ブタ

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ブタ
ブタ
ブタ
分類ぶんるい
ドメイン : かく生物せいぶつ Eukaryota
さかい : 動物界どうぶつかい Animalia
もん : 脊索せきさく動物どうぶつもん Chordata
もん : 脊椎動物せきついどうぶつもん Vertebrata
つな : 哺乳ほにゅうつな Mammalia
: くじら偶蹄ぐうてい Cetartiodactyla
: イノシシ Suina
: イノシシ Suidae
ぞく : イノシシぞく Sus
たね : イノシシ S. scrofa
亜種あしゅ : ブタ S. scrofa domesticus
学名がくめい
Sus scrofa domesticus
和名わみょう
ブタ
英名えいめい
Pig
ぶた母乳ぼにゅうあたえるぶた
ぶた小屋こや飼育しいくされている放牧ほうぼくぶた

ブタぶた学名がくめい: Sus scrofa domesticus英語えいご: pig)は、哺乳ほにゅうつなくじら偶蹄ぐうていイノシシ動物どうぶつで、イノシシいのししSus scrofa)を家畜かちくしたものである。イノシシには広範囲こうはんいしょくせい多産たさん学習がくしゅう能力のうりょくがとてもたか凶暴きょうぼうさがない、人馴ひとなれしやすいという性質せいしつがあることから家畜かちくされた。このイノシシの特性とくせい現代げんだいぶたにも色濃いろこのこっている[1]おも食用しょくよう豚肉ぶたにく)とされる。

生物せいぶつがくてき特徴とくちょう[編集へんしゅう]

味覚みかく嗅覚きゅうかく高度こうど発達はったつしており、ブタのあじつぼみ人間にんげんやく3 - 4ばいである。また、嗅覚きゅうかく感知かんちするための非常ひじょう洗練せんれんされたシステムをち、人間にんげんふくほかたねよりも多様たようにおいを区別くべつできる。ブタは機能きのうてき嗅覚きゅうかく受容じゅようたい遺伝子いでんしかずいぬよりもおお[2]。1987ねんきゅう西にしドイツでは麻薬まやく捜査そうさぶた活躍かつやくしたこともある[3]

聴覚ちょうかくひとくらべてそんしょくなく、高周波こうしゅうはいきにおいてはひとよりすぐれる[3]ぶた視力しりょくは0.017-0.07とかなりひくいが、ちいさなちがいを識別しきべつするのではなく視野しやひろってまわりを警戒けいかいすることに重点じゅうてんいているとかんがえられる。ぶた飼育しいくしゃ識別しきべつしたりぶたははぶた乳頭にゅうとう場所ばしょさがしたりすることにも視力しりょく活用かつようする[3]睡眠すいみん時間じかんやく8あいだひとちか[4]

ぶた雑食ざっしょくであり、入手にゅうしゅ可能かのうなものにわせて食餌しょくじ調整ちょうせいする。家畜かちくちがってかた鼻先はなさき強大きょうだい背筋せすじそなえており、野生やせいのイノシシと同様どうよう土中どちゅうむし植物しょくぶつ球根きゅうこんかえしてべる。200にちよわい体重たいじゅう100kgきろぐらむ)のぶたのルーティング(はな地面じめんる)は73.3kgきろぐらむげられるほどもある[5]嗅覚きゅうかく鋭敏えいびんなだけでなくはなにはさわえており、触覚しょっかくてきにも鋭敏えいびんである。ルーティングはやみくもにっているのではなく、ここぞというところを[3]。ルーティングだけでなく、地面じめんうわ低木ていぼく植物しょくぶつ探索たんさくすることもある。ブタにとってえさのための探索たんさくは、本能ほんのうてきつよ動機どうきづけられており、放牧ほうぼく環境かんきょうではいちにちに6-7あいだルーティングをおこな[6]市販しはん飼料しりょう満腹まんぷくあたえたとしても家畜かちくぶたがこいのなかで6 - 8あいだかけてえささがすことが指摘してきされている[7]

オスきばつよ背筋せすじかせるよう上向うわむきにえており、人間にんげんのようなたけたか動物どうぶつてき認識にんしきすると、突進とっしんして鼻先はなさきまたぐらにみ、頭部とうぶげながらつよくひねる。野生やせい時代じだい名残なごりともいえるこの行動こうどうを「しゃくり」といい、まともにしゃくりげられると大人おとなでもかずメートルばされたり、きばふかきずつけられたりする。ふとももの内側うちがわはし大腿だいたい動脈どうみゃくきずつけられると、失血死しっけつしするほどの大量たいりょう出血しゅっけつまねくこともあり、日本にっぽん小規模しょうきぼ養豚ようとんおおかった時代じだいには、としすうにんは、しゃくりげによる死者ししゃていた。

ヘビどく影響えいきょうけないようニコチンせいアセチルコリン受容じゅようたい突然とつぜん変異へんいさせたられうる4しゅ哺乳類ほにゅうるいうちひと[8]

ガツガツと食事しょくじ人物じんぶつして「ブタのようにべる」と形容けいようすることがあるが、野生やせいブタのからだ脂肪しぼうりつは13%(パーセント)ほど食用しょくようぶたでも14 - 18%[9]にすぎない。また、清潔せいけつこの生物せいぶつであり、自然しぜんでは排泄はいせつをする場所ばしょえさじょう寝床ねどこかならける。一般いっぱんらかっていてきたな部屋へやを「ぶた小屋こや」とんだり不潔ふけつ動物どうぶつ代表だいひょうのように誤解ごかいされているのは、養豚ようとんじょう管理かんり不適切ふてきせつさによるものである[10][11]

社交しゃこうせいがあり、広大こうだい土地とちぐん飼される放牧ほうぼくぶたは、祖母そぼははなどの母系ぼけい集団しゅうだんで20-30ヘクタールもの範囲はんい行動こうどう[12]ぶた生後せいご1ねんほどでれからはなちいさなゆうグループをつくって行動こうどうしたり単独たんどく行動こうどうしたりする。本来ほんらいなわばりを主張しゅちょうして個体こたいそとはらうような動物どうぶつではないが、高密度こうみつど飼育しいくされる場合ばあいは、無駄むだあらそいをけるために闘争とうそうこし優劣ゆうれつ関係かんけい決定けっていする。ぶたぼうせまがない場合ばあいおおきなストレスとなるが、個別こべつ飼育しいくにすることも社会しゃかいせいのあるぶたにストレスとなる[13]

認知にんち能力のうりょく[編集へんしゅう]

知能ちのうたかく、IQ テストでいぬやチンパンジーを上回うわまわるとされる[14]類人猿るいじんえんイルカゾウカササギヨウムくわえてブタもかがみ存在そんざい認知にんちできる「かがみうつ認知にんち」が確認かくにんされた数少かずすくない動物どうぶつである[15]。「お」も「おすわり」も簡単かんたんおぼえ、テレビゲームもする。ちているほかぶたのトランスポンダーをくわえて給餌きゅうじっていきほかぶたよう濃厚のうこう飼料しりょうべたりもする[12]

非常ひじょう個性こせいゆたかで、認知にんち情動じょうどう行動こうどう非常ひじょう複雑ふくざつあそきな動物どうぶつであり、いかけっこのような社交しゃこうあそびから、ボールはこびなどのものあそびまで複雑ふくざつあそびに従事じゅうじすることがしめされている。これらのあそびはぶたときだけでなく成熟せいじゅくしてから目新めあたらしいものをはなしてげたりくわえたりの探査たんさてき行動こうどうがみられる[16]。また、初歩しょほてきなビデオゲームをプレイすることもできる[17]仲間なかまへの共感きょうかんし、とらわれたブタがいると解放かいほうするためにドアをける。とらわれた仲間なかま悲鳴ひめいげた場合ばあい解放かいほうするかくりつたかくなる[18]

友好ゆうこうてき社交しゃこうてきであると同時どうじ繊細せんさいものでもあり[19]養豚ようとんぎょうにおいて体重たいじゅうはか作業さぎょうには、ストレスでぶた体重たいじゅうが1キログラムもってしまうことがある[20]記憶きおくりょくもよいことから粗暴そぼうあつかいをけることで学習がくしゅうし、ひとたいして恐怖きょうふしんいだくようになる。放牧ほうぼく養豚ようとんでは自由じゆう行動こうどうできることで心理しんり状態じょうたいがポジティブになり、ひと接触せっしょく機会きかいがなかったとしてもひとたいして有効ゆうこうになり良好りょうこう関係かんけいきず[21]

国内こくないしゃいされているぶた

嗅覚きゅうかく聴覚ちょうかく使つかって、同種どうしゅ識別しきべつし、自分じぶん区別くべつする。のブタの感情かんじょう敏感びんかん反応はんのうし、共感きょうかんすることもかっている[19]。また、人間にんげん笑顔えがお中立ちゅうりつてき表情ひょうじょうちがいを見分みわけることができ、なじみのある人間にんげんとなじみのない人間にんげん区別くべつすることができる[22]

ヒトとおおくの認知にんち能力のうりょく共有きょうゆう[14]おなじように様々さまざま感情かんじょう経験けいけんし、ポジティブな状況じょうきょうとネガティブな状況じょうきょうによって発声はっせいあきらかなちがいをしめす。ブタには音楽おんがくこのみがあり[23]、2022ねん発表はっぴょうされた研究けんきゅうによると、ブタが複数ふくすう種類しゅるい音楽おんがくたいしてことなる方法ほうほう反応はんのうし、さまざまな感情かんじょう精通せいつうする[24][25]。ペットとしてわれていたブタが、心臓しんぞう発作ほっさこしたぬしのために、道路どうろよこたわりたすけをもとめた事例じれいがある[26]

ヒトとの近似きんじせい[編集へんしゅう]

