昆虫こんちゅう

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昆虫こんちゅう
生息せいそく年代ねんだい: 400–0 Ma
デボン前期ぜんき現世げんせい
様々さまざま昆虫こんちゅう
左上ひだりうえオドリバエの1しゅ Empis lividaひだりちゅうサシガメの1しゅ左下ひだりしたの1しゅ Opodiphthera eucalyptiみぎじょうゾウムシの1しゅ Rhinotia hemistictus)、みぎちゅうケラ一種いっしゅ Gryllotalpa brachypteraみぎヨーロッパクロスズメバチ Vespula germanica
地質ちしつ時代じだい
デボン[注釈ちゅうしゃく 1] - 現世げんせい
分類ぶんるい
さかい : 動物界どうぶつかい Animalia
もん : 節足動物せっそくどうぶつもん Arthropoda
階級かいきゅうなし : だいあごるい Mandibulata
ひろし甲殻こうかくるい Pancrustacea
もん : ろくきゃくもん Hexapoda
つな : 昆虫こんちゅうつな Insecta
学名がくめい
Insecta
Linnaeus1758
シノニム
英名えいめい
insect
つな

伝統でんとうてき分類ぶんるい

系統けいとう分類ぶんるい

昆虫こんちゅう形態けいたい
A- 頭部とうぶ B- 胸部きょうぶ C- 腹部ふくぶ
  1. 触角しょっかく
  2. 単眼たんがん英語えいごばん (下部かぶ)
  3. 単眼たんがん (上部じょうぶ)
  4. 複眼ふくがん英語えいごばん
  5. 昆虫こんちゅうのう (のう神経しんけいぶしキノコたい触覚しょっかく英語えいごばん英語えいごばん)
  6. ぜんむね英語えいごばん
  7. ぎょう血管けっかん
  8. tracheal tubes (trunk with spiracle)
  9. ちゅうむね英語えいごばん
  10. こうむね英語えいごばん
  11. 前翅ぜんし
  12. 後翅こうし
  13. ちゅうちょう ()
  14. dorsal tube (心臓しんぞう)
  15. 卵巣らんそう
  16. こうちょう英語えいごばん (intestine, rectum, anus)
  17. 肛門こうもん
  18. 輸卵管ゆらんかん
  19. nerve cord (abdominal ganglia)英語えいごばん
  20. マルピーギかん
  21. tarsal pads
  22. つめ
  23. せつ
  24. ずね
  25. ももぶし
  26. てんぶし
  27. ぜんちょう (crop, gizzard)
  28. 胸部きょうぶ神経しんけいぶし英語えいごばん
  29. 臀部でんぶ
  30. 唾液腺だえきせん
  31. 食道しょくどう神経しんけいぶし
  32. 口器こうき英語えいごばん

昆虫こんちゅう(こんちゅう、insect)は、ろくきゃくもん昆虫こんちゅうつな学名がくめい: Insecta)に分類ぶんるいされる節足動物せっそくどうぶつ総称そうしょうである。昆虫こんちゅうるいとも総称そうしょうされるが、これを昆虫こんちゅううちあごるいふくんだろくきゃくるい意味いみ使つかうこともある。

かつてはすべてのろくきゃくるい昆虫こんちゅうふくめられていたが、分類ぶんるい体系たいけい見直みなおされ、現在げんざいうちあごるいうちあごつな)の分類ぶんるいぐんトビムシカマアシムシコムシ)が除外じょがいされる。この記事きじではこれらないあごるいにもれる。

概要がいよう[編集へんしゅう]

昆虫こんちゅう多様たよう節足動物せっそくどうぶつなかでも、とく陸上りくじょう進化しんかしたグループである。

ほとんどのたね陸上りくじょう生活せいかつし、淡水たんすいなか棲息せいそくするものは若干じゃっかんうみなか棲息せいそくするたね例外れいがいてきである。水中すいちゅう生活せいかつする昆虫こんちゅう水生すいせい昆虫こんちゅう水棲すいせい昆虫こんちゅう)とばれ、陸上りくじょう進化しんかした祖先そせんからてき水中すいちゅう生活せいかつ適応てきおうしたものとかんがえられている。地球ちきゅううち気候きこう環境かんきょう適応てきおうしており、たね多様たようせい非常ひじょうたかい。

日本にっぽん国立こくりつ科学かがく博物館はくぶつかんによれば、2018ねん時点じてんられている昆虫こんちゅうやく100まんしゅで、確認かくにんされている生物せいぶつしゅ半分はんぶん以上いじょうめる。発見はっけん分類ぶんるい昆虫こんちゅうおおいと推測すいそくされている[1]日本にっぽんさん生物せいぶつしゅすう調査ちょうさによれば、日本にっぽんさん既知きちしゅすうは30747しゅとされる(2003ねん時点じてん[2]

たんに「むし」として一般いっぱんられる動物どうぶつぐんであるが、これは昆虫こんちゅうせんもん名称めいしょうではなく、ダンゴムシクモムカデミミズカタツムリなど昆虫こんちゅう以外いがいおおくのしょう動物どうぶつをもふくんだ雑多ざった総称そうしょうである。

形態けいたい[編集へんしゅう]

以下いか昆虫こんちゅう一般いっぱんてき特徴とくちょうである。しかし、寄生きせいせい昆虫こんちゅう一部いちぶ幼虫ようちゅうなどには、これらの特徴とくちょうからおおきく逸脱いつだつしたれいもある。

節足動物せっそくどうぶつ同様どうよう昆虫こんちゅうからだは、からだぶし(somite)とばれるふし(ふし)のかえ構造こうぞうでできている。昆虫こんちゅうでは、からだぶしがいくつかずつセットになり、さきぶし直後ちょくご5せつふくんだ頭部とうぶ(head)、3せつふくんだ胸部きょうぶ(thorax)、11せつふくんだ腹部ふくぶ(abdomen)という3つの合体がったいぶし(tagma)にまとまっている。頭部とうぶからだぶし完全かんぜん癒合ゆごうして1つの構造こうぞうたいにまとまり、腹部ふくぶ最終さいしゅうからだぶし退化たいかてきであるため外見がいけんじょうは10せつ以下いかえる[3]

