格差 かくさ 社会 しゃかい (かくさしゃかい、英 えい : Social polarization )とは、収入 しゅうにゅう や財産 ざいさん などの要因 よういん により人間 にんげん 社会 しゃかい の構成 こうせい 員 いん に階層 かいそう 化 か が生 しょう じ、その階層 かいそう 間 あいだ の遷移 せんい が困難 こんなん な状態 じょうたい になっている社会 しゃかい を意味 いみ する語 かたり 。マスメディア による造語 ぞうご であり、経済 けいざい 学 がく などの学術 がくじゅつ 的 てき な専門 せんもん 用語 ようご ではないが[2] 、その後 ご のバブル崩壊 ほうかい と平成 へいせい 不況 ふきょう 、さらに「失 うしな われた20年 ねん 」の世相 せそう の中 なか で広 ひろ く使 つか われるようになり、2006年 ねん には新語 しんご ・流行 りゅうこう 語 ご 大賞 たいしょう の上位 じょうい にランクインした。一種 いっしゅ のブームとなったこの言葉 ことば は、「恋愛 れんあい 格差 かくさ 」など多数 たすう の派生 はせい 語 ご の親 おや ともなった。
早稲田大学 わせだだいがく 教授 きょうじゅ の橋本 はしもと 健二 けんじ によれば、1970年代 ねんだい から1980年代 ねんだい の日本 にっぽん では「一 いち 億 おく 総 そう 中流 ちゅうりゅう 」の意識 いしき のもとで格差 かくさ の問題 もんだい が忘 わす れられており[3] 、格差 かくさ 拡大 かくだい が始 はじ まったことを最初 さいしょ に指摘 してき したのは小沢 おざわ 雅子 まさこ の1985年 ねん の著書 ちょしょ 『新 しん 「階層 かいそう 消費 しょうひ 」の時代 じだい 』であった[4] 。小沢 おざわ は中流 ちゅうりゅう 階級 かいきゅう の中 なか でも消費 しょうひ 内容 ないよう に差 さ が生 しょう じていることを指摘 してき した[4] 。以降 いこう 、1980年代 ねんだい 末 まつ までに「階級 かいきゅう 」をキーワードやタイトルに含 ふく む雑誌 ざっし 記事 きじ の数 かず が増 ふ えた[4] 。
政府 せいふ が1988年 ねん に発表 はっぴょう した『国民 こくみん 生活 せいかつ 白書 はくしょ 』において、高度 こうど 経済 けいざい 成長 せいちょう 期 き からバブル景気 けいき 時代 じだい までの日本 にっぽん 社会 しゃかい における経済 けいざい 的 てき 格差 かくさ の拡大 かくだい について言及 げんきゅう された[5] 。この政府 せいふ 発表 はっぴょう の翌日 よくじつ の1988年 ねん 11月19日 にち 、朝日新聞 あさひしんぶん の社説 しゃせつ が「『格差 かくさ 社会 しゃかい 』でいいのか」との見出 みだ しで取 と り上 あ げたのが、経済 けいざい 的 てき ・社会 しゃかい 的 てき 不平等 ふびょうどう について「格差 かくさ 社会 しゃかい 」という語 かたり が意識 いしき 的 てき に使用 しよう された最初 さいしょ の例 れい とされている[5] 。
2003年 ねん には「勝 か ち組 ぐみ 」という語 かたり の用例 ようれい が日本 にっぽん の雑誌 ざっし 記事 きじ で急増 きゅうぞう し[6] 、翌 よく 2004年 ねん には新聞 しんぶん 記事 きじ でも急増 きゅうぞう した[6] 。「勝 か ち組 ぐみ 」「負 ま け組 ぐみ 」の格差 かくさ 拡大 かくだい を指摘 してき した2004年 ねん の山田 やまだ 昌弘 まさひろ の著書 ちょしょ 『希望 きぼう 格差 かくさ 社会 しゃかい 』は、格差 かくさ 社会 しゃかい に関 かん する出版 しゅっぱん 物 ぶつ の嚆矢 こうし とされているが[7] 、2001年 ねん に苅谷 かりや 剛彦 たけひこ 著 ちょ 『階層 かいそう 化 か 日本 にっぽん と教育 きょういく 危機 きき 不平等 ふびょうどう 再 さい 生産 せいさん から意欲 いよく 格差 かくさ 社会 しゃかい へ』が出版 しゅっぱん されており、こちらが先行 せんこう 研究 けんきゅう となる。一般 いっぱん 読者 どくしゃ 向 む けの通俗 つうぞく 社会 しゃかい 学 がく 的 てき な山田 やまだ の著作 ちょさく に比 くら べ、信頼 しんらい のおけるデータを統計 とうけい 的 てき に分析 ぶんせき し、また日本 にっぽん 教職員 きょうしょくいん 組合 くみあい の教育 きょういく 研究 けんきゅう 全国 ぜんこく 集会 しゅうかい の記録 きろく から教育 きょういく 認識 にんしき の変遷 へんせん の歴史 れきし をたどるなど、本格 ほんかく 的 てき な教育 きょういく 研究 けんきゅう 書 しょ となっている[8] 。
格差 かくさ 社会 しゃかい においては、社会 しゃかい 的 てき 地位 ちい の変化 へんか が困難 こんなん で社会 しゃかい 移動 いどう が少 すく なく、社会 しゃかい の閉鎖 へいさ 性 せい が強 つよ いことを意味 いみ するため、格差 かくさ 社会 しゃかい は社会 しゃかい 問題 もんだい の一 ひと つとして考 かんが えられている。
格差 かくさ 拡大 かくだい の主因 しゅいん として、国際 こくさい 通貨 つうか 基金 ききん (IMF) は「技術 ぎじゅつ 革新 かくしん 」と「金融 きんゆう のグローバル化 か 」を指摘 してき している[9] [10] 。また『ニューズウィーク 日本語 にほんご 版 ばん 』2007年 ねん 12月5日 にち 号 ごう では「経済 けいざい 学 がく の通説 つうせつ では、格差 かくさ の拡大 かくだい はグローバル化 か と自由 じゆう 貿易 ぼうえき の避 さ けがたい副産物 ふくさんぶつ であるとされている」と紹介 しょうかい されている。
学問 がくもん 的 てき には、経済 けいざい 学 がく における所得 しょとく や資産 しさん の再 さい 分配 ぶんぱい 研究 けんきゅう 、社会 しゃかい 学 がく における社会 しゃかい 階層 かいそう 研究 けんきゅう 、教育 きょういく 社会 しゃかい 学 がく における不平等 ふびょうどう や地位 ちい 達成 たっせい 研究 けんきゅう (進学 しんがく 実績 じっせき 、教育 きょういく 志望 しぼう 、職業 しょくぎょう 志望 しぼう 研究 けんきゅう )などの領域 りょういき に関連 かんれん する。
格差 かくさ 社会 しゃかい の影響 えいきょう として過少 かしょう 消費 しょうひ 説 せつ などをもとに、経済 けいざい 活動 かつどう の衰退 すいたい 、生活 せいかつ 水準 すいじゅん の悪化 あっか 、経済 けいざい 苦 く による多重 たじゅう 債務 さいむ 者 しゃ の増加 ぞうか 、経済 けいざい 苦 く によるホームレスの増加 ぞうか 、経済 けいざい 苦 く による自殺 じさつ 者 しゃ の増加 ぞうか などが懸念 けねん され、国民 こくみん の公平 こうへい 感 かん が減少 げんしょう することで規範 きはん 意識 いしき の低下 ていか や治安 ちあん の悪化 あっか が起 お こることも懸念 けねん される。貧困 ひんこん 層 そう ・低 てい 所得 しょとく 者 しゃ 層 そう の増加 ぞうか は、所得 しょとく と婚姻 こんいん 率 りつ に見 み られるように経済 けいざい 的 てき 要因 よういん による婚姻 こんいん の減少 げんしょう と少子化 しょうしか を引 ひ き起 お こす。少子 しょうし 化 か による労働 ろうどう 人口 じんこう 減少 げんしょう により社会 しゃかい 保障 ほしょう 制度 せいど の破綻 はたん なども懸念 けねん される。
国際 こくさい 的 てき 社会 しゃかい 疫学 えきがく 調査 ちょうさ などによると、一般 いっぱん に社会 しゃかい 的 てき 格差 かくさ が大 おお きい国 くに ほど国民 こくみん の平均 へいきん 寿命 じゅみょう は短 みじか く、その中 なか でも貧 まず しい層 そう の寿命 じゅみょう が短 みじか い。これは先進 せんしん 国 こく より、貧 まず しくとも平等 びょうどう な国 くに における平均 へいきん 寿命 じゅみょう が長 なが いケースがあることから、絶対 ぜったい 的 てき 経済 けいざい 力 りょく ではなく、社会 しゃかい 格差 かくさ が健康 けんこう に影響 えいきょう を及 およ ぼしている可能 かのう 性 せい が指摘 してき されている[11] 。
スタンフォード監獄 かんごく 実験 じっけん は、人為 じんい 的 てき に作 つく られた格差 かくさ によって看守 かんしゅ 役 やく は日々 ひび より残虐 ざんぎゃく になり、囚人 しゅうじん は虐待 ぎゃくたい により精神 せいしん を病 や むか死亡 しぼう することを証明 しょうめい した。すなわち平等 びょうどう な社会 しゃかい においてのみ、社会 しゃかい の健全 けんぜん 性 せい ・安全 あんぜん ・道徳 どうとく および世界 せかい 平和 へいわ は維持 いじ され、人々 ひとびと は幸福 こうふく に生 い きることが証明 しょうめい された。
貧困 ひんこん の悪循環 あくじゅんかん [ 編集 へんしゅう ]
大阪大学 おおさかだいがく 社会 しゃかい 経済 けいざい 研究所 けんきゅうじょ 教授 きょうじゅ 大竹 おおたけ 文雄 ふみお の『賃金 ちんぎん 格差 かくさ 拡大 かくだい に耐 た えられる社会 しゃかい に』の中 なか では、次 つぎ のように著述 ちょじゅつ されている[要 よう 出典 しゅってん ] 。
ニューヨーク大学 だいがく のフリン
氏 し は、
一時 いちじ 点 てん の
賃金 ちんぎん 格差 かくさ は
米国 べいこく の
方 ほう が
イタリア よりもはるかに
大 おお きいにもかかわらず、
生涯 しょうがい 賃金 ちんぎん の
格差 かくさ は
両国 りょうこく でほぼ
同 おな じであることを
示 しめ している。
転職 てんしょく が
比較的 ひかくてき 容易 ようい な
米国 べいこく においては、
現在 げんざい の
賃金 ちんぎん 水準 すいじゅん が
低 ひく くても、
転職 てんしょく によってよりよい
条件 じょうけん の
仕事 しごと に
将来 しょうらい 就 つ く
可能 かのう 性 せい があり、
生涯 しょうがい 賃金 ちんぎん でみると
賃金 ちんぎん 格差 かくさ は、
一時 いちじ 点 てん での
賃金 ちんぎん 格差 かくさ に
比 くら べると
小 ちい さくなる。これに
対 たい し、
転職 てんしょく が
困難 こんなん だったり、
将来 しょうらい の
賃金 ちんぎん 上昇 じょうしょう の
可能 かのう 性 せい が
小 ちい さい
社会 しゃかい においては、
現在 げんざい の
賃金 ちんぎん 格差 かくさ が
永続 えいぞく 的 てき に
続 つづ くことになるため、
現在 げんざい の
賃金 ちんぎん 格差 かくさ はそのまま
生涯 しょうがい 賃金 ちんぎん の
格差 かくさ となってしまうのである。
— 大竹 おおたけ 文雄 ふみお 『賃金 ちんぎん 格差 かくさ 拡大 かくだい に耐 た えられる社会 しゃかい に』[要 よう ページ番号 ばんごう ] 貧困 ひんこん は、物質 ぶっしつ 的 てき な面 めん だけでなく、精神 せいしん 的 てき にも負担 ふたん の大 おお きい悪 あく のスパイラルに陥 おちい っている。専門 せんもん 家 か は、貧困 ひんこん 層 そう の子 こ どもたちは、核 かく となる自尊心 じそんしん が低 ひく く、その結果 けっか 、自分 じぶん の能力 のうりょく を信 しん じることができず、チームで仕事 しごと をすると不利 ふり になると考 かんが えてチームに参加 さんか したがらず、それが中高年 ちゅうこうねん になったときに他 た の人 ひと より貧 まず しくなる傾向 けいこう があると分析 ぶんせき している[12] 。
