生命せいめい宇宙うちゅう、そして万物ばんぶつについての究極きゅうきょく疑問ぎもんこた

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生命せいめい宇宙うちゅう、そして万物ばんぶつについての究極きゅうきょく疑問ぎもんこた[1](せいめい うちゅう そしてばんぶつについてのきゅうきょくのぎもんのこたえ、原文げんぶん: Answer to the Ultimate Question of Life, the Universe, and Everything)は、ダグラス・アダムズSF作品さくひん銀河ぎんがヒッチハイク・ガイド』に登場とうじょうするフレーズである。

銀河ぎんがヒッチハイク・ガイド[編集へんしゅう]

ダグラス・アダムズの『銀河ぎんがヒッチハイク・ガイド』(The Hitchhiker's Guide to the Galaxy)は、イギリスラジオドラマで、のちに小説しょうせつテレビドラマ、そしてついに映画えいががなされた人気にんきシリーズである。奇抜きばつな、ほとんど意味いみ不明ふめい領域りょういきちかづいたアイデアと、軽妙けいみょうかたくちつスラップスティック(Slapstick = ドタバタ)SF小説しょうせつである。作中さくちゅう、「生命せいめい宇宙うちゅう、そして万物ばんぶつについての究極きゅうきょく疑問ぎもんこたえ」をわれたスーパーコンピュータ、ディープ・ソートが750まんねん計算けいさんすえしたこたえが、「42」である。どうシリーズの日本語にほんごやく新潮社しんちょうしゃから出版しゅっぱんされたが、日本にっぽんではそこまででまり、派生はせい文化ぶんかさなかった。

スラップスティックは「どたばた」であり、英語えいごけんのSFかいでも『銀河ぎんがヒッチハイク・ガイド』は異色いしょく存在そんざいである。しかし英語えいごけんでコンピュータ・プログラムやネットワークに趣味しゅみてきにのめりこんだ人々ひとびとには、スラップスティックSFの感覚かんかく呼応こおうする心性しんせいがあり、どうシリーズのアイデアをこのんでとりあげた。たとえば、ローグライク・ゲームのメッセージやモンスターのなかには、銀河ぎんがヒッチハイク・ガイドに由来ゆらいするものがある。英語えいごからの移植いしょくばんも、英語えいごばん土台どだい日本にっぽん発展はってんしたローグライク・ゲームも、銀河ぎんがヒッチハイク・ガイドの世界せかい部分ぶぶん継承けいしょうした。ネットワーク経由けいゆでのさい流入りゅうにゅうである。

ストーリー[編集へんしゅう]

生命せいめい宇宙うちゅう、そして万物ばんぶつについての究極きゅうきょく疑問ぎもんこた

ディープ・ソート[編集へんしゅう]

このシリーズにおけるハツカネズミは、「すぐれた知性ちせいをもったひろし次元じげん生物せいぶつがわれわれのさん次元じげんしている部分ぶぶん」である。ハツカネズミたちは「生命せいめい宇宙うちゅう、そして万物ばんぶつについての究極きゅうきょく疑問ぎもんこたえ」をるために、ぜん時代じだいおよびぜん世界せかいにおいて2番目ばんめすごいコンピュータ、ディープ・ソート(ふかかんがえ)をつくった。そのコンピュータが750まんねんかけてしたこたえは「42」だった。

よんじゅうだと!」ルーンクォールがさけんだ。「ななひゃくじゅうまんねんかけて、それだけか?」
なん徹底的てっていてき検算けんざんしました」コンピュータがおうじた。「まちがいなくそれがこたえです。率直そっちょくなところ、みなさんのほうで究極きゅうきょく疑問ぎもんなにであるかわかっていなかったところに問題もんだいがあるのです」[2]

ディープ・ソートは研究けんきゅうしゃかって、「疑問ぎもんとはなになのか」にこたえられるもっとすごいコンピュータ(=ぜん時代じだいぜん世界せかいもっとすごいコンピュータ)を設計せっけいしようとった。それはコンピュータ母体ぼたい生命せいめいたいんだコンピュータである。そのコンピュータのは「地球ちきゅう」。あまりにおおきいのでよく惑星わくせい間違まちがえられる。しかし、疑問ぎもん計算けいさんわる5ふんまえに、ちょう空間くうかんバイパスをとおすための道路どうろ工事こうじでヴォゴンじん地球ちきゅう破壊はかいしてしまう。このとき、「銀河ぎんがヒッチハイク・ガイド」現地げんち調査ちょうさいんのフォードと地球人ちきゅうじんのアーサー・デントとはなんとか地球ちきゅう脱出だっしゅつできた。のシリーズ作品さくひん(『宇宙うちゅうてのレストラン』)で、生命せいめい意味いみわたることで、自分じぶんたち仕事しごとがなくなることをおそれた精神せいしん哲学てつがくしゃ組合くみあいが、地球ちきゅうこわすためにヴォゴンじんやとったことが判明はんめいする。

