ヒト (人 ひと 、英 えい : human )とは、広義 こうぎ にはヒト亜 あ 族 ぞく (Hominina )に属 ぞく する動物 どうぶつ の総称 そうしょう であり[1] 、狭義 きょうぎ には現生 げんなま の(現在 げんざい 生息 せいそく している)人類 じんるい (学名 がくめい : Homo sapiens )、ホモ・サピエンス・サピエンス (ホモサピエンスサピエンス 、Homo sapiens sapiens )を指 さ す[2] 。人間 にんげん (にんげん)ともいわれる。
「ヒト」はいわゆる「人間 にんげん 」の生物 せいぶつ 学 がく 上 うえ の標準 ひょうじゅん 和名 わみょう である。生物 せいぶつ 学 がく 上 じょう の種 たね としての存在 そんざい を指 さ す場合 ばあい には、片仮名 かたかな を用 もち いて、「ヒト」と表記 ひょうき することが多 おお い。
本 ほん 記事 きじ では、ヒトの生物 せいぶつ 学 がく 的 てき 側面 そくめん について述 の べる。現生 げんなま の人類 じんるい (狭義 きょうぎ のヒト)に重 おも きを置 お いて説明 せつめい するが、その説明 せつめい にあたって広義 こうぎ のヒトにも言及 げんきゅう する。
ヒトの分布 ぶんぷ 図 ず
ヒト とは、いわゆる人間 にんげん のことで、学名 がくめい がホモ・サピエンスあるいはホモ・サピエンス・サピエンスとされている動物 どうぶつ の標準 ひょうじゅん 和名 わみょう である。Homo sapiens は「知恵 ちえ のある人 ひと 」という意味 いみ である。
古来 こらい 「人 ひと は万物 ばんぶつ の霊長 れいちょう であり[3] 、そのため人 ひと は他 た の動物 どうぶつ 、さらには他 た の全 すべ ての生物 せいぶつ から区別 くべつ される」という考 かんが えは普通 ふつう に見 み られるが、生物 せいぶつ 学的 がくてき にはそのような判断 はんだん はない。「ヒトの祖先 そせん はサル である」と言 い われることもあるが、生物 せいぶつ 学的 がくてき には、ヒトはサル目 め ヒト科 か ヒト属 ぞく に属 ぞく する、と考 かんが えられており、「サルから別 べつ の生物 せいぶつ へ進化 しんか した」という説 せつ を証明 しょうめい する決定的 けっていてき な証拠 しょうこ はまだなく、依然 いぜん としてサル属 ぞく の一種 いっしゅ と見 み なされている。アフリカ類人猿 るいじんえん の一種 いっしゅ であるとされ、生物 せいぶつ 学 がく 的 てき に見 み ると、ヒトにもっとも近 ちか いのはヒト以外 いがい の大型 おおがた 類人猿 るいじんえん である[2] 。ヒトとその他 た の大型 おおがた 類人猿 るいじんえん がヒト上 うえ 科 か を構成 こうせい している[4] [5] 。
では、生物 せいぶつ 学 がく 的 てき な方法 ほうほう だけでヒトとその他 た の類人猿 るいじんえん の区別 くべつ ができるのかと言 い うと、現生 げんなま のヒトと他 た の類人猿 るいじんえん は形態 けいたい 学的 がくてき には比較的 ひかくてき 簡単 かんたん に区別 くべつ がつくが、DNAの塩基 えんき 配列 はいれつ では極 きわ めて似 に ており、また早期 そうき の猿 さる 人 じん の化石 かせき も他 た の類人猿 るいじんえん とヒトとの中 なか 間 あいだ 的 てき な形態 けいたい をしているため、線引 せんひ き・区別 くべつ をするための点 てん は明 あき らかではない[2] 。結局 けっきょく のところ、「ヒト」というのは、直立 ちょくりつ 二 に 足 そく 歩行 ほこう を行 おこな うこと、およびヒト特有 とくゆう の文化 ぶんか を持 も っていることで、他 た の類人猿 るいじんえん と線引 せんひ き・区別 くべつ しているのである[2] 。つまり、実 じつ は生物 せいぶつ 学 がく 的 てき な手法 しゅほう ・視点 してん だけでは不十分 ふじゅうぶん で、結局 けっきょく 、他 た の視点 してん ・論点 ろんてん も織 お り交 ま ぜつつ区別 くべつ は行 おこな われている。
分類 ぶんるい 学 がく 上 じょう の位置 いち について言 い うと、現生 げんなま 人類 じんるい はホモ・サピエンス に分類 ぶんるい されるが[2] 、ホモ・サピエンスには現生 げんなま 人類 じんるい 以外 いがい にも旧 きゅう 人類 じんるい が含 ふく まれる[2] 。
現生 げんなま 人類 じんるい はすべてこの種 たね (ヒト)に分類 ぶんるい されている。
ヒトの身体 しんたい 的 てき な特徴 とくちょう のかなりの部分 ぶぶん は、直立 ちょくりつ 二 に 足 そく 歩行 ほこう を行 おこな うことへの適応 てきおう の結果 けっか 生 しょう じた形質 けいしつ である[2] 。
直立 ちょくりつ 二 に 足 そく 歩行 ほこう によって、ヒトは体躯 たいく に対 たい して際立 きわだ って大 おお きな頭部 とうぶ を支 ささ える事 こと が可能 かのう になった。結果 けっか 、大脳 だいのう の発達 はったつ をもたらし、極 きわ めて高 たか い知能 ちのう を得 え た。加 くわ えて上肢 じょうし が自由 じゆう になった事 こと により、道具 どうぐ の製作 せいさく ・使用 しよう を行 おこな うようになり、身 み ぶり言語 げんご と発声 はっせい ・発音 はつおん 言語 げんご の発達 はったつ が起 お き、文化 ぶんか 活動 かつどう が可能 かのう となった[2] 。
分布 ぶんぷ は南極大陸 なんきょくたいりく と北極圏 ほっきょくけん の一部 いちぶ 島嶼 とうしょ を除 のぞ く世界 せかい の陸地 りくち 全体 ぜんたい に及 およ び、もっとも広 ひろ く分布 ぶんぷ する生物 せいぶつ 種 しゅ となっている[2] 。
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まず、他 た の哺乳類 ほにゅうるい や類人猿 るいじんえん などとの区別 くべつ を成立 せいりつ させて述 の べる。
直立 ちょくりつ 二 に 足 そく 歩行 ほこう [ 編集 へんしゅう ]
現存 げんそん 生物 せいぶつ で唯一 ゆいいつ ヒトのみが直立 ちょくりつ 二 に 足 そく 歩行 ほこう を行 おこな う。
二 に 足 そく 歩行 ほこう のみなら鳥類 ちょうるい やカンガルー 、一時 いちじ 的 てき な二 に 足 そく 歩行 ほこう であれば一部 いちぶ の哺乳類 ほにゅうるい が行 おこな えるが、頭 あたま から足 あし までまっすぐ伸 の ばした直立 ちょくりつ 姿勢 しせい を取 と るのはヒトのみ。
コミュニケーション能力 のうりょく [ 編集 へんしゅう ]
脳 のう ・声帯 せいたい が発達 はったつ しており、(身振 みぶ り だけでなく)音声 おんせい (音声 おんせい 言語 げんご )・手話 しゅわ や文字 もじ (書記 しょき 言語 げんご )によるコミュニケーション を図 はか れる。
音声 おんせい による会話 かいわ 能力 のうりょく を獲得 かくとく した年代 ねんだい はホモ属 ぞく の発生 はっせい 以降 いこう で、25万 まん 年 ねん 以上 いじょう 前 まえ とされている。この研究 けんきゅう は形質 けいしつ 人類 じんるい 学 がく 、言語 げんご 学 がく 、考古学 こうこがく などの学問 がくもん と関連 かんれん する。ヒトには、言語 げんご 獲得 かくとく の能力 のうりょく が生得 しょうとく 的 てき に備 そな わっていると考 かんが えられており、脳 のう の言語 げんご 野 の に損傷 そんしょう を持 も たない人間 にんげん は幼児 ようじ 期 き の短期間 たんきかん に発話 はつわ の能力 のうりょく を獲得 かくとく する。
一方 いっぽう で文字 もじ の発明 はつめい は紀元前 きげんぜん 3500年 ねん 頃 ごろ とされており、生物 せいぶつ 学 がく 上 じょう の人類 じんるい 史 し ではごく最近 さいきん である。しかも初等 しょとう 教育 きょういく が普及 ふきゅう し多 おお くの個体 こたい が識字 しきじ 能力 のうりょく を得 え るようになったのはこの100-300年 ねん 程度 ていど であり、アイヌ語 ご など本来 ほんらい 文字 もじ が存在 そんざい しなかった文化 ぶんか ・文明 ぶんめい もある。アメリカ大陸 あめりかたいりく のイロコイ族 ぞく は現代 げんだい まで一 いち 万 まん 年 ねん にわたる口述 こうじゅつ 伝承 でんしょう をしてきたともされる[6] [要 よう ページ番号 ばんごう ] 。そのため文字 もじ 認識 にんしき の能力 のうりょく は個体 こたい 差 さ が大 おお きく、発話 はつわ と同 どう 時期 じき に文字 もじ の理解 りかい 能力 のうりょく を得 え る個体 こたい から、成人 せいじん 後 ご も文字 もじ の読 よ み書 か きに困難 こんなん を抱 かか えるディスレクシア と呼 よ ばれる個体 こたい までいる。
音声 おんせい による会話 かいわ 、視覚 しかく による文字 もじ とも、時代 じだい を経 へ るごとに情報 じょうほう 量 りょう が増 ふ え、表現 ひょうげん も多様 たよう 化 か ・複雑 ふくざつ 化 か し、適応 てきおう した個体 こたい と適応 てきおう していない個体 こたい にコミュニケーション能力 のうりょく の差 さ が生 しょう じる。
(ヒト以外 いがい の、特 とく にサル のコミュニケーション能力 のうりょく については京都大学霊長類研究所 きょうとだいがくれいちょうるいけんきゅうしょ [7] の研究 けんきゅう が詳 くわ しい。)
細 こま かくは後述 こうじゅつ を参照 さんしょう すべきだが、全体 ぜんたい として「大型 おおがた 」「群 む れる」「中 ちゅう 速度 そくど で長距離 ちょうきょり を移動 いどう する」「調理 ちょうり された質 しつ の良 よ い、多様 たよう な食物 しょくもつ を食 た べる」「投擲 とうてき など自分 じぶん の体 からだ から離 はな れたものを利用 りよう する」ことが動物 どうぶつ としてのヒトの特徴 とくちょう ・生態 せいたい 的 てき 地位 ちい といえる。
外観 がいかん 的 てき 特徴 とくちょう [ 編集 へんしゅう ]
ヒト
サル目 め としては極 きわ めて大型 おおがた の種 たね 。これより大 おお きいものにゴリラ とオランウータン があるが、いずれもサル目 め としては群 ぐん を抜 ぬ いて大 おお きい。なお、動物 どうぶつ 一般 いっぱん には頭部 とうぶ 先端 せんたん から尻 しり 、または尾 お までの長 なが さを測定 そくてい するが、ヒトでは尾 お に該当 がいとう する部位 ぶい が退化 たいか しており標準 ひょうじゅん の大 おお きさとして直立 ちょくりつ 時 じ の高 たか さ(身長 しんちょう )を測定 そくてい することが多 おお いので、他 た 種 たね との直接 ちょくせつ の比較 ひかく は難 むずか しい。
体長 たいちょう は雄 ゆう の成体 せいたい でおおよそ160〜180cm、体重 たいじゅう は50〜90kg程度 ていど 。雌 めす は雄 ゆう よりやや小 ちい さく、約 やく 10%減 げん 程度 ていど と見 み てよい。基本 きほん 的 てき な体 からだ の仕組 しく みについて、サル目 め に共通 きょうつう の特徴 とくちょう 、類人猿 るいじんえん に共通 きょうつう の特徴 とくちょう 以外 いがい に、ヒトに独自 どくじ の特徴 とくちょう としては、以下 いか の点 てん が挙 あ げられる。
完全 かんぜん に直立 ちょくりつ の姿勢 しせい を取 と れる。頭 あたま が両足 りょうあし 裏 うら の間 あいだ の真上 まうえ に乗 の る位置 いち にある。
乳幼児 にゅうようじ を除 のぞ いて、ほとんどの場合 ばあい 二 に 足 そく 歩行 ほこう を行 おこな う。
前足 まえあし の付 つ け根 ね が背中 せなか 面 めん の位置 いち に近 ちか い。
後 うし ろ足 あし が手 て (他 た 種 しゅ でいう前足 まえあし )よりも長 なが く、かかとがある。
体 からだ 表面 ひょうめん のほとんどの毛 け が薄 うす く、ほとんどの皮膚 ひふ が露出 ろしゅつ する。
以下 いか 、各 かく 部分 ぶぶん について説明 せつめい する。
頭頂 とうちょう 部 ぶ が非常 ひじょう に大 おお きく丸 まる い。これは脳 のう のうち大脳 だいのう が発達 はったつ しているためである。脳 のう には、大脳 だいのう 、間 あいだ 脳 のう 、中 ちゅう 脳 のう 、後 こう 脳 のう 、小脳 しょうのう 、延髄 えんずい がある。顔面 がんめん はほぼ垂直 すいちょく 、あごの先端 せんたん がややとがる(おとがい )。顔面 がんめん には、2つの目 め ・耳 みみ 、一 ひと つの鼻 はな ・口 くち がある。顔面 がんめん の上 うえ から後 うし ろにかけて毛 もう (頭髪 とうはつ )が密生 みっせい する。頭髪 とうはつ に覆 おお われる部分 ぶぶん 以外 いがい は肌 はだ が露出 ろしゅつ することが多 おお いが、雄 ゆう は顔面 がんめん 下部 かぶ に毛 け を密生 みっせい することがある(髭 ひげ )。目 め の上 うえ 、まぶたのやや上 じょう に一対 いっつい の横長 よこなが の隆起 りゅうき があり、ここに毛 け を密生 みっせい する(眉 まゆ )。鼻 はな は前 まえ に突出 とっしゅつ し、鼻孔 びこう は下向 したむ きに開 ひら く。口 くち の周囲 しゅうい の粘膜 ねんまく の一部 いちぶ が常 つね に反転 はんてん して外 そと に向 む いている(唇 くちびる )。
直立 ちょくりつ 姿勢 しせい であることによって、背面 はいめん はやや中央 ちゅうおう がくぼんだやや弓 ゆみ なりな平面 へいめん を成 な し、胸 むね と腹 はら がやや前 まえ に突 つ き出 だ した形 かたち になる。また、両側 りょうがわ の肩胛骨 けんこうこつ がほぼ同 どう 一 いち 平面 へいめん に並 なら び、平 たい らな背中 せなか を形成 けいせい する。胸 むね には気管支 きかんし 、肺 はい と心臓 しんぞう がある。心臓 しんぞう は左 ひだり にあることが多 おお く、右 みぎ にある場合 ばあい を内臓 ないぞう 逆 ぎゃく 位 い という。心臓 しんぞう からは動脈 どうみゃく と静脈 じょうみゃく に血液 けつえき が流 なが れている。腹 はら には、胃 い 、腸 ちょう (大腸 だいちょう 、小腸 しょうちょう 、十二指腸 じゅうにしちょう 、直腸 ちょくちょう 、盲腸 もうちょう )、肛門 こうもん 、肝臓 かんぞう 、膵臓 すいぞう 、脾臓 ひぞう 、膀胱 ぼうこう 、尿道 にょうどう などの臓器 ぞうき がある。
胴 どう を支 ささ える脊椎 せきつい は骨盤 こつばん によって受 う け止 と められる。そのため、他 た の霊長 れいちょう 目 め とは違 ちが い直立 ちょくりつ 姿勢 しせい によって発生 はっせい する上部 じょうぶ の加重 かじゅう 軽減 けいげん するためにやや弓 ゆみ なりに組 く まれている。ただし、全 すべ ての加重 かじゅう を軽減 けいげん できるものではなく、そのことがヒト独特 どくとく の脊椎 せきつい (主 おも に腰椎 ようつい )に加重 かじゅう ストレス がかかった損傷 そんしょう 状態 じょうたい である腰痛 ようつう を引 ひ き起 お こす要因 よういん になる。
