ホームレス

インドコルカタの路上ろじょうで寝ねているホームレス家族かぞく（上うえ）、東京とうきょうのホームレス高齢こうれい者しゃ（下した）

ホームレス（英えい: homelessness）は、狭義きょうぎには様々さまざまな理由りゆうにより定さだまった住居じゅうきょを持もたず、公園こうえん・路上ろじょうを生活せいかつの場ばとする人々ひとびと（路上ろじょう生活せいかつ者しゃ）、公共こうきょう施設しせつ・河原かわはら・橋はしの下したなどを起居ききょの場所ばしょとし日常にちじょう生活せいかつを営いとなんでいる野宿のじゅく者しゃや車くるま上じょう生活せいかつ者しゃのこと。広義こうぎには、一時いちじ施設しせつ居住きょじゅうや家賃やちん滞納たいのう、再さい開発かいはつによる立たち退のき、ドメスティックバイオレンスのため自宅じたくを離はなれなければならない人ひとなど住宅じゅうたくを失うしなった人ひとのこと。

言葉ことばとしてのホームレスは 1970年代ねんだい頃ころのイギリスで使つかわれ始はじめたといわれている^[1]。

日本にっぽんでは長ながらく浮浪ふろう者しゃと呼よばれていたことがあり、今いまもホームレスを浮浪ふろう者しゃと呼よぶことがある。

原因げんいん[編集へんしゅう]

経緯けいいは人ひとにより様々さまざまであるが、一般いっぱん的てきには下記かきのパターンのいずれかである。

破産はさん、失業しつぎょう、搾取さくしゅ（無職むしょくである場合ばあいも含ふくむ）、病気びょうき、障害しょうがいなどが原因げんいん（深刻しんこくな景気けいき悪化あっかで収入しゅうにゅうが無なくなる・減少げんしょうするという事態じたいも含ふくむ）で、住宅じゅうたく購入こうにゅう時じの借金しゃっきん（賃貸ちんたい料りょうも含ふくむ）が返済へんさいできなくなる
雇用こよう主ぬしから提供ていきょうされている住居じゅうきょである官舎かんしゃ・社宅しゃたく・寮りょうに居住きょじゅうしていたが、失業しつぎょうした
銀行ぎんこう、事業じぎょう者しゃ金融きんゆう、消費しょうひ者しゃ金融きんゆう、ヤミ金融きんゆうなどからの借金しゃっきんを返済へんさいできなくなり、取とり立たてから逃がれるため
離婚りこんを求もとめての別居べっきょ、ドメスティック・バイオレンス、再婚さいこんや復縁ふくえんを求もとめる元もと配偶はいぐう者しゃ、元もと交際こうさい相手あいてからのストーカー行為こういの被害ひがいから逃がれるため
親権しんけん者しゃや親おやの再婚さいこん相手あいての新あたらしい家族かぞくから、養育よういくされていた児童じどうや若者わかものが、常習じょうしゅう的てきな児童じどう虐待ぎゃくたいや性的せいてき虐待ぎゃくたい、嫌いやがらせに耐たえられなくなり、その被害ひがいから逃のがれるため
警察けいさつから犯罪はんざいの被疑ひぎ者しゃとして捜査そうさ手配てはいされ、逃亡とうぼうするため
18歳さいで高校こうこうを卒業そつぎょうまたは、18歳さいになる前まえに高校こうこうを中途ちゅうと退学たいがくをし児童じどう養護ようご施設しせつ、母子ぼし生活せいかつ支援しえん施設しせつから退すさ所ところ、里親さとおやを離はなれたが、住所じゅうしょがなく、仕事しごとが見みつからない、頼たよれる家族かぞく、兄弟きょうだい、親戚しんせきがいない
非行ひこうや重大じゅうだい事件じけんを起おこして少年院しょうねんいん、児童じどう自立じりつ支援しえん施設しせつ、児童じどう養護ようご施設しせつ、刑務所けいむしょ、少年しょうねん刑務所けいむしょから満期まんきで出所しゅっしょ（少年院しょうねんいんであれば、満期まんき退院たいいん、児童じどう自立じりつ支援しえん施設しせつや児童じどう養護ようご施設しせつであれば、満期まんき退すさ所しょ）したが、受うけ入いれ可能かのうな更生こうせい保護ほご施設しせつや自立じりつ援助えんじょホームが見みつからない、身元みもと引受ひきうけ人じんとなってもらえる家族かぞく、親族しんぞく、兄弟きょうだいがいない、家族かぞく、親族しんぞく、兄弟きょうだいから身元みもと引ひき受うけ人じんを拒否きょひされた、仕事しごとが見みつからない、所持しょじ金きんがなく（または少すくなくなり、刑務所けいむしょや少年しょうねん刑務所けいむしょを満期まんき出所しゅっしょした受刑じゅけい者しゃであれば、出所しゅっしょするときに受うけ取とった刑務けいむ作業さぎょう報奨ほうしょう金きんが底そこをつき）ネットカフェ、ビジネスホテルをはじめとする宿泊しゅくはく施設しせつ、健康けんこうランド、サウナに宿泊しゅくはくする費用ひよう、交通こうつう費ひ（鉄道てつどう、高速こうそくバス、飛行機ひこうき、フェリー、路線ろせんバス、タクシー代だい）を捻出ねんしゅつすることが困難こんなんで帰かえり住じゅう先さき、屋根やねがあって雨風あめかぜからしのげる居場所いばしょ、代かわりの住居じゅうきょを確保かくほできない状況じょうきょうである。

アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく[編集へんしゅう]

マッキニー・ヴェント法ほう（McKinney-Vento Homeless Assistance Act）では「固定こていされ定常ていじょう的てきで十分じゅうぶんな機能きのうを持もつ夜間やかんの宿泊しゅくはく場所ばしょを持もたず、夜間やかんの主しゅたる宿泊しゅくはく場所ばしょが、1.公的こうてき主体しゅたい又または民間みんかん主体しゅたいにより運営うんえいされている一時いちじ宿泊しゅくはく施設しせつ、2.収容しゅうようすることが必要ひつような者ものに一時いちじ的てきに宿泊しゅくはく場所ばしょを提供ていきょうする各種かくしゅ施設しせつ、3.人間にんげんが定常ていじょう的てきに寝起ねおきする場所ばしょとしてデザインされていない、または、通常つうじょう使用しようされない公共こうきょう及および民間みんかん施設しせつのいずれかの者もの」をいう。

統計とうけい[編集へんしゅう]

アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくの貧困ひんこん者しゃ数すうは約やく3,792.0万まん人にん（2022年ねん）^[2]。住宅じゅうたく都市とし開発かいはつ省しょうの調査ちょうさによると、ホームレスは2022年ねんで、582,462人にん存在そんざいし、2013年ねん以降いこうは、2019年ねんコロナウイルス感染かんせん症しょう流行りゅうこうの影響えいきょうによりシェルターに入居にゅうきょしてないホームレス末まつ調査ちょうさの2021年ねんを除のぞき50万まん後半こうはん台だいで推移すいいしている^[3]。アメリカのホームレスの内訳うちわけとして、

シェルター入居にゅうきょ有無うむ

有ゆう：348,630人にん（約やく59.9%）無む：233,832人にん（約やく40.1%）

年齢ねんれい別べつ

25歳さい以上いじょう：444,041人にん（約やく76.2%） 18歳さい～24歳さい：40,177人にん（約やく6.9%） 18歳さい未満みまん：98,244人にん（約やく16.9%）

性別せいべつ

男性だんせい：352,836人にん（約やく60.6%) 女性じょせい：222,970人にん（約やく38.3%）トランスジェンダー：3,588人にん（約やく0.6%）

ジェンダーノンコンフォーミング（性せいに関かんする旧来きゅうらいの固定こてい観念かんねんに合致がっちしない人ひと）：2,481人にん（約やく0.4%）

人種じんしゅ別べつ

非ひヒスパニック系けい白人はくじん：291,395人にん（約やく50.0%）ヒスパニック系けい白人はくじん：140,230人にん（約やく24.1%）黒人こくじん：217,366人にん（約やく37.3%）アジア系けい：8,261人にん（約やく1.4%）

ネイティブ・アメリカン：19,618人にん（約やく3.4%) 太平洋たいへいよう諸島しょとう系けい：10,461人にん（約やく1.8%）混血こんけつ：35,383人にん（約やく6.1%）

ホームレス人口じんこうの高たかい州しゅう

カリフォルニア州しゅう：171,521人にんニューヨーク州しゅう：74,178人にんフロリダ州しゅう：25,959人にんワシントン州しゅう：25,211人にんテキサス州しゅう：24,432人にん

シェルター入居にゅうきょ無むの割合わりあいの多おおい州しゅう

カルフォルニア州しゅう：約やく67.3%（171,521人にん中ちゅう115,491人にん）、ミシシッピ州しゅう：約やく63.6%（1,196人にん中ちゅう761人にん）、ハワイ州しゅう：約やく62.7%（5,967人にん中ちゅう3,743人にん）、

オレゴン州しゅう：約やく61.7%（17,959人にん中ちゅう11,088人にん）、アリゾナ州しゅう：約やく59.2%（13,553人にん中ちゅう8,027人にん）

ホームレスの多おおい大都市だいとし

ロサンゼルス市し：65,111人にん、ニューヨーク市し：61,840人にん、シアトル市し：13,368人にん、サンノゼ市し：10,028人にん、バークレー市し：9,747人にん

シェルター入居にゅうきょ無むの割合わりあいの多おおい大都市だいとし

サンタクララ市し:約やく76.9%、ローリー市し:約やく75.6%、ツーソン市し：約やく74.0%、オークランド市し：約やく73.2%、サクラメント市し：約やく72.3%

となっている。また、18歳さい未満みまんのホームレスが全米ぜんべいで98,244人にんであるが、約やく89.6%（87,960人にん）がシェルターに入居にゅうきょしている。

又また、その他たにも、色いろんなタイプのホームレスが以下いかのようにいる。

子供こどものいる家族かぞく連づれのホームレス:171,575人にん（内うち、シェルター入居にゅうきょ者しゃ：143,733 人にん）
単身たんしん若年じゃくねんホームレス（25歳さい未満みまん）:30,090人にん（内うち、18歳さい未満みまん：2,695人にん、シェルター入居にゅうきょ者しゃ：17,104人にん）
退役たいえき軍人ぐんじんホームレス:33,129人にん（内うち、シェルター入居にゅうきょ者しゃ：19,565人にん）
慢性まんせいホームレス（何なん年ねんにもわたって施設しせつ入所にゅうしょを繰くり返かえしつつ､ホームレス状態じょうたいから脱却だっきゃくできないホームレスのこと）:127,768人にん（内うち、シェルター入居にゅうきょ者しゃ：49,153人にん）

