せい分化ぶんか疾患しっかん

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はん陰陽いんようから転送てんそう
せい分化ぶんか疾患しっかん
概要がいよう
診療しんりょう 泌尿器ひにょうき科学かがく, 産婦人科さんふじんかがく, 内分泌ないぶんぴつがく
分類ぶんるいおよび外部がいぶ参照さんしょう情報じょうほう
MeSH D012734

せい分化ぶんか疾患しっかん(せいぶんかしっかん、えい: disorders of sex development, DSDs)は「染色せんしょくたい生殖せいしょくせん、もしくは解剖かいぼうがくてきせい発達はったつ先天的せんてんてき定型ていけいてきである状態じょうたい」を医学いがく用語ようごである[1]英語えいごではDSDりゃくされることがおおい。

せい分化ぶんか疾患しっかん」という単一たんいつ疾患しっかんがあるわけではなく、アンドロゲンおうしょう先天せんてんせい副腎ふくじん皮質ひしつ形成けいせいたまご精巣せいそうせいせい分化ぶんか疾患しっかんクラインフェルター症候群しょうこうぐんターナー症候群しょうこうぐんなど、身体しんたいてき性別せいべつかんする様々さまざまなレベルでの、やく60種類しゅるい以上いじょう症候群しょうこうぐん疾患しっかんぐん包括ほうかつする用語ようごで、日本にっぽんでは以前いぜんまでは「せい分化ぶんか異常いじょうしょう」「せい発達はったつ障害しょうがい」などとばれていたものにたる。

柳水りゅうすいてい種清たねきよかいいんすいこうつてだいさんへん安政あんせい6ねん1859ねん[2]

せい分化ぶんか疾患しっかんのなかでも、出生しゅっしょうだいいち性徴せいちょう)における性別せいべつ判別はんべつむずかしい状態じょうたいしてはん陰陽いんようえい: hermaphrodite)もかつてよくもちいられていたが、名称めいしょう実態じったいっていないこともあり現在げんざいではあまり使用しようされなくなってきているほか、権利けんり運動うんどうなどではインターセックスえい: intersex)という言葉ことば使つかわれるようになっている(後述こうじゅつ参照さんしょう)。

この概念がいねんは、内外ないがい生殖せいしょくせい染色せんしょくたいなど身体しんたいてき性別せいべつにかかわる典型てんけいてき特徴とくちょうかんするもので、ジェンダー・アイデンティティせい同一どういつせいせい自認じにん)、性的せいてき指向しこうすものではない。また、生物せいぶつがくてき性別せいべつ典型てんけいてき状態じょうたいで、自身じしん身体しんたい性別せいべつをはっきり認識にんしきしているものの、ジェンダー・アイデンティティと身体しんたいてき性別せいべつとが一致いっちしない状態じょうたい意味いみする診断しんだんめいの「せい同一どういつせい障害しょうがい」(現在げんざい性別せいべつごうもしくは性別せいべつ違和いわばれる)とはことなる。

生物せいぶつがくてき位置いちづけ[編集へんしゅう]

はん陰陽いんよう原因げんいんとしては、せい染色せんしょくたいまれなものがられる場合ばあいや、胎児たいじ発達はったつ途中とちゅうにおける母体ぼたいホルモン異常いじょうこす場合ばあいなどがある。また、モザイクたいばれる、せい染色せんしょくたい構成こうせいことなる細胞さいぼうあわ場合ばあいもある。にん原因げんいんとなることがある[3]

男女だんじょ両性りょうせい特質とくしつ中途半端ちゅうとはんぱそなえる場合ばあいや、遺伝子いでんしじょう性別せいべつ肉体にくたいてき性別せいべつ通常つうじょうわせとは反対はんたい場合ばあいもある。両性りょうせい性腺せいせんそなえたものを真性しんせいはん陰陽いんよう遺伝子いでんし外見がいけんとで性別せいべつことなるものを、仮性かせいはん陰陽いんようび、後者こうしゃ性腺せいせんじょう性別せいべつによって、男性だんせい仮性かせいはん陰陽いんよう女性じょせい仮性かせいはん陰陽いんようとして区別くべつされる[4]

身体しんたいてきには、女性じょせい仮性かせいはん陰陽いんよう場合ばあいちつふさがっている場合ばあいおおく、またかげかく通常つうじょうよりも肥大ひだいし、これが男性だんせい(ペニス)と間違まちがわれることがある。男性だんせい仮性かせいはん陰陽いんようでは、尿道にょうどうきれ[5]停留ていりゅう睾丸こうがんあわった状態じょうたいのこともある。

真性しんせいはん陰陽いんようたまご精巣せいそうせいせい分化ぶんか疾患しっかん[編集へんしゅう]

真性しんせいはん陰陽いんようでは、その性器せいき状態じょうたいひとそれぞれであり、またその要因よういんいま解明かいめいされていない。人体じんたいに2つある性腺せいせんのどちらか一方いっぽう精巣せいそう、もう一方いっぽう卵巣らんそうである場合ばあいと、卵巣らんそう精巣せいそうざったたまご精巣せいそう性腺せいせん一方いっぽうもしくは両側りょうがわともゆうする場合ばあい診断しんだんされる。染色せんしょくたい構造こうぞうは「46, XX」[6]いで「46, XY」がおおく、「46、XX/46、XYモザイク」もおおい。仮性かせいはん陰陽いんようくらべてもきわめてまれ症例しょうれいとされ、はん陰陽いんようのなかでそと性器せいき異常いじょうもっとともないやすい[7]