1960年代 ねんだい 以降 いこう のアメリカ では「貧困 ひんこん の文化 ぶんか 」(Culture of poverty )という概念 がいねん が提示 ていじ され、格差 かくさ の再 さい 生産 せいさん ・固定 こてい 化 か に強 つよ く関与 かんよ していると言 い われている。この概念 がいねん は人類 じんるい 学者 がくしゃ オスカー・ルイス の著書 ちょしょ 『貧困 ひんこん の文化 ぶんか -メキシコの“五 いつ つの家族 かぞく ”』からその名 な を取 と る。「貧困 ひんこん の文化 ぶんか 」とは、貧困 ひんこん 者 しゃ が貧困 ひんこん 生活 せいかつ を次 つぎ の世代 せだい に受 う け継 つ ぐような生活 せいかつ 習慣 しゅうかん や世界 せかい 観 かん を伝承 でんしょう しているサブカルチャーであり、このサイクルを打破 だは することが格差 かくさ 社会 しゃかい を解決 かいけつ するために不可欠 ふかけつ だ、という考 かんが え方 かた である。民主党 みんしゅとう のモニハン (英語 えいご 版 ばん ) 上院 じょういん 議員 ぎいん のレポートなどに採用 さいよう され、アメリカの対 たい 貧困 ひんこん 政策 せいさく に影響 えいきょう を与 あた えている。
しかし貧困 ひんこん の文化 ぶんか の概念 がいねん には、人類 じんるい 学者 がくしゃ や社会 しゃかい 学者 がくしゃ などから数 すう 多 おお くの批判 ひはん がなされており[13] 、しかも現実 げんじつ のデータと合 あ っていないという指摘 してき もある[14] 。またこの概念 がいねん は本来 ほんらい 発展 はってん 途上 とじょう 国 こく を対象 たいしょう としたものである[13] という制約 せいやく がある。
格差 かくさ 是正 ぜせい のため「教育 きょういく の拡充 かくじゅう 」「技術 ぎじゅつ 革新 かくしん により賃金 ちんぎん の低下 ていか を余儀 よぎ なくされた低 てい 技能 ぎのう 労働 ろうどう 者 しゃ の再 さい 訓練 くんれん 」を提言 ていげん する意見 いけん もある[10] 。
国際 こくさい 通貨 つうか 基金 ききん (IMF) の報告 ほうこく 書 しょ 『World Economic Outlook Oct.2007』(世界 せかい 経済 けいざい 概要 がいよう 、2007年 ねん 10月 がつ 版 ばん )では、格差 かくさ 是正 ぜせい の手段 しゅだん として、職業 しょくぎょう 教育 きょういく ・訓練 くんれん 機会 きかい の増加 ぞうか を挙 あ げており、これらによって高 こう 技能 ぎのう 者 しゃ を増 ふ やし、所得 しょとく 水準 すいじゅん の底上 そこあ げ、格差 かくさ の縮小 しゅくしょう を目指 めざ すとしている[10] 。
過去 かこ の格差 かくさ 社会 しゃかい [ 編集 へんしゅう ]
日本 にっぽん
1962年 ねん 以降 いこう の再 さい 分配 ぶんぱい 前 まえ (当初 とうしょ 所得 しょとく )と再 さい 分配 ぶんぱい 後 ご (再 さい 分配 ぶんぱい 所得 しょとく )のジニ係数 けいすう 推移 すいい 。所得 しょとく 再 さい 分配 ぶんぱい 調査 ちょうさ による
現代 げんだい 日本 にっぽん の社会 しゃかい で「格差 かくさ 」を言 い う場合 ばあい 、主 おも に経済 けいざい 的 てき 要素 ようそ 、それも税制 ぜいせい や社会 しゃかい 保障 ほしょう による再 さい 分配 ぶんぱい 前 まえ の所得 しょとく 格差 かくさ を指 さ していることが多 おお い。ここでは経済 けいざい 的 てき 要素 ようそ に関 かん する格差 かくさ 社会 しゃかい および格差 かくさ 拡大 かくだい について詳説 しょうせつ する。
かつて高度 こうど 経済 けいざい 成長 せいちょう 期 き からその後 ご の安定 あんてい 成長 せいちょう 期 き までは「一 いち 億 おく 総 そう 中流 ちゅうりゅう 」と言 い われ、所得 しょとく 面 めん での格差 かくさ 社会 しゃかい が問題 もんだい とされることは多 おお くはなかった。ただし、経済 けいざい 学者 がくしゃ の橘 たちばな 木 き 俊 しゅん 詔 みことのり は1998年 ねん の自著 じちょ で、諸 しょ 外国 がいこく と比較 ひかく して1980年代 ねんだい の日本 にっぽん の収入 しゅうにゅう 格差 かくさ は大 おお きかったと指摘 してき している[15] 。
厚生 こうせい 労働省 ろうどうしょう は、バブル 期 き には、主 おも に株価 かぶか や地価 ちか の上昇 じょうしょう (資産 しさん インフレ )を背景 はいけい として「持 も てる者 もの 」と「持 も たざる者 もの 」との資産 しさん 面 めん での格差 かくさ が拡大 かくだい し、勤労 きんろう という個人 こじん の努力 どりょく とは無関係 むかんけい に格差 かくさ が拡大 かくだい したとして当時 とうじ は問題 もんだい 視 し していたが、その後 ご のバブル崩壊 ほうかい による資産 しさん デフレ の進行 しんこう とともに、資産 しさん 面 めん での格差 かくさ は縮小 しゅくしょう したとしている[16] 。
1997年 ねん (平成 へいせい 9年 ねん )のアジア金融 きんゆう 危機 きき を契機 けいき として始 はじ まった正社員 せいしゃいん 削減 さくげん 、サービス業 ぎょう 製造 せいぞう 業 ぎょう における現業 げんぎょう 員 いん の非 ひ 正規 せいき 雇用 こよう への切 き り替 か えにより、就職 しゅうしょく 難 なん (就職 しゅうしょく 氷河期 ひょうがき )に喘 あえ ぐ若年 じゃくねん 層 そう の中 なか から登場 とうじょう した、安定 あんてい した職 しょく に就 つ けないフリーター や、真面目 まじめ に働 はたら きながら貧困 ひんこん に喘 あえ ぐワーキングプア といった存在 そんざい が注目 ちゅうもく されるようになったこと、ジニ係数 けいすう の拡大 かくだい や、ヒルズ族 ぞく などセレブ ブームに見 み られる富裕 ふゆう 層 そう の豪奢 ごうしゃ な生活 せいかつ 振 ぶ りが盛 さか んに報道 ほうどう されるようになった事 こと 等 とう を契機 けいき として、日本 にっぽん における格差 かくさ 社会 しゃかい ・格差 かくさ 拡大 かくだい が主張 しゅちょう されるようになった[要 よう 出典 しゅってん ] 。また同時 どうじ に盛 さか んに報 ほう じられるようになった言葉 ことば に「ニート 」がある。
1997年 ねん から2007年 ねん の間 あいだ に、企業 きぎょう の経常 けいじょう 利益 りえき は28兆 ちょう 円 えん から53兆 ちょう 円 えん に増加 ぞうか したが、従業 じゅうぎょう 員 いん 給与 きゅうよ は147兆 ちょう 円 えん から125兆 ちょう 円 えん に減少 げんしょう している[17] 。
日本 にっぽん では20世紀 せいき 初頭 しょとう に欧州 おうしゅう と同 どう 程度 ていど の高水準 こうすいじゅん の格差 かくさ が存在 そんざい し、一握 ひとにぎ りの富裕 ふゆう 層 そう が国民 こくみん 所得 しょとく の大 だい 部分 ぶぶん を独占 どくせん していた[18] 。その後 ご 二 ふた つの世界 せかい 大戦 たいせん を経 へ て、エリートの富 とみ の大 だい 部分 ぶぶん が破壊 はかい されてしまったため、格差 かくさ は急速 きゅうそく に縮小 しゅくしょう した[18] 。
高度 こうど 成長 せいちょう から低 てい 成長 せいちょう への変化 へんか 、工業 こうぎょう 製品 せいひん の大量 たいりょう 生産 せいさん ・大量 たいりょう 消費 しょうひ のオールドエコノミー から情報 じょうほう やサービスを重視 じゅうし するニューエコノミー への変換 へんかん 、IT化 か 、グローバル化 か により、企業 きぎょう の求 もと める社員 しゃいん 像 ぞう は、「多数 たすう の熟練 じゅくれん 社員 しゃいん (多数 たすう の学生 がくせい を採用 さいよう し、OJT によって育 そだ て上 あ げ、熟練 じゅくれん 職員 しょくいん にしていく)」から、「少数 しょうすう の創造 そうぞう 的 てき な社員 しゃいん と、多数 たすう の単純 たんじゅん 労働 ろうどう 社員 しゃいん 」とに変化 へんか していった。
1995年 ねん 、日本 にっぽん 経営 けいえい 者 しゃ 団体 だんたい 連盟 れんめい (当時 とうじ 、現在 げんざい の日本 にっぽん 経済 けいざい 団体 だんたい 連合 れんごう 会 かい )は『新 しん 時代 じだい の日本 にっぽん 的 てき 経営 けいえい 』中 ちゅう で「労働 ろうどう 者 しゃ を長期 ちょうき 蓄積 ちくせき 能力 のうりょく 型 がた (経営 けいえい に関与 かんよ する幹部 かんぶ )、高度 こうど 専門 せんもん 能力 のうりょく 活用 かつよう 型 がた (開発 かいはつ 業務 ぎょうむ に就 つ くエキスパート)、雇用 こよう 柔軟 じゅうなん 型 がた (製造 せいぞう 部門 ぶもん などに携 たずさ わるその他 た 大勢 おおぜい )の3グループに階層 かいそう 化 か すべきである」との提言 ていげん を行 おこな っている。
この流 なが れは、バブル崩壊 ほうかい による長期 ちょうき 不況 ふきょう 及 およ び、1997年 ねん の山一證券 やまいちしょうけん の破綻 はたん に端 はし を発 はっ した金融 きんゆう 不安 ふあん に対応 たいおう する社会 しゃかい 経済 けいざい の構造 こうぞう 改革 かいかく などによって加速 かそく した[19] 。年功序列 ねんこうじょれつ 制度 せいど の廃止 はいし 、正社員 せいしゃいん のベアゼロ などの給与 きゅうよ 抑制 よくせい や採用 さいよう 抑制 よくせい 、人員 じんいん 削減 さくげん が行 おこな われ、パートタイマー・アルバイトや契約 けいやく 社員 しゃいん [注 ちゅう 1] などの賃金 ちんぎん が安 やす い非 ひ 正規 せいき 雇用 こよう 者 もの が増加 ぞうか した。全 ぜん 雇用 こよう 者 しゃ に占 し める非 ひ 正規 せいき 雇用 こよう 者 しゃ の割合 わりあい は、1980年代 ねんだい から増加 ぞうか 傾向 けいこう で推移 すいい しており、2013年 ねん には全 ぜん 雇用 こよう 者 しゃ の36.7%を占 し めている[20] 。
また日本 にっぽん では学歴 がくれき だけではなく、企業 きぎょう の規模 きぼ によって格差 かくさ が生 しょう じている面 めん がある[21] [22] [23] 。欧米 おうべい は給与 きゅうよ 体系 たいけい が産業 さんぎょう 横断 おうだん 的 てき な職務 しょくむ 給 きゅう であるため、企業 きぎょう 規模 きぼ による格差 かくさ は少 すく ない。
2000年代 ねんだい に格差 かくさ 社会 しゃかい がテーマとして取 と り上 あ げられた頃 ころ には、一定 いってい の景気 けいき 回復 かいふく を前提 ぜんてい とした上 うえ で、企業 きぎょう 利益 りえき ・賃金 ちんぎん の増加 ぞうか のアンバランスないしは、その陰 かげ で進行 しんこう している不具合 ふぐあい という視点 してん が取 と られることが多 おお かった。[要 よう 出典 しゅってん ]
小泉 こいずみ 政権 せいけん 以前 いぜん から存在 そんざい していた以上 いじょう の格差 かくさ が存在 そんざい するようになったのか、格差 かくさ が拡大 かくだい しているのか、については論争 ろんそう がある(例 たと えば、小泉 こいずみ 内閣 ないかく (2001年 ねん -2006年 ねん )において、正規 せいき 雇用 こよう が190万 まん 人 にん 減 へ り、非 ひ 正規 せいき 雇用 こよう は330万 まん 人 にん 増 ふ えた[20] 。そのため、小泉 こいずみ 内閣 ないかく によって非 ひ 正規 せいき 雇用 こよう 者 しゃ の増加 ぞうか が進 すす んだと言 い われる事 こと があるが、統計 とうけい では小泉 こいずみ 内閣 ないかく 以前 いぜん から増加 ぞうか している)。総務 そうむ 省 しょう の全国 ぜんこく 消費 しょうひ 実態 じったい 調査 ちょうさ によると近年 きんねん 、所得 しょとく 格差 かくさ の拡大 かくだい 傾向 けいこう が見 み られる。世帯 せたい 主 ぬし の年齢 ねんれい 別 べつ では50代 だい 以下 いか の世帯 せたい で格差 かくさ が拡大 かくだい している一方 いっぽう 、60代 だい 以上 いじょう の世帯 せたい では、格差 かくさ が縮小 しゅくしょう している。