ブタは類人猿るいじんえん以上いじょう体重たいじゅう皮膚ひふ状態じょうたい内臓ないぞうおおきさなどが人間にんげんちか動物どうぶつである。そのため現在げんざいでは異種いしゅあいだ移植いしょく臓器ぞうき提供ていきょうよう動物どうぶつとして研究けんきゅうおこなわれている[27][28]大学だいがく医療いりょうけい学部がくぶ学科がっかでは解剖かいぼうがく実習じっしゅうにおいて生体せいたい解剖かいぼう利用りようされている。また、ぶたはこれまでの新型しんがたインフルエンザパンデミック(ヒトあいだ感染かんせんしょう世界せかいてき流行りゅうこう)のなかあいだ宿主しゅくしゅともかんがえられており、ぶたはヒトのパンデミックの5ぶんの1に関与かんよしている[29]

体温たいおん調整ちょうせい[編集へんしゅう]

あせせんきわめてすくなく、あつさによわいため、飼育しいくさいにはみずをかけたり[30]どろ英語えいごばんおこなわれる[31]

ごえ[編集へんしゅう]

ブタのごえは、日本語にほんごでは「ブー」「ブヒッ」などと表現ひょうげんされるが、英語えいごでは「oink(オインク)」と表記ひょうきされ、中国ちゅうごくでの漢字かんじでは「(アオ áo)」などが使つかわれる。

人間にんげんによる利用りよう[編集へんしゅう]

ぶた食用しょくよう部位ぶい。1.ぶたあたまドイツばん、2.ぶたほほにくドイツばん、2-3.ぶたくびにく(トントロ、ピートロ)、3.ラード(ぶたあぶらFatback)、4.ぶたかたロース英語えいごばん、7.ぶたロースにく、8.ぶたヒレにく英語えいごばん、9.ぶたバラにく、12.ぶたももにく、13.ぶたすねにく、14.ぶたあし、15.ぶたテール

豚肉ぶたにく脂肪しぼう食用しょくようとするほか皮革ひかくなどを利用りようするためにおおくのくに飼育しいくされている。

ブタをかぞえるさい単位たんい数量すうりょう)は、あたままたはひきと、かなりあいまいである。おな新聞しんぶんで、ブタにかんすることで発行はっこうされた記事きじにおいても、あたま表現ひょうげんしたれいと、ひき表現ひょうげんしたれいがある。

食材しょくざい
豚肉ぶたにく料理りょうり発達はったつしている日本にっぽん沖縄おきなわけんでは「ごえ以外いがい全部ぜんぶべる」とわれる[32][ちゅう 1]ほど、ぶた利用りよう箇所かしょおおい。ただし、イスラム教いすらむきょうけんにおいては豚肉ぶたにくしょくだけでなく、ぶた由来ゆらい成分せいぶんふくむものも忌避きひされる[33]
ぶたちちは、搾乳さくにゅう時期じきめすぶたひとちかくにいるといかり、搾乳さくにゅう自体じたいいやがり、れても少量しょうりょうなので商業しょうぎょう生産せいさんはほとんどない。
ぶたは、沖縄おきなわチーイリチー欧州おうしゅうブラッドソーセージなどおおくの料理りょうり使用しようされる。
皮革ひかく
ぶたかわはピッグスキンとして衣類いるいくつ利用りようされている[34]。ブタの皮革ひかく特徴とくちょう体毛たいもうが3ほんずつまとまって真皮しんぴにまで貫通かんつうしている構造こうぞうとなっていることで、通気つうきせいすぐれ、表面ひょうめん独特どくとく凹凸おうとつがみられる[34]うすくて耐久たいきゅうせいがあるが部位ぶいによる組織そしき密度みつどおおきい(背部はいぶとく高密度こうみつどといわれている)[34]
肥料ひりょう
ぶた排泄はいせつぶつぶたくそぶたぷん)とび、ぶたぷん堆肥たいひ使用しようされる。日本にっぽんにおいて、仏教ぶっきょう影響えいきょう肉食にくしょく禁止きんしであったことから江戸えど時代じだいごろまで畜産ちくさん歴史れきしはなかったが、江戸えど時代じだい医者いしゃたちばなみなみ谿のこした紀行きこうぶん東西とうざいゆう』のなかで薩摩さつまはん鹿児島かごしまけん)で肥料ひりょうのために飼育しいくしていることがかれている。
嗅覚きゅうかく利用りよう
高級こうきゅう食材しょくざいられるトリュフこすのに、かつてはメスブタが使つかわれていた。トリュフにはオスブタのフェロモンおな成分せいぶんふくまれており、トリュフのにおいをぎつけ興奮こうふんしたメスブタがかえすのである。訓練くんれんいらずで使役しえきできる利点りてんがあるが、雑食ざっしょくせいのブタはトリュフをべてしまうこともおおいため、べないイヌ訓練くんれんしてもちいるようになってきた。
アメリカなどでいぬよりながい20ねんき、いぬよりうのに費用ひようがかからずすぐれた嗅覚きゅうかく知能ちのうをもつことから警察犬けいさつけん麻薬まやく探知たんちけんわりに使つかわれることがある[35]
実験じっけん動物どうぶつ
人間にんげん生物せいぶつがくてき生理学せいりがくてき解剖かいぼうがくてき類似るいじしている部分ぶぶんおおく、重要じゅうようモデル生物せいぶつとして、1960年代ねんだい以降いこう動物どうぶつ実験じっけん利用りよう目立めだっている[36][37]臓器ぞうき移植いしょく同種どうしゅ以上いじょうむずかしい異種いしゅ移植いしょく拒絶きょぜつ反応はんのうがあるため[38]遺伝子いでんし操作そうさにより拒絶きょぜつ反応はんのうさえたブタが開発かいはつされている[28]
その利用りよう
アメリカの砂漠さばく地帯ちたいではへびけのためにブタをっているいえもある。
オセアニアではブタのきばらずにっているれいおおい。きばび、湾曲わんきょくして円形えんけいになったものは、アクセサリーや貨幣かへいとしてもちいられることもある。
ブタが動物どうぶつ排泄はいせつぶつべることから、人間にんげんようトイレのしたにブタをぶた便所べんじょ使用しようされた。また、なまごみなどをべるため、中世ちゅうせいフランスでは町中まちなかはなってゴミ掃除そうじをさせた。
ぶたは、ブラシなどに使用しようされる。
ぶた戦争せんそう利用りよう英語えいごばん
かえしてべ、しょくたおしにて除草じょそうになるとともにたがや効果こうか期待きたいするれいがある[39][40]

養豚ようとん[編集へんしゅう]

家畜かちくとしてブタを飼育しいくすることを養豚ようとんといい、仕事しごととしての養豚ようとん養豚ようとんぎょう、また養豚ようとんぎょう従事じゅうじする人々ひとびとのことを養豚ようとん業者ぎょうしゃという。ウシウマヒツジヤギといった家畜かちく原種げんしゅ絶滅ぜつめつ、またはかなり減少げんしょうしてしまっているが、ブタは原種げんしゅであるイノシシが絶滅ぜつめつせず生息せいそくすうおおいまま現存げんそんしているというてん特徴とくちょうてきである。免疫めんえきりょくつよく、抵抗ていこうせいだけでなく環境かんきょうへの適応てきおうせいにもんでいるため飼育しいく容易よういである[ちゅう 2]

抗生こうせい物質ぶっしつ[編集へんしゅう]

抗生こうせい物質ぶっしつは、ストレスによる呼吸こきゅうけいちょうけい生殖せいしょくけい病気びょうき予防よぼう治療ちりょうのために飼料しりょう添加てんか注射ちゅうしゃなどで投与とうよされる。また人工じんこう授精じゅせいよう精液せいえき細菌さいきん増力ぞうりょく防止ぼうしとしても使用しようされる[41]去勢きょせいだん強制きょうせい離乳りにゅうなど、ぶた幼少ようしょうにはストレスのたか管理かんりおこなわれることがおおく、ぶたもっと抗生こうせい物質ぶっしつ使用しようされる年齢ねんれいそうとなっている[42]

やしなえうし養鶏ようけいくらべ、養豚ようとん抗生こうせい物質ぶっしつ使用しようりょうたか[43][44]。イギリスの調査ちょうさは、どう国内こくないスーパーマーケットの豚肉ぶたにくの10%が薬剤やくざいたいせいきん感染かんせんしていると報告ほうこくする[45]現代げんだい集約しゅうやく養豚ようとんシステムにおけるたか飼育しいく密度みつどは、ぶたをストレスや病原びょうげんたい呼吸こきゅうけい疾患しっかんリスクにさらしており、その結果けっか、2030 ねんまでに農場のうじょうでの抗生こうせい物質ぶっしつ使用しようは 11.5% 増加ぞうかすると推定すいていされている[42]

飼育しいくすう[編集へんしゅう]

ブタの飼育しいくすう(ひゃくまんとう)(2022ねん4がつ時点じてん[46]
国名こくめい 2020ねん 2015ねん 2010ねん 2005ねん
中華人民共和国の旗 中国ちゅうごく 406.5 471.6 467.7 421.2
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく 77.3 68.9 64.9 61.0
ブラジルの旗 ブラジル 41.1 39.8 39.0 34.1
ドイツの旗 ドイツ 26.1 27.7 26.5 26.9
 ベトナム 22.0 27.8 27.4 27.4
スペインの旗 スペイン 32.8 28.4 25.7 24.9
ロシアの旗 ロシア 25.2 19.5 17.2 13.7
メキシコの旗 メキシコ 18.8 16.4 15.4 15.2
フランスの旗 フランス 13.7 13.2 14.3 14.9
カナダの旗 カナダ 14.0 13.2 12.5 14.8
オランダの旗 オランダ 11.5 12.6 12.3 11.2
 デンマーク 13.4 12.5 13.2 13.5
フィリピンの旗 フィリピン 12.8 12.0 13.4 12.1
ポーランドの旗 ポーランド 11.7 11.6 15.2 18.1
ミャンマーの旗 ミャンマー 19.2 15.1 9.4 5.7
大韓民国の旗 韓国かんこく 11.1 10.2 9.9 9.0
日本の旗 日本にっぽん 9.1 9.4 9.8 9.6
インドの旗 インド 8.9 9.9 10.6 12.3
イタリアの旗 イタリア 8.5 8.7 9.2 9.0
インドネシアの旗 インドネシア 9.1 7.8 7.5 6.8
世界せかいけい 952.6 992.1 971.1 904.4