現在げんざいは「はん陰陽いんよう」という表現ひょうげん両性りょうせい具有ぐゆうをイメージしやすいとして適切てきせつではないことから見直みなおされ、日本にっぽん小児しょうに内分泌ないぶんぴつ学会がっかいせい分化ぶんか委員いいんかいによる2008ねん平成へいせい20ねん3月1にちけの「せい分化ぶんか異常いじょうしょう管理かんりかんする合意ごうい見解けんかい」において、真性しんせいはん陰陽いんよう (True hermaphrodite) については「 たまご精巣せいそうせいせい分化ぶんか疾患しっかん (Ovotesticular DSD)」と呼称こしょうするように提唱ていしょうされている[8]

  • 対称たいしょうせい真性しんせいはん陰陽いんようHermaphroditism usbilateralis: 性腺せいせん両側りょうがわに、卵巣らんそう精巣せいそうざったたまご精巣せいそうゆうする
  • いちがわせい真性しんせいはん陰陽いんようH.unilateralis: 性腺せいせん一方いっぽう卵巣らんそうまたは精巣せいそうで、もう一方いっぽうたまご精巣せいそうゆうする
  • 両側りょうがわせい真性しんせいはん陰陽いんようH.1ateralis: 性腺せいせん一方いっぽう卵巣らんそう、もう一方いっぽう精巣せいそうゆうする

仮性かせいはん陰陽いんよう[編集へんしゅう]

男性だんせい仮性かせいはん陰陽いんよう[編集へんしゅう]

精巣せいそう組織そしきをもつがうち性器せいきまたはそと性器せいき女性じょせいがた

  • テストステロンなま合成ごうせい障害しょうがいそと性器せいき男性だんせい異常いじょう
  • アンドロゲンおうしょう完全かんぜんがた場合ばあいそと性器せいき女性じょせいがた
  • 5αあるふぁ-還元かんげん酵素こうそ欠損けっそんしょう尿道にょうどうきれ
  • ミュラーかんのこそん症候群しょうこうぐんそと性器せいき完全かんぜん男性だんせいがただが子宮しきゅう卵管らんかんゆうする(もっとも、正常せいじょう男性だんせいにも、前立腺ぜんりつせんしょうしつ、または男子だんし子宮しきゅう男子だんしちつはある)
  • 17βべーた-ヒドロキシステロイドだつ水素すいそ酵素こうそ欠損けっそんしょう[9]

女性じょせい仮性かせいはん陰陽いんよう[編集へんしゅう]

卵巣らんそう組織そしきをもつがかげかく肥大ひだいなどの男性だんせい性器せいきゆうする

  • 先天せんてんせい副腎ふくじん形成けいせい
  • 水酸化すいさんか酵素こうそ欠損けっそんしょう
  • 男性だんせいホルモンさんせい腫瘍しゅよう
  • 進行しんこうせい女性じょせい仮性かせいはん陰陽いんよう

仮性かせいはん陰陽いんよう発生はっせい要因よういん[編集へんしゅう]

仮性かせいはん陰陽いんよう発生はっせいは、その根本こんぽんてき原因げんいん様々さまざまであるが、すくなくとも男性だんせいホルモン関係かんけいしているとされる。

胎児たいじにおけるそと性器せいき分化ぶんかは、染色せんしょくたい遺伝子いでんしではなく男性だんせいホルモンのはたらきによる。そと性器せいき発生はっせいする時期じきにこれがはたらくことでそと性器せいき男性だんせいこし、それがなければ分化ぶんか、すなわち女性じょせいてきそと性器せいき状態じょうたいしめす。

遺伝子いでんしうえ男性だんせいであっても、睾丸こうがん男性だんせいホルモンを分泌ぶんぴつしない、細胞さいぼう男性だんせいホルモンに反応はんのうしないなどでそと性器せいき完全かんぜんには男性だんせいしない、あるいは、遺伝子いでんしじょう女性じょせいであっても母体ぼたいなどからの男性だんせいホルモンの影響えいきょうそと性器せいき男性だんせいこるといわれている。

性徴せいちょう[編集へんしゅう]

はん陰陽いんよう根本こんぽんてき原因げんいんにより、だい性徴せいちょうあらわかた様々さまざまである。性腺せいせんはたらきが正常せいじょう遺伝子いでんしてき異常いじょうのない、単純たんじゅんそと性器せいき発達はったつ不全ふぜん場合ばあいには、だい性徴せいちょう通常つうじょうせいホルモンが分泌ぶんぴつされ、(外見がいけんとはぎゃくの)本来ほんらい性徴せいちょう発現はつげんするといわれ、この場合ばあいにはこの肉体にくたいてき変化へんか気付きづくことがおおい。また、男性だんせい仮性かせいはん陰陽いんようなかで、睾丸こうがん女性じょせいホルモンのみを分泌ぶんぴつする場合ばあいには、女性じょせいとしては十分じゅうぶんとはいえないまでも乳房ちぶさ発達はったつこるとされ、このよう場合ばあいには男性だんせいホルモンがはたらかないために陰毛いんもうなどが発生はっせいしないともいわれる。

自己じこ周囲しゅうい認知にんち[編集へんしゅう]

仮性かせいはん陰陽いんよう場合ばあい外見がいけんてきにはひょうている男性だんせいまたは女性じょせいそのものであることもすくなくないため、周囲しゅういはおろか当人とうにんまったくそれにづかない場合ばあいもある。精巣せいそう卵巣らんそう形成けいせいされ、たとえ遺伝子いでんし情報じょうほうのそれとはんしていても、外見がいけんどおりの性別せいべつ成人せいじんする。