かく部位ぶい付属ふぞく関節かんせつ)やその附属ふぞくたいは、原則げんそくとして頭部とうぶには触角しょっかく(antenna)・だいあご(mandible)・しょうあご(maxilla)かく1ついおよび前後ぜんご上唇うわくちびる(labrum)としもくちびる(labium)かく1まい胸部きょうぶにはあし3つい腹部ふくぶには生殖せいしょく(gonopod)2たい(cerci)1ついがある。したくちびる癒合ゆごうしただい2しょうあごであり、生殖せいしょくおおくの場合ばあいではいちじるしくとくして生殖せいしょくとなり、付属ふぞくらしからぬ形態けいたいをもつ[4]

呼吸こきゅう器官きかんとして気管きかんけい(tracheal system)があり、胸部きょうぶ腹部ふくぶ両側りょうがわもん(trachea)をひらく。水生すいせい昆虫こんちゅうでは腹部ふくぶえらなどべつ呼吸こきゅうをもつ場合ばあいがある。

ほとんどの昆虫こんちゅうゆう翅昆ちゅう)は胸部きょうぶに2ついwing)をち、そらことができる。そらんだ最初さいしょ動物どうぶつ昆虫こんちゅうだとされている。昆虫こんちゅうの翅の構造こうぞうは、グループによって様々さまざまとくし、かれらの生活せいかつはばひろがりに対応たいおうしている。

感覚かんかく[編集へんしゅう]

特別とくべつ感覚かんかく器官きかんとしては、触角しょっかくげられる。それ以外いがい各部かくぶちいさな受容じゅようつ。

だい部分ぶぶん昆虫こんちゅう頭部とうぶに1つい複眼ふくがんと3以下いか単眼たんがんつ。両者りょうしゃゆうする場合ばあい片方かたがただけの場合ばあい、ごく一部いちぶ両方りょうほうともたないれいがある。複眼ふくがん主要しゅよう視覚しかくとしてはたらき、よく発達はったつしたものではすぐれた視覚しかくつとかんがえられる。また、紫外線しがいせん視覚しかくする能力のうりょくっている。すなわち解剖かいぼうがくてきに、昆虫こんちゅうには紫外線しがいせん感知かんちする細胞さいぼうがある。ヒトではオスとメスのいろ区別くべつができない昆虫こんちゅう(たとえば、モンシロチョウの翅のいろ)でも、実際じっさいにはオスとメスの翅で紫外線しがいせん反射はんしゃりつおおきながある。そのため、モンシロチョウ自身じしんには、ヒトのちがって、オスとメスの翅はまったべついろであると認識にんしきできているものと推察すいさつされる。また単眼たんがん明暗めいあんのみを感知かんちする。

化学かがく物質ぶっしつ受容じゅよう、つまり味覚みかく嗅覚きゅうかく触角しょっかく口器こうき、およびあし先端せんたんであるつけぶしにある。いくつかの昆虫こんちゅう個体こたいあいだ誘因ゆういんなどの役割やくわりになフェロモンすが、その受容じゅよう触角しょっかくおこなわれる。

聴覚ちょうかくとくした器官きかんれいおおくなく、コオロギセミなど一部いちぶかぎられる。夜行やこうせいのガにはコウモリによる捕食ほしょく回避かいひするため、コウモリのちょう音波おんぱ鼓膜こまく器官きかんつものがおお[5]

認知にんち能力のうりょく感受性かんじゅせい[編集へんしゅう]

2010年代ねんだい以降いこうむし感情かんじょうのう機能きのうっている可能かのうせいがあることが科学かがく論文ろんぶん報告ほうこくされることがえている[6]

1990ねんから2020ねんあいだ発表はっぴょうされた科学かがく文献ぶんけんのレビューでは、昆虫こんちゅうには認知にんち能力のうりょく感性かんせいがあるという証拠しょうこがみつかった[7]。2022ねんには、6つの昆虫こんちゅうにおける感覚かんかくとくいたみ)の証拠しょうこを、検討けんとうした論文ろんぶん発表はっぴょうされた。研究けんきゅうによると、そう翅目(ハエと)とゴキブリ(ゴキブリとシロアリ)の2つの成虫せいちゅうで、いた体験たいけんの「つよ証拠しょうこ」がつかった。また、ハチ(ハチ、スズメバチ、アリ、ノコギリ)、バッタ(コオロギ、バッタ)、チョウ(チョウ、ガ)の成虫せいちゅうでは「実質じっしつてき証拠しょうこ」があり、甲虫かぶとむし成虫せいちゅうでは「ある程度ていど証拠しょうこ」があった。幼虫ようちゅう段階だんかいにおいても、いくつかの幼虫ようちゅうで、いた体験たいけんの「実質じっしつてき証拠しょうこ」がつかった。なお、いずれの昆虫こんちゅうでも、感覚かんかくとく痛覚つうかく存在そんざい否定ひていする十分じゅうぶん証拠しょうこつからなかった[8]

また、解剖かいぼうがくてき次元じげんでは、ミバエの幼虫ようちゅうあついものにれるとげること、その行動こうどう脊椎動物せきついどうぶつ痛覚つうかくニューロンにたニューロンの媒介ばいかいることが研究けんきゅうたしかめられた[9]

発生はっせい[編集へんしゅう]

おおくは卵生らんせいだが、フタバカゲロウのようなたまご胎生たいせいツェツェバエのような胎生たいせい昆虫こんちゅうもいる。

昆虫こんちゅう場合ばあい幼生ようせい幼虫ようちゅうばれる。成虫せいちゅう姿すがたのものも、かなりかけはなれた姿すがたのものもあるが、基本きほんてきには幼虫ようちゅう昆虫こんちゅうとしての姿すがたそなえており、その意味いみでは直接ちょくせつ発生はっせいてきである。生育せいいく過程かていで、幼虫ようちゅう成虫せいちゅう変化へんかする変態へんたいおこなう。変態へんたい形式けいしきにより、幼虫ようちゅうさなぎになってから成虫せいちゅうになる完全かんぜん変態へんたいをするグループと、幼虫ようちゅう直接ちょくせつ成虫せいちゅうわる不完全ふかんぜん変態へんたいおこなうグループ、そして形態けいたいがほとんど変化へんかしない変態へんたいのグループにけられる。成虫せいちゅうになるときに翅が発達はったつするが、シミなど翅のまったくない種類しゅるいすくなからずいる。

生態せいたい[編集へんしゅう]