厚生 こうせい 労働省 ろうどうしょう の2010年 ねん (平成 へいせい 22年 ねん )版 ばん 『労働 ろうどう 経済 けいざい 白書 はくしょ 』[要 よう ページ番号 ばんごう ] では「大 だい 企業 きぎょう では利益 りえき を株式 かぶしき 配当 はいとう に振 ふ り向 む ける傾向 けいこう が強 つよ まり、人件 じんけん 費 ひ 抑制 よくせい 的 てき な賃金 ちんぎん ・処遇 しょぐう 制度 せいど 改革 かいかく が強 つよ められてきた側面 そくめん もある。こうした中 なか で、正規 せいき 雇用 こよう 者 しゃ の絞 しぼ り込 こ みなどを伴 ともな う雇用 こよう 形態 けいたい の変化 へんか や業績 ぎょうせき ・成果 せいか 主義 しゅぎ 的 てき な賃金 ちんぎん ・処遇 しょぐう 制度 せいど が広 ひろ がり、賃金 ちんぎん ・所得 しょとく の格差 かくさ 拡大 かくだい 傾向 けいこう が進 すす んできた」と指摘 してき している。
2014年 ねん 時点 じてん で、日本 にっぽん の富裕 ふゆう 層 そう の上位 じょうい 10%が、日本 にっぽん 全体 ぜんたい の富 とみ の41%を占 し めているという調査 ちょうさ がある。これはOECD 加盟 かめい 国 こく の中 なか で、スロバキア に次 つ いで格差 かくさ が少 すく ない値 ね である。一方 いっぽう 、所得 しょとく の独占 どくせん については、富裕 ふゆう 層 そう の上位 じょうい 10%が、全体 ぜんたい の所得 しょとく の24%を占 し めている[24] 。
日本 にっぽん の指標 しひょう ・統計 とうけい [ 編集 へんしゅう ]
格差 かくさ の実態 じったい を調査 ちょうさ するため、様々 さまざま な主体 しゅたい によって様々 さまざま な調査 ちょうさ が行 おこな われている。
日本 にっぽん の貧困 ひんこん ・格差 かくさ の指標 しひょう
貧困 ひんこん ・格差 かくさ の実態 じったい を総合 そうごう 的 てき ・継続 けいぞく 的 てき に把握 はあく するための指標 しひょう (厚生 こうせい 労働省 ろうどうしょう )[25]
指標 しひょう
1
相対 そうたい 的 てき 貧困 ひんこん 率 りつ
所得 しょとく 中央 ちゅうおう 値 ち の50%(貧困 ひんこん 線 せん )以下 いか の者 もの の割合 わりあい
2
就業 しゅうぎょう 世帯 せたい の相対 そうたい 的 てき 貧困 ひんこん
就業 しゅうぎょう 世帯 せたい に属 ぞく する者 もの のうち所得 しょとく が貧困 ひんこん 線 せん 以下 いか の者 もの の割合 わりあい
3
時期 じき を固定 こてい した相対 そうたい 的 てき 貧困 ひんこん
過去 かこ の貧困 ひんこん 線 せん をもとに算出 さんしゅつ した相対 そうたい 的 てき 貧困 ひんこん 率 りつ
4
貧困 ひんこん ギャップ
「貧困 ひんこん 線 せん 以下 いか の所得 しょとく 中央 ちゅうおう 値 ち 」÷「貧困 ひんこん 線 せん 」
5
所得 しょとく 分配 ぶんぱい 率 りつ
「所得 しょとく 5分 ふん 位階 いかい 級 きゅう の最 さい 上層 じょうそう の合計 ごうけい 所得 しょとく 」÷「最下 さいか 層 そう の合計 ごうけい 所得 しょとく 」
6
高齢 こうれい 者 しゃ 所得 しょとく の相対 そうたい 的 てき 中央 ちゅうおう 値 ち
「65歳 さい 以上 いじょう の所得 しょとく 中央 ちゅうおう 値 ち 」÷「65歳 さい 未満 みまん の所得 しょとく 中央 ちゅうおう 値 ち 」
7
年金 ねんきん 受給 じゅきゅう 額 がく の所得 しょとく 代替 だいたい 率 りつ
年金 ねんきん 受給 じゅきゅう 額 がく の現役 げんえき 世代 せだい の勤労 きんろう 収入 しゅうにゅう に対 たい する割合 わりあい
8
労働 ろうどう 力 りょく 率 りつ
15歳 さい から64歳 さい の就業 しゅうぎょう 者 しゃ と求職 きゅうしょく 者 しゃ の割合 わりあい
9
中高年 ちゅうこうねん の就業 しゅうぎょう 率 りつ
55歳 さい から64歳 さい の就業 しゅうぎょう 者 しゃ の割合 わりあい
10
若年 じゃくねん 人口 じんこう に占 し める若年 じゃくねん 無業者 むぎょうしゃ の割合 わりあい
15歳 さい から34歳 さい の就業 しゅうぎょう も求職 きゅうしょく も家事 かじ も通学 つうがく もしていない者 もの の割合 わりあい
11
就業 しゅうぎょう 者 しゃ のいない世帯 せたい に属 ぞく する者 もの の割合 わりあい
0歳 さい から59歳 さい の者 もの で、就業 しゅうぎょう 者 しゃ のいない世帯 せたい に属 ぞく する者 もの の割合 わりあい
12
地域 ちいき の就業 しゅうぎょう 率 りつ のばらつき
都道府県 とどうふけん ごとの就業 しゅうぎょう 率 りつ の標準 ひょうじゅん 偏 へん
13
健康 けんこう 寿命 じゅみょう
男女 だんじょ 別 べつ
14
医療 いりょう のアクセス
受診 じゅしん 時 じ の待 ま ち時間 じかん
15
一人 ひとり あたり総 そう 医療 いりょう 支出 ししゅつ
国際 こくさい 比較 ひかく を可能 かのう にする観点 かんてん からEUの「社会 しゃかい 的 てき 保護 ほご と社会 しゃかい 的 てき 包摂 ほうせつ に関 かん する指標 しひょう 」を参考 さんこう にして開発 かいはつ 。
1 - 7:「所得 しょとく 」からのアプローチ
8 - 12:「就業 しゅうぎょう 」からのアプローチ
13 - 15:「生活 せいかつ の質 しつ 」からのアプローチ
日本 にっぽん の貧困 ひんこん 率 りつ の推移 すいい
日本 にっぽん の貧困 ひんこん 率 りつ の推移 すいい [26] [27]
年度 ねんど
相対 そうたい 的 てき 貧困 ひんこん 率 りつ [注 ちゅう 2]
子 こ どもの貧困 ひんこん 率 りつ
子 こ どもがいる現役 げんえき 世帯 せたい
名目 めいもく 値 ち (万 まん 円 えん )
実 じつ 数値 すうち (昭和 しょうわ 60年 ねん 基準 きじゅん )
大人 おとな が一人 ひとり
大人 おとな が二 に 人 にん 以上 いじょう
中央 ちゅうおう 値 ち (a)
貧困 ひんこん 線 せん (a/2)
中央 ちゅうおう 値 ち (b)
貧困 ひんこん 線 せん (b/2)
1985
12.0
10.9
10.3
54.5
9.6
216
108
216
108
1988
13.2
12.9
11.9
51.4
11.1
227
114
226
113
1991
13.5
12.8
11.7
50.1
10.8
270
135
246
123
1994
13.7
12.1
11.2
53.2
10.2
289
144
255
128
1997
14.6
13.4
12.2
63.1
10.8
297
149
259
130
2000
15.3
14.5
13.1
58.2
11.5
274
137
240
120
2003
14.9
13.7
12.5
58.7
10.5
260
130
233
117
2006
15.7
14.2
12.2
54.3
10.2
254
127
228
114
2009
16.0
15.7
14.6
50.8
12.7
250
125
224
112
2012
16.1
16.3
15.1
54.6
12.4
244
122
221
111
2015
15.7
13.9
12.9
50.8
10.7
244
122
2018
15.4
13.5
12.6
48.1
10.7
253
127
2018 (新 しん 基準 きじゅん )
15.7
14
13.1
48.3
11.2
248
124
2021 (新 しん 基準 きじゅん )
15.4
11.5
10.6
44.5
8.6
254
127
所得 しょとく 金額 きんがく 階級 かいきゅう 別 べつ にみた世帯 せたい 数 すう の分布 ぶんぷ 及 およ び平均 へいきん 所得 しょとく 金額 きんがく
所得 しょとく 金額 きんがく 階級 かいきゅう 別 べつ にみた世帯 せたい 数 すう の分布 ぶんぷ 及 およ び平均 へいきん 所得 しょとく 金額 きんがく (2022年 ねん )[28]
所得 しょとく 金額 きんがく 階級 かいきゅう
全 ぜん 世帯 せたい
高齢 こうれい 者 しゃ 世帯 せたい
児童 じどう のいる世帯 せたい
母子 ぼし 世帯 せたい
累積 るいせき 度数 どすう 分布 ぶんぷ
相対 そうたい 度数 どすう 分布 ぶんぷ
累積 るいせき 度数 どすう 分布 ぶんぷ
相対 そうたい 度数 どすう 分布 ぶんぷ
累積 るいせき 度数 どすう 分布 ぶんぷ
相対 そうたい 度数 どすう 分布 ぶんぷ
累積 るいせき 度数 どすう 分布 ぶんぷ
相対 そうたい 度数 どすう 分布 ぶんぷ
総数 そうすう
・
100
・
100
・
100
・
100
50万 まん 円 えん 未満 みまん
1.2
1.2
1.6
1.6
0.1
0.1
・
・
50~100万 まん 円 えん 未満 みまん
6.7
5.5
11.6
10
1.2
1.1
3.3
3.3
100~150万 まん 円 えん 未満 みまん
13.1
6.4
23.1
11.6
2.9
1.7
11.8
8.5
150~200万 まん 円 えん 未満 みまん
19.7
6.6
35.4
12.3
4.6
1.7
25.2
13.4
200~250万 まん 円 えん 未満 みまん
27.4
7.7
48.7
13.4
6.9
2.3
40.5
15.3
250~300万 まん 円 えん 未満 みまん
34.3
6.9
59.9
11.2
9.2
2.3
50.6
10.1
300~350万 まん 円 えん 未満 みまん
41.4
7.1
70.2
10.3
12.4
3.2
63.7
13.1
350~400万 まん 円 えん 未満 みまん
47.0
5.5
77.0
6.8
15.9
3.5
73.9
10.2
400~450万 まん 円 えん 未満 みまん
52.6
5.6
82.6
5.6
20.4
4.6
83.7
9.8
450~500万 まん 円 えん 未満 みまん
57.3
4.7
86.2
3.6
25.2
4.6
85.9
2.2
500~550万 まん 円 えん 未満 みまん
61.9
4.6
89.1
2.9
31.1
6
88.5
2.6
550~600万 まん 円 えん 未満 みまん
65.7
3.8
91.1
2
36.6
5.5
89.6
1.1
600~650万 まん 円 えん 未満 みまん
69.6
3.9
93.0
1.9
42.8
6.2
93.7
4.1
650~700万 まん 円 えん 未満 みまん
72.9
3.3
94.3
1.3
48.5
5.7
97.9
4.2
700~750万 まん 円 えん 未満 みまん
76.1
3.2
95.1
0.8
54.2
5.7
98.3
0.4
750~800万 まん 円 えん 未満 みまん
79.1
3
96.0
1
59.8
5.5
・
・
800~850万 まん 円 えん 未満 みまん
81.8
2.7
96.6
0.5
64.6
4.9
・
・
850~900万 まん 円 えん 未満 みまん
84.0
2.2
97.1
0.5
68.7
4.1
・
・
900~950万 まん 円 えん 未満 みまん
86.0
2
97.3
0.2
73.0
4.3
・
・
950~1000万 まん 円 えん 未満 みまん
87.6
1.6
97.7
0.4
76.1
3.1
・
・
1000万 まん 円 えん ~1100万 まん 円 えん 未満 みまん
90.7
3.1
98.0
0.3
82.8
6.7
・
・
1100万 まん 円 えん ~1200万 まん 円 えん 未満 みまん
92.8
2.1
98.4
0.4
87.2
4.4
-
-
1200万 まん 円 えん ~1500万 まん 円 えん 未満 みまん
96.5
3.7
99.0
0.6
94.3
7.1
100.0
1.7
1500万 まん 円 えん ~2000万 まん 円 えん 未満 みまん
98.6
2.1
99.4
0.4
97.9
3.7
-
-
