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課題集
長文ちょうぶん 10.1しゅう
【1】「おかえりなさあい。」
水曜日すいようびあさのあいさつは、おはようではありません。わたしのおかあさんは看護かんごです。夜勤やきんって夕方ゆうがたからよるあいだ病院びょういんはたらくことがあるのです。【2】入院にゅういんしている患者かんじゃさんは、ているあいだ具合ぐあいわるくなったり、どこかいたくなったりするので、いちばんちゅう、ナースステイションには看護かんごさんがきています。ベッドのそばのブザーをすと、んできてくれるのです。だから、安心あんしんして入院にゅういんできるのです。
 【3】おかあさんの夜勤やきんばんは、おとうさんとにんです。ゆうはんも、おとうさんがつくってくれます。おとうさんのつくるごはんは、おかあさんのときとすこちがいます。あじすこ塩辛しおからくて、野菜やさいやおにくかたおおきいです。【4】おかあさんのときは、おかずの種類しゅるいもたくさんありますが、おとうさんのときは、あまりありません。おとうさんのつくるメニューのなかで、いちばんおいしいのはカレーライスです。
 おかあさんは、おとうさんと結婚けっこんするまえからずっと看護かんごです。【5】子供こどものときからなりたかった職業しょくぎょうだそうです。看護かんごになるための学校がっこうは、勉強べんきょうがとても大変たいへんで、普通ふつう学校がっこうのような勉強べんきょうだけでなく、実際じっさいにやってみる看護かんご実習じっしゅうというのがあったそうです。でも、おかあさんは、看護かんごになる夢見ゆめみて、いっしょうけんめいがんばったとっていました。
 【6】わたしまれるときだけおやすみしましたが、あとはずっといま看護かんごです。おともだちに
「うちのおかあさん、看護かんごなんだ。」
はなすと、みんなびっくりして
「いいなあ。」
とうらやましがります。おんななかでは、人気にんきのある職業しょくぎょうだからです。【7】でも、実際じっさい夜勤やきんもあるし、とてもいそがしい大変たいへん仕事しごとなのだということをらないんだなあとわたししんなかおもいます。
 おかあさんは、時々ときどき
「ゆきちゃん、かたをもんでくれる?」
います。そんなときのおかあさんのかたは、ちからこぶをれたようにかたくなっています。わたしは、ちょうどよいちからでもみほぐしてあげます。【8】すると、おかあさんは、
「ああ、気持きもちいい。最高さいこう。」
よろこびます。かたのほかに、くびあしのふくらはぎをやってあげることもあります。なが時間じかんやっていると、おかあさんはうたたねかしてしまうこともあります。
 そんなに大変たいへん仕事しごとだというのに、おかあさんはいままでいちもやめたいとおもったことがないそうです。【9】このあいだわたし
「どうして看護かんごをずっとつづけたいとおもうの?」
いてみたら、おかあさんは、
「そうねえ。患者かんじゃさんから、ありがとうってわれたとき、ひとやくてたんだなあっておもえるからかな。」
ってにっこりわらいました。【0】