昆虫こんちゅう生態せいたいてき多様たようせいきわめてひろい。じょう洞窟どうくつふくめた地上ちじょう土壌どじょうなか淡水たんすいなかにごく普通ふつう生息せいそくし、さらに一部いちぶ例外れいがいのぞいてほとんどのたねそらぶことが出来できる。分布ぶんぷ世界中せかいじゅうにわたり、高山たかやまから低地ていちまでどこにでもおり、とく熱帯ねったいいきでの多様たようせいたかい。

基本きほんてき陸上りくじょう生活せいかつする生物せいぶつで、水生すいせい昆虫こんちゅうでも成虫せいちゅう水中すいちゅう生活せいかつする昆虫こんちゅうすくなく、成虫せいちゅうおおくはとめ水域すいいき空気くうき呼吸こきゅうおこなう。とくうみには極少きょくしょうすうたねがいるだけで、それもウミユスリカなどの潮間しおまたい生息せいそくするたねがほとんどで、外洋がいようでは海水かいすいめんじょう活動かつどうするウミアメンボぞくの5しゅしか確認かくにんされておらず[10]完全かんぜんうみせい昆虫こんちゅう発見はっけんされていない。これは、うみでのニッチすで祖先そせんである甲殻こうかくるいによってめられていたためさい進出しんしゅつできなかった、陸上りくじょうくらべて魚類ぎょるいなどの天敵てんてきおお生存せいぞん競争きょうそうてなかった、陸上りくじょう淡水たんすいでの生活せいかつとくしたためマルピーギかん海水かいすい塩分えんぶん調整ちょうせい対応たいおうできなかった、海水かいすいちゅうただよ海藻かいそう胞子ほうしなどがもんまるため呼吸こきゅうできなかった、陸上りくじょうくらべて海中かいちゅうには酸素さんそとぼしく昆虫こんちゅうるいそと骨格こっかく形成けいせい不利ふりである[11]など、様々さまざませつがある。

石炭せきたんからペルムにかけて大気たいきちゅう酸素さんそ濃度のうどたかかった時期じきには体長たいちょうすうじゅうcmにたっする巨大きょだい昆虫こんちゅう生息せいそくしていたが、現代げんだいでは最小さいしょう哺乳類ほにゅうるい鳥類ちょうるい(1-2g)をえる体重たいじゅう昆虫こんちゅう少数しょうすうであり、ちいさいものは0.2mm、5μみゅーg以下いか大型おおがた原生動物げんせいどうぶつ大型おおがたゾウリムシなど)を下回したまわる。

しょくせいうえでは、草食そうしょくせい肉食にくしょくせい雑食ざっしょくせいなど様々さまざまである。草食そうしょくせいではえさとする植物しょくぶつたね特異とくいせいれいおお[12]、そのため植物しょくぶつたねごとにまった昆虫こんちゅうがある、という状況じょうきょうられる。寄生きせいせいのものもあり、シラミハジラミクモバエコウモリバエカエルキンバエラセンウジバエなどは脊椎動物せきついどうぶつ寄生きせいする。昆虫こんちゅう寄生きせいするしゅでは、捕食ほしょく寄生きせいという独特どくとく寄生きせいかたれいおおい。

大半たいはんたね変温動物へんおんどうぶつであり、3以上いじょう環境かんきょうでないと成長せいちょうおこなわれず、それ以下いかになると冬眠とうみん状態じょうたいとなる。成虫せいちゅう場合ばあい一般いっぱんに-3℃以下いか、45℃以上いじょう環境かんきょうにさらされつづけると死滅しめつするが、たまご状態じょうたいでは温度おんどたいせいとく低温ていおん)の範囲はんいおおきくなるため、このまま越冬えっとうするたねおおい。例外れいがいとして群集ぐんしゅうせいのものには、ハナバチるい一部いちぶが、0℃に30℃以上いじょう体温たいおん安定あんていしてたもてるなど、ほぼ完全かんぜん恒温こうおんせいのものも存在そんざいする。セッケイカワゲラヒョウガユスリカのように、氷点下ひょうてんか気温きおんでも活動かつどうできるたねもあり、南極なんきょくでも昆虫こんちゅう生息せいそくしている。

昆虫こんちゅう一部いちぶは、植物しょくぶつ受粉じゅふんふか関係かんけいがある。花粉かふん媒介ばいかい方法ほうほうとしてはふう動物どうぶつがほとんどをめ、動物どうぶつなかだちむしなかだちのほかにとりコウモリによる媒介ばいかいふくまれるが、動物どうぶつなかだちなかもっとおおいものはむしなかだちである[13]むしなかだちのみにたよる、または一部いちぶむしなかだちとするはなは16まんしゅおよぶとされる[14]動物どうぶつなかだちはなむしはなけるために、風媒花ふうばいかことなりうつくしいはなつよかおり、ゆたかなみつなどを発達はったつさせたが、なかでも虫媒花ちゅうばいかむしつよ嗅覚きゅうかく利用りようするため、かおりがつよいものがおおいことが特徴とくちょうとなっている[15]。(とり嗅覚きゅうかくよわいため、とりなかだちはなにはかおりは必要ひつようなくかおりはよわいものとなっている)[16]。こうしたむしおおくははなみつせんから分泌ぶんぴつされるみつ食料しょくりょうとするほか、かれらのからだにつく花粉かふんそのものも重要じゅうよう食料しょくりょうとしている[17]

生体せいたい[編集へんしゅう]

バッタイナゴちょうハチなどおおくの昆虫こんちゅう血糖けっとうトレハロースであり、体内たいない分解ぶんかい酵素こうそトレハラーゼ作用さようブドウ糖ぶどうとうグルコース)にわることによって利用りようされる。また、スズメバチとその幼虫ようちゅう栄養えいよう交換こうかんえきなかにもある。

昆虫こんちゅう血糖けっとうとしてのトレハロース濃度のうどは、400-3,000 mg/dL(10-80 mM)の範囲はんいにある[18]。このヒトグルコースとしての通常つうじょう血糖けっとう100-200 mg/dLにくらべてはるかにたかい。この理由りゆうひとつとして、トレハロースがタンパク質たんぱくしつたいして糖化とうか反応はんのうこさずグルコースにくらべて生体せいたい有害ゆうがいせいをもたらさないためである[19][20]