2000万 まん 円 えん 以上 いじょう
100.0
1.4
100.0
0.5
100.0
2.1
-
-
全 ぜん 世帯 せたい
高齢 こうれい 者 しゃ 世帯 せたい
児童 じどう のいる世帯 せたい
母子 ぼし 世帯 せたい
平均 へいきん 所得 しょとく 金額 きんがく 以下 いか の割合 わりあい (%)
61.6
64.1
58.5
59.3
1世帯 せたい 当 あ たり平均 へいきん 所得 しょとく 金額 きんがく (万 まん 円 えん )
545.7
318.3
785.0
328.2
世帯 せたい 人員 じんいん 1人 にん 当 あ たり平均 へいきん 所得 しょとく 金額 きんがく (万 まん 円 えん )
235.0
206.1
194.8
123.7
中央 ちゅうおう 値 ち (万 まん 円 えん )
423
253
710
297
注 ちゅう [29]
高齢 こうれい 者 しゃ 世帯 せたい とは、65歳 さい 以上 いじょう の者 もの のみで構成 こうせい するか、又 また はこれに18歳 さい 未満 みまん の未婚 みこん の者 もの が加 くわ わった世帯 せたい をいう。
児童 じどう とは、18歳 さい 未満 みまん の未婚 みこん の者 もの をいう。
母子 ぼし 世帯 せたい とは、死別 しべつ ・離別 りべつ ・その他 た の理由 りゆう (未婚 みこん の場合 ばあい を含 ふく む。)で、現 げん に配偶 はいぐう 者 しゃ のいない65歳 さい 未満 みまん の女 おんな (配偶 はいぐう 者 しゃ が長期間 ちょうきかん 生死 せいし 不明 ふめい の場合 ばあい を含 ふく む。)と20歳 さい 未満 みまん のその子 こ (養子 ようし を含 ふく む。)のみで構成 こうせい している世帯 せたい をいう。
日本 にっぽん の資産 しさん 格差 かくさ ・所得 しょとく 格差 かくさ の推移 すいい
日本 にっぽん の資産 しさん 格差 かくさ ・所得 しょとく 格差 かくさ の推移 すいい [30]
年 とし
土地 とち 資産 しさん 格差 かくさ
貯蓄 ちょちく 動向 どうこう 調査 ちょうさ
家計調査 かけいちょうさ
国民 こくみん 生活 せいかつ 基礎 きそ 調査 ちょうさ
金融 きんゆう 資産 しさん 格差 かくさ
所得 しょとく 格差 かくさ
可 か 処分 しょぶん 所得 しょとく 格差 かくさ
所得 しょとく 格差 かくさ
所得 しょとく 格差 かくさ
1978
‐‐
‐‐
0.2796
0.1752
‐‐
‐‐
1979
‐‐
0.5331
0.2825
0.1662
0.2717
‐‐
1980
0.5992
0.5203
0.2728
0.1677
0.2729
‐‐
1981
‐‐
0.5138
0.2760
0.1719
0.2722
‐‐
1982
‐‐
0.5215
0.2737
0.1697
0.2774
‐‐
1983
‐‐
0.5124
0.2789
0.1698
0.2750
‐‐
1984
‐‐
0.5101
0.2862
0.1700
0.2725
‐‐
1985
0.5639
0.5097
0.2922
0.1779
0.2848
‐‐
1986
‐‐
0.5107
0.2951
0.1758
0.2910
‐‐
1987
0.6531
0.5210
0.2988
0.1798
0.2862
‐‐
1988
0.6475
0.5128
0.2952
0.1787
0.2812
‐‐
1989
0.6510
0.5146
0.3040
0.1794
0.2869
‐‐
1990
0.6313
0.5092
0.3053
0.1742
0.2914
‐‐
1991
0.6245
0.5064
0.3053
0.1798
0.2963
‐‐
1992
0.6098
0.5015
0.3086
0.1716
0.2921
0.3771
1993
0.6091
0.4939
0.3027
0.1691
0.2924
‐‐
1994
0.6041
0.4938
0.3044
0.1741
0.2928
0.3918
1995
0.6177
0.4862
0.3113
0.1712
0.2955
‐‐
1996
--
0.4836
0.3145
0.1763
0.2965
‐‐
1997
0.5803
0.4903
0.3058
0.1788
0.2974
0.3954
1998
0.5624
0.4707
0.3088
0.1793
0.2913
‐‐
1999
0.5756
0.4834
0.3195
0.1772
0.3010
‐‐
2000
0.5601
0.4839
0.3128
0.1800
0.2972
0.3997
2001
0.56347
‐‐
‐‐
0.1831
0.2946
0.3965
2002
0.56281
‐‐
‐‐
0.1831
0.2946
0.3986
2003
0.58916
‐‐
‐‐
0.1828
0.2841
0.3882
2004
0.57959
‐‐
‐‐
0.1826
0.2830
0.3999
2005
0.59139
‐‐
‐‐
0.1905
0.2819
--
日本 にっぽん の格差 かくさ の是正 ぜせい [ 編集 へんしゅう ]
経済 けいざい 協力 きょうりょく 開発 かいはつ 機構 きこう (OECD)は2008年 ねん に「日本 にっぽん は若者 わかもの が安定 あんてい した仕事 しごと につけるよう、もっとやれることがある」と題 だい した報告 ほうこく 書 しょ の中 なか で、「正規 まさき ・非 ひ 正規 せいき 間 あいだ の保護 ほご のギャップを埋 う めて、賃金 ちんぎん や手当 てあて の格差 かくさ を是正 ぜせい せよ。すなわち、有期 ゆうき 、パート、派遣 はけん 労働 ろうどう 者 しゃ の雇用 こよう 保護 ほご と社会 しゃかい 保障 ほしょう 適用 てきよう を強化 きょうか するとともに、正規 せいき 雇用 こよう の雇用 こよう 保護 ほご を緩和 かんわ せよ 」と勧告 かんこく を行 おこな っている[31] 。企業 きぎょう 規模 きぼ や雇用 こよう 形態 けいたい (フルタイム 、パートタイム 、派遣 はけん など)に関 かか わらず、同 どう 一 いち 職務 しょくむ には同等 どうとう の賃金 ちんぎん を支払 しはら う、同 どう 一 いち 労働 ろうどう 同 どう 一 いち 賃金 ちんぎん の原則 げんそく がEU 各国 かっこく で導入 どうにゅう されている。
社会 しゃかい 政策 せいさく の観点 かんてん からは、富 とみ の再 さい 分配 ぶんぱい の仕組 しく みとして、社会 しゃかい 保険 ほけん や直接 ちょくせつ 税 ぜい 等 ひとし による富 とみ の再 さい 分配 ぶんぱい を通 とお して格差 かくさ を是正 ぜせい することが考 かんが えられる。厚生 こうせい 労働省 ろうどうしょう の所得 しょとく 再 さい 分配 ぶんぱい 調査 ちょうさ で見 み ると、再 さい 分配 ぶんぱい 前 まえ の当初 とうしょ 所得 しょとく は1996年 ねん の0.441(ジニ係数 けいすう )から2005年 ねん の0.526へと拡大 かくだい の一途 いっと をたどっているが、再 さい 分配 ぶんぱい 後 ご の所得 しょとく で見 み るとわずかな拡大 かくだい にとどまる(0.361→0.387)。この背景 はいけい としては直接 ちょくせつ 税 ぜい による改善 かいぜん 度 ど が低下 ていか する反面 はんめん 、社会 しゃかい 保障 ほしょう による改善 かいぜん 度 ど が上昇 じょうしょう していることがあげられる。全体 ぜんたい 的 てき には、ほとんどが社会 しゃかい 保障 ほしょう による改善 かいぜん となっている。
1989年 ねん に本格 ほんかく 的 てき な間接 かんせつ 税 ぜい である消費 しょうひ 税 ぜい が導入 どうにゅう され、相続 そうぞく 税 ぜい は2003年度 ねんど 税率 ぜいりつ 改定 かいてい などで軽減 けいげん されている。消費 しょうひ 税 ぜい などの間接 かんせつ 税 ぜい は逆 ぎゃく 累進 るいしん 的 てき な性質 せいしつ の税制 ぜいせい である。また、相続 そうぞく 税 ぜい の軽減 けいげん は本人 ほんにん の努力 どりょく なしで手 て に入 い れた財産 ざいさん を保護 ほご するもので、格差 かくさ の固定 こてい 化 か ・助長 じょちょう につながるという批判 ひはん がある [要 よう 出典 しゅってん ] 。なお、低 てい 所得 しょとく 者 しゃ にはほとんどメリットがないと言 い われていた所得 しょとく 税 ぜい と個人 こじん 住民 じゅうみん 税 ぜい の定率 ていりつ 減税 げんぜい (1999年 ねん より実施 じっし )は、2005年度 ねんど から段階 だんかい 的 てき に廃止 はいし されている。
自治体 じちたい 間 あいだ の収入 しゅうにゅう 格差 かくさ に対 たい しては、消費 しょうひ 税 ぜい の地方 ちほう への配分 はいぶん 引 ひ き上 あ げが検討 けんとう されている[32] 。
教育 きょういく 格差 かくさ ・地域 ちいき 格差 かくさ [ 編集 へんしゅう ]
首都 しゅと 圏 けん の大卒 だいそつ 率 りつ (自治体 じちたい 別 べつ )
関西 かんさい 圏 けん の大卒 だいそつ 率 りつ (自治体 じちたい 別 べつ )
企業 きぎょう の求 もと める社員 しゃいん の像 ぞう 、規模 きぼ が変化 へんか したことにより、企業 きぎょう に人材 じんざい を送 おく り出 だ す、学校 がっこう を取 と り巻 ま く状況 じょうきょう も変化 へんか した。企業 きぎょう が多数 たすう の正社員 せいしゃいん を必要 ひつよう としなくなったため、良 よ い大学 だいがく を出 で ても、良 よ い企業 きぎょう に採用 さいよう してもらえるとは限 かぎ らなくなった。また、各 かく 個人 こじん の価値 かち 観 かん も多様 たよう なものとなり、学生 がくせい の方 ほう でも、必 かなら ずしも一流 いちりゅう 大 だい 企業 きぎょう と言 い われる企業 きぎょう を望 のぞ まなくなった。これにより、「良 よ い大学 だいがく を出 で て、良 よ い企業 きぎょう に入 はい る」というシステムがうまく働 はたら かなくなった。また、受験 じゅけん 競争 きょうそう の過熱 かねつ もあって、塾 じゅく や予備校 よびこう などが普及 ふきゅう し、小 しょう ・中 なか ・高校 こうこう における公立 こうりつ 学校 がっこう の地位 ちい は国立 こくりつ 学校 がっこう ・私立 しりつ 学校 がっこう に比 くら べて低下 ていか しており、一般 いっぱん に一流 いちりゅう と言 い われるような難易 なんい 度 ど や社会 しゃかい 的 てき 評価 ひょうか の高 たか い大学 だいがく に進学 しんがく するには、義務 ぎむ 教育 きょういく や公立 こうりつ 校 こう によってなされる授業 じゅぎょう のみでは難 むずか しくなっており、保護 ほご 者 しゃ にある程度 ていど の資力 しりょく がないと教育 きょういく に要 よう するコストを十分 じゅうぶん 負担 ふたん することが出来 でき なくなっている。
また地域 ちいき による教育 きょういく 格差 かくさ もあるため、地方 ちほう 創 そう 生 せい 会議 かいぎ では、大学 だいがく の東京 とうきょう 一 いち 極 きょく 集中 しゅうちゅう が問題 もんだい 視 し されている[33] 。
地方 ちほう により産業 さんぎょう 構造 こうぞう や人口 じんこう 分布 ぶんぷ が異 こと なっているため、財政 ざいせい 状況 じょうきょう にも差 さ がある。このため従来 じゅうらい から公共 こうきょう 事業 じぎょう や補助 ほじょ 金 きん 、地方 ちほう 交付 こうふ 税 ぜい 交付 こうふ 金 きん などによって再 さい 配分 はいぶん が行 おこな われてきた[34] 。しかし近年 きんねん 、公共 こうきょう 事業 じぎょう や補助 ほじょ 金 きん は世論 せろん の求 もと めや財政 ざいせい 赤字 あかじ の拡大 かくだい の中 なか で削減 さくげん されており、これまで国 くに が地方 ちほう へ回 まわ していた予算 よさん や地方 ちほう 交付 こうふ 税 ぜい が大幅 おおはば に減 へ らされたため、積 つ み重 かさ ねられた地方 ちほう 債 さい などの借金 しゃっきん の負担 ふたん と相 あい まって、財政 ざいせい 状況 じょうきょう が苦 くる しくなる地方自治体 ちほうじちたい が相次 あいつ いでいる。
