ハエ
ハエ | |||||||||||||||||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| |||||||||||||||||||||
ハエ(
人間 とのかかわり[編集 ]
害虫 [編集 ]
イエバエ
- (1)
汚物 の散布 , (2)病原 体 の間接 的 な媒介 - ハエの
成虫 の多 くはエネルギー源 として花 の蜜 や果物 、アブラムシの排泄 物 (甘露 )などから糖分 を摂取 するが、卵巣 や精巣 の成熟 のための蛋白 源 として種 によって様々 な食物 を摂取 する。蛋白 源 となる食物 はヒトや家畜 の体液 (涙 、唾液 、傷口 からの浸出液 など)、死 肉 や動物 の糞 、腐敗 植物 質 といった動植物 の死骸 、花粉 などである。
衛生 害虫 としてのハエの害 の1つ目 と2つ目 はこのハエの摂食 習性 に起因 する。まず、動植物 の死骸 から好 んで蛋白質 を摂取 するハエの場合 、人間 の糞便 などの汚物 または死骸 と、肉 や魚 など食物 の双方 で摂食 を行 う場合 があり、このときに病原 性 のある細菌 、ウイルス、寄生虫 卵 などを体 の表面 を通 じて、または食品 上 で消化 管 内容 物 を吐出 したり糞便 を排泄 したりすることによって媒介 することとなる。ヒトの居住 空間 に進出 しているハエの一部 には、イエバエのように積極 的 に人家 に侵入 する性質 を持 ったものがあり、こうしたハエは特 に食物 の病原 体 による汚染 を引 き起 こす可能 性 が高 い。
古 くから、ポリオウイルス、赤痢 菌 、サルモネラ、赤痢 アメーバ、回虫 卵 、鞭 虫 卵 などがハエによって媒介 されることが知 られ、警戒 されていたが、公衆 衛生 の向上 によってこれらの病原 体 が少 なくなった日本 ではあまり危険 視 されなくなっていた。しかし、1990年代 後半 以降 、病原 性 大腸菌 (O157など)やトリインフルエンザウイルスといった感染 症 病原 体 がハエによって媒介 されていることを強 く示唆 する研究 結果 が公表 され、再 びハエによる病原 体 媒介 が着目 されつつある。
- (3)
直接的 な病原 体 の媒介 上記 の病原 体 媒介 は食物 を通 じた間接 的 なものであるが、ハエの食 性 によっては動物 やヒトの個体 の間 で、病原 体 を直接 媒介 することが知 られている。例 えば、ヒトを含 めた動物 の涙 から蛋白質 を摂取 する小型 のハエをメマトイと呼 ぶが、こうした食 性 のハエは目 から目 に直接 寄生虫 などの病原 体 を運 ぶことも知 られている。日本 では線 虫 の一種 、東洋 眼 虫 が、雄 がこの性質 を示 すショウジョウバエ科 のマダラメマトイによって媒介 されることが知 られている。また、ハエの中 には吸血 性 を持 ち、健全 な皮膚 から血液 を直接 摂取 して蛋白 源 とするものがあり、これも寄生虫 などを媒介 することがある。日本 にもいるイエバエ科 のサシバエ類 による病原 体 媒介 は、日本 では知 られていないが、アフリカのツェツェバエ類 によって媒介 されるトリパノソーマは、アフリカ諸国 では深刻 な問題 となっている。
- (4)
寄生 - こうした2
通 りの病原 体 の媒介 以外 に衛生 学 上 、医学 上 重要 なハエによる害 として、蠅 蛆 症 (ようそしょう)あるいはハエ症 と呼 ぶものがある。これはクロバエ科 やニクバエ科 といった肉食 性 のハエの幼虫 が人体 寄生 を引 き起 こす疾患 である。これは、死 肉 や糞便 でも発生 する種類 のハエによる偶発 性 蠅 蛆 症 と、脊椎動物 専門 寄生 性 のハエによる真性 蠅 蛆 症 の二 つに分 けられる。