たとえば遺伝子いでんし男性だんせいだが女性じょせい形態けいたいをとる男性だんせい仮性かせいはん陰陽いんよう場合ばあい本人ほんにんもそれとらずに結婚けっこん一生いっしょう女性じょせいとしてごすこともある。ただしこの場合ばあいちつはあるものの子宮しきゅう痕跡こんせきてきすくなくとも機能きのうしないため、自然しぜん妊娠にんしんはできない。すくなくとも現在げんざいのところ、男性だんせい仮性かせいはん陰陽いんよう女性じょせい出産しゅっさんにまでいたった事例じれいられていない。

せい分化ぶんか疾患しっかん一覧いちらん[編集へんしゅう]

せい分化ぶんか疾患しっかんとは単一たんいつ疾患しっかんすのではなく、やく60種類しゅるい以上いじょうある疾患しっかんぐん包括ほうかつ用語ようごぎない。以下いか代表だいひょうてきなものをげる。

内分泌ないぶんぴつ異常いじょうによるせい分化ぶんか疾患しっかん[編集へんしゅう]

先天せんてんせい副腎ふくじん皮質ひしつ形成けいせい[編集へんしゅう]

性別せいべつ不明ふめいがい性器せいきもっとおおい(70~80%)のが先天せんてんせい副腎ふくじん皮質ひしつ形成けいせい (CAH)。つね染色せんしょくたい劣性れっせい遺伝いでんる。副腎ふくじん皮質ひしつのはたらきの異常いじょうによりコルチゾールアルドステロン低下ていかし、アンドロゲン過剰かじょう分泌ぶんぴつされる内分泌ないぶんぴつけい疾患しっかん。そのほとんどが21水酸化すいさんか酵素こうそ欠損けっそんしょう男児だんじ女児じょじわせてやく5,000~15,000にん1人ひとり頻度ひんどられる。XX女児じょじにおいては、うち性器せいき構造こうぞう女性じょせいのものであるが、そと性器せいき一部いちぶがどちらかというと男性だんせいさま外見がいけんになる場合ばあいがある。XY男児だんじ場合ばあい思春期ししゅんき発症はっしょうられることがある。男児だんじ女児じょじとも、治療ちりょうおこなわないとはや時期じき発育はついく停止ていしし、新生児しんせいじよりふく腎不全じんふぜん発生はっせいするため、適切てきせつ治療ちりょうおこなわないと死亡しぼうしてしまう。XX女児じょじ思春期ししゅんき以降いこう性別せいべつ違和感いわかんは、女性じょせいとしてそだてた場合ばあい4.6%、男性だんせいとしてそだてた場合ばあい21.4%[10]

アンドロゲンおうしょう[編集へんしゅう]

染色せんしょくたいはXYでアンドロゲンが分泌ぶんぴつされるが、アンドロゲン受容じゅようたいはたらかないため、外見がいけんそと性器せいきども女性じょせいがたとなるが、うち性器せいき分化ぶんか精巣せいそうであり、思春期ししゅんき以降いこう月経げっけいなどで判明はんめいすることがおおい。受容じゅようたいがすべてはたらかないかた完全かんぜんがたアンドロゲンおうしょう (CAIS)、一部いちぶのみはたらかた部分ぶぶんがたアンドロゲンおうしょう (PAIS) とう。発生はっせい頻度ひんどはCAISは13,000にん1人ひとり、PAISは130,000にん1人ひとり割合わりあい。どちらもX染色せんしょくたい由来ゆらいともせい遺伝いでん形式けいしきをとる。不完全性ふかんぜんせいアンドロゲンおうしょうで、誕生たんじょう性別せいべつ不明ふめいがい性器せいき場合ばあい男性だんせいとしてそだてられることもある。

思春期ししゅんき以降いこう性別せいべつ違和感いわかんは、女性じょせいとしてそだてられたCAISでは0%(男性だんせいとしてそだてられたものはいない)、女性じょせいとしてそだてられたPAISでは10.9%、男性だんせいとしてそだてられたPAISでは14.3%[10]

アンドロゲンおうしょうかぎらず、せい分化ぶんか疾患しっかんでは性腺せいせん腫瘍しゅよう正常せいじょうくらこりやすいが、アンドロゲンおうしょう悪性あくしょうリスクがCAISとPAISでおおきくことなり、CAISが悪性あくしょうが2%程度ていどていリスクぐんなのにたいし、PAISのとく腹腔ふくこうない停留ていりゅう精巣せいそうがあるグループは悪性あくしょうが50%ちかくにたっするこうリスクぐんである(PAISの陰嚢ふぐりがあってそこに精巣せいそうがあるグループは数値すうち不明ふめいだが中間ちゅうかんリスクぐんかんがえられている)[11]

5αあるふぁ還元かんげん酵素こうそ欠損けっそんしょう[編集へんしゅう]

テストステロンジヒドロテストステロン変換へんかんするための5αあるふぁ還元かんげん酵素こうそ(5αあるふぁ-レダクターゼ)をくために、XY染色せんしょくたい個体こたい胎内たいない男性だんせいせず女性じょせいがたとしてまれる。たいていは気付きづかれず女性じょせいとしてそだてられるが、性徴せいちょうではほぼ100%が男性だんせいし、やく60%は成人せいじん男性だんせいとして生活せいかつしている[12]12さい以上いじょう患者かんじゃのデータでは男性だんせいとして養育よういくされた26にん性別せいべつ違和いわは0(せい自認じにん男性だんせい)だったが、女性じょせいとして養育よういくされた117にんちゅう69にん(59.0%)は性別せいべつ違和いわがあったというものがある[10]

ドミニカ共和国どみにかきょうわこくのサリーナスむらとうでの発生はっせい頻度ひんどおお[13][14]。それら地域ちいき部族ぶぞくでは文化ぶんかてき男性だんせいにならなければならないとしているところがある[よう出典しゅってん]