森永 もりなが 卓郎 たくろう は「首都 しゅと 圏 けん ・中京 ちゅうきょう 圏 けん といった都会 とかい と、北海道 ほっかいどう ・東北 とうほく ・九州 きゅうしゅう などの地方 ちほう では、平均 へいきん 給料 きゅうりょう ・失業 しつぎょう 率 りつ ・人口 じんこう 増加 ぞうか 率 りつ などほとんどの分野 ぶんや で差 さ が出 で ている」と指摘 してき している[35] 。
地域 ちいき 格差 かくさ については、エコノミストの藻 も 谷 たに 浩 ひろし 介 かい が「東京 とうきょう はにぎわっているが、地方 ちほう は停滞 ていたい している」「名古屋 なごや は、日本 にっぽん で一番 いちばん 栄 さか えている」」などと、実態 じったい と乖離 かいり したイメージで語 かた られることが非常 ひじょう に多 おお いと指摘 してき している[36] 。
一方 いっぽう で、地域 ちいき 格差 かくさ の拡大 かくだい そのものに対 たい して否定 ひてい 的 てき な意見 いけん もある。「日経 にっけい ビジネスオンライン」2007年 ねん 8月 がつ 7日 にち 号 ごう の記事 きじ によれば、県民 けんみん 経済 けいざい 計算 けいさん を使用 しよう してジニ係数 けいすう を作成 さくせい すると、県民 けんみん 所得 しょとく は1990年 ねん (平成 へいせい 2年 ねん )から2004年 ねん (平成 へいせい 16年 ねん )にかけてジニ係数 けいすう は縮小 しゅくしょう しており、地域 ちいき 間 あいだ 格差 かくさ の縮小 しゅくしょう を示 しめ している。県内 けんない 総 そう 生産 せいさん でも1990年 ねん から2004年 ねん にかけてジニ係数 けいすう は縮小 しゅくしょう しており、地域 ちいき 間 あいだ 格差 かくさ の縮小 しゅくしょう を示 しめ している[37] 。この記事 きじ でも、格差 かくさ について実態 じったい を把握 はあく せずイメージで語 かた られがちなことが述 の べられている[37] 。また、教育 きょういく 格差 かくさ により社会 しゃかい の階層 かいそう 化 か が進 すす むという指摘 してき もあるが、日本 にっぽん は高卒 こうそつ と大卒 だいそつ の生涯 しょうがい 賃金 ちんぎん の差 さ は先進 せんしん 国 こく でも非常 ひじょう に低 ひく い部類 ぶるい に入 はい る。
山田 やまだ 昌弘 まさひろ は、
「勉強 べんきょう をして良 よ い大学 だいがく に入 はい れば、良 よ い企業 きぎょう に入 い れるといった社会 しゃかい の仕組 しく み(パイプラインシステム )が、社会 しゃかい がリスク社会 しゃかい になることによって十分 じゅうぶん に機能 きのう しなくなった。一方 いっぽう で、パイプラインシステムは機能 きのう 停止 ていし はしていないので、勉強 べんきょう すれば報 むく われると思 おも っている人 ひと は、勉強 べんきょう をすることによって良 よ い企業 きぎょう に行 い く傾向 けいこう にある一方 いっぽう で、勉強 べんきょう しても効果 こうか はないと思 おも っている人 ひと は、勉強 べんきょう をせず就職 しゅうしょく もうまくいかなくなる傾向 けいこう にある」
と指摘 してき している[38] 。
これに関連 かんれん して、内田 うちだ 樹 いつき は、
「上流 じょうりゅう 階層 かいそう は努力 どりょく が報 むく われると信 しん じており、下流 かりゅう 階層 かいそう は努力 どりょく をしても意味 いみ はないと信 しん じている。 (下流 かりゅう 「勉強 べんきょう をしても良 よ い企業 きぎょう に入 い れるとは限 かぎ らない。だから勉強 べんきょう をする必要 ひつよう はない」と、上流 じょうりゅう 「そもそも勉強 べんきょう をしなければ良 よ い企業 きぎょう には入 い れない。だから勉強 べんきょう をする」の違 ちが い)子供 こども は自分 じぶん が所属 しょぞく する階層 かいそう の価値 かち 観 かん に従 したが うため、上流 じょうりゅう 階層 かいそう の子供 こども は勉強 べんきょう をする一方 いっぽう で、下流 かりゅう 階層 かいそう の子供 こども はむしろ勉強 べんきょう を否定 ひてい することに価値 かち を見 み いだす。こうして階層 かいそう 化 か は加速度 かそくど 的 てき に進行 しんこう した」
と述 の べている[39] 。
一流 いちりゅう 大学 だいがく への進学 しんがく は私立 しりつ の名門 めいもん 中高 なかだか 一貫 いっかん 校 こう が有利 ゆうり だが、学費 がくひ が高額 こうがく であり入学 にゅうがく 試験 しけん に合格 ごうかく するための学習 がくしゅう 塾 じゅく の学費 がくひ も無視 むし できない金額 きんがく である。これに対 たい し、公立 こうりつ 校 こう の中 なか にも中高 なかだか 一貫 いっかん 校 こう があり学費 がくひ は安 やす いが、藤田 ふじた 英典 ひでのり は「小学生 しょうがくせい が自主 じしゅ 的 てき に遠 とお くの公立 こうりつ 中高 なかだか 一貫 いっかん 校 こう を選 えら ぶことはありえず、親 おや の関心 かんしん ・選択 せんたく が優先 ゆうせん することとなり、公立 こうりつ 中高 なかだか 一貫 いっかん 校 こう は教育 きょういく 熱心 ねっしん な恵 めぐ まれた家庭 かてい の生徒 せいと ばかりになる」と指摘 してき している[40] 。また、国立 こくりつ 学校 がっこう については、学費 がくひ は公立 こうりつ と同様 どうよう に安 やす いが、入学 にゅうがく 者 しゃ の選抜 せんばつ には学力 がくりょく 試験 しけん があるため、その入試 にゅうし に向 む けて教育 きょういく 熱心 ねっしん であり、学習 がくしゅう 塾 じゅく 等 とう の費用 ひよう をまかなえる経済 けいざい 力 りょく のある家庭 かてい の優秀 ゆうしゅう な子弟 してい が集 あつ まる傾向 けいこう にあり、特 とく に都市 とし 部 ぶ においては私立 しりつ 名門 めいもん 校 こう と同 おな じようにエリート校 こう 化 か している。
日本 にっぽん の格差 かくさ 社会 しゃかい に関 かん する議論 ぎろん [ 編集 へんしゅう ]
内閣 ないかく 府 ふ の太田 おおた 清 きよし は、若年 じゃくねん 層 そう の所得 しょとく 格差 かくさ の原因 げんいん として非 ひ 正規 せいき 雇用 こよう 者 しゃ の構成 こうせい 比 ひ の高 たか まりを挙 あ げており、1997年 ねん 以降 いこう の景気 けいき 低迷 ていめい に加 くわ え、雇用 こよう の流動 りゅうどう 化 か などの構造 こうぞう 的 てき 要因 よういん が寄与 きよ した可能 かのう 性 せい を指摘 してき している。太田 おおた は論文 ろんぶん 「フリーターの増加 ぞうか と労働 ろうどう 所得 しょとく 格差 かくさ の拡大 かくだい 」(2005年 ねん )で、1997-2002年 ねん にすべての年齢 ねんれい 層 そう でジニ係数 けいすう が大 おお きくなっているが、特 とく に20代 だい と30代 だい の若年 じゃくねん 層 そう で所得 しょとく 格差 かくさ の拡大 かくだい が見 み られることを明 あき らかにしている。また太田 おおた は、2003年 ねん 以降 いこう は若年 じゃくねん 層 そう の所得 しょとく 格差 かくさ の拡大 かくだい が止 と まっていることを指摘 してき している[43] 。
三菱 みつびし 総合 そうごう 研究所 けんきゅうじょ 政策 せいさく ・経済 けいざい 研究 けんきゅう センターは「日本 にっぽん でジニ係数 けいすう が上昇 じょうしょう している大 おお きな要因 よういん は高齢 こうれい 化 か の進行 しんこう にある。一般 いっぱん に若年 じゃくねん 世代 せだい の収入 しゅうにゅう 格差 かくさ は小 ちい さく、年齢 ねんれい を重 かさ ねるにつれ格差 かくさ が広 ひろ がっていく。人口 じんこう 全体 ぜんたい の高齢 こうれい 化 か が進 すす めば格差 かくさ も拡大 かくだい していく」と指摘 してき している[44] 。
経済 けいざい 学者 がくしゃ の伊藤 いとう 修 おさむ は「ジニ係数 けいすう などの数字 すうじ による格差 かくさ の大 おお きさが同義 どうぎ 的 てき に問題 もんだい なのではなく、必要 ひつよう 最低限 さいていげん の生活 せいかつ ができていない貧困 ひんこん 層 そう が実在 じつざい している実態 じったい こそが問題 もんだい なのである」と指摘 してき している[45] 。
経済 けいざい 学者 がくしゃ の飯田 いいだ 泰之 やすゆき は「1990年代 ねんだい 末 まつ 、不 ふ 況 きょう が深刻 しんこく 化 か する第 だい 一 いち 段階 だんかい では、新卒 しんそつ 求人 きゅうじん の縮小 しゅくしょう という形 かたち で人員 じんいん の絞込 しぼりこ みが行 おこな われ、格差 かくさ の問題 もんだい を生 う んだ。雇用 こよう ・格差 かくさ の問題 もんだい を考 かんが える際 さい には、マクロ経済 けいざい の悪化 あっか ・デフレーション の影響 えいきょう に注目 ちゅうもく する必要 ひつよう がある」と指摘 してき している。飯田 いいだ は日本 にっぽん で貧富 ひんぷ の差 さ が広 ひろ がった理由 りゆう について「富裕 ふゆう 層 そう に減税 げんぜい して貧困 ひんこん 層 そう に増税 ぞうぜい したからである」と指摘 してき している。飯田 いいだ は「日本 にっぽん の再 さい 配分 はいぶん 政策 せいさく は、貧者 ひんじゃ から金 かね を取 と って富者 ふしゃ に与 あた えているという側面 そくめん がある。日本 にっぽん の再 さい 配分 はいぶん の仕組 しく みは、都市 とし 部 ぶ の20-50代 だい から税金 ぜいきん を集 あつ め、60歳 さい 以上 いじょう を養 やしな う仕組 しく みとなっている。20-30代 だい は貧 まず しい状態 じょうたい にある」と指摘 してき している[48] 。飯田 いいだ は「20代 だい の貧困 ひんこん 率 りつ は、税金 ぜいきん を取 と る前 まえ よりもそれを再 さい 配分 はいぶん した後 のち のほうが高 たか いというデータもあり、やらないほうがましとなっている。一方 いっぽう で高齢 こうれい 者 しゃ 間 あいだ への再 さい 配分 はいぶん はうまくいっている」と指摘 してき している。