都市とし別べつで2番目ばんめに多おおかったニューヨーク市しでは、2022年ねん時点じてんでのホームレス61,840人にんの内うち、路上ろじょうホームレスは3,455人にん、シェルター入居にゅうきょ者しゃは58,385人にんであり、入居にゅうきょ者しゃの約やく95.4%（55,677人にん）が緊急きんきゅう用ようシェルター（emergency shelters[ES])に入居にゅうきょしている。また、子供こどものいる家族かぞく連づれのホームレスは、29,532人にんであるが、路上ろじょうホームレスはおらず、家族かぞく連づれのほとんどが、緊急きんきゅう用ようシェルター（emergency shelters[ES])に入居にゅうきょしている。

ニューヨーク市しに対たいして最もっとも多おおかったロサンゼルス市しでは、2022年ねん時点じてんでのホームレス65,111人にんの内うち、路上ろじょうホームレスは45,878人にん、シェルター入居にゅうきょ者しゃは19,233人にんとシェルター入居にゅうきょ率りつは約やく3割わりとニューヨーク市しに比くらべ低ひくく、入居にゅうきょ者しゃの約やく84.7%（16,287人にん）が緊急きんきゅう用ようシェルター（emergency shelters[ES])に入居にゅうきょしている。また、子供こどものいる家族かぞく連づれのホームレスは、10,642人にんであるが、約やく86.5%（9,208人にん）がシェルターに入居にゅうきょしており、その内うちの約やく88.6%が、緊急きんきゅう用ようシェルター（emergency shelters[ES])に入居にゅうきょしている。入居にゅうきょしてない1,434人にんは、路上ろじょうで生活せいかつしていた。

支援しえん[編集へんしゅう]

公的こうてき支援しえん[編集へんしゅう]

住宅じゅうたく保障ほしょう制度せいどに関かんしてはマッキニー・ヴェント法ほうにより住宅じゅうたく都市とし開発かいはつ省しょうを中心ちゅうしんに基金ききんによるプログラムが実施じっしされている。

所得しょとく保障ほしょう制度せいどに関かんしては日本にっぽんの生活せいかつ保護ほご制度せいどのような包括ほうかつ的てきな公的こうてき扶助ふじょ制度せいどは存在そんざいせず、対象たいしょう者しゃの属性ぞくせいに応おうじた個別こべつの制度せいどと州しゅうごとの制度せいどが分立ぶんりつしている。

失業しつぎょう保障ほしょう制度せいどに関かんしては労働省ろうどうしょうの管轄かんかつする連邦れんぽう失業しつぎょう税法ぜいほうと社会しゃかい保障ほしょう法ほうに基もとづく連邦れんぽう・州しゅう失業しつぎょう保険ほけんプログラムがあり管理かんり運営うんえいは各州かくしゅうが実施じっししている。

民間みんかん支援しえん[編集へんしゅう]

政府せいふや自治体じちたいが設置せっちした施設しせつの運営うんえいを民間みんかんに委託いたくするなど官民かんみんの積極せっきょく的てきな連携れんけいが行おこなわれている。

ニューヨークでは約やく150の民間みんかんの支援しえん団体だんたいが活動かつどうを行おこなっている。

治安ちあん[編集へんしゅう]

アメリカではホームレスに対たいする襲撃しゅうげき事件じけんが常態じょうたい化かしている。全米ぜんべいホームレス連合れんごう（英語えいご版ばん）が2018年ねん12月21日にちに発表はっぴょうした調査ちょうさによると、2016年ねんから2017年ねんにかけて発生はっせいした襲撃しゅうげき事件じけんは112件けんで、うち48件けんでは被害ひがい者しゃが死亡しぼうしており、発覚はっかくしていない事件じけんも多おおいと考かんがえられている^[4]。

更さらに、カリフォルニア州しゅうを拠点きょてんとするキリスト教会きょうかい（インペリアル・バレー・ミニストリーズ）が、路上ろじょう生活せいかつ者しゃを監禁かんきんした上うえで、物乞ものごいを強要きょうようした。更さらには本来ほんらい、路上ろじょう生活せいかつ者しゃに受給じゅきゅうされるべき生活せいかつ保護ほご給付きゅうふ金きんを取とり上あげるという貧困ひんこんビジネスが行おこなわれていた。この事ことが監禁かんきんされたホームレスが脱出だっしゅつして警察けいさつへ通報つうほうしたことにより発覚はっかくし、2019年ねん9月がつ10日とおかに連邦れんぽう司法しほう当局とうきょくに摘発てきはつされている。^[5]

イギリス[編集へんしゅう]

歴史れきし[編集へんしゅう]

イギリスでは17世紀せいき以来いらいの救貧きゅうひん法ほうや1948年ねんの国民こくみん扶助ふじょ法ほう（National Assitance Act）などホームレス問題もんだいは福祉ふくしの問題もんだいとして扱あつかわれてきた。

定義ていぎ[編集へんしゅう]

法律ほうりつでは1996年ねんの住宅じゅうたく法ほうからホームレスを定義ていぎしており、2002年ねんのホームレス法ほう（Homelessness Act 2002での定義ていぎも変かわっていない。ホームレス法ほうでは「占拠せんきょする法的ほうてき権利けんりを有ゆうし、アクセス可能かのうかつ物理ぶつり的てきに使用しよう可能かのうで、継続けいぞくして居住きょじゅうすることが合理ごうり的てきである宿泊しゅくはく場所ばしょを有ゆうさないもの」と定義ていぎされている。なお、「56日にち以内いないにホームレスになる恐おそれがある人ひと」もホームレス法ほうの対象たいしょうとなる。^[6]

なお2017年ねん4月がつに制定せいていされた「ホームレス削減さくげん法ほう2017」に基もとづき、従来じゅうらいの「28日にち以内いないにホームレスになる危険きけん」という条文じょうぶんが「56日にち以内いない」へと改あらためられ、日数にっすうが二に倍ばいに延長えんちょうされたことでより早期そうきから各かく自治体じちたいの対応たいおうを促うながすよう改正かいせいがなされた^[7]。

統計とうけい[編集へんしゅう]

路上ろじょう生活せいかつ者しゃ[編集へんしゅう]

日本にっぽんのホームレスの定義ていぎに近ちかい路上ろじょう生活せいかつ者しゃは、2022年ねん 10月1日にちから11月30日にちまでの調査ちょうさにより、3,069人にんであった^[8]た。その内うち、約やく28%（858人にん）がロンドンで路上ろじょう生活せいかつをしていた。2010年ねん（1,768人にん、ロンドン:415人にん）から2017年ねん（4,751人にん、ロンドン:1,137人にん）までは増加ぞうかしていたが、2018年ねん～2021年ねんは、2度目どめのロックダウン期間きかん（2020年ねん 11月5日にち～同年どうねん12月4日にち)と重かさなっていること、2020年ねん3月23日にちに開始かいしされた「Everyone In scheme」により、コロナウイルス感染かんせん症しょう2019流行りゅうこう防止ぼうしの為ため、路上ろじょう生活せいかつ者しゃを対象たいしょうに緊急きんきゅう避難ひなん所しょに収容しゅうようする対策たいさく（実際じっさいに、2021年ねん11月時点じてんで4,300人にんが収容しゅうようされていた。）を取とっていたことも相あいまって、2021年ねんは2,443人にん（内うちロンドンは858人にん）^[9]と減少げんしょうしたが、2022年ねんは前年ぜんねんに比くらべて約やく26%増加ぞうかしている。

性別せいべつでは、男性だんせいが83%（2,539人にん）を占しめていた。

また、イギリス国籍こくせき以外いがいのホームレスは国くに全体ぜんたいでは約やく26%（811人にん）を占しめており、その内うちの約やく78%（611人にん）がEU加盟かめい国こくの国籍こくせき保有ほゆう者しゃである（なお、イギリスは2020年ねん 12月31日にち午後ごご11時じGMT、EU本部ほんぶのあるブリュッセルの中央ちゅうおうヨーロッパ時間じかんでは2021年ねん 1月がつ1日にち午前ごぜん0時じにEUから離脱りだつしている。）。ロンドンでは約やく51%（約やく440人にん）を占しめ、イギリス国籍こくせき以外いがいのホームレスの約やく半分はんぶんがロンドンに集中しゅうちゅうしているこおり、ロンドンで路上ろじょう生活せいかつをしているイギリス国籍こくせき以外いがいのホームレスの約やく4分ぶんの3がEU加盟かめい国こくの国籍こくせき保有ほゆう者しゃを占しめている。

そして、25歳さい以下いかの若年じゃくねん路上ろじょう生活せいかつ者しゃは国くに全体ぜんたいで約やく5%（194人にん）であり、ロンドンでは約やく7%（55～64人にん）であった^[8]。

但ただし、後述こうじゅつする日本にっぽんと同様どうように路上ろじょう生活せいかつ者しゃの人数にんずうに関かんしては議論ぎろんがあり、政府せいふ統計とうけいの約やく3倍ばいの人数にんずうがいることが慈善じぜん団体だんたいにより指摘してきされている。何故なぜなら、行政ぎょうせい関係かんけい者しゃが調査ちょうさする日ひに、路上ろじょうでなくシェルターで過すごしたり、人目ひとめに付つかないように移動いどうしたりする路上ろじょう生活せいかつ者しゃの存在そんざいが多おおくいるからである。例たとえば、2017年ねんのロンドン市内しないの路上ろじょう生活せいかつ者しゃは、政府せいふ統計とうけいでは1,137人にんだが、支援しえん団体だんたいによる調査ちょうさでは、8,108人にんが少すくなくとも1晩ばん路上ろじょうで過すごしていると推計すいけいされた^[10]。

広義こうぎのホームレス[編集へんしゅう]

年齢ねんれい別べつイギリス
ホームレス申請しんせい者しゃ
年齢ねんれい層そう	人数にんずう	割合わりあい
16-17歳さい	2,560	0.9%
18-24歳さい	53,520	19.2%
25-34歳さい	85,210	30.6%
35-44歳さい	66,970	24.1%
45-54歳さい	39,280	14.1%
55-64 歳さい	20,230	7.3%
65-74歳さい	7,310	2.6%
75歳さい以上いじょう	2,830	1.0%
年齢ねんれい不ふ詳しょう	220	0.1%

2021年ねん4月がつから2022年ねん3月がつにかけて、ホームレス法ほうに基もとづいて行おこなわれた認定にんてい件数けんすうは278,110件けんであり、その内うちの133,450件けんが、家いえを失うしなう恐おそれがあった^[11]。

また、ホームレスとして申請しんせいした者ものの年齢ねんれい別べつは右みぎの表ひょうのようになっており、18歳さいから44歳さいまでの青年せいねん・壮年そうねん期きの年齢ねんれい層そうが約やく4分ぶんの3を占しめている。