胴 どう の下部 かぶ には生殖 せいしょく 器 き がある。雄 ゆう は精巣 せいそう 、睾丸 こうがん と陰茎 いんけい など。雌 めす は卵巣 らんそう 、子宮 しきゅう と膣 ちつ など。雌 めす では胸 むね に一対 いっつい の乳房 ちぶさ が発達 はったつ する。また、腰骨 こしぼね は幅広 はばひろ くなっており、腰 こし の後部 こうぶ に多 おお くの筋肉 きんにく と脂肪 しぼう がつき、丸 まる く発達 はったつ する(尻 しり )。尻 しり の隆起 りゅうき は主 しゅ として二 に 足 そく 歩行 ほこう によって必要 ひつよう とされたために発達 はったつ したものと考 かんが えられる。しかし雌 めす の尻 しり は脂肪 しぼう の蓄積 ちくせき が多 おお くてより発達 はったつ し、乳房 ちぶさ の発達 はったつ と共 とも に二 に 次 じ 性徴 せいちょう の一 ひと つとされる。特 とく に、雌 めす における乳房 ちぶさ は性的 せいてき 成熟 せいじゅく が始 はじ まるとすぐに発達 はったつ が始 はじ まり、妊娠 にんしん によってさらに発達 はったつ するとはいえ、非 ひ 妊娠 にんしん 期 き 、非 ひ 保育 ほいく 期間 きかん にもその隆起 りゅうき が維持 いじ される点 てん で、ヒトに特異 とくい なものである。これには、性的 せいてき アピールの意味 いみ があるとされるが、その進化 しんか の過程 かてい や理由 りゆう については様々 さまざま な議論 ぎろん がある。乳房 ちぶさ の項 こう を参照 さんしょう 。
前足 まえあし は「腕 うで 」、特 とく に尺 しゃく 骨 こつ ・橈骨より先 さき の部分 ぶぶん は「手 て 」と呼 よ ばれ、歩行 ほこう には使 つか われない。あえて四足 しそく 歩行 ほこう を行 おこな う場合 ばあい には手 て の平 ひら 側 がわ を地 ち につけ歩 ある き、チンパンジー などに見 み られるようなナックル・ウォーク は一般 いっぱん 的 てき でない。
肩 かた 関節 かんせつ の自由 じゆう が大 おお きく、腕 うで を真 ま っすぐに上 うえ に伸 の ばし、あるいは左右 さゆう に広 ひろ げてやや後 うし ろに曲 ま げることが可能 かのう である。親指 おやゆび が完全 かんぜん に手 て の平 ひら と向 む かい合 あ う。指先 ゆびさき は器用 きよう であり、発達 はったつ した大脳 だいのう の働 はたら きもあり細 ささ やかな操作 そうさ が可能 かのう 。
後足 あとあし は「脚 あし 部 ぶ 」、特 とく に地面 じめん に接 せっ する部分 ぶぶん は単 たん に「足 あし 」とも呼 よ ばれ、歩行 ほこう のために特 とく 化 か している。膝 ひざ を完全 かんぜん に伸 の ばした姿勢 しせい が取 と れる。膝 ひざ は四足 しそく 歩行 ほこう 時 じ にここを接地 せっち させるので肥厚 ひこう しやすい。踵 かかと と爪先 つまさき がアーチを形成 けいせい し、間 あいだ の部分 ぶぶん (土踏 つちふ まず )がやや浮 う く。これによって接地 せっち の衝撃 しょうげき を吸収 きゅうしゅう する。まれに土踏 つちふ まず のほとんどない形状 けいじょう (いわゆる「扁平足 へんぺいそく 」)の個体 こたい もある。
ヒトは往々 おうおう にして「裸 はだか のサル」といわれる。実際 じっさい には無 む 毛 け であるわけではなく、手 て の平 ひら 、足 あし の裏 うら などを除 のぞ けば、ほとんどは毛 け で覆 おお われている。しかし、その大 だい 部分 ぶぶん は短 みじか く、細 ほそ くて、直接 ちょくせつ に皮膚 ひふ を見 み ることができる。このような皮膚 ひふ の状態 じょうたい は、他 た の哺乳類 ほにゅうるい では水中 すいちゅう 生活 せいかつ のものや、一部 いちぶ の穴居 けっきょ 性 せい のものに見 み られる。ヒトの生活 せいかつ はいずれにも当 あ てはまらないので、そのような進化 しんか が起 お きた原因 げんいん については様々 さまざま な説 せつ があるが、定説 ていせつ はない。代表 だいひょう 的 てき なのは以下 いか のような説 せつ である。
外部 がいぶ 寄生虫 きせいちゅう がとりつきにくくする、あるいはそれらを取 と りやすくするための適応 てきおう 。
体 からだ 表 ひょう を露出 ろしゅつ することで、放熱 ほうねつ 効率 こうりつ を上 あ げて、持久 じきゅう 力 りょく を上 あ げるための適応 てきおう 。
幼 よう 形 がた 成熟 せいじゅく (ネオテニー )の結果 けっか 。
性的 せいてき 接触 せっしょく の効果 こうか を上 あ げるための適応 てきおう 。
一時期 いちじき に水中 すいちゅう 生活 せいかつ を送 おく ったなごり。(水 みず に浸 つ からない頭髪 とうはつ だけが残 のこ ったという説 せつ 。アクア説 せつ を参照 さんしょう 。)
全身 ぜんしん は裸 はだか に近 ちか いが、特 とく に限 かぎ られた部分 ぶぶん だけに濃 こ い毛 け を生 しょう じる。それには生涯 しょうがい 維持 いじ されるものと、性 せい 成熟 せいじゅく につれて発生 はっせい するもの がある。おおよそのパターンはあるが、実際 じっさい の毛 け の様子 ようす には雌雄 しゆう 差 さ 、人種 じんしゅ 差 さ 、および個体 こたい 差 さ が大 おお きい。
毛 け が密生 みっせい する部位 ぶい は、数 すう か所 しょ に限 かぎ られる。それらは、以下 いか のようである。
頭部 とうぶ の上 うえ から後 うし ろにかけて(頭髪 とうはつ )・目 め の上 うえ の横長 よこなが の部位 ぶい (眉 まゆ )・まぶた の縁 えん (睫毛 まつげ )・鼻孔 びこう 内 うち (鼻毛 はなげ ):この部分 ぶぶん は、ごく幼 おさな い頃 ころ から毛 け が濃 こ く、成人 せいじん までそれを維持 いじ する。特 とく に頭髪 とうはつ は生涯 しょうがい 伸 の び続 つづ け、放 はな っておくと数 すう メートルに達 たっ するが、ほとんどの個体 こたい は自 みずか ら(あるいは他 た の個体 こたい に依頼 いらい して)道具 どうぐ を用 もち いて適度 てきど な長 なが さに整 ととの えている。老化 ろうか が進 すす むにつれて頭髪 とうはつ は薄 うす くなる場合 ばあい があり、それは雄 ゆう で特 とく に著 いちじる しい(ハゲ )が、個体 こたい 差 さ が大 おお きい[注 ちゅう 1] 。
脇 わき の下 した (脇毛 わきげ )・股間 こかん の性器 せいき 上部 じょうぶ と周辺 しゅうへん から肛門 こうもん 周辺 しゅうへん にかけて(陰毛 いんもう ):いずれも第 だい 二 に 次 じ 性徴 せいちょう の発達 はったつ に並行 へいこう 発達 はったつ する。
顔 かお の鼻 はな から下 した 、耳 みみ から顎 あご にかけて(髭 ひげ )・胸 むね の中心 ちゅうしん 線 せん 周辺 しゅうへん (胸毛 むなげ )・足 あし の膝 ひざ から下 した (すね毛 げ ):これも二 に 次 じ 性徴 せいちょう の発達 はったつ にしたがって出現 しゅつげん するが、雄 ゆう に顕著 けんちょ で、雌 めす ではあまり発達 はったつ しない。雄 ゆう でもこれらの毛 け の濃 こ さには個体 こたい 差 さ があり、ほとんど生 は えないものもいる。
なお、哺乳類 ほにゅうるい の顔面 がんめん には上述 じょうじゅつ の体毛 たいもう とは別 べつ に、感覚 かんかく 器官 きかん としての毛 け 「洞 ほら 毛 げ (どうもう)」が生 は えているが、ヒトの顔面 がんめん からは洞 ほら 毛 げ が完全 かんぜん に消失 しょうしつ している。
この節 ふし は検証 けんしょう 可能 かのう な参考 さんこう 文献 ぶんけん や出典 しゅってん が全 まった く示 しめ されていないか、不十分 ふじゅうぶん です。 出典 しゅってん を追加 ついか して記事 きじ の信頼 しんらい 性 せい 向上 こうじょう にご協力 きょうりょく ください。(このテンプレートの使 つか い方 かた ) 出典 しゅってん 検索 けんさく ? : "ヒト" – ニュース · 書籍 しょせき · スカラー · CiNii · J-STAGE · NDL · dlib.jp · ジャパンサーチ · TWL (2012年 ねん 4月 がつ )
汗腺 かんせん - 汗 あせ を分泌 ぶんぴつ する腺 せん であり、口唇 こうしん や亀 かめ 頭 あたま を除 のぞ く全身 ぜんしん に分布 ぶんぷ する。ヒトの汗腺 かんせん にはエクリン腺 せん とアポクリン腺 せん の2種 しゅ が存在 そんざい する。
脳 のう - 大脳 だいのう が極 きわ めてよく発達 はったつ し、体 からだ 全体 ぜんたい との重量 じゅうりょう 比 ひ では哺乳類 ほにゅうるい 中 ちゅう で最大 さいだい である。
肝臓 かんぞう - 生命 せいめい 機能 きのう に必要 ひつよう な物質 ぶっしつ の一部 いちぶ を合成 ごうせい して身体 しんたい の他 ほか の組織 そしき に送 おく り、他 た の組織 そしき より老廃 ろうはい 物 ぶつ や有害 ゆうがい 物質 ぶっしつ を受 う け取 と って無害 むがい 化 か を図 はか る巨大 きょだい な代謝 たいしゃ 組織 そしき である。また、胆汁 たんじゅう を産 さん 生 せい ・分泌 ぶんぴつ する外 そと 分泌 ぶんぴつ 腺 せん でもあり、体温 たいおん 維持 いじ に必要 ひつよう な熱 ねつ を産 さん 生 せい する主要 しゅよう な臓器 ぞうき でもある。
心臓 しんぞう - 機能 きのう 的 てき 、解剖 かいぼう 学 がく 的 てき に左右 さゆう に分 わ けられる。右 みぎ 心 しん 系 けい は肺 はい を除 のぞ く身体 しんたい 各部 かくぶ の血管 けっかん 系 けい (体 からだ 循環 じゅんかん )から上 うえ 、下 した の大 だい 静脈 じょうみゃく を通 とお して血液 けつえき (静脈 じょうみゃく 血 ち )を受 う け取 と り、肺 はい 動脈 どうみゃく を通 とお して肺 はい の血管 けっかん 系 けい (肺 はい 循環 じゅんかん )に血液 けつえき を送 おく り出 だ す。肺 はい でガス交換 こうかん を終 お えた血液 けつえき (動脈血 どうみゃくけつ )は肺 はい 静脈 じょうみゃく を通 とお って左 ひだり 心 しん 系 けい に流入 りゅうにゅう し、左 ひだり 心室 しんしつ の強大 きょうだい な拍 はく 出力 しゅつりょく によって体 からだ 循環 じゅんかん へと再 ふたた び送 おく り出 だ される。
肺 はい - 鼻 はな 、鼻 はな 閉時には口 くち を通 とお して吸入 きゅうにゅう された空気 くうき と肺 はい 循環 じゅんかん に送 おく り込 こ まれた静脈 じょうみゃく 血 ち との間 あいだ で主 おも に酸素 さんそ と二酸化炭素 にさんかたんそ の交換 こうかん を行 おこな う臓器 ぞうき である。空気 くうき と血液 けつえき は肺 はい 胞壁と血管 けっかん 内皮 ないひ を介 かい して隣接 りんせつ し、各 かく 気体 きたい のガス分 ぶん 圧 あつ の勾配 こうばい に従 したが ってその移動 いどう を許 ゆる す。即 すなわ ち、酸素 さんそ はより分 ぶん 圧 あつ の高 たか い空気 くうき から分 ぶん 圧 あつ の低 ひく い血液 けつえき に向 む かって移動 いどう し、二酸化炭素 にさんかたんそ はより分 ぶん 圧 あつ の高 たか い血液 けつえき から分 ぶん 圧 あつ の低 ひく い空気 くうき へと移動 いどう する。この結果 けっか 、動脈血 どうみゃくけつ は酸素 さんそ に富 と み、二酸化炭素 にさんかたんそ の少 すく ない血液 けつえき となる。また、肺 はい 血管 けっかん は膨大 ぼうだい な毛細血管 もうさいけっかん 床 ゆか を有 ゆう しており、静脈 じょうみゃく 血 ち はすべてこれを通 とお って体 からだ 循環 じゅんかん へと入 はい るため、静脈 じょうみゃく 血 ち 中 ちゅう の一部 いちぶ の物質 ぶっしつ の代謝 たいしゃ や物理 ぶつり 的 てき な濾過 ろか の役割 やくわり も果 は たす。
膵臓 すいぞう - 膵臓 すいぞう は外 そと 分泌 ぶんぴつ 腺 せん と内分泌腺 ないぶんぴつせん よりなる。外 そと 分泌 ぶんぴつ 腺 せん 部 ぶ では多 おお くの消化 しょうか 酵素 こうそ (トリプシン、キモトリプシン、リパーゼ、アミラーゼ等 とう )が産 さん 生 む され、膵管の分泌 ぶんぴつ するアルカリ性 あるかりせい の液体 えきたい と混 こん じて膵液を作 つく る。消化 しょうか 酵素 こうそ は多 おお くは活性 かっせい を持 も たない前駆 ぜんく 体 たい の形 かたち で膵液に含 ふく まれ、これがペプシンや十二指腸 じゅうにしちょう 上皮 じょうひ の刷 すり 子 こ 縁 えん に存在 そんざい するペプチダーゼによって部分 ぶぶん 分解 ぶんかい される事 こと で活性 かっせい のある酵素 こうそ を生 しょう じる。内分泌腺 ないぶんぴつせん 部 ぶ はランゲルハンス氏 し 島 とう と呼 よ ばれ、インスリン、グルカゴン、ソマトスタチン、VIPなどを産 さん 生 む している。
腎臓 じんぞう - 血液 けつえき を濾過 ろか し、血球 けっきゅう と大分 おおいた 子 こ 量 りょう の物質 ぶっしつ を除 のぞ いた濾液(原 はら 尿 にょう )を産 さん 生 む し、これから必要 ひつよう な物質 ぶっしつ を再 さい 吸収 きゅうしゅう して尿 にょう を産 さん 生 せい する臓器 ぞうき である。再 さい 吸収 きゅうしゅう される物質 ぶっしつ は多 おお くあるが、代表 だいひょう 的 てき なものとしてナトリウム、カリウム等 とう の電解 でんかい 質 しつ 、グルコースやアミノ酸 あみのさん 等 とう の栄養素 えいようそ 、小 しょう 分子 ぶんし タンパク等 とう がある。また、水分 すいぶん もほとんどが再 さい 吸収 きゅうしゅう される。このため、一 いち 日 にち に産 さん 生 む される原 げん 尿 にょう は200リットルと膨大 ぼうだい な量 りょう にもかかわらず、尿 にょう 量 りょう は1 - 2リットル程度 ていど となる。この様 よう な尿 にょう 産 さん 生 せい の過程 かてい で、身体 しんたい に不要 ふよう な老廃 ろうはい 物 ぶつ は再 さい 吸収 きゅうしゅう 効率 こうりつ が悪 わる いため、尿 にょう 中 ちゅう に濃縮 のうしゅく される事 こと になる。電解 でんかい 質 しつ や水分 すいぶん (自由 じゆう 水 すい )の再 さい 吸収 きゅうしゅう 率 りつ を調節 ちょうせつ する事 こと で、腎臓 じんぞう は身体 しんたい の体液 たいえき 量 りょう を調節 ちょうせつ する極 きわ めて重要 じゅうよう な組織 そしき である。また、腎臓 じんぞう は赤血球 せっけっきゅう の産 さん 生 せい を刺激 しげき するエリスロポエチンや、体液 たいえき 量 りょう と血圧 けつあつ を増大 ぞうだい ・上昇 じょうしょう させるレニン-アンギオテンシン-アルドステロン系 けい を駆動 くどう するレニンを分泌 ぶんぴつ する内分泌 ないぶんぴつ 臓器 ぞうき でもある。