経済 けいざい 学者 がくしゃ の原田 はらだ 泰 やすし 、大和総研 だいわそうけん は「日本 にっぽん で格差 かくさ が拡大 かくだい している原因 げんいん は、低 てい 賃金 ちんぎん のサービス労働 ろうどう の拡大 かくだい にある」と指摘 してき している[50] 。原田 はらだ 泰 やすし は「若年 じゃくねん 失業 しつぎょう 率 りつ は2002年 ねん にピークに下降 かこう したが、2002年 ねん を境 さかい に突然 とつぜん 、若者 わかもの の社会 しゃかい 適応 てきおう 能力 のうりょく が上昇 じょうしょう したり、実業 じつぎょう 無視 むし の教育 きょういく が改善 かいぜん したり、若者 わかもの の自分 じぶん 探 さが し思考 しこう が変化 へんか したということはありえない」と指摘 してき している。原田 はらだ は「1990年代 ねんだい の前半 ぜんはん まで日本 にっぽん では若者 わかもの の格差 かくさ がなかったのに、1990年代 ねんだい 末 まつ 以降 いこう 若者 わかもの の格差 かくさ が拡大 かくだい するようになったのは、正社員 せいしゃいん になれた若者 わかもの とフリーターのままの若者 わかもの の所得 しょとく 格差 かくさ が大 おお きかったからである。正社員 せいしゃいん 同士 どうし の格差 かくさ より、正社員 せいしゃいん とフリーターの格差 かくさ の方 ほう が大 おお きいため、正社員 せいしゃいん になれない若者 わかもの の比率 ひりつ が高 たか まれば、所得 しょとく 格差 かくさ は拡大 かくだい する。若者 わかもの が正社員 せいしゃいん とフリーターに分化 ぶんか した最 もっと も大 おお きな理由 りゆう は、1980年代 ねんだい は景気 けいき が良 よ くて1990年代 ねんだい 以降 いこう は景気 けいき が悪 わる かったからである。景気 けいき が良 よ ければより高 たか い比率 ひりつ で若者 わかもの が正社員 せいしゃいん になれるが、景気 けいき が悪 わる ければより低 ひく い比率 ひりつ の若者 わかもの しか正社員 せいしゃいん になれなくなり、若年 じゃくねん 失業 しつぎょう 者 しゃ も増 ふ える」と指摘 してき している[52] 。原田 はらだ は「格差 かくさ 拡大 かくだい は高齢 こうれい 化 か に伴 ともな う現象 げんしょう であり、高齢 こうれい 化 か の影響 えいきょう を調整 ちょうせい してみると、格差 かくさ は広 ひろ がっていないというのが多 おお くの経済 けいざい 学者 がくしゃ の分析 ぶんせき 結果 けっか である。1990年代 ねんだい 後半 こうはん 以降 いこう 、若年 じゃくねん 層 そう の所得 しょとく 格差 かくさ が拡大 かくだい したのは、正社員 せいしゃいん になれた若者 わかもの とフリーターの若者 わかもの の所得 しょとく 格差 かくさ が大 おお きかったからである。正社員 せいしゃいん 同士 どうし の格差 かくさ より、正社員 せいしゃいん ・フリーターの格差 かくさ の方 ほう が大 おお きいため、正社員 せいしゃいん になれない若者 わかもの の比率 ひりつ が高 たか まれば、所得 しょとく 格差 かくさ は拡大 かくだい する。そうなった最 もっと も大 おお きな理由 りゆう は、1990年代 ねんだい は景気 けいき が悪 わる かったからである」と指摘 してき している[53] 。原田 はらだ 泰 やすし は「経済 けいざい 成長 せいちょう への貢献 こうけん と所得 しょとく は比例 ひれい しない場合 ばあい が多 おお い。ただし、既存 きそん の富 とみ は不 ふ 公正 こうせい であるため、略奪 りゃくだつ するべきだとする考 かんが えは、社会 しゃかい を災厄 さいやく に巻 ま き込 こ む」と指摘 してき している。原田 はらだ は「明治 めいじ の日本人 にっぽんじん は、富 とみ は自 みずか ら創造 そうぞう するものと認識 にんしき していた一方 いっぽう で、昭和 しょうわ 初期 しょき の日本人 にっぽんじん は富 とみ は略奪 りゃくだつ だと認識 にんしき した。こういった認識 にんしき が戦争 せんそう を招 まね いた。また、戦前 せんぜん の昭和 しょうわ でも石橋 いしばし 湛山 たんざん のように、富 とみ を略奪 りゃくだつ とする認識 にんしき を否定 ひてい した日本人 にっぽんじん もいた。戦後 せんご の繁栄 はんえい ・平和 へいわ ・自由 じゆう は、戦前 せんぜん 昭和 しょうわ を否定 ひてい し富 とみ は創造 そうぞう できると認識 にんしき したことから始 はじ まったことを忘 わす れてはならない」と指摘 してき している。原田 はらだ は「日本 にっぽん の社会 しゃかい 保障 ほしょう 政策 せいさく には、格差 かくさ を縮小 しゅくしょう していないという問題 もんだい がある。日本 にっぽん の社会 しゃかい 保障 ほしょう 政策 せいさく は、貧困 ひんこん 層 そう に重 おも い負担 ふたん と低 ひく い給付 きゅうふ 、非 ひ 貧困 ひんこん 層 そう に軽 かる い負担 ふたん と手厚 てあつ い給付 きゅうふ を行 おこな っている。これは、貧 まず しくない高齢 こうれい 層 そう に、多額 たがく の年金 ねんきん が給付 きゅうふ されているからである」と指摘 してき している[56] 。原田 はらだ 泰 やすし は「ただ高 こう 所得 しょとく 者 しゃ 層 そう に増税 ぞうぜい するよりも、低 てい 所得 しょとく 者 しゃ 層 そう に対 たい し子供 こども を塾 じゅく に通 かよ わせるための補助 ほじょ 金 きん を配 くば るなどの政策 せいさく を実行 じっこう するほうが、日本 にっぽん では有効 ゆうこう な格差 かくさ 対策 たいさく になる」と指摘 してき している[57] 。原田 はらだ 泰 やすし は、格差 かくさ 縮小 しゅくしょう には経済 けいざい 成長 せいちょう を続 つづ けることが重要 じゅうよう であると提言 ていげん している[58] 。原田 はらだ は「デフレ 脱却 だっきゃく は、日本 にっぽん では格差 かくさ 拡大 かくだい の対策 たいさく になる」と指摘 してき している[57] 。原田 はらだ 泰 やすし 、大和総研 だいわそうけん は「必要 ひつよう なのは、セーフティーネットを拡充 かくじゅう することで、無理 むり やり格差 かくさ を是正 ぜせい することではない 」と指摘 してき している[59] 。
経済 けいざい 学者 がくしゃ の野口 のぐち 旭 あさひ 、田中 たなか 秀臣 ひでおみ は「日本 にっぽん 的 てき 雇用 こよう システムが維持 いじ できなくなった原因 げんいん は、非 ひ 効率 こうりつ 性 せい ではなくデフレによる実質 じっしつ 賃金 ちんぎん の上昇 じょうしょう である」と指摘 してき している[60] 。
経済 けいざい 学者 がくしゃ の田中 たなか 秀臣 ひでおみ は「戦後 せんご の『終身 しゅうしん 雇用 こよう 』は、景気 けいき がよかったために出現 しゅつげん した『長期 ちょうき 雇用 こよう 関係 かんけい 』に過 す ぎない。景気 けいき 次第 しだい で『終身 しゅうしん 雇用 こよう 』は容易 ようい にご破算 はさん になる可能 かのう 性 せい があったにもかかわらず、多 おお くの労働 ろうどう 者 しゃ はその幻想 げんそう を社会 しゃかい 通念 つうねん と信 しん じていた。つまり、会社 かいしゃ 組織 そしき のあり方 かた よりも、景気 けいき 動向 どうこう などのマクロ経済 けいざい 要因 よういん の方 ほう が影響 えいきょう が大 おお きかった」と指摘 してき している。田中 たなか 秀臣 ひでおみ は「中小 ちゅうしょう 企業 きぎょう では、戦後 せんご 一貫 いっかん して雇用 こよう の流動 りゅうどう 性 せい は高 たか かった」「中小 ちゅうしょう 企業 きぎょう の労働 ろうどう 者 しゃ の七 なな 割 わり は、定年 ていねん までに数 すう 回 かい の転職 てんしょく を行 おこな っている」と指摘 してき している。田中 たなか 秀臣 ひでおみ は「不 ふ 況 きょう が悪化 あっか すると、安 やす い採用 さいよう コスト・賃金 ちんぎん で労働 ろうどう 者 しゃ を調達 ちょうたつ できる。結果 けっか 、非 ひ 正規 せいき 雇用 こよう が増 ふ える」と指摘 してき している[64] 。田中 たなか は「不 ふ 況 きょう は、同 どう 世代 せだい で正規 せいき 雇用 こよう 者 しゃ と非 ひ 正規 せいき 雇用 こよう 者 しゃ との間 あいだ に経済 けいざい 格差 かくさ をもたらし、同時 どうじ にバブル期 き までの売 う り手 て 市場 いちば で就職 しゅうしょく した世代 せだい とそれ以降 いこう の世代 せだい の間 あいだ に世代 せだい 間 あいだ の経済 けいざい 格差 かくさ をもたらしている」と指摘 してき している[65] 。田中 たなか 秀臣 ひでおみ は「経済 けいざい 格差 かくさ は、不 ふ 況 きょう を原因 げんいん とした新卒 しんそつ 市場 いちば での就職 しゅうしょく 難 なん 、中高年 ちゅうこうねん のリストラ に起因 きいん している」「『格差 かくさ 社会 しゃかい 』は、1990年代 ねんだい からの長期 ちょうき 的 てき な停滞 ていたい がもたした雇用 こよう の悪化 あっか に基 もと づいている。若 わか い世代 せだい で非 ひ 正規 せいき の職 しょく に従事 じゅうじ している人 ひと たち増加 ぞうか したことで所得 しょとく 格差 かくさ が拡大 かくだい していることでもある」と指摘 してき している。田中 たなか は「『格差 かくさ 社会 しゃかい 』は、長期 ちょうき にわたる大 だい 停滞 ていたい の産物 さんぶつ であり、構造 こうぞう 的 てき な問題 もんだい というよりも、不 ふ 況 きょう の長期 ちょうき 化 か がもたらしたものである。『格差 かくさ 社会 しゃかい 』は、短期 たんき 的 てき な問題 もんだい であるはずの景気 けいき 循環 じゅんかん 的 てき 問題 もんだい であり、政府 せいふ の政策 せいさく の失敗 しっぱい によって長期 ちょうき 化 か したことが問題 もんだい の真相 しんそう である」と指摘 してき している。田中 たなか 秀臣 ひでおみ は「若年 じゃくねん 層 そう の所得 しょとく 格差 かくさ の拡大 かくだい には、フリーターの増加 ぞうか が大 おお きく関係 かんけい しており、景気 けいき 回復 かいふく が最 もっと も効果 こうか 的 てき である」と指摘 してき している。田中 たなか は「若年 じゃくねん 層 そう の世代 せだい 間 あいだ 格差 かくさ は1997年 ねん 以降 いこう に拡大 かくだい していったが、2003年 ねん 以降 いこう 景気 けいき 回復 かいふく によって若年 じゃくねん 層 そう の所得 しょとく 低下 ていか は歯止 はど めがかかっている」と指摘 してき している。田中 たなか は、フリーターの数 かず は2002年 ねん は208万 まん 人 にん であったが、2007年 ねん には181万 まん 人 にん までに低下 ていか していると述 の べている。
経済 けいざい 学者 がくしゃ の竹中 たけなか 平蔵 へいぞう は「戦前 せんぜん の日本 にっぽん は強国 きょうこく の中 なか でも最 もっと も所得 しょとく 格差 かくさ が大 おお きい国 くに の一 ひと つであった。日本 にっぽん の平等 びょうどう な社会 しゃかい は、高度 こうど 成長 せいちょう 時代 じだい のごく限 かぎ られた期間 きかん に実現 じつげん した特殊 とくしゅ な現象 げんしょう である。日本 にっぽん はもともと文化 ぶんか 的 てき ・社会 しゃかい 的 てき に極端 きょくたん に平等 びょうどう な国 くに ではなかった」と主張 しゅちょう している。竹中 たけなか は「日本 にっぽん の所得 しょとく 不平等 ふびょうどう は、1980年代 ねんだい から1990年代 ねんだい に入 はい って一気 いっき に高 たか まったという事実 じじつ は重要 じゅうよう である」と指摘 してき している。竹中 たけなか は「1920年代 ねんだい に、日本 にっぽん 型 がた 雇用 こよう 慣行 かんこう の基礎 きそ ができあがった。それ以前 いぜん の日本 にっぽん は、従業 じゅうぎょう 員 いん の定着 ていちゃく 率 りつ が極 きわ めて低 ひく く、従業 じゅうぎょう 員 いん の企業 きぎょう に対 たい する忠誠 ちゅうせい 心 しん も低 ひく かったと考 かんが えられている。1920年代 ねんだい に生 う まれ広 ひろ がった終身 しゅうしん 雇用 こよう と定期 ていき 昇給 しょうきゅう は、戦後 せんご に定着 ていちゃく し、労働 ろうどう 生産 せいさん 性 せい が長期 ちょうき 安定 あんてい 的 てき に改善 かいぜん に向 む かうための重要 じゅうよう な基盤 きばん がつくられた。日本 にっぽん 型 がた 雇用 こよう 慣行 かんこう は歴史 れきし は浅 あさ いものであり、決 けっ して日本 にっぽん 固有 こゆう の文化 ぶんか に根 ね ざしたものではなかった」と指摘 してき している。竹中 たけなか 平蔵 へいぞう は「格差 かくさ そのものがダメなのではなく、格差 かくさ が固定 こてい されることがダメなのである。格差 かくさ が固定 こてい されている社会 しゃかい は、非常 ひじょう に閉塞 へいそく 感 かん がある。日本 にっぽん の社会 しゃかい は、意外 いがい に格差 かくさ が固定 こてい されている。親 おや の所得 しょとく 格差 かくさ によって、金持 かねも ちが再 さい 生産 せいさん されるシステムが日本 にっぽん にはある。所得 しょとく 格差 かくさ があっても、自分 じぶん も高 こう 所得 しょとく 者 しゃ になれるというチャンスがある社会 しゃかい は、夢 ゆめ のある社会 しゃかい であり、悪 わる い社会 しゃかい ではない」と指摘 してき している。竹中 たけなか は「重要 じゅうよう なのは、競争 きょうそう を否定 ひてい することではなく、誰 だれ もが平等 びょうどう に競争 きょうそう に向 む かっていける環境 かんきょう を整 ととの えることである」と指摘 してき している。竹中 たけなか は「本来 ほんらい 重要 じゅうよう なのは、生涯 しょうがい 所得 しょとく の比較 ひかく である」と指摘 してき している。