世帯せたい構成こうせい

56日にち以内いないに家いえを失うしなう恐おそれがあった世帯せたいの内うち、最もっとも多おおいのが単身たんしん男性だんせいが約やく29%（38,440世帯せたい）、次ついで母子ぼし世帯せたいが約やく25%（33,170世帯せたい）、3番目ばんめが単身たんしん女性じょせいが約やく21%（28,340世帯せたい）となっており、この3タイプで4分ぶんの3近ちかくを占しめる。

家いえを失うしなっている（路上ろじょう生活せいかつ者しゃを含ふくめ、自炊じすい・素泊すどまり施設しせつなど住居じゅうきょが安定あんていしていない状態じょうたいの者ものも含ふくむ）世帯せたいの場合ばあい、単身たんしん男性だんせいが約やく48%（69,320世帯せたい）と半数はんすう近ちかくを占しめ、単身たんしん女性じょせい（31,720世帯せたい）も含ふくめた場合ばあい、約やく7割わりとなる。

理由りゆう

56日にち以内いないにホームレスになる恐おそれがあった理由りゆうで最もっとも多おおいのが、借家しゃくや契約けいやくの終了しゅうりょう（不動産ふどうさんの売却ばいきゃく又または違ちがう者ものに賃ちんしたいため、住居じゅうきょ費ひが工面くめんできなかった、借家しゃくや契約けいやく違反いはん、家主やぬしによる違法いほう立たち退のきなど）が、約やく33%（44,140世帯せたい）を占しめた。次ついで、家族かぞく又または友人ゆうじんの家いえに住すむことが出来できなくなったことが約やく26%（34,080世帯せたい）、3番目ばんめに家庭かてい内ない暴力ぼうりょくが約やく8%（10,360世帯せたい）を占しめた。

家いえを失うしなっている世帯せたいの場合ばあい、最もっとも多おおいのが家族かぞく又または友人ゆうじんの家いえに住すむことが出来できなくなったことが約やく31%（44,190世帯せたい）、次ついで家庭かてい内ない暴力ぼうりょくが約やく17%（24,350世帯せたい）、3番目ばんめに借家しゃくや契約けいやくの終了しゅうりょう（不動産ふどうさんの売却ばいきゃく又または違ちがう者ものに賃ちんしたいため、住居じゅうきょ費ひが工面くめんできなかった、借家しゃくや契約けいやく違反いはん、家主やぬしによる違法いほう立たち退のきなど）が約やく10%（14,360世帯せたい）となっている。

前者ぜんしゃも後者こうしゃも、理由りゆうの多おおくは、金銭きんせん面めんや契約けいやく上じょうでの問題もんだいや世帯せたい内ないでの暴力ぼうりょく（身体しんたい以外いがいも含ふくむ）が理由りゆうとなっている。そして、家庭かてい内ない暴力ぼうりょくにより住すむ家いえから離はなれざるをえないためか、56日にち以内いないにホームレスになる恐おそれがある世帯せたいに占しめる割合わりあいより家いえを失うしなっている世帯せたいに占しめる割合わりあいの方ほうが高たかい。

申請しんせい時じの宿泊しゅくはく施設しせつ

最もっとも多おおいのが玄関げんかん、台所だいどころ、風呂ふろなどを備そなえている民間みんかん賃貸ちんたいの約やく25%（74,690世帯せたい）であり、次ついで家族かぞくの家いえに居候いそうろうが約やく25%（68,930世帯せたい）、3番目ばんめが地方自治体ちほうじちたい又または住宅じゅうたく組合くみあいの賃貸ちんたい住宅じゅうたくが約やく11%（29,540世帯せたい）となっている。また路上ろじょう生活せいかつ状態じょうたいの世帯せたいは約やく4%（11,250世帯せたい）であった。

人種じんしゅ構成こうせい

ホームレス世帯せたいの約やく62%（173,070世帯せたい）がロマでない非ひアイルランド系けい白人はくじんで占しめているが、約やく10%（28,400世帯せたい）の黒人こくじんがいる。また、約やく6%（17,080世帯せたい）がアジア系けいであるが、約やく7割わり近ちかくをパキスタン（6,240世帯せたい）、インド（2,670世帯せたい）、バングラディッシュ（2,920世帯せたい）の3カ国かこくで占しめる。

勤労きんろう状態じょうたい

最もっとも多おおいのが失業しつぎょう者しゃが約やく36%（99,400世帯せたい）、次ついで長期ちょうきの病気びょうきや障害しょうがいによる労働ろうどう不能ふのう者しゃが約やく14%（39,130世帯せたい）、3番目ばんめがフルタイム労働ろうどう者しゃの約やく14%（38,350世帯せたい）であった。勤労きんろうしている世帯せたい（在宅ざいたく勤務きんむ者しゃ除のぞく）は、パートタイム労働ろうどう者しゃを含ふくめても全ぜん世帯せたいの約やく28%に過すぎない。

2022年ねん7月がつ～9月がつに、ホームレス法ほうの下したで地方自治体ちほうじちたいが手配てはいした一時いちじ宿泊しゅくはく施設しせつの総そう世帯せたい数すうは99,270世帯せたいであった。その内うち、約やく26%（25,480世帯せたい）が玄関げんかん、台所だいどころ、風呂ふろなどを備そなえている個人こじん経営けいえいの宿泊しゅくはく施設しせつであり、地方自治体ちほうじちたい又または住宅じゅうたく組合くみあいの賃貸ちんたい住宅じゅうたくが約やく25%（25,290世帯せたい）、民間みんかん一いち時じ宿泊しゅくはく施設しせつが約やく23%（23,180世帯せたい）であり、これら３みっつで約やく約やく4分ぶんの3を占しめる。更さらに、一時いちじ宿泊しゅくはく施設しせつには125,760人にんの子供こどもが滞在たいざいしていた。

支援しえん[編集へんしゅう]

公的こうてき支援しえん[編集へんしゅう]

住宅じゅうたく保障ほしょう制度せいどに関かんしては1983年ねんに住宅じゅうたく給付きゅうふ制度せいどが導入どうにゅうされ労働ろうどう年金ねんきん省しょうが管轄かんかつしている。また、2003年ねんに導入どうにゅうされた住宅じゅうたく弱者じゃくしゃの支援しえんプログラムは自治省じちしょうが管轄かんかつしている。

所得しょとく保障ほしょう制度せいどに関かんしては所得しょとく補助ほじょと社会しゃかい基金ききんの制度せいどがある。

失業しつぎょう保障ほしょう制度せいどに関かんしては求職きゅうしょく者しゃに対たいしては求職きゅうしょく者しゃ手当てあて、低てい所得しょとく者しゃに対たいしては就労しゅうろう税ぜい控除こうじょがある。

民間みんかん支援しえん[編集へんしゅう]

ロンドンには民間みんかんの支援しえんチャリティ団体だんたいが数多かずおおく存在そんざいし、単身たんしんのホームレスの支援しえん団体だんたいは2008年ねん現在げんざいで166ある。

フランス[編集へんしゅう]

定義ていぎ[編集へんしゅう]

フランスではホームレスについての明確めいかくな定義ていぎはない。

ただし、ホームレス状態じょうたいに言及げんきゅうする法律ほうりつは存在そんざいし、1974年ねんの「家族かぞくおよび社会しゃかい扶助ふじょ法典ほうてん｣には 3か月げつ間あいだ居住きょじゅう証明しょうめいできない者ものを｢救済きゅうさい地ちのない人ひと(personne n’ayant pas le domicile de secours)｣としている。1988年ねんの｢参入さんにゅう最低限さいていげん所得しょとくRMI法ほう｣では｢安定あんていした住居じゅうきょのない人々ひとびと personne sans résidence stable｣という定義ていぎがある。

統計とうけい[編集へんしゅう]

INSEE（フランス国立こくりつ統計とうけい経済けいざい研究所けんきゅうじょ）によれば、2012年ねんに家いえがないとされた人ひとはフランス国内こくないで、約やく14万まん2900人にん～約やく14万まん1500人にんであった^[12]^[13]。

家いえがないとされた人々ひとびとの数かずは、2001年ねんに比くらべて、50%程ほど増加ぞうかしている。また、成人せいじんしているホームレスの約やく53%が外国がいこく生うまれであり、その内約ないやく3分ぶんの2がフランス語ふらんすご圏けんの外国がいこく人じんであった^[12]。

なお、家いえがないとされた人々ひとびとの中なかに約やく3万まん人にんの18歳さい未満みまんの子供こどもがいた。そして女性じょせいホームレスは、約やく5分ぶんの2を占しめていた^[12]。

また、住居じゅうきょ困難こんなん者しゃのためのアベ・ピエール財団ざいだん（Fondation Abbé-Pierre pour le logement des défavorisés）によると、2020年ねんは、家いえがないとされた人々ひとびと以外いがいにも、ホテル（2万まん5000人にん）や仮設かせつ住宅じゅうたく（9万まん1000人にん）に住すんでいる者ものがいた。又また、快適かいてき性せいの無ない住居じゅうきょや狭せまい住居じゅうきょに多人数たにんずうで暮くらしている者ものを含ふくめた場合ばあい、約やく1,462万まん人にんとなる^[14]。

また、パリ市役所しやくしょにより2019年ねん 2月がつ7日にちの夜よるに行おこなわれた調査ちょうさにより、パリ市内しないでの路上ろじょう生活せいかつ者しゃは、3,633人にんであった。生活せいかつ場所ばしょは、2,232人にんが路上ろじょう、751人にんが列車れっしゃの駅えきや地下鉄ちかてつの駅えき、駐車ちゅうしゃ場じょうや病院びょういんの緊急きんきゅう病棟びょうとうなどの屋内おくないの公共こうきょうの場ばで、639人にんが森林しんりんや庭園ていえんであることが明あきらかにされた^[15]。

2000年代ねんだい後半こうはんに実施じっしされたINSEE調査ちょうさでは家いえがないとされた人ひとは約やく13万まん3000人にんであった。

支援しえん[編集へんしゅう]

公的こうてき支援しえん[編集へんしゅう]

住宅じゅうたく保障ほしょう制度せいどに関かんしては1990年ねんのベソン法ほう、1998年ねんの反はん排除はいじょ法ほう、2007年ねんのホームレス生活せいかつ者しゃのための支援しえん強化きょうかプランPARSA、2008年ねんの不服ふふく申もうし立たてて可能かのうな居住きょじゅう権けんについての法律ほうりつDALO法ほうがある。

所得しょとく保障ほしょう制度せいどに関かんしては1988年ねんの参入さんにゅう最低限さいていげん所得しょとく法ほう(RMI）と2008年ねんの積極せっきょく的てき連帯れんたい所得しょとくの施行しこうに関かんする法ほう(RSA)がある。

