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障害学会神戸大会丸岡レジュメ

報告ほうこくしゃ共同きょうどう報告ほうこく場合ばあい代表だいひょうしゃ
氏名しめい(ふりがな):丸岡まるおか(まるおか)みのる(とし)てん(のり)
報告ほうこく題目だいもく(40以内いない):重度じゅうど身体しんたい障害しょうがいしゃ中心ちゅうしんとした芝居しばいづくりによる地域ちいき交流こうりゅう
発表はっぴょう要旨ようし(2,000以内いない)[註、文献ぶんけん図表ずひょうとうふくむ]:

1.目的もくてき
近年きんねん、「障害しょうがいしゃ障害しょうがいしゃたいする態度たいどおよ環境かんきょうによる障壁しょうへきとのあいだ相互そうご作用さよう」によりしょうじるものであり、障害しょうがいしゃ活動かつどう制約せいやく不利益ふりえき解消かいしょう社会しゃかいてき解決かいけつすべき課題かだいであることが了解りょうかいされつつある。しかし、それを医療いりょう福祉ふくし領域りょういきのみにゆだねるのは適切てきせつでない。それは医療いりょう福祉ふくし専門せんもんしょくはしばしば、障害しょうがいしゃ個人こじん障害しょうがいという不足ふそく部分ぶぶん着目ちゃくもくし、それをめることを最大さいだい目的もくてきとするあまり、「援助えんじょしゃ援助えんじょしゃ」という関係かんけい固定こていしがちだからである。Oliver(1990=2006)は専門せんもんしょくによる専門せんもんてきアプローチ・サービスは障害しょうがいしゃ依存いぞんをうみだしていると批判ひはんする。よりインクルーシブな社会しゃかい実現じつげんするためには、地域ちいき社会しゃかい学校がっこう職場しょくば個々ここ具体ぐたいてき局面きょくめんで、障害しょうがいという事象じしょうげ、障害しょうがいしゃ活動かつどう制約せいやく社会しゃかいてき不利益ふりえき可視かししつつ、課題かだいとして成員せいいんあいだ共有きょうゆうすることが必要ひつようとなる。そのためには個々ここ具体ぐたいてき局面きょくめんでの障害しょうがいしゃとその周囲しゅういひと交流こうりゅう必要ひつようえる。ほん報告ほうこくではそのひとつのこころみとして、重度じゅうど脳性のうせいマヒしゃ中心ちゅうしん芝居しばいをつくる団体だんたいげ、芝居しばいづくりをつうじた地域ちいき交流こうりゅう促進そくしん可能かのうせい検討けんとうする。

2.方法ほうほう
ほん報告ほうこくでは東京とうきょう世田谷せたがや中心ちゅうしん活動かつどうしている「水俣みなまた世田谷せたがや交流こうりゅう実行じっこう委員いいんかい」を対象たいしょうとする。この団体だんたい地域ちいき自立じりつ生活せいかつをする重度じゅうど脳性のうせいマヒしゃ中心ちゅうしんとしたメンバーにより構成こうせいされ、グループない障害しょうがいしゃ半生はんせい題材だいざいにして芝居しばいをつくり、各種かくしゅイベントで上演じょうえんしている。報告ほうこくしゃはメンバーとして活動かつどう参加さんかしつつ、参与さんよ観察かんさつ実施じっしした。あわせて会議かいぎ議事ぎじろく、メールのやりり、映像えいぞう資料しりょう配布はいふ資料しりょうやアンケートとう分析ぶんせき資料しりょうとした。
 
3.団体だんたい概要がいよう
水俣みなまた世田谷せたがや交流こうりゅう実行じっこう委員いいんかいは2008ねん水俣みなまた胎児たいじせい水俣病みなまたびょう患者かんじゃ中心ちゅうしんとした人々ひとびと世田谷せたがやおとずれ、自立じりつ生活せいかつをする重度じゅうど脳性のうせいマヒしゃやその関係かんけいしゃ交流こうりゅうはかったことをきっかけとして発足ほっそくした。当初とうしょ世田谷せたがや重度じゅうど脳性のうせいマヒしゃ中心ちゅうしんとした人々ひとびと自立じりつ生活せいかつ模様もよう芝居しばいとして製作せいさく水俣みなまた上演じょうえんすることにより、水俣みなまた胎児たいじせい患者かんじゃ中心ちゅうしんとした人々ひとびととおたがいの生活せいかつつたえあうことを目標もくひょうとしていた。しょ事情じじょうにより水俣みなまたでの公演こうえん実現じつげんしておらず、現在げんざい自立じりつ生活せいかつ模様もよう芝居しばいとして製作せいさくし、世田谷せたがや内外ないがい各種かくしゅイベントで上演じょうえんしつつ、交流こうりゅうはかること活動かつどう中心ちゅうしんとなっている。
かいのメンバーの中心ちゅうしんとなっているのは介助かいじょしゃれながら地域ちいき生活せいかつしている重度じゅうど脳性のうせいマヒしゃ福祉ふくし施設しせつ職員しょくいん介助かいじょしゃ演劇えんげきワークショップにかかわってきた演劇えんげき関係かんけいしゃである。共通きょうつうした目的もくてき設定せっていされていないが、芝居しばいづくりをとおして自分じぶん気持きもちを表現ひょうげんすることや様々さまざまひと交流こうりゅうはかることをのぞんでいるひとおおい。