胃 い (食道 しょくどう 含) - 食物 しょくもつ を胃液 いえき と混 こん じ、一時 いちじ 的 てき に保持 ほじ する臓器 ぞうき である。胃液 いえき も消化 しょうか 酵素 こうそ であるペプシンを含 ふく むが、胃液 いえき 自体 じたい は消化 しょうか 機能 きのう に必須 ひっす ではない。むしろ、食事 しょくじ で一 いち 度 ど にとられた食物 しょくもつ を保存 ほぞん しておき、徐々 じょじょ に十二指腸 じゅうにしちょう に送 おく り込 こ む機能 きのう が主 しゅ 機能 きのう である。このため、保持 ほじ している食物 しょくもつ 中 ちゅう で細菌 さいきん が増殖 ぞうしょく しない様 よう に、強 つよ い酸性 さんせい の胃液 いえき と混 こん じて保存 ほぞん する必要 ひつよう があるのである。強 つよ い酸性 さんせい である胃酸 いさん に胃 い 粘膜 ねんまく が障害 しょうがい されない様 よう に、胃 い の上皮 じょうひ 細胞 さいぼう は粘液 ねんえき を産 さん 生 む して防御 ぼうぎょ している。この様 よう な防御 ぼうぎょ 因子 いんし を阻害 そがい するものがあると、胃 い 粘膜 ねんまく 障害 しょうがい が生 しょう じて胃潰瘍 いかいよう ができる可能 かのう 性 せい がある。防御 ぼうぎょ 因子 いんし の阻害 そがい 要因 よういん としてはH.pyloriが最大 さいだい の要因 よういん であり、その他 た 喫煙 きつえん 、ストレス、NSAID等 とう の薬剤 やくざい 、胃 い 粘膜 ねんまく 血 ち 流 りゅう の減少 げんしょう 等 とう があげられる。
小腸 しょうちょう - 食物 しょくもつ を吸収 きゅうしゅう 可能 かのう な形 かたち まで分解 ぶんかい し、それを吸収 きゅうしゅう する臓器 ぞうき である。まず食物 しょくもつ は膵液と混 ま ざり、大雑把 おおざっぱ に分解 ぶんかい される。これがさらに小腸 しょうちょう の上皮 じょうひ 細胞 さいぼう の刷 すり 子 こ 縁 えん にある分解 ぶんかい 酵素 こうそ (各種 かくしゅ ペプチダーゼや二 に 単 たん 糖 とう 分解 ぶんかい 酵素 こうそ 等 とう )でアミノ酸 あみのさん や単 たん 糖 とう の状態 じょうたい まで分解 ぶんかい され、上皮 じょうひ 細胞 さいぼう 内 ない に吸収 きゅうしゅう される。刷 すり 子 こ 縁 えん に存在 そんざい する酵素 こうそ で吸収 きゅうしゅう 可能 かのう な形 かたち にまで分解 ぶんかい する意義 いぎ は、刷 すり 子 こ 縁 えん は極 きわ めて細 こま かな微 ほろ 絨毛 じゅうもう からなり、この隙間 すきま には細菌 さいきん も侵入 しんにゅう できない為 ため 、ここで最終 さいしゅう 的 てき な消化 しょうか が行 おこな われれば細菌 さいきん との栄養素 えいようそ の競合 きょうごう が少 すく なくなる事 こと にあると考 かんが えられている。
大腸 だいちょう - 大腸 だいちょう は大 おお きく結腸 けっちょう と直腸 ちょくちょう に分 わ けられる。結腸 けっちょう は栄養素 えいようそ が吸収 きゅうしゅう された後 のち の残 ざん 渣から水分 すいぶん と電解 でんかい 質 しつ を吸収 きゅうしゅう し、便 びん を作 つく る臓器 ぞうき である。直腸 ちょくちょう は便 びん を排便 はいべん まで保持 ほじ する臓器 ぞうき である。消化 しょうか 管 かん には食物 しょくもつ や飲料 いんりょう の他 ほか 、胃液 いえき や膵液、腸 ちょう 液 えき など、一 いち 日 にち に平均 へいきん して10リットル近 ちか い水分 すいぶん が流入 りゅうにゅう する。そのうち、約 やく 1.5リットルが小腸 しょうちょう において吸収 きゅうしゅう され、残 のこ りのほとんどを結腸 けっちょう が吸収 きゅうしゅう する。便 びん 中 ちゅう に排泄 はいせつ される水分 すいぶん はわずか200ミリリットル程度 ていど である。結腸 けっちょう が濃度 のうど 勾配 こうばい に逆 さか らって吸収 きゅうしゅう できるのは電解 でんかい 質 しつ しかない。水分 すいぶん は吸収 きゅうしゅう された電解 でんかい 質 しつ に引 ひ かれて受動 じゅどう 的 てき に吸収 きゅうしゅう されるにすぎない。したがって、結腸 けっちょう は基本 きほん 的 てき には自由 じゆう 水 すい を吸収 きゅうしゅう する能力 のうりょく は持 も たない。
膀胱 ぼうこう - 尿 にょう を排尿 はいにょう 時 じ まで保持 ほじ する臓器 ぞうき である。陸上 りくじょう 生活 せいかつ をする哺乳類 ほにゅうるい においては、尿 にょう や便 びん を魚類 ぎょるい のごとく垂 た れ流 なが しにするのははなはだ生存 せいぞん に不利 ふり である。これは、尿 にょう や便 びん を垂 た れ流 なが しにすれば、それをたどって捕食 ほしょく 者 しゃ に容易 ようい に発見 はっけん されてしまうためである。したがって、哺乳類 ほにゅうるい では便 びん を保持 ほじ する直腸 ちょくちょう や尿 にょう を保持 ほじ する膀胱 ぼうこう が発達 はったつ したと考 かんが えられている。
胆嚢 たんのう - 胆嚢 たんのう は肝臓 かんぞう で産 さん 生 む された胆汁 たんじゅう を保持 ほじ し、濃縮 のうしゅく し、必要 ひつよう な時 とき に排出 はいしゅつ する臓器 ぞうき である。胆汁 たんじゅう は肝 かん 細胞 さいぼう で産 さん 生 む され、細 ほそ 胆 きも 管 かん や肝 きも 内 ない 胆 きも 管 かん 、左右 さゆう 肝 きも 管 かん 、総 そう 肝 きも 管 かん へと流 なが れるが、総 そう 肝 きも 管 かん から分岐 ぶんき する胆嚢 たんのう 管 かん を通 とお って胆嚢 たんのう に流入 りゅうにゅう する。ここで水分 すいぶん の吸収 きゅうしゅう などが行 おこな われて濃縮 のうしゅく され、保持 ほじ される。小腸 しょうちょう の上皮 じょうひ から分泌 ぶんぴつ されるコレシストキニンなどの刺激 しげき があると胆嚢 たんのう が収縮 しゅうしゅく して濃縮 のうしゅく された胆汁 たんじゅう が排出 はいしゅつ される。これは胆嚢 たんのう 管 かん から総 そう 肝 きも 管 かん を通 とお り、膵管と合流 ごうりゅう した総 そう 胆 きも 管 かん 、そしてファーター乳頭 にゅうとう を経 へ て十二指腸 じゅうにしちょう に流入 りゅうにゅう する。
副腎 ふくじん - 副腎 ふくじん は皮質 ひしつ と髄質 ずいしつ からなり、皮質 ひしつ は主 おも に三 さん 種類 しゅるい のステロイドホルモンを産 さん 生 む し、髄質 ずいしつ はカテコラミンを産 さん 生 せい する内分泌 ないぶんぴつ 臓器 ぞうき である。皮質 ひしつ はさらに球状 きゅうじょう 層 そう 、束 たば 状 じょう 層 そう 、網状 もうじょう 層 そう よりなり、それぞれアルドステロン(鉱 こう 質 しつ コルチコイド)、コルチゾール(糖 とう 質 しつ コルチコイド)、DHEA(男性 だんせい ホルモン前駆 ぜんく 体 たい )が主 しゅ 産物 さんぶつ である。副腎 ふくじん 皮質 ひしつ 機能 きのう 不全 ふぜん は死 し に繋 つな がりうる極 きわ めて重要 じゅうよう な疾患 しっかん であり、これは即 すなわ ち副腎 ふくじん 皮質 ひしつ の産 さん 生 せい するホルモンの重要 じゅうよう 性 せい を示 しめ すものでもある。副腎 ふくじん 髄質 ずいしつ はカテコラミン、特 とく にアドレナリンを産 さん 生 せい する臓器 ぞうき であり、交感神経 こうかんしんけい 系 けい と共同 きょうどう して「逃走 とうそう と闘争 とうそう 」の反応 はんのう を引 ひ き起 お こす。
脾臓 ひぞう - 機能 きのう 的 てき には巨大 きょだい なリンパ腺 りんぱせん と考 かんが えてよい。ただし、リンパ腺 りんぱせん がリンパ系 けい に属 ぞく するのに対 たい し、脾臓 ひぞう は血管 けっかん 系 けい に繋 つな がる。脾臓 ひぞう では古 ふる い赤血球 せっけっきゅう (寿命 じゅみょう はおよそ120日 にち である)がマクロファージに貪食 どんしょく されて処理 しょり され、血液 けつえき 中 ちゅう の病原 びょうげん 体 たい なども濾過 ろか 、貪食 どんしょく される。また、これに引 ひ き続 つづ く適応 てきおう 免疫 めんえき の展開 てんかい の場 ば ともなる。従 したが って、脾臓 ひぞう には極 きわ めて多 おお くのリンパ臚胞が存在 そんざい する。脾臓 ひぞう は他 た の哺乳類 ほにゅうるい では血液 けつえき を保存 ほぞん し、運動 うんどう 時 じ に収縮 しゅうしゅく する事 こと で血液 けつえき 量 りょう を増加 ぞうか させる機能 きのう があるとされるが、ヒトにおいてはこの様 よう な機能 きのう はほとんどないと言 い ってよい。脾臓 ひぞう の摘出 てきしゅつ は生命 せいめい 維持 いじ という観点 かんてん では大 おお きな影響 えいきょう はないが、幼少 ようしょう 時 じ に脾摘を受 う けると細菌 さいきん 感染 かんせん 症 しょう にかかりやすくなるなど、免疫 めんえき 能 のう が低下 ていか する可能 かのう 性 せい がある。
身体 しんたい 能力 のうりょく [ 編集 へんしゅう ]
ヒトは大 だい 部分 ぶぶん の哺乳類 ほにゅうるい とは異 こと なり、後肢 あとあし だけで立 た つ直立 ちょくりつ 姿勢 しせい が普通 ふつう の姿 すがた で、移動 いどう は主 しゅ としてこの体勢 たいせい で両足 りょうあし を交互 こうご に動 うご かす、いわゆる直立 ちょくりつ 二 に 足 そく 歩行 ほこう を行 おこな う。ゆっくり移動 いどう するのを歩 ある く 、早 はや く移動 いどう するのを走 はし る という。長距離 ちょうきょり 移動 いどう に関 かん しては能力 のうりょく が高 たか く、訓練 くんれん すれば数時間 すうじかん も走 はし り続 つづ けることができる。
前肢 ぜんし は主 しゅ としてものをつかむ、引 ひ く、押 お すなど操作 そうさ するのに使 つか われる。そのため、前肢 ぜんし の基部 きぶ の関節 かんせつ の自由 じゆう 度 ど が高 たか い。通常 つうじょう 、赤子 あかご の時期 じき を除 のぞ いて、前足 まえあし を移動 いどう に使 つか うことはない。他 た の類人猿 るいじんえん のように前 まえ かがみになっても、両手 りょうて が地面 じめん につくことはまずない。ただし、急 きゅう 傾斜地 けいしゃち や崖 がけ を登 のぼ る際 さい には両手 りょうて を使 つか うこともあるが、地面 じめん を押 お さえて体 からだ を支 ささ えるよりは何 なに かをつかんで体 からだ を引 ひ き上 あ げるのが普通 ふつう である。
ヒトの特筆 とくひつ すべき能力 のうりょく として、複雑 ふくざつ な指 ゆび の運動 うんどう や腕 うで の運動 うんどう による、道具 どうぐ の加工 かこう 、武器 ぶき の使用 しよう 、投擲 とうてき がある。手 て で物 もの をつかんで投 な げる能力 のうりょく は、一部 いちぶ のサルのみが持 も っているが、中 なか でもヒトは、個体 こたい にもよるが速度 そくど は150km/h、距離 きょり は数 すう 十 じゅう mを優 ゆう に超 こ える投擲 とうてき 能力 のうりょく を有 ゆう している。こうした能力 のうりょく は道具 どうぐ ・武具 ぶぐ の進歩 しんぽ と共 とも に相乗 そうじょう 効果 こうか 的 てき に向上 こうじょう し、生活 せいかつ に必要 ひつよう な技能 ぎのう (狩猟 しゅりょう )のほか、個体 こたい 対 たい 個体 こたい や社会 しゃかい 対 たい 社会 しゃかい の衝突 しょうとつ (喧嘩 けんか ・縄張 なわば り争 あらそ い・戦争 せんそう )、そして娯楽 ごらく 文化 ぶんか (スポーツ )などを発達 はったつ ・発展 はってん させる基礎 きそ の一端 いったん にもなっている。
ヒトの体温 たいおん 調節 ちょうせつ 能力 のうりょく [ 編集 へんしゅう ]
特 とく に高温 こうおん への適応 てきおう に卓越 たくえつ している。エクリン腺 せん を全身 ぜんしん に有 ゆう し、水分 すいぶん と電解 でんかい 質 しつ を充分 じゅうぶん 摂取 せっしゅ すれば高温 こうおん 環境 かんきょう でも激 はげ しい運動 うんどう が可能 かのう である。エクリン腺 せん による発汗 はっかん 能力 のうりょく を発達 はったつ させ、炎天下 えんてんか で長距離 ちょうきょり 疾走 しっそう できるのは哺乳 ほにゅう 動物 どうぶつ の中 なか ではヒトの他 ほか にはウマ科 か など一部 いちぶ の種 たね に限 かぎ られる。もっとも高温 こうおん への対応 たいおう を発汗 はっかん 機能 きのう に頼 たよ ったことで、高温 こうおん かつ多湿 たしつ には耐 たい 性 せい が弱 よわ い。
皮下脂肪 ひかしぼう が発達 はったつ しており低温 ていおん 環境 かんきょう にも一定 いってい の適応 てきおう 性 せい を有 ゆう しているが、ヒトは他 た の哺乳 ほにゅう 動物 どうぶつ のように体毛 たいもう での体温 たいおん 保持 ほじ はできず、低温 ていおん には衣服 いふく で対応 たいおう している部分 ぶぶん が大 おお きい。
ヒトの消化 しょうか 吸収 きゅうしゅう 能力 のうりょく [ 編集 へんしゅう ]
消化 しょうか 管 かん が短 みじか く、歯 は やあごが弱 よわ いなど消化 しょうか 吸収 きゅうしゅう 能力 のうりょく が低 ひく い。他 た の動物 どうぶつ でしばしばみられる糞 くそ 食 しょく も通常 つうじょう は行 おこな わなず、それを行 おこな う個体 こたい はむしろ異常 いじょう な性的 せいてき 嗜好 しこう を持 も っていると見 み なされる場合 ばあい がある。一般 いっぱん に食物 しょくもつ は、たとえば同 おな じ重量 じゅうりょう の肉 にく ・イモでも加熱 かねつ 調理 ちょうり によって分子 ぶんし 結合 けつごう が変化 へんか するため短時間 たんじかん で消化 しょうか 吸収 きゅうしゅう でき、摂取 せっしゅ できるカロリーが増 ふ える。ヒトはそれを行 おこな わなければ生存 せいぞん すら困難 こんなん である反面 はんめん 、消化 しょうか 吸収 きゅうしゅう で運動 うんどう 能力 のうりょく が低下 ていか する時間 じかん が短 みじか い。
また、ビタミンC を体内 たいない 合成 ごうせい できない。かなり多 おお くの塩分 えんぶん を処理 しょり できるが、海水 かいすい では生活 せいかつ できない。
動物 どうぶつ はたいてい生 う まれつき泳 およ げるが[要 よう 出典 しゅってん ] 、ヒト・ゴリラなどを含 ふく むごく一部 いちぶ の霊長 れいちょう 類 るい だけが例外 れいがい 的 てき に、学習 がくしゅう しない限 かぎ り泳 およ げない。しかし訓練 くんれん すれば20-30mの水中 すいちゅう に潜 くぐ る ことも可能 かのう であり、200mまで潜 もぐ った 記録 きろく もある[8] 。