テレビのトーク番組ばんぐみ疑問ぎもんかすことになったハツカネズミは、必死ひっしになって疑問ぎもん発見はっけんしようとした。惑星わくせいマグラシアでのアーサー・デントいちぎょうとのはないで、ハツカネズミのフランキイとベンジイは、究極きゅうきょく疑問ぎもんをアーサーののうから抽出ちゅうしゅつするという計画けいかくかした。そのためにはのうしてサイのらないといけない、といたアーサーは計画けいかく反対はんたいし、すんでのところで無事ぶじすことができた。

本当ほんとうのことがからないので、2人ふたりのハツカネズミはトーク番組ばんぐみはなすための疑問ぎもんをでっちげることにする。議論ぎろんすえまったのは、「How many roads must a man walk down?(人間にんげんあるみちかずはいくつ?)」という疑問ぎもんである(これはボブ・ディラン有名ゆうめい公民こうみんけん運動うんどううたふうかれて』のいちぎょう)。却下きゃっかされた疑問ぎもんのひとつ「黄色きいろくて危険きけんなものなあに?」は、作者さくしゃアダムスはこたえをかしていないが、こたえは「サメがむらがるカスタード」である。しかしこれは、地球ちきゅう破壊はかいしたヴォゴンじん黄色きいろくて危険きけん宇宙うちゅう艦隊かんたいへの言及げんきゅうでもある。

目隠めかくしスクラブル[編集へんしゅう]

シリーズだい2さく宇宙うちゅうてのレストラン』の最後さいごで、最後さいご地球人ちきゅうじんとなったアーサーは、自分じぶん無意識むいしきから「疑問ぎもん」を発見はっけんしようとする。コンピュータ母体ぼたい一部いちぶであるアーサーは、内部ないぶ疑問ぎもん保持ほじしている可能かのうせい一番いちばんたかいのだ。アーサーはスクラブル要領ようりょうで、ふくろから適当てきとう文字もじばんしていった。その結果けっか、できあがったぶんは "WHAT DO YOU GET IF YOU MULTIPLY SIX BY NINE" (ろくけるきゅうはいくつになるか)だった。

ろくけるきゅうよんじゅう
「そうだ。これで全部ぜんぶだ」[3]

十進法じっしんほうでは6 × 9 = 54 なので、このいは宇宙うちゅうはへんてこで非合理ひごうりなものだということを含意がんいしているのかもしれない。とはいえ、これが本当ほんとう疑問ぎもんだという証拠しょうこはない。結局けっきょくのところ、アーサーは巨大きょだい複雑ふくざつなコンピュータ母体ぼたい地球ちきゅう」の極小きょくしょう断片だんぺんでしかないし、その地球ちきゅう計算けいさん完了かんりょうする5ふんまえ破壊はかいされた。あと5ふんただしい恒等こうとうしき 6 × 7 = 42 をみちびした可能かのうせいもある。アーサーとフォードは、太古たいこ地球ちきゅうさる人間にんげん銀河系ぎんがけい中心ちゅうしんからの移民いみんであるゴルガフリンチャムじんってわられていることに気付きづく。アーサーがゴルガフリンチャムじん子孫しそんだとすれば、アーサーのあたまなかにあった疑問ぎもん不合理ふごうりであることの理由りゆうになりる。

ラジオドラマばんでは、このシーンは最初さいしょのシリーズ(だい6かい)に登場とうじょうする。アーサーは疑問ぎもん発見はっけんしてつぎのようにう。「ぼくはいつもってたんだ、宇宙うちゅうには基本きほんてきなに欠陥けっかんがあるって」

究極きゅうきょくいのかいせい[編集へんしゅう]

だい2かん宇宙うちゅうてのレストラン』の冒頭ぼうとうにはつぎのようにいてある。

この宇宙うちゅう目的もくてきがなんであり、なぜ宇宙うちゅう存在そんざいするのか---そのこたえをあやまちなくいだしたものあらば、
宇宙うちゅうはたちまちってはるかにかい不可解ふかかいなものにとってかわられるだろう---そういう理論りろんがある。 [4]

