バター (英 えい : butter )とは、牛乳 ぎゅうにゅう から分離 ぶんり したクリーム を練 ね って固 がた めた食品 しょくひん である[2] 。漢字 かんじ 名 な は「牛酪 ぎゅうらく ( ぎゅうらく ) 」と言 い う。
バターは牛乳 ぎゅうにゅう から分離 ぶんり したクリームを凝固 ぎょうこ させた(練 ね るなどして固 がた めた)食品 しょくひん である、乳製品 にゅうせいひん の一種 いっしゅ 。常温 じょうおん ではわずかに黄色 おうしょく 味 あじ をおびた白色 はくしょく の固体 こたい 。主成分 しゅせいぶん は脂肪 しぼう (乳 ちち 脂肪 しぼう )である[2] 。ビタミンA をはじめ各種 かくしゅ ビタミン や栄養素 えいようそ を豊富 ほうふ に含 ふく んでいる。100グラム のバターを得 え るために、原料 げんりょう 乳 ちち は約 やく 4.8リットル 必要 ひつよう とされる。
バターを意味 いみ する英語 えいご の「butter 」は広義 こうぎ には、何 なん らかの乳 ちち を原料 げんりょう とし、クリームを得 え て、乳 ちち 中 ちゅう の脂肪 しぼう 分 ぶん を凝固 ぎょうこ させたものを広 ひろ く指 さ している。だが、日本語 にほんご 「バター」の語源 ごげん である英語 えいご 「butter 」という語 かたり はラテン語 らてんご 「butyrum 」を由来 ゆらい とし、牛 うし (ウシ )のチーズ を意味 いみ するギリシャ語 ご 「boutyron 」が由来 ゆらい である。また漢語 かんご では牛酪 ぎゅうらく である。これらの表記 ひょうき からも明 あき らかなように、バターはウシの乳汁 にゅうじゅう (牛乳 ぎゅうにゅう )を原料 げんりょう とするのが一般 いっぱん 的 てき である。なお、ウシ以外 いがい の乳汁 にゅうじゅう を原料 げんりょう としたバターもあるものの、本稿 ほんこう では以降 いこう 、特 とく に断 ことわ りがない限 かぎ り、牛乳 ぎゅうにゅう を原料 げんりょう としたバターについて記述 きじゅつ する。
日本 にっぽん では近年 きんねん 、低 てい 脂肪 しぼう 乳 ちち が好 この まれるようになり、副産物 ふくさんぶつ の乳 ちち 脂肪 しぼう は生産 せいさん 過剰 かじょう 気味 ぎみ と言 い われていたが、2007年 ねん 末 まつ からしばらくの間 あいだ 、乳牛 にゅうぎゅう の生産 せいさん 調整 ちょうせい などの悪条件 あくじょうけん が重 かさ なり、バター不足 ふそく が発生 はっせい した。詳細 しょうさい についてはバター不足 ふそく を参照 さんしょう のこと。
発酵 はっこう
無 む 発酵 はっこう
有 ゆう 塩 しお
発酵 はっこう ・有 ゆう 塩 しお バター
無 む 発酵 はっこう ・有 ゆう 塩 しお バター (日本 にっぽん で通常 つうじょう 市販 しはん されるバター)
食塩 しょくえん 不 ふ 使用 しよう (かつての無 む 塩 しお バター)
発酵 はっこう ・食塩 しょくえん 不 ふ 使用 しよう バター
無 む 発酵 はっこう ・食塩 しょくえん 不 ふ 使用 しよう バター
原料 げんりょう 乳 ちち を乳酸 にゅうさん 発酵 はっこう させてから作 つく る「発酵 はっこう バター 」(醗酵 はっこう クリームバター)と、発酵 はっこう させずそのまま作 つく る「無 む 発酵 はっこう バター 」(スイートクリームバター)とがあり、それぞれに食塩 しょくえん を添加 てんか した「有 ゆう 塩 しお バター」と添加 てんか しない「食塩 しょくえん 不 ふ 使用 しよう 」バターがあり、都合 つごう 4種類 しゅるい に分 わ かれる。
