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障害学会神戸大会臼井レジュメ

障害しょうがい学会がっかいだいかい大会たいかい(2012年度ねんど)・自由じゆう報告ほうこく

報告ほうこくしゃ共同きょうどう報告ほうこく場合ばあい代表だいひょうしゃ
氏名しめい(ふりがな):臼井うすい(うすい)ひさ(く)実子じっし(みこ)
報告ほうこく題目だいもく(40以内いない):ふくあい差別さべつ調査ちょうさ報告ほうこく障害しょうがい女性じょせい実態じったい差別さべつ禁止きんしほう制定せいてい議論ぎろんかさねて−
発表はっぴょう要旨ようし(2,000以内いない)[註、文献ぶんけん図表ずひょうとうふくむ]:

ほん報告ほうこくでは、DPI女性じょせい障害しょうがいしゃネットワークによる『障害しょうがいのある女性じょせい生活せいかつ困難こんなん −人生じんせいなか出会であふくあいてききにくさとは− ふくあい差別さべつ実態じったい調査ちょうさ報告ほうこくしょ』をもとに、調査ちょうさ手法しゅほう意味いみ調査ちょうさ報告ほうこく、また障害しょうがいしゃ制度せいど改革かいかく最後さいご策定さくていされようとしている障害しょうがいしゃ差別さべつ禁止きんしほうかんする議論ぎろんへの位置いちづけについて検討けんとうしていくことにしたい。

当事とうじしゃによる目的もくてき志向しこうがた調査ちょうさというありかた
 この調査ちょうさは、障害しょうがい女性じょせい当事とうじしゃへのアンケートとききとりをもとに、障害しょうがい女性じょせい自身じしん経験けいけんした「きにくさ」の実態じったいあきらかにしようとしたものだ。アンケート調査ちょうさ昨年さくねん5〜9がつに、DPI日本にっぽん会議かいぎ加盟かめい団体だんたい当時とうじ85団体だんたい)やJDF(日本にっぽん障害しょうがいしゃフォーラム)への協力きょうりょくびかけ、ホームページ・ブログ、全国ぜんこくポリオかい連絡れんらくかい会報かいほう、「点字てんじ毎日まいにちとう掲載けいさいしたほか、関係かんけい団体だんたい協力きょうりょく幅広はばひろ配布はいふした。回答かいとうしゃは87めい年代ねんだいは20だいから70だいまでと幅広はばひろく、障害しょうがい多様たよう女性じょせいたちが回答かいとうせる結果けっかとなった。ききと調査ちょうさはDPI女性じょせい障害しょうがいしゃネットワークの当事とうじしゃメンバーがインタビュアーとなり、6〜11がつ実施じっし。インフォーマントは16めい居住きょじゅう沖縄おきなわ長野ながの東京とうきょう神奈川かながわ千葉ちば宮城みやぎにわたった。
調査ちょうさでは、当初とうしょから、調査ちょうさ主体しゅたいが、障害しょうがい女性じょせい多様たようかた尊重そんちょうされ、自分じぶんらしくきることができる社会しゃかい目指めざして当事とうじしゃ自身じしんこえはっし、法律ほうりつ制度せいど施策しさくのありかたをめぐる様々さまざま課題かだいんでいるグループであることを明確めいかくにうたった。そして、その活動かつどう一環いっかんとして、障害しょうがい女性じょせいきにくさの経験けいけんについて調査ちょうさしたいとかんがえたこと、実体験じつたいけんあつ分析ぶんせきすることによって、問題もんだい解決かいけつのための方策ほうさく思考しこうし、各種かくしゅ施策しさく有機ゆうきてき反映はんえいさせるための一助いちじょとしたいということを明記めいきした。
その意味いみで、この調査ちょうさは、一般いっぱんてき社会しゃかい調査ちょうさというよりは、これまで不可視ふかしとされてきたこえ可視かしさせようという目的もくてき共有きょうゆうする仲間なかまたちのこえあつ発信はっしんするもので、調査ちょうさという手法しゅほうをつかった調査ちょうさしゃ調査ちょうさ対象たいしょうしゃによる共同きょうどう作業さぎょう位置付いちづけることができるものだ。

