かきごおり

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
こおりれい。もとは許可きょかしょうであり「官許かんきょ」と「産地さんち企業きぎょうめい)」がしるされていた。文様もんようなみ千鳥ちどりである。
マンゴーごおり

かきごおり(かきごおり、ごおり)とは、こおりこまかくけずるかくだいて、シロップひとしをかけた氷菓ひょうかあんコンデンスミルクをかけることもある。こおりふるくはかんな(かんな)などで粒状りゅうじょうけずったが[1]現在げんざい専用せんよう機械きかいもちいる。また市販しはんひんとして、こまかくくだいたこおり各種かくしゅシロップをぜてカップ容器ようきふくろれた製品せいひんられている。日本にっぽん以外いがいにも類似るいじのものが各国かっこくにある。

日本にっぽんでは、かきごおりっているみせこおり白地しろじあか文字もじで「こおり」とかれたのぼり〈のぼり〉)をかかげていることがおおい。夏季かき社寺しゃじ境内けいだいもよおされる祭礼さいれい縁日えんにちなどでは綿めん菓子かしたこきそばとともにられる代表だいひょうてき縁日えんにちぶつえんにちものひとつであり、なつ風物詩ふうぶつし季語きごひとつである。

呼称こしょう[編集へんしゅう]

もっと一般いっぱんてき普及ふきゅうしているである「かきごおり」は、東京とうきょう方言ほうげんの「ぶっかきごおり」に由来ゆらいする。呼称こしょうとしてなつごおりなつごおり氷水こおりみずこおりみずなど[1]近畿きんきでは「かちわり(ごおり)」などともばれる。かきごおり以外いがいに、飲料いんりょうやしたりりょうをとったりするのに使つかわれる、くだいたこおりは「かち」を参照さんしょう

日本にっぽん喫茶店きっさてん洋風ようふう飲食いんしょくてんでは、かきごおりをフラッペとんで提供ていきょうしていることがある。「フラッぺ」(フランス語ふらんすご: Frappé)は、本来ほんらいクラッシュドアイスリキュールなどのさけるいそそいだ飲料いんりょうのことである。日本にっぽんではシロップをかけたかきごおりすことがおおいが、「かきごおり」にたいして「フラッペ」はこおりくだかたがやや大粒おおつぶであるとするせつもある[よう出典しゅってん]。また大阪おおさか付近ふきんなど一部いちぶ地域ちいきでは、一旦いったんかきごおりじょうにしたこおりてのひら圧力あつりょくをかけて少々しょうしょうかためたものをフラッペとび、かきごおりとは区別くべつしている[よう出典しゅってん]

歴史れきし[編集へんしゅう]

史実しじつじょう記録きろく平安へいあん時代じだい清少納言せいしょうなごんの『枕草子まくらのそうし』「あてなるもの」(上品じょうひんなもの、いもの)のだんに、金属きんぞくせいうつわこおり刃物はものけずったけずごおり(けずりひ、文中ぶんちゅうでは「けつりひ」)にづるくさ一種いっしゅであるあまかずら(あまかづら・あまづら、つた樹液じゅえきまたは甘茶あまちゃづるくきしる)をかけたとして「けずごおりにあまづられて、あたらしききむかなまりれたる」と記述きじゅつされている[2][3]藤原ふじわら定家さだいえの『明月めいげつ』にも登場とうじょうする[2]製氷せいひょう技術ぎじゅつのなかった当時とうじなつこおりもとめるにはあらかじめふゆゆきこおり氷室ひむろ保存ほぞんする以外いがい方法ほうほうく、かきごおり特権とっけん階級かいきゅうしかくちにできないものであった[2]

1869ねん明治めいじ2ねん)、神奈川かながわけん横浜よこはまにある馬車ばしゃどう町田まちだぼうづくりはじめての氷水こおりみずてん開店かいてん[2]日本にっぽんにおいてアイスクリーム発祥はっしょうさせたみせでもある)。また、1871ねん明治めいじ4ねん)、中川なかがわ嘉兵衛かへえ五稜郭ごりょうかく外堀そとぼり生産せいさんした天然てんねんごおりが「函館はこだてごおり」と銘打めいうって京浜けいひん市場いちば登場とうじょうしそれまでのアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくボストンさん輸入ゆにゅうごおりボストンごおり」にくらべて良質りょうしつでかつ低廉ていれんであった。

1878ねん明治めいじ11ねん)、粗悪そあくこおり販売はんばいされることまるために内務省ないむしょうから「こおり製造せいぞう人並ひとなみ販売はんばいじん取締とりしまり規則きそく」が公布こうふされた。これにより営業えいぎょうしゃは、衛生えいせい検査けんさ合格ごうかくしたこおり生産せいさん販売はんばいしゃめいしめしたのぼりや看板かんばんかかげること義務付ぎむづけられた。このときくばられたはた現在げんざいこおりのデザインのもとになっている。