失業しつぎょう保障ほしょう制度せいどに関かんしては失業しつぎょう保険ほけん制度せいどや連帯れんたい制度せいどがある。

民間みんかん支援しえん[編集へんしゅう]

フランスにはシテ・カトリック救済きゅうさい会かい（PACT-ARIM）など国くになどから委託いたくを受うけて活動かつどうする住宅じゅうたく分野ぶんやの非ひ営利えいり活動かつどう団体だんたいが数多かずおおくある。

ロシア[編集へんしゅう]

ロシアでは、2011年ねん時点じてんで、内務省ないむしょう発表はっぴょうで35万まん人にんであるが、専門せんもん家かの間あいだでは150～420万まん人にんに上のぼるとみられている。ロシアの零下れいか30度どまで下さがる気候きこうの中なかでも、行政ぎょうせいの支援しえんはほとんど無ないとされる^[16]。また、モスクワ内うちは、約やく1.2万まん～5万まん人にんいると推計すいけいされている^[17]^[18]。かつて、2002～2003年ねんの秋冬あきふゆ期きに凍死とうしした人ひとは1,200人にん以上いじょういたが、多おおくのモスクワ市民しみんのホームレスへの接せっし方かたが優やさしくなったため、2014～2015年ねんの秋冬あきふゆ期きでは57人にんに減へっている^[17]。

日本にっぽん[編集へんしゅう]

定義ていぎ[編集へんしゅう]

ホームレスの自立じりつの支援しえん等とうに関かんする特別とくべつ措置そち法ほうでは「都市とし公園こうえん、河川かせん、道路どうろ、駅舎えきしゃその他たの施設しせつを故ゆえなく起居ききょの場所ばしょとし、日常にちじょう生活せいかつを営いとなんでいる者もの」と定義ていぎしている。

厚生こうせい労働省ろうどうしょうが2018年ねんに発表はっぴょうした実態じったい調査ちょうさでは、ホームレスを以下いかのように分類ぶんるいしている。

定住ていじゅう型がたは、公園こうえん・駅舎えきしゃなどの公共こうきょうの場ばを一定いってい期間きかん占拠せんきょし、段だんボールハウスなどを設置せっちして生活せいかつしている。しばしば公共こうきょうの場ばの不法ふほう占拠せんきょかどうかを巡めぐり行政ぎょうせいと対立たいりつする。
移動いどう型がたは、昼間ひるまは仕事しごとをしていたり、公共こうきょう施設しせつなどを転々てんてんとして時間じかんを過すごしていたりするが、夜間やかんになると雨風あめかぜを凌しのげる場所ばしょを探さがして睡眠すいみんをとっている。都市とし間あいだを移動いどうする漂泊ひょうはく型がた（行旅こうりょ人じんの一種いっしゅ）も存在そんざいする。
冬季とうきは、凍死とうしを避さけるために夜間やかんは起おきて過すごし、日にち中ちゅう、公共こうきょう施設しせつや駅えき構内こうないなどで睡眠すいみんをとる場合ばあいもある。冬季とうきの凍死とうしなど毎年まいとし数すう百ひゃく人にんもの路上ろじょうでの死者ししゃ（官報かんぽうでは行旅こうりょ死亡しぼう人じん）が出でている。

日本にっぽんのホームレスの特徴とくちょうとして、義務ぎむ教育きょういくまでの学歴がくれき程度ていど、未婚みこん率りつの高たかさが挙あげられる^[19]。また、ホームレスの職業しょくぎょう経験けいけんとして、最もっとも長ながく勤つとめた職しょく（最長さいちょう職しょく）は、工場こうじょうの生産せいさん工程こうていや建設けんせつなどの技能ぎのう工こう（41％）、土木どぼく作業さぎょうや雑役ざつえき（20.3％）、調理人ちょうりにんや飲食いんしょく店員てんいんといったサービス業ぎょう（10.1％）となっている^[19]。なお、最長さいちょう職しょくでは5割わり以上いじょうが常用じょうよう雇用こよう者しゃであり、社会しゃかい保険ほけんへの加入かにゅうは73.6％に上のぼっていることから、比較的ひかくてき安定あんていした職業しょくぎょう経験けいけんを持もっていたと考かんがえられる^[19]。

歴史れきし[編集へんしゅう]

第だい二に次じ世界せかい大戦たいせん終戦しゅうせん直後ちょくごは、空襲くうしゅうにより焼やけ出だされた住民じゅうみんのホームレスが多数たすう存在そんざいした。上野うえの駅えきの地下道ちかどうは、一時期いちじき行いき場ばを失うしなった戦災せんさい孤児こじが暮くらす場所ばしょの代名詞だいめいしとなったが、民間みんかんの支援しえん団体だんたいなどの手てで徐々じょじょに解消かいしょうされていった^[20]。1950年ねん冬ふゆに東京とうきょう都と民政みんせい局長きょくちょうらが上野うえの駅えきを視察しさつした際さいには、まだ800人にんほどの浮浪ふろう者しゃが存在そんざいしており、地下道ちかどうを取とり締しまるボス役やくから場所ばしょ代だいとして1枚まい20円えんでむしろを借かりて生活せいかつをしていた。この視察しさつの訪問ほうもん先さきは、上野うえの駅えきのほか上野公園うえのこうえんに隣接りんせつする寛永寺かんえいじ墓地ぼち（小屋こや82戸こ、約やく400人にん）、浅草あさくさ本願寺ほんがんじ境内けいだい（小屋こや50戸こ）に及およんだ^[21]。上野うえの駅えきの地下道ちかどうのホームレスは1951年ねん9月がつに一斉いっせい退去たいきょを迫せまられ、上野公園うえのこうえんや浅草あさくさ公園こうえん、外堀そとぼりの埋うめ立たて地ちなどへ移動いどうした^[22]。

1990年代ねんだい初頭しょとう、日本にっぽんのホームレスの人々ひとびとは迷惑めいわくな人間にんげんと見みなされている。政府せいふは「環境かんきょうを美化びかする必要ひつようがあるため」路上ろじょうで暮くらす人々ひとびとを追おい払はらおうとしている^[23]。終おわりなき官僚かんりょう的てきな対処たいしょのためにホームレスの人々ひとびとが権利けんりを与あたえられ援助えんじょを得えるのも非常ひじょうに困難こんなんであった。東京とうきょう都とがようやくホームレスの存在そんざいを認識にんしきし、問題もんだいについて対応たいおうし始はじめたのは1997年ねんである。

1998年ねんには調査ちょうさで東京とうきょう23区内くないだけで4,295人にん^[24]ものホームレスの人々ひとびとがいるとされ、さらにホームレス支援しえん団体だんたいも5,000に近ちかづいているとし、この数かずは急速きゅうそくに増加ぞうかしていることを示しめしていると推定すいていされた^[23]。実際じっさいに、東京とうきょう23区く内ないで区く職員しょくいんによって確認かくにんされたホームレスだけでも、1999年ねん～2004年ねんの間あいだは、5,000人にんを超こえていた^[24]。2003年ねんに、政府せいふは、日本にっぽん全国ぜんこくで25,296人にんものホームレスの人々ひとびとが存在そんざいすることを発表はっぴょう^[24]^[25]。

1990年代ねんだいの投機とうき的てきバブル崩壊ほうかい以来いらい、日本にっぽん社会しゃかいではホームレス現象げんしょうが明確めいかくな増加ぞうか傾向けいこうがみられ、その結果けっか「失うしなわれた10年ねん」の経済けいざい停滞ていたいが生しょうじていく。これが失業しつぎょうの増加ぞうかにつながっていった。

日本にっぽんのホームレスの特徴とくちょうは日本にっぽんの社会しゃかい構造こうぞうが影響えいきょうしている。歴史れきし的てきに日本にっぽん社会しゃかいでは男性だんせいが家族かぞくを養やしなう。日本にっぽん企業きぎょうは、結婚けっこんした男性だんせいは独身どくしん男性だんせいよりも一いち人前にんまえであると考かんがえている。なぜなら、既婚きこん者しゃらは家族かぞくに対たいしてより多おおくの義務ぎむと責任せきにんを感かんじているからである。その結果けっか、定職ていしょくをもたずかつエイジズムに直面ちょくめんしている年配ねんぱいの男性だんせいは仕事しごとを見みつけることができず、35歳さい以上いじょうの独身どくしん男性だんせいも仕事しごとを見みつけることが困難こんなんとなっていく。この現象げんしょうは、コンスタントに貧まずしい男性だんせいの数かずを増ふやすだけでなく、かなり大おおきな富とみを持もつ男性だんせいと他たのかなり貧まずしい男性だんせいとの格差かくさを伴ともない、より大おおきな変動へんどうをもたらす。日本にっぽんのホームレスのこの結果けっかは女性じょせいよりも男性だんせいに対たいし多おおく影響えいきょうをもたらしている^[26]。

東京とうきょうの小ちいさなアパートは借かりるのに月つきに約やく10万まん円えん。2020年ねん、日本にっぽんは景気けいき悪化あっかがさらに深刻しんこく化かし低てい賃金ちんぎんの仕事しごとを見みつけることも簡単かんたんではなく、1泊はく1,500〜2,000円えんで、ホームレスの人々ひとびとはインターネットカフェに滞在たいざいするネットカフェ難民なんみんとして、そこでシングルルームとシャワー、テレビ、ソフトドリンク、インターネットアクセスを利用りようという生活せいかつをする例れいもある^[27]。

ホームレスの自立じりつ支援しえん方法ほうほうの1つとしてビッグイシューよりホームレスになった時ときの炊たき出だしや体調たいちょうが悪わるい際さいの対処たいしょ法ほうだけでなく、生活せいかつ保護ほご申請しんせい方法ほうほうや求職きゅうしょく方法ほうほう等とうの生活せいかつを立たて直なおしたい時ときのガイドブックをインターネットで「路上ろじょう脱出だっしゅつ・生活せいかつSOSガイド」（URL:https://bigissue.or.jp/action/guide ）の名なで公開こうかいしている。また、生活せいかつ保護ほご申請しんせい方法ほうほう指南しなん書しょとしてブログで公開こうかいしている例れいもある（URL:http://lluvia.tea-nifty.com/homelesssogosodan/2019/01/2017-f3ca.html ）。

統計とうけい[編集へんしゅう]

都道府県とどうふけん別べつホームレス人数にんずう分布ぶんぷ。札幌さっぽろを除のぞいた5大都市だいとし及および周辺しゅうへんに多おおくいる傾向けいこうがある^[28]^[29]。
（2023年ねん1月がつ）