偶発 性 蠅 蛆 症 には、幼虫 が傷口 や皮膚 潰瘍 部 に寄生 する皮膚 ハエ症 、耳 道 に寄生 する耳 ハエ症 、幼虫 を食物 とともに誤 飲 、あるいは肛門 から幼虫 が入 り込 むことによって消化 管 粘膜 が刺激 されて腹痛 を起 こす消化 器 ハエ症 に分 けられる。
- ヒトに
真性 蠅 蛆 症 を起 こすハエは、どれも皮膚 に寄生 する種 である。アフリカのヒトクイバエやローダインコブバエ、中南米 のヒトヒフバエ、ラセンウジバエといった熱帯 性 のものが知名度 が高 いが、寒冷 な温帯 にもユーラシア大陸 内陸 部 に広 く分布 するヒフヤドリニクバエ類 の Wohlfahrtia magnifica、東 アジアや南 アジアの亜熱帯 、熱 帯域 にはトウヨウラセンウジバエなどがおり、注意 を要 する。ただし、ヒツジの鼻腔 に寄生 し、吸血 して育 つ真性 寄生 種 のヒツジバエが、偶発 的 にヒトに産卵 して一時 寄生 することが知 られている。
- (5)
不快 感 - また、こうした
深刻 な健康 被害 をもたらさなくとも、ヒト親和 性 の高 いハエは人体 や食物 に大 きな羽音 で付 きまとい、不快 害虫 としても大 きな地位 を占 める。日本 でもごみ処理 場 で大 発生 するイエバエや、鶏舎 に群 れを成 すヒメイエバエは社会 問題 になることもあり、熱帯 や亜熱帯 地域 では、ヒトの糞便 を主 な発生 源 とし、性 成熟 に必要 な蛋白質 を主 としてヒトの涙 や唾液 から摂取 するフタスジイエバエが、人体 の目 や口 に大挙 して群 がり、慣 れない者 には非常 な不快 感 を催 させる。
- (6)
農業 被害 農業 害虫 としてはハナバエ科 のタマネギバエやタネバエ、ミバエ科 のウリミバエやチチュウカイミバエなどが栽培 植物 の果実 、種子 、球根 などに寄生 し、腐敗 させつつ食害 するため、農業 に深刻 な被害 を及 ぼす。
益虫 [編集 ]
腐食 性 のハエの幼虫 (蛆 )の多 くは生態 系 において動植物 の遺体 の分解 者 として重要 な位置 を占 めている。- ヤドリバエ
科 には一部 養蚕 害虫 が見 られるものの農業 害虫 の天敵 が多 く見 られるし、捕食 性 のイエバエ科 の幼虫 には衛生 害虫 になるハエの幼虫 の天敵 として重要 なものが少 なくない。 青果 業 、醸造 業 において衛生 害虫 でもあるショウジョウバエ科 の一部 は生命 科学 の実験 動物 として多大 の貢献 をしている。- ハナアブ
科 は虫媒花 に集 まるので農作物 の受粉 に役立 っている。イエバエの成虫 も一般 には害虫 とされるが、種苗 会社 等 による品種 改良 の際 には、ハチの代 わりに受粉 のために用 いられることがある。こうしたハエ(フライ)はミツバチ(ビー)にたとえて「ビーフライ」とも呼 ばれ、ミツバチの世界 的 な激減 を受 けて一部 作物 の受粉 に使 われている。ミツバチより活動 する温度 帯 は広 いが、蜜 が少 ない農作物 には寄 り付 かないこと、帰巣 本能 がないため管理 が難 しいことや消費 者 の嫌悪 感 が課題 となる[1]。また、アブラムシを捕食 するヒラタアブ類 の幼虫 などもいる。 - ハエの
幼虫 を食用 にする民族 もいる。 家畜 の糞 などにイエバエを産卵 させ、分解 した糞 は肥料 に、幼虫 や蛹 は飼料 にして処理 ・利用 する技術 を日本 企業 のムスカが実用 化 している。元々 はソビエト連邦 が有人 火星 探査 用 宇宙船 内 での糞便 処理 と食料 確保 を想定 して品種 改良 したイエバエを引 き継 いでいる[2]。- マゴットセラピー(
蛆虫 療法 )という、特別 に清潔 な環境 下 で繁殖 させたハエの幼虫 (蛆 )に、外傷 患部 の壊死 した組織 を食 べさせる外科 的 治療 法 がある。 - チーズバエの
一種 はチーズの発酵 に利用 されることもある。イタリアのサルデーニャ地方 で作 られるカース・マルツゥはその代表 格 である。