1882ねん明治めいじ15ねんごろには博物学はくぶつがくしゃエドワード・S・モースが、かきごおりべたことを自著じちょしるしている[2]

1883ねん明治めいじ16ねん)には東京とうきょう製氷せいひょう株式会社かぶしきがいしゃができて人工じんこうごおり生産せいさん拡大かくだい[2]。このようなこともあり明治めいじ20年代ねんだいになると、かきごおり大衆たいしゅうてき飲食いんしょくぶつとなるにいたった[2]1887ねん明治めいじ20ねん)には村上むらかみ半三はんぞうろうこおりそぎひょうさくき発明はつめいして特許とっきょ[2]。1895ねんなつに、こおりてんは、東京とうきょう横浜よこはまでは「5に1てん、10に1舗」といわれるほどえ、氷水こおりみずは1せん、ほかこおりイチゴ、こおりレモン、こおりしるこひとし多種たしゅあった[4]。しかし、こおりそぎ一般いっぱんするのは昭和しょうわはいってからであり、それまではたいかんなもちいてけず方法ほうほう一般いっぱんてきであった[2]

だい世界せかい大戦たいせんまえは、けずったこおり砂糖さとうをふりかけた「ゆき[5]か、砂糖さとうみつをかけた「みぞれ」、小豆あずきあんをのせた「金時きんとき」が普通ふつうのメニューであった。戦後せんご、かきごおり専用せんようのいちごやレモン風味ふうみのシロップが販売はんばいされるようになった。

現代げんだいにおいてなつすずしさをられるものとしてはアイスクリームもあり、ウェザーニューズが2022ねん8がつスマートフォン天気てんきアプリ位置いち情報じょうほう利用りようして実施じっししたアンケート調査ちょうさによると、アイスクリームよりかきごおりべたいという回答かいとうは、気温きおん比例ひれいしてえ、34さかい過半数かはんすう(52%)をめた[6]

つくかた[編集へんしゅう]

つくかたいちれいしめす。これらシロップのかけかたりょう地域ちいきがある。

  1. あらかじめかきごおりれるうつわ冷凍庫れいとうこなどで冷却れいきゃくしておく。
  2. うつわにかきごおりもちいてかきごおり若干じゃっかんせ、シロップをレードル(甘露かんろじゃく甘露かんろ杓子しゃくしいちはいぶんをかける。
  3. つづけて、かきごおりもちいてかきごおりる。このときうつわななめに満遍まんべんなく回転かいてんさせ山盛やまもりになるようにりつける。
  4. シロップを1-2はい程度ていどかける。
  5. 各種かくしゅりつける果物くだものものなどのトッピングをせる。

うつわ[編集へんしゅう]

発泡はっぽうスチロールのうつわれて提供ていきょうされた、かきごおり(レモンシロップ)。 プラスチックせいのスプーンストローがえられている。
和風わふう
すずしさを演出えんしゅつする透明とうめいガラス切子きりこきりこ広口ひろくちうつわもちいることがおおい。こおりけにくいように、にくあつ陶器とうきどんぶりもちいられることもある。明治めいじ時代じだいには水呑みずのみコップや脚付あしつきコップなどの汎用はんようのコップが使つかわれていたが、明治めいじわりころからこおりコップばれる専用せんようのガラス使つかわれるようになり、このうつわ大正たいしょう時代じだいから昭和しょうわ戦前せんぜんごろまであぶり技法ぎほうなどを駆使くしした独特どくとく発達はったつげた。
洋風ようふう
うつわったときに体温たいおんこおりけてしまいにくいように、ほそあしいたガラスもちいることがおおい。
発泡はっぽうスチロール
露店ろてんでの販売はんばいでは発泡はっぽうスチロールのうつわがよく使つかわれる。
ガラスコップ
スムージーちかい、シロップや果汁かじゅうおおものもガラスコップ(グラス)にられる場合ばあいがある。
かみカップ、プラスチックカップ
露店ろてんでの販売はんばいではかみせいあるいはプラスチックせいかきごおりカップもちいられる場合ばあいおおい。また、露店ろてんでの販売はんばい場合ばあいにはかきごおり専用せんようスプーンストローえられることがおおい。また、工場こうじょう製造せいぞうされ、プラスチックカップにはいったままでスーパーマーケットコンビニエンスストア販売はんばいされるれいもある。
ふくろ
九州きゅうしゅう地方ちほうでは、スーパーやコンビニでられるかきごおりとして、カップではなくふくろめにしたものが普及ふきゅうしている[7]