他 た の多 おお くのほ乳類 にゅうるい と同 おな じく有性 ゆうせい 生殖 せいしょく で胎生 たいせい である。妊娠 にんしん 期間 きかん は約 やく 266日 にち 、約 やく 2 - 4kg前後 ぜんこう で生 う まれる。
新生児 しんせいじ はサル目 め としては極 きわ めて無力 むりょく な状態 じょうたい である。一般 いっぱん のサル類 るい は、生 う まれてすぐに母親 ははおや の体 からだ にしがみつく能力 のうりょく があるが、ヒトの場合 ばあい 、目 め もよく見 み えず、頭 あたま を上 あ げる(首 くび がすわる)ことすらできない状態 じょうたい である。これは直立 ちょくりつ 歩行 ほこう により骨盤 こつばん が縮小 しゅくしょう したために、より未熟 みじゅく な状態 じょうたい で出産 しゅっさん せざるを得 え なくなったためと考 かんが えられている。しかしながら、出産 しゅっさん 直後 ちょくご の新生児 しんせいじ は自分 じぶん の体 からだ を支 ささ えるだけの握力 あくりょく があることが知 し られ(数日 すうじつ で消 き える)、また、体毛 たいもう も出産 しゅっさん までは濃 こ く、その後 ご 一旦 いったん 抜 ぬ けるなど、「裸 はだか で無力 むりょく 」なヒトの乳児 にゅうじ の性質 せいしつ は二 に 次 じ 的 てき に獲得 かくとく されたとする説 せつ もある。
約 やく 2年 ねん で、次第 しだい に這 は い、立 た ち歩 ある き、言葉 ことば が操 あやつ れるようになる。栄養 えいよう の程度 ていど にもよるが、10年 ねん から20年 ねん までの間 あいだ (思春期 ししゅんき )に性的 せいてき に成熟 せいじゅく を完了 かんりょう する。体 からだ の成長 せいちょう はその前後 ぜんご に完成 かんせい する。
だいたい12歳 さい - 15歳 さい のころに生殖 せいしょく 能力 のうりょく を得 え るようになる。11歳 さい 未満 みまん で生殖 せいしょく 能力 のうりょく を得 え る個体 こたい も存在 そんざい するが、雌 めす の場合 ばあい はまだ身体 しんたい が成長 せいちょう 途中 とちゅう であるために、妊娠 にんしん には大 おお きな危険 きけん が伴 ともな う。個体 こたい が成育 せいいく する文化 ぶんか によるが、雌雄 しゆう 共 ども に15歳 さい を過 す ぎたあたりから生殖 せいしょく に対 たい し活発 かっぱつ になり、40歳 さい くらいまでは盛 さか んな時期 じき が続 つづ く。雄 ゆう の場合 ばあい 、その活動 かつどう は次第 しだい に低下 ていか していき老齢 ろうれい に達 たっ しても生殖 せいしょく 能力 のうりょく を持 も つものから50代 だい 程度 ていど で失 うしな うものがいるなど個体 こたい 差 さ がかなり大 おお きい。それに対 たい して雌 めす では通常 つうじょう 50 - 55歳 さい くらいに閉経 へいけい があり、それを期 き に生殖 せいしょく 能力 のうりょく を失 うしな う。
老化 ろうか が進 すす むと骨格 こっかく の収縮 しゅうしゅく ・筋力 きんりょく の低下 ていか ・背骨 せぼね の前 ぜん 屈 こごめ ・頭髪 とうはつ の代謝 たいしゃ 低下 ていか (一般 いっぱん に言 い う「白髪 はくはつ 」や「禿 かぶろ げ」)などの変化 へんか を生 しょう じるが、これらには個体 こたい 差 さ がある。
サル目 め の中 なか で最 もっと も多産 たさん である[要 よう 出典 しゅってん ] 。
生物 せいぶつ 学 がく 上 じょう 、一 いち 個体 こたい の雌 めす が生涯 しょうがい で産 う む子 こ の数 かず は最大 さいだい で15人 にん 前後 ぜんこう であるが、双子 ふたご 、三 み つ子 ご などの多 た 胎児 たいじ も多 おお い(ヒト以外 いがい の霊長 れいちょう 類 るい では双子 ふたご 、三 み つ子 ご は比較的 ひかくてき 珍 めずら しい)。
現在 げんざい では経済 けいざい 的 てき に恵 めぐ まれた社会 しゃかい ほど少子 しょうし 化 か する傾向 けいこう にあり、発展 はってん 途上 とじょう 国 こく や戦時 せんじ では多子 おいご 傾向 けいこう が強 つよ くなる[要 よう 出典 しゅってん ] 。工業 こうぎょう 化 か 以前 いぜん の社会 しゃかい では多産 たさん 多 た 死 し であり、母子 ぼし ともに死亡 しぼう リスクが高 たか かったが、医療 いりょう の発展 はってん 、農業 のうぎょう 技術 ぎじゅつ の進歩 しんぽ 、公衆 こうしゅう 衛生 えいせい の普及 ふきゅう などが大 おお きく影響 えいきょう し、19世紀 せいき 末 すえ 以降 いこう 、ヒトの個体 こたい 数 すう は著 いちじる しく増加 ぞうか した。( → 詳細 しょうさい は「人口 じんこう 爆発 ばくはつ 」を参照 さんしょう )
ヒトの平均 へいきん 寿命 じゅみょう ◆ 50歳 さい 未満 みまん ◆ 50歳 さい 以上 いじょう ◆ 60歳 さい 以上 いじょう ◆ 70歳 さい 以上 いじょう ◆ 75歳 さい 以上 いじょう ◆ 80歳 さい 以上 いじょう
理想 りそう 的 てき な環境 かんきょう (長生 ながい きすることに適 てき したヒトが、各種 かくしゅ の寿命 じゅみょう を縮 ちぢ める要因 よういん のない状態 じょうたい )でのヒトの最大 さいだい 寿命 じゅみょう は120歳 さい を少 すこ し超 こ える程度 ていど と想像 そうぞう される(最 もっと も長 なが く生 い きた個体 こたい の寿命 じゅみょう が122歳 さい であったことが確認 かくにん されている)。だが実際 じっさい には様々 さまざま の要因 よういん により寿命 じゅみょう はそれよりも短 みじか くなる。雌 めす の方 ほう が5年 ねん から10年 ねん 程度 ていど 平均 へいきん 寿命 じゅみょう が長 なが くなるようである。かつてヒトの平均 へいきん 寿命 じゅみょう ははるかに短 みじか く、35 - 50年 ねん 程度 ていど だった。現在 げんざい でも、栄養 えいよう 条件 じょうけん の劣悪 れつあく な環境 かんきょう 下 か (主 おも に後発 こうはつ 発展 はってん 途上 とじょう 国 こく 及 およ び未開 みかい 社会 しゃかい )では、35 - 50年 ねん 程度 ていど であることが多 おお い。
また生殖 せいしょく 可能 かのう な年齢 ねんれい を過 す ぎた後 のち の生理 せいり 的 てき 寿命 じゅみょう が非常 ひじょう に長 なが い。2013年 ねん の時点 じてん で平均 へいきん 寿命 じゅみょう が最 もっと も長 なが い国 くに である日本 にっぽん では、女性 じょせい の平均 へいきん 寿命 じゅみょう が86.61歳 さい 、男性 だんせい の平均 へいきん 寿命 じゅみょう が80.21歳 さい となっている[9] 。右 みぎ 図 ず にあるように地域 ちいき によって平均 へいきん 寿命 じゅみょう の値 ね が大 おお きく異 こと なるのは乳児 にゅうじ 死亡 しぼう 率 りつ の違 ちが いが大 おお きな原因 げんいん である( → 詳細 しょうさい は「寿命 じゅみょう (人間 にんげん の場合 ばあい ) 」を参照 さんしょう )。
生殖 せいしょく 可能 かのう 期 き 以降 いこう の寿命 じゅみょう が長 なが いことの理由 りゆう については、いくつかの説 せつ がある。たとえば、「お祖母 ばあ さんのお陰 かげ 」だという説 せつ では、母親 ははおや が自分 じぶん の経験 けいけん に基 もと づいて娘 むすめ の子育 こそだ ての手伝 てつだ いを行 おこ なうことが子育 こそだ ての成功 せいこう 率 りつ を大 おお きく上 あ げるためであろうとする( → 詳細 しょうさい は「おばあさん仮説 かせつ 」を参照 さんしょう )。
ヒトの習性 しゅうせい は、高度 こうど に発達 はったつ した知能 ちのう や集団 しゅうだん 内 ない の情報 じょうほう 伝達 でんたつ の発達 はったつ によって、それ以外 いがい のすべての動物 どうぶつ とは非常 ひじょう に異 こと なった様相 ようそう を見 み せる[要 よう 出典 しゅってん ] 。
文化 ぶんか との関連 かんれん [ 編集 へんしゅう ]
一般 いっぱん に動物 どうぶつ の行動 こうどう や習性 しゅうせい は本能 ほんのう 行動 こうどう 、学習 がくしゅう 行動 こうどう 、知能 ちのう 行動 こうどう の3つに分 わ けられる。本能 ほんのう 行動 こうどう は遺伝子 いでんし レベルで確定 かくてい され、生得 しょうとく 的 てき に身 み に付 つけ いているもので、昆虫 こんちゅう などによく発達 はったつ している。学習 がくしゅう 行動 こうどう は、それぞれの個体 こたい が経験 けいけん によって後天的 こうてんてき に身 み に付 つ けるものである。知能 ちのう 行動 こうどう は、これに似 に るが、そのような学習 がくしゅう を基礎 きそ に、初 はじ めての状況 じょうきょう 下 か で、推測 すいそく などの判断 はんだん をもとに行 おこな われるものである。人 ひと においては、本能 ほんのう 行動 こうどう はほとんど見 み られず、学習 がくしゅう 行動 こうどう と知能 ちのう 行動 こうどう が発達 はったつ していると言 い える。
しかしながら、現実 げんじつ の人 ひと の行動 こうどう がそれらによるものであるかと言 い えば、必 かなら ずしもそうではない。日常 にちじょう に見 み られる行動 こうどう の多 おお くは、個人 こじん が経験 けいけん で獲得 かくとく したものでも、推測 すいそく などによって判断 はんだん したものでもなく、その個体 こたい の属 ぞく する集団 しゅうだん に伝統 でんとう 的 てき に継承 けいしょう されたものである。各々 おのおの の個体 こたい は、親 おや や周囲 しゅうい の他 た 個体 こたい から見習 みなら う、あるいは積極 せっきょく 的 てき に指示 しじ されることで行動 こうどう を身 み に付 つ ける。これを何 なん と呼 よ ぶかは難 むずか しいが、広 ひろ い意味 いみ での「文化 ぶんか 」という語 かたり をこれに当 あ てる考 かんが えもある。通常 つうじょう は文化 ぶんか と言 い えば、言語 げんご や芸術 げいじゅつ 、技術 ぎじゅつ 、あるいは社会 しゃかい 的 てき なものなどを指 さ すが、その発達 はったつ や伝達 でんたつ の形式 けいしき だけを取 と れば、共通 きょうつう するものである。
このような広 ひろ い意味 いみ で文化 ぶんか を考 かんが えれば、サルなどの動物 どうぶつ にもその片鱗 へんりん が見 み られる。しかし、人 ひと の場合 ばあい には、他 た の動物 どうぶつ に比 ひ すれば、文化 ぶんか 的 てき に決定 けってい される部分 ぶぶん が非常 ひじょう に大 おお きい。その内容 ないよう は地理 ちり 的 てき にまとまった集団 しゅうだん によってある程度 ていど までは共通 きょうつう する。このまとまりを民族 みんぞく というが、その中 なか にさらに多少 たしょう とも異質 いしつ な小 しょう 集団 しゅうだん が見 み られることも多 おお い。また、歴史 れきし 的 てき 経過 けいか の中 なか で、いくつもの民族 みんぞく が入 い り乱 みだ れた状態 じょうたい で一 ひと つの大 おお きな社会 しゃかい を形成 けいせい する場合 ばあい もあり、その様相 ようそう はこれまた多彩 たさい である。しかし、いずれにせよ、文化 ぶんか はその民族 みんぞく ごとに多少 たしょう とも固有 こゆう であり、情報 じょうほう や意思 いし の伝達 でんたつ に使 つか われる言語 げんご や身振 みぶ り手振 てぶ りまでもが異 こと なるので、意志 いし 疎通 そつう すら困難 こんなん な場合 ばあい もある。その関 かか わりがあまりに深 ふか く、多岐 たき にわたるため、どこまでが文化 ぶんか の影響 えいきょう であるかを判断 はんだん するのが困難 こんなん な場合 ばあい が多 おお い。いわゆるジェンダー 論 ろん などはその例 れい である。
しかし一方 いっぽう で、文化 ぶんか の違 ちが いの多 おお くは程度 ていど 的 てき 、表面 ひょうめん 的 てき なものか[注 ちゅう 2] 、もしくは自 じ 集団 しゅうだん (われわれ)と、他 た の集団 しゅうだん (やつら)との差異 さい を強調 きょうちょう し[注 ちゅう 3] 、前者 ぜんしゃ の優越 ゆうえつ を誇 ほこ り、結束 けっそく を固 かた めるためのプロパガンダ的 てき なものでもあり[注 ちゅう 4] 、一段 いちだん 深 ふか いレベルで人 ひと の社会 しゃかい を見 み た場合 ばあい 、全体 ぜんたい に共通 きょうつう する非常 ひじょう にはっきりとした普遍 ふへん 特性 とくせい が浮 う かび上 あ がってくる。ヒューマン・ユニバーサル も参照 さんしょう 。
以下 いか 、人 ひと の習性 しゅうせい に関 かん する大 おお まかな項目 こうもく を説明 せつめい するにあたり、文化 ぶんか の違 ちが いによって異 こと なる部分 ぶぶん に触 ふ れない程度 ていど にまとめる。
植物 しょくぶつ の葉 は や茎 くき 、根 ね 、種子 しゅし 、果実 かじつ などの植物 しょくぶつ 食 しょく 、陸上 りくじょう 脊椎動物 せきついどうぶつ 、無 む 脊椎動物 せきついどうぶつ 、魚類 ぎょるい などの肉食 にくしょく と非常 ひじょう に幅広 はばひろ い食 しょく 性 せい を有 ゆう する雑食 ざっしょく 性 せい である。多 おお くのサル類 るい に見 み られるような昆虫 こんちゅう などの小 しょう 動物 どうぶつ の捕獲 ほかく のみならず、それに加 くわ えてより大型 おおがた の哺乳類 ほにゅうるい や鳥類 ちょうるい を集団 しゅうだん で狩 か りをすることによって捕獲 ほかく する狩猟 しゅりょう 、魚介 ぎょかい 類 るい や海洋 かいよう 哺乳類 ほにゅうるい を利用 りよう する漁 りょう 、自 みずか ら動物 どうぶつ を飼育 しいく して利用 りよう する畜産 ちくさん など、動物 どうぶつ 性 せい の食料 しょくりょう の利用 りよう はサル類 るい の中 なか では抜 ぬ きん出 で ている。これは、高 たか い知能 ちのう や文化 ぶんか 的 てき な情報 じょうほう の蓄積 ちくせき によるところが大 おお きい。
