(Translated by https://www.hiragana.jp/)
課題集
長文ちょうぶん 7.1しゅう
【1】「あら、なつかしい。」
 ははこえをあげました。おばあちゃんのいえ改築かいちくすることになって、荷物にもつ整理せいりったときのことです。ははには、手紙てがみたばにぎられていました。いろとりどりの便箋びんせん封筒ふうとう、かわいらしいメモちょうはしなどがたくさんてきました。
【2】「むかしは、携帯けいたいやメールなんかなかったでしょう。だから、こんなふうに手紙てがみ交換こうかんしていたのよ。」
ははいます。するとおばあちゃんがわらいながら、
毎日まいにち学校がっこうともだちともやりりしていて、よくそんなにくことがあるものだとおもったわ。」
いました。
 【3】ははすこずかしそうでしたが、わたしせてもらうことにしました。手紙てがみのほとんどは、いまでも家族かぞくぐるみでつきあいのあるはは同級生どうきゅうせいからのものです。とくにおもしろかったのは、よん年生ねんせいのときにダジャレに夢中むちゅうになっていたころの手紙てがみです。
【4】「大沢おおさわ先生せんせいのおおさわぎ」「そんなシャレやめなシャレ」「体育たいいくく?」
などといてあり、大沢おおさわ先生せんせいらしいふとったおとこひとのイラストがありました。さらに、
真衣子まいこ、まーいい。」
はは名前なまえ使つかったダジャレもありました。
 【5】そのほかに、秘密ひみつ手紙てがみもありました。封筒ふうとう表書おもてがきに「真衣子まいこへ。だれにもせないでね」とあったので、わたしすこしどきっとしました。封筒ふうとうなかには、いろあせた水色みずいろのびんせんがはいっていて、ちいさなでぎっしりとぶんいてありました。
 【6】わたしはそれをみたかったけれど、はははこれはだめ、とさっとかくしてしまいました。わたしはきっときなはなしいてあるのだな、とおもいました。わたしだってもうよん年生ねんせいだからわかるのになあ。
 【7】おばあちゃんは、はこのほこりをはらいながら、
「ママはね、小学生しょうがくせいのころは、とてもおとなしかったのよ。授業じゅぎょう参観さんかんってもほとんど発言はつげんしないようなでね。」
おどろくようなことをいました。いまははからはまった想像そうぞうできません。
【8】「ねえねえ、いつからいまみたいにうるさくなったの?」
くと
「あなたがまれてからかしらねえ。」
と、おばあちゃんがこたえました。わたしは、人間にんげんってわるものだなとしんなかおもいました。ははらぬかおで、むかしほんたばねています。
 【9】わたしは、もしどものころのははいまおなじクラスだったら、わたしたち、仲良なかよくなるかなあとかんがえました。なんとなく、このみもていそうだし、はなしいそうだなとおもいます。わたしたのしくなってきて、
「おはよう、真衣子まいこ。」
こえないようにつぶやいてみました。【0】