かきごおり[編集へんしゅう]

昭和しょうわのかきごおり

天然てんねんごおり刃物はもの刃先はさきとしたのがはじまりとされ、この方法ほうほう現代げんだいでも日本にっぽん料理りょうりもちいられている。さらに簡便かんべん方法ほうほうとしては、野菜やさい薄切うすぎりにするスライサーをもちいても同様どうようのことができる。そのかんなうえにしたカツオブシをけずかつおばこ(かつばこ)、または前述ぜんじゅつのスライサーのような状態じょうたいにしただいかんなうえすべめとして布巾ふきんなどをかぶせたこおりすべらせ、けずちてきたものをすくうようになる。1887ねん明治めいじ20ねん)にこおりしょう村上むらかみ半三はんぞうろう特許とっきょ取得しゅとくしておおやけられるようになった。

現代げんだいのかきごおりかんなじょうのついた台座だいざうえこおりかたまり回転かいてんし、こおりをスライスじょうけずりながらこおりかたまりげていく仕組しくみをもつ。こおりそぎひょうさくき、かきごおりメーカー、フラップメーカー、アイスシェーバー、アイススライサーなどとばれる。英名えいめいはIce block shaver。

かきごおりには粉雪こゆきのようにこまかい粒子りゅうしのかきごおりけずすことができるものとこおりうす切片せっぺんじょうのかきごおりになるものがある。この要因よういんとしてもちいるこおりちがいがげられる。近年きんねん小型こがた高性能こうせいのうながらアイスストッカーきのキューブアイスよう製氷せいひょう出回でまわってきたことや各種かくしゅ電化でんか製品せいひん普及ふきゅうにより、かつてはこおり入手にゅうしゅするために必須ひっすであったこおりしょうへの依存いぞん激減げきげんした。くわえておもさ1ぬき(3.75キログラム)のかくごおりわれるブロックアイスをあつかこおりしょう減少げんしょう傾向けいこうにある。さらに天然てんねんごおりのようにふゆあいだ暴露ばくろこおらせておき需要じゅようがあるまで氷室ひむろひむろでストックできる生産せいさんしゃってきている。ただし、インターネットや、コンビニエンスストアでの取扱とりあつかいがあるため、かくごおり入手にゅうしゅ容易よういりつつある。各種かくしゅ電化でんか製品せいひん普及ふきゅうのためかきごおり製造せいぞうメーカーは家庭かていようはブロックアイスようからキューブアイスよう移行いこうし、粉雪こゆきじょうのかきごおりうす切片せっぺんじょうのかきごおり二分にぶんされた。

ブロックアイスをもちいる製品せいひんは「ブロックアイスシェーバー」「ブロックアイススライサー」などと、キューブアイスをもちいる製品せいひんは「キューブアイスシェーバー」「キューブアイススライサー」などともばれる。

業務ぎょうむようは、ふるくは鋳物いもののフレームにおおきな手回てまわしハンドルが本体ほんたいよこいたものが主流しゅりゅうであったが、のちこおり回転かいてんさせるモーターがしでけられているものにわっていき、近年きんねんではモーターを内蔵ないぞうしたスタイルに移行いこうしている。あわせてキューブアイスようのかきごおり製造せいぞうされ、粉雪こゆきじょうではなくこまかいこおりつぶのかきごおり普及ふきゅうするようになった。現在げんざいでも手回てまわしきのものはレトロ調ちょうとして販売はんばいされている。

家庭かていよう手回てまわしのものがおおく、専用せんよう円筒えんとうがた製氷せいひょうさらつくったこおりもちいる。一般いっぱんてき製氷せいひょうさらつくるキューブアイスをもちいてもかきごおりつくることができる機種きしゅもある。おも子供こどもけとして需要じゅようたかいため、安全あんぜんめんから金属きんぞくせいもちいられないこともおおい。またペンギン白熊しろくまなど寒冷かんれい動物どうぶつした形状けいじょうのものも発売はつばいされている。

種類しゅるい[編集へんしゅう]