カルマン症候群しょうこうぐん[編集へんしゅう]

ゴナドトロピンの欠如けつじょのため、思春期ししゅんきだい性徴せいちょうられないか、不完全ふかんぜんとなる。また、嗅覚きゅうかく機能きのう障害しょうがいじん形成けいせい異常いじょう難聴なんちょうなどが合併症がっぺいしょうとしてしょうじる。

性腺せいせん異常いじょうによるせい分化ぶんか疾患しっかん[編集へんしゅう]

混合こんごう性腺せいせん形成けいせい不全ふぜん[編集へんしゅう]

性腺せいせん精巣せいそうもしくは卵巣らんそう分化ぶんか仕切しきれていない状態じょうたいす。せい染色せんしょくたいは45X0/46XYのモザイクがおおい。発生はっせい頻度ひんど不明ふめい分化ぶんか性腺せいせん悪性あくせい腫瘍しゅようのリスクは、Y染色せんしょくたい一部いちぶであるTSPY(tesus_specinc prOtein Y encoded)が存在そんざいし、なおかつ停留ていりゅう精巣せいそうだとこうリスクぐんやく50%にたっする。(精巣せいそう陰嚢ふぐりないだと中間ちゅうかんリスクぐん[11]

たまご精巣せいそうせいせい分化ぶんか疾患しっかん[編集へんしゅう]

卵巣らんそう精巣せいそう両方りょうほう組織そしきふく性腺せいせん状態じょうたい発生はっせい頻度ひんどは83,000にんちゅう1にん割合わりあい。ほとんどのケースで養育よういくせいせい自認じにん獲得かくとくする。性腺せいせん悪性あくせいリスクはていリスクぐんで3%ほど[11]

性器せいき異常いじょうによるせい分化ぶんか疾患しっかん[編集へんしゅう]

メイヤー・ロキタンスキー・クスター・ハウザー症候群しょうこうぐん (MRKH)[編集へんしゅう]

先天せんてんせいちつ欠損けっそんしょうともばれる。XX女性じょせい性器せいき通常つうじょうだが、うち性器せいきであるちつ子宮しきゅう欠如けつじょしている状態じょうたい発生はっせい頻度ひんど女性じょせいの4,000~5,000にん1人ひとり割合わりあいせい自認じにん全員ぜんいん女性じょせい自認じにんつ。

尿道にょうどうきれ[編集へんしゅう]

男児だんじ尿道にょうどうこう陰茎いんけい先端せんたん位置いちしていない状態じょうたい程度ていどによってはだて排尿はいにょう困難こんなんになりうる。軽度けいどのものはせい分化ぶんか疾患しっかん分類ぶんるいされないが、尿道にょうどう陰嚢ふぐり位置いちしており陰茎いんけい形状けいじょうにも異常いじょうがみられるなどの、重度じゅうど形態けいたいのみせい分化ぶんか疾患しっかん分類ぶんるいされる。そと性器せいき以外いがい通常つうじょう男性だんせいわらない機能きのうゆうするため、生殖せいしょく能力のうりょくたもたれる[よう出典しゅってん][15]

そう排泄はいせつ腔外はんしょう[編集へんしゅう]

先天せんてんせい下腹かふくかべそとかげ形成けいせい不全ふぜんしょうで、肛門こうもんおよびうち性器せいきそと性器せいき異常いじょうともないやすい。 46XYのこの患者かんじゃ女児じょじとしてそだてられた患者かんじゃ多様たようせい同一どういつせいアウトカムをしめし、やく28.6%は性別せいべつ違和いわかんじたが65%以上いじょう女性じょせいとして生活せいかつした。一方いっぽう男児だんじとしてそだてられた場合ばあい性別せいべつ違和いわは0%だった[10][16]

染色せんしょくたい異常いじょうによるせい分化ぶんか疾患しっかん[編集へんしゅう]

クラインフェルター症候群しょうこうぐん[編集へんしゅう]

通常つうじょう男性だんせいせい染色せんしょくたいは「XY」であるが、これにX染色せんしょくたいが1つおおく「XXY」となっている。一般いっぱん染色せんしょくたいすべてを総合そうごうして「47, XXY」と表現ひょうげんされる。さらにX染色せんしょくたいふた以上いじょうおおい「XXXY」とうもある。過剰かじょうなX染色せんしょくたいおおいほど障害しょうがい傾向けいこうつよい。XXY染色せんしょくたい発生はっせい頻度ひんどは1,000にんちゅう1にん割合わりあいだが、X染色せんしょくたいかず異常いじょうがあればクラインフェルター症候群しょうこうぐん症状しょうじょうこうかくりつるわけではなく、このわせの染色せんしょくたいちながら症状しょうじょうまったないケースのほうおおい。通常つうじょう男性だんせいってまれ、通常つうじょう性徴せいちょう経験けいけんするためづかれない場合ばあいおおいが、乳房ちぶさ発達はったつにん傾向けいこうられ、にん検査けんさなどで判明はんめいすることがおおい。せい自認じにんだい多数たすう通常つうじょう男性だんせいだが、せい同一どういつせい障害しょうがいともなひともいる。

ターナー症候群しょうこうぐん[編集へんしゅう]