言葉ことばもり長文ちょうぶんちょうぶん作成さくせい委員いいんかい φふぁい


長文ちょうぶん 10.2しゅう
 ダーウィンのおとうさんとおじいさんは、医者いしゃでした。ダーウィンも最初さいしょ大学だいがく医学部いがくぶれられて勉強べんきょうをしていました。しかし、ダーウィンは、成績せいせきわるく、やるられませんでした。かねたおとうさんは、ダーウィンを医者いしゃにすることをあきらめて、牧師ぼくしになるための大学だいがくれなおしました。しかし、ダーウィンはここでも牧師ぼくし勉強べんきょうには関心かんしんがなく、博物学はくぶつがくという動物どうぶつ植物しょくぶつ勉強べんきょうにばかり夢中むちゅうになっていました。
 やっと大学だいがく卒業そつぎょうしたダーウィンは、今度こんど海軍かいぐん測量そくりょうせんって世界中せかいじゅうまわることにしました。おとうさんは、ふね世界せかい一周いっしゅうすることなどはもちろんだい反対はんたいです。しかし、まわりのひとたすけもりてなにとかおとうさんを説得せっとくしたダーウィンは、それから年間ねんかん、ビーグルごうって世界中せかいじゅう探検たんけんしました。
 南米なんべいのガラパゴス諸島しょとうで、ダーウィンは不思議ふしぎなことにづきました。ガラパゴス諸島しょとうしましまあいだにははや海流かいりゅうながれていて、動物どうぶつたちがすることができません。そのようなざされたしまにすむ動物どうぶつたちは、しまごとに姿すがたがたわっていたのです。たとえば、ヒワというとりのくちばしが、あるしまでは昆虫こんちゅうべるのに都合つごうよくできているのにたいし、ほかのしまでは植物しょくぶつべるのに都合つごうよくできているというようなことです。
 ダーウィンは、この観察かんさつをもとに、自然しぜん淘汰とうたというかんがえをつくげました。つまり、それぞれの環境かんきょうてきしたものがのこり、てきさないものが淘汰とうたされることによって、だんだんとたねしゅ進化しんかしていくというかんがかたです。
 当時とうじ人々ひとびとは、生物せいぶつたねしゅ神様かみさまつくったもので最初さいしょから完全かんぜんかたちであり、進化しんかすることなどはありえないとかんがえていたので、ダーウィンはおおくのひとから批判ひはんされました。さらに、ダーウィンが、進化しんかろん人間にんげんにあてはめて、「人間にんげんもサルから進化しんかした」とべると、批判ひはんさらおおきくひろがりました。人間にんげん神様かみさまからつくられたものだというかんがえと、サルから進化しんかしたものだというかんがえでは、てんほどのがあったからです。
 しかし、ダーウィンのかんがかた科学かがくてきで、だれもが納得なっとくせざるをえない根拠こんきょっていたので、次第しだいおおくのひとみとめるようになりました。
 ところが、この進化しんかろんにも弱点じゃくてんがありました。それはだいいちに、環境かんきょうてきしたものがのこるというかんがかた説明せつめいするには、生物せいぶつ種類しゅるいがあまりにもおおいということです。もし、ライオンが地球ちきゅう環境かんきょうもっとてきしていたとすれば、ほかの動物どうぶつ全部ぜんぶライオンとの生存せいぞん競争きょうそうけて、地球ちきゅうじょうにはライオンしかいなくなってしまってもおかしくありません。地球ちきゅう環境かんきょうもっとてきしているものがラッコだったらもっと大変たいへんです。みぎいてもラッコ、ひだりいてもラッコで、どこをてもラッコラッコラッコラッコラーッと、いつのにかおこられているようです。
 進化しんかろんだい弱点じゃくてんは、自然しぜん淘汰とうただけで進化しんか説明せつめいしようとすると、とりのくちばしの変化へんかぐらいまでは説明せつめいできても、アメーバがさかなになり、さかな爬虫類はちゅうるいになり、爬虫類はちゅうるい哺乳類ほにゅうるいになるというようなおおきな変化へんか説明せつめいしにくいということです。
 進化しんかろんだいさん弱点じゃくてんは、進化しんかろんそのものよりも、その進化しんかろん利用りようした社会しゃかい問題もんだいでした。進化しんかろんは、欧米おうべい諸国しょこくがアジアやアフリカを植民しょくみんにするときに、そのうらづけとなるかんがえとして利用りようされました。つまり、白人はくじんもっとすぐれていて、有色ゆうしょく人種じんしゅはそれよりもおとり、その有色ゆうしょく人種じんしゅよりもさらおとっているのがサルだというかんがかたが、白人はくじん支配しはい正当せいとうしたのです。
 このような弱点じゃくてんはあったものの、ほぼ一人ひとり進化しんか全体ぜんたいぞうかんがしたダーウィンは、人間にんげんのものの見方みかたおおきく前進ぜんしんさせたのでした。 言葉ことばもり長文ちょうぶんちょうぶん作成さくせい委員いいんかいΣしぐま


長文ちょうぶん 10.3しゅう
【1】「でもね、おかあさん、小学校しょうがっこうって、まるで軍隊ぐんたいみたいなんだ。だからぼく、いやなんだよ。」
 なるほど、そのころのドイツの小学校しょうがっこうは、規則きそくだいいちで、くら重苦おもくるしいふんいきにちあふれていました。【2】授業じゅぎょうも、暗記あんきばかり。自分じぶんかんがえることは、いっさいゆるされません。先生せんせいにさからうことはもちろん、質問しつもんすることさえきんじられていたのです。おさないアルバートが「軍隊ぐんたいそっくり。」というのも、もっともでした。
 【3】おまけに、無口むくち体育たいいくがにがてなアルバートには、なかなかともだちもできません。いちげつもしないうちに、学校がっこうがすっかりいやになってしまいました。
 【4】とはいえ、勉強べんきょうまできらいになったわけではありませんでした。下校げこうしてくると、ヤコブおじさんにたすけてもらいながら、辞書じしょをひき、ほんみ、自分じぶんきな勉強べんきょうふかめていきました。
 【5】数学すうがく興味きょうみをもったのも、そのころのことです。
 ある、アルバートはヤコブおじさんにたずねました。
「ねえ、おじさん、『代数だいすう』ってなんのこと?」
 おじさんは、っていましたとばかりに、説明せつめいをはじめました。
【6】「『代数だいすう』とは、わからないかずをさがしだす数学すうがくだよ。まず、わからないかずを、文字もじの『X(エックス)』とよぶ。そして、問題もんだいでいわれたとおりに、計算けいさんしきをつくっていくと、さいごに、『X』がどんなかずかが、ちゃんとわかるんだ。」
【7】「なんだか、おもしろそうだね。」
「おう、あたま体操たいそうみたいなものだからな。」
 こうして、アルバートは、小学生しょうがくせいではとても理解りかいできないような数学すうがくを、どんどん、自力じりきまなんでいったのです。
 【8】勉強べんきょうにあきると、こんどはバイオリンをげ、ちいさな器用きように、モーツァルトやベートーベンのきょくをかなでます。
 そういえば、バイオリンも、ほとんど独習どくしゅうでした。
 【9】ろくさいになったとき両親りょうしんれていかれたバイオリンの先生せんせいは、小学校しょうがっこう先生せんせいおなじように、かたくるしくて、いばりくさっていました。はじめのうち、アルバートは、レッスンがいやでたまりませんでした。【0】けれども、いえかえって、自分じぶん工夫くふうしながら練習れんしゅうをつづけているうちに、あるとつぜん、モーツァルトのソナタがひけるようになったのです。
 それからは、しめたもの。すっかりバイオリンのとりこになったアルバートは、一生いっしょう、この優雅ゆうが複雑ふくざつ楽器がっきと、親友しんゆうのようにつきあいました。
 ちちのへルマンからは文学ぶんがくははのパゥリーネからは音楽おんがく、そしてヤコブおじさんからは科学かがく……。このみっつの世界せかいは、アインシュタインの一生いっしょうおおきなはしらとなりました。
 