そしてそのつぎのページにはこういてある。

それはすでにこってしまった---という理論りろんもある。

だい3かん宇宙うちゅうクリケット大戦たいせんそう』(原題げんだいLife, the Universe and Everything(=生命せいめい宇宙うちゅう、そして万物ばんぶつ))の最終さいしゅうあきら「エピローグ:生命せいめい宇宙うちゅう、そして万物ばんぶつ」でアーサーいたるはプラクというおとこう。

プラクは自白じはくざいみすぎにより「真実しんじつを、真実しんじつのみをかたり、真実しんじつ以外いがいのなにものもかたらなくなってしまったおとこ」である。アーサーが「究極きゅうきょくこたえ」についてたずねると、「42、そうだ。それはただしい」とって「究極きゅうきょくこたえ」が「42」であることを肯定こうていする。プラクによれば「究極きゅうきょくい」と「究極きゅうきょくこたえ」は相容あいいれないもので、おな宇宙うちゅう両方りょうほう同時どうじることはできない。もしそういうことがこったなら宇宙うちゅうははるかに「かい不可解ふかかいなもの」にってわるし、これは「すでにこってしまった」のだという。

ただし、プラクは「それには若干じゃっかんうたがいがある」とくわえている。

かみ造物ぞうぶつたいしてのこした言葉ことば[編集へんしゅう]

プラクはアーサーいたるに「かみが(造物ぞうぶつたいして)のこした言葉ことば」をさがしてるようにう。アーサーはこの言葉ことばが「究極きゅうきょくい」となんらかのかかわりがあるのではないかとかんがえ、だい4かんのラストで「言葉ことば」をさがしにく。しかし「言葉ことば」は「究極きゅうきょくい」とは関係かんけいなかった。

かみのこした言葉ことばは「We apologize for the inconvenience.」(すまん、不都合ふつごうなことばかりで[5])。この言葉ことば建設けんせつ現場げんば看板かんばんなどでもよくもちいられる文章ぶんしょうであり、お役所やくしょ用語ようご一種いっしゅでもある。

「ほとんど無害むがい」ラストにて[編集へんしゅう]

ある意味いみここで、こたえ「42」とい「生命せいめい宇宙うちゅう、そして万物ばんぶつについての究極きゅうきょく疑問ぎもん」はそろったともかんがえられる。最後さいご地球人ちきゅうじんであるむすめランダムが、とある「42ごうしつ」で「自分じぶん居場所いばしょ何処どこだ」といをはっし、そのその部屋へやから機会きかいかった。

ランダムの本当ほんとうきたかったことはおそらく人生じんせいにおける居場所いばしょだが、そんなものは具体ぐたいてきなものとしてあるものではない。ことにタイムマシンやら無限むげん不可能ふかのうせいドライブやらが存在そんざいするようなかでは尚更なおさらだと、トリリアンもっている。

一方いっぽう、ちょうどそのときランダムがた「場所ばしょそのもの」は、42号室ごうしつである。ランダムのいにトンチで42号室ごうしつこたえること可能かのうである。

指摘してき仮説かせつ[編集へんしゅう]

『タイタンの妖女ようじょ』のパロディか[編集へんしゅう]

日本語にほんご訳者やくしゃ風見かざみじゅんが、シリーズだいかん宇宙うちゅうてのレストラン』後書あとがきで紹介しょうかいしているように、佐藤さとう良明よしあきが「対峙たいじしない文学ぶんがく」(「英語えいご青年せいねん1982ねん9がつごう)で『銀河ぎんがヒッチハイク・ガイド』についてれている。このなか佐藤さとう良明よしあきは「42」はカート・ヴォネガット・Jr小説しょうせつタイタンの妖女ようじょ』のパロディではないかと指摘してきしている。

『タイタンの妖女ようじょ』では、トラルファマドールほしじん自分じぶんたち存在そんざい意義いぎをコンピューターにたずねるシーンがてくる。このコンピューターがはじきしたこたえは「0」、すなわち存在そんざい意義いぎなどない、というもの。

『Burkiss Way』の「42 論理ろんり実証じっしょう主義しゅぎどおり」[編集へんしゅう]

作者さくしゃのアダムスが「42」を使つかったのは『銀河ぎんがヒッチハイク・ガイド』が最初さいしょではなく、そのまえにBBCのラジオ・コメディ『Burkiss Way』(en:The Burkiss Way)で、「42 論理ろんり実証じっしょう主義しゅぎどおり」(42 Logical Positivism Avenue)[6]というスケッチをいている。これは、オリジナルであるラジオドラマばん銀河ぎんがヒッチハイク・ガイド』で「42」のじょう登場とうじょうする14ヶ月かげつまえの、1978ねん3がつ29にち放送ほうそうされた。