染色せんしょくたい異常いじょうしょうのうちの異数いすうせいひとつ。配偶はいぐう形成けいせい減数げんすう分裂ぶんれつ過程かていでの染色せんしょくたい分離ぶんりにより、X染色せんしょくたいが1ほんすくないことによる。正常せいじょう女性じょせいかくがたは46,XXとX染色せんしょくたいが2ほんあるのにたいして、X染色せんしょくたいすくなく45,Xとなる。しかしながら、実際じっさいには45,Xだけではなく、X染色せんしょくたい構造こうぞう異常いじょうによりXたんうでかけしっしたかくがたまれではなく、46,X,i(Xq)やマーカー染色せんしょくたいなどがモザイクで存在そんざいする場合ばあいおおい。新生児しんせいじ四肢しし浮腫ふしゅ先天せんてんせいこころ疾患しっかん小児しょうにてい身長しんちょう思春期ししゅんき月経げっけい判明はんめいする。発生はっせい頻度ひんどは2010ねんのデータで新生しんせい女児じょじやく2500にん1人ひとり[17]、もしくは女児じょじ1000にん1人ひとり[18]せい自認じにんおも女性じょせい

手術しゅじゅつ[編集へんしゅう]

現在げんざい日本にっぽんはん陰陽いんよう状態じょうたいまれた場合ばあい形成けいせい手術しゅじゅつおこなわれることがおおい。とくまれてすぐに手術しゅじゅつおこなうことで生殖せいしょく能力のうりょく保持ほじかかわるケースなどもあり、医師いしおや判断はんだんまかされることが多々たたある。しかし、本人ほんにん身体しんたいについての説明せつめい十分じゅうぶんでない場合ばあいのち本人ほんにんアイデンティティるがすことがある。手術しゅじゅつをすることによってはじめて自分じぶんからだ満足まんぞくするひともいるが、当事とうじしゃ団体だんたいでは、はん陰陽いんよう状態じょうたい子供こどもまれた場合ばあい即座そくざ形成けいせい手術しゅじゅつ健康けんこうてき問題もんだいふくまないかぎけられるべきで、かつ、男性だんせい女性じょせいどちらかで養育よういくするように推奨すいしょうしている。ただし、後々あとあと明確めいかくになる本人ほんにんせい自認じにん尊重そんちょうすべきであり、成長せいちょうわせた柔軟じゅうなんせい必要ひつようである。モントリオール宣言せんげんジョグジャカルタ原則げんそくだい18原則げんそくとくにこうした十分じゅうぶんインフォームド・コンセントともなわない医療いりょう介入かいにゅうから児童じどう保護ほごされる必要ひつようせいうったえている。

手術しゅじゅつ問題もんだいてんとしては、説明せつめい十分じゅうぶんになされないゆえのアイデンティティの危機きき性感せいかんたい切除せつじょによる満足まんぞく減少げんしょう、また、ホルモンの減少げんしょうによって骨粗鬆症こつそしょうしょうになりやすくなる、精神せいしん不安定ふあんていになる場合ばあいがある。骨粗鬆症こつそしょうしょうかんしては、生来せいらいてきなホルモン不足ふそくによりこることがほとんどで、そのうえではホルモン投与とうよなどの治療ちりょうはむしろ推奨すいしょうされる。

法的ほうてき対応たいおう[編集へんしゅう]

出生しゅっしょう直後ちょくご外見がいけんじょう性別せいべつ不明瞭ふめいりょうである場合ばあい出生しゅっしょうとどけひとし性別せいべつ留保りゅうほという手続てつづきをすれば戸籍こせきには性別せいべつ記載きさいされない。また、一度いちど登録とうろくした戸籍こせきせい出生しゅっしょう性別せいべつ判断はんだんあやまである「性別せいべつ錯誤さくご」としてもう一方いっぽうせい訂正ていせいすることが可能かのうであるが、性別せいべつ錯誤さくご該当がいとうするものは染色せんしょくたいせい反対はんたいせい登録とうろくされた場合ばあい染色せんしょくたいせい同様どうようせい訂正ていせいすることにかぎられるなど、その適用てきよう範囲はんいせまい。

用語ようご変遷へんせん定義ていぎ[編集へんしゅう]

はん陰陽いんよう (hermaphroditism)と両性りょうせい具有ぐゆう[編集へんしゅう]

当事とうじしゃもしくは当事とうじしゃ人々ひとびとは、この性的せいてき特徴とくちょう人間にんげん説明せつめいするためにさまざまな用語ようご表現ひょうげんしてきた[19]。そのなかには、かく当事とうじしゃこの用語ようごもあれば、軽蔑けいべつてき意味合いみあいとしてめられる用語ようごもある。

せい分化ぶんか疾患しっかん旧称きゅうしょうはん陰陽いんよう(はんいんよう、えい: Intersexuality, Hermaphrod)である。はん陰陽いんようは、男女だんじょ両方りょうほう性腺せいせんをもつものやそと性器せいき性別せいべつ曖昧あいまい真性しんせいはん陰陽いんよう、もしくはそと性器せいき性腺せいせんせいことなる仮性かせいはん陰陽いんよう精巣せいそう組織そしき女性じょせいさま性器せいきゆうする男性だんせい仮性かせいはん陰陽いんよう卵巣らんそう組織そしき男性だんせいさま性器せいきゆうする女性じょせい仮性かせいはん陰陽いんよう)を言葉ことばである[20]。この性質せいしつひとはん陰陽いんようしゃ(はんいんようしゃ)、インターセクシュアルあるいはインターセクシャルえい: Intersexual略称りゃくしょう: IS)と呼称こしょうする場合ばあいもある。当事とうじしゃあいだでは賛否さんぴ両論りょうろんがあり、まとまっていない[よう出典しゅってん]かげおとこおんなといった対立たいりつてきにして補完ほかんてきなものの調和ちょうわ重視じゅうしする陰陽いんよう思想しそうなどにもとづいて、はん陰陽いんよう理想りそうてき性別せいべつのありかたとするかんがかたもあった[よう出典しゅってん]