そと骨格こっかく甲殻こうかくるいちがい、形成けいせいカルシウム沈着ちんちゃくともなわない。これは海中かいちゅうくらべてカルシウムにとぼしい陸上りくじょうでの生活せいかつ適応てきおうした結果けっかであり、そと骨格こっかくかるくすることにもつながったため、のち飛行ひこう能力のうりょく発達はったつさせるじょう有利ゆうりはたらいたというせつがある。[21]

分類ぶんるい[編集へんしゅう]

種類しゅるいすうおおいグループとしては、以下いかのようなものがある。(括弧かっこないは2003ねん現在げんざい日本にっぽんさん既知きちしゅすう

甲虫かぶとむしるい実際じっさい種類しゅるいおおいとされているが、飛翔ひしょう能力のうりょく昆虫こんちゅう比較ひかくしてよわく、発見はっけん採集さいしゅう容易よういなため、たね同定どうていすすんでいるのだともえる。甲虫かぶとむし同様どうよう生態せいたい多様たようなハエやハチ昆虫こんちゅうは、実際じっさいには甲虫かぶとむし上回うわまわたね存在そんざいするのではないかともわれている。

進化しんか[編集へんしゅう]

昆虫こんちゅう地球ちきゅう歴史れきしじょう、4おくねんまえ動物どうぶつ陸上りくじょう進出しんしゅつはじまったころ上陸じょうりくした動物どうぶつぐんひとつである[22]。なお2014ねん11月のだい規模きぼ分子ぶんし系統けいとう解析かいせきによれば、陸上りくじょう植物しょくぶつ出現しゅつげんしてあいだもない4おく8せんまんねんまえには原始げんしてきろくきゃくるいあらわれ、昆虫こんちゅうは4おく4せんまんねんまえ、翅で昆虫こんちゅうやく4おく6ひゃくまんねんまえ完全かんぜん変態へんたい昆虫こんちゅうは3おく5せんまんねんまえ出現しゅつげんした[23]。3おく6せんまんねんまえ上陸じょうりくした脊椎動物せきついどうぶつ両生類りょうせいるいよりもはや時期じきであった[22]

昆虫こんちゅう生活せいかつ様式ようしき形態けいたい非常ひじょうにバラエティにんでおり、様々さまざま環境かんきょうニッチ適応てきおうして繁殖はんしょくしており、その種類しゅるい非常ひじょうおおい。恐竜きょうりゅう登場とうじょうまえの2おく-3おくねんまえには、現在げんざいゴキブリトンボなどの祖先そせんすで登場とうじょうしていた。

節足動物せっそくどうぶつ

やっとこかくるい

だいあごるい

甲殻こうかくるい

かくるい

あしるいヤスデエダヒゲムシ

あしるいムカデ

あしるいコムカデ

ろくきゃくるいうちあごるい昆虫こんちゅう

かくるいせつ[24]
節足動物せっそくどうぶつ

やっとこかくるい

だいあごるい

あしるい

ひろし甲殻こうかくるい

甲殻こうかくるいかいちゅうるいえらるいなど

甲殻こうかくるい軟甲るいフジツボるいなど

甲殻こうかくるいカシラエビるい

甲殻こうかくるいえらあしるい

甲殻こうかくるいムカデエビるい

ろくきゃくるいうちあごるい昆虫こんちゅう

ひろし甲殻こうかくるいせつ[25]

伝統でんとうてき系統けいとうがくでは、昆虫こんちゅうふくんだろくきゃくるいは、あしるいとともにかくるいAtelocerata、またはもんるい Tracheata)としてまとめられ、甲殻こうかくるいやっとこかくるいとともに、節足動物せっそくどうぶつの3つのおおきなぐんをなすとかんがえられてきた。このせつでは、あしるいろくきゃくるい姉妹しまいぐん[24]、もしくろくきゃくるいがわ系統けいとうぐんあしるいから派生はせいしたとする[24]

これにたいして2000年代ねんだいをはじめとして、根本こんぽんてきにこれを否定ひていするせつ徐々じょじょ有力ゆうりょくされる。2019ねん現在げんざい[25] すべての分子ぶんし系統けいとうがくてき解析かいせき遺伝子いでんし解析かいせき)は、ろくきゃくるいあしるいとは遠縁とおえんであり、むしろがわ系統けいとうぐん甲殻こうかくるいから派生はせいしていることを根強ねづよ支持しじ[26][27][28][29][30][31][32][33]神経しんけい解剖かいぼうがくてき構造こうぞう[34]ヘモシアニン構成こうせい[35] にもそれを支持しじする証拠しょうこげられる[25]。このようにろくきゃくるい甲殻こうかくるいからなる系統けいとうぐんは、ひろし甲殻こうかくるいPancrustacea)という。あしるいろくきゃくるい類縁るいえんでなく、むしろそれより早期そうき分岐ぶんきし、ひろし甲殻こうかくるいともだいあごるいをなす。ひろし甲殻こうかくるいなかに、まずひん甲殻こうかくるい[36]かいちゅうるいヒゲエビるいえらるいなど)が分岐ぶんきし、つづいて甲殻こうかくるい[36]軟甲るいフジツボるいカイアシるい)とエビるい[36]カシラエビるいえらあしるいムカデエビるいろくきゃくるい)に二分にぶんされ、後者こうしゃ甲殻こうかくるいなかで、ムカデエビるいろくきゃくるい姉妹しまいぐんとして有力ゆうりょくされる[25][32][33]

昆虫こんちゅう以外いがいろくきゃくるいは、あごからだなかにあるなど共通きょうつう性質せいしつつため、うちあごるい総称そうしょうされる。うちあごるいおよびろくきゃくるいたん系統けいとうとするせつ主流しゅりゅうだが、一部いちぶ分子ぶんし系統けいとうでは異論いろんもある[23][37]

昆虫こんちゅうつなだい分類ぶんるい[編集へんしゅう]

昆虫こんちゅうつななかでは、比較的ひかくてき原始げんしてきな、翅のない翅類と、翅をはらがわたためないきゅう翅類がまずけられる。しかし、翅類は原始げんしてき形質けいしつでまとめられたがわ系統けいとうだというせつが1960年代ねんだいごろから有力ゆうりょくとなり、それを反映はんえいしたつぎのような分類ぶんるい普及ふきゅうしつつある。ただし、ゆう翅「下綱しもつな」などの修正しゅうせいされた階級かいきゅうについては研究けんきゅうしゃ見解けんかいかならずしも一致いっちしていない。