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長文ちょうぶん 7.2しゅう
 世界中せかいじゅう簡単かんたんたびすることができなかったむかし人々ひとびとにとって、ウミガメが毎年まいとしまったぶしになると海岸かいがんにやってきてたまごんでいく様子ようすは、神秘しんぴてきだったことでしょう。そんなウミガメから、りゅう宮城みやぎりゅうぐうじょうというゆめのようなはなしまれたのかもしれません。
 では、日本にっぽんにやってくるウミガメには、どんな種類しゅるいがあるのでしょうか。日本にっぽん列島れっとう四季しきがはっきりしているので、ぶしによって気温きおん海水温かいすいおんおおきくわってきます。そのなかで、日本にっぽんたまごみにくるのは、アカウミガメ、アオウミガメ、タイマイなどのカメです。関東かんとう地方ちほうよりみなみ海岸かいがんたまごむアカウミガメは、はるになると日本にっぽん近海きんかい姿すがたをあらわします。アオウミガメは、屋久島やくしまよりみなみたまごみ、タイマイは沖縄おきなわ本島ほんとうよりみなみたまごみます。
 産卵さんらん場所ばしょとなる海岸かいがんおきには、オスがメスよりいちヶ月かげつまえっています。やがてメスがやってくる時期じきになると、オスたちはメスのあとをついてまわるとともに、オスどうしではげしくあらそい、メスをうばいます。かんだり、ぶつかったり、オールのようなあしではたいたりと、とても迫力はくりょくがあり、水族館すいぞくかんでゆったりおよいでいるときの姿すがたからは想像そうぞうもつかないほどです。その、オスは産卵さんらん場所ばしょのまわりのうみから姿すがたします。メスはちかくの砂浜すなはま上陸じょうりくして産卵さんらんします。
 お風呂ふろやプールにはいると、からだかるかんじられます。それは、みずなかにつかっているものには浮力ふりょくはたらくからです。海中かいちゅうのウミガメは、浮力ふりょくのおかげでおもさが陸上りくじょうにいるときよりもずっとかるくなります。しかし、浮力ふりょくはたらかない陸上りくじょうでは自由じゆうからだうごかすことができません。うみからがってたまごむときには、外敵がいてきから自分じぶんたまごまもることもできなければ、すばやくげることもできません。そのため、産卵さんらんをひかえたメスは、よるになってから用心深ようじんぶか砂浜すなはま上陸じょうりくし、安全あんぜんたしかめてから産卵さんらんにとりかかるのです。
 アカウミガメは、左右さゆううしあし交互こうごにシャベルのように使つかって、おおきなあなり、一回いっかいひゃくほどのたまごみます。いちとうのメスは、なつ産卵さんらんあいだおおいときでろくかいくらいたまごみます。
 では、ウミガメは危険きけんをおかしてまで、どうしてりくたまごむのでしょう。ウミガメは、陸上りくじょう生活せいかつできるように進化しんかしてきた爬虫類はちゅうるい仲間なかまです。爬虫類はちゅうるいかわいた場所ばしょでもからだ水分すいぶんそとていかないように、丈夫じょうぶなウロコのような皮膚ひふからだをおおっています。たまごも、水中すいちゅう魚類ぎょるい両生類りょうせいるいのものとちがい、鳥類ちょうるいたまごのようにからつつまれています。ウミガメのたまごは、からとおしていきをしており、水中すいちゅうだといきができずにんでしまうのです。このため、ウミガメは一生いっしょうだい部分ぶぶんうみらすようになったいまでも、たまごだけはろくみにくるのです。
 ウミガメのひとりごと、「わたしも、本当ほんとうは、うみでウミたいわあ」。

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長文ちょうぶん 7.3しゅう
 【1】ちち母国ぼこくをはなれたあと、ははさんにんそだちざかりのむすこをかかえ、けんめいにきてきました。「牛乳ぎゅうにゅうとやさいをうるみせがちかくにないから、あなたがやってみては。おかねようだてます。」と、しんせつな友人ゆうじんがすすめてくれ、いえのすぐそばにちいさなみせをひらきました。【2】もうけはみじめなほどすくないのですが、ともかく毎日まいにちいくらかでもおかねがはいってくるのはたすかります。
 それでもときには、あすのおかねにもこまることがありました。そこでロベルトとリュドビグの兄弟きょうだいは、アンデルセンの童話どうわそっくりのアルバイトをしました。【3】まちかどにって、通行人つうこうにんにマッチのわけうりをし、銅貨どうかをいくまいか、かせいだのです。
 ロベルトとリュドビグが、ほこらしげにそののうりあげをははにわたすのをみたとき、アルフレッドは、どれほどじぶんをなさけなくおもったかしれません。【4】からださえじょうぶなら、あにたちにけっしてまけてはいませんのに……。
 アルフレッドがをうしなってたおれた数日すうじつゆきには、こんなことがありました。
 【5】てんから昼食ちゅうしょくのしたくにかえったははが、ロベルトにいちまいの硬貨こうかをわたし、「パンとすづけにしんをかってきてちょうだい。それでおひるをすませましょう。」とたのみました。
 【6】ロベルトはふたつへんじででかけていったのですが、いつまでももどってきません。
「どこまでいったのかしら……。」
 しびれをきらしたははが、ドアをあけると、そこにロベルトがっていました。そまつながいとうをゆきでぐっしょりぬらし、あおざめてふるえながら。
【7】「ぼく、おかねゆきのなかにおっことしたんだ。いくらさがしてもみつからなくて……。」
 じゅうさいの、ちちににてがっしりしたからだのロベルトがなきじゃくりました。硬貨こうかをしまったポケットにあながあいていたのです。【8】ははの、なかみのとぼしいさいふのことをおもって、ロベルトは、きっと、とほうにくれてしまったのでしょう。
(かわいそうに、ロベルトにいさん……。)
ベッドのなかのアルフレッドは、しんでよびかけました。
【9】(ひるごはんくらい、たべなくてもへいきなのに……。)
「おばかさんねえ……。」
 ロベルトをだきしめて、ははがわらいました。
ゆきのなかに貯金ちょきんしたとおもえばいいじゃない。」
「そうさ。」
と、リュドビグ。
【0】「でも、ゆきがとけたとき、フレイのやつがさきに貯金ちょきんをみつけなきゃいいけどなあ。」
 フレイというのは、リュドビグのけんかなかまなのです。
 みんな、おもわずふきだしました。
 それからははよんにん家族かぞくは、ひとさらずつのスープを、フーフーふきながらのみ、ほかになんにもたべなくても、しんはみちたりていました。たがいのあたたかい理解りかい愛情あいじょうとユーモアでむすばれていましたから。
 