文字数もじすうとの関連かんれん[編集へんしゅう]

"answer to life the universe and everything"はスペースもふくめて文字もじかぞえると、全部ぜんぶで42文字もじである。質問しつもんこたえ"What do you get if you multiply six by nine? Forty-two"は、スペースとハイフンと疑問符ぎもんふのぞけば42文字もじであり、ふくめれば6ける9の一般いっぱんただしいとされるこたえ、54文字もじとなる。

映画えいがばんパンフレットによると、続編ぞくへんかみのこした言葉ことばGod says, sorry for all the inconveniences.」(すまん、不都合ふつごうことばかりで、とかみった[5])もスペースとカンマをれれば42文字もじである[7]

13しんほうとの関連かんれん[編集へんしゅう]

のちに、6かける9は10しんほうでは54だが、13しんほうでは42になることが指摘してきされた(4×13+2=54(10))。ダグラス・アダムズは作品さくひんいていたときにはがついていなかった。そしてしばしば引用いんようされるように「だれも13しんほうについてのジョークなんていてないよ」「ぼくはまったくみじめなやつだけども、13しんほうについてジョークをいったりはしないんだ」などの言葉ことばのこしている。とはいえ、アーサーが使つかったスクラブルばんいちへんが13ますからなるものであることに注意ちゅういすべきである。実際じっさいのスクラブルばんは15ますからなる。このようなちがいは、作中さくちゅう4つあることになっているYのコマが実際じっさいのスクラブルのゲームでは2つであることにも共通きょうつうする。

演算えんざん順序じゅんじょのバグか[編集へんしゅう]

ディープ・ソートは演算えんざん順序じゅんじょ問題もんだいかかえていたのではないか、というプログラマのジョークがある。つまりたとえば、6×9=(1+5)×(8+1)=54とすべきところを6×9=1+5×8+1=42としてしまったため、「究極きゅうきょくい」が「6×9」でなく「6×7」になってしまったのではないか、というジョークである。

たとえば下記かきC言語げんご記述きじゅつされたプログラムでは、1 + 5SIX8 + 1NINE としてマクロ定義ていぎし、SIX * NINE計算けいさんしている。プログラムを実行じっこうするとコンピュータは42という表示ひょうじする。なぜなら、SIX * NINE はコンパイルのまえ1 + 5 * 8 + 1展開てんかいされ、演算えんざん優先ゆうせん順位じゅんいにより乗算じょうざんさき計算けいさんされるからである。

#include <stdio.h>

#define SIX 1 + 5
#define NINE 8 + 1

int main(void)
{
    printf( "What you get if you multiply six by nine: %d\n", SIX * NINE );
    return 0;
}

グロブとの関連かんれん[編集へんしゅう]

ASCIIで42は「*」(アスタリスク)である。アスタリスクはグロブ(w:glob (programming))において、任意にんい(=万物ばんぶつ)の文字もじれつえられる「ワイルドカード」によくもちいられる。このことも、万物ばんぶつについてのこたえ、ともれる(クリーネ閉包へいほう混同こんどうしないように)。

ルイス・キャロルとの関連かんれん[編集へんしゅう]

42はイギリスを代表だいひょうする児童じどう文学ぶんがく不思議ふしぎくにのアリス』の作者さくしゃルイス・キャロルこのんだ[8]数字すうじで、作中さくちゅうなん使用しようしている。

そのためアダムスは『銀河ぎんがヒッチハイク・ガイド』のなかで「生命せいめい宇宙うちゅう、そして万物ばんぶつについての究極きゅうきょく疑問ぎもんこたえ」を42としたのはキャロルへのオマージュではないかと指摘してきされた[9]が、本人ほんにんは「たんなる偶然ぐうぜん一致いっち」として否定ひていしている。

しかし、『銀河ぎんがヒッチハイク・ガイド』作品さくひんちゅうてくる表現ひょうげん描写びょうしゃは、『不思議ふしぎくにのアリス』作品さくひんちゅうてくるような表現ひょうげん描写びょうしゃ部分ぶぶん見受みうけられる(アダムス本人ほんにんはそのいくつかをみとめている)。

マーヴィンはなにかをっていたか[編集へんしゅう]

マーヴィンは人間にんげんしんなかめるので、アーサーのしんんで究極きゅうきょくいをるようもとめられたが、マーヴィンがこたえるまえにハプニングがこったため、結局けっきょくマーヴィンは究極きゅうきょくいをみなおしえなかった(『宇宙うちゅうてのレストラン』)。