  • 昆虫こんちゅうつな
    • たん関節かんせつおかつな : イシノミ
    • そう関節かんせつおかつな
      • 翅下つな : シミ
      • ゆう翅下つな
        • きゅう翅節 : カゲロウ、トンボ
        • しん翅節

きゅう翅類のたん系統けいとうせいにも疑問ぎもんたれており、カゲロウとトンボのどちらかがさきかれた可能かのうせいがある。ただし、それを反映はんえいした分類ぶんるいはまだ確立かくりつしていない。

現生げんなま昆虫こんちゅう[編集へんしゅう]

分類ぶんるい体系たいけいによってことなるが、(狭義きょうぎの)昆虫こんちゅうつな Insecta は30ふくむ。以下いかのものは『岩波いわなみ生物せいぶつがく辞典じてん だい5はん[38] による。命名めいめいしゃめい省略しょうりゃく

なお、以前いぜんバッタちょく翅目)Orthoptera とされていたものはガロアムシ翅目、かけ翅目)Grylloblattodeaナナフシ竹節たけふしむしPhasmatodeaバッタちょく翅目)Orthopteraカマキリ蟷螂かまきりMantodeaゴキブリ Blattodea分類ぶんるいされる。

また、ゴキブリ Blattodeaシロアリとう翅目)Isopteraかれていたが、21世紀せいき現在げんざいゴキブリ Blattodea統一とういつされる。この場合ばあい、シロアリなかふくまれるとなり、チャタテムシ(噛虫PsocopteraシラミはだかPhthiraptera咀顎 Psocodea統一とういつされる。

チョウ鱗翅りんしLepidopteraなかにあるコバネガは、トビケラもう翅目) Trichopteraチョウ鱗翅りんしLepidoptera祖先そせん形質けいしつっているので、チョウ鱗翅りんしLepidopteraトビケラもう翅目) Trichoptera、コバネガ提案ていあんされることもある。

2002ねんに、翅がなくナナフシ外観がいかんカカトアルキ(マントファスマしんとして設立せつりつされた[39]

人間にんげんとのかかわり[編集へんしゅう]

生物せいぶつ世界せかいもっと種類しゅるいおお動物どうぶつぐんであり、なんらかのかかわりなしに生活せいかつすることが不可能ふかのうなほどに、あらゆる局面きょくめんでかかわりをしょうじる。直接ちょくせつ人間にんげんやくつものを益虫えきちゅうひと健康けんこう財産ざいさん家畜かちく農作物のうさくもつなどにがいあたえるものを害虫がいちゅうう。ただし、実害じつがいはない不快ふかい害虫がいちゅうもいれば、日常にちじょう生活せいかつ益虫えきちゅう害虫がいちゅうあつかいされるものの分類ぶんるい学的がくてきには昆虫こんちゅう以外いがいしょう動物どうぶつふくまれる。

益虫えきちゅうは、インセクトブリーダーなどによる昆虫こんちゅう養殖ようしょく英語えいごばん養蜂ようほう養蚕ようさんゴキブリ養殖ようしょく英語えいごばんなど)がおこなわれる[40]

昆虫こんちゅう採集さいしゅう飼育しいく趣味しゅみいち分野ぶんやである。昆虫こんちゅう標本ひょうほんなどは博物館はくぶつかんなどの展示てんじぶつとして人気にんきがあり、名和なわ昆虫こんちゅう博物館はくぶつかん岐阜ぎふけん岐阜ぎふ)、倉敷くらしき昆虫こんちゅうかん岡山おかやまけん倉敷くらしき[41] のような飼育しいく専門せんもん施設しせつ昆虫こんちゅうかんもある。きた昆虫こんちゅう輸入ゆにゅうおこなわれるが、有害ゆうがい動物どうぶつ植物しょくぶつ防疫ぼうえきほうによって輸入ゆにゅう禁止きんしである[42]。そいういった輸入ゆにゅうされた昆虫こんちゅうむしした場合ばあいは、外来がいらいしゅであり、自然しぜんかい様々さまざま悪影響あくえいきょうおよぼすのでけるべきで責任せきにんをもってがさずそだてることが推奨すいしょうされる[43]

文化ぶんかとして、ぶし天候てんこうるためにむかしから観察かんさつされてきたこともあり、むし(蟄)がふゆから解放かいほうされ(けいいて)うごとして24節気せっきのひとつ啓蟄けいちつがある[44]ほか、北海道ほっかいどうではゆきちゅう初雪はつゆきげる昆虫こんちゅうとしてられている。

古代こだいエジプトでは、一部いちぶ甲虫かぶとむしスカラベとして崇拝すうはい対象たいしょうとなった。

学問がくもん昆虫こんちゅうがくおおきく発展はってんし、昆虫こんちゅう分類ぶんるいがく応用おうよう昆虫こんちゅうがくかいこがく天敵てんてき昆虫こんちゅうがく生物せいぶつてき防除ぼうじょ)・衛生えいせい昆虫こんちゅうがくほう昆虫こんちゅうがく環境かんきょう昆虫こんちゅうがく遺伝いでんがくなど幅広はばひろい。また、ミツバチやかいこなどの産業さんぎょう動物どうぶつである昆虫こんちゅう獣医じゅういがくあつかう。

ペットとしての昆虫こんちゅう[編集へんしゅう]

採集さいしゅうその手段しゅだん入手にゅうしゅした昆虫こんちゅうあつめたり飼育しいくしたりする娯楽ごらくふるくから存在そんざいする。ダーウィンウォーレスなどの泰斗たいと輩出はいしゅつしている博物学はくぶつがく祖国そこくイギリス顕著けんちょであるが、ひろヨーロッパにみられ、チョウ幼虫ようちゅうオサムシるい飼育しいくするれいおおい。現代げんだいではナナフシ人気にんきたかく、観葉かんよう植物しょくぶつ感覚かんかく飼育しいくされる。