日本にっぽんのホームレス人数にんずう推移すいい^[28]
（各かく年とし1月がつ。但ただし、1999年ねんは10月がつ、2001年ねんは9月に調査ちょうさ）

厚生こうせい労働省ろうどうしょう調査ちょうさによるホームレス人数にんずう^[28]
年とし	人数にんずう（人ひと）
1999	20,451
2000	-
2001	24,090
2002	-
2003	25,296
2004	-
2005	-
2006	-
2007	18,564
2008	16,018
2009	15,759
2010	13,124
2011	10,890
2012	9,576
2013	8,265
2014	7,508
2015	6,541
2016	6,235
2017	5,534
2018	4,977
2019	4,555
2020	3,992
2021	3,824
2022	3,448
2023	3,065

景気けいきの状況じょうきょうにより増減ぞうげんがあり、バブル崩壊ほうかい後ごの不ふ況きょう下したでその数かずは増まし、2003年ねん1月がつ～2月がつの厚生こうせい労働省ろうどうしょう調査ちょうさでは全国ぜんこくで25,296人にんに達たっしていた。しかし、2007年ねん1月がつの厚生こうせい労働省ろうどうしょう調査ちょうさでは景気けいきの回復かいふく傾向けいこうにより、全国ぜんこくで18,564人にんと減少げんしょうした^[30]。

2003年ねんから4，5年ねんに1度どに行おこなわれるホームレスの実態じったいに関かんする全国ぜんこく調査ちょうさ（生活せいかつ実態じったい調査ちょうさ）により、2021年ねん11月時点じてんで、50歳さい以上いじょうの高年こうねん男性だんせいが約やく9割わり近ちかくを占しめており、2003年ねん以降いこうの調査ちょうさ以来いらい、高たかかった^[31]。更さらに年齢ねんれい構成こうせい別べつでは、65歳さい以上いじょうの割合わりあいは全体ぜんたいの約やく54.4%であり、調査ちょうさを始はじめた2003年ねんは約やく15.1%の約やく3.6倍ばいであり、ホームレスの高こう年齢ねんれい化かが進すすんでいる。
また、路上ろじょう期間きかんは、10年ねん以上いじょうが約やく40.0%を占しめており、2003年ねんは約やく6.7%の約やく6.0倍ばいであり、長期ちょうき化かが進すすんでいる^[31]。長期ちょうき化かの背景はいけいには、貧困ひんこんビジネスを行おこなう悪質あくしつな業者ぎょうしゃの存在そんざいや生活せいかつ保護ほご受給じゅきゅうに対たいする罪悪ざいあく感かん（生活せいかつ保護ほご受給じゅきゅう申請しんせいの際さい、家族かぞくに照会しょうかいされる恐おそれから。また、2021年ねん3月30日にちに厚生こうせい労働省ろうどうしょうからの通達つうたつにより、本人ほんにんが希望きぼうしない場合ばあい、通達つうたつの8～9ページに記載きさいされた「扶養ふよう義務ぎむ履行りこうが期待きたいできない者もの」と判断はんだんされた者もの（概おおむね70歳さい以上いじょう高齢こうれい者しゃ、児童じどう、DV・虐待ぎゃくたい被害ひがい者しゃ、家族かぞくと縁えんを切きり長期間ちょうきかん音信いんしん不通ふつうにしている者ものなど）に該当がいとうした場合ばあい、家族かぞくに対たいして扶養ふよう照会しょうかいは行おこなわれない^[32]^[33]。）と損得そんとく勘定かんじょう（年金ねんきん受給じゅきゅうしている場合ばあい、その分ぶん減へらされた上うえで受給じゅきゅうするが、家賃やちんを考慮こうりょした場合ばあい、実質じっしつの減額げんがくとなるため。）がある^[34]。

2023年ねん1月がつ時点じてんのホームレスの実態じったいに関かんする全国ぜんこく調査ちょうさでは3,065人にんとなっている。

また起居ききょ場所ばしょ別べつでは、最もっとも多おおい都市とし公園こうえんは771人にんである。そして、2020年ねんまではホームレスの起居ききょ場所ばしょ別べつでは河川かせんが最もっとも多おおかったが、2019年ねん10月に発生はっせいした令れい和わ元年がんねん東日本ひがしにっぽん台風たいふう（台風たいふう19号ごう）の影響えいきょうにより^[35]、2019年ねんから2020年ねんにかけて約やく26.1%減少げんしょうし、2021年ねん以降いこうは都市とし公園こうえんが起居ききょ別べつで最もっとも多おおい場所ばしょとなった。

厚生こうせい労働省ろうどうしょうが2007年ねん6月がつ～7月がつにかけてネットカフェなどの24時じ間あいだ営業えいぎょうの店舗てんぽで就寝しゅうしん・夜明よあかしをしている人ひとの実態じったい調査ちょうさを初はじめて行おこない、全国ぜんこくで推定すいてい約やく5,400人にんがいることがわかった^[36]。その内うち、東京とうきょう23区くが約やく2,000人にん、大阪おおさか市しが約やく900人にん、名古屋なごや市しが約やく200人にんであった。更さらに、就寝しゅうしん・夜明よあかしをしている非ひ正規せいき労働ろうどう者しゃは全体ぜんたいの半分はんぶんを占しめていた。

また、東京とうきょう都とで2016年ねん12月～2017年ねん1月がつにかけてネットカフェなどの24時じ間あいだ営業えいぎょうの店舗てんぽでアンケート対象たいしょう店舗てんぽをオールナイトを利用りようする者ものの内うち、住居じゅうきょ喪失そうしつがどの位くらいいるのかの実態じったい調査ちょうさを行おこない、都内とないで1日にちあたり約やく4,000人にん（オールナイト利用りよう者しゃに占しめる構成こうせい比ひ25.8%）、そのうち「住居じゅうきょ喪失そうしつ不安定ふあんてい就労しゅうろう者しゃ」（住居じゅうきょ喪失そうしつ者しゃの内うち、雇用こよう形態けいたいが派遣はけん労働ろうどう者しゃ・契約けいやく社員しゃいん・パート・アルバイトの者もの）は約やく3,000人にん（住居じゅうきょ喪失そうしつ者しゃに占しめる構成こうせい比ひ75.8%）であることが分わかった^[37]。

前述ぜんじゅつの2つの調査ちょうさは単純たんじゅん比較ひかくできないが、東京とうきょう23区くのみで見みた場合ばあい、約やく10年ねんの間あいだで、ネットカフェ難民なんみんは2倍ばい増ふえたことになる。

なお、ネットカフェなどの終夜しゅうや営業えいぎょう店舗てんぽは、行政ぎょうせい当局とうきょくによる毎年まいとしのホームレスの全国ぜんこく調査ちょうさ対象たいしょうになっていない。このため、ネットカフェを調しらべないと、ホームレス全体ぜんたいの実情じつじょうは見みえてこないし、効力こうりょくのある対策たいさくも打うてないとの見方みかたも出でている^[35]。

日本にっぽんにおいては、比較的ひかくてき冬ふゆが寒さむい東日本ひがしにっぽんに1,571人にん（富山とやま県けん、岐阜ぎふ県けん、愛知あいち県けん以西いせいを西日本にしにほんとした場合ばあい）、比較的ひかくてき冬ふゆが暖あたたかい西日本にしにほんに1,494人にんと、東日本ひがしにっぽんの方ほうが多おおく、気候きこう条件じょうけんと分布ぶんぷの関連かんれん性せいはあまりない。都道府県とどうふけん別べつでは大阪おおさか府ふが888人にんと最もっとも多おおく、次ついで東京とうきょう都とが661人にん、神奈川かながわ県けんが454人にんの順じゅんに多おおい。市区しく別べつでは大阪おおさか市しが841人にんと最もっとも多おおく（約やく半数はんすうはあいりん地区ちくで生活せいかつ^[38]）、次ついで東京とうきょう23区くが604人にん、横浜よこはま市しが247人にんの順じゅんである。

但ただし、厚生こうせい労働省ろうどうしょうのホームレスの実態じったいに関かんする全国ぜんこく調査ちょうさは、昼間ひるまに行おこなう市区しく町村ちょうそんによる巡回じゅんかいでの目視もくし調査ちょうさであり、廃品はいひん回収かいしゅう（アルミ缶かん・段だんボール・粗大そだいゴミ・本ほん集あつめ）や建設けんせつ日雇ひやとい等とうの仕事しごとで昼間ひるまはいない、目視もくし故ゆえに外見がいけんでは判断はんだんできないホームレスが調査ちょうさから漏もれている可能かのう性せいがある。そのため、市民しみん団体だんたい「ARCH（Advocacy and Research Centre for Homelessnessの略称りゃくしょう。ホームレス問題もんだいについての政策せいさく提言ていげん＆研究けんきゅうチーム）」による夜間やかん調査ちょうさが行おこなわれた。その結果けっかが、以下いかの通とおりである。