駆除 [編集 ]
粘着 性 のある薬品 を塗布 した紙 でハエを捕 らえる駆除 用品 [3]。
- ハエ
駆除 用品
- めんつゆやワインでおびき
寄 せ、揮発 する洗剤 で窒息 させる[4]
- ショウジョウバエ
等 のハエが持 つ光 に誘導 される走 光 性 を利用 して駆除 する装置 [6][7]。電撃 、吸引 式 、粘着 捕虫 器 がある。ただ、電気 式 の場合 は、駆除 した虫 の小片 が飛 び散 り、周囲 雰囲気 の浮遊 粒子 を増加 させる報告 もなされている[8][9]。
特定 条件 を満 たす種類 の蝿 を根絶 するための国家 的 プロジェクトの一種 。放射線 や遺伝子 組 み換 えにより生殖 能力 異常 となる個体 を意図 的 に生 み出 して散布 することにより、その地域 の蝿 などを根絶 させることを目的 とする。なお、プロジェクトの最終 段階 として行 うものであり、前 段階 で粗方 の個体 数 を減少 させておかなくてはならない。
生活 史 [編集 ]
卵 [編集 ]
幼虫 [編集 ]
1
ハエの
-
シリアカニクバエ Parasarcophaga crassipalpis(Macquart, 1839)の
終 齢 幼虫 。 -
シリアカニクバエ
終 齢 幼虫 の咽頭 骨格 腹 面 。左右 の腹 角 の間 に膜 状 に pharyngeal filter が広 がってそれが食道 につながる
蛹 (さなぎ)[編集 ]
-
シリアカニクバエの
蛹 。左 は幼虫 の体 が短縮 した段階 、右 は幼虫 の外皮 が硬化 した段階 。 -
シリアカニクバエの
羽化 後 の囲 蛹 殻 (いようかく)。蓋 状 に外 れた囲 蛹 殻 の前 方体 節 が背 方 と腹 方 に分離 して脱落 している。
分類 [編集 ]
無 額 嚢節(むがくのうせつ)Aschiza- ヤリバエ
上 科 Lomchopteroidea - ノミバエ - ハナアブ
上 科 Syrphoidea - ハナアブ、ヒラタアブ、アタマアブなど
- ヤリバエ
額 嚢節(がくのうせつ)Schizophora無 弁 翅亜節 (むべんしあせつ)Acalyptratae- アシナガヤセバエ
上 科 Nerioidea - シュモクバエ - メバエ
上 科 Conopoidea - メバエ類 - ミバエ
上 科 Tephritoidea - ウリミバエやチチュウカイミバエなどのミバエ類 、デガシラバエなど - シマバエ
上 科 Lauxanioidea - シマバエ - ヤチバエ
上 科 Sciomyzoidea - ヤチバエ - ヒメコバエ
上 科 Opomyzoidea - ハモグリバエなど - キモグリバエ
上 科 Carnoidea - キモグリバエ類 - ハヤトビバエ
上 科 Sphaeroceroidea - トゲハネバエ類 - ミギワバエ
上 科 Ephydroidea - キイロショウジョウバエなどのショウジョウバエ類 、ミギワバエ類 など
- アシナガヤセバエ
弁 翅亜節 (べんしあせつ) Calyptratae
系統 樹 [編集 ]
形態 情報 に基 づくもの[編集 ]
- McAlpine , J.F., "Phylogeny and Classification of The Muscomorpha," Manual of Nearctic Diptera, J. F. McAlpine and D. M. Wood (eds.), Vol. 3, Ottawa: Canadian Government Publishing Center, 1989 pp. 1397-1518 ISBN 0-660-12961-2
三枝 豊平 「ハエ目 (双 翅目)DIPTERA概説 」『新 訂 原色 昆虫 大 圖鑑 』平嶋 義宏 森本 桂 (監修 ), Vol.III,東京 :北 隆 館 , 2008年 pp. 255-283 ISBN 978-4-8326-0827-6