食塩 しょくえん 不 ふ 使用 しよう バターは、かつて「無 む 塩 しお バター」と称 しょう していたが、無 む 塩 しお で製造 せいぞう しても生乳 せいにゅう に由来 ゆらい する塩分 えんぶん が微量 びりょう 含 ふく まれることから、厚生 こうせい 労働省 ろうどうしょう の栄養 えいよう 表示 ひょうじ 基準 きじゅん により食品 しょくひん の正規 せいき 表示 ひょうじ が求 もと められ、「無 む 塩 しお 」という言葉 ことば が使 つか えなくなった。
日本 にっぽん で市販 しはん されているバターは「無 む 発酵 はっこう 、有 ゆう 塩 しお 」または「無 む 発酵 はっこう 、食塩 しょくえん 不 ふ 使用 しよう 」が多 おお い。
有 ゆう 塩 しお バターの場合 ばあい は、1.8%以下 いか の食塩 しょくえん が加 くわ えられている。
発酵 はっこう バターは手間 てま がかかり高額 こうがく 製品 せいひん が多 おお いこともあり、流通 りゅうつう 量 りょう は少 すく ない。
バターに含 ふく まれる脂肪酸 しぼうさん は様々 さまざま な種類 しゅるい がある(融点 ゆうてん がバラバラな脂肪酸 しぼうさん が含 ふく まれている)。ただし、パルミチン酸 さん が3割 わり 弱 じゃく 、オレイン酸 さん が4分 ぶん の1弱 じゃく 、ミリスチン酸 さん とステアリン酸 さん が1割 わり 強 きょう を占 し めており、以上 いじょう の4種 しゅ で、バターに含 ふく まれる脂肪酸 しぼうさん のほぼ75 % を占 し めている。このため、次 つぎ のような性質 せいしつ を持 も つ。
酸化 さんか によって劣化 れっか する。
冷蔵庫 れいぞうこ 等 とう で冷 ひ やすと、バターナイフ で切 き るのに多少 たしょう 力 りょく が要 い るほど固 かた くなる。
15℃ 前後 ぜんご になると、可塑 かそ 性 せい のある状態 じょうたい となる。
室温 しつおん (20℃程度 ていど )にすると、固体 こたい 脂 あぶら 指数 しすう が15 %に近 ちか づき、十分 じゅうぶん に軟 やわ らかい状態 じょうたい となる。パン に塗 ぬ ったり、洋菓子 ようがし を作 つく ったりする際 さい にはこの状態 じょうたい がよく使 つか われる。
30℃前後 ぜんこう になると、融解 ゆうかい が始 はじ まる。
40℃に近 ちか づくと、固体 こたい 脂 あぶら 指数 しすう は0 %、つまり完全 かんぜん に液体 えきたい となる。なお、この液体 えきたい になった状態 じょうたい のバターを「溶 と かしバター」と言 い う。
溶 と かしバターを凝固 ぎょうこ しない温度 おんど で放置 ほうち すると、乳 ちち 脂肪 しぼう 以外 いがい の蛋白質 たんぱくしつ など(乳 ちち 漿 )が底 そこ に沈 しず む。上澄 うわず みは透 す き通 とお った黄色 おうしょく っぽい色 いろ をしており、これを「澄 す ましバター 」と言 い う。澄 す ましバターは、通常 つうじょう のバターでは風味 ふうみ が強 つよ すぎるような場合 ばあい に使 つか われる。
独特 どくとく の香 かお りを持 も つ。なお、醗酵 はっこう バターの香 かお り成分 せいぶん としては、ジアセチル などが知 し られる。バターのジアセチルの含有 がんゆう 量 りょう は、ヨーグルト 、ラム 、赤 あか ワイン 、コニャック に次 つ ぐ[3] 。マーガリン をバターに似 に せるために、ジアセチルの香料 こうりょう が使 つか われている。