家畜かちくぶたのライフサイクル[編集へんしゅう]

種付たねつよう種雄たねおぶた生後せいご8 - 9かげつ体重たいじゅう130kg(キログラム)を目安めやす交配こうはい可能かのうとなり、5 - 8年間ねんかん繁殖はんしょくもちいられる。交配こうはい自然しぜん交配こうはいか、ぶたから採取さいしゅした精液せいえきによる人工じんこう授精じゅせいがある。繁殖はんしょくようめすぶた生後せいご8か月齢げつれい体重たいじゅう120 - 130kgから交配こうはい開始かいしされる。妊娠にんしん期間きかんは114にち前後ぜんこう授乳じゅにゅうは21 - 35にちとしに2.3 - 2.5かい分娩ぶんべん可能かのう問題もんだいがなければ一生いっしょううちに10かい以上いじょう分娩ぶんべん可能かのうである。にくぶた肥育ひいくぶた)は出生しゅっしょう5 - 6かげつ、100 - 110kgで食用しょくようとされる[47]

種雄たねおぶた[編集へんしゅう]

繁殖はんしょくよう種雄たねおぶたは、8ねん前後ぜんこう種付たねつけにもちいられたのちはいようとなり屠殺とさつされる[47]ゆうしゅうつよいため、おも皮革ひかく肥料ひりょうなどとして利用りようされる。

ははぶた[編集へんしゅう]

分娩ぶんべんストールで飼育しいくされるははぶた

繁殖はんしょく候補こうほとしてえらばれた子取ことようめすぶた繁殖はんしょくようめすぶた)は管理かんりしやすいように妊娠にんしんストールばれるおり(ストール)のなか飼育しいくされる(日本にっぽん農場のうじょうでは91.6%で妊娠にんしんストールが使つかわれている[48])。ストールの面積めんせきは1とうたり1平方へいほうメートル前後ぜんごである[49]妊娠にんしんストールはくにによっては使用しよう規制きせいされている[50]

個体こたい識別しきべつ繁殖はんしょく管理かんりのため、ははぶたみみこく入墨いれずみみみしるべれられる。ははぶたは、生後せいご8かげつはじめて交配こうはいされる。ぶた自然しぜん交配こうはいほう受胎じゅたいりつたかいことから、人工じんこう授精じゅせいりつうしくらべてひくい。うし人工じんこう授精じゅせいりつ99%にたいし、ぶたは40%程度ていどである[51]祖先そせんしゅのイノシシは2ねんにならないと繁殖はんしょくしないが、ぶたは8か月齢げつれい人工じんこう交配こうはいされる[52]

分娩ぶんべんストールの内部ないぶ ははぶた鉄柵てっさくなか拘束こうそくされ、哺乳ほにゅうぶた鉄柵てっさく隙間すきまからははぶたちち

妊娠にんしんしたははぶたは、やく114にち妊娠にんしん期間きかんて、1かいにつきじゅうすうとうぶたむ。祖先そせんしゅのイノシシはのいち年間ねんかん出産しゅっさんすうは5とうじゃくであるが[53]多産たさんははぶた系統けいとう育種いくしゅにより、さんすう大幅おおはば増加ぞうかしており、ぶたは1ねん2-2.5さんで20-30とう出産しゅっさんする[52]。このさんすう増加ぞうかは、養豚ようとん業界ぎょうかいにとって経済けいざいてきなメリットがある一方いっぽう動物どうぶつ福祉ふくし懸念けねん指摘してきされる。すなわち一腹いっぷくあたりのぶたすう増加ぞうかによる分娩ぶんべん長期ちょうきがもたらすははぶた苦痛くつうとストレス、死産しざんぶた増加ぞうかぶたてい体重たいじゅう活力かつりょく低下ていか[54]である。乳頭にゅうとうはイノシシで5-6たいぶたは7ついであり、さんすう増加ぞうかたいして十分じゅうぶんではない[52]ぶたてい体重たいじゅう世界中せかいじゅう一般いっぱんてきになりつつあり、出生しゅっしょう体重たいじゅうが 1 kg 未満みまんぶたは 15% であると推定すいていされている[55]

ははぶたは、妊娠にんしん期間きかんちゅう妊娠にんしんストールに、そして出産しゅっさんすこまえからぶた離乳りにゅうさせる生後せいご21にち前後ぜんこうまでのあいだ分娩ぶんべんストール収容しゅうようされる。

分娩ぶんべんストールは、ははぶた行動こうどう制限せいげんし、妊娠にんしんストール同様どうよう転回てんかいはできない。分娩ぶんべんストールは、ぶた圧死あっしふせ目的もくてきから分娩ぶんべんしがらみ両側りょうがわけられたおりのことで、ぶたはこの分娩ぶんべんしがらみあいだからははぶたちちむ。分娩ぶんべんストールではははぶたぶたがコミュニケーションをれる機会きかいはほとんどなく、ははぶたぶた相互そうご作用さようそこなわれることで、異常いじょう行動こうどう発生はっせいにつながる[56]自然しぜんでは分娩ぶんべんちかづくと、物陰ものかげなど分娩ぶんべんするのに適切てきせつ場所ばしょさがしてはなほりり、わらそうなどの材料ざいりょうはこんでづくりをおこなう。養豚ようとんじょうではそれができず、分娩ぶんべん前日ぜんじつになると、わらなどのづく材料ざいりょうがないにもかかわらず、ははぶたくちはな使つかってづくりの真似事まねごとをする[57]。これは真空しんくう行動こうどうという葛藤かっとう行動こうどうひとつであり、づくりがははぶた内的ないてきつよ動機どうきづけられていることを意味いみする[58]

分娩ぶんべんストールは、動物どうぶつ福祉ふくし阻害そがいするため、スウェーデン、スイス、ノルウェーは、分娩ぶんべんストールを禁止きんししている[59]。また、オーストリアとドイツでは、分娩ぶんべん 5 日間にちかん程度ていど以降いこう分娩ぶんべんストールを段階だんかいてき廃止はいしする[60]ぶた圧死あっしふせぐという目的もくてき使用しようされる分娩ぶんべんストールであるが、研究けんきゅうでは、適切てきせつ環境かんきょう用意よういすれば分娩ぶんべんストールを使つかわなくても圧死あっしふせぐことが可能かのうだとされる[61]圧死あっし要因よういんとして、育種いくしゅによる大型おおがたもある。ははぶた大型おおがたした自分じぶんからだをうまくコントロールできないことがあり、からだよこたえるときはある程度ていどまでからだかたむくとドスンとそのままたおれる。そのためぶた圧死あっしするリスクとなるともわれる[62]

ははぶたでの跛行はこうりつたかく、最大さいだい48%にのぼり[63]蔓延まんえんりつは8 - 16%のあいだとされている。15%のははぶた跛行はこう原因げんいん淘汰とうたされており[64]、アメリカでは跛行はこうははぶた淘汰とうたの3番目ばんめおお理由りゆうとしてランクけされている[65]原因げんいんとしてはストールという拘束こうそく飼育しいくによる運動うんどう不足ふそくげられる。しかし問題もんだい育種いくしゅかんがえられている。イノシシは体重たいじゅうが90kgきろぐらむたっするのに1ねん以上いじょうようするが、育種いくしゅ結果けっかぶた半年はんとしで100kgきろぐらむえる。このぞうたい目的もくてきとした育種いくしゅによるほね形成けいせい不全ふぜん関節かんせつ変形へんけい)が主因しゅいんかんがえられている[52][66]跛行はこう生産せいさんせいへもまけ要素ようそとなる[67]跛行はこうほかははぶた一般いっぱんてき原因げんいんは、突然とつぜん内臓ないぞう脱出だっしゅつ子宮しきゅうぬげちつぬげ直腸ちょくちょうだっ)とされる[68]内臓ないぞう脱出だっしゅつ割合わりあいたかく、一部いちぶ農場のうじょうではめすぶた死亡しぼうの25~50%をめるともわれる。妊娠にんしんストール飼育しいく内臓ないぞう脱出だっしゅつ要因よういんともわれる[69][70]

分娩ぶんべんははぶた自分じぶんぶた体臭たいしゅうなどにより明確めいかく識別しきべつして世話せわをする[71]ぶたへの21にち前後ぜんこう哺乳ほにゅう期間きかんのち交配こうはいよう豚舎とんしゃ移動いどうさせられ、つぎ交配こうはいおこなわれる。横断おうだんてき研究けんきゅうによると、5さんまでに淘汰とうたされるははぶたは50%[72]一般いっぱんてきに2年間ねんかんで4 - 6し、繁殖はんしょくようとして役目やくめえためすぶた平均へいきん3さい)は、「なおし」をしても肉質にくしつ向上こうじょうられないため、はいようとなり屠殺とさつされる。そのにくはソーセージなどの加工かこうひん利用りようされることがおお[73]

しん生子おいごぶた肥育ひいくぶた[編集へんしゅう]

まれたばかりのぶたしん生子おいごぶた)は皮下脂肪ひかしぼう動物どうぶつしゅくらべてうすすくないのでさむさによわいため、保温ほおん必要ひつようになる[74]自然しぜん環境かんきょうでは、ぶた離乳りにゅう生後せいご17しゅうころに完了かんりょうするが、現代げんだい集約しゅうやく養豚ようとんでは、ぶた生後せいご21にちよわいごろに人為じんいてきははぶたから離乳りにゅうされる[75][76][77]欧州おうしゅう連合れんごう(EU)のように、動物どうぶつ福祉ふくしへの配慮はいりょから、離乳りにゅう時期じきを28にちよわい以降いこう制限せいげんしている地域ちいきもある[78]早期そうき離乳りにゅうぶたへのおおきなストレスとなり、下痢げり増加ぞうかする要因よういん[79]にもなるため、離乳りにゅう時期じきについてはさい検討けんとうすることがもとめられている[80]近年きんねんぶた死亡しぼうりつは、平均へいきんで15%から20%まで変動へんどうしている[81]