(「ノーベル」大野おおのすすむちょより)


長文ちょうぶん 7.4しゅう
 ドイツの心理しんり学者がくしゃが、あじには、塩味しおあじしおみ酸味さんみ甘味あまみ苦味にがみよっつの基本きほん要素ようそがあって、どんなあじもそのわせでできているというせつ発表はっぴょうして以来いらい基本きほんあじについてはもうこれ以外いがいにないとおもわれていました。しかし、味覚みかく研究けんきゅうしていた日本人にっぽんじん化学かがくしゃたちは、これにもうひとつ、旨味うまみくわえるべきだと主張しゅちょうしました。
 この旨味うまみ成分せいぶん発見はっけんし、はじめて学会がっかい報告ほうこくしたのは、池田いけだ菊苗きくなえきくなえ 博士はかせはくしです。博士はかせはくしはある夕飯ゆうはんべていて、つまつくったおもののあまりのおいしさに感動かんどうおぼえたのです。そして、「このあじは、よっつの基本きほんあじだけでせるあじではない」と確信かくしんし、旨味うまみ研究けんきゅうりかかりました。
 おもののだしは、昆布こぶでとられていました。そこで博士はかせはくしは、よんじゅうキログラムもの昆布こぶからだしじるつくり、そこから旨味うまみ以外いがいのすべての成分せいぶんのぞいていくという、とおくなるような作業さぎょうつづけました。そして最後さいごのこった旨味うまみ正体しょうたいが、グルタミン酸ぐるたみんさんという物質ぶっしつであることをつきとめたのです。池田いけだ博士はかせはくしはこれを学会がっかい報告ほうこくするとともに、調味ちょうみりょうとして大量たいりょう生産せいさんする方法ほうほう発明はつめいしました。そしてこの旨味うまみもとは、「あじもと」として商品しょうひんされされました。
 旨味うまみ成分せいぶんは、池田いけだ博士はかせはくし発見はっけんしたグルタミン酸ぐるたみんさん以外いがいにもあります。たとえば、煮干にぼししや鰹節かつおぶしのだしの旨味うまみはイノシンさんしシイタケやマツタケの旨味うまみはグアニルさんです。だしのあじ外国がいこくにもないわけではありません。西洋せいよう料理りょうりには肉類にくるい香味こうみ野菜やさい煮込にこんでとるスープストックやブイヨンとばれるだしがあります。中華ちゅうか料理りょうりでは、にわとりとりガラやしエビ、白菜はくさいやネギなど、やはりさまざまな材料ざいりょう煮込にこんで「たん」とばれるだしをつくります。
 このように旨味うまみたしかにあじをよくする成分せいぶんであるとはみとめられていましたが、旨味うまみだい基本きほんあじであるということは、世界せかい人々ひとびとになかなかれてもらえませんでした。しかし、最近さいきんになってようやく、旨味うまみだいあじとしてみとめられ、そのまま「UMAMIウマミ」という用語ようごとなって世界中せかいじゅうられるようになったのです。
 それでは、旨味うまみは、なぜおいしくかんじられるのでしょうか。それは、旨味うまみ成分せいぶんが、わたしたちのからだつくるためにかせないものだからだとわれています。グルタミン酸ぐるたみんさんアミノ酸あみのさんというグループにぞくし、イノシンさんやグアニルさん核酸かくさんばれるグループにはい化学かがく物質ぶっしつです。そして、この両方りょうほうともが、わたしたちのからだつくるのにとても必要ひつようなものなのです。つまり、からだほうで、ちゃんとこれらをおいしく、たくさんむようにできているのかもしれません。
 旨味うまみ少量しょうりょうしおはいることで、よりつよくなります。また、ちがうグループの旨味うまみわせることによっても、ぐんとおいしさががることがあります。したがって、うまく旨味うまみ利用りようすることで、かえって塩分えんぶんらしたり、よりおいしい味付あじつけにしたりすることも可能かのうになるのです。
 ところで、昆布こぶ旨味うまみ発見はっけんした池田いけだ博士はかせはくしは、ロンドンに留学りゅうがくしていたとき、おなじくロンドンに留学りゅうがくしていた文学ぶんがくしゃ夏目なつめ漱石そうせきっています。もしかすると、夏目なつめ漱石そうせきと、「日本にっぽん料理りょうりのおいしいだしのあじこいしいなあ」などとはなしをしていたのかもしれません。