ミルク&イチゴ
ミルク&イチゴ
8種
8しゅ
多種
多種たしゅ

同一どういつのものであっても地域ちいきによってりつけかたことなる。かきごおり専用せんようのシロップは「こおりみつこおりみつ」とばれる。

シロップるい
イチゴシロップ
赤色あかいろのシロップ
メロンシロップ
緑色みどりいろのシロップ
レモンシロップ
黄色おうしょくのシロップ
ブルーハワイ
青色あおいろのシロップでカクテルブルー・ハワイ連想れんそうさせる。トロピカルフルーツ各種かくしゅえることもおおい。九州きゅうしゅうなどではハワイアンブルーぶこともある。レモンオレンジひとし香料こうりょう使つかわれ、おなじく寒色かんしょく系統けいとう着色ちゃくしょくされているソーダあじ日本にっぽんしきサイダーあじラムネあじ)アイスキャンディーにちか風味ふうみのものがおおい。
コーラシロップ
カラメルしょくのシロップ。炭酸たんさん飲料いんりょうのものとはことなり、炭酸たんさんはいっておらずそれ以上いじょうあま[独自どくじ研究けんきゅう?]
みずすい
砂糖さとうすいさとうすいりゃくして「みず」とい、砂糖さとう煮詰につめてつく無色むしょくのガムシロップをかけたものと混同こんどうされやすいが、みず砂糖さとうかしただけのものをかけるのが「みず」。「氷水こおりみずこおりすい」とばれることがある。
「みぞれ」・「せんじ」・「甘露かんろ(かんろ)」とばれるものはシロップをかけたもの。せんじとばれるのは、愛知あいちけん岐阜ぎふけん三重みえけんであるが、語源ごげん砂糖さとうせん煮詰につめてシロップをつくったからである。
また「甘露かんろかんろ」は真桑瓜まくわうりマクワウリ果汁かじゅう煮詰につめてつくったシロップをすことがある[8]
マンゴーシロップ
橙色だいだいいろ黄色おうしょくのシロップ
オレンジシロップ
橙色だいだいいろのシロップ
日向ひなたなつシロップ
山吹やまぶきしょくのシロップ
ブドウシロップ
紫色むらさきいろのシロップ
ピーチシロップ
桃色ももいろのシロップ
抹茶まっちゃシロップ
濃緑こみどりしょくのシロップ
レインボー
いろんないろのシロップをかけた多色たしょくのもの。
濃縮のうしゅく乳酸菌にゅうさんきん飲料いんりょう
カルピスなどの濃縮のうしゅくえき地域ちいきによってはそのまま「カルピス」とばれることがある。
コーヒー
れたコーヒー。シロップや加糖かとう練乳れんにゅうとともにかける。
くろみつ
黒糖こくとうかしたもの。台湾たいわんのかきごおりでは一般いっぱんてき
加糖かとう練乳れんにゅう
コンデンスミルク。かきごおりのメニューに「ミルク」とかれている場合ばあい牛乳ぎゅうにゅうではなく、コンデンスミルクをしている。単独たんどくでかけるよりもトッピングにされることがおおい。
梅酒うめしゅ
大人おとな
※イチゴシロップなどは、果汁かじゅう着色ちゃくしょくりょういろけたものがほとんどだが、果汁かじゅう果肉かにくぜたものも一部いちぶには存在そんざいする。
アイスクリーム
かきごおりうえのトッピングとしてアイスクリームをせる場合ばあいもある。
宇治うじ金時きんときのかきごおり
宇治うじ金時きんときうじきんときまたは抹茶まっちゃ小豆あずきまっちゃあずき
銘茶めいちゃとして名高なだか宇治うじちゃ連想れんそうさせる抹茶まっちゃ砂糖さとうみずくわえ、茶筅ちゃせん泡立あわだてたシロップをかきごおりにかけ、小倉餡おぐらあんせたもの。この場合ばあいの「金時きんとき」は小豆あずきあん異称いしょうとしてもちいられており、金時きんときまめ使つかわれることはまれである。つぶあんのばあいは、抹茶まっちゃうえせるようにかけ、あん場合ばあいはボールじょうにしてえることがおおい。下部かぶ埋設まいせつすることもあり、この場合ばあいたんなる宇治うじごおり区別くべつがつかない。金時きんときのアズキしょくとかきごおりしろ抹茶まっちゃみどり対比たいひをさせるためにあんうえ抹茶まっちゃをかけることはない。勿論もちろん宇治うじだけのものもある(抹茶まっちゃだけ)、また、宇治うじ金時きんときにミルクをかけた「宇治うじミルクきん宇治うじ時雨しぐれ)」も一般いっぱんてきである。宇治うじミルク金時きんとき1929ねん昭和しょうわ4ねん)に岡山おかやまけん岡山おかやまおもてまち開業かいぎょうした喫茶店きっさてん「カニドン」において、常連じょうれんろくだかせい注文ちゅうもんした宇治うじ金時きんときにコーヒーようミルクをかけてしょくしたのがはじまりとされている。