バターの薄 うす い黄色 おうしょく は牛 うし の飼料 しりょう (牧草 ぼくそう )に含 ふく まれるカロテン が乳 にゅう 脂肪 しぼう に蓄積 ちくせき したもの。夏場 なつば などに青草 あおくさ を食 た べた牛 うし のバターは黄色 おうしょく みが強 つよ くなり、冬場 ふゆば などに干 ほ し草 くさ を食 た べた牛 うし のバターは白色 はくしょく が増 ま す[4] [5] 。
クリーミング性 せい 。バターを撹拌 かくはん して、空気 くうき を含 ふく ませることができる性質 せいしつ 。パウンドケーキなどのお菓子 かし 作 づく りで空気 くうき を含 ふく ませることでふっくらとした食 しょく 感 かん となる。
ショートニング性 せい 。クリーム状 じょう にしたバターが薄 うす いフィルム状 じょう に伸 の びる性質 せいしつ 。生地 きじ の中 なか に薄 うす く広 ひろ がることで余分 よぶん なグルテンの形成 けいせい を防 ふせ ぎ、サクサクとした食 しょく 感 かん となる。
牛乳 ぎゅうにゅう からクリームを分離 ぶんり する。
攪拌機 き に入 い れて攪拌 し、脂肪 しぼう の塊 かたまり をつくる。
冷水 れいすい で洗浄 せんじょう し、脂肪 しぼう 分 ぶん 以外 いがい のバターミルク を除去 じょきょ する。
なお乳 にゅう 脂肪 しぼう の粒子 りゅうし 同士 どうし がくっついて分離 ぶんり することを防 ふせ ぐ「均質 きんしつ 化 か 」(Homogenization )の工程 こうてい を経 へ ている牛乳 ぎゅうにゅう についてはクリームを分離 ぶんり することができない。日本 にっぽん で市販 しはん されている牛乳 ぎゅうにゅう については、「ノンホモ(ジナイズド)」等 とう の表示 ひょうじ があるものからならば自宅 じたく で牛乳 ぎゅうにゅう から作 つく ることが可能 かのう であり、その表示 ひょうじ が無 な い牛乳 ぎゅうにゅう の場合 ばあい はこの均質 きんしつ 化 か を受 う けており、作 つく ることは困難 こんなん である。
ミキサー で撹拌 かくはん すると瓶 びん に入 い れて振 ふ るよりも手早 てばや くできる。また、ホイップクリーム(Chantilly cream )をミキサーで製造 せいぞう 中 ちゅう に、過度 かど の撹拌 かくはん のために脂肪 しぼう 分 ぶん が固 かた まることがある。
なお家庭 かてい でも上記 じょうき の方法 ほうほう で市販 しはん の動物 どうぶつ 性 せい 生 なま クリーム から作 つく ることも可能 かのう だが、市販 しはん 品 ひん に比 くら べて割高 わりだか となる。
10℃以下 いか での保存 ほぞん が望 のぞ ましいとされる。冷凍庫 れいとうこ に入 い れておくと長持 ながも ちする。レストランなどではバターディッシュやバタークーラーなどの容器 ようき に入 い れてテーブルに供 きょう されることもある。
かつてのヨーロッパでバター製造 せいぞう に使 つか われた桶 おけ 。中 なか にクリームを入 い れ、中央 ちゅうおう の棒 ぼう を上下 じょうげ させて攪拌する
容器 ようき に入 い れた生乳 せいにゅう が偶然 ぐうぜん 揺 ゆ れただけでもバターは出来 でき るため、起源 きげん は不明 ふめい 。少 すく なくともメソポタミア文明 ぶんめい の時代 じだい (紀元前 きげんぜん 5世紀 せいき 頃 ごろ )には存在 そんざい していた。『聖書 せいしょ 』や『マハーバーラタ 』(乳 ちち 脂 あぶら として)にも記述 きじゅつ が存在 そんざい するので、その時代 じだい には存在 そんざい していたとされる。
そうして
アブラハム はバター(
凝 しこり 乳 ちち )と
牛乳 ぎゅうにゅう と
子 こ 牛 うし の
調理 ちょうり したものを
取 と り、
彼 かれ らの
前 まえ に
供 そな え、