(「アインシュタイン」岡田おかだ好恵よしえちょより)


長文ちょうぶん 10.4しゅう
 「そだつ」ということわざがあります。むかしひと理屈りくつでなく経験けいけん理解りかいしていたのでしょうが、このことわざのとおり、そだつのには科学かがくてき根拠こんきょがあるのです。とともにき、りとともにねむるような時代じだいことなり、現代げんだい人々ひとびとよる活動かつどうつづけています。ですから、大人おとなはもちろん、子供こどもねむりにつく時間じかん年々ねんねんおそくなる一方いっぽうです。しかし、よるかしは健全けんぜん成長せいちょうのためにもすすめることはできません。たとえおそたとしても、ある程度ていど睡眠すいみん時間じかん確保かくほできればいいのだろうとおもうかもしれませんが、そうではありません。睡眠すいみんも、りょうよりしつ問題もんだいになってくるのです。睡眠すいみん場合ばあいねむりに時間じかん重要じゅうようなポイントになります。「早起はやおきは三文さんもんとく」ということわざがあるのも、じつ納得なっとくできる理由りゆうがあるのです。
 それでは、どうしておそるのはいけないのでしょうか。睡眠すいみんちゅうには大切たいせつなホルモンが分泌ぶんぴつされます。成長せいちょうどもたちにもっと重要じゅうようなのが成長せいちょうホルモンです。このホルモンはよるきゅうからくらいのあいださかんに分泌ぶんぴつされます。ホルモンは夜中よなかるもん(るもの)なのです。ですから、この時間じかんにはねむりにいている必要ひつようがあります。成長せいちょうホルモンのおもはたらきは、ほね成長せいちょううながし、筋肉きんにくつくるたんぱくしつ合成ごうせいたすけ、にちちゅう活動かつどうしていたんだ細胞さいぼう修復しゅうふくすることです。名前なまえのとおり、からだ成長せいちょうかせないものとえます。
 ほかにメラトニンというホルモンもわすれてはなりません。このホルモンはくらくなると分泌ぶんぴつされる性質せいしつがあり、電気でんき煌々こうこうともしたあかるい部屋へやよるかしをしていると分泌ぶんぴつりょう減少げんしょうしてしまいます。メラトニンには人間にんげん自然しぜん生活せいかつのリズムをととのえるはたらきや、酸素さんそ毒性どくせいからからだまもはたらき、それにくわえて免疫めんえき強化きょうかするはたらきがあります。
 おそ場合ばあい、これらのホルモンが十分じゅうぶん分泌ぶんぴつされず、からだ支障ししょうをきたすおそれがあります。このことから、健康けんこうからだ維持いじするためには、はやねむりに十分じゅうぶん睡眠すいみん時間じかん確保かくほすることが大切たいせつだとわかります。
 睡眠すいみんにはふかねむりとあさねむりがあることがられています。あさねむりではのうはまだまだ活動かつどうしています。にちちゅうのできごとをおもし、記憶きおくとして定着ていちゃくさせています。ですから、にちちゅういっしょうけんめい勉強べんきょうしたことが、あさねむりをとおして記憶きおくとして定着ていちゃくするわけです。
 あさねむりとふかねむりはきゅうじゅうふんごとにわるとかんがえられていますが、ねむりに時間じかんおそ睡眠すいみん時間じかんすくなくなった場合ばあいは、ねむりのほとんどをふか睡眠すいみんめてしまいます。というのも、のう休養きゅうようあたえるという、ひときていくうえで重要じゅうようねむりがふかねむりだからです。睡眠すいみん時間じかんりなくなった場合ばあいは、あさねむりの出番でばんはなくなってしまうのです。
 毎日まいにち深夜しんやまで勉強べんきょうしていると、かえってのういためつけることにもなりかねません。せっかくの努力どりょく無駄むだにしないためにも、また効率こうりつよく学習がくしゅう成果せいかをあげるにも、はや時間じかんゆかとこ能率のうりつのよい睡眠すいみんをとりましょう。