| |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
無 額 嚢節 Aschiza[編集 ]
- ヤリバエ
上 科 Lonchopteroidea 代表 的 なものにノミバエ科 Phoridae があり、様々 な環境 や生活 型 に進出 して繁栄 している。ノミバエ科 の幼虫 は腐敗 した動物 質 や下水道 浄化槽 の汚泥 に発生 してしばしば衛生 害虫 になるもの、キノコを食 べるもの、狩 蜂 の巣 に寄生 するものなどが知 られている。サトイモ科 テンナンショウ類 の送 粉 者 としても重要 。また、ノミバエ科 の成虫 は特定 生物 の一種 であるヒアリなどの天敵 としても有名 。- ハナアブ
上 科 Syrphoidea - ここに
属 するハナアブ科 Syrphidae は有 弁 翅亜節 に並 んで大型 種 が多 い。また種 の多様 性 が高 く美麗 種 も多 いので、日本 でもプロの研究 者 のみならず、これに注目 して調査 、研究 を進 めているアマチュア研究 家 が増加 しつつある。 幼虫 の生活 型 も多様 で、有機物 に富 んだ汚水 に生活 するもの、樹 洞 に溜 まった水 の中 で長期間 かけて成長 するもの、朽 ち木 中 で育 つもの、多年生 草本 の地下 部 に穿孔 し腐敗 させて摂食 するもの、植物 上 でアブラムシなどを捕食 するもの、アリの巣 に寄生 するものなどが知 られる。成虫 の大半 は花 に集 まり、花 蜜 や花粉 を摂取 する。虫媒花 の送 粉 者 として重要 で、シマハナアブ Eristalis cerealis (Fabricius,1805)では農作物 の送 粉 者 として人工 増殖 法 も開発 されている。- ハナアブ
上 科 には他 にアタマアブ科 Pipunculidae がよく知 られ、農業 害虫 であるウンカ、ヨコバイ類 の寄生 者 として重要 である。
額 嚢節 Schizophora[編集 ]
無 弁 翅亜節 Acalyptratae[編集 ]
- アシナガヤセバエ
上 科 Nerioidea 頭部 がシュモクザメと同様 に細 く左右 に伸 び、その先端 に眼 がつく奇異 な形態 のシュモクバエ科 Diopsidae が有名 である。最近 日本 でも、八重山諸島 でヒメシュモクバエ Sphyracephala detrahens (Walker, 1860)の生息 が確認 された。- メバエ
上 科 Conopoidea - メバエ
科 Conopidaeは寄生 性 のグループで、ほとんどの種 がハチ目 の有 剣 類 の成虫 に飛 びかかって体内 に産卵 する。果樹 園 で受粉 用 に飼育 している単独 性 ハナバチ類 に大 害 を与 えることがある。 - ミバエ
上 科 Tephritoidea - この
上 科 を代表 するミバエ科 Tephritidae は植物 寄生 性 であり、農作物 の果実 を腐敗 させつつ食害 するウリミバエ Zeugodacus cucurbitae (Coquillett,1899)のような大 害虫 が著名 である。他 に虫 えいを作 ったり葉 に潜 るなど、様々 な寄生 のスタイルが知 られている。他 に幼虫 がコガネムシなどに寄生 し、成虫 がハチそっくりなデガシラバエ科 Pyrgotidaeや、幼虫 がチーズや塩蔵 生 革 などに発生 するチーズバエ科 Piophilidae などが知 られる。
- シマバエ
上 科 Lauxanioidea - シマバエ
科 Lauxaniidae は腐敗 植物 質 、鳥 の巣 の汚物 で繁殖 する他 、生 きた植物 に寄生 するものも知 られる。 - ヤチバエ
上 科 Sciomyzoidea - ヤチバエ