 旨味うまみ研究けんきゅうは、いちはいのおものからはじまりました。
 昆布こぶのだしによろコンブ池田いけだ博士はかせはくし笑顔えがおが、研究けんきゅう出発しゅっぱつてんだったのです。

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長文ちょうぶん 8.1しゅう
【1】「あつっ。」
 ぼくは、おもわずゆびめました。しかし、うしろをいているははには気付きづかれませんでした。今夜こんやは、ぼくのだい好物こうぶつとりからあげからあげです。あつあつのとりならぶおさらから食欲しょくよくをそそるかおりがただよってきます。
 【2】ぼくは、おもわずばしてしまったのですが、げたてだったせいで、人差ひとさゆびにやけどをしてしまいました。ぼくはなにわぬかおで、そっと洗面せんめんしょき、ゆび流水りゅうすいやしました。ははなにらずに、ものつづけています。
 【3】そのからあげからあげは、ぼくが下味したあじをつけるのを手伝てつだったのです。ショウガやニンニクをすりおろしたり、さけやしょうゆをれたり、片栗粉かたくりこをまぶしてなじませたりするのがぼくの仕事しごとでした。だから、どんなあじ仕上しあがったかたしかめたかったのです。
 【4】ぼくは、ゆびつめたくなるまでやすと、ふたたびキッチンにかいました。さっきのからあげからあげはべごろにめているはずです。のれんをあげて、テーブルにをやると、
「あ、あれ? ないっ。」
 からあげからあげのおさらはなくなっていました。
【5】「とりげないでえ。」
とぼくは、いそうになりましたが、がまんして、冷静れいせいにまわりを見渡みわたしました。なんと、おさらははよこのレンジだい移動いどうしていました。ぼくは、まだべていないのにとしんなかさけびました。
 【6】はははニヤッとして、さいばしではさんだとりってあぶらりながら、
残念ざんねんでした。」
いました。さらに、
みずぶくれにならなかった?」
きました。ぼくは、さっきのつまみぐい未遂みすいははっていたのだなあとあせりました。
 【7】ちちもつまみぐいの常習犯じょうしゅうはんです。会社かいしゃからかえって、まずキッチンに直行ちょっこうし、テーブルのうえをチェックします。そして、いてあるものをひょいとくちれてしまいます。すると、ははかならず、
「きちんとあらってから! うがいもしてから!」
うのです。
 【8】ちちは、はいはいといながら洗面せんめんしょえます。そんなときのちちは、まるでしかられた子供こどものようです。ちちなん注意ちゅういされているのに、堂々どうどうとつまみぐいをするところがぼくとちがいます。
 【9】ぼくは、昨日きのううまいいいわけかんがきました。つまみぐいをしかられたら、ママの料理りょうりがあんまりおいしそうだからだよ、とうのです。これならつかってもしかられません。しかし、「そんないいわけしていいわけ」とわれるかな。【0】

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長文ちょうぶん 8.2しゅう
 はねには、様々さまざま用途ようとがあります。あるときには婦人ふじん帽子ぼうしかざり、女性じょせいうつくしさを際立きわだたせます。べつのときにはペンになり、ラブレターをつづるかもしれません。またあるときにはコートの中綿なかわたになり、わたしたちをあたたかくつつんでくれます。
 しかし、はねのありがたみをいちばんかんじているのは、なにといってもとりたちでしょう。はねがなければぶことができません。さらに、うつくしいはねは、つがいの相手あいてとなるパートナーをひきつけるのにも役立やくだちます。また、とりさむさからまも役目やくめたします。これらのてんでは、とりたちも人間にんげんとあまりわりません。もっとも、はねをペンのわりにするとりはいないようですが。
 鳥類ちょうるいはねっていることはひろられていますが、そのつくりをじっくりながめたことのあるひとはあまりおおくないかもしれません。はねじつ見事みごとにデザインされています。
 風切かざきりかざきりばね中心ちゅうしんにははねささえるじくはしっています。よくるとその裏側うらがわには一本いっぽんみぞきざまれています。このちょっとした工夫くふうのおかげでじく強度きょうどたかまり、がったりよじれたりしてもれにくくなっています。
 鳥類ちょうるいはまた、普通ふつうはねあいだに、いとのような細長ほそながはねっています。このはね根元ねもとにある一種いっしゅ感覚かんかくは、はねみだれをとりらせます。はねみだれてきたという信号しんごうると、とりつばさやすめ、くちばしではねづくろいをしてはねととのえます。この感覚かんかくはまた、んでいる速度そくどとり判断はんだんするのに役立やくだっているのではないかともわれています。
 表面ひょうめんからえるはねしたには、ダウンとばれる綿めんわたばねがぎっしりとえています。カモの場合ばあい、そのあつさはニセンチちかくにもなります。綿めんわたばね断熱だんねつせいすぐれており、ふゆられるようなさむさも、ダウンのコートがあれば平気へいきです。
 はねのおかげで、とり人間にんげんもファッションをたのしむことができ、さらにはさむさをしのぐこともできます。とりはねは、まさに「いちせきさんちょうさんちょう」あるいはそれ以上いじょうはたらきをしています。しかし、まれつきそういうはねっているカモたちにとっては、たりまえのことなのカモしれません。