離乳りにゅう肥育ひいくぶたとしておも配合はいごう飼料しりょう給餌きゅうじし、豚舎とんしゃないぐん肥育ひいくされる。成熟せいじゅくしたぶた皮下脂肪ひかしぼうあつくなる。またぶた汗腺かんせん発達はったつのため肥育ひいくぶたあつさによわい。高温こうおんでは、摂食せっしょくりょうらしたり、呼吸こきゅうすうやしたりつめたいコンクリートゆかからだよこたえたりして放熱ほうねつりょう増加ぞうかさせる。どろじょうでぬたちしてからだやすという祖先そせんしゅイノシシの習性しゅうせいぶたつが、飼育しいくではどろじょうがないため、糞尿ふんにょうわりにぬたちする[82]

ぶた寿命じゅみょうは10ねんから15ねんほどだが、食用しょくようぶたは6 - 7かげつで105 - 110kg程度ていど仕上しあげられ、屠殺とさつされる。屠殺とさつされるぶた大半たいはん胃潰瘍いかいようみとめられるが、ストレスがおおきな要因よういんとなっている[83]

ぶたへの外科げかてき処置しょち[編集へんしゅう]

    • しん生子おいごぶたには8ほん犬歯けんしきりえており[84]ははぶた乳頭にゅうとういをするさいに、ぶたははぶた乳房ちぶさきずつける可能かのうせいがある。また、ははぶた乳頭にゅうとうまれ授乳じゅにゅう拒否きょひしたり、きゅうがってぶたのけがや圧死あっし原因げんいんとなったりする可能かのうせいもある。りは、このような事故じことう防止ぼうしするための手段しゅだんひとつとかんがえられている[85]。ただし、屋外おくがい放牧ほうぼくおこなったり、みついをけるなどの、ストレスのない環境かんきょうでは、切断せつだんをしなくても損傷そんしょうこらなかったり、かみつく行動こうどうったりする[86]研究けんきゅうでは、りの有無うむが、ははぶた乳房ちぶさ同腹どうふくぶたへの損傷そんしょうぶたぞうたい影響えいきょうせず、りの必要ひつようせいみとめられないと結論けつろんけている[87]
    • 歯切はぎれは、ぶたに、神経しんけい感染かんせんしょう出血しゅっけつ骨折こっせつとういたみをこすことがられる[88]。そのため、欧州おうしゅう連合れんごう(EU)では切断せつだん日常にちじょうてきおこなうことを禁止きんししており、デンマーク、ノルウェーでは切断せつだん自体じたい禁止きんししている[89]
    • 日本にっぽん国内こくないでの法規ほうきせいはなく[90]日本にっぽん農家のうかの63.6%がりを実施じっししており、そのうち8わりはほぼ根元ねもとから切断せつだんされている[91]りは通常つうじょう生後せいご7にち以内いない麻酔ますいおこなわれる。また、その道具どうぐとして日本にっぽん農家のうかの9わり以上いじょうがニッパーを使用しようしている[91][48]
  • だん
    • せまいところにあたま収容しゅうようしたりじきりょうがない単調たんちょう環境かんきょう原因げんいんかじりが発生はっせいする。ぶたにとって行動こうどう欲求よっきゅうたか探査たんさ行動こうどう発現はつげんできないことが、ぶたのブタのをかじるという転嫁てんか行動こうどうこす[92]かじりは豚舎とんしゃないひろがりやすく、けたぶたぞうからだりょう低下ていか死亡しぼうリスクとなる。[85]これを防止ぼうしするために、生後せいご7にち以内いない麻酔ますい切断せつだんおこなわれる。には血管けっかんおよび神経しんけいかよっており、切断せつだんによるいたみがしょうじる。外傷がいしょうせい神経しんけいしゅしょうじることもあり、これは恒常こうじょうてきいたみをもたらす[93]
      えさるための探査たんさ行動こうどう動物どうぶつにとってつよ欲求よっきゅう行動こうどうひとつである。とくにブタは嗅覚きゅうかくすぐれており、強靭きょうじんはな利用りようしてこすルーティングやものをむチューイングといった行動こうどうたいしてつよ発現はつげん欲求よっきゅうっている。その行動こうどう制限せいげんされることでブタはつよ欲求よっきゅう不満ふまん状態じょうたいおちいる。十分じゅうぶん発現はつげんできない行動こうどうたいしてブタは、施設しせつをかじることや個体こたいみみをかじること、もしくは攻撃こうげき行動こうどうといった行動こうどう転嫁てんかして発現はつげんするのである。
      月刊げっかん畜産ちくさん技術ぎじゅつ」2014ねん12がつごう27ページ-
    • 日本にっぽん国内こくないでの法規ほうきせいはなく[90]、82.2%の農家のうかだん実施じっしされている[48]一方いっぽうで、デンマークスウェーデンノルウェーフィンランドリトアニアでは麻酔ますいなしでの切断せつだん禁止きんしあるいは規制きせいしており[94]カナダでは2016ねん7がつ1にちから、年齢ねんれいにかかわらずいたみを制御せいぎょする鎮痛ちんつうざいもちいておこなわれなければならないとされている[95]。フランスでは、ぶた切断せつだんにより罰金ばっきんしょせられたケースもある[96]
    • また、だんをしてもかじりは発生はっせいする。まただんした場合ばあいわりにみみむようになることもられている[97]根本こんぽんてき対策たいさくとしては、ぶた生来せいらいもっている探査たんさ行動こうどう発現はつげんできる飼育しいく環境かんきょう提供ていきょう必要ひつようとなる。たとえば、ワラをゆかにおいただけでもかじりによる損傷そんしょう軽減けいげんできる[98]
  • ぶた去勢きょせい
    • 去勢きょせい食肉しょくにくとされたとき独特どくとくゆうしゅうふせぐ、みつ飼での闘争とうそう減少げんしょうさせる、雌雄しゆう混合こんごう飼育しいく交尾こうびしない)を可能かのうにするという目的もくてきおこなわれる[99]
    • 去勢きょせい通常つうじょう生後せいご1週間しゅうかん以内いない実施じっしされ、鋭利えいりなカミソリでふぐり(陰嚢ふぐり)を切開せっかい睾丸こうがんし、き、る、という方法ほうほうおこなわれる[100]処置しょちちゅうだけでなく処置しょちいたみが継続けいぞくする。去勢きょせい摂食せっしょく歩行ほこうなどの活動かつどうりょう減少げんしょうする[101]おと分析ぶんせきでは、麻酔ますいなしで去勢きょせいした場合ばあい通常つうじょう悲鳴ひめいよりもはるかにつよ[102]。1985ねん去勢きょせいしたブタと、去勢きょせいしていないブタのごえ比較ひかく研究けんきゅうおこなわれた。
      ぶたに)たんれているあいだこる悲鳴ひめい周波数しゅうはすうは3500ヘルツだったが、最初さいしょ切開せっかいには4500ヘルツになり、2度目どめ切開せっかいには4857ヘルツにたっした。音声おんせい発生はっせいする周波数しゅうはすう周波数しゅうはすう領域りょういきわた音声おんせい分布ぶんぷ変化へんかだい部分ぶぶんは、去勢きょせいによりたかくなった。去勢きょせい直後ちょくごぶたうごきもすくなく、ふるえたりあしがぐらついたりすべったりはげしくうごかしたり、嘔吐おうとするぶたられたが、はじめはみなよこそべったりはしないで、臀部でんぶいたみがおさまりはじめてからよこたわる。2~3日間にちかんこれらの行動こうどう変化へんかのいくつかがつづられることにより、いたみの持続じぞく期間きかんしした。
      集約しゅうやくてき飼育しいくされたぶた福祉ふくし < EC じゅう医学いがく委員いいんかい報告ほうこくしょ>、[103][ちゅう 3]
      そのため麻酔ますい去勢きょせい福祉ふくしてき貧困ひんこんであるといえる。においは、ぶた成熟せいじゅくしたとき発現はつげんする。そのためブタが成熟せいじゅくしてそういったものが発現はつげんするまえ屠殺とさつするのであれば必要ひつようはない。また、いたみをともなわないよう、外科げかてき去勢きょせいは、十分じゅうぶん長時間ちょうじかん持続じぞくせい鎮痛ちんつうざい使用しようするという条件じょうけんならばおこなわれるべきである[103]
    • 日本にっぽん国内こくないでの法規ほうきせいはなく[90]、ほぼ100%のぶた麻酔ますい去勢きょせい実施じっしされている[104]
    • 一方いっぽうで、外科げかてき去勢きょせい規制きせいするくにてきている。欧州おうしゅう連合れんごう(EU)では、2018ねんからは、自主じしゅてき外科げかてき去勢きょせいを「原則げんそく終了しゅうりょうすることとした[105]。スイスは2009ねんに、デンマークは2019ねんに、麻酔ますい去勢きょせい禁止きんしした[106]。カナダでは2016ねん以降いこう麻酔ますいなしでのぶた去勢きょせい禁止きんし[107]、ドイツでは2019ねん1がつから国内外こくないがいぶた麻酔ますい去勢きょせい禁止きんしされる[108]。2022ねん1がつ1にちからフランスでも麻酔ますい去勢きょせい禁止きんし決定けっていした[109]。 また去勢きょせいをほとんどおこなっていないくにもある(去勢きょせいりつ:イギリス2%、ポルトガル12.5%、スペイン15%、オランダ20%[110])。オーストラリアではせい成熟せいじゅくむかえてにおいがてしまうまえ屠殺とさつや、免疫めんえきがくてき去勢きょせい製剤せいざい(ワクチン接種せっしゅで、精巣せいそう機能きのう阻害そがいする抗体こうたいさんさせ、せい成熟せいじゅくおくらせることができる。日本にっぽんでも2010ねん承認しょうにんずみ[111]。)が一般いっぱんてきであり、動物どうぶつ福祉ふくし観点かんてんから外科げかてき去勢きょせいはほとんどおこなわれていない[112]
  • みみしるべ
    • ぶたみみつばさみをれ、みのかず場所ばしょ個体こたい識別しきべつするみみこく管理かんり手法しゅほうとしてもちいられるが、みをれる箇所かしょおおく、ぶた多大ただい苦痛くつうあたえる[113]

ブタの飼育しいく[編集へんしゅう]

中東ちゅうとう[編集へんしゅう]