またシリーズだい3さく宇宙うちゅうクリケット大戦たいせんそう』で、宇宙うちゅう最高さいこう思考しこうりょくつロボットであるマーヴィンはきたマットレスであるゼムに、なにでもいいからかずげるようにう。ゼムはかずい、マーヴィンは「ちがいます。そうでしょう?」と返事へんじをする。マーヴィンは自分じぶん頭脳ずのう惑星わくせい規模きぼだとなんっているので、地球ちきゅうなにかんがえていたかを発見はっけんしたのかもしれない。宇宙船うちゅうせん黄金おうごんしんごうのコンピュータであるエディも、なにでもいいからかずげるようにったが、船内せんない地球人ちきゅうじんからは無視むしされた。

死者ししゃしょとの関連かんれん[編集へんしゅう]

エジプトの『死者ししゃしょ』にてくるかみかずは42である。

42ぎょう聖書せいしょとの関連かんれん[編集へんしゅう]

15世紀せいきなかばにはじめての活版かっぱん印刷いんさつほんとして出版しゅっぱんされたグーテンベルク聖書せいしょは1ページが42ぎょうまれているため、別名べつめい「42ぎょう聖書せいしょ」とばれている。

1942という年号ねんごうとの関連かんれん[編集へんしゅう]

だい世界せかい大戦たいせんにおいて、連合れんごうこく枢軸すうじくこくたいし、大々的だいだいてき反攻はんこう成功せいこうしたのが1942ねんであり、その年号ねんごう西欧せいおうじんにとってはおなじみのものである。つまり、「勝利しょうり」の意味いみ可能かのうせいもある。

ハッシュ[編集へんしゅう]

一般いっぱんてきプログラム言語げんごには、文字もじれつたいして、特定とくていまったかえ機能きのうそなわっており、それは、リスト整列せいれつ検索けんさくのため使つかわれている。「地球ちきゅう」がくるまぎれにしたこたえが、「地球ちきゅう」のアルゴリズムで計算けいさんした"answer to life the universe and everything"のハッシュすうであったのかもしれない。

日本語にほんごのジョーク[編集へんしゅう]

6×9=42は、日本語にほんごで「に(42)」と「ロック(69)」にかれる。つまり、デッドロック(deadlock)という、日本語にほんご英語えいごわせたジョークであるとするせつもある。理由りゆうとしては、この宇宙うちゅうは、陽子ようし中性子ちゅうせいしという、素粒子そりゅうしデッドロックにおかれた状態じょうたい集積しゅうせきだからである。人生じんせいについても同様どうよう人生じんせい最後さいごは、老人ろうじんホームか、餓死がし、つまりデッドロックである。

ド・ジッターかい数値すうち解析かいせき[編集へんしゅう]

相対性理論そうたいせいりろんもっと基本きほんてきかいド・ジッターかい数値すうち解析かいせき量子りょうし方程式ほうていしきおこなった場合ばあいかいビッグバンがこるのが42ステップであることからきているのかもしれない。この場合ばあい宇宙うちゅうは101*101*101のグリッドにけられた場合ばあいである。かいビッグバンがこるというところが目新めあたらしい。

four by two[編集へんしゅう]

42の英語えいごである forty two の最初さいしょのtをbにえると four by two となり、ユダヤじんという隠語いんごになる。ネイティブにしかわからないジョークであり、キリストとアインシュタインを意味いみしているのは当然とうぜんであろう。

ジョン・クリーズの仮説かせつ[編集へんしゅう]

モンティ・パイソンのメンバーだったジョン・クリーズ以下いかのような仮説かせつとなえている。クリーズがグレアム・チャップマン一緒いっしょいた司祭しさい説教せっきょうかんするコントで、司祭しさいが「かみいかりが世界せかいくすといううた」である賛美さんび42ばんうたわせようとしてわるものがあった。チャップマンがダグラス・アダムズと一緒いっしょ仕事しごとをしていたので、このコントをていたのではないかというものである[10]

作者さくしゃ自身じしん言葉ことば[編集へんしゅう]

BBCのインタビューにたいして[編集へんしゅう]

銀河ぎんがヒッチハイク・ガイド』のじゅう周年しゅうねん記念きねんしたBBCのラジオ4のインタビューで、作者さくしゃのダグラス・アダムスがなぜ42をえらんだのかを解説かいせつしている。インタビューでアダムスはつぎのような趣旨しゅしのことをこたえている。