科 Sciomyzidae は幼虫 が淡水 産 及 び陸 産 軟体動物 の捕食 者 として多様 化 した科 である。 - ヒメコバエ
上 科 Opomyzoidea - ハモグリバエ
科 Agromyzidae の幼虫 は生 きた植物 に穿孔 する。潜 葉 時 の食 痕 が「エカキムシ(絵描 き虫 )」として知 られる。 - キモグリバエ
上 科 Carnoidea - キモグリバエ
科 Chloropidae のヨシノメバエ類 は幼虫 がヨシの若 芽 の成長 点 に侵入 し、一部 の種 では葉巻 型 の顕著 な虫 えいを形成 する。成虫 はヨシの茎 上 で振動 によって雌雄 のコミュニケーションを行 う。 - ハヤトビバエ
上 科 Sphaeroceroidea - トゲハネバエ
科 のチャバネトゲハネバエ Tephrochlamys japonica Okadome,1967は汲 み取 り便所 などの生活 に伴 う汚物 に発生 するので人家 付近 に普通 に見 られる。また、本科 にはキノコに幼虫 が発生 するものも多 い。
- ミギワバエ
上 科 Ephydroidea - ショウジョウバエ
科 Drosophilidae には多 くの種類 があるが、モデル生物 として生物 学 、特 に遺伝 学 に多大 の貢献 をしたキイロショウジョウバエ Drosophila (Sophophora) melanogaster Meigen,1830が最 も知名度 が高 い。生物 学 においては、「ハエ」と言 えばショウジョウバエ、特 にこの種 を指 す場合 も多 い。 - ミギワバエ
科 Ephydridae はその名 のとおり湖沼 ・河川 の水際 に群 れて見 られるものが多 く、幼虫 の生態 が極 めて多様 化 していることが知 られている。捕食 性 のカマバエ属 Ochthera は成虫 の前 脚 がカマキリそっくりの捕獲 脚 に変形 しており、他 の昆虫 を捕 らえて食 べる。トゲミギワバエ属 Notiphila の幼虫 は池 などに棲 み、蛹 化 (ようか)の際 は抽水植物 の組織 内 の空隙 に呼吸 管 を刺 して空気 を採 る。この属 のイミズトゲミギワバエ N. sekiyai は幼虫 がイネの根 を食害 する害虫 だが、発生 量 は少 ない。
弁 翅亜節 Calyptratae[編集 ]
- シラミバエ
上 科 Hippoboscoidea 成虫 が鳥類 や哺乳類 といった恒温動物 の寄生 者 として特殊 化 したグループで、体外 寄生 して吸血 する。蛹 生類 (ようせいるい)とも呼 ばれ、幼虫 は雌 成虫 の体内 で卵 から孵化 すると体内 で分泌 される栄養 物質 を摂取 して成長 し、蛹 化 (ようか)寸前 に産 み落 とされ、直 ちに蛹 になる。宿主 に到達 した成虫 が終生 そこに留 まるシラミバエ科 Hippoboscidae、コウモリバエ科 Streblidae、クモバエ科 Nycteribiidae の他 に、アフリカのみから知 られ、短時間 の吸血 時 以外 は自由 生活 をするツェツェバエ科 Glossinidae が知 られる。ツェツェバエ科 は「睡眠 病 」または「眠 り病 」とも呼 ばれるアフリカ・トリパノソーマ症 の病原 体 を媒介 することで知 られる。
- イエバエ
上 科 Muscoidea 大型 のハエらしいハエの中 で、主 として腐敗 植物 質 、草食 ・雑食 性 動物 の排泄 物 を主 たる発生 源 とするものが多 いグループ。- フンバエ
科 Scatophagidae はヒメフンバエ Scatophaga stercoraria のような幼虫 が食 糞 性 の種 がよく知 られるが、幼虫 が生 きた植物 の葉 などに穿孔 する種 も多 い。成虫 は小 昆虫 を捕食 する種 が多 い。 - ハナバエ