こおり小豆あずきこおりあずき
前記ぜんきみずをシロップとして小豆しょうずあんせたもの。これに練乳れんにゅうをかけたものは「ミルク金時きんとき」とばれている。
ゆきゆき
砂糖さとうをかきごおりりかけたもの。戦前せんぜん一般いっぱんてきであったが、戦後せんごはほぼ消滅しょうめつしたメニューである。
だまりごおりすだまりごおり
山形やまがたけん山辺やまべまち周辺しゅうへんつたわる醤油じょうゆまり)をかけたこおり。イチゴシロップなどとともにかけられる。だい世界せかい大戦たいせんまずしい時期じきに、シロップなどがはいらずなにもかけないかきごおりべられていた。そのころところてんなどにもちいられていた醤油じょうゆをかけはじめたとされる。
あかふくごおりあかふくごおり
伊勢路いせじなつ風物詩ふうぶつしひとつ。かきごおりあかぶくならではのあんもち抹茶まっちゃ仕立したてのシロップをかけたもの。ほうじちゃえられる。1961ねん昭和しょうわ36ねん)7がつ三重みえけん伊勢いせ名物めいぶつであるあかぶくもちを「あかぶくアイス」の名称めいしょう氷菓ひょうかとして海水浴かいすいよくきゃくきょうしたのがおこりとされる。夏季かきにはこおりとはことなりあかぶくあか文字もじあおこおり文字もじかれた看板かんばん店先みせさきかれる。あんはこしあんで、もちについては白玉しらたま団子だんごよりやわらかく、ゆでたのちいたもちはいっている。
しろくま(しろくま、こおり白熊しろくまとも)
発祥はっしょう鹿児島かごしま周辺しゅうへん、および九州きゅうしゅうでよくられる名物めいぶつ氷菓ひょうかミカンパイナップル缶詰かんづめなどの果物くだものみ、アズキをせ、加糖かとう練乳れんにゅうをかけたもの。このわせでカップりの氷菓ひょうかやアイスキャンディーもつくられている。
ぜんざい
沖縄おきなわけん名物めいぶつ氷菓ひょうか金時きんときまめ黒糖こくとうなどでたもののうえにかきごおりをかける。
はくゆきしらゆき
シロップとう使用しようしない、プレーンのかきごおり。「プレーンはかきごおりではなくかちだ」とするひともいるが、なかには愛好あいこうもいる。
ゆきくまゆきくま
なつ猛暑もうしょられる埼玉さいたまけん熊谷くまがやで、まちおこし一環いっかんとして、地元じもとみず利用りようしたかきごおり考案こうあんし、市内しない飲食いんしょくてんでオリジナルかきごおり競作きょうさくした。
横浜よこはまスタジアムでられている
みかんごおり
コバルトアイス
はちらく饅頭まんじゅうしているかきごおり。コバルトミルクとばれる場合ばあいもある。おも熊本くまもとけんをはじめとした九州きゅうしゅう付近ふきんではられている。ブルーハワイと加糖かとう練乳れんにゅうをかけたもの。
みかんごおり、パイナップルごおり
横浜よこはまスタジアムられているかきごおり缶詰かんづめミカンもしくは缶詰かんづめパイナップルをせ、そのうえ缶詰かんづめのシロップをかけただけの、シンプルなもの。
ごおり
20世紀せいき初頭しょとう通天閣つうてんかくまえ喫茶店きっさてん白雨はくうてい」に「ごおり」の看板かんばんかかげられていたことが確認かくにんされた。資料しりょうによると、当時とうじめずらしかったカラメルソースをかきごおりにかけたのではないかと推測すいそくされている。
2012ねん通天閣つうてんかく100周年しゅうねんとして、しん世界せかいちかい「グリルDEN・EN」が「平成へいせいごおり」というメニューを提供ていきょうするようになり、そのカラメルソースのうえ焼酎しょうちゅうおもわれるアルコールをうえからかけてをつけている。2013ねん、『ごちそうさん』(NHK総合そうごうテレビジョン連続れんぞくテレビ小説しょうせつ)でげられ注目ちゅうもくされている[9]