モンティ・パイソン」の一人ひとりジョン・クリース仕事しごとしたことがある。そのときジョンは延々えんえん計算けいさんしたあげくにやっとこたえをす「ダメな窓口まどぐちがかり」のジョークをやっていた。ジョンはそのこたえが「まった意味いみ平凡へいぼん数字すうじ」でないと面白おもしろくないとし、結局けっきょくこたえは「42」になった。究極きゅうきょくこたえが3や7といった意味いみありげな数字すうじだと面白おもしろくないので、「まった意味いみ平凡へいぼん数字すうじ」をえらぼうとしているときにこのけんおもいだし、これはうってつけだとおもって「42」にした。

このインタビューは、その要約ようやく河出かわで書房しょぼうばん銀河ぎんがヒッチハイク・ガイド』のあとがきにさいろくされている。また『銀河ぎんがヒッチハイク・ガイド』のCD(テレビ番組ばんぐみのDVDではなく、ラジオ番組ばんぐみ録音ろくおんしたCD-ROM8まいぐみのセットのほう)に収録しゅうろくされている。

ただし、アダムス自身じしんが「記憶きおくがあいまいで、ほんとうにそうだったかはからない」ともっている。

『パニくるな』にて[編集へんしゅう]

ニール・ゲイマンほん『パニくるな』(Don't Panic、わけ)[11]には作者さくしゃダグラス・アダムスの手紙てがみ公開こうかいされている。

Q. 生命せいめい宇宙うちゅう、そして万物ばんぶついはなにですか?
A. アーサー・デントがさがしている本当ほんとういがかった。それはこれだ:

 

この文章ぶんしょう復号ふくごうできたら、そしてこの文章ぶんしょうかれている言語げんご入門にゅうもんしょだれかがおくってくれたら、いつのか、みなおしえるよ。

ニュースグループにて[編集へんしゅう]

作者さくしゃダグラス・アダムスのファンのニュースグループに、作者さくしゃ本人ほんにん以下いか内容ないよう投稿とうこうしている[1]

Mark J Cherkasはきました:
>わたしはこのグループにはいったばかりなので、初歩しょほてき質問しつもんをおゆるしください。
>なぜこたえは42なんですか?
>ダグラス・アダムスはこれについてなに説明せつめいしてますか?
このこたえはとても簡単かんたんさ。ジョークだよ。普通ふつうの、ちいさめのかずじゃなきゃならなかったんだ。それでこのかずえらんだ。2進数しんすうだとか、13しんほうだとか、チベットの僧侶そうりょ[12]だとかはまったくのナンセンスだよ。ぼく自分じぶんつくえにすわって、にわつめ、「42でいいな」とかんがえてタイプしたんだ。これではなしわり。

42をもとネタとするオマージュ[編集へんしゅう]

Googleの計算けいさん機能きのう[編集へんしゅう]

コンピュータに「42」をこたえさせるというのは、英語えいごけんプログラマの茶目ちゃめである。Googleの電卓でんたく機能きのうは、"the answer to life the universe and everything"[2]や"the answer to the ultimate question of life the universe and everything"[3]計算けいさんをサポートしており、Google興隆こうりゅうとともに、この冗談じょうだん機能きのう存在そんざいも、日本にっぽんられるようになった。

なお、おそらくは偶然ぐうぜん一致いっちだろうが、『銀河ぎんがヒッチハイク・ガイド』の25しょうでディープ・ソートはひかり独創どくそうだいなな銀河ぎんがにある「Googolplex Star Thinker」なるコンピュータの性能せいのうを「電卓でんたくレベル」だとけなしている[13]。Googolplex Star Thinkerは「ダングラバッド・ベータぼし週間しゅうかん砂嵐すなあらしにおける砂塵さじん軌道きどういちつぶのこらず計算けいさんできる」ほどのマシンだが、それをいたディープ・ソートは「ビッグバンのさいぜん原子げんしのベクトル」を決定けっていできる自分じぶんをそんなマシンと比較ひかくするなとひややかにこたえている。

作中さくちゅうでディープ・ソートに750まんねんもかけてこのこたえをしたことおもうと、この問題もんだいくにさいしてのGoogleの計算けいさん驚異きょういてきはやい。Googleが『42』を計算けいさんするのにようする驚異きょういてき速度そくどは、Googleのほうがディープ・ソートよりもすぐれている証拠しょうこだ」という、Google関係かんけいしゃのメッセージであるとするせつもある。

