オートガイネフィリア

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オートガイネフィリア英語えいご: Autogynephilia)とは、レイ・ブランチャード英語えいごばんせい転換てんかんしょう分類ぶんるいにおいて定義ていぎした用語ようごであり、男性だんせいが、自身じしん女性じょせいだと想像そうぞうすること、または、女装じょそう行為こうい自体じたい女装じょそうちゅうに「女性じょせい」として男性だんせい肉体にくたい関係かんけいこと、そして、これらのような各種かくしゅ女性じょせい」によって性的せいてき興奮こうふんする性的せいてき嗜好しこう性的せいてき倒錯とうさく一種いっしゅ日本語にほんごでは自己じこ女性じょせい性愛せいあいしょう[1][2][3][4][5]自己じこ女性じょせい偏愛へんあいせい倒錯とうさくしょう略称りゃくしょうAG[5]女装じょそうしている自身じしん想像そうぞうだけで満足まんぞくするものから、実際じっさい女装じょそうして男性だんせい性的せいてき行為こういおよものまでがある[5]。 

自分じぶん女性じょせいである」という妄想もうそう症状しょうじょうのあるせい同一どういつせい障害しょうがい男性だんせいとはことなり、オートガイネフィリアは性欲せいよく由来ゆらい要素ようそつよく、せい適合てきごう手術しゅじゅつをした場合ばあい後悔こうかいする症例しょうれいおおい。

日本にっぽんにははりあいだ克己こっきが1998ねん紹介しょうかいをおこなった[6]

概要がいよう[編集へんしゅう]

1989ねんにカナダのせい科学かがくものレイ・ブランチャード英語えいごばんによって定義ていぎされた。語源ごげんギリシャαあるふぁὐτός自分じぶん), γυνή女性じょせい), φιλίαあい)、すなわち「女性じょせいとしての自分じぶんあいする」という意味いみである。日本語にほんごでは「自己じこ女性じょせい愛好あいこうしょう」「自己じこ女性じょせい偏愛へんあいせい倒錯とうさくしょう」などで、定訳ていやくはまだない。

議論ぎろん余地よちがある男性だんせいからのせい転換てんかんしゃ行動こうどうモデルのひとつで、Blanchard, Bailey, and Lawrence theoryにより非公式ひこうしき分類ぶんるいされている。この理論りろん同性愛どうせいあいせい転換てんかんしゃTranswoman男性だんせいから女性じょせいへのせい転換てんかんしゃ(MtF))が男性だんせいだけでなく、レズビアンりょう性愛せいあいなトランスウーマンにまで性的せいてきかれるようなせい嗜好しこう出現しゅつげんする理由りゆう説明せつめいするためのモデルで[7]、それによると、男性だんせい興味きょうみたない(MtF)せい転換てんかんしゃ(ブランシャールによれば「せい不感症ふかんしょう男性だんせい[8])は自己じこイメージを女性じょせいてきよそおうことに性的せいてきのぼるぶる。

ブランシャールはこのような現象げんしょう性別せいべつ違和いわ症候群しょうこうぐん(gender dysphoria)としょうパラフィリアとらせい同一どういつせい障害しょうがい(gender identity disorder)としょうし、さらに"Nonhomosexual transsexuals" 「同性愛どうせいあいせい転換てんかん」または"Autogynephilic transsexuals" 「自己じこ女性じょせいあいせい転換てんかん」に分類ぶんるいし、男性だんせいにだけかれるトランスウーマンは"Androphilic" 「男性だんせいあい」、ないし"Homosexual transsexuals" 「同性愛どうせいあいせい転換てんかん」とんだ。また、性欲せいよくはあるが他人たにん性的せいてき欲求よっきゅうかないひととして、"analloerotic"「性愛せいあいしゃ」にも言及げんきゅうしている。

2001ねん8がつ31にちけのカナダ人権じんけん裁判所さいばんしょen:Canadian Human Rights Tribunal)の記録きろくだい18せつにも「性愛せいあいてきせい転換てんかんしゃ(heterosexual transsexual)はオートガイネフィリアであり、せい転換てんかん手術しゅじゅつ自称じしょうレズビアンとなり、「同性愛どうせいあいてきせい転換てんかんしゃ」はよりせい同一どういつせい障害しょうがい状態じょうたいつよ手術しゅじゅつ男性だんせいかれるようになる」とどう裁判さいばん判決はんけつには影響えいきょうあたえなかったが、その理論りろん紹介しょうかいされた(性別せいべつ適合てきごう手術しゅじゅつ項目こうもく外部がいぶリンク参照さんしょう)。

学者がくしゃではない立場たちばではあるが、トランスジェンダー当事とうじしゃであるリン・コンウェイは、せい転換てんかんしょう(transsexualism)を同性愛どうせいあい関連付かんれんづけて認識にんしきし、そして性別せいべつ移行いこうしゃ(transsexual)を身体しんたい錯誤さくごではなく精神せいしん異常いじょう性的せいてき倒錯とうさくとみなすブランシャールの言説げんせつたいし、きびしい批判ひはんおこなったことがある。

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

  1. ^ Blanchard R (1989). The Concept of Autogynephilia and the Typology of Male Gender Dysphoria. en:Journal of Nervous and Mental Disease, 177 (10), 616–623. Retrieved 9 January 2005
  2. ^ LGBT法案ほうあん 自民党じみんとう条件じょうけんつきで了承りょうしょう議員ぎいんたちの問題もんだい発言はつげんりになった“社会しゃかい理解りかい不足ふそく”. ABEMA TIMES. 2023ねん2がつ19にち閲覧えつらん
  3. ^ 女性じょせいなるもの」へのつよあこがれ【後編こうへん”. LGBTER|エルジービーター. 2023ねん2がつ19にち閲覧えつらん
  4. ^ えいろう on the WEB”. eow.alc.co.jp. 2023ねん2がつ19にち閲覧えつらん
  5. ^ a b c AG(オートガイネフィリア)、自己じこ女性じょせい愛好あいこうしょうってってる?本来ほんらい意味いみ実際じっさい使つかわれかた”. 乙女おとめじゅく. 2023ねん2がつ19にち閲覧えつらん
  6. ^ はりあいだ克己こっき (2021ねん6がつ16にち). “トランスジェンダーに、かたよったせい嗜好しこうである「オートガイネフィリア」はふくまれるのか”. wezzy. 2023ねん5がつ18にち閲覧えつらん
  7. ^ Blanchard, Ray (1989). The Classification and Labeling of Non-homosexual Gender Dysphorias. en:Archives of Sexual Behavior, 18 (4), 315–334
  8. ^ Blanchard R (1995). Comparison of height and weight in homosexual versus nonhomosexual male gender dysphorics. en:Archives of Sexual Behavior 1995 Oct;24(5):543-54.

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]