備考びこう[編集へんしゅう]

  • 日本にっぽんかきごおり協会きょうかい7がつ25にちかきごおり制定せいていしている。かきごおり別名べつめいであるなつごおりなつごおりを7, 2, 5と語呂合ごろあわせしたほか、1933ねん同日どうじつ当時とうじ日本にっぽん最高さいこう気温きおん記録きろくされたことにちなむ[10]
  • 一般いっぱんてきにかきごおりがおいしくかんじられる(の)温度おんど摂氏せっし30以上いじょうとされる[11]
  • 冷蔵庫れいぞうこ発達はったつしない時期じきなどは衛生えいせいてきすぐれないことがあった。
  • みずこおらすまえみず砂糖さとうかしてからこおらすと出来できこおりがサラサラになる。またごろとされる温度おんどは、アイスクリームのごろとされる氷点下ひょうてんか10よりもすこたかめとされている[11]
  • 現在げんざい日本にっぽん天然てんねんごおり製造せいぞうしている蔵元くらもとは、関東かんとう周辺しゅうへんでは栃木とちぎけんに3かしょ山梨やまなしけんに2かしょ埼玉さいたまけんに1かしょある。

各国かっこくのかきごおり[編集へんしゅう]

けずったこおりべる文化ぶんかふるくから各地かくち存在そんざいした。古代こだいローマにはアルプスからこおりして氷室ひむろ保存ほぞんしておき、夏季かきにそれをけずって蜂蜜はちみつをかけてべる文化ぶんかがあった[12]

アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくではshaved iceごおり)、snow cone円錐えんすいがたゆき)とばれる。

中国ちゅうごくでは「刨冰」(バオビン、拼音: bàobīng)という。台湾たいわんではツワピン、漢字かんじ表記ひょうき剉冰銼冰ふたつがある。

台湾たいわん[編集へんしゅう]

「冰讃」という冰館で提供ていきょうされるすすきはてゆき花氷はなごおり
くさいちごごおり

台湾たいわんのかきごおり台湾たいわん総督そうとく時代じだい日本にっぽんからつたわれたとわれ、専門せんもんてき漢字かんじ表記ひょうきもあって、「剉冰」や「銼冰」とく。近年きんねん中国ちゅうごくからの影響えいきょう中国語ちゅうごくごの「刨冰」のかたもよく使つかっている。「剉・銼・刨」はかきごおりの「かき」にたる漢字かんじで、「冰」は「こおり」の繁体字はんたいじ台湾たいわんのかきごおり名称めいしょう前半ぜんはんうえせる漢字かんじけ、名称めいしょう後半こうはんはかきごおりのタイプにけることが一般いっぱんてきである。たとえば、イチゴの漢字かんじは「くさいちご」であり、イチゴあじの「ゆき花氷はなごおり」タイプのかきごおりは「くさいちごゆき花氷はなごおり」とく。中華民国ちゅうかみんこく台湾たいわんでは「冰館(ICE ROOM、ピングアン、ちゅうおと: ㄅㄧㄥ ㄍㄨㄢˇ)」という氷菓ひょうか専門せんもんてんから各地かくちひろがり、日本にっぽんにも上陸じょうりくした。また、台湾たいわんのフルーツあじのかきごおり場合ばあいでは基本きほんてき本物ほんもののフルーツや果汁かじゅうせられていて、日本にっぽんのようにこおりみつ使つかわない。