日本語にほんごばんのGoogleでも「生命せいめい宇宙うちゅう、そして万物ばんぶつについての究極きゅうきょく疑問ぎもんこたえ」[4]、「生命せいめい宇宙うちゅう、そして万物ばんぶつについてのこたえ」[5]、「生命せいめい宇宙うちゅう、そのもろもろの回答かいとう[6]、「生命せいめい宇宙うちゅう、そのすべてにたいするこたえ」[7]、「生命せいめい宇宙うちゅう、すべてのこたえ」[8]などと入力にゅうりょくすると「42」とかえってくる。

IBMのチェス・コンピュータ[編集へんしゅう]

1988ねんカーネギー・メロン大学だいがくもと峰雄みねおやマレー・キャンベルらがチェス・チャンピオンのガルリ・カスパロフやぶるためにつくったコンピュータの名前なまえは「ディープ・ソート」である。これは『銀河ぎんがヒッチハイク・ガイド』ちゅうで「42」を計算けいさんしたコンピュータとおな名前なまえである。しかし、ディープ・ソートはカスパロフに敗北はいぼくした。

そこでIBMがディープ・ソートの後続こうぞく開発かいはつする。このコンピュータの名前なまえは「ディープ・ブルー」。『銀河ぎんがヒッチハイク・ガイド』ちゅうでディープ・ソートが設計せっけいしたコンピュータ「地球ちきゅう」はディープ・ブルー(ふかあお)のいろほしである。また、IBMのコーポレートカラーであるブルーからとったものともかんがえられる。この「ディープ・ブルー」はカスパロフをやぶり、世界せかい最初さいしょ人間にんげんのチェス・チャンピオンをやぶったコンピュータとしてその歴史れきしきざむこととなる[9]

ディープ・ブルーは、IBMばんUNIXであるAIXというOS使用しようしていたので、それ以降いこうIBMは「銀河ぎんがヒッチハイク・ガイド」とからめてAIXを宣伝せんでんしている。たとえば「AIX並列へいれつ環境かんきょうのヒッチハイク・ガイド」をいたり、プログラムの例文れいぶんに「銀河ぎんがヒッチハイク・ガイド」を使つかったりしている。

コンピュータゲーム「Spore」[編集へんしゅう]

2008ねん発表はっぴょうされた生態せいたいけいシミュレーションゲーム『Spore』にも、オマージュとされる部分ぶぶんられる。ゲームのながれとして、プレイヤーは単細胞たんさいぼう生物せいぶつ設計せっけいし、生物せいぶつ上陸じょうりく道具どうぐ発明はつめい文明ぶんめい形成けいせい自作じさくのクリーチャーを宇宙船うちゅうせんせて銀河ぎんが探索たんさくすることができる。プレイヤーは銀河ぎんが比較的ひかくてきはしっこからスタートするが、作中さくちゅうなんも「銀河ぎんが中心ちゅうしん特別とくべつなにかがある」とほのめかされるため、知的ちてき好奇心こうきしん努力どりょくなどにより銀河ぎんが中心ちゅうしん到達とうたつすることができる。

銀河ぎんが中心ちゅうしん到達とうたつすると、「42」というアチーブメント(XBOXにおける実績じっせきのようなもの)を獲得かくとくする。また、はじめて銀河ぎんが中心ちゅうしんおとずれたときにられるイベントでは「太陽系たいようけいだいさん惑星わくせいでおちしております」というメッセージがられる。

その[編集へんしゅう]