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長文ちょうぶん 8.3しゅう
 【1】ニトログリセリンのグリセリンは、せっけんをつくるときにできる副産物ふくさんぶつです。ねばっこいえきで、くすりや、機械きかいのうごきをなめらかにするためのあぶらとしてつかわれます。【2】「硝酸しょうさん変化へんかさせたグリセリン」というのが、ニトログリセリンのいみですが、じっさいには、とくべつのそうちで、こい硝酸しょうさん硫酸りゅうさんをまぜたえきに、水分すいぶんをとりさったグリセリンをそそいでつくります。
 【3】これくらいのことは、技術ぎじゅつ雑誌ざっしにしたしんでいるアルフレッドには、とっくにわかっています。
(つくりかたがわかっても、ばくはつをコントロールすることにはやくだたないなあ……。)
 【4】そうおもいながら、アルフレッドは、いくどか、ちいさなばくはつ実験じっけんをこころみました。けれども、ニトログリセリンは、うんともすんともいわないか、とんでもないときにばくはつして、きもをひやさせるかです。
【5】「いずれにしても、導火どうかせんもちいなければならないよね……。」
 アルフレッドが、ちえをかりにいったジーニン先生せんせいは、大学だいがく研究けんきゅうしつでいいました。
 【6】導火どうかせんは、黒色こくしょく火薬かやくかみいとでまいてつくったせんです。もとにをつけると、シューッともえていき、ばくやくをばくはつさせるのです。
【7】「……そうなんです、先生せんせい。まさか大量たいりょうのニトログリセリンを、てつのはりでばくはつさせるわけには、いきませんものね。いのちあってのものだねです。」
【8】「しかし、導火どうかせんでは、ばくはつしない……と。あたえるショックがちいさすぎるのかなあ。」
【9】「そうかもしれません。といって、導火どうかせんをうんとふといものにすると、もちはこびのとき、きけんですし……。」
 アルフレッドは、そうこたえながら、「あたえるショックをつよめるには?」と、ノートにメモしました。【0】
 
(「ノーベル」大野おおのすすむちょより)


長文ちょうぶん 8.4しゅう
 文字もじは、はじせきなどにきざまれていました。しかし、それでは時間じかんもかかるし、おもすぎてはこぶこともできません。人間にんげんが、カイコのまゆからきぬぬのつくったり、植物しょくぶつから繊維せんいをとりしてぬのつくったりすることができるようになると、そのぬのつく技術ぎじゅつ利用りようして、かみ発明はつめいすることができるようになりました。かみは、やすうえに、かるくて、しかもうすいので、なんまいかさねて使つかうことができました。このかみ発明はつめいで、文字もじ人間にんげん社会しゃかいひろがるようになったのです。
 日本にっぽんにも、いちろく〇〇ねん以上いじょうまえに、中国ちゅうごくからかみつく方法ほうほうつたわってきました。日本にっぽんにはかみにするのにとてもよい植物しょくぶつがあり、日本人にっぽんじん工夫くふう得意とくいだったので、あっというまに、こううすかみかたかみやわらかいかみしろかみいろのついたかみ、そして、かねぎんをちらしたかみ、よいかおりがするかみなど、いろいろなかみつくされました。
 その時代じだいかれたほんには、「いろいろなかみをもらうと、このかみにあわせて、どんなふうに工夫くふうしてをかこうかとかんがえてとてもたのしい」とか、「いやなことがあっても、しろ上等じょうとうかみのたばをもらうと、気持きもちもはれて、ここになにこうかとうれしくなってくる」などというはなしっています。いまでも、きれいながみつつしろなノートなどをもらったときに、おなじような気持きもちがかんじられるのではないでしょうか。
 日本にっぽんでは、ふるかみをもう一度いちどすきかえしてあたらしいかみにする技術ぎじゅつ発明はつめいされました。そのリサイクルのかみしろでなくしっかりもしていませんでしたが、普通ふつうひとうことができるやすほんになりました。
 江戸えど時代じだいになると、かみほんはたくさんのひとつことができるようになりました。そればかりか、どものための、紙細工かみざいくのおもちゃまでたくさんつくられるようになりました。これを、おもちゃといいます。そこにはまめ絵本えほんのような、ほんのかわりになるものや、はさみでってくみたててあそかみおもちゃなどさまざまな種類しゅるいのおもちゃがありました。きせかえ人形にんぎょうや、おしばいごっこのかみずもうやめんこ、そしてというものができたのもこのころです。ほかにもすごろくやかるたなど、いま時代じだいにもつたわるおもちゃがこの時代じだい発達はったつしました。。
 江戸えど時代じだいどもたちも、いまどもたちが、ゲームのカードをためたりマンガをいそろえたりするのとおなじことをやっていたのです。
 やぶれやすく、にはえてしまうかみってはいても、それでもかみでできたものには、あつめてあいさずにはいられない魅力みりょくがあるようです。