池田 いけだ 信夫 しのぶ は「派遣 はけん 労働 ろうどう の規制 きせい 緩和 かんわ が格差 かくさ の原因 げんいん である」という議論 ぎろん について、「原因 げんいん と結果 けっか を取 と り違 ちが えており、派遣 はけん 労働 ろうどう 者 しゃ は非 ひ 正規 せいき 雇用 こよう の8%に過 す ぎない」と指摘 してき している(2009年 ねん 時点 じてん )。池田 いけだ 信夫 しのぶ は「格差 かくさ 拡大 かくだい の原因 げんいん は、市場 いちば 原理 げんり 主義 しゅぎ ・構造 こうぞう 改革 かいかく ではなく、バブル崩壊 ほうかい 後 ご の長期 ちょうき 不況 ふきょう である」と指摘 してき している。池田 いけだ は「格差 かくさ の原因 げんいん は『新 しん 自由 じゆう 主義 しゅぎ 』ではなく、1990年代 ねんだい に終身 しゅうしん 雇用 こよう が維持 いじ できなくなった状況 じょうきょう で、中高年 ちゅうこうねん 社員 しゃいん を守 まも るために若年 じゃくねん 層 そう を犠牲 ぎせい にした結果 けっか なのである」と指摘 してき している。池田 いけだ は、雇用 こよう 規制 きせい の緩和 かんわ を主張 しゅちょう し「労働 ろうどう 市場 いちば が柔軟 じゅうなん になれば、新卒 しんそつ で就職 しゅうしょく できなかった人 ひと が一生 いっしょう を台無 だいな しにするような絶対 ぜったい 的 てき な格差 かくさ がなくなる。問題 もんだい は結果 けっか の平等 びょうどう ではなく機会 きかい の平等 びょうどう である」と指摘 してき している。池田 いけだ は「格差 かくさ を単 たん なる所得 しょとく の差 さ と考 かんが える限 かぎ り、解決 かいけつ は簡単 かんたん であり、高 こう 所得 しょとく 者 しゃ に課税 かぜい し低 てい 所得 しょとく 者 しゃ に分配 ぶんぱい すればよい。ただし増税 ぞうぜい について国民 こくみん の合意 ごうい を得 え ることは困難 こんなん である」と指摘 してき している。
経済 けいざい 学者 がくしゃ の伊藤 いとう 元重 もとしげ は「戦後 せんご の日本 にっぽん のすべての企業 きぎょう が終身 しゅうしん 雇用 こよう ・年功 ねんこう 賃金 ちんぎん ・企業 きぎょう 別 べつ 労働 ろうどう 組合 くみあい といった慣行 かんこう を持 も っていたわけではなく、こうした慣行 かんこう とは無縁 むえん の労働 ろうどう 者 しゃ も多数 たすう 存在 そんざい した」と指摘 してき している[83] 。伊藤 いとう は「経済 けいざい が成熟 せいじゅく 化 か し、少子 しょうし 高齢 こうれい 化 か が進 すす む中 なか 、日本 にっぽん 的 てき な雇用 こよう 慣行 かんこう を維持 いじ することが困難 こんなん となっている」と指摘 してき している[83] 。
社会 しゃかい 学者 がくしゃ の山田 やまだ 昌弘 まさひろ は、格差 かくさ には、上位 じょうい 層 そう がますます良 よ くなる「上 うえ 離 ばな れ」と、下位 かい 層 そう がさらに落 お ち込 こ む「底抜 そこぬ け」(例 たと えばワーキングプア など)があるとし、このうち「底抜 そこぬ け」の増加 ぞうか が、社会 しゃかい に与 あた える不安 ふあん が大 おお きくなるとしている[19] 。「底抜 そこぬ け」層 そう は、収入 しゅうにゅう が低 ひく い、努力 どりょく が報 むく われないと思 おも う、 未来 みらい に希望 きぼう がもてない、などの特性 とくせい を持 も つため、この層 そう の増加 ぞうか は社会 しゃかい の活力 かつりょく が失 うしな われたり、犯罪 はんざい の増加 ぞうか などにより社会 しゃかい が不安定 ふあんてい 化 か するとしている[19] 。山田 やまだ は、大元 おおもと には「何 なに を格差 かくさ ととらえるか」という国民 こくみん の意識 いしき の変化 へんか があり、そして意識 いしき の変化 へんか には社会 しゃかい の変化 へんか が影響 えいきょう を与 あた えている[19] とする。また山田 やまだ は、家庭 かてい のあり方 かた が変 か わったことも指摘 してき する。大 だい 家族 かぞく で、夫 おっと が外 そと で働 はたら き、妻 つま は専業 せんぎょう 主婦 しゅふ として家事 かじ をこなすというモデルが主流 しゅりゅう であった頃 ころ は、次 つぎ のような対策 たいさく を取 と ることによって社会 しゃかい リスクを回避 かいひ し、格差 かくさ を顕在 けんざい 化 か させなかった[19] 。家庭 かてい の稼 かせ ぎ手 しゅ は夫 おっと のため、年功序列 ねんこうじょれつ 制度 せいど によって将来 しょうらい の収入 しゅうにゅう 増 ぞう の見通 みとお しを立 た てるとともに、夫 おっと が亡 な くなった場合 ばあい は遺族 いぞく 年金 ねんきん などによって収入 しゅうにゅう をカバーしていた。老化 ろうか し働 はたら けなくなった場合 ばあい は、子供 こども に養 やしな ってもらうことによって生活 せいかつ することを前提 ぜんてい としていた。だが、この家庭 かてい モデルは核 かく 家族 かぞく 化 か 、さらには離婚 りこん 増加 ぞうか によるひとり親 おや 家庭 かてい の増加 ぞうか によって崩 くず れていく。さらに「社会 しゃかい リスクを回避 かいひ するためのもの」だった家庭 かてい は、社会 しゃかい の変化 へんか によって逆 ぎゃく に「社会 しゃかい リスクを増幅 ぞうふく し、格差 かくさ を生産 せいさん するためのもの」へとその役割 やくわり を変 か えていった[19] 。ライフステージのの中 なか で、主 おも に3つの段階 だんかい で格差 かくさ が発生 はっせい する[19] 。就職 しゅうしょく は生涯 しょうがい の収入 しゅうにゅう に深 ふか く関 かか わるため失敗 しっぱい すると格差 かくさ が生 しょう じる。特 とく に日本 にっぽん のように新卒 しんそつ 一括 いっかつ 採用 さいよう に偏 かたよ っていると、再 さい チャレンジ の機会 きかい が少 すく なく格差 かくさ が固定 こてい 化 か されやすい。出産 しゅっさん ・育児 いくじ の時期 じき は労働 ろうどう 機会 きかい が減 へ るため、リスクにさらされたときに格差 かくさ が生 しょう じやすい。また老人 ろうじん になると、収入 しゅうにゅう が増 ふ える機会 きかい が激減 げきげん する一方 いっぽう で、健康 けんこう を害 がい するなどリスクが高 たか まる。さらに「子供 こども がいる・いない」「家 いえ がある・無 な い」「蓄 たくわ えがある・無 な い」といった状況 じょうきょう の違 ちが いが人 ひと によってあるため、格差 かくさ が生 しょう じやすくなる。ただし、高齢 こうれい 者 しゃ の所得 しょとく ・貯蓄 ちょちく 水準 すいじゅん は様々 さまざま であり一 いち 括 くく りにすることは現実 げんじつ 的 てき ではない[84] 。
山田 やまだ 昌弘 まさひろ や教育 きょういく 社会 しゃかい 学者 がくしゃ の苅谷 かりや 剛彦 たけひこ は、「努力 どりょく が報 むく われる社会 しゃかい 」以前 いぜん に、「格差 かくさ 社会 しゃかい においては、努力 どりょく する環境 かんきょう に格差 かくさ が生 しょう じている(親 おや の収入 しゅうにゅう ・教育 きょういく 水準 すいじゅん ・教育 きょういく に対 たい する意識 いしき 等 とう の家庭 かてい 環境 かんきょう 、子供 こども のやる気 き 等 とう )」と指摘 してき している[19] [85] 。
大竹 おおたけ 文雄 ふみお は「『男 おとこ の非 ひ 正規 せいき 』は、かつてうまく機能 きのう していた制度 せいど ・慣行 かんこう が、効率 こうりつ 性 せい ・安心 あんしん の障害 しょうがい となってしまうことがあるという実例 じつれい である」と指摘 してき している。大竹 おおたけ は「かつては非 ひ 正規 せいき 雇用 こよう 者 しゃ は雇用 こよう 調整 ちょうせい は、深刻 しんこく な貧困 ひんこん 問題 もんだい を引 ひ き起 お こさなかったが、世帯 せたい 主 ぬし ・単身 たんしん の男性 だんせい が非 ひ 正規 せいき 雇用 こよう 者 しゃ として増加 ぞうか したため、非 ひ 正規 せいき 雇用 こよう の雇用 こよう 調整 ちょうせい が貧困 ひんこん 問題 もんだい に直結 ちょっけつ するようになった。1990年 ねん 半 なか ばまで、非 ひ 正規 せいき 雇用 こよう の中心 ちゅうしん は既婚 きこん 女性 じょせい 労働 ろうどう 者 しゃ であり、家計 かけい の生計 せいけい を主 おも に担 にな う存在 そんざい ではなかった。家計 かけい 所得 しょとく の補助 ほじょ 的 てき 役割 やくわり を、非 ひ 正規 せいき 雇用 こよう 者 しゃ が担 にな っていたのである」と指摘 してき している。大竹 おおたけ は「非 ひ 正規 せいき 雇用 こよう を雇用 こよう の調整 ちょうせい 弁 べん と位置 いち づけ、その増加 ぞうか をデフレ下 か の労務 ろうむ 費 ひ 削減 さくげん ツールとすることで、正規 せいき 雇用 こよう の解雇 かいこ 規制 きせい ・賃金 ちんぎん を守 まも っていくという戦略 せんりゃく に、経団連 けいだんれん ・連合 れんごう の利害 りがい は一致 いっち した。少数 しょうすう の正規 せいき 雇用 こよう の過重 かじゅう 労働 ろうどう 、多数 たすう の非 ひ 正規 せいき 雇用 こよう の不安定 ふあんてい 化 か という二 に 極 きょく 化 か が起 お きたのは当然 とうぜん の帰結 きけつ である」と指摘 してき している。大竹 おおたけ は「『非 ひ 正規 せいき 切 ぎ り』に象徴 しょうちょう される問題 もんだい は、雇用 こよう の二 に 極 きょく 化 か という格差 かくさ が生 う み出 だ す社会 しゃかい 全体 ぜんたい の不安定 ふあんてい 化 か ・閉塞 へいそく 感 かん である。世代 せだい 間 あいだ の不公平 ふこうへい が固定 こてい 化 か されてしまうことは問題 もんだい である」と指摘 してき している。大竹 おおたけ は「日本 にっぽん が格差 かくさ 社会 しゃかい であることを否定 ひてい しない。日本 にっぽん の所得 しょとく 格差 かくさ 拡大 かくだい の要因 よういん は高齢 こうれい 化 か である。現在 げんざい の所得 しょとく だけで格差 かくさ 社会 しゃかい を議論 ぎろん してもあまり意味 いみ がなく、資産 しさん ・将来 しょうらい の所得 しょとく を含 ふく めた生涯 しょうがい 所得 しょとく の格差 かくさ こそ大事 だいじ で、その生涯 しょうがい 所得 しょとく の格差 かくさ 拡大 かくだい は既 すで に観察 かんさつ されている。