 言葉ことばもり長文ちょうぶんちょうぶん作成さくせい委員いいんかいωおめが


長文ちょうぶん 11.1しゅう
 【1】ぼくは、年生ねんせいのとき、はじめて一人ひとり電車でんしゃりました。夏休なつやすみにおばあちゃんのうちへくためです。えきのホームで、おかあさんは、心配しんぱいそうになんかいもぼくのかおて、
「いい? 港南台こうなんだいでおりるんだからね。ふたつめだからね。」
いました。【2】ぼくは、うなずきました。でも、おかあさんは、まだ心配しんぱいそうで、
港南台こうなんだい、だからね。おばあちゃんがそこでまってるからね。」
いました。
 あお電車でんしゃはいってきて、いよいよみました。ぼくは、ドキドキしてきました。【3】おかあさんをたら、いっしょうけんめいをふっています。ぼくは、それをて、をふるのはまだはやいよ、とおもいました。そのとき、プルルルルーとベルがって、びっくりしているうちに、電車でんしゃのドアがまりました。
 【4】ぼくは、ドアにかおをくっつけて、おかあさんをました。おかあさんが、なにいながらをふっています。ぼくもふろうとしたけれど、あっというまに電車でんしゃ発車はっしゃして、おかあさんはえなくなってしまいました。
 【5】ぼくは、きゅう心細こころぼそくなって、あたりを見回みまわしました。すると、ちかくのせきにぼくぐらいの年齢ねんれいがゲームあそんでいるのがえました。そのとなりには、もうすこおおきいそののおにいさんのようなもいて、やはりゲームをやっていました。【6】にんは、おおきなこえわらったり、たたきあったりしながら、夢中むちゅうあそんでいます。ぼくは、なんのゲームかなあとおもいながら、ずっとそちらをていました。
つぎ洋光台ようこうだい洋光台ようこうだい。」
とアナウンスがこえました。ぼくは、はっとしました。【7】いくつえきをすぎたかかぞえていませんでした。でも、「だい」がつくから、っているなとおもいました。やっとついたとおもって、電車でんしゃをおりてホームをさがしても、おばあちゃんはいませんでした。
 【8】ぼくは、ドキドキしてきましたが、自分じぶんに、「け。よくかんがえろ」といいきかせました。そこでににぎっていたかみおもして、よくたら、「つめ、港南台こうなんだい」といてありました。ぼくは、どうしたらいいかわからなくなって、かみったままっていました。【9】そうしたら、らないおばあさんがて、かみをのぞきこんで
ひとさきまできちゃったね。港南台こうなんだいでおりたかったんでしょ。あっちがわにきた電車でんしゃにのって、ひとつもどればだいじょうぶ。」
おしえてくれました。いそいで反対はんたい方向ほうこう電車でんしゃると、その電車でんしゃはすぐに発車はっしゃしました。
 【0】電車でんしゃつぎえきちかづくと、
つぎ港南台こうなんだい港南台こうなんだい。」
と、アナウンスがこえました。今度こんどはしっかりかみていたので、っているなとおもいました。電車でんしゃまり、ホームにおりたら、おばあちゃんがとおくからぼくをつけて、こっちにはしってるのがえました。

言葉ことばもり長文ちょうぶんちょうぶん作成さくせい委員いいんかい φふぁい


長文ちょうぶん 11.2しゅう
 ミツバチのれは、いちひきぴき女王蜂じょおうばちすうせんひきびきからすうまんひきびきはたらばち繁殖はんしょくあらわれるせんひきびきからさんせんひきびきはちおすばち構成こうせいされています。それぞれの役割やくわり分担ぶんたん明確めいかくで、高度こうどきょだい社会しゃかい形成けいせいしているとってもよいでしょう。
 ミツバチは、規則正きそくただしい六角形ろっかっけいわせてばんすばんつくります。ばん構成こうせいする六角形ろっかっけいしょう部屋へやこべやぼうすぼうばれます。ぼうは、育児いくじ花粉かふん貯蔵ちょぞうはなみつ貯蔵ちょぞう、ハチミツの加工かこうなど、さまざまな目的もくてき利用りようされています。それぞれの作業さぎょう効率こうりつよくおこなえるように、ぼう配置はいち考慮こうりょされています。
 では、ミツバチは、なぜ六角形ろっかっけいつくるのでしょうか。もしミツバチのまるだったら、上下じょうげ左右さゆうならべていくとき、無駄むだなスペースができてしまいます。もし四角しかくだったら、あいだ隙間すきまはなくなりますが、ミツバチがはいったときに無駄むだなスペースができてしまいます。ミツバチの体型たいけいからかんがえると、六角形ろっかっけいがいちばん効率こうりつがよいのです。
 ミツバチの材料ざいりょうは、はたらばち腹部ふくぶから分泌ぶんぴつされるろうへんです。はたらばちは、そのろうへんを、後肢あとあし内側うちがわにあるブラシじょう使つかってり、あしについたろうへんだいあごでくわえ、それをかみくだきながらはりつけていきます。この根気こんきのいる作業さぎょうつづけるだけでも大変たいへんなことですが、定規じょうぎ分度器ぶんどきもコンパスもたずに六角形ろっかっけい規則正きそくただしくならべていくのですから、まさに神業かみわざとしかいようがありません。
 以前いぜんは、ミツバチが最初さいしょまるかたちつくり、それが周囲しゅういからしつぶされて自然しぜん六角形ろっかっけいになるとかんがえられていました。しかし実際じっさいにミツバチのづくりの様子ようす観察かんさつしたところ、はじめから六角形ろっかっけいつくっていることがかったのです。
 いちきゅうろくろくねん、ドイツの二人ふたり学者がくしゃは、ミツバチの横向よこむきにつくられていることから、六角形ろっかっけいつく秘密ひみつは、重力じゅうりょく関係かんけいあるのではないかとかんがえました。つくるとき、ミツバチは、あたま上下じょうげ左右さゆうけたいろいろな姿勢しせいらなければなりません。そのときにからだにかかる重力じゅうりょくえず変化へんかします。そこで、二人ふたり注目ちゅうもくしたのが、はたらばちくびはらにある感覚かんかくです。二人ふたりは、実験じっけんから、ミツバチはくび感覚かんかくあたまれることによって重力じゅうりょく方向ほうこう感知かんちしていることをつきとめました。ミツバチは、感覚かんかく接触せっしょくによって、自分じぶんからだきをり、六角形ろっかっけいつくっていたのです。
 ミツバチのがいかに巧妙こうみょうつくられているかは、数学すうがくしゃたちの研究けんきゅうによっても証明しょうめいされています。みっつの菱形ひしがたからなる中央ちゅうおうのそれぞれの角度かくどいちきゅうはちふんですが、この数字すうじは、使つかろうりょう最小さいしょうにしてつくった場合ばあい角度かくどなのです。数学すうがくしゃたちが微分びぶんがく理論りろん使つかったむずかしい計算けいさんをしてした数字すうじをミツバチはまれながらにっていたことになります。
 ハニカム構造こうぞうばれる六角形ろっかっけいわせは、効率こうりつがよいだけではなく、安定あんていしたかたちでもあります。外部がいぶからちからくわえられたとき、うまくちから分散ぶんさんすることができるのです。ダイヤモンドやゆき結晶けっしょうは、このハニカム構造こうぞうになっています。また、建築けんちく材料ざいりょう航空機こうくうきつばさ内部ないぶ、サッカーゴールのネット、スキーいたいた内部ないぶなどにもこのハニカム構造こうぞう応用おうようされています。ハニカム構造こうぞうがこんなにも幅広はばひろ採用さいようされていることをミツバチがったら、はにかんでしまうかもしれません。