イノシシの家畜かちくは、8000ねん以上いじょうまえ[よう出典しゅってん]からユーラシア大陸たいりく東西とうざいおこなわれ、各地かくち独立どくりつ家畜かちくのブタが誕生たんじょうしたとかんがえられている。いまはイスラムけんとなった古代こだいオリエント古代こだいエジプトでもぶた食用しょくようとしていた。古代こだいエジプトではブタをみん賤民せんみんとされていたことが、エジプトを脱出だっしゅつした古代こだいイスラエルじんと、その宗教しゅうきょういだユダヤじんユダヤきょうカシュルート、およびユダヤきょう影響えいきょうけて誕生たんじょうしたイスラム教いすらむきょうにおいては、豚肉ぶたにく肉食にくしょくしょくのタブーとなった原因げんいんとするせつがある。実用じつようじょう理由りゆうとしては、過去かこなま豚肉ぶたにくべて食中毒しょくちゅうどくになるひとおおかったからというせつがある。宗教しゅうきょうじょう理由りゆうとしては、ユダヤ聖書せいしょレビ』では、「四足しそくししのうち、反芻はんすうしないもの」のにくべることがきんじられ、イスラム教いすらむきょう聖典せいてんクルアーン』(コーラン)ではブタは不浄ふじょう動物どうぶつであるとされているからである。補給ほきゅう都合つごうじょう、イスラエルぐんやイスラム国家こっかぐんでも糧食りょうしょくとしてもちいられるれいがあるが[よう出典しゅってん]豚肉ぶたにくのみのせんもん食器しょっき使つかい、食後しょくごすべ破棄はきしている。

ヨーロッパ[編集へんしゅう]

中世ちゅうせいフランスの『ベリーこうのいとも豪華ごうかなるときいのりしょ』にある11月にぶた放牧ほうぼく英語えいごばんおこなっている様子ようす

ヨーロッパからアジアにかけては5000-1まんねんまえ遺跡いせきからぶたほね出土しゅつどしている[114]古代こだいローマひとぶたべなかったわけではないが、ブタの飼育しいく発達はったつしたのは北方ほっぽう森林地帯しんりんちたいゲルマンじんケルトじんしょく文化ぶんかにおいてだった。

日照ひでり時間じかんみじか寒冷かんれいで、土壌どじょうのやせたヨーロッパでは、穀物こくもつ生産せいさんせいひくい。このため、あきになるとナラオーク)のもりにブタをはなしてドングリべさせてふとらせるぶた放牧ほうぼく英語えいごばんおこなわれた。それをほふ畜して食塩しょくえん硝石しょうせき処理しょりして主要しゅよう保存ほぞんしょくにしたのである。

のちアメリカ大陸あめりかたいりくからジャガイモトウモロコシがもたらされると、土地とち面積めんせきたりの収穫しゅうかくりょうおおいそれらがブタの飼料しりょうとして利用りようされることになる。

ドイツスペインイタリアなどのハムベーコンソーセージはこういった伝統でんとうぐ。また、時代じだいすすむと、軍用ぐんよう食料しょくりょうとして、しばしばきたまま軍艦ぐんかん潜水せんすいかんなどに積載せきさいされた。

フランスでは12世紀せいきまで、まち清掃せいそうのためにくびすずをつけて放牧ほうぼくしていたが、1131ねん10がつ13にちフィリップ王子おうじ落馬らくばさせて死亡しぼうさせてしまったことから放牧ほうぼく禁止きんしされた[115]唯一ゆいいつゆるされたのは、皮膚ひふびょう治療ちりょうぶたあぶら使つかっていたせいアントニウス信徒しんとっているぶたである。

アジア[編集へんしゅう]

ぶた遺骨いこつとしてもっとふるいものは中国ちゅうごく南部なんぶいちまんねんまえのものである[114]ひがしアジアでは中国ちゅうごくしん石器せっき時代じだいからブタは家畜かちくされていた。中国ちゅうごく南部なんぶ発祥はっしょうとするオーストロネシア語族ごぞく南太平洋みなみたいへいようにまでブタをれてった。満州まんしゅう民族みんぞく先祖せんぞである挹婁ひと勿吉ひと靺鞨ひと寒冷かんれい満州まんしゅう森林地帯しんりんちたいんでいるので、ブタをさかんに飼育しいくし、極寒ごっかんにはブタの脂肪しぼうからだってさむさをふせいでいた。

ぶた現代げんだい中国ちゅうごく台湾たいわんでもよくべられ、中華ちゅうか料理りょうり重要じゅうよう食材しょくざいとなっている。中国ちゅうごくたんに「にく」といえば豚肉ぶたにくすほどで、飼育しいくりょう世界せかい最大さいだいである。これにたいして、中国ちゅうごく牛肉ぎゅうにく農耕のうこうよう使つかわれたはいうし水牛すいぎゅう利用りようする程度ていどで、食用しょくようとしてはかたすぎたり筋張すじばったりし、それほどこのまれなかった。

朝鮮半島ちょうせんはんとうとく韓国かんこく)では、縁起えんぎ動物どうぶつとされている。漢字かんじの「ぶた」を朝鮮ちょうせんみした「トン(2000ねんしきマ字まじ転写てんしゃdonMRしきマ字まじ転写てんしゃton)」が、「おかね」を意味いみする朝鮮ちょうせん固有こゆう)とつづりがおなじためである。ブタがた貯金ちょきんばこ人気にんきがあり、「ブタのゆめるとおかねまる」とわれ、たからくじったりする。なお、朝鮮ちょうせん固有こゆうでは「ぶた」は「テジ(돼지dwaeji / twaeji)」といい、イノシシは「メッテジ(멧돼지metdwaeji / mettwaeji)」という。

ベトナム料理りょうりでもいわいごとびょうへの供物くもつなどにぶた丸焼まるやきを用意よういしたり、ティット・コー(ぶたかくthịt kho)や、焼豚やきぶたせたライスヌードルであるブン・ティット・ヌオン (Bún thịt nướng) が日常にちじょうてきべられたりするなど、中国ちゅうごく文化ぶんかけてブタは食材しょくざいとして重要じゅうようである。中国ちゅうごく同様どうよう、ベトナムでもたんに「にくthịt)」といえば豚肉ぶたにくthịt heo)をす。

オセアニア[編集へんしゅう]

南太平洋みなみたいへいよう諸島しょとう文化ぶんかにおいて、ブタは唯一ゆいいつ大型おおがた食用しょくよう家畜かちくとして重要じゅうようされた。元々もともとこれらの島々しまじまにはブタは生息せいそくしていなかったが、紀元前きげんぜん10世紀せいきころからはじまったオーストロネシア語族ごぞく拡散かくさんにともなってブタもうみわたり、メラネシアポリネシアおおくの島々しまじま重要じゅうよう家畜かちくとなった。一方いっぽうで、オーストラリアニュージーランドイースターとうトゥアモトゥ諸島しょとうなどのようにブタがまれなかった島々しまじま存在そんざいする。また、ミクロネシア一部いちぶ諸島しょとうのように、いったんまれたブタがなんらかの理由りゆうによって絶滅ぜつめつしたところも存在そんざいする[116]。ブタの飼育しいくされた島々しまじまにおいてブタは儀式ぎしきさいなどにほふられる特別とくべつ食料しょくりょうとなり、またバヌアツなどにおいてはブタのきばとみ象徴しょうちょうとされた。このさい、ブタのきばはできるだけながびているものほど珍重ちんちょうされ、たか価値かちった。なが円弧えんこえがいたブタのきばは、とみ象徴しょうちょうとしてバヌアツの国旗こっきにもえがかれている。

日本にっぽん列島れっとう[編集へんしゅう]

縄文じょうもん弥生やよい時代じだいのブタ[編集へんしゅう]

日本にっぽん列島れっとうでは縄文じょうもん時代じだいおもシカやイノシシを対象たいしょうとする狩猟しゅりょうおこなわれていた。縄文じょうもん時代じだい遺跡いせきから出土しゅつどするイノシシこつでは飼養しよう段階だんかい家畜かちく利用りようしめ家畜かちく現象げんしょうほね出土しゅつどしていることが指摘してきされ、日本にっぽん列島れっとうにおける家畜かちく可能かのうせいかんがえられている。一方いっぽうで、イノシシ飼養しようはいずれも限定げんていてきなもので疑問ぎもんする見解けんかいられる。

弥生やよい時代じだいには日本にっぽん列島れっとうにおいても本格ほんかくてき稲作いなさく農耕のうこう開始かいしされる。中国ちゅうごく大陸たいりくでは農耕のうこうはブタやウマウシなど家畜かちくともなうものであるのにたいし、日本にっぽん列島れっとうにおける弥生やよい遺跡いせきからはながらく家畜かちく痕跡こんせきられないことから、家畜かちく利用りよういた「かけ農耕のうこう」であると理解りかいされていた[117]

1988ねん - 1989ねんには大分おおいたけん大分おおいた下郡しもごおりくわなえ遺跡いせきにおいて弥生やよい時代じだいかんがたのイノシシるい頭蓋骨ずがいこつ3てんとブタ頭蓋骨ずがいこつ出土しゅつどし、さらに九州きゅうしゅう本州ほんしゅう遺跡いせきにおいてブタやニワトリ出土しゅつど事例じれい相次あいついだ[118]

また、縄文じょうもん時代じだい本州ほんしゅうにおいてはシカとイノシシの出土しゅつど比率ひりつがほぼ1:1であるのにたいし、弥生やよい時代じだいには「イノシシ」の比率ひりつ増加ぞうかし、また成獣せいじゅうよりもわかししおお出土しゅつどしている傾向けいこう指摘してきされていた[118]。この弥生やよい時代じだいの「イノシシ」にかんしては、西本にしもとゆたかひろし下郡しもごおりくわなえ遺跡いせき出土しゅつどのイノシシるいこつほね家畜かちく現象げんしょうみとめられることから、野生やせいのイノシシではなく家畜かちくとしての「ブタ」であるとした[119]。その弥生やよいブタの発見はっけん事例じれい相次あいつぎ、1999ねん時点じてんで10かしょ以上いじょうからの弥生やよい遺跡いせきにおいて弥生やよいブタが確認かくにんされている[120]弥生やよい時代じだい遺跡いせきにおいて「イノシシ」の出土しゅつど比率ひりつたかく、なかでもわかししおおてんは「イノシシ」のほねなか家畜かちくされたブタが混在こんざいしている可能かのうせい指摘してきされた[121]