かみくんって、えらいんだね。今度こんどからかみさまってぼうか。」
「いやあ、もっと気楽きらくんでくれたほうがいいよ。」
「じゃあ。ヘイ、カミーン。」

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長文ちょうぶん 9.1しゅう
【1】「あっ、これってる。」
 テレビのコマーシャルに金子かねこみすずさんのながれました。わたしは、さん年生ねんせいのとき、国語こくご教科書きょうかしょってから、みすずさんのをたくさんみました。そのなかひとつが使つかわれていたので、びっくりしたのです。
 【2】わたしきな勉強べんきょうは、国語こくごです。どのくらいきかというと、よんがつあたらしい教科書きょうかしょをもらうと、いちにち全部ぜんぶえてしまうくらいです。国語こくご勉強べんきょうは、あたらしい漢字かんじをたくさんおぼえるのも、いろいろなひと作品さくひんむのも、音読おんどくも、作文さくぶんも、全部ぜんぶたのしくてたまりません。
 【3】国語こくごはまるで勉強べんきょうではなく趣味しゅみのようなかんじです。学校がっこう授業じゅぎょう毎日まいにち全部ぜんぶ国語こくごだったらいいのになあ、とよくかんがえます。
 去年きょねんははにそれをはなしたら、
「がんばって勉強べんきょうをして、国語こくごせんもん研究けんきゅうできる大学だいがくくといいかもしれないわね。」
ってくれました。
 【4】そのとき、よこ新聞しんぶんんでいたちちかおげて、
「それまでは国語こくごだけではなく、いろいろな科目かもく勉強べんきょうもしっかりやるといいよ。国語こくご以外いがい勉強べんきょうが、国語こくご研究けんきゅう役立やくだつからね。」
と、わたしほうきました。【5】わたしはそれをいて、ようし、がんばるぞとおもいました。
 いち年生ねんせいのときから仲良なかよしのはるかちゃんは、国語こくごはあまりきではなく、算数さんすう理科りかほうきなのだそうです。わたしは、どちらかというと、算数さんすう苦手にがてです。【6】だから、いつもおたがい勉強べんきょうでわからないところはおしっています。
 はるかちゃんは、読書どくしょがあまりきでないらしく、わたしがおもしろいほんをすすめても、
「ええ。めんどうくさいなあ。これ、ちいさいし。」
などとって、あまりんでくれません。【7】わたしぎゃくに、数字すうじがたくさんならんでいる算数さんすう問題もんだいしゅうると、「わあ、めんどうそう。」とおもってしまいます。
 そんなはるかちゃんですが、去年きょねん、「ちいちゃんのかげおくり」を国語こくごならったときは、とても真剣しんけんなんんだそうです。【8】年生ねんせいのときの「スイミー」もおもしろかったとっていました。
 だから、わたしは、将来しょうらい国語こくご教科書きょうかしょつく仕事しごとをするようになったら、子供こども興味きょうみはなしをもっとのせたいとおもっています。
 【9】わたしにとって、国語こくご勉強べんきょうは、ごはんにたとえられます。ほかの教科きょうかは、スープやおかずやデザートです。国語こくご勉強べんきょうをしっかりやると、きっと栄養えいようもたっぷり、おなかもいっぱいになります。そんな気持きもちで、わたしは、今日きょう国語こくご授業じゅぎょういています。【0】