都内とない路上ろじょうホームレス夜間やかん調査ちょうさ
調査ちょうさ時期じき	調査ちょうさ対象たいしょう地域ちいき	ARCH調査ちょうさ（人ひと）.a	東京とうきょう都と調査ちょうさ（人ひと）.b	a/b （倍ばい）	東京とうきょう都と調査ちょうさによるホームレス人数にんずう.c	都内とない推定すいてい人数にんずう（人ひと）.d	d/c （倍ばい）	推定すいてい都内とない経験けいけん者しゃ人数にんずう（人ひと）
2016年ねん1月がつ^[39]	都内とない3区く	671	239^[40]	2.8	1,473	約やく2,870	2.0	-
2016年ねん8月がつ^[39]	都内とない5区く	1,135	407^[41]	2.8	1,463	約やく2,870	2.0	約やく2.9万まん（2016年ねん）^[42]
2016年ねん12月、2017年ねん1・2・3月がつ^[43]	都内とない7区く	403	181^[44]	2.2	1,397	約やく2,320	1.7	-
2017年ねん8月がつ^[45]	都内とない11区く	1,307	499^[46]	2.6	1,337	約やく2,510	1.9	-
2018年ねん1・2・3月がつ^[47]	都内とない10区く	1,069	540^[48]	2.0	1,242	約やく1,870	1.5	-
2018年ねん8月がつ^[49]	都内とない15区く7市し	1,391	526^[50]	2.6	1,184	約やく2,300	1.9	約やく2.5万まん（2018年ねん）
2019年ねん2・3月がつ^[51]	都内とない6区く	681	340^[52]	2.0	1,126	約やく1,740	1.5	-
2019年ねん8・9月がつ^[53]	都内とない8区く	1,040	378^[54]	2.8	1,037	約やく2,060	2.0	-
2020年ねん2・3月がつ^[55]	都内とない6区く	618	290^[56]	2.1	889	約やく1,540	1.7	-
ARCH調査ちょうさは、ARCHが夜間やかんに路上ろじょうホームレスをカウントした人数にんずうである。東京とうきょう都と調査ちょうさは、市区しく町村ちょうそん職員しょくいんがARCHが調査ちょうさした地域ちいきで昼間ひるまに路上ろじょうホームレスをカウントした人数にんずうである。 a/bは、ARCH調査ちょうさと東京とうきょう都と調査ちょうさの比ひを示しめした値ねである。東京とうきょう都と調査ちょうさによるホームレス人数にんずうは、東京とうきょう都と全体ぜんたいのホームレス人数にんずうである。都内とない推定すいてい人数にんずうは、東京とうきょう都内とない全体ぜんたいの路上ろじょうホームレスの推定すいてい人数にんずうである。推定すいてい人数にんずうは、国くに河川かせんを除のぞいた東京とうきょう都とのホームレス概数がいすう調査ちょうさの値ねをa/bの値ねで掛かけて、国くに河川かせんにいる都内とないのホームレスを足たした値ねである。国くに河川かせんにいるホームレスをそのまま足たすのは、国くに河川かせんは小屋こややテントが多おおいことから昼夜ちゅうやの差さがあまりないと考かんがえられるためである。 d/cは、東京とうきょう都と調査ちょうさによるホームレス人数にんずうと都内とない推定すいてい人数にんずうの比ひを示しめした値ねである。推定すいてい都内とない経験けいけん者しゃ人数にんずうは、その年としに東京とうきょう都内とないでずっと路上ろじょう生活せいかつをしている人ひとだけでなく、一時いちじ的てきかつ新あらたに路上ろじょうホームレスになった人ひとを含ふくめた推定すいてい人数にんずうである。経験けいけん者しゃ人数にんずうは、都内とない推定すいてい人数にんずうからロンドンの路上ろじょうホームレス人口じんこう統計とうけいより算出さんしゅつされる年間ねんかん/一いち晩ばんの比率ひりつ（10.8倍ばい）を掛かけた値ねである。なお、ロンドンの比率ひりつが用もちいられているのは、ロンドンは世界せかいで唯一ゆいいつ、路上ろじょうホームレスの個人こじん別べつデータベースを整備せいびし年間ねんかんの路上ろじょうホームレス人口じんこうを把握はあくしているからである。

以上いじょうの表ひょうから、以下いかのことがうかがえる。

ARCHの夜間やかん調査ちょうさより、夜間やかん調査ちょうさと同おなじ地域ちいきで昼間ひるまにカウントした東京とうきょう都との調査ちょうさより、実態じったいの2倍ばい以上いじょうのホームレス人数にんずうがいること。更さらには、東京とうきょう都と全体ぜんたいで見みた場合ばあい、夏期かきは約やく2.0or1.9倍ばい、冬期とうきは2016年ねん以外いがい1.7or1.5倍ばいになる。
2016年ねん以外いがいは冬期とうきより夏期かきの方ほうがより実態じったいの乖離かいりが大おおきいこと。
夜間やかん調査ちょうさの夏期かき調査ちょうさ（8月がつor8・9月がつ）からの推移すいいより、減少げんしょう傾向けいこうにあること。（2016年ねん：約やく2,870人にん→2017年ねん：約やく2,510人にん→2018年ねん：約やく2,300人にん→2019年ねん：約やく2,060人にん）
2017年ねん以降いこうの冬期とうき夜間やかん調査ちょうさで把握はあくされた人数にんずうは、前年ぜんねん夏期かき夜間やかん調査ちょうさの約やく75%となっている。理由りゆうは定さだかではないが、都内とないの数すう百ひゃく人にん規模きぼのホームレスが、冬ふゆの間あいだはネットカフェ等とうの屋内おくないに場所ばしょを移うつるか、越冬えっとう目的もくてきに暖あたたかい地方ちほうへ一時いちじ移住いじゅうしている可能かのう性せいがある。また、「ホームレスの実態じったいに関かんする全国ぜんこく調査ちょうさ（生活せいかつ実態じったい調査ちょうさ）」より、約やく16%が「時々ときどき、ドヤ、飯場いいば、ホテル等とうにも泊とまっていた」と回答かいとうしている。

支援しえん[編集へんしゅう]

西日本にしにほん、特とくに大阪おおさかでは、主おもにキリスト教きりすときょう系けいの宗教しゅうきょう団体だんたいやボランティア組織そしきが多おおく、それらが炊たき出だしや援助えんじょを行おこなうことがある。横浜よこはま市しでも炊たき出だしや援助えんじょが行おこなわれている。

2002年ねん8月がつ、ホームレスの自立じりつの支援しえん等とうに関かんする特別とくべつ措置そち法ほうが施行しこうされ、国くにによる本格ほんかく的てきな支援しえんが始はじまり、2003年ねん2月がつには厚生こうせい労働省ろうどうしょうによる初はつの全国ぜんこく調査ちょうさが行おこなわれた。2007年ねん4月がつにも全国ぜんこくでの実態じったい調査ちょうさが行おこなわれている。

当面とうめんの生活せいかつのための収入しゅうにゅうや貯蓄ちょちくや財産ざいさんがない人ひとは生活せいかつ保護ほごを受うけられるが、2012年ねんの人気にんきタレントの生活せいかつ保護ほご問題もんだいがきっかけで、親族しんぞくへの扶養ふよう照会しょうかいや資産しさん調査ちょうさが強化きょうかされ、これらが原因げんいんで生活せいかつ保護ほごの申請しんせいを断念だんねんしたり、窓口まどぐちをたらい回まわしする水際みずぎわ作戦さくせんが問題もんだいとなっている。
ドメスティック・バイオレンスや、復縁ふくえんを求もとめる元もと配偶はいぐう者しゃから逃にげてきた女性じょせいに対たいしては、婦人ふじん保護ほご施設しせつや民間みんかんの駆かけ込こみ寺てらや女性じょせいのためのシェルターが受うけ入いれている。
児童じどうの場合ばあいは児童じどう福祉ふくし施設しせつなど受うけ入いれ施設しせつがある。

行政ぎょうせいの自立じりつ支援しえん施策しさく(大都市だいとしの事例じれい)[編集へんしゅう]

東京とうきょう都とによる報道ほうどう発表はっぴょう^[57]によれば、「自立じりつ支援しえんシステム」の第だい一いちステップとして「緊急きんきゅう一いち時じ保護ほごセンター」があり、第だい二にステップとして「路上ろじょう生活せいかつ者しゃ自立じりつ支援しえんセンター」を設もうけている。
- 第だい一いちステップ（緊急きんきゅう一いち時じ保護ほごセンター）は、「路上ろじょう生活せいかつからの早期そうきの社会しゃかい復帰ふっきを促進そくしんするため、ホームレスの一時いちじ的てきな保護ほごや心身しんしんの健康けんこう回復かいふくを図はかるとともに、自立じりつ支援しえんセンターへの入所にゅうしょなど以後いごの処遇しょぐう方針ほうしんを明あきらかにする」。
- 第だい二にステップ（路上ろじょう生活せいかつ者しゃ自立じりつ支援しえんセンター）では、「緊急きんきゅう一いち時じ保護ほごセンター入所にゅうしょ者しゃのうち、就労しゅうろう意欲いよくがあり、心身しんしんの状態じょうたいも就労しゅうろうに問題もんだいがないと認みとめられた人ひとを対象たいしょうに、原則げんそく2か月げつ間あいだの入所にゅうしょ期間きかんで、食事しょくじの提供ていきょう、職業しょくぎょう、住宅じゅうたく等とうについての相談そうだんを行おこない、ホームレスの就労しゅうろうによる自立じりつを促進そくしん」する。
- しかし、自立じりつ支援しえんセンターを経へて定職ていしょくに就ついた者ものが、緊急きんきゅう一いち時じ保護ほごセンターに保護ほごされ、再ふたたび自立じりつ支援しえんセンターを利用りようするという繰くり返かえしも見みられる。
これらの施設しせつ建設けんせつに対たいする周辺しゅうへん住民じゅうみんの反対はんたい運動うんどうなどもあるが、東京とうきょう都との場合ばあい、現状げんじょうでは5年ねん毎ごとの都内とないの他た区くへの移設いせつという手法しゅほうによって対処たいしょしているようである。
- こうした「自立じりつ支援しえん」策さくにもかかわらずなくならないのは、行政ぎょうせいの側がわでは、結局けっきょく本人ほんにんに自立じりつへの意思いしがなく、路上ろじょう生活せいかつという生いき方かたを選択せんたくしているからである、という見方みかたもある。
そもそも「自立じりつ支援しえん」とは「法外ほうがい援護えんご」（生活せいかつ保護ほごの外そとでの応急おうきゅう援護えんご）をまとめたものだが、これは国籍こくせき要件ようけんと（他たに活用かつようする資産しさん・能力のうりょくのない）生活せいかつ困窮こんきゅうだけを要件ようけんとして適用てきようすべき生活せいかつ保護ほご法ほうの趣旨しゅしに反はんして、ホームレスなどを同どう法ほうの保護ほごから不当ふとうに排除はいじょするものだという批判ひはんもある。
- また一方いっぽう、たとえばアルコール依存いぞん症しょうの人ひと――病的びょうてきに飲酒いんしゅが止とめられない人ひと――が、一いち度どの飲酒いんしゅが見みつかり施設しせつから放逐ほうちくされたという事例じれいもあるように、粘ねばり強づよく親身しんみな取とり組くみが欠かけている、または福祉ふくし担当たんとう職員しょくいん数すうや資金しきんの不足ふそくによりそれを余儀よぎなくされている現状げんじょうがある。
東京とうきょう都とは他ほかにも、自立じりつを促うながすため、2004年度ねんどから野宿のじゅく者しゃに対たいし2年間ねんかん住宅じゅうたくを安やすい家賃やちんで貸かす「ホームレス地域ちいき生活せいかつ移行いこう支援しえん事業じぎょう」を行おこなっているが、自立じりつに成功せいこうするのは1割わりほどしかいない^[58]。また、2017年度ねんどから路上ろじょう生活せいかつが長期ちょうき化か・高齢こうれい化かした者ものに対たいして「支援しえん付づけ地域ちいき生活せいかつ移行いこう事業じぎょう」が試験しけん的てきに行おこなわれている^[59]。

民間みんかんにおける支援しえん活動かつどう[編集へんしゅう]

緊急きんきゅう支援しえん[編集へんしゅう]