  • テレビ番組ばんぐみThe Kumars at No. 42」で、主人公しゅじんこうKumarsたち部屋へや番号ばんごう「42」の部屋へやんでいる。2003ねんにBBCで放送ほうそうされた、Sanjeev Bhaskar(「The Kumars at No. 42」の脚本きゃくほん一人ひとり司会しかい番組ばんぐみで『銀河ぎんがヒッチハイク・ガイド』がイギリスでもっとあいされているほんとしてノミネートされた。この番組ばんぐみちゅうでBhaskarは、Kumarsの部屋へや番号ばんごうは『銀河ぎんがヒッチハイク・ガイド』からているとっている。
  • 英国えいこく出身しゅっしんのロックバンド「レベル42」の「42」[14]
  • テレビドラマ『X-ファイル』の登場とうじょう人物じんぶつフォックス・モルダーは、42ごうしつんでいる。
  • テレビドラマ『ドクター・フー』のエピソード「タイムリミット42」。
  • 清水しみず大輔だいすけ作曲さっきょく吹奏楽すいそうがくきょく「すべてのこたえ」のなか主題しゅだいが4と2に(なか意図いとてきに)かれている[10]
  • Linuxディストリビューションひとつ「Ubuntu」は、バージョン10.10のリリースを、二進法にしんほうの101010(十進法じっしんほうの42)から、2010ねん10がつ10日とおかとした。
  • アドベンチャーゲームSTEINS;GATE』でタイムマシン作動さどうさせるかぎひとつであるブラウン管ぶらうんかんテレビおおきさが42がた
  • プログラミング言語げんごRubyのArray#forty_twoメソッド[15]: たんにself[41]のaliasである。ActiveSupportを利用りようすると使つかえるようになる。
  • オンラインゲーム『FINAL FANTASY XIV』で同名どうめいのフィールドクエスト(F.A.T.E.)が存在そんざいする。
  • セガ アミューズメントのアーケード音楽おんがくゲームチュウニズム」に収録しゅうろくされた楽曲がっきょく「macrocosmos」のBPMが42およびノーツデザイナー名義めいぎが「the answer to life the universe and everything」となっている。
  • 2018ねんのアニメーション映画えいがスパイダーマン:スパイダーバース』で、主人公しゅじんこうマイルスをんだ「放射ほうしゃせいのクモ」は背中せなかに「42」とナンバリングされている。その作中さくちゅうにイースターエッグとして「42」が散見さんけんされる。
  • Disney+独占どくせん配信はいしんのドラマシリーズ『ロキ』シーズン2にて、つづけるものがミス・ミニッツにたいし、とある目的もくてきのために「プロトコル42」の実行じっこうめいじる。
  • フランス・パリはつ完全かんぜん学費がくひ無料むりょうエンジニア養成ようせい機関きかん42」が存在そんざいする。2020ねんより東京とうきょう六本木ろっぽんぎ日本にっぽんこうである「42Tokyo」が開校かいこうした。同校どうこうには学校がっこうめいの「42」以外いがいにも『銀河ぎんがヒッチハイク・ガイド』にられるオマージュがまれている。

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

  1. ^ 新潮社しんちょうしゃはん風見かざみじゅんわけ、1982ねん12月出版しゅっぱん)では「生命せいめい宇宙うちゅう、そして万物ばんぶつについての(究極きゅうきょく疑問ぎもんの)こたえ」、河出かわで書房しょぼうはん安原やすはら和見かずみわけ、2005ねん9がつ出版しゅっぱん)では「生命せいめい宇宙うちゅう、そのもろもろのこたえ」、映画えいがばん石田いしだ泰子やすこわけ、2005ねん9がつ公開こうかい)では「生命せいめい宇宙うちゅう、そのすべてにたいするこたえ」とやくされている。
  2. ^ 銀河ぎんがヒッチハイク・ガイド」、わけ風見かざみじゅん、p.234より
  3. ^ 宇宙うちゅうてのレストラン、わけ風見かざみ じゅん、p.308より
  4. ^ 宇宙うちゅうてのレストラン、わけ風見かざみ じゅん、p.5より
  5. ^ a b 映画えいがばんパンフレットの翻訳ほんやく
  6. ^ 『Douglas Adams at the BBC』(ISBN 0-563-49404-2)というCDのセットでくことができる。
  7. ^ So long, and Thanks for all the fish」にてくるかみのこした言葉ことば小説しょうせつばんでもラジオばんでも「We apologize for the inconvenience.」。パンフレット作成さくせいしゃ勘違かんちがいか
  8. ^ ちくま書房しょぼう『ルイスキャロル詩集ししゅう』の「スナークり」の注釈ちゅうしゃく
  9. ^ 映画えいがばんパンフレット
  10. ^ ジョン・クリーズ しる安原やすはら和見かずみ やくモンティ・パイソンができるまで:ジョン・クリース自伝じでん早川書房はやかわしょぼう東京とうきょう、2016ねん12月、224-225ぺーじISBN 9784152096616OCLC 969947530https://www.worldcat.org/oclc/969947530 
  11. ^ Neil Gaiman (1987). DON'T PANIC - the official Hitch-Hiker's Guide to the Galaxy Companion. Titan Books. ISBN 1852860138 
  12. ^ いずれも42の理由りゆうとしてとなえられたせつ。「指摘してき仮説かせつ」のふし参照さんしょう
  13. ^ Googleは10^100を意味いみする一般いっぱん名詞めいしgoogolが由来ゆらい。なお、Google本社ほんしゃ通称つうしょうgoogolplexをもじった「Googleplex」である。
  14. ^ 映画えいがばんパンフレットの情報じょうほう
  15. ^ http://apidock.com/rails/Array/forty_two

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]