日本にっぽんでは男女だんじょ両方りょうほうせいそなえているという観点かんてんから両性りょうせい具有ぐゆう(りょうせいぐゆう)ともばれ、ふたなり二形ふたなり)、 はにわり半月はんつき)などの呼称こしょうもありふるくよりその存在そんざいられていた。このほかはん陰陽いんようしゃのことをして両性りょうせい具有ぐゆうしゃ(りょうせいぐゆうしゃ)、アンドロジニー (Androgyny)、アンドロギュノスあるいはアンドロジナス (Androgynous)、アンドロジン (Androgyne)、ギリシャ神話しんわヘルマプロディートスをとってヘルマプロディトス (Hermaphroditus)、ハーマフロダイトあるいはヘルマフロディーテ (Hermaphrodite) の呼称こしょうもある。

はん陰陽いんようから「せい分化ぶんか疾患しっかん」との用語ようごへといた過程かていは、おもアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく医学いがくかいおよ一部いちぶ当事とうじしゃ団体だんたいからる「DSDコンソーシアム」[21]主導しゅどうした。これまで医学いがく領域りょういき一般いっぱんもちいられていた「はん陰陽いんよう」「両性りょうせい具有ぐゆう」(hermaphroditism) などの用語ようごは、「患者かんじゃには蔑視べっしてき意味いみひそむものとかんじられ、専門せんもんおやなどにとってはまぎらわしいものである」[1]ため、医学いがく領域りょういきにおいてはもちいられなくなりつつある。

もともとはん陰陽いんようもしくは両性りょうせい具有ぐゆうえい: hermaphroditism)とは、20世紀せいき婦人ふじんのフランシスコ・ノイゲバウアー(de:Franciszek Ludwik Neugebauer)によって導入どうにゅうされた解剖かいぼうがくてき医学いがく用語ようごであった。

  • 真性しんせいはん陰陽いんよう (true hermaphroditism)」とは、卵巣らんそう精巣せいそう両方りょうほうち、卵巣らんそう精巣せいそうのいずれが優勢ゆうせいかによって男性だんせい女性じょせい特徴とくちょうあわせもった構造こうぞうていした状態じょうたいす。
  • 男性だんせい仮性かせいはん陰陽いんよう (male-pseudohermaphroditism)」は、性器せいき精巣せいそうであるが、そと性器せいき女性じょせい、もしくは区別くべつのつきにくい状態じょうたいす。
  • 女性じょせい仮性かせいはん陰陽いんよう (female-pseudohermaphroditism)」は、卵巣らんそう正常せいじょう女性じょせいない性器せいきつが、そと性器せいき形成けいせい異常いじょうがある状態じょうたいす。

その医学いがく発展はってんにおいて、たとえば女性じょせい仮性かせいはん陰陽いんようだい部分ぶぶんが、先天せんてんせい副腎ふくじん皮質ひしつ形成けいせい一部いちぶ構成こうせいする疾病しっぺいぐんであることが判明はんめいするなど、病態びょうたい生理せいりあきらかになったり、1950年代ねんだい以降いこう可能かのうとなった染色せんしょくたい抽出ちゅうしゅつによってあきらかになっていった、せい染色せんしょくたいかず構成こうせい典型てんけいてきであることにともな疾病しっぺいぐんが、20世紀せいき時点じてんでの解剖かいぼうがくてき概念がいねんおさまりらなくなってきたことや、「はん陰陽いんよう (Hermaphroditus)」という用語ようごが、完全かんぜん男性だんせい完全かんぜん女性じょせいとの両方りょうほうあわつという誤解ごかいあたえることから、とく患者かんじゃあいだ問題もんだいされ、現在げんざいではもちいられなくなりつつある[22]

せい分化ぶんか疾患しっかんはん陰陽いんようとの誤解ごかいしょうじやすいが、本来ほんらいはん陰陽いんようとは、卵巣らんそう精巣せいそう両方りょうほうをもつ真性しんせいはん陰陽いんよう性腺せいせんうち性器せいきそと性器せいき一致いっちしない仮性かせいはん陰陽いんよう男性だんせい仮性かせいはん陰陽いんよう女性じょせい仮性かせいはん陰陽いんよう)をいうものであり、性器せいき異常いじょうによるせい分化ぶんか疾患しっかん染色せんしょくたい異常いじょうによるせい分化ぶんか疾患しっかんはん陰陽いんようには分類ぶんるいされない。はん陰陽いんようという言葉ことば男性だんせい女性じょせいもある両性りょうせい具有ぐゆうというイメージをもたれやすいが、実態じったいとしてのはん陰陽いんよう分化ぶんか機能きのうしない性器せいきあるいは外見がいけんじょう男女だんじょいずれかにちかそと性器せいきゆうしている。そのため、正常せいじょう機能きのうする男性だんせい女性じょせい両方りょうほうをもつ両性りょうせい具有ぐゆうという偏見へんけんこすとして、はん陰陽いんようという表現ひょうげん現在げんざい当事とうじしゃから忌避きひされている[よう出典しゅってん][15]

せい分化ぶんか疾患しっかん (DSDs)[編集へんしゅう]

せい分化ぶんか疾患しっかん (disorders of sex development, DSDs) とは「染色せんしょくたい性腺せいせん、または解剖かいぼう学的がくてきせい発達はったつ典型てんけいてきである先天的せんてんてき状態じょうたい」を医学いがく用語ようごである[1]

