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障害学会神戸大会阿地知レジュメ

報告ほうこくしゃ共同きょうどう報告ほうこく場合ばあい代表だいひょうしゃ
氏名しめいおもね(あぢ)(ち) すすむ(すすむ)
報告ほうこく題目だいもく(40以内いない):障害しょうがいしゃ雇用こようとディスアビリティ―「ダブルカウント方式ほうしき」へのいち考察こうさつ
発表はっぴょう要旨ようし(2,000以内いない)[註、文献ぶんけん図表ずひょうとうふくむ]:

ダブルカウント方式ほうしきは、障害しょうがいしゃ雇用こようりつ制度せいどにおいて、重度じゅうど障害しょうがいしゃ1人ひとり雇用こようすると、雇用こようりつ2人ふたりぶんとしてカウントでき、企業きぎょう重度じゅうど障害しょうがいしゃ雇用こよう促進そくしんはかる、積極せっきょくてき優遇ゆうぐうさくひとつとされる。企業きぎょうは、雇用こようりつ達成たっせいしないと、不足ふそく人数にんずうにんあた月額げつがくまんえん雇用こよう納付のうふきん納付のうふする義務ぎむがあり、早期そうき雇用こようりつ達成たっせいできる方法ほうほうとしてダブルカウント方式ほうしき理解りかいされている。
ここで、「重度じゅうど」と判定はんていする基準きじゅんは、障害しょうがいしゃっている手帳てちょう等級とうきゅうのみによる。具体ぐたいてきには、身体しんたい障害しょうがいしゃ手帳てちょう1・2きゅう所持しょじしゃ療育りょういく手帳てちょう所持しょじしゃで、それによる位置いちづけは、本当ほんとう意味いみにおける障害しょうがいしゃ労働ろうどうりょく位置いちづけとは一致いっちせず、この制度せいどなか雇用こようされても、障害しょうがいしゃ労働ろうどうりょくは、まさしく理解りかいされ評価ひょうかされているとはえない。デキナイ労働ろうどうしゃ1)を、いかにしてりょう雇用こようするかという制度せいどは、限界げんかいがある。
あずま俊裕としひろは「ダブルカウント制度せいどは、障害しょうがい軽重けいちょうべつあつかいをするものであるし、ダブルカウントされるがわじゅう恥辱ちじょくをあたえるものである」と、改正かいせいされるべきてん指摘してきしている。
 結局けっきょく、ダブルカウント方式ほうしきは、重度じゅうど障害しょうがいしゃにとっては、特別とくべつ意味いみふくんだ雇用こようとなり、そのなかでは、自身じしん労働ろうどうが、まさしく判断はんだんされることなく位置付いちづけられ、給与きゅうよ待遇たいぐうにも不安ふあんをもたらすようなものとなっている。障害しょうがいしゃにとって、社会しゃかい制度せいど構造こうぞう、さらには意図いとされたり、無意識むいしきかもしれない偏見へんけんといったディスアビリティが、社会しゃかい参加さんか阻害そがいしているといえる。
 そして、職務しょくむたいするインペアメントにたいしては、ある意味いみ特別とくべつ配慮はいりょ必要ひつようであろうし、本人ほんにん努力どりょくまわりの配慮はいりょかりやすく、建設けんせつてきである。しかし、量的りょうてきコンプライアンスのみを目指めざしたダブルカウント方式ほうしきによる特別とくべつ意味いみふくんだ雇用こようは、障害しょうがいしゃにとっては、いくつかのディスアビリティを形成けいせいすることになる。また、重度じゅうど障害しょうがいしゃという概念がいねんも、「重度じゅうど」という言葉ことばしめすものと現実げんじつ障害しょうがいしゃ作業さぎょう能力のうりょくかならずしも一致いっちせず、障害しょうがいしゃ労働ろうどうりょくただしく評価ひょうかされないことによる、「給与きゅうよ待遇たいぐうにも判然はんぜんとしない(西村にしむら)」ものがられることになる。
 ダブルカウント方式ほうしきは、企業きぎょうにとっての雇用こようりつ達成たっせいという法令ほうれい遵守じゅんしゅたかめる意味いみと、重度じゅうど障害しょうがいしゃ雇用こよう促進そくしんする役割やくわりっており、目的もくてき雇用こようされる障害しょうがいしゃりょう増加ぞうかさせることであった。最初さいしょから、じつ雇用こようりつ増加ぞうかしても達成たっせい企業きぎょう割合わりあい改善かいぜんされないという問題もんだい存在そんざいしたが、重度じゅうど障害しょうがいしゃ雇用こようすうたしかに増加ぞうかした。
先進せんしんこくのように、障害しょうがいしゃ雇用こよう特別とくべつなもの、規格きかくがいのものとしてあつかわず、一般いっぱん労働ろうどうしゃ市場いちば対策たいさくなか障害しょうがいしゃ統合とうごうする(手塚てづかしょp322)というのは、ある意味いみ理想りそうてきだが、日本にっぽん国民こくみん障害しょうがい教育きょういく現状げんじょうかんがえると、制度せいどがそのようにうごいても、ディスアビリティの存在そんざいはいつまでもおおきな問題もんだいとしてありつづけるだろう。2)
 積極せっきょくてき障害しょうがいしゃ労働ろうどう市場いちばから排除はいじょする見解けんかいられないが、障害しょうがいしゃ雇用こようされることにはディスアビリティが存在そんざいするのである。
制度せいど障害しょうがいしゃ雇用こようという現象げんしょうなかで、ディスアビリティの出現しゅつげん形態けいたい様々さまざまである。時間じかんはかかるが、すべての国民こくみんが、障害しょうがいということを理解りかいし、どのようにかんがえてゆくのかというアイデンティティーの形成けいせい不可欠ふかけつであろう。
 
