グーゴルプレックス

グーゴルプレックス (googolplex) とは、数かずの単位たんいであり、1グーゴルプレックスは10の1グーゴル乗の (10^1googol)、すなわち10の10の100乗じょう乗じょう (10¹⁰¹⁰⁰) である。1グーゴルプレックスは1の後のちに0を1グーゴル個こつけることによって表あらわされる整数せいすうである。

グーゴルプレックスの次つぎの単位たんいはグーゴルプレックスプレックス（グーゴルデュプレックス）で 1グーゴルプレックスプレックスは10^1googolplexで、すなわち10の(10の(10の100乗じょう)乗じょう)乗じょう (10^1010100) である。

概要がいよう

グーゴルは1920年ねんに誕生たんじょうしたもので、アメリカの数学すうがく者しゃエドワード・カスナーの当時とうじ9歳さいの甥おいミルトン・シロッタ (Milton Sirotta) による造語ぞうごである。その後ご、シロッタは「1の後のちに疲つかれるまで0を書かいた数かず」としてグーゴルプレックスを提案ていあんした。カスナーは「人ひとによっていつ疲つかれるかという時間じかんは異ことなる。プリモ・カルネラは持久じきゅう力りょくがあるというだけでアルベルト・アインシュタインよりも良よい数学すうがく者しゃだということにはならない」として、これに正確せいかくな定義ていぎを与あたえた。

グーゴルは10⁷⁹から10⁸¹と推定すいていされる観測かんそく可能かのうな宇宙うちゅうの全ぜん原子げんし数かずや、8×10⁶⁰と推定すいていされるビッグバンから今いままでの時間じかんをプランク時間じかん単位たんいで表あらわした数かずよりも大おおきい。逆ぎゃくに、ビッグバンから今いままでの全すべての時間じかんにおける観測かんそく可能かのうな宇宙うちゅうの全ぜん原子げんしの状態じょうたいを1つずつとして考かんがえると、約やく8×10¹⁴⁰となりグーゴルより遥はるかに大おおきくなる。

1グーゴルプレックスは10^n′進すすむ表記ひょうき (n′は10¹⁰⁰の約数やくすう)では1の後のちに(1グーゴル/n′)個この0が続つづく数かずであるため、十進法じっしんほう以下いかで全すべてを書かき下くだすのは、たとえ観測かんそく可能かのうな宇宙うちゅうの物質ぶっしつを紙かみとインクに変かえても不可能ふかのうである。TeXの1ポイントのフォントは0.3514598mmとほとんど読よめないくらい小ちいさいが、この大おおきさでこの数かずを書かくと、n進すすむ表記ひょうきの場合ばあいに{log_n10×(3.5×10⁹⁶)}mの長ながさになる。観測かんそく可能かのうな宇宙うちゅうの直径ちょっけいは7.4×10²⁶mに過すぎないため、この長ながさは観測かんそく可能かのうな宇宙うちゅうの直径ちょっけいの{log_n10×(4.7×10⁶⁹)}倍ばいにあたる。もし1秒びょうに2文字もじの数字すうじを書かける人ひとがこの数かずを書かき下くだすとすると、2024年ねん4月がつ現在げんざいの宇宙うちゅうの年齢ねんれいの{log_n10×(1.1×10⁸²)}倍ばいの時間じかんが必要ひつようとなる。

なお、宇宙うちゅうの大おおきさについては、無限むげん大だいも含ふくめて諸説しょせつあり、インフレーション後ごの宇宙うちゅうの大おおきさとして出だされた物理ぶつり学者がくしゃレオナルド・サスキンドによる解かいの一ひとつは、10^1010122m以上いじょうであり、これは10の1グーゴルプレックス乗じょう光年こうねんよりも遥はるかに巨大きょだいである。

現実げんじつの世界せかいではグーゴルプレックスの値ねの例れいとなるものを探さがすのは難むずかしい。ドン・ページは、量子りょうし状態じょうたいやブラックホールの世界せかいでは「太陽たいようほどの質量しつりょうのブラックホールで情報じょうほうが本当ほんとうに失うしなわれるかどうかを実験じっけん的てきに確たしかめるとすると、ブラックホールが蒸発じょうはつした後のちに10^1076.96倍ばいの大おおきさが必要ひつようである」と述のべている。別べつの論文ろんぶんでは、アンドロメダ銀河ぎんがほどの質量しつりょうのブラックホールの状態じょうたい量りょうは1グーゴルプレックス程度ていどであるとも述のべている。

純粋じゅんすい数学すうがくでは、グーゴルプレックスはクヌースの矢印やじるし表記ひょうきや多角たかく形がた表記ひょうき、コンウェイのチェーン表記ひょうきなどの方法ほうほうで表あらわされる巨きょ大数たいすうほど大おおきくはないが 3↑↑4 や 10↑↑3 よりも大おおきい。もっと単純たんじゅんに、例たとえば

$10^{10^{10^{10^{10^{10}}}}}$

などと書かくだけで容易よういにグーゴルプレックスよりも大おおきい数かずを表あらわすことができる。これは別べつの表記ひょうき法ほうで ⁶10 や 10↑↑6 、 10[4]6 、そして 10→6→2 、またハイパーE表記ひょうきで　E100#2　と書かくことができる。また、グーゴルプレックスや10の1グーゴルプレックス乗じょう（グーゴルプレックスプレックスあるいはグーゴルデュプレックス）も単純たんじゅんな指数しすう表記ひょうきでそれぞれ 10^10^100 や 10^10^10^100 と書かくことができる。このようにグーゴルプレックスは累乗るいじょうを用もちいれば簡単かんたんに表あらわすことができて、巨きょ大数たいすうを表あらわす他ほかの表示法ひょうじほうによっても表あらわせる。

表記ひょうき

グーゴルプレックスを表あらわすにはいくつか等価とうかな表記ひょうきがある。

名称めいしょう	表記ひょうき
クヌースの矢印やじるし表記ひょうき	$10\uparrow 10\uparrow 100$
コンウェイのチェーン表記ひょうき	$10\rightarrow (10\rightarrow 100)$
ハイパー演算えんざん表記ひょうき	$10[3]10[3]100,~H_{3}\left(10,H_{3}(10,100)\right)$ $\operatorname {hyper} \left(10,3,\operatorname {hyper} (10,3,100)\right),~\operatorname {hyper3} \left(10,\operatorname {hyper3} (10,100)\right)$
バウアーズの配列はいれつ表記ひょうき	$\lbrace 10,\lbrace 10,100,1\rbrace ,1\rbrace$
反復はんぷく指数しすう表記ひょうき	$\exp _{10}^{1}\left({10}^{100}\right)$

その他た

• カリフォルニア州しゅうサンタクララ郡ぐんマウンテンビューにあるGoogleの本社ほんしゃの愛称あいしょう「Googleplex」はグーゴルプレックスにちなむ。
• アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくのバンドClutchは2002年ねんに「Live at the Googolplex」というタイトルのアルバムをリリースした。
• 映画えいが「バック・トゥ・ザ・フューチャー PART3」では、恋人こいびとを失うしなったエメット・ブラウン博士はかせが「100万まん人にんに1人ひとり、10億おく人にんに1人ひとり、いや1グーゴルプレックス人じんに1人ひとりの女おんなだった (One in a googolplex.)」と嘆なげくシーンがある。

関連かんれん項目こうもく

• グーゴル
• 巨きょ大数たいすう
• 数かずの一覧いちらん
• 不可ふか説せつ不可ふか説せつ転てん