木 こ の
下 した で
彼 かれ らのそばに
立 た ち
給仕 きゅうじ し、こうして
彼 かれ らは
食事 しょくじ した。
— 『創世 そうせい 記 き 』18:8
バターが作 つく られだした当初 とうしょ は皮 かわ 製 せい の袋 ふくろ に生乳 せいにゅう を入 い れて木 き に吊 つ るし、それを棒 ぼう で打 う って揺 ゆ すって作 つく っていたと見 み られる。その後 ご 、バターはケルト 、ヴァイキング 、ベドウィン といった牧畜 ぼくちく の盛 さか んな諸 しょ 民族 みんぞく へと伝 つた わっていった。
バターは古代 こだい ギリシア時代 じだい にスキタイ から地中海 ちちゅうかい 世界 せかい に渡 わた り、「牛 うし のチーズ」を意味 いみ する「ブトゥルム」[6] と呼 よ ばれた。野蛮 やばん 人 じん の食 た べ物 もの と見 み られたこと、オリーブオイル が普及 ふきゅう していたこと、チーズと違 ちが い保存 ほぞん 性 せい が無 な いことなどから、髪 かみ や体 からだ に塗 ぬ る薬 くすり [7] 、化粧 けしょう 品 ひん 、潤滑油 じゅんかつゆ として、ごく一部 いちぶ で使 つか われていた。
南 みなみ ヨーロッパ では中世 ちゅうせい になってもバターはほとんど知 し られておらず、イタリア の料理 りょうり 書 しょ にバターが登場 とうじょう するのは15世紀 せいき になってからのことである。ピレネー ・アルプス山脈 あるぷすさんみゃく 以北 いほく のヴァイキングとノルマン人 じん の征服 せいふく を受 う けた地域 ちいき からバターは定着 ていちゃく し始 はじ め、14世紀 せいき にかけてオランダ 、スイス へと広 ひろ がったが、ノルマン系 けい ではない貴族 きぞく にとっては「野蛮 やばん 人 じん の食 た べ物 もの 」という見方 みかた は変 か わらず、貧 まず しい者 もの の食 た べ物 もの とみなされていた。フランス で本格 ほんかく 的 てき に食用 しょくよう として利用 りよう され出 だ すと、ようやく貴族 きぞく もバターを食 た べ始 はじ めた。
アントワーヌ・ヴォロン 『バターの山 やま 』
歴史 れきし 学者 がくしゃ のジャン・ルイ・フランドラン (英語 えいご 版 ばん ) は14世紀 せいき から17世紀 せいき のヨーロッパにおけるバター・オイル圏 けん を画定 かくてい しており、現在 げんざい でもヨーロッパでは「オリーブオイルが主流 しゅりゅう の地域 ちいき 」と「バターが主流 しゅりゅう の地域 ちいき 」がはっきりと分 わ かれている。基本 きほん 的 てき に、バターを保存 ほぞん しやすい寒冷 かんれい な土地 とち でバターが普及 ふきゅう していると見 み てもいい。それ故 こ 、スカンジナビア では少 すく なくとも12世紀 せいき 頃 ごろ にバターの輸出 ゆしゅつ が始 はじ まった。
12世紀 せいき にサン=ドニ のキリスト教 きりすときょう 司祭 しさい により、四 よん 旬 しゅん 節 ぶし の期間 きかん 中 ちゅう にバターを食 た べることが「肉 にく 断 た ち」の禁 きん を犯 おか すかどうか、初 はじ めて問題 もんだい 提起 ていき された。その後 ご 、14世紀 せいき になって正式 せいしき に罪 つみ になると決 き められた。既 すで にバターに慣 な れ親 した しんでいた地域 ちいき の貴族 きぞく や富裕 ふゆう 層 そう は禁欲 きんよく 日 び にバターを食 た べる贖宥状 じょう を取 と り付 つ け、そのための寄進 きしん でカトリック教会 きょうかい は大 おお いに潤 うるお った。ジャン・ルイ・フランドランは、16世紀 せいき の宗教 しゅうきょう 改革 かいかく とバター・オイル文化 ぶんか 圏 けん の地図 ちず 上 じょう の関連 かんれん について指摘 してき している。