4.芝居しばいつくかたとその内容ないよう
芝居しばいづくりのなか知識ちしき豊富ほうふ演劇えんげき関係かんけいしゃがメンバーを指導しどうすることは抑制よくせいされている。また障害しょうがいしゃ中心ちゅうしんとなり健常けんじょうしゃ演劇えんげき専門せんもん裏方うらかたてっするかたちをとらない。芝居しばいづくりは、1)グループない障害しょうがいしゃ半生はんせいをメンバー全員ぜんいんきとる、2)ききとった内容ないようについてメンバーないかえ議論ぎろんし、理解りかいふかめる、3)議論ぎろんとなった場所ばしょ中心ちゅうしんいくつかのシーンをつくる、4)各々おのおのやくえんじながら、シーンをつくりえる、といった過程かていることがおおい。このプロセスのなかで、半生はんせいかた議論ぎろん参加さんかしつつ、自分じぶん気持きもちとい、出来事できごと意味いみさい解釈かいしゃくする。えんしゅえんじる過程かてい多様たよう登場とうじょう人物じんぶつ行動こうどうやそれをささえる思考しこうについての理解りかいふかめる。おおくのメンバーが芝居しばいづくりのプロセスに活動かつどう魅力みりょくかんじ、芝居しばいづくりのプロセスを記録きろくしたドキュメンタリーを製作せいさく上映じょうえいした。
芝居しばいおも内容ないようは、メンバーの重度じゅうど脳性のうせいマヒしゃ施設しせつ親元おやもとはな地域ちいき介助かいじょしゃ利用りようしながら生活せいかつする過程かていである。しばしば「介助かいじょ」、「障害しょうがいかん」、「自立じりつ」など自立じりつ生活せいかつ運動うんどうなか議論ぎろんされてきた主題しゅだい具体ぐたいてき場面ばめんなかげられる。舞台ぶたいうえでは電動でんどうくるまいすにった重度じゅうど脳性のうせいマヒしゃ縦横無尽じゅうおうむじんうごまわ様子ようす障害しょうがいしゃ同士どうし障害しょうがいしゃ健常けんじょうしゃさくな関係かんけい表現ひょうげんされており、「障害しょうがいしゃ健常けんじょうしゃちかづくのではなく、地域ちいき障害しょうがいしゃのありのままにらす」ことがひとつのメタメッセージとなっている。一部いちぶ観客かんきゃくからもそうしたてん評価ひょうかされている。

5.考察こうさつ
水俣みなまた世田谷せたがや交流こうりゅう実行じっこう委員いいんかい芝居しばいづくりの場面ばめん様々さまざま背景はいけいのある障害しょうがいしゃ健常けんじょうしゃが「教師きょうし生徒せいと」、「援助えんじょしゃ援助えんじょしゃ」とはことなる対等たいとう関係かんけい出会であい、障害しょうがいめぐ経験けいけんについて議論ぎろん演技えんぎなか対話たいわふかめるが可能かのうとなっている。また、製作せいさくした芝居しばい地域ちいき様々さまざまもよおしのなかえんじることをつうじて、重度じゅうど身体しんたい障害しょうがいしゃ地域ちいきでありのままにらす様子ようすを、自分じぶん障害しょうがいしゃ関係かんけいがないとかんがえているひとつたえる可能かのうせいおよ障害しょうがいしゃ健常けんじょうしゃちかづくべきとかんがえる障害しょうがいしゃ健常けんじょうしゃにそれとはことなる障害しょうがいかん提示ていじする可能かのうせいをもっている。

文献ぶんけん
Oliver, Michael, 1990,The Politics of Disablement,=2006, 三島みしま亜紀子あきこ山岸やまぎし倫子ともこ山森やまもりあきら横須賀よこすか俊司しゅんじやく,『障害しょうがい政治せいじ』,明石書店あかししょてん.