日本にっぽんにおいても各かく宗教しゅうきょう寺社じしゃ・教会きょうかいや民間みんかんの支援しえん団体だんたい・ボランティア等とうによる炊たき出だしなどがあり、篤志とくし家か・市民しみんから寄よせられた衣類いるい等とうの寄付きふ物品ぶっぴんが配くばられている。
北きたは北海道ほっかいどうから南みなみは沖縄おきなわ県けんまで炊たき出だしや医療いりょう支援しえん、居住きょじゅう地ち確保かくほなどの自立じりつ支援しえんに取とり組くむ支援しえん団体だんたいが確認かくにんされており、2007年ねん6月がつ9日にちには全国ぜんこく規模きぼの支援しえん団体だんたいの連合れんごう組織そしきである「ホームレス支援しえん全国ぜんこくネットワーク[1]」が設立せつりつされた。
炊たき出だしは行倒いきだおれを防ふせぐための最低限さいていげんの活動かつどうであり、元もと野宿のじゅく者しゃが仲間なかまのために行おこなう場合ばあいもある。
生活せいかつ保護ほご受給じゅきゅうに関かんして、保護ほご適用てきようが適正てきせいに行おこなわれるよう支援しえんしている団体だんたいもある。
支援しえん団体だんたいがホームレスに対たいして生活せいかつ保護ほごを申請しんせいする方法ほうほうを公開こうかいしている例れいもある^[60]。また、路上ろじょう生活せいかつから自立じりつするための方法ほうほうを手助てだすけする情報じょうほうを載のせたサイトもある^[61]。
2008年ねん末まつ～2009年ねん頃ごろ。いわゆる派遣はけん切ぎりなどで職しょくを失うしなったりした人ひとたちのために、年越としこし派遣はけん村むらが都内とないの公園こうえんに設もうけられた。
不動産ふどうさん屋やとして生活せいかつ困窮こんきゅう者しゃに対たいして不動産ふどうさん紹介しょうかいする形かたちで支援しえんする所ところもある^[62]^[63]。

自立じりつ支援しえんの例れい[編集へんしゅう]

当事とうじ者しゃ自身じしんを販売はんばい者しゃとする雑誌ざっしを発行はっこうすることで、現金げんきん収入しゅうにゅうを得える機会きかいを提供ていきょうし自立じりつを支援しえんする事業じぎょうが始はじまっている。
イギリスのThe Big ISSUEを発祥はっしょうとし、日本にっぽん独自どくじの記事きじを中心ちゅうしんとしたストリート新聞しんぶん「ビッグイシュー日本にっぽん版ばん」が発行はっこうされている。
- 東京とうきょうや大阪おおさかなどの大都市だいとしなどで街頭がいとうに立たち、道行みちゆく人達ひとたちに直接ちょくせつ販売はんばいしている姿すがたが見みられる。
ロザンヌ・ハガティのコモン・グラウンド・コミュニティー。

問題もんだい点てん[編集へんしゅう]

治安ちあん[編集へんしゅう]

襲撃しゅうげき事件じけんは減少げんしょう傾向けいこうにあるもの^[64]の、襲撃しゅうげき事件じけんが後こうを絶たたず、18歳さい未満みまんの児童じどう・18歳さい以上いじょうの若者わかものを加害かがい者しゃとする殺害さつがい・傷害しょうがい事件じけんが発生はっせいしている。横浜よこはま浮浪ふろう者しゃ襲撃しゅうげき殺人さつじん事件じけん、東村山ひがしむらやま市しホームレス暴行ぼうこう死し事件じけんなどをはじめ、各地かくちで頻発ひんぱつしている^[65]。加害かがい少年しょうねんたちは「ケラチョ（虫むしけらっちょ）狩かり」「街まちの掃除そうじ」と嘯うそぶいており、罪悪ざいあく感かんを持もたない。2007年ねん 5月13日にち夜よるに東京とうきょう都と・北きた区く赤羽あかはねでは、たまたま公園こうえんでごろ寝ねしていたネットカフェ難民なんみんの男性だんせいが、ホームレスだと思おもい込こんだ少年しょうねん達たちにライターオイルをかけられて火ひを点つけられ、重度じゅうどの火傷かしょうを負おう事件じけんが起おきた。この他ほかに、金かね欲ほしさや住すむところ欲ほしさなどで相手あいてを殺害さつがいするなど、ホームレス間あいだでの事件じけんも発生はっせいしている。

また、東京とうきょう都内とないの野宿のじゅく者しゃ支援しえん団体だんたい、生活せいかつ困窮こんきゅう者しゃ支援しえん団体だんたいが合同ごうどうで、2014年ねん6月がつ28日にち～7月がつ14日にちに新宿しんじゅく、渋谷しぶや、池袋いけぶくろ、上野うえの、浅草あさくさ・山谷さんや地域ちいきなどでホームレスへの襲撃しゅうげきの実態じったいに関かんするアンケート調査ちょうさを実施じっしした。その結果けっか、以下いかの実態じったいが分わかった^[66]。

約やく4割わりの人ひとが襲撃しゅうげきを受うけた経験けいけんをしていると回答かいとうしている。
襲撃しゅうげきは夏季かきが多おおく、約やく5分ぶんの3近ちかくを占しめた。襲撃しゅうげき者しゃ（加害かがい者しゃ）の38%は児童じどう・若者わかものである。
襲撃しゅうげき者しゃは75%が複数ふくすう人じんで襲撃しゅうげきに及およんでいる。また、回答かいとうの中なかには襲撃しゅうげき者しゃ数すうが10人にんと答こたえる者ものがいた。
襲撃しゅうげきの内容ないようとしては、なぐる、蹴けるなどの「身体しんたいを使つかった暴力ぼうりょく」（約やく25%）やペットボトルやたばこ、花火はなびなどの「物ものを使つかった暴力ぼうりょく」（約やく37%）が62%を占しめている。
児童じどう・若者わかものの襲撃しゅうげきは「物ものを使つかった暴力ぼうりょく」が53.6%にのぼること。

そのため、これらの実態じったいに対たいして、東京とうきょう都とに実態じったいについての調査ちょうさや人権じんけん啓蒙けいもう活動かつどうの推進すいしん、襲撃しゅうげきを受うけた場合ばあいの保護ほごなどを求もとめた。

しかしながら、要望ようぼう後ごも2020年ねん 3月25日にちに岐阜ぎふ市しホームレス襲撃しゅうげき殺人さつじん事件じけん（被害ひがい者しゃが警察けいさつに何なん度ども相談そうだんしたにもかかわらず殺害さつがいされた）、同年どうねん11月16日にちに渋谷しぶやホームレス殺人さつじん事件じけん（女性じょせいホームレスが46歳さいの男おとこに殺害さつがいされた）が発生はっせいしており、要望ようぼうが十分じゅうぶんに行いき渡わたっていない現状げんじょうがある。また、1995年ねんから2020年ねん11月がつまで、少すくなくとも前述ぜんじゅつの2事件じけんの被害ひがい者しゃも含ふくめて24人にんのホームレスが、児童じどうや若者わかものらによる襲撃しゅうげきで亡なくなっている^[64]。

市民しみん権けん[編集へんしゅう]

住所じゅうしょ不定ふていとなるため、住民じゅうみん票ひょうが削除さくじょされたり（職権しょっけん消しょう除じょ）、それにともない選挙せんきょ権けんが行使こうしできなくなったりすることがある^{[注ちゅう 1]}。長年ながねん行方ゆくえ不明ふめいであったために親族しんぞくから役所やくしょへ失踪しっそうの届とどけがなされ、戸籍こせきが抹消まっしょうされている例れいも見みられる。外国がいこく人じんであれば、在留ざいりゅうカードと在留ざいりゅう資格しかくの更新こうしんができなくなり、在留ざいりゅう許可きょかが取とり消けされるおそれがある。住民じゅうみん票ひょうを消けされると、選挙せんきょ権けん・被選挙権ひせんきょけんを失うしなう他ほか、生活せいかつ保護ほごや運転うんてん免許めんきょ取得しゅとくなど、行政ぎょうせいの手続てつづきが必要ひつような行為こういのほとんどが実質じっしつ的てきに受うけられなくなる^{[注ちゅう 2]}。

2019年ねん10月がつに発生はっせいした令れい和わ元年がんねん東日本ひがしにっぽん台風たいふう（台風たいふう19号ごう）によって開放かいほうされた東京とうきょう都との避難ひなん所しょで、住民じゅうみん票ひょうがないホームレスの受うけ入いれを拒否きょひしたということが明あきらかになり、各かくメディアで報道ほうどうされた。10月15日にちに行おこなわれた参議院さんぎいん予算よさん委員いいん会かいで内閣ないかく総理そうり大臣だいじんの安倍晋三あべしんぞうがこの件けんに触ふれ、「各かく避難ひなん所しょでは避難ひなんしたすべての被災ひさい者しゃを適切てきせつに受うけ入いれることが望のぞましい。関係かんけい自治体じちたいに事実じじつ関係かんけいを確認かくにんし、適切てきせつに対応たいおうしていく。」とコメントしている^[67]。厚生こうせい労働省ろうどうしょうもこの件けんについて、「被害ひがいに遭あわれた方ほうに関かんしては全すべての方ほうを取とりこぼすことがないようにしっかり対応たいおうしていく姿勢しせいで取とり組くんでいきたい。」とコメントしている^[68]。

あいりん地区ちくをめぐる問題もんだい[編集へんしゅう]

「あいりん地区ちく#地域ちいきをめぐる問題もんだい」も参照さんしょう

大阪おおさか市しでは、あいりん地区ちく（釜ヶ崎かまがさき）の釜ヶ崎かまがさき解放かいほう会館かいかんなどに便宜べんぎ上じょうの住所じゅうしょ登録とうろくを行おこなうことが黙認もくにんされていた。市し職員しょくいんが登録とうろくを勧すすめた事例じれいもあるという^[69]（また、横浜よこはま市しでも寿ことぶき町まち会館かいかんに便宜べんぎ上じょうの住所じゅうしょ登録とうろくが黙認もくにんされているという）。しかし、2006年ねん12月に、解放かいほう会館かいかんの住民じゅうみん票ひょうを不正ふせい利用りようした男おとこが逮捕たいほされた事件じけんにより、大阪おおさか市しの事例じれいが明あきらかになった。この事件じけんでは単たんなる被害ひがい者しゃであったが、これをきっかけにマスコミ、特とくに読売新聞よみうりしんぶんは12月16日にち、市民しみん権けん行使こうしによる参政さんせいを「違法いほう投票とうひょう」と報ほうじるなどの非難ひなん報道ほうどうを行おこなった。