また、バターはランプ の油 あぶら の代用 だいよう ともされた。ルーアン にあるルーアン大 だい 聖堂 せいどう の「バターの塔 とう 」は16世紀 せいき の四 よん 旬 しゅん 節 ぶし に実際 じっさい にランプの油 あぶら にバターを使 つか っていたことからこう名付 なづ けられたとされる[9] 。
日本 にっぽん では江戸 えど 時代 じだい に徳川 とくがわ 吉宗 よしむね が、明治 めいじ 時代 じだい にはエドウィン・ダン がバターを試作 しさく している。江戸 えど 時代 じだい にはごくわずかではあるが生産 せいさん されており、オランダ語 ご に由来 ゆらい する「ぼうとろ 」、あるいは「白 しろ 牛酪 ぎゅうらく 」という名称 めいしょう で呼 よ ばれ、購入 こうにゅう 者 しゃ は削 けず って食 た べたり、湯 ゆ に溶 と かして飲 の んだ[10] 。本格 ほんかく 的 てき にバターが日本 にっぽん に広 ひろ まったのは明治維新 めいじいしん の後 のち 、政府 せいふ が外国 がいこく 人 じん 相手 あいて に乳製品 にゅうせいひん を供給 きょうきゅう するため、酪農 らくのう の普及 ふきゅう を指示 しじ してからである。
19世紀 せいき 末 まつ 、戦争 せんそう の混乱 こんらん でバターの価格 かかく が高騰 こうとう し、ナポレオン3世 せい の命令 めいれい で、バターの安価 あんか な代用 だいよう 品 ひん として作 つく られたのがマーガリン である。
チベット仏教 ぶっきょう で用 もち いられるバターランプ
調味 ちょうみ 料 りょう のほか、パンなどのスプレッド 、ソース の材料 ざいりょう 、食用 しょくよう 油 ゆ (ソテー の焼 や き油 ゆ や炒 いた め油 あぶら 等 とう )といった用途 ようと に幅広 はばひろ く使 つか われる。特 とく に小麦粉 こむぎこ との相性 あいしょう が極 きわ めて良 よ い。小麦粉 こむぎこ を主 おも 原料 げんりょう とした食品 しょくひん 、料理 りょうり であればほぼ何 なに にでも合 あ うが、有 ゆう 塩 しお と食塩 しょくえん 不 ふ 使用 しよう で用途 ようと が異 こと なることもある。
食塩 しょくえん 不 ふ 使用 しよう バターは洋菓子 ようがし によく使 つか われる。トースト やホットケーキ などに使 つか うものは有 ゆう 塩 しお のものが多 おお いが、塩分 えんぶん を控 ひか えている人 ひと などや、文化 ぶんか 圏 けん によっては食塩 しょくえん 不 ふ 使用 しよう のものを使 つか う場合 ばあい もある。
そのほか、様々 さまざま な食材 しょくざい や香辛料 こうしんりょう などを加 くわ えたバターもある。たとえばバターの中 なか にレーズン を入 い れたレーズンバター もある。クラッカー の上 うえ などにその塊 かたまり を乗 の せて食 た べる場合 ばあい などに利用 りよう される。パセリ バター、レモン バター、にんにく バターなどもあり、オードブル のほかにステーキ やカレーライス などに添 そ えられる。日本 にっぽん では安納 あんのう 芋 いも (サツマイモ の一種 いっしゅ )、ウニ などの海産物 かいさんぶつ とブレンドした「食 た べるバター」が各種 かくしゅ 製造 せいぞう ・販売 はんばい されている[11] 。
ラード の代 か わりとしてラーメン に使 つか われることもある。香港 ほんこん や台湾 たいわん の「ラードごはん」のように、米飯 べいはん にバターと醤油 じょうゆ をまぶして食 た べる人 ひと もいる(バターご飯 はん )。