すすきはてごおりマングォビン
ちゅうおと: ㄇㄤˊ ㄍㄨㄛˇ ㄅㄧㄥ
2004ねんころから発展はってんし、最新さいしんでありながらいまでも流行りゅうこうしている台湾たいわん代表だいひょうてきなかきごおりすすきはてマンゴーたる漢字かんじ新鮮しんせんなマンゴーのをたっぷりせ、マンゴーのジュースやアイスクリーム、加糖かとう練乳れんにゅうをかける。
ゆき花氷はなごおりシェファビン、またゆき綿めんごおりシェメンピン
ちゅうおと: ㄒㄩㄝˇ ㄏㄨㄚ ㄅㄧㄥ
特殊とくしゅてきこおりけず方法ほうほう使つかって、こおり形状けいじょうゆきはなのようにするきごおり日本にっぽんでは「ゆき花氷はなごおり」という名前なまえすでべつのアイスけいスイーツに商標しょうひょう登録とうろくされており、日本にっぽん国内こくないでは無断むだん使用しようすることはできない。また、一番いちばん人気にんきゆき花氷はなごおり前述ぜんじゅつのマンゴーあじのものなので、漢字かんじ表記ひょうきは「すすきはてゆき花氷はなごおり」とく。
紅白こうはく団子だんごごおりホンバイトゥアンズビン
でたピンクとしろのもち団子だんごをかけたかきごおりみせによって、団子だんごなかではくろゴマ・しろゴマ、アズキ、抹茶まっちゃなどのあんれている。
月見つきみごおりユエチエンピン
ちゅうおと: ㄩㄝˋ ㄐ|ㄢˋ ㄅㄧㄥ
かきごおりうえ蒟蒻こんにゃく練乳れんにゅうドライフルーツなどをトッピングしたのちなかにくぼみをつくって、鶏卵けいらんプリン黄色おうしょくのアイスクリームをれたもの[13]。「月見つきみ」は日本語にほんごからの借用しゃくようで、日本にっぽん統治とうち時代じだい台湾たいわん考案こうあんされたとかんがえられる。
さんはてごおりサングオビン、またさんしょくごおりサンスアビン
みっつの果物くだものスイカパイナップルキウイ)とそれぞれの果汁かじゅうをかきごおりせた豪華ごうかなスイーツ。みせによって、黄色おうしょくのパイナップルはバナナ、マンゴー、メロンわり、赤色あかいろのスイカはイチゴわり、いずれもそろっていたさんしょく重視じゅうし。なお、オレンジしょくオレンジ蜜柑みかんくわえて、よんしょくよんはてごおりになることも可能かのう
はちたからごおりバーバオビン
ちゅうおと: ㄅㄚ ㄅㄠˇ ㄅㄧㄥ
かきごおりうえあま煮豆にまめをはじめ、おおくのわせたかきごおり台湾たいわんでは「はちたから冰(はちたからごおり)」という。このみで果肉かにくジャムみつ果物くだもの、「QQ」とばれる弾力だんりょくのあるフルーツせい団子だんごライスヌードルナッツ加糖かとう練乳れんにゅう、クリームプリンなどがえらべ、「やっつのたから茶碗ちゃわんげた」イメージをつくる。
うし奶氷ニオナイビン
うし奶」は牛乳ぎゅうにゅう意味いみみずなか牛乳ぎゅうにゅうくわえて、こおりじょうにしたかきごおり
黒糖こくとうごおりヘイタンビン
前述ぜんじゅつおなじく、みずなか黒糖こくとうみつくわえ、こおりじょうにしたかきごおり
あわあわごおりスグオビン
あわあわは「大量たいりょうなバブル」の意味いみし、かきごおりミルクセーキあいだのかきごおり
かたなそぎごおりダオシャオビン
ちゅうおと: ㄉㄠ ㄒㄧㄠ ㄅㄧㄥ
台湾たいわんべつのタイプのかきごおり包丁ほうちょうってけずるので、あらクラッシュドアイスちかいものができる。各種かくしゅごおりみつ練乳れんにゅうをかけてべ、日本にっぽんのかきごおり一番いちばんちかいとわれている。

そのくに[編集へんしゅう]

香港ほんこんふるいタイプのべにまめ
韓国かんこくのパッピンス
フィリピンのハロハロ
べにまめ冰(広東かんとん:ホンダウベン)
香港ほんこんのかきごおり旧来きゅうらいのものは、グラスにやした小豆あずきぜんざいれ、エバミルクをかけ、そのうえすさめにけずったこおりやまのようにせる。さじされるが、もともと飲料いんりょうてき要素ようそたかく、現在げんざいはクラッシュアイスにわったみせがほとんどのため、飲料いんりょう認識にんしきされている。変種へんしゅとしてアイスクリームをくわえたものや、「菠蘿冰」(パイナップルこおり)などがあり、「ちゃ餐廳」や「冰室」とばれる喫茶きっさ軽食けいしょくてん提供ていきょうされる。
ケテック
新疆しんきょうウイグル自治じちひがしトルキスタン)のかきごおり蜂蜜はちみつぜた手作てづくヨーグルトがかけられる。山頂さんちょう付近ふきんからはこんだ天然てんねんごおり先端せんたんがフォークがた金属きんぞくぼう器具きぐぎ、くだようけずる。
ピンス朝鮮ちょうせん氷水こおりみず빙수
朝鮮半島ちょうせんはんとうのかきごおり代表だいひょうてきなのがパッピンス팥빙수)で、名前なまえには小豆あずきパッいているが、日本にっぽんこおり小豆あずきとはことなり、台湾たいわんはちたからごおり同様どうように、小豆しょうずあん缶詰かんづめフルーツ、もちといっが豊富ほうふられており、味付あじつけによくきな使つかてんと、ピビンパ同様どうようべるまえ徹底的てっていてきぜるのが特徴とくちょうてき小豆あずききで、フルーツをせたクヮイルピンス果実かじつ氷水こおりみず과일빙수)など様々さまざま種類しゅるいがある。おみせでは通常つうじょう人前にんまえ以上いじょう分量ぶんりょううつわられている場合ばあいおおく、(なべのように)複数ふくすうじんけてべるのが一般いっぱんてき
シェイブアイス(SHAVE ICE
ハワイのかきごおり上記じょうき紹介しょうかいした“shaved ice”とは別物べつものアイスシェイブともばれる[14]
1800年代ねんだい中頃なかごろ日本にっぽんからハワイへの移民いみんが、農作業のうさぎょう合間あいまりょうをとるために日本にっぽんのかきごおりんで、砂糖さとうやフルーツジュースをかけたのが原型げんけいとされる[14]
カラフルなシロップをかけるのがスタンダードであるがフルーツやアイスクリームなどのトッピングもこのまれる。トッピングのなかには日本にっぽんのかきごおり由来ゆらいあま小豆あずき人気にんきたか[14]
グラッタケッカ(GRATTACHECCA)
イタリアローマ地方ちほう氷菓子こおりがし
ハロハロ(Halohalo)
まめあんナタ・デ・ココ、アイスクリームなど、豊富ほうふせたフィリピンのかきごおり。Halohaloはタガログで「ごちゃこんぜ」を意味いみする。日本にっぽんではミニストップのコールドスイーツの名称めいしょうとしてひろまっている。
タッチェー
ベトナムのかきごおり。かきごおりうえに、緑豆りょくとうココナッツりの白玉しらたまぜんざい(チェー/che)がかかっている。
ボボチャチャ
ハロハロによくているシンガポールのかきごおり。「ボボチャチャ」とは「ごちゃこんぜ」のである。
アイス・カチャン (Ais kacang)
マレーシアのかきごおりこおりうえにカチャン(まめ)の甘煮うまにる。こおり自体じたいあじけてかんなくずのようにいちつづきにけずったもの存在そんざいする。
エス・チャンプル(es campur)
インドネシアのかきごおり果物くだものやタピオカがっている。
フリオフリオ(FRÍO FRÍO)
ドミニカ共和国どみにかきょうわこくのかきごおり手押てお屋台やたい販売はんばいしている。使つかてのプラスチックのコップにかきごおりれて、そのうえからシロップをかける。かきごおりこおりかたまり金属きんぞく器具きぐにてかんなけずるようにしてつくる。シロップは、レモン、タマリンドなどすうしゅある。

