じ
一月一日に
一つ
年をとるというのは、それだけ
年が
改まるお
正月の
意味が
大きかったからなのかもしれません。
今の
満年齢の
数え
方になったのは、
第二次世界大戦後のことです。【7】
生まれた
日から
数える
満年齢の
考え
方は、それなりに
正確で
実用的です。しかし、お
正月にお
餅を
食べていっせいに
年をとった
古き
時代のやり
方には、
等しく
命を
大事にする
文化があったように
思えます。
【8】お
正月は、お
雑煮のお
餅を
食べながら、モチっと
日本の
文化について
考えてみるのもいいかもしれません。
七五三は、
三歳五歳七歳でおいをします。【9】どうして、
年齢の
順に
三五七と
言わないかというと、
次のようなことがあるからです。
「えーと、そろそろうちの
子も、あれだな。あの
三五、えーと
三五……」
「
十五でしょ」【0】
言葉の
森長文作成委員会(
α)