アメリカではバターを衣 ころも で包 つつ んで揚 あ げた揚 あ げバター と呼 よ ばれるスナック菓子 すなっくがし も作 つく られている。
バターに砂糖 さとう 、さらに卵白 らんぱく あるいは卵黄 らんおう を練 ね り合 あ わせ、空気 くうき を入 い れて撹拌 かくはん させてクリーム状 じょう にしたものはバタークリーム [12] と呼 よ ばれ、ケーキのアイシング (糖衣 とうい )や詰 つ め物 もの に使 つか われる[13] [14] [15] 。
冷蔵 れいぞう ・冷凍 れいとう 設備 せつび が普及 ふきゅう し、生 なま クリームでデコレーションすることが容易 ようい になるまでは、バタークリームを使 つか うことが多 おお かった。ただし、純正 じゅんせい のバターではなく、マーガリンやショートニング を使用 しよう してクリームに加工 かこう したものもあった。
既 すんで 述 じゅつ の通 とお り、歴史 れきし 的 てき にはランプの燃料 ねんりょう として使用 しよう された例 れい もある。またチベット仏教 ぶっきょう の寺院 じいん では、蝋燭 ろうそく ではなくバターランプ (Butter lamp ) が使 つか われる[16] 。
「マーガリン 」は 植物 しょくぶつ 油 ゆ など他 た の材料 ざいりょう から作 つく られ、バターの安価 あんか な代替 だいたい 品 ひん として使 つか われる場合 ばあい がある。マーガリンは冷蔵庫 れいぞうこ 内 ない などの低温 ていおん 下 か においても固 かた くならない性質 せいしつ があり、使用 しよう しやすい面 めん がある。多 おお くのマーガリンには香料 こうりょう が使用 しよう されており、加熱 かねつ すると風味 ふうみ が飛 と んでしまうが、バターは却 かえ って風味 ふうみ が増 ま す。口語 こうご ではマーガリンを指 さ してバターと呼 よ ぶこともあるが、誤用 ごよう である。
ピーナッツバター のように用途 ようと や外観 がいかん は似 に ているがバターを含 ふく まない食品 しょくひん や、バターピーナッツ など実際 じっさい にはパーム油 ゆ などが使 つか われるがバターに似 に た風味 ふうみ を持 も たせた食品 しょくひん に名前 なまえ が使 つか われることもある。マーガリン等 とう と区別 くべつ するため、本来 ほんらい のバターを「本 ほん バター 」と呼称 こしょう することもある。
その他 た の類似 るいじ のものとして、ジアセチル という食品 しょくひん 用 よう 香料 こうりょう もあり、バター風味 ふうみ のポップコーン などに多 おお く用 もち いられている。
生産 せいさん 地 ち と生産 せいさん 量 りょう [ 編集 へんしゅう ]
インド 433万 まん トン、EU 圏 けん 206万 まん トン、アメリカ 82万 まん トン、ニュージーランド 47万 まん トン、日本 にっぽん 6.3万 まん トン。(2011年 ねん )[17]
インドではヒンドゥー教 きょう の教義 きょうぎ によって、牛肉 ぎゅうにく の食用 しょくよう が制限 せいげん されているため、菜食 さいしょく 主義 しゅぎ 者 もの が多 おお い。彼 かれ らは足 た りない栄養 えいよう を主 おも に殺生 せっしょう せずに得 え られる牛乳 ぎゅうにゅう やバターで補 おぎな う。