一般 いっぱん 的 てき 傾向 けいこう として、脂肪 しぼう とタンパク質 たんぱくしつ の豊富 ほうふ な肉 にく 、糖 とう 質 しつ を多 おお く含 ふく んだ甘 あま いものを好 この む。肉 にく への嗜好 しこう に対 たい しては、これが大脳 だいのう の発達 はったつ を促 うなが したという説 せつ もある。また糖分 とうぶん を多 おお く含 ふく んだ甘 あま いものへの嗜好 しこう は、ホモ・サピエンスの祖先 そせん が果実 かじつ 食 しょく を多 おお く行 い っていた事 こと の継承 けいしょう とする説 せつ もある。食物 しょくもつ にはしばしば塩 しお 味 あじ の付加 ふか が行 おこな われるが、これはヒトの発汗 はっかん 機能 きのう が他 た の動物 どうぶつ に比 くら べて非常 ひじょう によく発達 はったつ しており、大量 たいりょう の塩分 えんぶん の摂取 せっしゅ を必要 ひつよう としているからである。菌類 きんるい 食 しょく の習慣 しゅうかん も広範 こうはん にみられ、東 ひがし アジアを中心 ちゅうしん に藻類 そうるい を好 この んで摂取 せっしゅ する地域 ちいき もある。肉食 にくしょく では、陸上 りくじょう 脊椎動物 せきついどうぶつ と魚類 ぎょるい (海水 かいすい 魚 ぎょ と淡水魚 たんすいぎょ )の摂取 せっしゅ が最 もっと も一般 いっぱん 的 てき だが、沿海 えんかい 部 ぶ や島嶼 とうしょ に居住 きょじゅう する個体 こたい には海産 かいさん の軟体動物 なんたいどうぶつ (貝 かい や頭 あたま 足 あし 類 るい )や甲殻 こうかく 類 るい も好 この まれる。昆虫 こんちゅう 食 しょく についてはかつてかなり広 ひろ い範囲 はんい でみられたものの、現在 げんざい は一部 いちぶ の地域 ちいき をのぞいて一般 いっぱん 的 てき なものではなくなっているが、近年 きんねん の人類 じんるい 急増 きゅうぞう が起因 きいん となる世界 せかい 規模 きぼ の農作物 のうさくもつ の栄養分 えいようぶん 低下 ていか を受 う けて、タンパク源 げん の豊富 ほうふ な昆虫 こんちゅう 食 しょく の価値 かち が見直 みなお され始 はじ めている。
正確 せいかく な年代 ねんだい は諸説 しょせつ あるが、最終 さいしゅう 氷 ごおり 期 き ごろから、野生 やせい のものを採 と るのではなく、食料 しょくりょう を自 みずか ら育 そだ てること、つまり農耕 のうこう や牧畜 ぼくちく が多 おお くの地域 ちいき で行 おこな われるようになり、各地 かくち で地域 ちいき に合 あ ったさまざまな形 かたち の農業 のうぎょう が発達 はったつ した。現在 げんざい では、食料 しょくりょう は大 だい 部分 ぶぶん がこれで賄 まかな われている。なお、牧畜 ぼくちく の発達 はったつ によって、ヒトはヒト以外 いがい の哺乳 ほにゅう 動物 どうぶつ の乳 ちち を食物 しょくもつ とするようになった。
また、調理 ちょうり の技術 ぎじゅつ は当初 とうしょ においては摂食 せっしょく 可能 かのう な対象 たいしょう の範囲 はんい を大 おお きく広 ひろ げた。例 たと えばヒトは結晶 けっしょう 状態 じょうたい のデンプン を消化 しょうか できないが、加熱 かねつ 調理 ちょうり によって結晶 けっしょう を破壊 はかい し、小麦 こむぎ や米 べい などの自然 しぜん 状態 じょうたい では摂取 せっしゅ 不可能 ふかのう なものも摂取 せっしゅ 可能 かのう にした。後 のち には、単 たん なる食料 しょくりょう ではなく料理 りょうり という文化 ぶんか を産 う んだ。
動物 どうぶつ としては極 きわ めて特殊 とくしゅ な食 しょく 性 せい として、エタノール を好 この むことも挙 あ げられる。エタノールはカロリー源 げん として優 すぐ れているものの、同時 どうじ に強 つよ い毒性 どくせい を示 しめ し、中枢 ちゅうすう 神経 しんけい を麻痺 まひ させる作用 さよう (酔 よ い )があるが、ヒトはむしろこの麻痺 まひ を快感 かいかん として受 う け入 い れてきた。もっとも、エタノールの嗜好 しこう には個体 こたい 差 さ が大 おお きく、あまり好 この まない個体 こたい や、嫌悪 けんお を示 しめ す個体 こたい もかなり多 おお い。また東 ひがし アジア系 けい のヒトの中 なか には、遺伝 いでん 的 てき にアセトアルデヒド 分解 ぶんかい 酵素 こうそ を持 も たず、エタノールを摂取 せっしゅ できない個体 こたい もいる。
一方 いっぽう で、個体 こたい が置 お かれた環境 かんきょう によって、あるいは個体 こたい の属 ぞく する集団 しゅうだん の主体 しゅたい 的 てき 選択 せんたく により、摂取 せっしゅ する食物 しょくもつ を制限 せいげん する(される)場合 ばあい も見 み られる。一 いち 例 れい として北極 ほっきょく 地帯 ちたい に生息 せいそく するヒトは、魚介 ぎょかい 類 るい や海洋 かいよう 哺乳類 ほにゅうるい などの肉食 にくしょく が中心 ちゅうしん であり、植物 しょくぶつ を摂取 せっしゅ することはまれである(植物 しょくぶつ を摂取 せっしゅ できる環境 かんきょう にない)。主体 しゅたい 的 てき 選択 せんたく による食物 しょくもつ の制限 せいげん としては、倫理 りんり 的 てき 理由 りゆう から肉食 にくしょく を忌避 きひ し植物 しょくぶつ 食 しょく のみを選択 せんたく するヒトが少 すく なくない。また、宗教 しゅうきょう や文化 ぶんか 集団 しゅうだん によっては特定 とくてい 種 しゅ の動物 どうぶつ の肉 にく のみを禁忌 きんき とする場合 ばあい がある。一方 いっぽう で環境 かんきょう やその個体 こたい の所属 しょぞく する集団 しゅうだん とは関係 かんけい なく、その個体 こたい のみの嗜好 しこう によって摂取 せっしゅ する食物 しょくもつ を制限 せいげん する例 れい も見 み られるが、これは偏食 へんしょく と呼 よ ばれており、しばしばヒトの所属 しょぞく する集団 しゅうだん の規範 きはん を外 はず れた行動 こうどう だとみなされる。
嗜好 しこう 品 ひん としてカロリー などの必須 ひっす 栄養素 えいようそ 上 じょう 、必 かなら ずしも利点 りてん がないものを好 この む個体 こたい も居 い る。コーヒー や茶 ちゃ 、タバコ などが挙 あ げられる。
住居 じゅうきょ の使用 しよう [ 編集 へんしゅう ]
ヒトは古 ふる くよりそれなりの巣 す をつくっていたようである。洞窟 どうくつ の入 い り口 くち 付近 ふきん を生活 せいかつ の場 ば にしていた例 れい は、北京 ぺきん 原人 げんじん などに見 み られ、長期 ちょうき にわたってたき火 び を維持 いじ していた様子 ようす も見 み られる。その他 た 、動物 どうぶつ の骨 ほね や皮 かわ で作 つく られたテント 様 よう の住居 じゅうきょ なども知 し られている。いずれにせよ、何 なん らかの屋根 やね のある部屋 へや を作 つく るなり、既存 きそん のものを利用 りよう するなりしていたようである。これがいわゆる家 いえ 、住居 じゅうきょ の始 はじ まりになるものと思 おも われる。ただ、巣 す を作 つく る習性 しゅうせい は他 た の動物 どうぶつ にも見 み られるため、ヒト特有 とくゆう のものではない。ヒトの作 つく る巣 す (住居 じゅうきょ )において特徴 とくちょう 的 てき なのは、その生息 せいそく 分布 ぶんぷ が非常 ひじょう に広 ひろ いことによって、それぞれの生息 せいそく 地域 ちいき の環境 かんきょう に即 そく した、さまざまな種類 しゅるい の住居 じゅうきょ を作 つく ることである。他 た の動物 どうぶつ に比 くら べて極 きわ めて高度 こうど な構造 こうぞう の住居 じゅうきょ を作 つく ることや、住居 じゅうきょ を作 つく る技術 ぎじゅつ が逐次 ちくじ 発展 はってん 改良 かいりょう されていることも特徴 とくちょう と言 い えるが、これはヒトの知能 ちのう の高 たか さや、ヒトが道具 どうぐ を使 つか うことに由来 ゆらい するものであり、このような特徴 とくちょう は住居 じゅうきょ 以外 いがい にも見 み られる。むしろ、ヒト以外 いがい の動物 どうぶつ は自 みずか らの住 す むところ以外 いがい には構造 こうぞう 物 ぶつ をほとんど作 つく らないが、ヒトは住居 じゅうきょ に限 かぎ らず多種 たしゅ 多様 たよう な人工 じんこう 構造 こうぞう 物 ぶつ を作 つく ることが特徴 とくちょう といえる。
体 からだ を何 なに かで覆 おお うことは、ほとんどの生息 せいそく 域 いき のヒトにおいて行 おこな われる。いわゆる衣服 いふく である。これを、ヒトの体 からだ が毛 け で覆 おお われていないことから発達 はったつ したと見 み るか、衣服 いふく の発達 はったつ によって毛 け がなくなったと見 み るかは、判断 はんだん が分 わ かれる。しかし、それがかなり古 ふる い時代 じだい に遡 さかのぼ ることは、衣服 いふく に付 つ くシラミ がコロモジラミ として頭髪 とうはつ に付 つ くアタマジラミ との間 あいだ に亜種 あしゅ のレベルでの種 たね 分化 ぶんか を生 しょう じていることからも想像 そうぞう される。
気温 きおん に応 おう じて纏 まと う衣服 いふく を変更 へんこう する事 こと により、体温 たいおん を調節 ちょうせつ する習性 しゅうせい を持 も ち、これと発達 はったつ した発汗 はっかん 機能 きのう 、温度 おんど の安定 あんてい した住居 じゅうきょ が合 あ わさって一 いち 年 ねん 中 ちゅう の活動 かつどう や幅広 はばひろ い気候 きこう への適応 てきおう を可能 かのう としている。
古代 こだい においては動物 どうぶつ の毛皮 けがわ や植物 しょくぶつ をそのまま、あるいは軽度 けいど の加工 かこう を施 ほどこ して纏 まと っていたが、繊維 せんい の生産 せいさん と加工 かこう を行 おこな うようになり布 ぬの 素材 そざい のものに移行 いこう していった。
体 からだ に着用 ちゃくよう するものには、体 からだ の保護 ほご を目的 もくてき とするものと、装飾 そうしょく を目的 もくてき にするものとがあるが、両方 りょうほう を兼 か ねる場合 ばあい も多 おお い。体 からだ の保護 ほご を目的 もくてき とするものとしては、まず腰 こし 回 まわ りに着用 ちゃくよう し、生殖 せいしょく 器 き を隠 かく すものが最低限 さいていげん であるようである。装飾 そうしょく にはさまざまなものがあるが、手首 てくび や首 くび など、細 ほそ いところに巻 ま くものがよく見 み られる。装飾 そうしょく 目的 もくてき としては、体 からだ に直接 ちょくせつ 、文字 もじ や絵 え を描 えが き込 こ んだり(入 い れ墨 ずみ )穴 あな をあける(ピアス )などの加工 かこう も多 おお くの民族 みんぞく に見 み られる。また、頭髪 とうはつ の上 うえ に何 なに かを突出 とっしゅつ させる形 かたち の装飾 そうしょく は、非常 ひじょう に多 おお くの民族 みんぞく に見 み られる。
ごく稀 まれ にであるが、裸族 らぞく と呼 よ ばれる何 なに も身 み に付 つ けない習慣 しゅうかん を持 も つヒトの集団 しゅうだん が存在 そんざい するが、全 まった く何 なに 一 ひと つ着用 ちゃくよう しない例 れい はまずない。生殖 せいしょく 器 き を隠 かく す事 こと は最低限 さいていげん であるため、裸族 らぞく に属 ぞく するヒトであっても、オスはペニスケース を装着 そうちゃく している場合 ばあい が多 おお い。またヌーディスト と呼 よ ばれる、衣類 いるい を全 まった く身 み に付 つ けないヒトも存在 そんざい するが、それらのヒトが衣類 いるい を身 み に付 つ けないのは、それが許 ゆる される特定 とくてい エリア・特定 とくてい 時期 じき にのみ限 かぎ られている。
また、衣服 いふく の着用 ちゃくよう が常時 じょうじ となったヒトは、衣服 いふく を着用 ちゃくよう せず、自 みずか らの身体 しんたい を他 た の個体 こたい にさらすことに嫌悪 けんお 感 かん を持 も つ(羞恥 しゅうち )という習性 しゅうせい (文化 ぶんか )を持 も つようになった。生殖 せいしょく 器 き および臀部 でんぶ をさらすことに対 たい しての嫌悪 けんお 感 かん は多 おお くのヒトで共通 きょうつう しているが、それ以外 いがい のどこをさらすことに嫌悪 けんお 感 かん を持 も つかについては地域 ちいき 差 さ が大 おお きい。また、さらす側 がわ の個体 こたい のみならず、さらされる側 がわ の個体 こたい も嫌悪 けんお 感 かん を持 も つため、多 おお くのヒトの社会 しゃかい では、身体 しんたい の特定 とくてい 部位 ぶい を必 かなら ず衣服 いふく で覆 おお うことを義務 ぎむ づける規範 きはん を持 も つに至 いた った。一方 いっぽう でヒトは、そのような規範 きはん をあえて破 やぶ り、身体 しんたい をさらすことに快感 かいかん を覚 おぼ える個体 こたい も存在 そんざい する(自 みずか らさらす場合 ばあい と、他 た の個体 こたい にさらさせてそれを見 み る場合 ばあい とがある)。特 とく に普段 ふだん は衣服 いふく によって隠 かく されている生殖 せいしょく 器 き は、交尾 こうび 時 とき には必 かなら ずさらす必要 ひつよう があるため、脱衣 だつい 行為 こうい の解放 かいほう 感 かん と快感 かいかん は性的 せいてき 興奮 こうふん と密接 みっせつ に結 むす びついており、そのため近代 きんだい 社会 しゃかい での性 せい 風俗 ふうぞく 文化 ぶんか (ストリップティーズ やポルノグラフィ など)の発展 はってん にもつながっていった。
上記 じょうき のようなものを含 ふく めて、生活 せいかつ のためにさまざまなものを加工 かこう して利用 りよう する、広 ひろ く言 い えば道具 どうぐ を使 つか うことが、ヒトの特徴 とくちょう のひとつでもある。ヒト以外 いがい で道具 どうぐ を用 もち いる動物 どうぶつ は、一部 いちぶ のサルやラッコ などわずかな例 れい に留 と まる。
道具 どうぐ を作 つく るための道具 どうぐ 、いわゆる二 に 次 じ 的 てき 道具 どうぐ の使用 しよう は、ヒトだけに限 かぎ られている。また、闘争 とうそう のための道具 どうぐ (武具 ぶぐ や武器 ぶき )を作 つく り使用 しよう するのもヒトに限 かぎ られたことである。
火 ひ の使用 しよう も、ヒトの文化 ぶんか の発達 はったつ を支 ささ える重要 じゅうよう な要素 ようそ である。が、なぜヒトだけが火 ひ に近付 ちかづ き、使 つか うことを覚 おぼ えたのかについては諸説 しょせつ ある。
口 くち と手 て 連合 れんごう 仮説 かせつ では、道具 どうぐ ・食料 しょくりょう を持 も ち運 はこ ぶために、両手 りょうて にモノを持 も ちながら歩 ある くことのできる、直立 ちょくりつ 二 に 足 そく 歩行 ほこう に至 いた ったと考 かんが えられている[11] 。