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長文ちょうぶん 9.2しゅう
 みなさんはそらをかくとき、なにしょくでかきますか。ふつうは空色そらいろ、つまりうす青色あおいろにするのではないでしょうか。しかし、もしかすると、あるひとは、昨日きのう夕焼ゆうやけのそらおもしてきれいなオレンジしょくにするかもしれません。
 たしかに、そらいろ時刻じこくによっても、天気てんきによってもわります。そらだけではありません。でもベンチでもひとかおでも、その時々ときどきでいろいろな色合いろあいにわります。では、その時々ときどきいろめるのはなんでしょうか。
 それはひかりです。ものは、ひかりとの関係かんけいによってさまざまな色合いろあいに変化へんかします。とくに、そと景色けしき太陽たいようひかりをじかにけているので、いちにちのうちでもさまざまに印象いんしょうえます。このひかりというものを大切たいせつかんがえて、自然しぜん姿すがたをそのままにしようとかんがえたのが、印象派いんしょうはばれる芸術げいじゅつたちでした。
 印象派いんしょうはとは、じゅうきゅう世紀せいき後半こうはんにフランスでこった画家がか中心ちゅうしんとするグループです。それまでは、時間じかんをかけてかきこんだ重々おもおもしい作品さくひんがよいとされてきました。そのため、一瞬いっしゅんかがやきをとらえてすばやく仕上しあげる印象派いんしょうはは、最初さいしょたんなるスケッチにすぎないとられていました。印象派いんしょうは最初さいしょ印象いんしょうは、あまりよくなかったのです。
 しかし、印象派いんしょうはひとたちは、じつはしっかりした科学かがくてきかんがかたにもとづいて制作せいさくをしていました。そのひとつが、シュヴルールというひといろかんがかたです。かれほんなかで、となりいろがおたがいに影響えいきょうしあって、いろいろなかたになることを説明せつめいしました。そしてとなりいろどうしがちがえばちがうほど、よりおおきな効果こうかがあるとしました。
 たとえば、あかみどりむらさきなどは、もっとちが色合いろあいで、このようないろわせを補色ほしょく関係かんけいびます。補色ほしょくならべてみると、がちかちかするような効果こうかみます。あおっぽいいろおくみ、あかっぽいいろまえしてくるようにもえます。
 その印象派いんしょうは画家がかたちのなか中心ちゅうしんとなったのが、クロード・モネです。モネは、うつろいやすいひかり自然しぜんあざやかないろを、だれよりもふかもとめました。
 それまでのは、ぜることによってさまざまないろつくしていました。わせればわせるほど、あかるさがなくなっていきます。ふであらっていると、みずがどんどんくらいろになっていくことをっているひとおおいでしょう。印象派いんしょうは以前いぜんは、くら部分ぶぶんかげをつけることによってものの奥行おくゆきをしていたので、さらくらおもかんじになっていました。
 モネはこうしたくらきらいました。そして、ひかりあふれたみずみずしい景色けしきえがくために、あたらしい技法ぎほう使つかいました。あるいろつくるのに、わせるのではなく、純粋じゅんすいいろすうおおくのてんとしてとなりわせるようにえがいたのです。こうすると、はなれて場合ばあい、それらのいろざりってえます。しかし、ぜて使つかったときよりもはるかにあかるいいろになるのです。モネは、となりてんどうしを補色ほしょく関係かんけいにするなど、いろいろな工夫くふうかさねました。こうして、モネのは、自然しぜんふう太陽たいようのあたたかさまでかんじさせるようなものになっていったのです。
 最初さいしょれられなかったモネのも、次第しだいおおくのひとみとめられるようになりました。いまそのひかりあふれるは、世界中せかいじゅう人々ひとびとからあいされています。

「モネさんのようなを、印象派いんしょうはってもイーンショウか。」
「うん、いいかモネ。」

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長文ちょうぶん 9.3しゅう
 【1】アルフレッドのゆいごんじょうは、十二月じゅうにがつじゅうななにち、サン=レモのやしきでひらかれました。ちあったのは、リュドビグの長男ちょうなんイマニュエル、ロベルトの長男ちょうなんヤルマル、それにソールマンと弁護士べんごしです。
【2】「なんですって。わたしが、ノーベルさんのゆいごんをとりしきることになっているんですって……。」
 ソールマンは、おどろきました。たしかに、ゆいごんじょうのおもてきには、ソールマンのがあります。【3】ゆいごんじょうが、弁護士べんごしによってよみあげられるにつれ、ソールマンはさらにおおきなおどろきにうたれ、まばたきもしません。
「わたし、アルフレッド=ノーベルは、あとにのこすざいさんについて、つぎのようにゆいごんする……。」
 【4】アルフレッドは、ごくわずかなおかねをおくる友人ゆうじん、しんるいのをあげたあと、こういていました。
「のこりのすべてのかね利子りしを、毎年まいとし、そのまえのとしに、人類じんるいのためにやくだつしごとをした人々ひとびとに、しょうとしてわけること。
 【5】利子りしいつつにわけ、
いち物理ぶつりがく
いち化学かがく
いち医学いがく生理学せいりがく
いち文学ぶんがく
いち国際こくさい平和へいわ
の、それぞれの分野ぶんやで、重要じゅうよう発明はつめい発見はっけんをし、あるいは理想りそうにみちた作品さくひんをあらわし、あるいはまた戦争せんそうをふせぐことにつとめた人物じんぶつにあたえること。」
 【6】ゆいごんじょうを、弁護士べんごしがよみおわると、ソールマンが、ぼうぜんとして、いいました。
「このしごとを、わたしがやるのですか。たったじゅうろくさいのこのわたしが……。」
【7】「ソールマンさん……。ロシアでは、ゆいごんをとりしきるひとのことを『たましいの代理人だいりにん』というのですよ。しっかりなさい。おじのアルフレッドは、あなたがこれをやれるとみこんだから、あなたをえらんだのですよ。」
 【8】イマニュエルが、なきちちリュドビグそっくりの、かしこそうなをむけてはげましました。
 そうはげますイマニュエルは、ヤルマルとともに、ゆいごんじょうがもしなかったら、アルフレッドのばくだいなざいさんをもらえるはずのひとなのです。
【9】「わかりました。では、このしごとを、わたしのしょうがいのしごととして、おひきうけします。」
 そうちかったソールマンは、十二月じゅうにがつじゅうきゅうにち、ストックホルムの教会きょうかいで、アルフレッドのそうしきがおわったあと、しごとにとりかかりました。【0】
 