日本 にっぽん では2007年 ねん 末 まつ からバターの原材料 げんざいりょう である生乳 せいにゅう (酪農 らくのう 家 か が牛 うし から搾 しぼ る乳 ちち )生産 せいさん 量 りょう の減少 げんしょう によりバター不足 ふそく が業界 ぎょうかい 各 かく メーカーで発生 はっせい している。これは以前 いぜん の牛乳 ぎゅうにゅう 余剰 よじょう を原因 げんいん とする2006年度 ねんど からの生産 せいさん 調整 ちょうせい で乳牛 にゅうぎゅう が削減 さくげん されているのに加 くわ え、国内 こくない の猛暑 もうしょ や輸入 ゆにゅう 元 もと のオーストラリア やヨーロッパの旱魃 かんばつ により生産 せいさん が減少 げんしょう したためである。各 かく メーカーでは出荷 しゅっか 数量 すうりょう の制限 せいげん や価格 かかく の改定 かいてい を実施 じっし している。
小売 こうり 店 てん においても特売 とくばい の減少 げんしょう や一人 ひとり 当 あ たりの購入 こうにゅう 数量 すうりょう の制限 せいげん 、在庫 ざいこ 切 き れによる販売 はんばい 中止 ちゅうし など、一般 いっぱん 消費 しょうひ 者 しゃ にも影響 えいきょう が生 しょう じている。またバターを使用 しよう したケーキ類 るい の値上 ねあ げなどの影響 えいきょう も出 で た。
これらのバター不足 ふそく に対 たい して当時 とうじ の農林 のうりん 水産 すいさん 大臣 だいじん だった若林 わかばやし 正俊 まさとし は、乳業 にゅうぎょう メーカーに対 たい してバターの増産 ぞうさん を要請 ようせい した。また、農 のう 畜産 ちくさん 業 ぎょう 振興 しんこう 機構 きこう は業務 ぎょうむ 用 よう の冷凍 れいとう バターの輸入 ゆにゅう を前倒 まえだお しして実施 じっし し、追加 ついか 輸入 ゆにゅう を行 おこな う等 とう の対策 たいさく を行 おこな った(バターは日本 にっぽん では関税 かんぜい 割当 わりあて 制 せい 指定 してい 物品 ぶっぴん )。これらの対策 たいさく の結果 けっか 、少 すこ し時間 じかん はかかったもののバター不足 ふそく は収 おさ まった。
その後 ご も年 とし によってはバター不足 ふそく が散発 さんぱつ 的 てき に発生 はっせい し、その都度 つど 、緊急 きんきゅう 輸入 ゆにゅう が行 おこな われた[18] 。2016年 ねん も深刻 しんこく なバター不足 ふそく に陥 おちい ったため、農林水産省 のうりんすいさんしょう は2017年度 ねんど のバター輸入 ゆにゅう 量 りょう を前年度 ぜんねんど 比 ひ 約 やく 2倍 ばい の13,000トンに設定 せってい している[19] 。
第 だい 一 いち 次 じ 世界 せかい 大戦 たいせん 中 なか 、中立 ちゅうりつ 国 こく のデンマーク は交戦 こうせん 国 こく へバターの輸出 ゆしゅつ を強化 きょうか 。この結果 けっか 、同国 どうこく では子供 こども を中心 ちゅうしん に乳 ちち 脂肪 しぼう 不足 ふそく による眼球 がんきゅう 乾燥 かんそう 症 しょう が多発 たはつ した[20] 。
ノルウェー やフィンランド 等 ひとし の北欧 ほくおう 諸国 しょこく では2011年 ねん 秋 あき からバターの供給 きょうきゅう 不足 ふそく による価格 かかく 高騰 こうとう が発生 はっせい した。当年 とうねん の夏 なつ の長雨 ながあめ が原因 げんいん で生乳 せいにゅう の生産 せいさん 量 りょう が落 お ち込 こ んでバターの供給 きょうきゅう 量 りょう が減少 げんしょう [21] [22] 。加 くわ えて炭水化物 たんすいかぶつ 抜 ぬ きダイエット (アトキンスダイエット )の流行 りゅうこう が冬場 ふゆば のクリスマス シーズンを直撃 ちょくげき したためである[21] [22] 。