一般 いっぱん には集団 しゅうだん を作 つく って生活 せいかつ している。雌雄 しゆう 成体 せいたい と子供 こども からなる集団 しゅうだん (家族 かぞく )を構成 こうせい 単位 たんい とし、それが集 あつ まった集団 しゅうだん を構成 こうせい するのが基本 きほん だが、必 かなら ずしもこの形 かたち になるとは限 かぎ らない。集団 しゅうだん (社会 しゃかい )の構造 こうぞう にもさまざまなものがある。基本 きほん 的 てき に、ホモ・サピエンスの社会 しゃかい では成熟 せいじゅく したオスが成熟 せいじゅく したメス、非 ひ 成熟 せいじゅく 個体 こたい (子供 こども )に対 たい して優越 ゆうえつ し、場合 ばあい によってはそれらの個体 こたい への干渉 かんしょう 権 けん や支配 しはい 権 けん を持 も つことがある(「亭主関白 ていしゅかんぱく 」などと呼 よ ばれる)。とりわけ公的 こうてき な決定 けってい の場 ば では、成熟 せいじゅく したオスの優位 ゆうい は非常 ひじょう に強 つよ く、かつ明白 めいはく である。逆 ぎゃく に家庭 かてい 内 ない など、非 ひ 公的 こうてき な場 ば では、成熟 せいじゅく したオスの権威 けんい の優越 ゆうえつ 性 せい は弱 よわ まり、不明瞭 ふめいりょう となるか、時 とき にメス優位 ゆうい の事例 じれい も出 で てくる。非 ひ 成熟 せいじゅく 個体 こたい やメスに対 たい しては、劣位 れつい の代償 だいしょう として、成熟 せいじゅく したオス個体 こたい からの恩恵 おんけい 的 てき な『庇護 ひご 』が一定 いってい 程度 ていど 与 あた えられる。
家系 かけい の継承 けいしょう 理念 りねん については、父系 ふけい と母系 ぼけい 、双 そう 系 けい の三 さん 種類 しゅるい があるが、ホモ・サピエンスのさまざまな社会 しゃかい における家系 かけい 理念 りねん を見 み ると父系 ふけい が一番 いちばん 多 おお く、母系 ぼけい や双 そう 系 けい はやや少 すく ない。ただし、父系 ふけい 継承 けいしょう の社会 しゃかい であれ、母系 ぼけい 継承 けいしょう の社会 しゃかい であれ、もう一方 いっぽう の系統 けいとう で自分 じぶん と血縁 けつえん のある個体 こたい に対 たい しても近 きん 縁 えん 個体 こたい としての情 じょう を抱 いだ くのが通常 つうじょう であり[注 ちゅう 5] 、実際 じっさい はすべての社会 しゃかい において、ホモ・サピエンスは、双 そう 系 けい 的 てき な親族 しんぞく 意識 いしき を持 も つといえる。
ホモ・サピエンスは、自分 じぶん と遺伝 いでん 的 てき につながりの強 つよ い個体 こたい や、遺伝 いでん 的 てき な利益 りえき を共有 きょうゆう する配偶 はいぐう 者 しゃ に対 たい して、そのようなつながりのない個体 こたい よりも、条件 じょうけん が同等 どうとう のときは、より強 つよ い配慮 はいりょ を示 しめ す傾向 けいこう がある。(もっとも、これはヒトのみならず群 む れを持 も つ哺乳類 ほにゅうるい では珍 めずら しくない性質 せいしつ である。)
情報 じょうほう 伝達 でんたつ [ 編集 へんしゅう ]
ヒトの集団 しゅうだん 内 ない における情報 じょうほう 伝達 でんたつ は、身振 みぶ り手振 てぶ りや表情 ひょうじょう によるものと、言語 げんご を介 かい したものがある。
集団 しゅうだん 内 ない の個体 こたい 間 あいだ の伝達 でんたつ 方式 ほうしき として言語 げんご を用 もち いるのは、ヒトの重要 じゅうよう な特徴 とくちょう である。サルやクジラ では多彩 たさい な発音 はつおん を用 もち いて意思 いし 疎通 そつう を行 おこな う例 れい も知 し られるが、これが言語 げんご と呼 よ べるものなのかは定説 ていせつ を見 み ていない(否定 ひてい 的 てき な説 せつ が多 おお い)。
ヒトは、所属 しょぞく する集団 しゅうだん ごとにそれぞれ異 こと なる言葉 ことば を用 もち いる。逆 ぎゃく に使 つか っている言葉 ことば がヒトの集団 しゅうだん の区別 くべつ の指標 しひょう となる事 こと も多 おお い。例 たと えば、身体 しんたい 的 てき 、その他 た の差異 さい がほとんどないヒトの集団 しゅうだん が、その使 つか っている言葉 ことば を単位 たんい として、別 べつ 集団 しゅうだん (民族 みんぞく )として扱 あつか われる例 れい もある。また、異 こと なる言葉 ことば を用 もち いるヒトの集団 しゅうだん (民族 みんぞく )が集 あつ まって、大 おお きな集団 しゅうだん (国家 こっか )を作 つく る際 さい に、その大 おお きな集団 しゅうだん の中 なか でどの言葉 ことば を使 つか うかを決定 けってい する場合 ばあい も多 おお い。
集団 しゅうだん ごとの異 こと なる言葉 ことば について、その差異 さい の度合 どあ いは様々 さまざま である。差異 さい が非常 ひじょう に大 おお きい場合 ばあい は、言葉 ことば による情報 じょうほう 伝達 でんたつ は完全 かんぜん に不可能 ふかのう となる。異 こと なる言葉 ことば でも差異 さい が非常 ひじょう に小 ちい さい場合 ばあい は、情報 じょうほう 伝達 でんたつ にほとんど支障 ししょう が無 な い場合 ばあい もある。集団 しゅうだん によっては、オスとメスとで異 こと なる言語 げんご (男性 だんせい 語 ご ・女性 じょせい 語 ご )を使 つか う場合 ばあい すらあるが、これも差異 さい が小 ちい さい例 れい であり、オス・メス間 あいだ の情報 じょうほう 伝達 でんたつ は問題 もんだい 無 な く行 おこな える。
これまで世界 せかい のヒトの集団 しゅうだん において、何 なん らかの言語 げんご を使用 しよう していなかった例 れい は皆無 かいむ である。集団 しゅうだん を作 つく る事 こと 、その集団 しゅうだん 内 ない で言葉 ことば を使 つか って情報 じょうほう 伝達 でんたつ する事 こと は、ヒトの欠 か くべからざる特徴 とくちょう である。
言語 げんご は単 たん に情報 じょうほう 伝達 でんたつ のしくみであるだけでなく、楽 たの しみ(文学 ぶんがく など)としても、思考 しこう の道具 どうぐ としても用 もち いられた。また、言語 げんご 化 か された情報 じょうほう を何 なん らかの形 かたち で保存 ほぞん し、(口伝 くでん ・文字 もじ 等 ひとし )、それによりヒトは集団 しゅうだん としての歴史 れきし を維持 いじ している。
生活 せいかつ 環境 かんきょう [ 編集 へんしゅう ]
ヒトは、環境 かんきょう を作 つく り替 か える動物 どうぶつ であると言 い われる。これは、特 とく に現代 げんだい 文明 ぶんめい に強 つよ く見 み られることで、必 かなら ずしもヒト一般 いっぱん に適用 てきよう できるとは思 おも えないが、しかしながら、一定 いってい の住居 じゅうきょ をもつ民族 みんぞく は、その周囲 しゅうい を少 すく なからず空 あ き地 ち にすることが多 おお い。農業 のうぎょう を行 おこな う場合 ばあい は、さらに広 ひろ い区域 くいき を加工 かこう する。また、作物 さくもつ や家畜 かちく など、人為 じんい 的 てき に特定 とくてい の生物 せいぶつ を維持 いじ し、その天敵 てんてき を攻撃 こうげき することも多 おお い。その他 た にも、ヒトの生活 せいかつ の場 ば には、その住居 じゅうきょ を使用 しよう する生物 せいぶつ (ツバメ など)、ヒトの食物 しょくもつ の食 た べ残 のこ しなどを食料 しょくりょう とする動物 どうぶつ (ゴキブリ など)、吸血 きゅうけつ 性 せい の昆虫 こんちゅう (ノミ など)、雑草 ざっそう などさまざまな特有 とくゆう の生物 せいぶつ が集 あつ まっている。それらをまとめて人間 にんげん 生態 せいたい 系 けい ということがある。
一方 いっぽう でヒトが環境 かんきょう を作 つく り替 か えることにより、従来 じゅうらい その環境 かんきょう に生息 せいそく していた動植物 どうしょくぶつ が駆逐 くちく されるということが頻発 ひんぱつ している。その過程 かてい で多 おお くの動植物 どうしょくぶつ が絶滅 ぜつめつ している。特定 とくてい の動植物 どうしょくぶつ が他 た の動植物 どうしょくぶつ を駆逐 くちく し、絶滅 ぜつめつ に追 お いやる例 れい はヒト以外 いがい でも見 み られるが、ヒトによって絶滅 ぜつめつ させられた動植物 どうしょくぶつ の種類 しゅるい はそれらより桁外 けたはず れに多 おお い[要 よう 出典 しゅってん ] 。またヒトが環境 かんきょう を作 つく り替 か えることにより、 ヒト自 みずか らにとっても生息 せいそく 困難 こんなん な環境 かんきょう へと変化 へんか する場合 ばあい もしばしば見 み られる。例 たと えばチグリス川 がわ とユーフラテス川 がわ の間 あいだ の沖積 ちゅうせき 平野 へいや は、ヒトが環境 かんきょう を作 つく り替 か えた最古 さいこ の地域 ちいき であるが、それによりヒトにとってあまり好 この ましい環境 かんきょう とは言 い えない砂漠 さばく 状態 じょうたい へと変化 へんか し、ヒトの生息 せいそく 数 すう が減少 げんしょう した。
生殖 せいしょく と子育 こそだ て[ 編集 へんしゅう ]
規範 きはん 的 てき 配偶 はいぐう [ 編集 へんしゅう ]
ヒトの性的 せいてき 活動 かつどう は非常 ひじょう に活発 かっぱつ である。ほとんど年間 ねんかん を通 つう じて性交 せいこう が行 おこな われ、他 た の動物 どうぶつ とは異 こと なり出産 しゅっさん 期 き も定 さだ まっていない。
ホモ・サピエンスのオスは、一般 いっぱん にメスに比 ひ して強 つよ い性的 せいてき 嫉妬 しっと 心 しん を持 も ち、ペアとなるメスと他 た のオスとの交尾 こうび により、メスへの性的 せいてき 支配 しはい 権 けん が犯 おか されることに敏感 びんかん である。これは後 あと で述 の べるように、ホモ・サピエンスの生殖 せいしょく や子育 こそだ てにおける規範 きはん の形成 けいせい に大 おお きく関係 かんけい している。
ホモ・サピエンスのオスが性的 せいてき 魅力 みりょく のあるメスを選 えら ぶ基準 きじゅん は文化 ぶんか により、時代 じだい により、個人 こじん により多様 たよう であるが、各 かく 個人 こじん の平均 へいきん を取 と れば普遍 ふへん 性 せい のある枠 わく 内 ない に従 したが っている。一般 いっぱん に、乳房 ちぶさ の発達 はったつ が一定 いってい 水準 すいじゅん を超 こ え、かつ腰 こし よりも尻 しり のふくらみが顕著 けんちょ なメスを、性的 せいてき 魅力 みりょく のあるメスとして好 この む傾向 けいこう がある。これは二 に 足 そく 歩行 ほこう により他 た の個体 こたい が女性 じょせい 生殖 せいしょく 器 き を目 め 視 し しにくくなった結果 けっか 、代替 だいたい 的 てき にセックスアピール法 ほう として進化 しんか したと考 かんが えられている。
雌雄 しゆう 個体 こたい 間 あいだ での性交 せいこう による受精 じゅせい の確 かく 率 りつ は必 かなら ずしも高 たか くはなく、同一 どういつ のペアの間 あいだ で何 なん 度 ど も繰 く り返 かえ されるのが普通 ふつう である。そのためホモ・サピエンスのセックスは、単 たん なる受精 じゅせい のみを目的 もくてき とするのではなく、性的 せいてき 快感 かいかん を通 つう じて互 たが いの親 した しみを増 ま すはたらきも重要 じゅうよう な目的 もくてき として持 も つように進化 しんか したと一般 いっぱん 的 てき には考 かんが えられる[18] 。現代 げんだい においては器具 きぐ や薬剤 やくざい を用 もち いた避妊 ひにん により、明確 めいかく に生殖 せいしょく と切 き り離 はな され快楽 かいらく のみを目的 もくてき とした性交 せいこう も多 おお く行 おこな われる。特定 とくてい の雌雄 しゆう ペアは一定 いってい 期間 きかん 持続 じぞく するが、どの程度 ていど 続 つづ くかにはさまざまな場合 ばあい がある。
そのような関係 かんけい が一定 いってい の形式 けいしき で維持 いじ されることを婚姻 こんいん や結婚 けっこん と言 い うが、集団 しゅうだん の中 なか で公的 こうてき に認 みと められるために、それぞれの文化 ぶんか において、さまざまな形 かたち の儀礼 ぎれい がある。しばしば、同性 どうせい 個体 こたい 間 あいだ (同性愛 どうせいあい )においてもこのような関係 かんけい が見 み られるが、多 おお くの文化 ぶんか において雌雄 しゆう 個体 こたい 間 あいだ におけるそれとは、異 こと なる扱 あつか いを受 う ける。
しかし、これにもさまざまな例外 れいがい があり、ペア同士 どうし の同意 どうい により相手 あいて を特定 とくてい しないとするオープンマリッジ 、民族 みんぞく 的 てき な違 ちが い(複 ふく 婚 こん ・重婚 じゅうこん )、または売春 ばいしゅん が見 み られるのも通例 つうれい である。
動物 どうぶつ における社会 しゃかい の構成 こうせい は、その動物 どうぶつ の生殖 せいしょく にかかわる性 せい のあり方 かた に大 おお きく影響 えいきょう されるから、ヒトの場合 ばあい に、本来 ほんらい はどのような配偶 はいぐう 関係 かんけい であったのかを論 ろん じるものは多 おお い。現実 げんじつ の様々 さまざま なヒトの社会 しゃかい を見 み れば、一夫一婦 いっぷいっぷ 制 せい 、同性 どうせい 結婚 けっこん 、一夫多妻 いっぷたさい 制 せい 、一 いち 妻 つま 多 た 夫 おっと 制 せい 、多 た 夫 おっと 多妻 たさい 制 せい 、そしてわずかながら乱婚 らんこん やハレム (英語 えいご 版 ばん ) のいずれも、その実例 じつれい がある。しかしヒトはボノボ ほど乱婚 らんこん ではないし、ゴリラ ほどハレム制 せい が一般 いっぱん 的 てき に見 み られるわけでもない。また、同 どう 一 いち 社会 しゃかい でもその階層 かいそう などによって異 こと なる形 かたち が見 み られることも珍 めずら しくない。
一般 いっぱん 的 てき にいえば、ホモ・サピエンスのオス・メスの性的 せいてき 結合 けつごう は、オス・メスが一対一 いちたいいち で結合 けつごう する一夫一妻 いっぷいっさい 制 せい を基本 きほん としており、この形 かたち をとる個体 こたい がほとんどである。しかし、ホモ・サピエンスのオスには多 おお くのメスと交尾 こうび したいという欲求 よっきゅう を表 あらわ す傾向 けいこう があり、またホモ・サピエンスの社会 しゃかい は基本 きほん 的 てき にオス優位 ゆうい [19] であるため、オスの性的 せいてき 欲求 よっきゅう に対 たい してはメスのそれよりかなりの程度 ていど 寛大 かんだい である傾向 けいこう がある。それにもかかわらず、ホモ・サピエンスの社会 しゃかい において一夫一妻 いっぷいっさい 制 せい が主流 しゅりゅう なのは、第 だい 一 いち にホモ・サピエンスの全 ぜん 個体 こたい 数 すう におけるオスメスの比 ひ はほぼ完全 かんぜん な1対 たい 1であること。第 だい 二 に にホモ・サピエンスのオスは現存 げんそん する近 きん 縁 えん 種 しゅ のオスに比 くら べてかなり積極 せっきょく 的 てき に子育 こそだ てに参加 さんか し、その資源 しげん コストの多 おお くを負担 ふたん する傾向 けいこう があるため、オスの利用 りよう できる資源 しげん が少 すく ない場合 ばあい に一夫一妻 いっぷいっさい でなく一夫多妻 いっぷたさい をとれば、子育 こそだ てのコストをまかないきれず共倒 ともだお れになる危険 きけん があるからである。