弥生やよいブタにかんしては縄文じょうもん時代じだいからイノシシが家畜かちくされてブタになったのではなく、中国ちゅうごく大陸たいりくから家畜かちくとしてのブタがまれたとするせつがあり、1991ねんと1993ねん西本にしもとゆたかひろしにより指摘してきされた[122][123]。これは、縄文じょうもん時代じだい過渡かとてき段階だんかいのイノシシがられず弥生やよい時代じだい突如とつじょとして家畜かちくされたブタが出現しゅつげんしているてんや、日本にっぽん列島れっとうのイノシシの個体こたいサイズが地域ちいきてきがあるが弥生やよいブタはこれとかけはなれたサイズであるてんなどが理由りゆうとされる[124]

2000ねんには小澤おざわ智生ともおが、中国ちゅうごくさんブタとニホンイノシシは255塩基えんきたいのうち塩基えんき502により区別くべつ可能かのうであるとし、現生げんなま中国ちゅうごく日本にっぽんのイノシシ、ブタにかんしてミトコンドリアDNA分析ぶんせきおこない、日本にっぽん国内こくない弥生やよいブタとされる資料しりょう12てんのうち11てんがニホンイノシシとどうタイプの塩基えんき配列はいれつち、弥生やよいブタはニホンイノシシそのものであるとした[125][126]

これにたいして、2003ねんには石黒いしぐろ直隆なおたからが、塩基えんき502によるイノシシとブタの区別くべつ自体じたい疑義ぎぎとなえ、あらたに255塩基えんきたいふくむ574塩基えんきたいによる系統けいとう解析かいせきおこない、10資料しりょうのうち6資料しりょう現生げんなまイノシシとおなじグループに、4資料しりょうひがしアジアけい家畜かちくブタとおなじグループにふくまれ、大陸たいりくからまれた家畜かちくぶた九州きゅうしゅう四国しこく西日本にしにほん西部せいぶ地域ちいきかぎられているてん指摘してきした[127]

古墳こふん時代じだい古代こだいのブタ[編集へんしゅう]

つづ古墳こふん時代じだい遺跡いせきからもブタのほね出土しゅつどしている。『日本書紀にほんしょき』『万葉集まんようしゅう』『古事記こじき』にみられる「猪飼いかい」「いのししあま」「いのよう」などの言葉ことばの「いのしし」はブタの意味いみであり[ちゅう 4]、ブタがわれていたことがわかる。

天武天皇てんむてんのう675ねんに、ウシとウマ、イヌニホンザルニワトリ肉食にくしょく禁止きんしさだめた。だが、これは正確せいかくえば、肉食にくしょく全面ぜんめん禁止きんし目的もくてきとしたのではなく、稲作いなさく促進そくしん安定あんていした税収ぜいしゅう確保かくほする観点かんてんからされた、稲作いなさく役立やくだ動物どうぶつ保護ほご目的もくてきとしてされた命令めいれいであり、禁止きんし期間きかん稲作いなさくおこなわれる4 - 9月に限定げんていされていた。しかも、当時とうじ肉食にくしょく中心ちゅうしんであったイノシシやシカをはじめとして、このみことのりれい指定していされなかった動物どうぶつにくべることはいちねんとおして禁止きんしされておらず、豚肉ぶたにくべることは禁止きんしされてはいない。しかし、律令りつりょう体制たいせい確立かくりつうえで、こめぜい中心ちゅうしん)とする観点かんてんから、べい神聖しんせいさが強調きょうちょうされるようになった。当初とうしょは、稲作いなさくやくつウシやウマのにくべることが稲作いなさくさまたげになるとかんがえられたが、時代じだいつにつれて、ウシやウマにかぎらず、肉食にくしょくそのものがけが悪業あくごうなされるようになり、ブタの飼育しいく途絶とだえてしまった。イノシシがれる山間さんかんではいのししにくぼたんなべしょうしてわずかにべられることもあった。

中世ちゅうせい近世きんせいのブタ[編集へんしゅう]

中世ちゅうせい琉球りゅうきゅう王国おうこくぞくした沖縄おきなわけん鹿児島かごしまけん奄美あまみ地方ちほうでは、古来こらいからブタの飼育しいく食用しょくようおこなわれており、沖縄おきなわ料理りょうりは「ぶたはじまりぶたわる」ともいわれる。1385ねん渡来とらいしたというくろぶたアグーしまぶたシマウヮー)が有名ゆうめいで、現在げんざい沖縄おきなわ料理りょうりではもっと重要じゅうよう食材しょくざいとなっている。17世紀せいき以前いぜん牛肉ぎゅうにく同様どうようめていたが、はねあさしゅう改革かいかくによりウシ食用しょくよう禁止きんしされた。その中国ちゅうごくからのさつふう使節しせつだん接待せったいするためおうによりブタの大量たいりょう生産せいさん奨励しょうれいされたことなどもあいまって、牛肉ぎゅうにくわる存在そんざいとなっていった。しかし、むかし肉食にくしょくはそれほど容易よういではなく、「ハレ」の料理りょうりとしてあつかわれていた。琉球りゅうきゅう王朝おうちょう時代じだいぶたは「ふーる」とばれるところ飼育しいくされていた。だい世界せかい大戦たいせんまえ沖縄おきなわでは、豚肉ぶたにく料理りょうりべられるのはせいぜいねんすうかいであり、普段ふだんラード豚肉ぶたにく代用だいようとしてよく使つかわれていたという。戦後せんご沖縄おきなわアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく統治とうちされると、米兵べいへいおおべていたポーク・ランチョンミート缶詰かんづめひろ利用りようされるようになり、現代げんだい沖縄おきなわ家庭かてい料理りょうりかせない素材そざいとなった。

奄美あまみ地方ちほう支配しはいした薩摩さつまはんでもブタをってべており、佐藤さとう信淵のぶひろちょ経済けいざい要録ようろく』(1827ねん)には、薩摩さつま江戸えど藩邸はんていぶたって豚肉ぶたにくっていたと記録きろくされている。西郷さいごう隆盛たかもり豚肉ぶたにくだい好物こうぶつであったとつたわっている。江戸えど幕府ばくふ最後さいご征夷大将軍せいいたいしょうぐん徳川とくがわ慶喜よしのぶちち徳川とくがわ斉昭なりあき島津しまつ斉彬なりあきらから豚肉ぶたにくおくられていた(1845ねん5月2にち6月6にち〉の書簡しょかん)ためか、豚肉ぶたにくこのんでべたのでぶたいちさまぶたきのいちはしさま)とばれた。新選しんせんぐみ西本願寺にしほんがんじ駐屯ちゅうとん松本まつもとりょうじゅんのすすめで神戸こうべからぶた養豚ようとんしていた。解体かいたい木屋こやまち医者いしゃ南部なんぶ精一せいいち弟子でしたのんでいた。

長崎ながさきにおいても、鎖国さこくなか数少かずすくない外交がいこう窓口まどぐちであったことから、駐在ちゅうざいする中国人ちゅうごくじん食用しょくようとしてぶた飼育しいくされていた。卓袱しっぽく料理りょうりにもれられて、一部いちぶ日本人にっぽんじん食用しょくようとしても供給きょうきゅうされ、司馬しば江漢こうかんがこれをべた記録きろくがある。おおくの日本人にっぽんじんにとってはきらわれ、中国人ちゅうごくじんぶたきを揶揄やゆした「楊貴妃ようきひは きれいなかおぶたい」という川柳せんりゅうがある。

きん現代げんだいのブタ[編集へんしゅう]

明治維新めいじいしん以後いご肉食にくしょく一般いっぱんしていった。まず普及ふきゅうしたのは牛鍋ぎゅうなべすき)にみられるようにうし圧倒的あっとうてきであり、豚肉ぶたにく需要じゅようはすぐにはびなかった。ぶた飼育しいくえたものの、これは東京とうきょう近郊きんこう農家のうか肥料ひりょうるためで、食用しょくようしゅ目的もくてきではなかった。しかし、日本にっぽん政府せいふ富国強兵ふこくきょうへいさくとして1900ねんより養豚ようとん事業じぎょう開始かいしし、1904ねんにち戦争せんそう開戦かいせんにより兵士へいし支給しきゅうされる食肉しょくにく増加ぞうか、それにともな牛肉ぎゅうにく不足ふそくからの豚肉ぶたにくしょく奨励しょうれいおこなわれた[128]。また大正たいしょう元年がんねん1912ねん)にコレラ流行りゅうこうきると、警視庁けいしちょうがコレラの流行りゅうこうめるためにさかな生食なましょく制限せいげんし、とおすことが前提ぜんていである肉食にくしょく奨励しょうれいした。このさい上述じょうじゅつのようにぶたおお飼育しいくされていた東京とうきょう関東かんとう地方ちほうにおいて安価あんかであった豚肉ぶたにく注目ちゅうもくされた。これによって、それまで牛肉ぎゅうにくおもであったカツレツがぶたえられてとんカツ誕生たんじょうするなど豚肉ぶたにく料理りょうりがこの時期じきおお誕生たんじょう[129]豚肉ぶたにく需要じゅよう急増きゅうぞうして、ブタも日本にっぽん各地かくちふたたわれるようになった。とく関東大震災かんとうだいしんさいのち関東かんとう地方ちほう養豚ようとんブームがき、供給きょうきゅうりょうえて安価あんかになった。琉球りゅうきゅうしまぶた1902ねんにバークシャーしゅ、ハンプシャーしゅはい純粋じゅんすいしゅはなくなったが名護なご奄美あまみ大島おおしまなどで復元ふくげんされている。

品種ひんしゅ[編集へんしゅう]