科 Anthomyiidae にも生 きた植物 に幼虫 が穿孔 して成長 する種 が多 いが、キノコや動物 の糞 で成長 する種 も少 なくない。農作物 の顕著 な害虫 として知 られるダイコンバエ、タマネギバエ、タネバエの幼虫 は宿主 植物 を腐敗 させつつ食害 するが、その一方 で施肥 された油粕 などの腐敗 有機物 にも産卵 が行 われ、幼虫 が成長 することが知 られている。ハナバエ科 の一部 の種 も成虫 が小 昆虫 を捕食 する。 - ヒメイエバエ
科 Fanniidae の幼虫 は動物 の糞 などで発生 するが、褐色 で比較的 硬 い外皮 に多数 の突起 を有 する毛虫 状 の外観 を有 し、一見 ハエの幼虫 に見 えない。雄 の成虫 はしばしば集団 で群 飛 する。 - イエバエ
科 Muscidae には幼虫 が動物 の糞 や腐敗 有機物 で発生 するものが多 いが、キノコなど様々 な場所 で幼虫 が成育 する種 を擁 する。幼虫 が捕食 性 の種 もある。汎 世界 的 な屋内 害虫 であるイエバエ Musca domestica は近 縁 種 にはクロイエバエ Musca bezzi など成虫 が大型 草食 獣 の体 表 で涙 や傷口 からの滲出 体液 を摂取 し、宿主 が排泄 した糞 に産卵 して幼虫 がそこで成長 する種 が多 い。イエバエはアフリカでそうした生活 史 を送 っていた種 が人家 内 に進入 し、人 の生活 に伴 う廃棄 物 に依存 して生活 するように分化 して世界中 に広 がったものと考 えられる。今日 でも畜舎 の牛糞 などからよく発生 するなど大型 草食 獣 との親和 性 の高 さを維持 しており、ウシの腸 内 にしばしば常 在 する病原 性 大腸菌 O157の媒介 種 としても注目 されている。
- フンバエ
- ヒツジバエ
上 科 Oestroidea 大型 のハエらしいハエの中 で、主 として腐敗 動物 質 、肉食 ・雑食 性 動物 の排泄 物 を主 たる発生 源 とし、寄生 性 の種 も多 いグループ。- クロバエ
科 Calliphoridae の幼虫 は動物 の糞 や腐敗 物 などで繁殖 する。そのため病気 の媒介 者 ともなる。一部 寄生 性 のものもあり、カエルやミミズ、カタツムリなどへの捕食 寄生 を行 うものも知 られる。 - Mystacinobiidae
科 は Mystacinobia zelandica 1属 1種 のみが属 する。ニュージーランドに固有 の科 で、コウモリの一種 ツギホコウモリ Mystacina tuberculata の樹 洞 中 の巣 に寄生 し、無 翅でクモのような姿 をしている。ただし吸血 性 はなく成虫 、幼虫 とも糞 食 で、新天地 への移動 のために成虫 はコウモリの体 表 にしがみつく。かつてはショウジョウバエに近 縁 ともされたが、分子 系統 などからはクロバエ科 に比較的 近 いとされ、クロバエ科 の亜 科 Mystacinobiinae ともされる。 - ヒツジバエ
科 Oestridae の幼虫 は哺乳類 に寄生 する。 - ワラジムシヤドリバエ
科 Rhinophoridae の幼虫 はワラジムシ亜 目 やカタツムリなど、陸生 の節足動物 や軟体動物 に寄生 するとされる。 - ニクバエ
科 Sarcophagidae の幼虫 は肉 で増 えるが、寄生 性 のものも多 い。
- クロバエ
ハエに関 する文化 [編集 ]
ハエはとにかく
ハエに関 する作品 [編集 ]
- オペレッタ
小説 俳句 - 「やれ
打 つな蠅 が手 をする足 をする」-小林 一茶
- 「やれ
絵画 - 『カルトジオ
会 修道 士 の肖像 』 - ペトルス・クリストゥスの肖像 画 (1446年 )
- 『カルトジオ
映画 - TVドラマ
- 『
仮面 ライダー』シリーズ - ショッカー怪人 「ハエ男 」、デストロン怪人 「テレビバエ」など、破壊 活動 の尖兵 として描 かれる事 が多 い。 - 『