ゆえに、ホモ・サピエンスの本来 ほんらい 的 てき 生活 せいかつ 形態 けいたい である狩猟 しゅりょう 採集 さいしゅう 生活 せいかつ を送 おく り、富 とみ の蓄積 ちくせき が比較的 ひかくてき 少 すく ない社会 しゃかい では、少数 しょうすう の有力 ゆうりょく なオス個体 こたい が2, 3匹 ひき のメスに対 たい する性的 せいてき 資源 しげん 支配 しはい 権 けん を行使 こうし する程度 ていど の一夫多妻 いっぷたさい 制 せい が見 み られるのみである。しかし、富 とみ の蓄積 ちくせき が大 おお きい社会 しゃかい では、多 おお くの資源 しげん を利用 りよう できる高 たか い地位 ちい のオス個体 こたい が、より多 おお くのメスに対 たい して性的 せいてき 支配 しはい 権 けん を行使 こうし し、社会 しゃかい の最 さい 上位 じょうい のオスにいたっては、純然 じゅんぜん たるハレム制 せい に近 ちか くなることも少 すく なくない。一夫多妻 いっぷたさい 制 せい への対応 たいおう は文化 ぶんか 差 さ があるが、この制度 せいど を利用 りよう できるオス個体 こたい は社会 しゃかい 全体 ぜんたい のオス個体 こたい の生息 せいそく 数 すう から見 み れば、非常 ひじょう に少数 しょうすう である。
また、これと逆 ぎゃく に社会 しゃかい の中 なか で劣位 れつい のオスが、最低限 さいていげん の交尾 こうび の機会 きかい を得 え る手段 しゅだん として、一 いち 匹 ひき のメスに対 たい して複数 ふくすう のオスが性的 せいてき 資源 しげん 支配 しはい 権 けん を行使 こうし することがある。オス同士 どうし の連合 れんごう とメス一 いち 匹 ひき の結合 けつごう が一夫多妻 いっぷたさい や一夫一妻 いっぷいっさい 同様 どうよう 持続 じぞく 的 てき な性的 せいてき パートナーシップである場合 ばあい 、これを一 いち 妻 つま 多 た 夫 おっと 制 せい と呼 よ ぶが、これは一夫多妻 いっぷたさい 制 せい と比 くら べてもきわめてまれである。通常 つうじょう は、一 いち 匹 ひき のメスに対 たい する性的 せいてき 資源 しげん 支配 しはい 権 けん を複数 ふくすう のオスが時間 じかん をずらして行使 こうし する形 かたち をとり、これを売春 ばいしゅん と呼 よ ぶ。売春 ばいしゅん による交尾 こうび では生殖 せいしょく を目的 もくてき としないことがほとんどであり(多 おお くの場合 ばあい は避妊 ひにん が行 おこな われる)、通常 つうじょう はオスからメスに対価 たいか が支払 しはら われる形式 けいしき を取 と るが、ごくまれにメスからオスに対価 たいか が支払 しはら われることもある。ホモ・サピエンスにおけるオスのメスに対 たい する性的 せいてき 支配 しはい 権 けん の重視 じゅうし から[注 ちゅう 6] 、一般 いっぱん 的 てき に売春 ばいしゅん を行 おこな うメスは、一夫一妻 いっぷいっさい や一夫多妻 いっぷたさい のように、一 いち 匹 ひき のオスに性的 せいてき 支配 しはい 権 けん をささげるメスよりも低 ひく く見 み られ、売春 ばいしゅん で交尾 こうび の機会 きかい を得 え るオスも、売春 ばいしゅん を行 おこな うメスを尊重 そんちょう する傾向 けいこう は弱 よわ い。売春 ばいしゅん はホモ・サピエンスの近 きん 縁 えん 種 しゅ ボノボにも見 み られる。
このような形式 けいしき で交尾 こうび の機会 きかい を得 え ようとするオスが存在 そんざい する理由 りゆう として、現代 げんだい ホモ・サピエンスのコミュニティでは一 いち 度 ど も交尾 こうび を経験 けいけん していないオスは童貞 どうてい と呼 よ ばれ、童貞 どうてい ではないオスと比 くら べて社会 しゃかい 的 てき に劣 おと っていると見 み られる場合 ばあい が多 おお いことが挙 あ げられる。ただし売春 ばいしゅん を非 ひ 道徳 どうとく 的 てき とみなす文化 ぶんか もあり、そうしたコミュニティでは売春 ばいしゅん を経験 けいけん したオスは童貞 どうてい のオスよりも低 ひく い評価 ひょうか がなされることもある。
また一見 いっけん 乱婚 らんこん と見 み られる場合 ばあい も、決 けっ して野放図 のほうず に交雑 こうざつ が行 おこな われているのではないことに留意 りゅうい する必要 ひつよう がある。例 たと えば、イヌイット における客人 きゃくじん への妻 つま の提供 ていきょう 、もしくは日本 にっぽん の農村 のうそん で見 み られた、夜這 よば い や、歌垣 うたがき (祭礼 さいれい での乱交 らんこう )も、その対象 たいしょう は限 かぎ られたコミュニティ内 ない に限定 げんてい され、かつその方式 ほうしき や時期 じき ・程度 ていど なども含 ふく めて規定 きてい され、厳格 げんかく に(オス中心 ちゅうしん の秩序 ちつじょ の中 なか での)互酬制 せい が適用 てきよう される。またこれらの制度 せいど における性的 せいてき 自由 じゆう も、あくまでオスのメスに対 たい する性的 せいてき 資源 しげん 支配 しはい 権 けん という同一 どういつ の基盤 きばん を基 もと にしており、オス中心 ちゅうしん でメスの意思 いし への配慮 はいりょ は二義的 にぎてき である。夜這 よば いについては、当該 とうがい メス個体 こたい の性的 せいてき 資源 しげん 支配 しはい 権 けん を獲得 かくとく したいと願 ねが う個体 こたい と、そのメスの性的 せいてき 資源 しげん 保護 ほご 権 けん を有 ゆう するオスの個体 こたい (多 おお くの場合 ばあい 父 ちち や兄 あに )の合意 ごうい があれば、当該 とうがい メス個体 こたい の意思 いし にかかわらず認 みと められることが多 おお い。また、イヌイットの妻 つま の提供 ていきょう も、あくまでそのメスの性的 せいてき 資源 しげん 支配 しはい 権 けん を有 ゆう する夫 おっと が、恩恵 おんけい もしくは歓待 かんたい の意思 いし により、相手 あいて のオスに一時 いちじ 的 てき にメスの性的 せいてき 資源 しげん 使用 しよう 権 けん を与 あた えるというもので、メスの意思 いし は二義的 にぎてき である。かつてのホモ・サピエンス社会 しゃかい における親 おや の意思 いし による強制 きょうせい 結婚 けっこん も、このようなメスの意志 いし を二義的 にぎてき とする性的 せいてき 資源 しげん 所有 しょゆう 権 けん の取引 とりひき の結果 けっか である[注 ちゅう 7] 。
確実 かくじつ に言 い えるのは、これらのどれかを持 も つ、あるいはそれらのある組 く み合 あ わせを持 も つヒトの社会 しゃかい が実在 じつざい すること、そして、おそらくどの場合 ばあい も、その内部 ないぶ に多 おお くの例外 れいがい や逸脱 いつだつ が存在 そんざい していたであろう、ということである。
しかし、一般 いっぱん 的 てき にまとめれば、一夫一妻 いっぷいっさい を基調 きちょう としつつ、有力 ゆうりょく なオスに限 かぎ り一夫多妻 いっぷたさい が可能 かのう とされ、また補助 ほじょ 的 てき に乱交 らんこう や一 いち 妻 つま 多 た 夫 おっと 、売春 ばいしゅん 等 とう を認 みと めるのが、ホモ・サピエンスの配偶 はいぐう に関 かん する規範 きはん の一般 いっぱん 的 てき 傾向 けいこう といえる。これは生物 せいぶつ 学 がく 的 てき に見 み て、ホモ・サピエンスのオスは近 きん 縁 えん 種 しゅ のオスほどではないにしろ、メスに比 くら べて大柄 おおがら であることからも推察 すいさつ できる。
また、個体 こたい 差 さ は大 おお きいが、ホモ・サピエンスのオスは、一般 いっぱん に過去 かこ 自分 じぶん 以外 いがい のオスと交尾 こうび をしなかったメス(処女 しょじょ )に対 たい して、性的 せいてき にプラスとなる他 ほか の条件 じょうけん がまったく同等 どうとう ならそちらが交尾 こうび の相手 あいて としてより良 よ いメスとみなす傾向 けいこう を持 も つ。そのため、処女 しょじょ を失 うしな ったメスに対 たい する差別 さべつ 的 てき な取 と り扱 あつか いを行 おこな う社会 しゃかい もある。また、オスは年 とし を重 かさ ねた後 のち も、性的 せいてき 価値 かち のあるメスをセックスの相手 あいて として好 この む傾向 けいこう があり、中 なか にはこれで雌雄 しゆう ペアの結合 けつごう が破壊 はかい されることもある。
20世紀 せいき 後半 こうはん 以降 いこう 、これらのオス・メスの差別 さべつ に対 たい し、これを是正 ぜせい し、オスメス対等 たいとう の性的 せいてき 関係 かんけい をつくり、かつ一夫一妻 いっぷいっさい 制 せい に統一 とういつ しようという文化 ぶんか 的 てき 動 うご きが強 つよ いが、完全 かんぜん ではない。
非 ひ 規範 きはん 的 てき 配偶 はいぐう [ 編集 へんしゅう ]
ホモ・サピエンスの社会 しゃかい において、正当 せいとう なメスに対 たい する性的 せいてき 資源 しげん 支配 しはい 権 けん の獲得 かくとく 手順 てじゅん を踏 ふ まずに、その社会 しゃかい のメスと交尾 こうび を行 おこな ったオスは、当該 とうがい メスの性的 せいてき 資源 しげん 支配 しはい 権 けん もしくは保護 ほご 権 けん を有 ゆう するオスの権利 けんり を侵害 しんがい したとして、社会 しゃかい から制裁 せいさい を受 う ける。これを婚 こん 外 がい 性 せい 交渉 こうしょう といい、不倫 ふりん などが代表 だいひょう 例 れい である。
とりわけ、他 た の集団 しゅうだん との戦争 せんそう 状態 じょうたい 下 か では、多 おお くの場合 ばあい 成熟 せいじゅく した若 わか いオスからなる戦闘 せんとう 集団 しゅうだん (兵士 へいし )が、相手 あいて の集団 しゅうだん に属 ぞく するメスをレイプすることが多 おお く、またそれが戦争 せんそう におけるオスらしさの高 たか い表現 ひょうげん であるとみなされる傾向 けいこう がある[注 ちゅう 8] 。これは、ホモ・サピエンスには『われわれとやつら』という基準 きじゅん があり、『われわれ』を倫理 りんり 的 てき に『やつら』よりも優遇 ゆうぐう するためである[29] 。ゆえに、相手 あいて のメスがたとえそちらの社会 しゃかい で正当 せいとう なオスによる庇護 ひご を受 う けていても、当該 とうがい 戦闘 せんとう 集団 しゅうだん の属 ぞく する社会 しゃかい においてはそれは無 む 価値 かち であるとみなされ、かつメスの意思 いし そのものへの配慮 はいりょ もより一層 いっそう 弱 よわ くなり、ゆえに当該 とうがい メス個体 こたい に対 たい し性的 せいてき 資源 しげん 支配 しはい 権 けん を自由 じゆう に行使 こうし してよいとみなす傾向 けいこう があるからである。ただしこれも、戦争 せんそう が終 お わった後 のち 相手 あいて の集団 しゅうだん がこちらの集団 しゅうだん に併合 へいごう され、『やつら』から『われわれ』に変 か わる場合 ばあい があるため、戦争 せんそう 行為 こうい を統括 とうかつ する高 たか い地位 ちい のオスは、ある程度 ていど レイプを抑制 よくせい する命令 めいれい を出 だ すことも少 すく なくない。集団 しゅうだん 間 あいだ での闘争 とうそう におけるレイプや虐殺 ぎゃくさつ は、その萌芽 ほうが と取 と れるものがチンパンジーにも存在 そんざい している。
メスの意 い に反 はん した交尾 こうび であるレイプは、当該 とうがい オス個体 こたい の性的 せいてき 欲求 よっきゅう の解消 かいしょう と、当該 とうがい オスによる当該 とうがい メスに対 たい する威圧 いあつ の両面 りょうめん を含 ふく んでいる。レイプの対象 たいしょう となるメスの年齢 ねんれい は幅広 はばひろ く、特 とく に戦時 せんじ には子供 こども から老人 ろうじん にまで及 およ ぶが、同時 どうじ に内訳 うちわけ を見 み れば、大 だい 多数 たすう が性的 せいてき に成熟 せいじゅく した10代から20代 だい のメスである[31] 。『われわれ』の集団 しゅうだん のメンバーである成熟 せいじゅく したオスによって庇護 ひご されていないメスへのレイプに関 かん して、ホモ・サピエンス社会 しゃかい の伝統 でんとう 的 てき 規範 きはん では普遍 ふへん 的 てき に黙認 もくにん 、または承認 しょうにん される傾向 けいこう があり、実際 じっさい にそのようなレイプが多 おお いことから、レイプの中 なか でも、この種 たね のレイプは進化 しんか 的 てき に適応 てきおう 的 てき であるという指摘 してき も有 あ る[32] [33] 。
また、生殖 せいしょく から逸脱 いつだつ した性的 せいてき 関係 かんけい として同性愛 どうせいあい (homosexual)が生物 せいぶつ 学 がく において特 とく に高等 こうとう 哺乳類 ほにゅうるい で広 ひろ く認知 にんち されており(動物 どうぶつ の同性愛 どうせいあい を参照 さんしょう )ホモ・サピエンスにおいては人口 じんこう の約 やく 6パーセントに同性愛 どうせいあい 的 てき 傾向 けいこう が認 みと められるという調査 ちょうさ 結果 けっか が公表 こうひょう されている(Wellings.1994 イギリス)。ただし、この結果 けっか には両 りょう 性愛 せいあい (bisexual)や機会 きかい 的 てき 同性愛 どうせいあい に基 もと づくものを含 ふく む。またその比率 ひりつ には社会 しゃかい 的 てき 、文化 ぶんか 的 てき 影響 えいきょう が大 おお きいとされ、その他 た 実施 じっし された多 おお くの調査 ちょうさ 結果 けっか の閾値は2-13%である[34] [35] [36] [37] [38] [39] [40] [41] [42] [43] [44] 。またオスに限 かぎ れば、有史 ゆうし 以来 いらい 同性愛 どうせいあい が制度 せいど 化 か された例 れい が多数 たすう 存在 そんざい し、現代 げんだい では一部 いちぶ の地域 ちいき において同性 どうせい 結婚 けっこん が認可 にんか されている(スペイン やオランダ 、カナダ など) 。これは、同性 どうせい 間 あいだ の配偶 はいぐう に規範 きはん 的 てき 性格 せいかく を与 あた えたものであり、世界 せかい 的 てき には寛容 かんよう になる傾向 けいこう であるが、一方 いっぽう で宗教 しゅうきょう 的 てき 理由 りゆう において重刑 じゅうけい を課 か す国家 こっか も残 のこ っている(サウジアラビア 、イラン など)。これに加 くわ え、性的 せいてき 少数 しょうすう 者 しゃ に含 ふく まれるトランスジェンダー やインターセクシュアル(半 はん 陰陽 いんよう )。潜在 せんざい 的 てき に相当 そうとう 数 すう 存在 そんざい する、他者 たしゃ に対 たい して恒常 こうじょう 的 てき に恋愛 れんあい 感情 かんじょう や性的 せいてき 欲求 よっきゅう を抱 いだ かない無 む 性愛 せいあい 者 しゃ についても留意 りゅうい する必要 ひつよう がある。