仮性かせいはん陰陽いんよう (pseudohermaphroditism)、はん陰陽いんよう雌雄しゆう同体どうたい (hermaphroditism)といった用語ようごや、性別せいべつ基盤きばんとした診断しんだんがくてきラベリングがとく議論ぎろんび、患者かんじゃには蔑視べっしてき意味いみひそむものとかんじられ、専門せんもんおやなどにとってはまぎらわしいものである」ため、臨床りんしょうじょう系統けいとうてき専門せんもん用語ようごとして提案ていあんされたものである。この用語ようごは、ローソン・ウィルキンス小児しょうに内分泌ないぶんぴつ学会がっかい (LWPES) や、アメリカ小児しょうに学会がっかい (AAP)、ヨーロッパ小児しょうに内分泌ないぶんぴつがく協会きょうかい (ESPA)、当事とうじしゃ団体だんたいである北米ほくべいインターセックス協会きょうかい (ISNA)、日本にっぽん小児しょうに内分泌ないぶんぴつ学会がっかいせい分化ぶんか委員いいんかいなどのメンバー・専門せんもんやく40にん以上いじょうあつまった2006ねん国際こくさい会議かいぎにおいて合意ごうい採択さいたくされた(シカゴコンセンサス)[23]

名称めいしょう変更へんこうあんとしてはん陰陽いんよう (intersex) を「disorders of sex development (DSD)」、真性しんせいはん陰陽いんよう (true hermaphrodite) を「ovotesticular DSD」とする提唱ていしょうがなされた[24]論文ろんぶん我々われわれはそのひとたちをはん陰陽いんよう (hermaphroditism) とんできた』において、筆者ひっしゃのヴィランは「DSDs」はインターセクシュアリティの同義語どうぎごではなく、「はん陰陽いんよう雌雄しゆう同体どうたい (hermaphroditism)」をもとにした医学いがく用語ようごえるものであると明確めいかくにしている[25]

2009ねん10月、日本にっぽん小児しょうに内分泌ないぶんぴつ学会がっかいでは、こうした状態じょうたい総称そうしょうに「異常いじょう (abnormality) や障害しょうがい (disorder) という言葉ことば使つかうべきではない」として「せい分化ぶんか疾患しっかん」をもちいることを決定けっていした[26]

「disorders of sex development」のかたりには「はん陰陽いんよう」「あいだせい」などの偏見へんけんのぞき、人格じんかく全体ぜんたいでなくたん症状しょうじょうすことで当事とうじしゃれられやすくし、医療いりょうけやすくするなどのねらいがあったが、当事とうじしゃめは一様いちようではない[27]

インターセックス (intersex)[編集へんしゅう]

インターセックスえい: intersex)という用語ようご包括ほうかつてきひろ使用しようされている[19][28]。インターセックスという用語ようごは、医学いがくかい当事とうじしゃ不名誉ふめいよなかたちで医者いしゃもちいられてきたが、1980年代ねんだい後半こうはんから、当事とうじしゃ活動かつどうたちは、この用語ようご医学いがくてき診断しんだんではなくアイデンティティとコミュニティの意味いみとしてもど運動うんどう開始かいしした[29]。1993ねんにインターセックスの活動かつどうのシェリル・チェイスによって「北米ほくべいインターセックス協会きょうかい(ISNA)」が設立せつりつされた[29]

「Intersex Human Rights Australia」や「interACT」などのインターセックスの権利けんり英語えいごばん運動うんどう展開てんかいする組織そしきは「DSD(disorders of sex development)」の用語ようご使用しよう反対はんたい立場たちばをとっている[28][30]。「interACT」は声明せいめいなかで、「DSD」の用語ようご一般いっぱんてき使用しようすることに反対はんたいするのは当事とうじしゃ病理びょうりされてしまうためであり、インターセックスの特性とくせいってまれたかく当事とうじしゃ自分じぶん身体しんたい経験けいけんについてはなすときに自分じぶんこの用語ようご使用しようする自主じしゅせい尊重そんちょうし、「インターセックス」以外いがい用語ようご使用しよう禁止きんし批判ひはんしたりするものではないと補足ほそくしている[31]。「インターセックス・アジア」も、インターセックスの人々ひとびと障害しょうがいではなく性的せいてき特徴とくちょう多様たようさとしてみとめるように声明せいめい発表はっぴょうしている[32]国際こくさい連合れんごう人権じんけん高等こうとう弁務べんむかん事務所じむしょでもインターセックスという用語ようご使つかっており[33]、2024ねん4がつにはインターセックスの人々ひとびと人権じんけん侵害しんがいする差別さべつ暴力ぼうりょく慣行かんこう非難ひなんするはじめての決議けつぎあん採択さいたく可決かけつした[34][35]

インターセックスという用語ようごめていない当事とうじしゃ組織そしき存在そんざいする。北米ほくべいインターセックス協会きょうかい所属しょぞくしていた一部いちぶひとは、2008ねんには解散かいさんしてintersexかんさないしん組織そしき「Accord Alliance」に移行いこうした[36]。インターセックス・イニシアティヴ(Intersex Initiative, IPDX) は、「どもの身体しんたいではなく社会しゃかいえる」べきであるとして、インフォームド・コンセントもとめており、とく外科げかてき処置しょちたいしては否定ひていてきである[37]が、

インターセックスの症状しょうじょう当事とうじしゃだい多数たすう自分じぶんのことを標準ひょうじゅんとはちがった身体しんたいてき特徴とくちょうつ「男性だんせい」もしくは「女性じょせい」であると認識にんしきしており、自分じぶん身体しんたいがその中間ちゅうかんにあるとはあまりかんがえない。事実じじつ、インターセックスとは男性だんせいもしくは女性じょせい標準ひょうじゅんてき定義ていぎの「外側そとがわ」を言葉ことばであって、かならずしも両性りょうせいなかあいだてきなものだけを言葉ことばですらない。おおくの当事とうじしゃは、自己じこ認識にんしきはんする「中間ちゅうかんせい=インターセックス」というラベルを自分じぶんてはめることはないし、かれらの家族かぞくはなおさら自分じぶんたちのどもが「中間ちゅうかんせい」であるとれようとはしない。かれらがれるのは、あくまで「先天せんてんせい副腎ふくじん皮質ひしつ形成けいせい」「アンドロゲンおう症候群しょうこうぐん」といった診断しんだんめいであって、「インターセックス」というおおきなカテゴリではない[38]