おも品種ひんしゅbreeds)にだいヨークシャーしゅ高座こうざぶた富士ふじまぼろしぶた代表だいひょうされるヨークシャーしゅ俗称ぞくしょうちゅうヨークシャーしゅ」)、ランドレースしゅデュロックしゅくろぶた代表だいひょうされるバークシャーしゅ、ハンプシャーしゅなどがある。近年きんねんでは、これらの品種ひんしゅふたつかみっつ(さんもと交配こうはい)をわせてにくぶた生産せいさんすることがおおい。肉質にくしつ品種ひんしゅぶたおお品種ひんしゅ使つかいハイブリッドぶたつくられている。くろぶたちゅうヨークシャーしゅにくとく美味びみだとされるが、小柄こがら肥育ひいく日数にっすうようする(アメリカけいバークシャーしゅのぞく)。純粋じゅんすいなかヨークシャーしゅにくよう肥育ひいくすることはすくない。日本にっぽんにおいては「くろぶた」と表示ひょうじして販売はんばいできるのはバークシャー純粋じゅんすいしゅのみとされている[130]。ブタとイノシシは生物せいぶつ分類ぶんるいがくじょうおなしゅ(species)である。実際じっさい相互そうご交配こうはい可能かのうであり、まれてくるイノブタといわれる。

ブタの品種ひんしゅについては、養豚ようとん#品種ひんしゅこう参照さんしょう

ブランドぶた[編集へんしゅう]

日本にっぽんにおいては、ブランドぶた銘柄めいがらぶた)を名乗なのるうえでとく規制きせいはなく、法的ほうてき定義ていぎさだめられていない[131]日本にっぽんにおける豚肉ぶたにくのブランドは1950年代ねんだい後半こうはんから開始かいしされているが、それは一部いちぶかぎられた[131]。1980年代ねんだい後半こうはん牛肉ぎゅうにく輸入ゆにゅう自由じゆうえんだかによる輸入ゆにゅう拡大かくだいによって輸入ゆにゅう牛肉ぎゅうにく豚肉ぶたにく競合きょうごう商品しょうひんになったことで、1990年代ねんだい初頭しょとうにかけて豚肉ぶたにくのブランド急増きゅうぞうした[131]。その毎年まいとし安定あんていてき新規しんきブランドぶた設立せつりつがみられ、豚肉ぶたにくにおけるブランド一般いっぱんてきなものとなった[131]。ブランドについては、農協のうきょう個人こじん農場のうじょう生産せいさんしゃグループ、株式会社かぶしきがいしゃ行政ぎょうせいなどさまざまな実施じっし主体しゅたいがある[131]。ブランドめい地域ちいきめいあるいは地域ちいき連想れんそうさせる事物じぶつめいかんした名称めいしょうおおく、ブランドかならずしもこう品質ひんしつであることは意味いみしない(明確めいかく客観きゃっかんてきな、法的ほうてき品質ひんしつ評価ひょうか基準きじゅん存在そんざいしない)ことから、ブランドぶた産地さんち表示ひょうじてき意味合いみあいがつよいともいえる[131]実情じつじょうとして、おおくのブランドでは、たんなる産地さんちめい表示ひょうじとはことなっており、なんらかのかたちで一般いっぱんぶたとはことなるものであることを主張しゅちょうして一般いっぱんぶたとの差別さべつをうたっている[131]差別さべつのポイントとしては、ぶた品種ひんしゅ血統けっとうぶた飼料しりょう内容ないよう飼養しよう環境かんきょう投薬とうやく管理かんりなどがおお[131]

洋種ようしゅけい[編集へんしゅう]

  • かごしまくろぶた鹿児島かごしまくろぶた - 明治めいじ時代じだい琉球りゅうきゅうからつたえられたしまぶたとイギリスから導入どうにゅうしたバークシャーしゅわせ改良かいりょうされ、本来ほんらい鹿児島かごしまくろぶた誕生たんじょう昭和しょうわはい生産せいさんしゃまも観点かんてんより多産たさんけい発育はついくはやしろぶたとの交配こうはいすすみ、ぞくくろぶたさんげんぶた誕生たんじょうした。明治めいじ交配こうはいされ本来ほんらい鹿児島かごしまくろぶたはながしゃくれていたが、昭和しょうわくろぶた鼻筋はなすじがとおっているくろぶたである。そのそのくろぶたとアメリカンバークシャーしゅとの交配こうはいすすめられた。高級こうきゅう志向しこうながれもあり、ふたたびイギリスけいバークシャーしゅとの交配こうはいすすめられ、現在げんざい鹿児島かごしまくろぶたがある。明治めいじ古来こらいからの血統けっとうはなのしゃくれている鹿児島かごしまくろぶたすくないながらも飼育しいくされており、希少きしょう価値かちたかい。
  • 富士ふじまぼろしぶた(ふじげんとん)- ちゅうヨークシャーしゅわせ二元にげん交配こうはいぶた
  • 高座こうざぶた
  • TOKYO X(トーキョーエックス) - 東京とうきょう系統けいとう造成ぞうせいした。生産せいさん拠点きょてん多摩たま地区ちくのほか、周辺しゅうへんけんにもある。枝肉えだにくうえ規格きかくのみをTOKYO Xとして認定にんていしている。
  • イベリコぶた
  • 白金はっきんぶた(はっきんとん)
  • 茶美ちゃみぶた(チャーミートン)
  • ひらまきさんげんぶた - ランドレースしゅとデュロックしゅわせ、それとバークシャーしゅわせたさんもと交配こうはいぶた山形やまがた特産とくさんひん当初とうしょは「たいらまきくろぶた」という名称めいしょう販売はんばいしていたが、食肉しょくにく公正こうせい競争きょうそう規約きやくだい4じょうだい5ごうだい10じょうだい5ごうおよび、規約きやくもとづく食肉しょくにく公正こうせい競争きょうそう規約きやく施行しこう規則きそくにあわせて現在げんざい名称めいしょう変更へんこうした。
  • ももぶた - 秋田あきた特産とくさんひん
  • もりなかぶたとちゅうとん) - 秋田あきたけん大仙だいせん特産とくさんひん
  • まぼろししもポーク(げんそうぽーく) - 広島ひろしまけんさん。ランドレースしゅだいヨークシャーしゅとデュロックしゅわせた。
  • 元気げんきぶた(げんきぶた) - 千葉ちばけん多古たこまち特産とくさんひん。チバザポーク銘柄めいがらぶたの1つ。
  • ローズポーク - 茨城いばらきけん全国ぜんこく先駆さきがけて系統けいとう造成ぞうせい1979ねん認定にんていされたランドレースしゅ系統けいとうぶた「ローズL」を使つかってできた銘柄めいがらぶた。さらにだいヨークシャーしゅ、デュロックしゅ系統けいとうぶたわせて生産せいさんしている。
  • おおいたL07 - 大分おおいたけん系統けいとう造成ぞうせいしたランドレースしゅ系統けいとうぶた2007ねん登録とうろく
  • シルクポーク - 秋田あきたけん横手よこて特産とくさんひん
  • ひょうごゆきひめポーク - 兵庫ひょうごけん近年きんねん開発かいはつされたしんブランド。一般いっぱんてきさんもと交配こうはいぶたでありながら、赤身あかみ脂肪しぼうサシはいるのが特徴とくちょう
  • 桃色ももいろ吐息といき - 兵庫ひょうごけん姫路ひめじ[132]
  • きょう丹波たんばぽーく - 平成へいせい7ねんからやく10ねんかけて造成ぞうせいしたデュロックしゅ系統けいとうで、「発育はついくはやさ」と「ジューシーな肉質にくしつ」の特長とくちょうゆうしている。
  • 八鹿ようかぶた - 兵庫ひょうごけん養父やぶきゅう八鹿ようかまち[133][134]
  • 愛媛えひめあまとろぶた - ちゅうヨークシャーしゅ純粋じゅんすい交配こうはいぶたに、愛媛えひめけんさんハダカムギあたえたしんブランド。
  • かずぶたもちぶた - ランドレースしゅ×ラージホワイトしゅにデュロックしゅわせたぶた独自どくじ配合はいごう飼料しりょう使つかう。しししゅうがなく、きめがこまかく脂身あぶらみがさっぱりしている。
  • αあるふぁのめぐみ(アルファのめぐみ) - 石川いしかわけん産学さんがくかん共同きょうどう開発かいはつしたブランドぶた一般いっぱんてきぶたくらべ「αあるふぁ-リノレンさん」の含有がんゆうりょうおおいのが特徴とくちょう
  • トトリコぶた - 鳥取とっとりけんのブランドぶたえさドングリもちいるくろぶた
  • アボカドポーク (アボぶた・アボトン) - 千葉ちばけんのブランドぶた飼育しいく過程かていにおいて一定いってい期間きかんアボカドまたはアボカドオイルをぶたあたえて飼育しいくするのが特徴とくちょうである。
  • 玉城たまきぶた - 三重みえけんのブランドぶた[135]

沖縄おきなわしゅけい[編集へんしゅう]

アグー(上野動物園うえのどうぶつえん
  • アグー - 沖縄おきなわ在来ざいらいしゅ元祖がんそとした産業さんぎょうぶた
  • 今帰仁なきじんアグー(ナキジンアグー) - 沖縄おきなわけん今帰仁なきじんむらさん沖縄おきなわ在来ざいらいしゅ閉鎖へいさ育種いくしゅによる系統けいとう選抜せんばつしゅ。ミトコンドリアDNAの解析かいせきではのアグーとことなるひがしアジアで飼育しいくされるぶたのグループにはいる。胸椎きょうつい腰椎ようついかずがイノシシと同数どうすうであり、東洋とうようしゅ特徴とくちょうのこす。せい成熟せいじゅくやく100にちであり卵巣らんそう摘出てきしゅつをしていた沖縄おきなわ伝統でんとうてきめすぶた生理せいり生態せいたいのこす。遺伝いでんてき筋繊維きんせんいほそりがあり脂肪しぼう融点ゆうてんひくちょう美味びみである。平成へいせい24ねん3がつ商標しょうひょう登録とうろくされている。
  • あぐー - JAおきなわの登録とうろく商標しょうひょう。アグーのを4ぶんの1以上いじょう交配こうはいぶた生産せいさん業者ぎょうしゃたいしてあたえられる。