1)「デキナイ労働ろうどうしゃ」は、「生産せいさん能力のうりょくひくひと企業きぎょうにとっては経済けいざいてき負担ふたんになるひと、そのために企業きぎょうあいだ不公平ふこうへいさをなくすために雇用こよう納付のうふきん制度せいど実施じっしする」という、マイナスのイメージであり、能力のうりょくひくひとというとらえかたです.」というとらえかたをされた、健常けんじょうしゃよりも仕事しごとが「デキナイ労働ろうどうしゃ」のこと。しかし、障害しょうがいしゃ労働ろうどう能力のうりょく正当せいとう評価ひょうかしてみれば、かならずしも、デキナイとばかりはえないはずである。
2)障害しょうがいしゃ雇用こようされないことや意図いとしないディスアビリティも存在そんざいし、これらの議論ぎろんべつ機会きかいゆずる。また、障害しょうがいしゃ社会しゃかい参加さんか観点かんてんでも、立石たていししん也『希望きぼうについて』のなかで、「できない・と・はたらけない―障害しょうがいしゃ労働ろうどう雇用こよう問題もんだい」とだいした1ぶんがある。「差別さべつ」という言葉ことば障害しょうがいしゃ雇用こようにおけるディスアビリティについて指摘してきしている。場合ばあいけをして、詳細しょうさい思考しこうしているが、結局けっきょく障害しょうがいしゃは「できない」として、できない(はたらけない)ものにざい分配ぶんぱいおこな理論りろんはいってしまう。
 障害しょうがいしゃにとって、「できない」ところから出発しゅっぱつするほうがいいのか、できるところまでで(インペアメントはあったとしても)社会しゃかい参加さんかしてゆくのがいいのかは議論ぎろんかれるところである。
あずま俊裕としひろ「「わがくににおける『合理ごうりてき配慮はいりょ』のありかたについて(論点ろんてん整理せいり)」にたいする意見いけん労働ろうどう雇用こよう分野ぶんやにおける障害しょうがいしゃ権利けんり条約じょうやくへの対応たいおうかたかんする研究けんきゅうかいだい6 かい提出ていしゅつ資料しりょう2008 ねん11 がつ7 にち
手塚てづか直樹なおき日本にっぽん障害しょうがいしゃ雇用こよう〜その歴史れきし現状げんじょう課題かだい光生みつおかん2000ねん9がつ
西村にしむら正樹まさき障害しょうがいしゃ障害しょうがいしゃ雇用こよう促進そくしんほう改正かいせい内容ないようについて」『DPI われら自身じしんこえ』Vol.24.1、特定とくてい営利えいり活動かつどう法人ほうじんDPI 日本にっぽん会議かいぎ事務じむきょく2008ねん