日本にっぽんにおいては、平安へいあん時代じだい貴族きぞく階級かいきゅうにおいて、スズムシマツムシコオロギなどの「むし」(ちょく翅目)の飼育しいくごえ観賞かんしょうがはじまり[45]江戸えど時代じだい中期ちゅうきにはそれらを行商ぎょうしょうじんある商業しょうぎょう確立かくりつ江戸えど町民ちょうみん中心ちゅうしんむし飼育しいく文化ぶんかひろ普及ふきゅうした。むしのほか、ぼたる同様どうようひろ取引とりひきされた[46]。こうしたむし文化ぶんか昭和しょうわ初期しょきには最盛さいせいむかえたものの、戦後せんご衰退すいたいした[47]元々もともとこれらの文化ぶんかは、中国ちゅうごくから伝播でんぱしたとも、独自どくじ並行へいこう発生はっせいしたともいわれるがさだかでない。また、中国ちゅうごくではごえ鑑賞かんしょうのみならずコオロギの格闘かくとうたのしむ娯楽ごらくたたかえ」もふるくからしたしまれてきた。たたかえ蟋の歴史れきしとうげんむねにさかのぼるとされ、みなみそう宰相さいしょうである賈似どうはこの趣味しゅみこうじて世界せかいはつのコオロギの百科ひゃっか事典じてん『促織けい』をあらわした[48]一方いっぽう児童じどう年齢ねんれい子供こどもカブトムシクワガタムシなどに昆虫こんちゅう相撲すもうらせる古典こてんてきあそびも、江戸えど時代じだいからあり、それらの昆虫こんちゅうは「サイカチ」「オニガラ」「オニムシ」などとばれた。

21世紀せいき現在げんざい日本にっぽんには、サブカルチャーホビーひとつとして、クワガタムシやカブトムシなどの甲虫かぶとむしるい鑑賞かんしょう価値かち見出みいだ累代るいだい飼育しいくするファンがおおく、10まんにん単位たんい愛好あいこうしゃがいるといわれる。

食材しょくざいとしての昆虫こんちゅう[編集へんしゅう]

今日きょう日本にっぽんにおいては、昆虫こんちゅうしょくはあまり一般いっぱんてきではなく、どちらかとうとゲテモノ料理りょうり珍味ちんみとしてあつかわれる機会きかいおおい。そのなかイナゴ佃煮つくだに)は全国ぜんこくてきべられているとってもよく、ハチセミゲンゴロウトビケラカワゲラ水生すいせい昆虫こんちゅう幼虫ようちゅうをまとめてざざむし総称そうしょう)、カイコガカミキリムシなども食用しょくようとされることがある。商品しょうひんとしてされたところもある。2008ねん時点じてんで、はちの、イナゴの缶詰かんづめはともに1トンじゃく、カイコのサナギが300キログラム、まゆこ(カイコのガ)が100キログラム、ザザムシが300キログラム製造せいぞうされている[49]。なかには、長野ながのけんのハチの佃煮つくだにのように郷土きょうど料理りょうり名物めいぶつになっている地域ちいきもある。

世界せかいてきにはタガメアリ甲虫かぶとむしなどの昆虫こんちゅう幼虫ようちゅうべる文化ぶんかっているくに地域ちいき民族みんぞくおおい。なかでも昆虫こんちゅうおお亜熱帯あねったいから熱帯ねったい地域ちいきにおいて昆虫こんちゅうしょく文化ぶんか根付ねついている[50]

昆虫こんちゅうタンパク質たんぱくしつミネラル豊富ほうふふくんで栄養えいようたかうえ従来じゅうらい家畜かちくくら飼料しりょう転換てんかん効率こうりつがよいため、将来しょうらいてき重要じゅうよう食料しょくりょうとなるとの見方みかた国連こくれん食糧しょくりょう農業のうぎょう機関きかんしめしている[51]

くすりざいとしての昆虫こんちゅう[編集へんしゅう]

中国ちゅうごく生薬きぐすりあつめた『本草ほんぞう綱目こうもく』には、多種たしゅ昆虫こんちゅう記載きさいされている。いちれいとしてシナゴキブリは、シャチュウ(䗪虫[52])ので、血行けっこう改善かいぜん作用さようがあるとされている。学問がくもんてき薬効やっこうかならずしもあきらかになっていないれいおおいが、ほかにも薬酒やくしゅ原料げんりょうとしてスズメバチ、アリ、ゴミムシダマシふゆちゅうなつそう昆虫こんちゅう幼虫ようちゅうからきんキノコが成長せいちょうしたもの)などが使つかわれたり、粉末ふんまつにして外用がいようやくにされる昆虫こんちゅうもある。また、昆虫こんちゅうそのものではないが、セミのがらせみ退すさ(センタイ)といって、解熱げねつ鎮静ちんせい、鎮痙などにもちいられる。

飼料しりょうとしての昆虫こんちゅう[編集へんしゅう]

世界せかいてき人口じんこう増加ぞうかにより昆虫こんちゅう由来ゆらい飼料しりょう研究けんきゅうされており、2020ねん4がつ農林水産省のうりんすいさんしょうにフードテック研究けんきゅうかい新設しんせつされた[53]

農薬のうやくとしての昆虫こんちゅう[編集へんしゅう]

日本にっぽん法律ほうりつ農薬のうやく取締とりしまりほう)は、農作物のうさくもつがいする昆虫こんちゅうダニ細菌さいきんなどの防除ぼうじょ使つかわれる薬剤やくざいのみならず、防除ぼうじょ有益ゆうえき天敵てんてきをも一括いっかつして農薬のうやく整理せいりした。このため、農薬のうやくとして登録とうろくされている昆虫こんちゅうクモ、ダニ、細菌さいきんウイルスなどがあり、これらは生物せいぶつ農薬のうやくともばれる。これらは法律ほうりつじょう農薬のうやくであるため、用法ようほう用量ようりょう販売はんばいにも規制きせいがある。現在げんざい日本にっぽん登録とうろくされている天敵てんてき昆虫こんちゅうには、オンシツツヤコバチヨコスジツヤコバチタイリクヒメハナカメムシヤマトクサカゲロウナミテントウコレマンアブラバチなどがある。こうした天敵てんてき農薬のうやくによる生物せいぶつてき防除ぼうじょとしては、19世紀せいきまつアメリカにおいて、イセリアカイガラムシだい発生はっせい原産地げんさんちオーストラリアにおける天敵てんてきベダリアテントウ導入どうにゅうによってふせいだれいなどがられ、成功せいこうすればおおきな効果こうかげるものの、目的もくてき害虫がいちゅう以外いがいむし攻撃こうげきされだい被害ひがいけることもめずらしくないため、導入どうにゅうには細心さいしん注意ちゅうい必要ひつようである[54]