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

出典しゅってん[編集へんしゅう]

  1. ^ a b 三省堂さんせいどうしん明解めいかい国語こくご辞典じてんだい6はん
  2. ^ a b c d e f g h i こおりそぎ(ひょうさくき) みず資源しげん機構きこう
  3. ^ 「あてなる」あまづら、まぼろしあじ 植物しょくぶつから再現さいげん”. 日本経済新聞にほんけいざいしんぶん (2020ねん9がつ22にち). 2020ねん12月29にち閲覧えつらん
  4. ^ 朝倉あさくら治彦はるひこ稲村いなむらとおるもと明治めいじ世相せそうへんねん辞典じてん
  5. ^ 牧村まきむらふみへん大阪おおさか方言ほうげん事典じてん』(1955ねん大阪おおさか杉本すぎもと書店しょてん)737ぺーじ
  6. ^ 「34え かきごおりあいす/VSアイス 気温きおん関係かんけい 3.3まんにん調査ちょうさ毎日新聞まいにちしんぶん朝刊ちょうかん2022ねん9がつ6にち総合そうごう社会しゃかいめん)2022ねん9がつ21にち閲覧えつらん
  7. ^ 「かきごおりふくろタイプでしょ?」九州きゅうしゅうじんあいする「ふくろごおり」はなぜあんなにあじ? マイナビニュース(2014ねん9がつ15にち)2020ねん11月30にち閲覧えつらん
  8. ^ 2013ねん8がつ30にち放送ほうそうメ〜テレビーバップ!ハイヒール』での日本経済新聞社にほんけいざいしんぶんしゃ特別とくべつ編集へんしゅう委員いいん野村のむらやすしさる解説かいせつ[出典しゅってん無効むこう]
  9. ^ しん世界せかい喫茶きっさレストラン、あさドラ「ごちそうさん」の「やきごおり」でふたた脚光きゃっこう あべの経済けいざい新聞しんぶん(2013ねん11月29にち) 2013ねん12月2にち閲覧えつらん
  10. ^ 日本にっぽん記念きねん協会きょうかい 今日きょう記念きねん - 7がつ25にち検索けんさく結果けっかより。
  11. ^ a b アイスクリームと気温きおん - 2013ねん5月18にち 日本にっぽん気象きしょう協会きょうかい公式こうしきサイト「tenki.jp」より。
  12. ^ 池田いけだ律子りつこ『イタリアのおいしいたび阪急はんきゅうコミュニケーションズ、2003ねん、51ぺーじ
  13. ^ なつかしの台湾たいわんデザート 月見つきみカキごおり”. マジカルサイト たび台北たいぺい.com. 2013ねん7がつ7にち閲覧えつらん
  14. ^ a b c Tiffany Hill. “シェイブアイスがハワイ名物めいぶつになった理由りゆう”. ハワイアン航空こうくう. 2023ねん7がつ20日はつか閲覧えつらん

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]