と、だい多数たすう通常つうじょう男性だんせいもしくは女性じょせいせい同一どういつせいっているという現実げんじつとかけはなれた「おとこでもおんなでもないせい」という印象いんしょうあたえる「インターセックス」との用語ようごあたえる弊害へいがいおおきさから、「disorders of sex development」という言葉ことばたいしては慎重しんちょう中立ちゅうりつたもちながらも、

障害しょうがい」というくくりに疑問ぎもんかんじるひともいるけれど、DSDというのはすくなくともおおくの当事とうじしゃおよびその家族かぞく自称じしょうできる言葉ことばであり、そのてん「インターセックス」よりはるかにすぐれている。「障害しょうがい」という言葉ことばつネガティヴな印象いんしょうについては、ぎゃくに「障害しょうがい」であるからこそ障害しょうがいしゃ運動うんどう障害しょうがい理論りろんつながることができるのだ、とポジティヴにとらえてみたい。それに、「医療いりょう」にともなうさまざな問題もんだい解決かいけつするには、インターセックスを「だつ医療いりょう」することでなく、医療いりょうそのものを変革へんかくするほういとわたしはおもっている[38]

と、プラグマティックな意味いみれるという立場たちばをとっている[39]。インターセックス運動うんどうには「実際じっさいにはインターセックスでない人達ひとたちおおまぎんでいた」と、ある団体だんたい[39]示唆しさする一方いっぽうで、DSDコンソーシアムの決定けっていには「実際じっさい患者かんじゃこえはほとんど反映はんえいされず」「当事とうじしゃ団体だんたいのリーダーはその構成こうせいいんわたしたとうたがわれ支持しじしゃおおくに失望しつぼうされてしまった」[40]としている。推進すいしん反対はんたいのどちらも「どものノーマライゼーション手術しゅじゅつ投薬とうやくによる矯正きょうせい」をのぞんではおらず、ラベリングからのがれたいとのぞんでいることでは共通きょうつうしていると整理せいりしたうえで、「disorders of sex development」というかたり前進ぜんしんではあるが問題もんだいのこるとして、個人こじんてきには「anomalies of sex development」という用語ようごこのむとし、「disorders of sex development」は「医学いがくてき側面そくめん用語ようごとしては容認ようにんできる」が、IPDXとしては団体だんたいめいなどもふくめて「『インターセックス』という言葉ことば使つかう」としている[40]

インターセックスの性的せいてき特徴とくちょうっていないひと意味いみする単語たんごは「エンドセックス(endosex)」である[28]

LGBTとの関係かんけい[編集へんしゅう]

2021 Intersex-inclusive redesign of the Progress Pride Flag by Valentino Vecchietti
インターセックスを包括ほうかつしたプログレス・プライド・フラッグ

性的せいてき指向しこうについて「Intersex Human Rights Australia」の報告ほうこくによれば、回答かいとうしゃ複数ふくすう回答かいとう)の48%が異性愛者いせいあいしゃであるとべ、22%がバイセクシュアル選択せんたくし、15%がクィアであった[41]。また、アセクシュアルは10%、パンセクシュアルも10%、ラベルしをこのむとこたえたひとも10%いた[41]。このデータから、典型てんけいてき生殖せいしょく性的せいてき構造こうぞうってまれたひと典型てんけいてきひとよりも性的せいてき指向しこうについては性的せいてき少数しょうすうしゃである(異性愛者いせいあいしゃでない)割合わりあいたかいことがわかっている[41]

インターセックスの状態じょうたい人々ひとびとなかには、みずからを「男性だんせいでも女性じょせいでもないせい」「中性ちゅうせい」「だいさんせい」と認識にんしきするひと少数しょうすうながら存在そんざいする。2004ねんから2005ねんにかけてドイツでおこなわれただい規模きぼ調査ちょうさ[42]では、せい分化ぶんか疾患しっかん当事とうじしゃ439にんのうち、みずからを「おとこでもおんなでもない」としたひとは9にんで、のこりの430にん通常つうじょう男性だんせい女性じょせいジェンダー・アイデンティティ報告ほうこくしている。一方いっぽうでより最新さいしん調査ちょうさとして「Intersex Human Rights Australia」の2015ねん報告ほうこくによれば、ジェンダーについて回答かいとうしゃの52%が女性じょせいであり、23%が男性だんせいであり、25%がのさまざまなオプションを選択せんたくした[41]。この結果けっかから、4ぶんの1は「女性じょせいまたは男性だんせい以外いがい性別せいべつマーカーまたはせい同一どういつせいノンバイナリーなど)をしめしていることがわかっている[41]

LGBTにインターセックスの「I」をくわえて「LGBTI」と表記ひょうきする場合ばあいもある[43]。2021ねんにはインターセックスのコラムニストであるヴァレンティノ・ベキエッティが、既存きそんレインボープライド・フラッグにインターセックス・プライド・フラッグのデザインをくわえたあたらしい表現ひょうげん提案ていあんし、そのはたしんデザインは普及ふきゅうしていった[44][45]

フィクション[編集へんしゅう]

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

出典しゅってん[編集へんしゅう]

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参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]