産業さんぎょうよう昆虫こんちゅう[編集へんしゅう]

歴史れきしてきもっと広範こうはん利用りようされている産業さんぎょうよう昆虫こんちゅうとして、きぬいと生産せいさんするためのカイコガがある。きぬ歴史れきしつうじて高級こうきゅう繊維せんいとしての地位ちい確立かくりつしており、これをすカイコをそだてる養蚕ようさん産業さんぎょうひとつとして成立せいりつしている。カイコは家畜かちくされた歴史れきしながいためすでに野生やせいでは存在そんざいせず、人間にんげんはなれてはきられなくなっている[55]。なお、カイコ以外いがいにも絹糸けんし生成せいせいできるむしヤママユ(テンサン、天蚕てんさん)やその亜種あしゅであるサクサン(柞蚕さくさん)などいくつか存在そんざいし、野蚕くわご総称そうしょうされる。ミツバチるいかいこならんでもっとも重要じゅうよう産業さんぎょうよう昆虫こんちゅうであり、蜂蜜はちみつロイヤルゼリー、さらに蜜蝋みつろう採取さいしゅ目的もくてき飼育しいくされている[56]。ミツバチのもうひと重要じゅうよう用途ようととしては果樹かじゅ野菜やさいといった虫媒花ちゅうばいか受粉じゅふんげられる。受粉じゅふん農業のうぎょううえ非常ひじょう重要じゅうようであり、養蜂ようほう蜂蜜はちみつ採取さいしゅよりも授粉よう需要じゅようほうおおきくなっている[57]。授粉よう昆虫こんちゅうとしては、このほかにマルハナバチるい多用たようされる。カイコとミツバチは昆虫こんちゅうでありながら家畜かちくになっているといえる。イボタロウムシもろう生産せいさん重要じゅうようである。

このほか海外かいがいでは赤色あかいろ染料せんりょう原料げんりょうとしてカイガラムシるいひろ利用りようされ、なかでも良質りょうしつコチニール色素しきそれるコチニールカイガラムシアステカ珍重ちんちょうされて、19世紀せいき中盤ちゅうばん化学かがく染料せんりょう優勢ゆうせいになるまえ世界せかいひろ栽培さいばいされていた[58]。またラックカイガラムシは染料せんりょうとしても使用しようされていたが、それよりもシェラックばれる樹脂じゅし生産せいさんられており、かつてはワニスなど様々さまざま用途ようと使用しようされていた[59]。また、幼虫ようちゅう(ウジ)をえさとして利用りようするために累代るいだい飼育しいくされているハエ爬虫類はちゅうるいえさとして飼育しいく販売はんばいされているコオロギなどのようなれいもある。

装飾そうしょくよう昆虫こんちゅう[編集へんしゅう]

タマムシチョウなど、色彩しきさい光沢こうたくあざやかな昆虫こんちゅうは、工芸こうげいひんなどの装飾そうしょく材料ざいりょうにも利用りようされる。日本にっぽん国宝こくほう指定していされている玉虫たまむし厨子ずしは、本来ほんらいタマムシのはね装飾そうしょくとして使用しようしていたことでこのがついており、オリジナルの玉虫たまむし厨子ずしでその装飾そうしょくうしなわれたのちも、タマムシのはねをふんだんに使用しようして作成さくせい当時とうじ姿すがた復元ふくげんしたレプリカがいくつか作成さくせいされている[60]

モデル生物せいぶつとして[編集へんしゅう]

モデル生物せいぶつとして重要じゅうようなものもある。ショウジョウバエカイコ遺伝いでんがくで、アズキゾウムシやコクヌストモドキ個体こたいぐん生態せいたいがくえんじた役割やくわり非常ひじょうおおきい。昆虫こんちゅう小型こがたあつかいやすく、せま環境かんきょうでも飼育しいく可能かのうで、またみじか時間じかん複数ふくすう世代せだい観察かんさつできる。上記じょうきのような昆虫こんちゅうはそのようなてんでモデル生物せいぶつとして好適こうてきであった。また、処理しょりのしやすさについても独特どくとくである。ハワード・エヴァンズ英語えいごばん著書ちょしょむし惑星わくせい』で昆虫こんちゅう変態へんたいホルモンかんする実験じっけんで、複数ふくすう幼虫ようちゅうくびってつなぎわせてその変態へんたい実験じっけんについて説明せつめいしたのち、この実験じっけんネコおこなうことが想像そうぞうできるか?とべている。

また、ゴキブリは、昆虫こんちゅうなかでもおおきいほうなので、研究けんきゅうよう生物せいぶつ昆虫こんちゅう)としても利用りようされている。

ほう昆虫こんちゅうがく[編集へんしゅう]

アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくなどでは、クロバエなどが死体したい産卵さんらんする特性とくせい幼虫ようちゅう(ウジ)の成長せいちょう程度ていどが、遺体いたい放置ほうち時間じかん推定すいていするさい手掛てがかりのひとつとされている[61]

医療いりょうとしての昆虫こんちゅう[編集へんしゅう]

医療いりょう治療ちりょう方法ほうほうとして、無菌むきん状態じょうたいにしたハエなどの幼虫ようちゅうのウジに患部かんぶ壊死えしした組織そしきべさせるマゴットセラピーがある。これは1930年代ねんだいにアメリカでひろまったものの、1940年代ねんだいペニシリン開発かいはつされると急速きゅうそく使用しようされなくなっていったが、1990年代ねんだいまつからふたた使用しよう増加ぞうかしつつある[62]

バイオ医薬品いやくひんなどのくみタンパク質たんぱくしつ生産せいさん宿主しゅくしゅとしても昆虫こんちゅう昆虫こんちゅう細胞さいぼうもちいられている。宿主しゅくしゅとしてはカイコイラクサギンウワバ英語えいごばんツマジロクサヨトウ英語えいごばんウイルスベクターとしてはバキュロウイルスもちいられており[63]、このような発現はつげんけいはバキュロウイルス発現はつげんベクターけい(BEVS)とばれる[64]昆虫こんちゅう由来ゆらい培養ばいよう細胞さいぼうとAutographa californica multipleかく多角たかくからだびょうウイルス(AcMNPV)をもちいたくみタンパク質たんぱくしつ生産せいさんほうは1983ねんテキサスA&M大学だいがくのゲール・スミスやマックス・サマーズ英語えいごばんらによって開発かいはつされ、カイコ幼虫ようちゅう個体こたいとカイコかく多角たかくからだびょうウイルス(BmNPV)をもちいた方法ほうほうは1985ねん鳥取大学とっとりだいがく前田まえだすすむらによって開発かいはつされた[64]。BEVSはインターフェロン抗体こうたいなどの試薬しやくのほか『サーバリックス』や『Novavax COVID-19ワクチン』といったワクチンようタンパク質たんぱくしつ生産せいさんにも役立やくだてられている。