ふくあい差別さべつ実態じったい調査ちょうさ報告ほうこく
アンケート調査ちょうさ、ききと調査ちょうさとおしてもっとおおかったのが性的せいてき被害ひがいかんする記述きじゅつで、回答かいとうしゃの35%がなんらかの被害ひがい経験けいけんしるした。そのなかには、福祉ふくし施設しせつ医療いりょう職員しょくいんから、家庭かていない親族しんぞくから、また、職場しょくば学校がっこう性的せいてき被害ひがいけたというもがあり、いずれも、深刻しんこく被害ひがい実態じったいしるされた。病院びょういん施設しせつ異性いせいによる介助かいじょ強制きょうせいされ性的せいてき被害ひがい近接きんせつする不快ふかい経験けいけんをした回答かいとう複数ふくすうひとからせられた。また、月経げっけい介助かいじょけずにすむようにと子宮しきゅう摘出てきしゅつすすめられた経験けいけんがあるという回答かいとうや、ども時代じだい優生ゆうせい手術しゅじゅつ強制きょうせいされたという回答かいとうもあった。就労しゅうろうかんする経験けいけんについてしるしたもののなかには、就職しゅうしょく面接めんせつにおける差別さべつてき取扱とりあつかい、職場しょくばにおけるハラスメント、出産しゅっさん退職たいしょくせまられたといった経験けいけん多数たすうせられる結果けっかとなった。
 アンケート、およびききと調査ちょうさでは、現在げんざいもなお、障害しょうがい女性じょせいおおくが、まさに、障害しょうがいをもち、女性じょせいであることによるふくあいてき困難こんなんきているということがあきらかにされた。
アンケート・りとあわせて、くに地方自治体ちほうじちたい政策せいさく文書ぶんしょにみられる障害しょうがい女性じょせいかんする認識にんしき対応たいおう調査ちょうさした。くにだいさん男女だんじょ共同きょうどう参画さんかく基本きほん計画けいかくは、障害しょうがい女性じょせいふくふくあいてき困難こんなんかかえるひとたちの課題かだいについてみ、課題かだい解決かいけつ必要ひつようせいしめしているものの、具体ぐたいてき施策しさくはなく、DV防止ぼうしほう配偶はいぐうしゃからの暴力ぼうりょく防止ぼうしおよ被害ひがいしゃ保護ほごかんする法律ほうりつ)も、改正かいせい障害しょうがいがある被害ひがいしゃへの配慮はいりょふくめた基本きほんてき方針ほうしんさだめてはいるが、DV被害ひがいけた障害しょうがい女性じょせい支援しえんにはつながっていないということがあきらかになった。そのため、調査ちょうさ報告ほうこくしょでは、政府せいふ障害しょうがいしゃ関連かんれん統計とうけい性別せいべつクロス集計しゅうけいもない現状げんじょうから、実態じったい可視かし不可欠ふかけつ集計しゅうけい公表こうひょう障害しょうがい女性じょせい当事とうじしゃ参画さんかく促進そくしん提言ていげんした。

障害しょうがいしゃ制度せいど改革かいかくへの位置いちづけ
国連こくれん障害しょうがいしゃ権利けんり条約じょうやく批准ひじゅんにむけて、2010ねんから内閣ないかくさわがいしゃ制度せいど改革かいかく推進すいしん会議かいぎとその部会ぶかいにて、当事とうじしゃ参画さんかくのもとでくに障害しょうがいしゃ制度せいど改革かいかくまれている。すで障害しょうがいしゃ基本きほんほう改正かいせい総合そうごう福祉ふくし部会ぶかい議論ぎろんおこなわれ、障害しょうがいしゃ差別さべつ禁止きんしほうは2013ねん通常つうじょう国会こっかい法案ほうあん提出ていしゅつ予定よていのため、今年ことし制定せいていまえ議論ぎろんできる最後さいご機会きかいである。権利けんり条約じょうやくふくあい差別さべつ障害しょうがい女性じょせい課題かだいを6じょうとう明記めいきしている。障害しょうがいしゃ差別さべつ禁止きんしほうのありかた、障害しょうがい女性じょせい課題かだい位置いちづけをどうかんがえるか、ほん報告ほうこくけて障害しょうがい学会がっかいでも議論ぎろんふかまることをねがっている。

参考さんこう文献ぶんけん
IMADR-JCマイノリティ女性じょせいたいするふくあい差別さべつプロジェクトチーム(編集へんしゅう)2003『マイノリティ女性じょせい視点してん政策せいさくに!社会しゃかいに! 女性じょせい差別さべつ撤廃てっぱい委員いいんかい日本にっぽん報告ほうこくしょ審査しんさとおして』はん差別さべつ国際こくさい運動うんどう日本にっぽん委員いいんかい(IMADR-JC)発行はっこう
カラカサン2006『移住いじゅう女性じょせいひらくエンパワメントのみちはん差別さべつ国際こくさい運動うんどう日本にっぽん委員いいんかい(IMADR-JC)発行はっこう