北欧 ほくおう ではクリスマスに大量 たいりょう の焼 や き菓子 かし を作 つく る風習 ふうしゅう があることと[22] 、高 こう カロリーの食事 しょくじ を摂 と らないと冬 ふゆ の寒 さむ さをしのげないためバターの消費 しょうひ が増加 ぞうか する。これらの国 くに では乳製品 にゅうせいひん 市場 いちば が特定 とくてい 企業 きぎょう による寡占 かせん 状態 じょうたい であり、バターの輸入 ゆにゅう にかかる関税 かんぜい の高 たか さもあって品薄 しなうす 状態 じょうたい が解消 かいしょう される目処 めど が立 だて たっていない[22] 。バターを密輸 みつゆ しようとして拘束 こうそく される者 もの も出 で た[21] [22] 。
西洋 せいよう では、生活 せいかつ の象徴 しょうちょう として「バター」という言葉 ことば が用 もち いられることがある。「大砲 たいほう かバターか」という言葉 ことば は軍事 ぐんじ (大砲 たいほう )か生活 せいかつ (バター)のどちらを優先 ゆうせん するか、という意味 いみ で用 もち いられる。
バターは神聖 しんせい な、魔術 まじゅつ 的 てき な食料 しょくりょう と見 み なされていた。民話 みんわ の赤 あか ずきん がお見舞 みま いにバターの壺 つぼ を持 も っていくように、ブルターニュ ではバターに病気 びょうき を吸 す い取 と る力 ちから があるとされ、患者 かんじゃ のベッドの傍 かたわ らにバターを置 お いた。そして患者 かんじゃ が亡 な くなるとバターも土 ど に埋 う める風習 ふうしゅう があった。『リグ・ヴェーダ 』では火中 かちゅう にバターを焚 た き神 しん に祈 いの ったとある。酸敗 さんぱい したヤク のバターから作 つく るチベット のバター茶 ちゃ も神聖 しんせい な飲 の み物 もの として飲 の まれる。
また、脂肪 しぼう 分 ぶん の多 おお い物 もの の象徴 しょうちょう ともなっており、例 たと えば、ペカン は脂肪 しぼう 分 ぶん の多 おお いナッツが採 と れることから、「バターの木 き 」と比喩 ひゆ される[24] 。
他 ほか にも、アボカド は果肉 かにく に脂肪 しぼう 分 ぶん が約 やく 16 %も含 ふく まれているのが特徴 とくちょう だが、これほど果肉 かにく に脂肪 しぼう が豊富 ほうふ なことは、いわゆる「果物 くだもの 」の範疇 はんちゅう に入 はい るものとしては珍 めずら しい[25] 。このために「バターフルーツ」とも「森 もり のバター」とも比喩 ひゆ される。
日本 にっぽん では、「バター」が西洋 せいよう 風 ふう の象徴 しょうちょう として扱 あつか われ、西洋 せいよう の物 もの や西洋 せいよう かぶれの様式 ようしき 、こってりしていてくどい風 ふう なもの、さらに転 てん じて派手 はで な色 いろ 使 づか いのデザインに対 たい して「バタ臭 ばたくさ い 」と形容 けいよう することがある[26] 。
ハーバード大学 だいがく 医学部 いがくぶ によると、飽和 ほうわ 脂肪酸 しぼうさん は脳 のう の健康 けんこう によくないので[27] 、バターはあまり体 たい と脳 のう に良 よ くないとされているが、認知 にんち 症 しょう 予防 よぼう の地中 ちちゅう 海食 かいしょく の一種 いっしゅ であるMINDダイエットでは、バターは飲食 いんしょく 物 ぶつ の一部 いちぶ になっている[28] 。
ウィキメディア・コモンズには、
バター に
関連 かんれん するカテゴリがあります。
バターの種類 しゅるい バターを使 つか った食品 しょくひん
バター用 よう の食器 しょっき バター産業 さんぎょう 文化 ぶんか におけるバター
Category: バター