生態せいたいけい調整ちょうせい基盤きばんサービスのになとしての昆虫こんちゅう[編集へんしゅう]

うえしるしたような、食料しょくりょう医薬品いやくひん医療いりょう農業のうぎょう衣料いりょうあるいはペットなどとしての利用りようは、生態せいたいけいサービスのうちの供給きょうきゅうサービスあるいは文化ぶんかてきサービスにたるが、それ以外いがいにも生態せいたいけい調整ちょうせいサービスや基盤きばんサービスのになとして重要じゅうよう役割やくわりはたしている[65][66]

たとえば、ミツバチ以外いがいにも様々さまざまなハナバチや、アブやハエ、チョウやガ、ハナムグリやカミキリとう甲虫かぶとむしなどが、植物しょくぶつ受粉じゅふんになっている。また、枯木かれき倒木とうぼく、デトリタス、枯葉かれはは、シロアリ、ゴキブリ、クワガタ、カミキリ、土壌どじょうせい昆虫こんちゅう水中すいちゅうではトビケラやそう翅目幼虫ようちゅうなどが分解ぶんかいしている。野生やせい動物どうぶつくそ死体したいは、ハエ、シデムシ、糞虫くそむしなどにより分解ぶんかいされる。特定とくていむしだい発生はっせいすることを、おおくの捕食ほしょく寄生きせい昆虫こんちゅう肉食にくしょくせい昆虫こんちゅう抑制よくせいしている。

他方たほうでは、クモ、とり、コウモリとう哺乳類ほにゅうるい両生類りょうせいるい爬虫類はちゅうるい淡水魚たんすいぎょなどのえさとして、生態せいたいピラミッドのより高次こうじ消費しょうひしゃささえている。

こうして多種たしゅ多様たよう昆虫こんちゅうにより様々さまざま自然しぜん生態せいたいけい維持いじされ、ひいては人間にんげんにも様々さまざま生態せいたいけいサービスをもたらしている[67]

害虫がいちゅう[編集へんしゅう]

上記じょうきのような益虫えきちゅうのほか、人類じんるいがいあたえる害虫がいちゅう数多かずおお存在そんざいする。一部いちぶ昆虫こんちゅう媒介ばいかいしゃとして伝染でんせんびょう感染かんせんげんとなっている。こうした媒介ばいかいしゃなかもっと有害ゆうがい昆虫こんちゅうであり、マラリアデング熱でんぐねつなどさまざまな伝染でんせんびょう媒介ばいかいして、2016ねんのデータでは1年間ねんかん死者ししゃは83まんにんにものぼり、「地球ちきゅうじょうでもっとも人類じんるい殺害さつがいする生物せいぶつ」となっている[68]人間にんげんだけでなく、農作物のうさくもつ家畜かちくがいあたえる昆虫こんちゅうおお存在そんざいする。なかでもイナゴバッタなどはあい変異へんいこしただい集団しゅうだん周囲しゅういのすべての草本そうほんるいらいつくすいなごがい発生はっせいさせることがあり、この場合ばあい周囲しゅうい生態せいたいけいだい打撃だげき飢饉ききん発生はっせいすることもある。

ムシ[編集へんしゅう]

現代げんだい日常にちじょう会話かいわでは、昆虫こんちゅうたんに「むし」(むし)とぶことがおおいが、ダンゴムシフナムシなどの用法ようほうでわかるとおり、ムシとは本来ほんらいはもっとひろ範囲はんい意味いみ言葉ことばで、ししとり魚介ぎょかいるい以外いがいぜん動物どうぶつ言葉ことばであった。

漢字かんじの「むし」(キ、拼音: huǐ)は本来ほんらい毒蛇どくへびマムシ)をかたった象形しょうけい文字もじであるが、へびなど爬虫類はちゅうるい一部いちぶや、両生類りょうせいるいたまきがた動物どうぶつなど、ては架空かくう動物どうぶつであるりゅうまでをふくめたひろ範囲はんい生物せいぶつぐんす「むし」(チュウ、拼音: chóng)の略字りゃくじとして古代こだいから使つかわれている。

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

注釈ちゅうしゃく[編集へんしゅう]

  1. ^ 分子ぶんし系統けいとう解析かいせきによるとシルルおさむ(およそ4おく4せんまんねんまえ)に起源きげんとされる。後述こうじゅつ参照さんしょう

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参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

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  • 石川いしかわ良輔りょうすけ昆虫こんちゅう誕生たんじょう : いちせんまんしゅへの進化しんか分化ぶんか中央公論社ちゅうおうこうろんしゃ中公新書ちゅうこうしんしょ〉、1996ねんISBN 4-12-101327-1 
  • みずまこと昆虫こんちゅう : 驚異きょうい微小びしょうのう中央公論ちゅうおうこうろんしんしゃ中公新書ちゅうこうしんしょ〉、2006ねんISBN 4-12-101860-5 
  • いわおいさお倉谷くらたにしげる斎藤さいとうしげる也・塚谷つかたに裕一ひろいち へん岩波いわなみ生物せいぶつがく辞典じてん』(だい5はん岩波書店いわなみしょてん、2013ねんISBN 4-00-080314-X 
  • 藤堂とうどうあきら松本まつもとあきら武田たけだあきら加納かのう喜光よしみつ へん漢字かんじげん』(改訂かいていだいはん学研がっけん、2011ねんISBN 978-4-05-303101-3 
  • 野中のなか健二けんじ昆虫こんちゅうしょく先進せんしんこくニッポン』(だい1はん亜紀あき書房しょぼう、2008ねんISBN 978-4-7505-0815-3 
  • 藤田ふじた敏彦としひこ ちょしん生命せいめい科学かがくシリーズ 動物どうぶつ系統けいとう分類ぶんるい進化しんか』(だい1はんはなぼう、2010ねん4がつ25にちISBN 9784785358426 

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]