2007年ねん2月がつ27日にち、關せき淳一じゅんいち市長しちょうは「居住きょじゅう実態じったいのない」ホームレスの住民じゅうみん票ひょう削除さくじょを発表はっぴょう。建設けんせつ労働ろうどう者しゃの男性だんせいが大阪おおさか高等こうとう裁判所さいばんしょに削除さくじょ差さし止とめの仮処分かりしょぶん申請しんせいを行おこない、3月1日にちに認みとめられたことなどから、大阪おおさか市しは3週間しゅうかんの延期えんきを発表はっぴょう。市し選挙せんきょ管理かんり委員いいん会かいは3月がつ26日にち、早急そうきゅうに住民じゅうみん登録とうろくの適正てきせい化かを図はかるよう求もとめる依頼いらい書しょを関せき市長しちょうに提出ていしゅつ。選管せんかんはホームレスなど側がわとの交渉こうしょうの席上せきじょう「野宿のじゅく者しゃは選挙せんきょ権けんを行使こうしできない」と主張しゅちょうしたとされる^[70]。統一とういつ地方ちほう選挙せんきょによる大阪おおさか市議しぎ選せん告示こくじ前日ぜんじつの3月がつ29日にち、「選挙せんきょが無効むこうとなる恐おそれがある（ホームレスの選挙せんきょ権けん行使こうしを理由りゆうに、選挙せんきょ無効むこうで訴うったえられる恐おそれがある）」として、大阪おおさか市しはホームレスら約やく2,000人にんの公民こうみん権けんを剥奪はくだつした^[71]。

公民こうみん権けんを剥奪はくだつされた者ものが、政府せいふを相手取あいてどって国家こっか賠償ばいしょう訴訟そしょうを起おこしたが、2009年ねん 10月23日にち、大阪おおさか地裁ちさい（高橋たかはし文ぶん清きよし裁判さいばん長ちょう）は原告げんこくの請求せいきゅうを棄却ききゃくし、大阪おおさか市しと市し選挙せんきょ管理かんり委員いいん会かいの応対おうたいを全面ぜんめん的てきに認みとめた。

事前じぜん通告つうこくや交渉こうしょうの無ない排除はいじょ[編集へんしゅう]

2012年ねん6月11日にち早朝そうちょうに、事前じぜん交渉こうしょうや通告つうこくもなく、渋谷しぶや区く立美たつみ竹ちく公園こうえん・渋谷しぶや区役所くやくしょ人工じんこう地盤じばん下か駐車ちゅうしゃ場じょう及および渋谷しぶや区役所くやくしょ前ぜん公衆こうしゅう便所べんじょを一斉いっせいに閉鎖へいさしてホームレスを退去たいきょさせた。それらの行為こういに対たいして、退去たいきょさせられたホームレス7名めいの訴うったえを受うけた第だい二に東京とうきょう弁護士べんごし会かいにより、2018年ねん3月がつ1日にちに、渋谷しぶや区くに対たいし、ホームレスへの生活せいかつ保護ほごの適用てきようや必要ひつような援助えんじょを行おこない、話はなし合あいによる解決かいけつを優先ゆうせんするよう勧告かんこくした^[72]。

日常にちじょうの困難こんなん[編集へんしゅう]

直前ちょくぜんの職業しょくぎょうは、おもに日雇ひやとい労働ろうどうなど、もともと不安定ふあんていな就労しゅうろう形態けいたいであった者ものが多おおく、建設けんせつ不ふ況きょうなどにより日雇ひやとい労働ろうどう市場いちばが縮小しゅくしょうした現在げんざい、高齢こうれい化かの問題もんだいも手伝てつだって、仕事しごとに就つくのに困難こんなんな状況じょうきょうが伴ともなっており、職業しょくぎょう訓練くんれんや新あらたな雇用こようの創出そうしゅつなどの対策たいさくが求もとめられる。また、アルコール依存いぞん症しょうやギャンブル依存いぞん症しょうなどによる心身しんしん面めんの問題もんだいを抱かかえる者ものについては、一旦いったん、生活せいかつを立たて直なおした後のちで、また再ふたたび野宿のじゅくに戻もどる場合ばあいがあるなどの問題もんだいを抱かかえている。

屋外おくがいで生活せいかつすることが多おおいため、気温きおんの変化へんかに対応たいおうすることが難むずかしく死しに直面ちょくめんすることもある。2017年ねん1月がつに欧州おうしゅうが寒波かんぱに見舞みまわれた際さいには、30人にん以上いじょう（移民いみんも含ふくまれている）が凍死とうし^[73]。同どう寒波かんぱはウクライナも襲おそい、同どう国内こくないだけでも40人にんが死亡しぼう。寒さむさをしのぐために飲酒いんしゅしており、遺体いたいの大半たいはんは路上ろじょうで発見はっけんされていると指摘してきしている医師いしもいる^[74]。一方いっぽう、2015年ねん6月がつにパキスタンが熱ねつ波はに見舞みまわれた際さいには、1,200人にん以上いじょうが死亡しぼう。死亡しぼう者しゃの2/3は路上ろじょう生活せいかつ者しゃや麻薬まやく常用じょうよう者しゃであった^[75]。日本にっぽんでも、凍死とうしする例れいが、しばしば発生はっせいしている^[76]。衛生えいせい面めんにおいても課題かだいが見みられる。2007年ねんの調査ちょうさでは衛生えいせい面めんの問題もんだいが日常にちじょう生活せいかつの課題かだいとして30.8%を占しめており^[77]、特とくに女性じょせいは月経げっけいの対処たいしょによって感染かんせん症しょうに罹患りかんするリスクを抱かかえているものの、生理せいり処理しょり用品ようひんが高額こうがくであることなどから対処たいしょ法ほうが限かぎられていることが指摘してきされている^[78]。

反はん社会しゃかい的てき勢力せいりょくとの関係かんけい[編集へんしゅう]

中なかには、暴力団ぼうりょくだんなど非合法ひごうほう組織そしきに関係かんけいし親族しんぞく・家族かぞくに絶縁ぜつえんされ家出いえでをし、ホームレスとなり、死亡しぼう後のちに遺体いたいとなって家族かぞくのもとに帰かえる者ものもいる。また近年きんねん、中国ちゅうごくから覚かくせい剤ざいの密輸みつゆを行おこなう運はこび屋やとして逮捕たいほされる事件じけんが発生はっせいしている。また、雇用こよう助成じょせい金きんを騙だまし取とる目的もくてきで設立せつりつされたペーパーカンパニーの社長しゃちょうに、仕立したてて上あげられた事件じけんも発生はっせいしている^[79]。

病気びょうき[編集へんしゅう]

ホームレス者しゃは結核けっかくの罹患りかん率りつが高たかいとされている。アメリカの場合ばあい、ニューヨークでは結核けっかく患者かんじゃの3割わり程度ていどがホームレスであり、全すべての患者かんじゃのうちで強制きょうせい入院にゅういんを経験けいけんした割合わりあいは4%程度ていどとされている^[80]。また日本にっぽんでは、あいりん地域ちいきでホームレスの中高なかだか年齢ねんれい者しゃに対たいして公的こうてき就労しゅうろう対策たいさくとして特別とくべつ清掃せいそう事業じぎょうが行おこなわれ、研究けんきゅう事業じぎょうとして平成へいせい15～17年ねんの3年間ねんかんに胸部きょうぶX線せん検査けんさが実施じっしされた^[81]。胸部きょうぶレントゲン検査けんさでは結核けっかく有ゆう所見しょけん者しゃの割合わりあいが高たかく、平成へいせい16年度ねんどの実績じっせきでは、研究けんきゅう対象たいしょうのホームレスの人ひとのうち結核けっかく有ゆう所見しょけん者しゃ34.6%であった^[82]。

文化ぶんか[編集へんしゅう]

廃品はいひん回収かいしゅうと、その周辺しゅうへん事情じじょう[編集へんしゅう]

彼かれらの僅わずかな収入しゅうにゅう源げんの一ひとつに、回収かいしゅう業者ぎょうしゃが廃品はいひんの買取かいとりをする方法ほうほうや直接ちょくせつ販売はんばい可能かのうな廃品はいひんの買取かいとりがある。前者ぜんしゃが段だんボールやアルミ缶かん、後者こうしゃは週刊しゅうかん誌しなどの雑誌ざっしである。段だんボール集あつめの場合ばあい、古紙こし回収かいしゅう業者ぎょうしゃがリヤカーを提供ていきょうし、安やすい料金りょうきんで街まち中ちゅうの段だんボールを集あつめている。

しかし最近さいきんでは、段だんボールも無料むりょうでの引取ひきとりがなくなり、放火ほうかの危険きけん性せいからも街まち中ちゅうでは見みられなくなりつつある。缶かんに至いたっては「資源しげんゴミは自治体じちたいが所有しょゆう権けんを留保りゅうほする有価ゆうか物ぶつ」であるため、集積しゅうせき所しょからの回収かいしゅうは窃盗せっとう罪ざいに問とわれる可能かのう性せいがある。

段だんボール・ハウス絵画かいが[編集へんしゅう]

バブル経済けいざい崩壊ほうかい後ごの企業きぎょう倒産とうさん激増げきぞう等とうにより、インテリや芸術げいじゅつ家かもホームレスとなり、新宿しんじゅく駅えき西口にしぐち地下ちか広場ひろばでは、ピーク時じで300名めいが段だんボール・ハウスで寝泊ねとまりしていた（新宿しんじゅくダンボール村むら）。1995年ねんからは、若手わかて芸術げいじゅつ家か（武たけ盾たて一いち郎ろうほか）やホームレスとなった芸術げいじゅつ家かが、段だんボール・ハウスに絵画かいがを描えがき始はじめ、1998年ねんまでに800軒けんの絵画かいがが描えがかれた。2005年ねんには、その10周年しゅうねんを記念きねんして「新宿しんじゅく区くダンボール絵画かいが研究けんきゅう会かい」が結成けっせいされ、武たけ盾たて一郎いちろうが会長かいちょう、深瀬ふかせ鋭一えいいち郎ろうが事務じむ局長きょくちょう、深瀬ふかせ記念きねん視覚しかく芸術げいじゅつ保存ほぞん基金ききんが事務じむ局きょくとなり、美術びじゅつ評論ひょうろん家かの中原なかはら佑介ゆうすけ、毛利もうり嘉孝よしたかなども参加さんかして、研究けんきゅう叢書そうしょとして「新宿しんじゅくダンボール絵画かいが研究けんきゅう」が発刊はっかんされた^[83]。

まちづくり[編集へんしゅう]

日雇ひやとい労働ろうどう市場いちば（寄よせ場ば）には多数たすうの簡易かんい宿所しゅくしょ（いわゆる「ドヤ」）が集あつまった街まちがあり、日雇ひやとい労働ろうどう者しゃがひしめく独特どくとくの雰囲気ふんいきがある。

東京とうきょう都と山谷さんや、横浜よこはま市し寿ことぶき町まち、大阪おおさか市し釜ヶ崎かまがさき（あいりん地区ちく）が「日本にっぽん三さん大だい寄よせ場ば」として有名ゆうめいである。