| この記事は検証可能な参考文献や出典が全く示されていないか、不十分です。出典を追加して記事の信頼性向上にご協力ください。(このテンプレートの使い方) 出典検索?: "カリギュラ" 映画 – ニュース · 書籍 · スカラー · CiNii · J-STAGE · NDL · dlib.jp · ジャパンサーチ · TWL(2019年10月) |
『カリギュラ』(Caligula)は、1980年のイタリア・アメリカ合作映画。当時のペントハウス誌社長ボブ・グッチョーネが46億円の巨費を投じて製作した[2]。ローマ帝国皇帝カリグラの放蕩や残忍さを描いた重厚な歴史超大作であるが、ハードコア・ポルノとの評価もある[2]。の撮影はアメリカ映画協会(MPAA)を通さず秘密裏に行われ、ニューヨークでは劇場を一館買い取って公開されて大ヒットを記録した。映画の脚本を基にしたノベライズもあり日本でも翻訳出版された。
監督はイタリアのポルノ映画界の巨匠ティント・ブラス。主演はカリギュラ役のマルコム・マクダウェル、皇帝ティベリウスのピーター・オトゥールほか、サー・ジョン・ギールグッド、当時すでにシェイクスピア女優としての地位を築いていた演技派女優のヘレン・ミレンなど豪華キャストの上、脚本家にはゴア・ヴィダル、製作はフランコ・ロッセリーニという布陣であった。
しかし撮影現場はトラブル続きで不協和音の連続だったという。後で付け加えられたハードなポルノ・シーンはボブ・グッチョーネがペントハウスのモデル達を使って別撮りしたものであり、主要キャスト陣は関わっていない。しかも、当初はこの作品がポルノになることは出演者たちには全く知らされていなかったという。さらに、ゴア・ヴィダルによる台本及びブラスの撮影したカットは大幅に改変・削除され、ヴィダルとブラスが意図していた『絶対的な権力は絶対的に腐敗する』というテーマによる政治的風刺、という色彩は薄れてしまった。
アメリカ以外ではほとんど編集版が上映されたが、経済的にはヒットし、日本でも「カリギュラ効果」という言葉を生んだ。
ビデオ、DVD及びブルーレイではポルノシーンを削除した版がリリースされている。2018年、ペントハウスはブラスの家族の了承のもと、ドイツのアレクサンダー・トゥシンスキ(英語版)が本作の復元版を製作中であるとアナウンスした [3]。
映画秘宝によると、ピーター・オトゥールは後にグッチョーネとブラスを訴えようとしていた(「当時はアルコール依存症だったとはいえ、騙されてポルノに出演させられた、詐欺だ。」と騒ぎ、自分のキャリアに傷が付いたとして裁判を起こそうとした)。結果的には、当時のオトゥール自身が精神的に正常ではなかったため、うやむやなまま終った。
ゴア・ヴィダルは雑誌『タイム』誌上でブラスを批判した後、製作途中でスタジオから閉め出されたため、自分の名前がクレジットに載ることを拒み、グッチョーネらを訴えた。
マルコム・マクダウェルはグッチョーネの名を聞き、「ポルノ映画なんてごめんだ」と言ったが、脚本のヴィダルは「ただの会社の役員さ。気にしなくていい」と言われ、出演した。彼は鷹を観ているシーンを撮影したにもかかわらず、監督らによってレズビアンのシーンが挿入され、激怒したと語っている。
ローマ帝国初代皇帝アウグストゥスの曾孫カリギュラ(ガイウス・シーザー・ゲルマニクス)は、妹であり愛人のドルシラと慎ましく暮らしていた。ところが成人を迎える頃、カリギュラはカプリ島に隠遁している第2代ローマ皇帝である暴君ティベリウス(カリギュラの大叔父であり法律上の祖父。なおこの時点でティベリウスの養子であるカリギュラの実父は既に死んでいる)にカプリ島まで呼び出される。そこで彼が見たものは異常性愛に溺れる皇帝と衰退しきったローマの姿であった。
ティベリウスは自分の実孫ゲメルスを後継者にしたいがため、呼び寄せたカリギュラに毒を盛ろうとする。
この事態に気づいたカリギュラが危機感を抱いた矢先、ティベリウスは病に罹り仮死状態となってしまう。ティベリウスが死んだものと思い込んだカリギュラは人払いした後、皇帝の指輪をティベリウスの指から外して自らの指にはめて悦に入るが、直後蘇生したティベリウスから指輪を返すよう迫られる。カリギュラはこれを断り逆にティベリウスの撲殺を図る。いつの間にかその場に現れたカリギュラの親衛隊長マクロは、カリギュラ自身が手を汚すことを避け、カリギュラに代わってティベリウスを絞殺した。カリギュラはローマ帝国の皇位継承ルール通り第3代皇帝となった。
しかし、彼の皇帝生活は当初好調であったが、その後は必ずしも順調には進まなかった。
まず初めに実妹かつ愛人のドルシラからの助言もあり、皇帝即位に大功のあった親衛隊長マクロが自分を凌ぐ権勢を得ることを警戒し、第2代皇帝ティベリウス殺害を理由にマクロを処刑してしまう(ここでの巨大芝刈り機を使ったマクロの処刑シーンは残虐性故非常に有名)とともに、彼との結婚を約束していたマクロの妻(愛人としてマクロから提供されていた)を辺境(現在のフランス~オランダあたりの地域)に追放してしまう。次に、カリギュラは最愛の妹ドルシラと結婚しようとするが、ローマの法律上どうしても兄妹では結婚できない。苦悩の果てに、ドルシラに説得されて妻には他の女を娶る事にし、ドルシラが聖女の泉に召集した巫女の中から妻を探すことを求められた。しかしカリギュラは、その巫女の中でもよりによって淫乱で離婚歴のあるカエソニアを気に入ってしまう。ドルシラは猛反対したがカリギュラは反対を押し切ってカエソニアを妻に迎えた。
その間にもカリギュラは、自分が出席した兵士の結婚式で新郎・新婦を共にレイプするなど、少しずつその異常性を現し始める。そして先帝ティベリウスの実孫ゲメルスに無実の罪を着せて処刑したため貴族たちからの不信感を買うことになった。
そんな中カリギュラはフィーバー(熱病)という大病を病った。ドルシラが付きっきりで看病し彼は何とか回復する。しかし看病の際最愛のドルシラが熱病に罹りあえなく亡くなってしまう。最愛のドルシラを失ったショックからカリギュラは狂気への歯止めが利かなくなり、その治世はまさに狂乱の様相を呈し始める。
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- ^ 『キネマ旬報ベスト・テン85回全史 1924-2011』(キネマ旬報社、2012年)390頁
- ^ a b 『昭和55年 写真生活』(2017年、ダイアプレス)p36
- ^ Tuschinski, Alexander (2018-07-26), Mission: Caligula, https://vimeo.com/281814277 2018年7月27日閲覧。