中国ちゅうごくしゅけい[編集へんしゅう]

小型こがた品種ひんしゅ[編集へんしゅう]

ミニブタ
ミニブタ(miniature pig; mini-pig)は品種ひんしゅ改良かいりょう結果けっかまれた愛玩あいがん動物どうぶつ実験じっけん動物どうぶつである。ブタとして「ミニ」であっても、体重たいじゅうおおむね40 - 70kgあり、100kg以上いじょうそだ個体こたいもある[136]元々もともと家畜かちくとしてわれていたブタの小型こがたのもの(中国ちゅうごく南部なんぶ東南とうなんアジアのものがおおい)と、交雑こうざつによってつくられた種類しゅるいとがある。交雑こうざつしゅおも実験じっけん動物どうぶつよう開発かいはつされたもので、クラウンけいミニブタやゲッティンゲンけいミニブタなどがある[137]
アメリカ、イギリス、ドイツ、オーストラリア、日本にっぽんなどでペットとしてわれているミニブタは、ほとんどがベトナムを起源きげんとし、ヨーロッパ→アメリカ→日本にっぽん移入いにゅうされた太鼓腹たいこばら(ポットベリー)からづけられたポットベリーピッグ(ポットベリーしゅ)であり、ドイツで開発かいはつされた「ゲッティンゲン」のくものとおもわれるものもある。
マイクロブタ
マイクロブタはミニブタをさらに品種ひんしゅ改良かいりょうし、体重たいじゅう成長せいちょう停止ていしで18 - 40kg程度ていどまでそだつようにした実験じっけん動物どうぶつ愛玩あいがん動物どうぶつのブタの品種ひんしゅである[138]

野生やせいブタ(ブタ)[編集へんしゅう]

アメリカフロリダしゅうケープ・カナベラル先祖返せんぞがえりしたブタ

ブタが豚舎とんしゃとうから野生やせいすると、全身ぜんしん剛毛ごうもうえ、きばび(正確せいかくには家畜かちくのブタもきばえるが、安全あんぜんのためにっている)、先祖返せんぞがえしてイノシシすることがある。イノシシのきばよりブタのきばほうがっているため、これで区別くべつをつける。ブタは西欧せいおう諸国しょこくにより植民しょくみんされた大洋たいよう散在さんざいする離島りとう食料しょくりょうとしてるためにはなされ、ハワイなどでもかけることがある。イノシシとの混血こんけつイノブタぶ。

アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくでは、2004ねんジョージアしゅう射殺しゃさつされ、写真しゃしん公表こうひょうされた巨大きょだいなブタのような動物どうぶつホグジラ命名めいめいされた。められた死骸しがい調査ちょうさした結果けっか野生やせいしたブタと推測すいそくされている。

文化ぶんか[編集へんしゅう]

しょくのタブー
イスラム教いすらむきょう(ハラール)・ユダヤきょうレビ11しょう7せつ)・仏教ぶっきょう五戒ごかい殺生せっしょう戒)などでぶたべることがタブーとされている。この理由りゆうとして寄生虫きせいちゅうせつがあるが、寄生きせいされてから症状しょうじょうるまでなが期間きかんがあり、豚肉ぶたにく寄生虫きせいちゅうとの因果いんが関係かんけい科学かがくしゃによって解明かいめいされたのは1859ねんのことなので、古代こだいでタブーの理由りゆうとするのはむずかしいだろう[139]。そのほかに、動物どうぶつ腐肉ふにく排泄はいせつぶつべることからきたないとされたせつ人間にんげん食料しょくりょう競合きょうごうするえさべることから砂漠さばく放牧ほうぼく文化ぶんかがない食料しょくりょう枯渇こかつ地域ちいきでは飼育しいくそのものがむずかしくもともと当該とうがい地域ちいき飼育しいくしていなかったせつ[140]などがある。
博物館はくぶつかん
イベント
  • La Pourcailhadeフランス語ふらんすごばん - 展示てんじだいい、ブタのきまねなどがおこなわれるフランスのおまつり。
  • ぶた - 毎年まいとし3がつ1にちアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく開催かいさいされるブタをいわ行事ぎょうじ
文字もじについて
象形しょうけい文字もじから漢字かんじでは「いのこ」だけでぶた意味いみした。いのことして漢字かんじ部首ぶしゅとして使用しようされる。いえというにも変形へんけいしてもちいられるが、これは人間にんげんいえぶた小屋こや一体いったい使用しようされていた背景はいけいぶた便所べんじょなど)からている[141]
現代げんだい中国ちゅうごくでは、「ブタ」は「(=繁体字はんたいじ)/いのしし(=簡体字かんたいじ)」と表記ひょうきされ、ヂュー(zhū)とぶ。古語こごでは「いのこ」(シー shǐ)が使つかわれた。西遊せいゆう登場とうじょうする猪八戒ちょはっかいはブタにてんよもぎ元帥げんすいたましい宿やどった神仙しんせんで、「いの(豬)」は「しゅ」(zhū中国ちゅうごくではよくあるせい)とおとつうじるためにせいは「しゅ」にされていた。しかしあきらだい皇帝こうていせいが「しゅ」であったため、これをはばかってもとのとおり「いの(豬)」をもちい、猪八戒ちょはっかいとなった。
ブタをふくむことわざ・慣用かんよう隠語いんご
  • ぶた真珠しんじゅ」 - 価値かちのわからないもの貴重きちょうなものをあたえても意味いみがない、という意味いみ聖書せいしょマタイによる福音ふくいんしょ7しょう6が言葉ことば由来ゆらい同義どうぎ日本にっぽん独自どくじ言葉ことばとして「ねこ小判こばん」「うまみみ念仏ねんぶつ」。
  • ぶたふとらせてからえ」 - 文字通もじどおり。てんじて、他者たしゃ団体だんたいから利権りけん金品きんぴん普通ふつうげるのではなく、それらへ投資とうし援助えんじょするなどしてうるおわせ油断ゆだんさせたところで、おん強制きょうせいでそれらをよりおおしぼげたりうばうこと。
  • ぶたぬすんでほねほどこす」 - おおきな悪事あくじつぐないにちいさな善行ぜんこうをすること。
  • ぶたもおだてりゃのぼ」 - おだてられて調子ちょうしにのっている人間にんげん揶揄やゆする言葉ことば福島ふくしまけん会津あいづ地方ちほう慣用かんようだったのが、アニメ『ヤッターマン放映ほうえいをきっかけに全国ぜんこく使つかわれるようになった。
  • 豚児とんじ(とんじ)」- 自分じぶん息子むすこをへりくだって言葉ことばで、愚息ぐそく同意どうい。「荊妻けいさい(けいさい)豚児とんじ」は、愚妻ぐさい愚息ぐそく
  • 遼東りょうとういのこ(いのこ)」 - 世間せけんではありふれていることをらずに自分じぶん一人ひとり得意とくいになること。「なかかえる」とおなじ。遼東りゃおとんでは白頭はくとうぶためずらしかったことから。
  • さんいのこわたるかわ(さんししょうか)」 - 漢字かんじ間違まちがえたり、うつ間違まちがえること。孔子こうし弟子でしであるなつすすむで、『史記しき』の「おのれ(きがい)わたるかわ」という部分ぶぶんを、くずしきされているためか「さんいのこわたるかわ」とあやまったひとがいたため、指摘してきをしたという『りょ春秋しゅんじゅう』にえる故事こじによる。「いのこ譌(がいしのか)」「魯魚ろぎょいのこ(ろぎょがいし)」も同様どうように、漢字かんじ間違まちがえることをあらわす。
  • いのこ交獣畜(しこうじゅうちく)」 - ぶた同様どうようまじわり、ししのように飼育しいくする。人間にんげんししあつかいする。
  • ふういのこ長蛇ちょうだ(ほうしちょうだ)」 - おおきなブタ(いのしし)とながへび貪欲どんよく残忍ざんにんひとこくのたとえ。『春秋しゅんじゅうひだりでん』による成語せいご
  • 「メスブタ」- 性的せいてきにふしだらなおんなののし言葉ことばマゾヒズムおんな自称じしょうする場合ばあいもある。
  • いの(しし)ったむくい」 - わるいことをしたむくい。中世ちゅうせい日本にっぽん禁忌きんきとされた肉食にくしょく悪事あくじになぞらえている。
  • 「それぞれのぶたにサン・マルティンのる」 - スペインせいマルティヌスのにはぶた解体かいたいしたことから、どんなものにもツケがまわってくるとの[142]
  • そのふとっているひと」「私利しり私欲しよくやすひと」、また「特定とくてい作品さくひん分野ぶんやへの侮蔑ぶべつ」の比喩ひゆとしてブタがもちいられる。肥満ひまんものへの蔑称べっしょうとして使つかわれることがおおいが、実際じっさいぶたからだ脂肪しぼうりつ平均へいきんてき成人せいじん男性だんせいよりひくい。
  • Schwein habenドイツばん - ドイツ直訳ちょくやくすると「ぶたう」ので、多産たさん貪欲どんよくべることからひと裕福ゆうふく多産たさん人間にんげんとされ、ぶた幸福こうふく人間にんげん象徴しょうちょうとされた。
ブタにちなんだ言葉ことば事物じぶつ
ぶたかんする作品さくひん

ぶた民話みんわ寓話ぐうわ童話どうわアニメーションひとしに、擬人ぎじんされたキャラクターとしてよく登場とうじょうする。

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

注釈ちゅうしゃく[編集へんしゅう]

  1. ^ フランスには、Dans le cochon, tout est bon (ぶたはどこをべてもおいしい)というかたりがある。
  2. ^ 公衆こうしゅう衛生えいせいについての観念かんねん希薄きはく時代じだい地域ちいきにおいては、人間にんげん排泄はいせつぶつべさせてそだてるぶた便所べんじょしつらえられていたれいもある。
  3. ^ ()ない編集へんしゅうしゃによる加筆かひつ
  4. ^ 本来ほんらい字義じぎ現代げんだい中国語ちゅうごくごでもおなじである。

出典しゅってん[編集へんしゅう]

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参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]