(「ノーベル」大野おおのすすむちょより)


長文ちょうぶん 9.4しゅう
 海水かいすい塩辛しおからいもので、わたしたちはそれをたりまえのことだとおもっています。実際じっさい、そこにふくまれる塩分えんぶん大変たいへんりょうです。海水かいすいをすべて蒸発じょうはつさせ、のこった塩分えんぶん陸地りくちきつめると、ひゃくじゅうメートルものあつそうができるとわれています。この大量たいりょうしおは、一体いったいどこからたのでしょうか。
 塩分えんぶんのふるさとのひとつはかわです。地球ちきゅうじょう存在そんざいするかわ大半たいはん淡水たんすいなので、これは意外いがいかんじがします。あめるとみず地中ちちゅうにしみんで、なかにあるミネラルぶんかします。このミネラルぶんなか塩分えんぶんふくまれています。した塩分えんぶんは、かわによってうみまではこばれます。ただ、淡水たんすいかわふくまれる塩分えんぶんはごくすくないので、なめても塩辛しおからいとはかんじません。
 塩分えんぶんのもうひとつのふるさとは、海底かいてい火山かざんです。活動かつどうする海底かいてい火山かざん爆発ばくはつねつすいねっすい噴出ふんしゅつによって、地中ちちゅうからミネラルぶん放出ほうしゅつされ、そのなかふくまれる塩分えんぶん海水かいすいむのです。
 このように、しおはいろいろなところからうみ目指めざしてやってますから、うみにはしおがたまる一方いっぽうのようにおもえます。そのうえうみからはどんどん水分すいぶん蒸発じょうはつしミネラルぶんだけがあとにのこります。これでは、塩分えんぶんがどんどんくなっていったとしても不思議ふしぎではありません。しかし現実げんじつには、海水かいすい塩分えんぶん濃度のうどは、ほぼ一定いっていです。つまり、えるぶんぶんとがうまくっているのです。では、塩分えんぶん一体いったいどこへくのでしょう。
 まず、うみ生物せいぶつしおからだなかみます。たとえばサンゴやエビ、カニなどは、かたからつくるために塩類えんるい必要ひつようとします。これらのものぬと、そのからふくまれていた塩類えんるい海底かいていにたまります。こうして塩分えんぶん一部いちぶのぞかれます。このようにして、海水かいすいちゅう塩分えんぶんは、えるりょうりょうのバランスがとれているのです。
 では、この海底かいていにたまった塩分えんぶんはどうなるのでしょうか。海底かいていふく地殻ちかく巨大きょだいなプレートでっています。それらのプレートはすこしずつ移動いどうし、ふた以上いじょうのプレートが出合であうところでは、一方いっぽうとなりのプレートのしたはいみます。しずんだ海底かいてい高温こうおんのマントルのなかけていきます。当然とうぜん海底かいていにたまっていた塩分えんぶん一緒いっしょけてしまいます。
 地中ちちゅうからうみへ、そしてまた地中ちちゅうへ。しおは、この壮大そうだいたびとおくなるような年月としつきあいだかえしてきました。今日きょういちはいのお味噌汁みそしるにも、塩分えんぶんながたび歴史れきしきざまれているのです。

塩分えんぶんさん、最初さいしょまれはどこなんですか。」
じつは、スーパーの食品しょくひんなんだよ。」
「うそでシオ。」

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