 言葉ことばもり長文ちょうぶんちょうぶん作成さくせい委員いいんかいΛらむだ


長文ちょうぶん 11.3しゅう
 【1】かれはすぐ、プリンストンの名物めいぶつ教授きょうじゅになりました。世界せかいてきだい科学かがくしゃということもありますが、そのすなおで、あたたかい性格せいかく教授きょうじゅ仲間なかま学生がくせいたちをとらえたのです。
 【2】博士はかせは、まった講義こうぎおこないませんでしたが、研究けんきゅうしつにくる学生がくせいたちを、たいへん親切しんせつ指導しどうしました。
 【3】学生がくせいばかりではありません。たのまれれば、小学生しょうがくせい勉強べんきょうだっててあげたのです。
 【4】じっさい、プリンストンのまちには、あるじゅうさいのおんな毎日まいにちのようにアインシュタインって、博士はかせ算数さんすう宿題しゅくだいおしえてもらったというはなしのこっています。
「あんなえらい先生せんせいに、宿題しゅくだいてもらうなんて!」
 【5】おんなのおかあさんが、びっくりしておわびにくと、博士はかせは、
「とんでもない。わたしのほうこそ、おじょうさんからおそわることが、たくさんあったんですよ。」
といったそうです。
 【6】ライオンのたてがみのような白髪はくはつをなびかせ、まち散歩さんぽする博士はかせを、だれもがあたたかい見守みまもりました。
 アインシュタイン博士はかせは、このまちでだれからもあいされうやまわれました。【7】ただひとつ、あまりにもなりをかまわないことだけは、人々ひとびとのじょうだんのたねになりました。ふるいセーターに、サンダルばき。くつしたをはかず、さんぱつもだいきらい。
 【8】こんな博士はかせに、「すこし服装ふくそうをつかわれたらどうですか。」と、だれかが忠告ちゅうこくすると、「にくって、つつのほうがりっぱだったら、わびしくないかね。」と、やりかえされてしまいました。ひと外見がいけんではない、ということでしょう。
 【9】しかも、人生じんせいというのはかぎられています。ものは、すべて必要ひつよう最低限さいていげんにきりつめ、おしゃれをする時間じかんがあれば、いちふんでも研究けんきゅうのほうにまわしたい――アインシュタイン博士はかせは、しんからそうおもっていたのです。
(「アインシュタイン」岡田おかだ好恵よしえちょより)


長文ちょうぶん 11.4しゅう
 食虫植物しょくちゅうしょくぶつとは、などでむししょう動物どうぶつをつかまえて消化しょうかし、栄養分えいようぶんとして吸収きゅうしゅうする植物しょくぶつのことです。食虫植物しょくちゅうしょくぶつっても、しょっちゅうむしをつかまえているわけではありません。食虫植物しょくちゅうしょくぶつ普通ふつう植物しょくぶつおなじように、日光にっこうから栄養分えいようぶん自分じぶんつくっているので、むしべなくてもれることはないからです。ただ、そだちがすこわるくなることはあります。食虫植物しょくちゅうしょくぶつは、世界せかいには、ひゃくしゅあまり、日本にっぽんにも、じゅうしゅあまりが自生じせいしています。かずある食虫植物しょくちゅうしょくぶつなかから、ハエトリグサ、ウツボカズラ、モウセンゴケのさん種類しゅるい紹介しょうかいしましょう。
 ハエトリグサのには、片側かたがわみっつずつ、合計ごうけいろくほんちいさなえています。むしがこのかいさわると、すぐにじてむしをつかまえます。むしがあたふたしているうちにふたがまってしまうわけです。なぜかいさわるまでじないかというと、一回いっかいだけではむしっぱのまんなかはいっていないかもしれないからです。かいならほとんど間違まちがいなくむしなかはいっているだろうというわけです。ハエトリグサは用心深ようじんぶか性格せいかくなのかもしれません。
 じてからもしばらくは、なかむしうごける隙間すきまがあります。しかし、むしをつかまえてからいちにちつと、をぴたりとじてむししつぶしてしまいます。そして、消化しょうかえきしてむしをどんどんとかしてしまいます。むし完全かんぜんにとかすまでにはじゅうにちぐらいかかります。その、またひらいて、つぎ餌食えじきとなるむしつのです。
 ウツボカズラのふくろにはふたがあります。このふたのうらやふくろのくちのまわりからあまいミツをしてむしをおびきよせます。ふくろの表面ひょうめんはロウのようになっていてとてもすべりやすいので、むしたちがいくらもがいても徒労とろうわってしまいます。ミツを目当めあてにやってきたむしたちは、結局けっきょくあしをすべらせてふくろのなかちてしまいます。ふくろのしたにはいつも消化しょうかえきがたまっています。ウツボカズラは、ふくろの内側うちがわにあるぶつぶつからむし栄養分えいようぶんっています。一方いっぽうてき栄養分えいようぶんるだけですから、物々交換ぶつぶつこうかんとはいかないようです。ふくろについているふたですが、このふたはあめふせぐためのもので、むしをつかまえたのちまりません。
 モウセンゴケの仲間なかまは、北極ほっきょく南極なんきょく砂漠さばくをのぞく、ほぼ世界中せかいじゅう分布ぶんぷしています。日本にっぽんでもきたからみなみまでどこでもよくることができます。モウセンゴケのにはせんえていて、そのさきからねばねばしたえきしてむしとらえます。あかせんさきにねばねばがきらきらとひかり、まるでダイヤモンドダストのようです。うえむしがとまると、もう素早すばやうごきだします。だけでなくむしをつつみこむようにうごき、むしをとかす消化しょうかえきします。じゅうあいだもすると、むしをくるくるきにして、ゼンマイのような姿すがたになります。そして、消化しょうかえきでとかされたむし栄養分えいようぶんり、その、まるで何事なにごともなかったようにまたひらいてつぎむしちます。「モウセンゴケ」とはばかりで、「もう、せん。」といながらも次々つぎつぎむしをつかまえてしまうようです。