獣 拳 戦隊 ゲキレンジャー』 -獣 拳 使 いの1人 として激 獣 フライ拳 の使 い手 バエ(声 ・石田 彰 )がいる。
- 『
音楽
出典 [編集 ]
- ^ 【ドキュメント
日本 】「働 きバエ」農家 を救 う/ハチの代 わりに受粉 暑 い日 も寒 い日 も/イメージ払拭 が課題 『日本経済新聞 』朝刊 2020年 8月 11日 (社会 面 )2020年 9月 23日 閲覧 - ^ 【Disruption
断絶 の先 に】第 10部 地球 に生 き続 ける(3)タンパク質 危機 ハエが救 う?『日本経済新聞 』朝刊 2020年 1月 22日 (ディスラプション面 )2020年 9月 23日 閲覧 - ^ a b c はえとりの
道具 岡崎 市 2020年 2月 16日 閲覧 。 - ^ 『
一生 モノの知恵袋 』(主婦 の友社 )p78 - ^ 『
改訂 食品 衛生 責任 者 ガイドブック』(日本 食品 衛生 協会 2003年 6月 1日 発行 )「ハエの駆除 」p43 - ^
田中 毅 弘 『ビルメンテナンスが一番 わかる』(2015年 1月 25日 )p74 - ^ Jason Drew、Justine Josep『The Story of the Fly: ..and How It Could Save the World』ISBN 0980274281「Fly zappers」の
項 - ^
平尾 素一 「走 光 性 昆虫 による異物 混入 とその対策 」『環 動 昆 』2002年 13巻 3号 p.163-171, doi:10.11257/jjeez.13.163 - ^ Gopal P. Ananth , David C. Bronson & Jeffrey K. Brown Generation of airborne fly body particles by four electrocution fly traps and an electronic fly trap International Journal of Environmental Health Research Volume 2, 1992 - Issue 2 Published online: 20 Sep 2008 pp.106-113
- ^ 「
焦土 作戦 は成功 ハエの幼虫 はほぼ死滅 」『日本経済新聞 』昭和 40年 7月 16日 15面 - ^ D H Colless, A New Name for a Genus in Axiniidae (Diptera), Australian Journal of Entomology 33: 380-380 (1994)
参考 文献 [編集 ]
日高 敏隆 監修 、石井 実 ・大谷 剛 ・常喜 豊 編 『日本 動物 大 百科 第 9巻 昆虫 2』平凡社 、1997年 、ISBN 4-582-54559-9。
関連 項目 [編集 ]
- ラフレシア -
世界 最大 の花 で知 られる植物 。ハエを受粉 に利用 する。 法 医 昆虫 学 -死体 にやってくる昆虫 とその摂食 活動 などから、死後 の経過 時間 や死因 などを推定 する学問 。- はえ
座 -星座 の一 つ。現代 は天 の南極 付近 にあり日本 からは見 えない。 - ベルゼブブ -
旧約 聖書 『列 王 記 』に登場 する異教 神 、転 じて悪魔 とされるようになった。 - フライ
級 -格闘技 の体重 別 階級 の一 つ。 - ハエ
男 - 「ハエ男 ・蠅 男 」に関 する曖昧 さ回避 記事 。 - カ - アブ - ガガンボ -
蛆
天敵
- ハエトリグサ(ハエトリソウ、ハエジゴク) -
北 アメリカ原産 の食虫植物 - ハエドクソウ-ハエ
殺 しに使 われる植物 - テングタケ、ベニテングタケ、ハエトリシメジ - ハエ
取 りに使 われるキノコ。 - ハエトリグモ - クモの
分類 群 の一 つ。徘徊 性 の小型 のクモ。