ホモ・サピエンスの子育 こそだ てでは、一般 いっぱん に母親 ははおや のほうが父 ちち よりも相対 そうたい 的 てき に子供 こども と密着 みっちゃく した感情 かんじょう 的 てき ・物理 ぶつり 的 てき 関係 かんけい を持 も つことが多 おお い[45] 。しかし、オス親 おや も近 きん 縁 えん 種 しゅ に比 ひ すればより強 つよ い子供 こども との結 むす びつきを持 も つ[45] 。
ホモ・サピエンスの祖先 そせん や現存 げんそん する近 きん 縁 えん 種 しゅ の多 おお くには、子 こ 殺 ごろ しの習慣 しゅうかん があり、親 おや (多 おお くの場合 ばあい オス親 おや )にとって不利益 ふりえき となる子供 こども は、殺 ころ されることが少 すく なくない[注 ちゅう 9] 。ホモ・サピエンスの親子 おやこ の間 あいだ でも、親 おや の命 いのち は子 こ の命 いのち より尊 たっと く、親 おや (とりわけオス親 おや )は文字通 もじどお り子 こ の生殺与奪 せいさつよだつ の権利 けんり を有 ゆう するというのが普遍 ふへん 的 てき 傾向 けいこう である。ホモ・サピエンスの親子 おやこ の関係 かんけい は、他 た の近 きん 縁 えん 種 しゅ における親子 おやこ よりもより強 つよ く、長 なが い絆 きずな で結 むす ばれており、この大権 たいけん が露骨 ろこつ な形 かたち で振 ふ るわれることは少 すく ないが、それでも親 おや からして、子 こ の意思 いし または行動 こうどう 、更 さら には存在 そんざい 自体 じたい が親 おや の利益 りえき にあまりにも反 はん する場合 ばあい 、親 おや は容赦 ようしゃ なくこの大権 たいけん を行使 こうし し、子 こ の人生 じんせい のありかたを強制 きょうせい したり、暴力 ぼうりょく 的 てき 制裁 せいさい 教育 きょういく を与 あた え、はなはだしくは中絶 ちゅうぜつ ・間 あいだ 引 び き・虐待 ぎゃくたい 等 とう で子 こ の命 いのち を奪 うば うことも決 けっ してまれではない[注 ちゅう 10] 。更 さら に、子 こ 殺 ごろ しに際 さい しても、オスメスで命 いのち の価値 かち の格差 かくさ があり、一般 いっぱん に子供 こども がオスの場合 ばあい より、メスの場合 ばあい のほうが、他 た の条件 じょうけん がまったく同等 どうとう の場合 ばあい 、子 こ 殺 ごろ しへのハードルが低 ひく い。
また、ただ単 たん にこの大権 たいけん を行使 こうし する他 ほか の近 きん 縁 えん 種 しゅ とホモサピエンスとの最大 さいだい の違 ちが いは、ホモサピエンスはこの大権 たいけん の行使 こうし に関 かん して、これを正当 せいとう 化 か する理論 りろん ・思想 しそう を、高 たか い知能 ちのう を用 もち いて編 あ み出 だ したことである。これは儒教 じゅきょう の『孝 こう 』が良 よ く知 し られているが、それに限 かぎ らず普遍 ふへん 的 てき である。この種 たね の思想 しそう により、たとえ子 こ の実力 じつりょく が親 おや をしのぐまでに成長 せいちょう し、親 おや が老 お いて力 ちから を失 うしな っても、親 おや は多 おお くの場合 ばあい 子 こ に対 たい する支配 しはい 権 けん を一定 いってい 程度 ていど 存続 そんぞく させることができる。とはいえ、成長 せいちょう した子 こ による老 お いた親 おや 殺 ごろ しもまた、子 こ 殺 ころ しほどではないにせよ、普遍 ふへん 的 てき に見 み られる。
しかし、そのような大権 たいけん の行使 こうし という危険 きけん 性 せい はあるが、多 おお くの場合 ばあい ホモサピエンスの親子 おやこ の間柄 あいだがら は、強 つよ い絆 きずな と情愛 じょうあい で結 むす ばれ、子供 こども の生育 せいいく に対 たい して親 おや の庇護 ひご が有益 ゆうえき な役割 やくわり を果 は たしているのも事実 じじつ である。
21世紀 せいき 以降 いこう ではこのような大権 たいけん 自体 じたい を制限 せいげん し、子供 こども の人権 じんけん を守 まも ろうとする思想 しそう ・文化 ぶんか が広 ひろ まり、世界 せかい 的 てき に一応 いちおう の規範 きはん となっているが、完全 かんぜん ではない。
進化 しんか における分類 ぶんるい についてはヒト亜 あ 族 ぞく を、ヒトの進化 しんか 全般 ぜんぱん について人類 じんるい の進化 しんか を参照 さんしょう 。
分布 ぶんぷ と多様 たよう 性 せい [ 編集 へんしゅう ]
ヒトの移動 いどう ルート
現在 げんざい では航空機 こうくうき や船 ふね などの遠距離 えんきょり 交通 こうつう が発達 はったつ し、また住居 じゅうきょ 環境 かんきょう を調節 ちょうせつ する技術 ぎじゅつ も発達 はったつ しているが、安定 あんてい 的 てき で確実 かくじつ な遠洋 えんよう 航海 こうかい 技術 ぎじゅつ が発達 はったつ する以前 いぜん から、ヒトの分布 ぶんぷ はほぼ全 ぜん 世界 せかい にわたっている。人類 じんるい の祖先 そせん は約 やく 20万 まん 年 ねん 前 まえ にアフリカ 中部 ちゅうぶ (現在 げんざい のボツワナ 北部 ほくぶ )に発生 はっせい したものと考 かんが えられている[47] 。およそ10万 まん 年 ねん 前 まえ リフトバレーを起点 きてん として、アフリカ大陸 たいりく を出 で て、アジアへと渡 わた り、その後 ご ベ べ ーリング海 りんぐかい 峡 かい を超 こ え、アメリカ大陸 あめりかたいりく へと広 ひろ がった。ほぼ世界 せかい 全土 ぜんど にヒトは離散 りさん していった[48] [49] 。大陸 たいりく と主要 しゅよう な島嶼 とうしょ のうち、ほぼ唯一 ゆいいつ の例外 れいがい として、南極大陸 なんきょくたいりく には定着 ていちゃく しなかった。また、最 もっと も遅 おそ く到達 とうたつ したのはニュージーランド ではないかと考 かんが えられる。それ以外 いがい の地域 ちいき においては、寒帯 かんたい から熱帯 ねったい にわたる極 きわ めて広範囲 こうはんい の分布 ぶんぷ 域 いき をもっていた。サル目 め は基本 きほん 的 てき に熱帯 ねったい の動物 どうぶつ であり、ヒト以外 いがい では日本 にっぽん 列島 れっとう 本州 ほんしゅう のニホンザル が分布 ぶんぷ の北限 ほくげん であることを考 かんが えると、格段 かくだん に広 ひろ い。
これは、ヒトが衣服 いふく や住居 じゅうきょ を用 もち いて身 み を守 まも る方法 ほうほう を発達 はったつ させたためでもあるが、体 からだ の構造 こうぞう そのものも、寒冷 かんれい な気候 きこう に対応 たいおう できたためと考 かんが えられる。たとえば、ベルクマンの法則 ほうそく の通 とお り、その大 おお きい体 からだ は体温 たいおん を維持 いじ するには有利 ゆうり である。尾 お がなく、耳殻 じかく が短 みじか くて厚 あつ いこともアレンの法則 ほうそく にかなっている。また、高 たか く盛 も り上 あ がった鼻 はな は、鼻腔 びこう を長 なが くすることで、冷気 れいき を暖 あたた めて肺 はい へ流 なが し込 こ むことができるようにする、寒冷 かんれい な気候 きこう への適応 てきおう であるとの説 せつ もある。またヒトの形態 けいたい 学 がく 的 てき 多様 たよう 性 せい の原因 げんいん を性 せい 淘汰 とうた に求 もと める説 せつ も存在 そんざい する[50] [51] 。その一方 いっぽう で、発汗 はっかん 機能 きのう も非常 ひじょう に発達 はったつ しており、暑熱 しょねつ への耐 たい 性 せい もある事 こと から、生活 せいかつ 圏 けん が非常 ひじょう に広 ひろ くなったと考 かんが えられる。
このような分布 ぶんぷ 域 いき の拡大 かくだい に従 したが って、形質 けいしつ も多様 たよう 化 か したと考 かんが えられ、さまざまな変異 へんい が見 み られる。それらの主要 しゅよう なものを分類 ぶんるい して、人種 じんしゅ と名付 なづ けている。しかし、その区別 くべつ や範囲 はんい が客観 きゃっかん 的 てき に明確 めいかく でないことが多 おお い。また、どのような人種 じんしゅ の間 あいだ でも、生理 せいり 的 てき な意味 いみ における生殖 せいしょく 的 てき 隔離 かくり は認 みと められない。前述 ぜんじゅつ のように、現在 げんざい の人類 じんるい はすべてヒトという単一 たんいつ の種 たね に属 ぞく するものと考 かんが えられ、人種 じんしゅ の差 さ は種 たね を分 わ かつものとは見 み なされない。本 ほん 項 こう では「ヒト」を亜種 あしゅ としてホモ・サピエンス・サピエンスとして扱 あつか っているためモンゴロイド・コーカソイド・ネグロイドといった人種 じんしゅ は、チワワ ・プードル ・セントバーナード のような他 た 生物 せいぶつ でいう品種 ひんしゅ 相当 そうとう として扱 あつか う。(もっとも人種 じんしゅ が亜種 あしゅ 段階 だんかい の分化 ぶんか であるとする見解 けんかい もある)このような広 ひろ い分布 ぶんぷ 域 いき を持 も ちつつ、完全 かんぜん な種 たね 分化 ぶんか が起 お こっていないのは、他 た の動物 どうぶつ には例 れい が少 すく ない(クマネズミ ・ドブネズミ など、人間 にんげん により広 ひろ められた汎 ひろし 存 そん 種 しゅ に例 れい が見 み られる)。
^ 個体 こたい 別 べつ の特 とく に遺伝 いでん によるところが大 おお きい
^ 例 れい として、ドナルド・E・ブラウン は、ブルネイでの高 たか さと地位 ちい との正 せい の相関 そうかん 関係 かんけい を挙 あ げ、この関係 かんけい 自体 じたい は普遍 ふへん 的 てき だが、ブルネイに特有 とくゆう なのはその頻度 ひんど であるとしている。(ドナルド・ブラウン 2002 , p. 3-4)
^ ホモ・サピエンスの諸 しょ 社会 しゃかい の構成 こうせい 員 いん は、実際 じっさい 上 じょう の強 つよ い普遍 ふへん 性 せい の共有 きょうゆう とは裏腹 うらはら に、『われわれ』と『やつら』の間 あいだ の違 ちが いを語 かた るのを好 この む傾向 けいこう がある。(「ヒューマン・ユニバーサルズ」、ドナルド・ブラウン、2002、p2、p3、p8)
^ イスラーム世界 せかい でも現実 げんじつ の社会 しゃかい を律 りっ する規範 きはん としては、飲酒 いんしゅ は容認 ようにん されているが、他 た の集団 しゅうだん に対 たい して『酒 さけ を飲 の む異教徒 いきょうと 』とさげすむこと、または江戸 えど 時代 じだい の日本 にっぽん で、現実 げんじつ の社会 しゃかい 規範 きはん としては四足 しそく の獣 しし の肉 にく を食 た べることが少 すく なからず見 み られたにもかかわらず、朝鮮 ちょうせん 人 じん や欧米 おうべい 人 じん の使節 しせつ 等 とう 、肉 にく をおおっぴらに食 た べる習慣 しゅうかん のある社会 しゃかい から来 き た人々 ひとびと に対 たい し、『四足 しそく の肉 にく を食 く う奴 やつ 等 とう 』とさげすんだことなどが例 れい である
^ これを『補足 ほそく 的 てき 親子 おやこ 関係 かんけい 』という。(『Kinship and the Social Order: The Legacy of Lewis Henry Morgan』、Meyer Fortes、1969)
^ このようなホモ・サピエンスオスの平均 へいきん して強 つよ い性的 せいてき 嫉妬 しっと 心 しん は、父性 ふせい の確認 かくにん という意味 いみ を持 も つ(「人間 にんげん はどこまでチンパンジーか」、ジャレド・ダイアモンド、1993、p136〜p140)
^ これを「花嫁 はなよめ を買 か う」と直接的 ちょくせつてき に表現 ひょうげん することもある(ジャレド・ダイアモンド 1993 , p. 263)
^ 他 た 集団 しゅうだん のメスに対 たい するレイプ・強制 きょうせい 売春 ばいしゅん だけでなく、この場合 ばあい 相手 あいて の集団 しゅうだん に属 ぞく する個体 こたい への虐殺 ぎゃくさつ や虐待 ぎゃくたい も横行 おうこう する傾向 けいこう がある(ジャレド・ダイアモンド 1993 , p. 428〜p429)(「男 おとこ の凶暴 きょうぼう 性 せい はどこから来 き たか」、リチャード・ランガム、デイル・ピーターソン、1998、p161〜p163)
^ ゴリラおよびチンパンジーの子 こ 殺 ころ しはよく知 し られている(「男 おとこ の凶暴 きょうぼう 性 せい はどこから来 き たか」、リチャード・ランガム、デイル・ピーターソン、1998、p204)
^ 親 おや にとって必要 ひつよう な場合 ばあい の中絶 ちゅうぜつ ・子 こ 殺 ごろ しへの許容 きょよう 性 せい を持 も つのは、人類 じんるい 社会 しゃかい の普遍 ふへん 性質 せいしつ または準 じゅん 普遍 ふへん 性質 せいしつ である(ドナルド・ブラウン 2002 , p. 249、250)
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^ “現生 げんなま 人類 じんるい 、ボツワナで20万 まん 年 ねん 前 まえ に誕生 たんじょう DNA分析 ぶんせき で特定 とくてい ”. フランス通信 つうしん 社 しゃ (2019年 ねん 10月 がつ 29日 にち ). 2020年 ねん 1月 がつ 6日 にち 閲覧 えつらん 。
^ The Great Human Diasporas: The History Of Diversity And Evolution
^ The Walking People
^ チャールズ・ダーウィン 『人間 にんげん の進化 しんか と性 せい 淘汰 とうた 』。同書 どうしょ ではヘラクレスオオカブト その他 た 、形態 けいたい 学 がく 的 てき に極端 きょくたん な種 たね は性 せい 淘汰 とうた によって進化 しんか したと主張 しゅちょう する。
^ ジャレド・ダイアモンド 『人間 にんげん はどこまでチンパンジーか?』"性 せい 淘汰 とうた と人種 じんしゅ の起源 きげん "
出典 しゅってん は列挙 れっきょ するだけでなく、脚注 きゃくちゅう などを用 もち いてどの記述 きじゅつ の情報 じょうほう 源 げん であるかを明記 めいき してください。記事 きじ の信頼 しんらい 性 せい 向上 こうじょう にご協力 きょうりょく をお願 ねが いいたします。(2012年 ねん 4月 がつ )
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