 言葉ことばもり長文ちょうぶんちょうぶん作成さくせい委員いいんかいΛらむだ


長文ちょうぶん 12.1しゅう
 【1】わたしちいさいころから大切たいせつにしているものは貝殻かいがらです。大切たいせつにしているだけではなくて、いまあつめているので、大切たいせつにしているものはどんどんえていきます。
 最初さいしょ貝殻かいがらをもらったのは、たぶん幼稚園ようちえん年中ねんじゅうのときです。【2】伊豆いずにあるおとうさんの会社かいしゃ保養ほようしょほようじょでおまりをしたときです。きれいな伊豆いずうみにはひろ砂浜すなはまがあって、わたしは、そこでよくすなやまつくってあそびました。すなやまかためたあと、なかってトンネルにするのが大好だいすきでした。
 【3】わたしは、浮輪うきわをしてもなみこわかったので、あまりうみにははいらないで砂遊すなあそびばかりしていました。すなっていたら、ちいさいかいかいのかけらがたくさんみつかりました。わたしはそれをあらったアイスのカップにあつめました。
 【4】そのときもわたしすなっていたら、あか水着みずぎたおねえさんがやってて、
「たくさんあつめたね。これきれいでしょう。桜貝さくらがいというのよ。」
と、ピンクの二枚貝にまいがいをくれました。すけてえそうなうすいかいで、まるでかいのお姫様ひめさまのようでした。【5】わたしはうれしくて、ありがとうといたかったけれどはずかしくてえませんでした。わりによこにいたおとうさんがおれいいました。
 ゆうごはんのとき、おかあさんにそのことをはなしながら桜貝さくらがいせました。【6】おかあさんは、
「あら、ほんと。こんなにきれいな桜貝さくらがいってあんまりないのよねえ。よかったわね。」
って、そっと桜貝さくらがいせました。そして、
「これねえ、うすくてわれやすいから、なにかでつつんでおいたほうがいいね。」
と、ティッシュをして、そっとつつんでくれました。
 【7】わたしは、ちょっと緊張きんちょうしながら、なんもそのティッシュをあけて、桜貝さくらがいました。るまでにさんじゅうかいぐらいはたとおもいます。ほんとうにきれいで、なんかいてもあきませんでした。そのよるは、うれしくてなかなかねむれませんでした。
 【8】大事だいじってかえった桜貝さくらがいですが、いつだったかティッシュからして、ほかかいといっしょにテーブルにならべてあそんでいるとき、つまみあげた指先ゆびさきにちょっとちからはいりすぎて、片方かたがたのはしがけてしまいました。
 【9】その自分じぶんうみひろったり、だれかにおみやげでもらったり、鎌倉かまくらのおみせったりして、貝殻かいがらはどんどんえていきました。でも、やっぱりいちばん大切たいせつにしているのは、はしがすこけたあの桜貝さくらがいです。わたしは、いま時々ときどき桜貝さくらがいはいった宝石ほうせきばこけてています。【0】

言葉ことばもり長文ちょうぶんちょうぶん作成さくせい委員いいんかい φふぁい


長文ちょうぶん 12.2しゅう
 『たねしゅ起源きげん』の著者ちょしゃチャールズ・ダーウィンがミミズの研究けんきゅうはじめたのは、じゅうはちさいのときでした。それ以来いらい、ダーウィンはよんじゅうねん以上いじょうもミミズの観察かんさつつづけました。ダーウィンが最初さいしょをつけたのは牧草ぼくそうです。最初さいしょはでこぼこでいしころだらけだったはずの牧草ぼくそうこまかくしっとりとしたになり、地面じめんたいらになっていくのは、ミミズがべて、のフンをするからではないかとかんがえたのです。つまり、ミミズがなが年月としつきをかけて、たがやしているのではないかとおもいついたのです。
 ダーウィンは、じゅうねんほどまえをよくするために石灰せっかいをまいたという牧草ぼくそうってみました。すると、石灰せっかいは、地表ちひょうからななセンチぐらいのところにまっていました。ダーウィンはミミズが石灰せっかいうえにフンをして、じゅうねんあいだにこれだけめてしまったにちがいないとかんがえました。しかし、もしかしたら、そのじゅうねんあいだに、だれかがをまいたのかもしれません。ほかの動物どうぶつふうはこんできたということもかんがえられます。そこで、ダーウィンは、これがミミズの仕事しごとだったということを自分じぶんたしかめようと決意けついしました。
 あるとしふゆさんじゅうさんさいのダーウィンは、自宅じたくうらひろがる牧草ぼくそう石灰岩せっかいがん破片はへんをばらまきました。この場所ばしょなら毎日まいにち観察かんさつすることができます。しかし、石灰岩せっかいがん破片はへんまってえなくなるまでにすうねん、ミミズがたがやりょうをほぼ正確せいかく計算けいさんできるようになるまでにすうじゅうねんかかります。ダーウィンは、牧草ぼくそうをながめながら、このとおくなるような年月としつきつづけました。
 もちろん、このあいだ、ダーウィンはただっていただけではありません。ミミズにガラスやれんがのかけらをべさせたらどうなるか、地面じめんしたなんひきくらいミミズがいるか、ミミズのフンはどのように移動いどうするのかなど、ミミズにかんするさまざまな実験じっけんおこないました。まさにミミズづけのすうじゅう年間ねんかんだったのです。ミミズのフンの研究けんきゅうばかりしているダーウィンに、もう青年せいねんになっていた子供こどもたちは憤慨ふんがいしました。それでも、ダーウィンは実験じっけんつづけました。
 最初さいしょ石灰岩せっかいがん破片はへんをまいてからじゅうきゅうねんたち、ダーウィンはろくじゅうさいになっていました。そのとし十一月じゅういちがつ、ついに牧草ぼくそうがやってきました。ダーウィンは、牧草ぼくそうにざくっとスコップをさしこみます。げると、しろいものがえます。それは、うまでもなく、じゅうきゅうねんまえ牧草ぼくそうにばらまいた石灰せっかいでした。ふかじゅうセンチほどのあなると、周囲しゅういかべ一筋ひとすじ石灰せっかいそうえます。石灰せっかいは、地表ちひょうからじゅうななセンチぐらいのところにまっていました。じゅうきゅう年間ねんかんじゅうななセンチということは、毎年まいとしやくろくミリずつめられていたことになります。これは、もちろんミミズのはたらきによるものです。
 ダーウィンは、この研究けんきゅうさんひゃくページをこえるいちさつほんにまとめげました。進化しんかろん提唱ていしょうしゃとして有名ゆうめいなダーウィンですが、その一方いっぽうでミミズのようなちいさなもの研究けんきゅうにも生涯しょうがいをささげたのです。みんなが見向みむきもしないようなちいさなもの注目ちゅうもくし、その生態せいたいあきらかにしたダーウィン。そのダーウィンがくなったのは、ミミズのほんげてから半年はんとしのことでした。

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長文ちょうぶん 12.3しゅう
 【1】そのから、アインシュタインの、かく廃絶はいぜつ戦争せんそう反対はんたいへの努力どりょくがはじまりました。
「われわれは、戦争せんそうにはちました。けれども平和へいわちとったわけではない。」
 【2】博士はかせはまず、アメリカ国民こくみんたいして、こう忠告ちゅうこくします。
 原子力げんしりょくは、人間にんげんにあまるほど危険きけんちからです。つぎの戦争せんそう使つかわれたら、世界せかい破滅はめつするでしょう。【3】だから、ぜったいに戦争せんそうこらないように努力どりょくしなければなりません。アメリカじんは、世界せかいさきがけて原子げんし兵器へいきのひみつをにぎった国民こくみんとして、このことをぜひ自覚じかくしてほしいとうったえたのです。
 【4】博士はかせは、終戦しゅうせん直後ちょくごにできた、国際こくさい連合れんごう原子力げんしりょく委員いいんかい会長かいちょうけました。いちきゅうよんろくねんには国際こくさい連合れんごうに、世界せかい政府せいふをつくることを提唱ていしょうします。つまり、世界せかいから国境こっきょうをなくし、国家こっかどうしのあらそいを永久えいきゅうになくそうというのです。
 【5】けれども、そのときすでに、ソ連それんをはじめ世界せかい各国かっこくで、アメリカにけじと、かく開発かいはつ競争きょうそうがはじまっていました。
 こうなると、アメリカもだまってはいられません。いちきゅうよんはちねん、トルーマン大統領だいとうりょうによって、こんどは「水爆すいばく水素すいそばくだん)」の開発かいはつ命令めいれいされました。
 【6】かく開発かいはつ合戦かっせんはいよいよ過熱かねつし、世界せかいはアメリカがわソ連それんがわにわかれて、にらみあうようになりました。
 人間にんげんのおろかさに、博士はかせふかむねをいためました。そして、あるときたずねてきた日本人にっぽんじん記者きしゃに、「敗戦はいせんこく日本にっぽん国民こくみんには、しんから同情どうじょうします。【7】けれども、った国々くにぐにもいま、それ以上いじょうくるしいみちあゆんでいるのです。」と、しみじみかたりました。博士はかせは、原子力げんしりょく発電はつでんしょをはじめとする、原子げんしエネルギーの平和へいわ利用りようについても、かなり慎重しんちょうかんがえをもっていました。
 【8】いちきゅうよんねん『アトランティック=マンスリー』という雑誌ざっしには、つぎのようにいています。「……原子力げんしりょく将来しょうらい人類じんるいおおきなめぐみをもたらすとは、いまのわたしには、かんがえにくいのです。原子力げんしりょく脅威きょういです。」
 【9】人間にんげんは、原子力げんしりょく発見はっけんできたのに、どうして、それを管理かんりできないのでしょう、ときかれると、「それは、政治せいじ物理ぶつりがくよりむずかしいからですよ。」と、皮肉ひにくをこめて、こたえています。【0】
 
(「アインシュタイン」岡田おかだ好恵よしえちょより)


長文ちょうぶん 12.4しゅう
 駄洒落だじゃれ(ダジャレ)とは、おとおなじかそっくりな言葉ことばをならべてあそ言葉ことばあそびです。江戸えど中期ちゅうき雑俳ざっぱいばれるみじかのひとつとわれています。地口じぐちじぐちともばれます。この雑俳ざっぱいうたわれる内容ないようは、みんなのっている言葉ことばや、芝居しばい有名ゆうめいなせりふをもとにした機知きちんだおもしろいことがらです。いろいろな言葉ことばをよくっていて、なかのことに精通せいつうし、センスがよいといたじょうずなシャレができるのです。ですから、江戸えど時代じだいでは、シャレのうまいひと教養きょうようがあるとみなしたようです。立派りっぱ庶民しょみん文化ぶんかだったわけです。地口じぐちじぐちった行灯あんどんえがいて、あきのおまつりに使つかったという「地口じぐちじぐち行灯あんどん」は、最近さいきん復活ふっかつして関東かんとう地方ちほうのあちこちで、つくられているようです。
 しかし、正統せいとう俳人はいじん文化ぶんかじんわれるひとたちのなかには、ばかばかしいおふざけとひともあり、シャレに「」がつけられてしまったのです。もともとは「洗練せんれんされている」「洒落しゃれていておもむきがある」という意味いみだったシャレですが、つまらない・粗末そまつな・でたらめといった意味いみあらわす、不名誉ふめいよな「」がつけられてしまいました。
 さて、ダジャレにはどんなものがあるのでしょう。いろいろな種類しゅるいがありますが、まずはちょっとした語呂合ごろあわせでつくる「おなかた言葉ことば使つかったもの」。これには、「電話でんわにはでんわ」、「アルミかんうえにあるミカン」などがあります。まったおなおんなのに全然ぜんぜんちがうものをあらわしているという意外いがいせいのおもしろさがあります。ダジャレといえば、このようなものをおもかべるひとおおいでしょう。すこ発展はってんさせると、「とかげとかげ」「つくえにくっつく」「たからがあったから」などができます。
 つぎに、「たようなおと言葉ことば使つかったもの」があります。「とこやはどこや」「めじろのねじろ」「迷子まいご舞妓まいこ」などがそれにあたります。気軽きがるにひょいとくちをついてるようなかるいダジャレです。すこ無理むりがあると、またそれがおもしろくなることもあります。
 つめは、ニつの言葉ことばをくっつけてつくったやや上級じょうきゅうへんです。「布団ふとんがおやまほうまでんだ!」「おやまぁ。」ちょっとしたストーリーができあがります。
 さらに、ひとつのぶんにニつの意味いみをもたせるものがあります。「風林火山ふうりんかざんない?」と「風鈴ふうりんかざんない?」、「倒産とうさんからかったな」と「とうさんカツラったな」、「わたしてください」と「わたしといてください」などです。ダジャレのつもりでなく、くちにして、「あれ、勘違かんちがい」ということもあるかもしれません。
 江戸えど時代じだいには文化ぶんかだったダジャレですが、最近さいきんでは若者わかものたちに親父おやじギャグなどとばれて、肩身かたみのせまいところです。しかし、日本語にほんご独特どくとくおとのおもしろさ、言葉ことばからひろがるイメージなどを共有きょうゆうすることで、なごみ、たのしい気分きぶんになるものです。ダジャレをもっともよくそうは、小学校しょうがっこう高学年こうがくねん男子だんしよんじゅうだい以上いじょうのサラリーマンだそうです。語彙ごいえて、ユーモアをするようになったダジャレ入門にゅうもんしゃ小学生しょうがくせいと、いそがしい生活せいかつ仕事しごとつかれ、つかのまのいやしをダジャレにもとめるダジャレ世代せだいのおとうさんたちというわけです。
 欧米おうべいじん冗談じょうだんきで、ユーモアとウィット(機知きち)にんだ会話かいわたのしむ、とよくわれます。ユーモアのセンスというのは、っている本人ほんにんはもちろん、相手あいてたのしくなり、円滑えんかつ人間にんげん関係かんけいむすうえ大変たいへん重要じゅうようなものです。
 ダジャレの特徴とくちょうは、子供こどもから大人おとなまでだれでも気軽きがるえることです。「日本にっぽんじゃだれでも、ダジャレをえる」となったら、ダジャレは日本にっぽん伝統でんとう文化ぶんかひとつとして世界せかいほこれるものになるかもしれません。

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