現在 げんざい (2008年 ねん )が格差 かくさ 社会 しゃかい であるというのなら1970年代 ねんだい ・1980年代 ねんだい の日本 にっぽん も格差 かくさ 社会 しゃかい だったのであり、『一 いち 億 おく 総 そう 中流 ちゅうりゅう 』こそ幻想 げんそう だったということである。日本 にっぽん の所得 しょとく 格差 かくさ が低 ひく く見 み えたのは、まだ所得 しょとく に差 さ がない若者 わかもの の人口 じんこう 比率 ひりつ が高 たか かったことが原因 げんいん である」と指摘 してき している[90] 。大竹 おおたけ は「人々 ひとびと の努力 どりょく 水準 すいじゅん を把握 はあく することは、最 もっと も難 むずか しいことの一 ひと つである。人 ひと によって生 う まれもっての素質 そしつ が違 ちが うため、同 おな じ成果 せいか を得 え るために必要 ひつよう とされる努力 どりょく 水準 すいじゅん は、大 おお きく異 こと なる」と指摘 してき している。大竹 おおたけ 文雄 ふみお は、格差 かくさ の解消 かいしょう について、経済 けいざい 学 がく では「市場 いちば 競争 きょうそう によって効率 こうりつ 性 せい を高 たか め、貧困 ひんこん 問題 もんだい はセーフティーネット による所得 しょとく 再 さい 配分 はいぶん で解決 かいけつ することが望 のぞ ましい」とされている。大竹 おおたけ は「多 おお くの経済 けいざい 学者 がくしゃ は、市場 いちば 競争 きょうそう で得 え た豊 ゆた かさ・成果 せいか を分配 ぶんぱい することで格差 かくさ に対処 たいしょ すべきだと考 かんが えている」と指摘 してき している。大竹 おおたけ は、市場 いちば 競争 きょうそう で格差 かくさ が発生 はっせい した場合 ばあい 、政府 せいふ による社会 しゃかい 保障 ほしょう を通 つう じた再 さい 配分 はいぶん 政策 せいさく 、低 てい 所得 しょとく 者 しゃ に技能 ぎのう を身 み につけさせ、高 たか い所得 しょとく を得 え られるための教育 きょういく ・訓練 くんれん の拡充 かくじゅう 、の2つの対策 たいさく があるとしている。また大竹 おおたけ は「規制 きせい を強化 きょうか すると、規制 きせい の枠 わく 内 うち の人 ひと の中 なか での格差 かくさ は縮小 しゅくしょう するが、規制 きせい の枠外 わくがい の人 ひと たちとの格差 かくさ は拡大 かくだい する。規制 きせい の枠 わく 内 ない に入 い れるかどうかで、運 うん ・不運 ふうん の要素 ようそ が大 おお きくなる」と指摘 してき している。
経済 けいざい 学者 がくしゃ の土居 どい 丈 たけ 朗 ろう は「格差 かくさ 拡大 かくだい への批判 ひはん が世界 せかい 的 てき に起 お きているが、その内容 ないよう は権利 けんり ・機会 きかい の平等 びょうどう を訴 うった える者 もの と、結果 けっか の平等 びょうどう を訴 うった えている者 もの がいる。日本 にっぽん では、どちらかといえば結果 けっか の平等 びょうどう を訴 うった える者 もの が多 おお い。これは危 あや うい傾向 けいこう である」と指摘 してき している[96] 。
経済 けいざい 学者 がくしゃ の高橋 たかはし 洋一 よういち は「日本 にっぽん の格差 かくさ は、アングロサクソン の国 くに に比 くら べればそれほどではなく、高齢 こうれい 化 か で説明 せつめい できる程度 ていど である」と指摘 してき している[97] 。
経済 けいざい 学者 がくしゃ の岩田 いわた 規久男 きくお は「再 さい 配分 はいぶん 前 ぜん 所得 しょとく の格差 かくさ を拡大 かくだい させる最大 さいだい の要因 よういん は、完全 かんぜん 雇用 こよう が達成 たっせい できない低 てい 成長 せいちょう が続 つづ くことにある」と指摘 してき している。岩田 いわた は「長期 ちょうき 的 てき には、金融 きんゆう 政策 せいさく によるマクロ経済 けいざい の安定 あんてい 化 か を伴 ともな った経済 けいざい 改革 かいかく は、成長 せいちょう 率 りつ を引 ひ き上 あ げ、格差 かくさ の拡大 かくだい を抑制 よくせい できる」と指摘 してき している。
経済 けいざい 学者 がくしゃ の若田部 わかたべ 昌 あきら 澄 きよし は「格差 かくさ の是正 ぜせい をいかに行 おこな うべきか。税制 ぜいせい だけでなく、教育 きょういく ・立法 りっぽう による機会 きかい の不平等 ふびょうどう 格差 かくさ の是正 ぜせい も重要 じゅうよう である」と指摘 してき している[100] 。若田部 わかたべ は「貧困 ひんこん の原因 げんいん として自己 じこ 責任 せきにん の部分 ぶぶん があったとしても、自己 じこ 責任 せきにん を問 と えない状況 じょうきょう 下 か で自己 じこ 責任 せきにん を問 と うのは論理 ろんり 的 てき ではない」と指摘 してき している[101] 。
経済 けいざい 学者 がくしゃ の松原 まつばら 聡 さとし は「貧富 ひんぷ の差 さ が激 はげ しい社会 しゃかい では、犯罪 はんざい が発生 はっせい しやすくなる」と指摘 してき している[102] 。
経済 けいざい 学者 がくしゃ の吉川 よしかわ 洋 ひろし は「偶然 ぐうぜん に左右 さゆう される分配 ぶんぱい を放置 ほうち すれば、社会 しゃかい の安定 あんてい を大 おお きく損 そこ なう。よって『結果 けっか の平等 びょうどう 』を求 もと めるのはそれなりに合理 ごうり 性 せい がある」と指摘 してき している。
三橋 みつはし 貴明 たかあき は「資本 しほん 主義 しゅぎ である以上 いじょう 、ある程度 ていど 人々 ひとびと の間 あいだ に格差 かくさ が生 しょう じ拡大 かくだい するのは当 あ たり前 まえ である。歴史 れきし 上 じょう 、人々 ひとびと の間 あいだ に格差 かくさ が存在 そんざい しなかった時代 じだい など、一 いち 度 ど たりとも存在 そんざい しない」「実際 じっさい 問題 もんだい 、日本 にっぽん の所得 しょとく の問題 もんだい は貧困 ひんこん 率 りつ ・格差 かくさ 拡大 かくだい ではなく、名目 めいもく GDPが成長 せいちょう していないことであり、人々 ひとびと の所得 しょとく 水準 すいじゅん が上昇 じょうしょう していないことにある」と指摘 してき している。
加藤 かとう 諦 たい 三 さん は「現実 げんじつ の格差 かくさ の大 おお きさと、格差 かくさ 意識 いしき の深刻 しんこく さとは関係 かんけい ない」と主張 しゅちょう する[106] 。加藤 かとう は「勝 か ち組 ぐみ 」は日本 にっぽん 以上 いじょう に格差 かくさ の大 おお きいアメリカにもない概念 がいねん であり、現代 げんだい の日本 にっぽん 社会 しゃかい でカレン・ホルナイ の神経症 しんけいしょう 的 てき 競争 きょうそう にとらわれた人 ひと たちが不 ふ 必要 ひつよう に敵対 てきたい 意識 いしき を持 も ってしまっていることを示 しめ すものだとしている[107] 。
トマ・ピケティ は日本 にっぽん の格差 かくさ について「日本 にっぽん は1950年 ねん から1980年 ねん にかけて目覚 めざ ましい経済 けいざい 成長 せいちょう を遂 と げたが、今 いま (2014年 ねん )の成長 せいちょう 率 りつ は低 ひく く、人口 じんこう は減少 げんしょう している。成長 せいちょう 率 りつ が低 ひく い国 くに は、経済 けいざい 全体 ぜんたい のパイが拡大 かくだい しないため、相続 そうぞく で得 え た資産 しさん が大 おお きな意味 いみ を持 も つ。資産 しさん 相続 そうぞく とは縁 えん がなく、働 はたら くことで収入 しゅうにゅう を得 え て生活 せいかつ する一般 いっぱん の人 ひと たちは、賃金 ちんぎん が上 あ がりづらいことから富 とみ を手 て にすることが難 むずか しくなっている。その結果 けっか 、格差 かくさ が拡大 かくだい しやすい」と指摘 してき している[108] 。
経済 けいざい 学者 がくしゃ のゲイリー・ベッカー は「日本 にっぽん の経済 けいざい 格差 かくさ の原因 げんいん は不 ふ 況 きょう であり、景気 けいき 回復 かいふく が続 つづ けば問題 もんだい の大半 たいはん は解消 かいしょう される」と指摘 してき している。
社会 しゃかい 政治 せいじ 学者 がくしゃ のマルガリータ・エステベス・アベ は、日本 にっぽん では年功序列 ねんこうじょれつ 、終身 しゅうしん 雇用 こよう の慣行 かんこう に代表 だいひょう される正社員 せいしゃいん の雇用 こよう 保護 ほご が強 つよ く、均等 きんとう 待遇 たいぐう の実現 じつげん を難 むずか しくしていると指摘 してき している[110] 。
世界 せかい 的 てき 傾向 けいこう [ 編集 へんしゅう ]
国際 こくさい 通貨 つうか 基金 ききん の報告 ほうこく 書 しょ 『World Economic Outlook Oct.2007』では、過去 かこ 20年間 ねんかん の傾向 けいこう として、ほとんどの国 くに や地域 ちいき で所得 しょとく の国内 こくない 格差 かくさ が拡大 かくだい しているとしている[9] 。
経済 けいざい 学者 がくしゃ のトマ・ピケティ は「ヨーロッパや日本 にっぽん では今 いま (2014年 ねん )、20世紀 せいき 初頭 しょとう と同 おな じレベルにまで格差 かくさ が広 ひろ がっている。格差 かくさ のレベルは、第 だい 一 いち 次 じ 世界 せかい 大戦 たいせん より以前 いぜん の水準 すいじゅん まで逆戻 ぎゃくもど りしている」と指摘 してき している[108] 。
EU における社会 しゃかい 的 てき 保護 ほご と社会 しゃかい 的 てき 包摂 ほうせつ に関 かん する指標 しひょう
EU における社会 しゃかい 的 てき 保護 ほご と社会 しゃかい 的 てき 包摂 ほうせつ に関 かん する指標 しひょう (2008年 ねん ) [111] [112]
指標 しひょう
1a
貧困 ひんこん 率 りつ
再 さい 分配 ぶんぱい 後 ご 世帯 せたい 等価 とうか 所得 しょとく が中央 ちゅうおう 値 ち の60%以下 いか の世帯 せたい に属 ぞく する人数 にんずう の割合 わりあい
1b
貧困 ひんこん ギャップの相対 そうたい 的 てき 中央 ちゅうおう 値 ち
貧困 ひんこん 線 せん 以下 いか の所得 しょとく の者 もの の中央 ちゅうおう 値 ち と貧困 ひんこん 線 せん の差異 さい
1c
貧困 ひんこん の継続 けいぞく
過去 かこ 3年 ねん のうち少 すく なくとも2年 ねん において、世帯 せたい 等価 とうか 所得 しょとく が中央 ちゅうおう 値 ち の60%以下 いか の世帯 せたい に属 ぞく する人数 にんずう
2
所得 しょとく 分配 ぶんぱい 率 りつ
所得 しょとく 五 ご 分 ふん 位階 いかい 級 きゅう で最下 さいか 層 そう に対 たい する最 さい 上層 じょうそう の所得 しょとく の比率 ひりつ
3
健康 けんこう 寿命 じゅみょう
0歳 さい 、45歳 さい 、65歳 さい の者 もの が健康 けんこう な状態 じょうたい で生活 せいかつ することが期待 きたい される年数 ねんすう
4
低 てい 学歴 がくれき 率 りつ
18-24歳 さい の者 もの のうち、セカンドエデュケーション以下 いか で、最近 さいきん 4週間 しゅうかん 以内 いない に教育 きょういく ・訓練 くんれん をうけていない者 もの の割合 わりあい
5
1人 ひとり も就労 しゅうろう 者 しゃ のいない世帯 せたい に属 ぞく する人数 にんずう
1人 ひとり も就労 しゅうろう 者 しゃ のいない世帯 せたい に住 す む 0-59 歳 さい の割合 わりあい
6
公的 こうてき 社会 しゃかい 支出 ししゅつ の見積 みつ もり
GDP に占 し める全 ぜん 公的 こうてき 社会 しゃかい 支出 ししゅつ (年金 ねんきん 、医療 いりょう ・介護 かいご 、教育 きょういく 、失業 しつぎょう 者 しゃ )の年齢 ねんれい ごとの見積 みつ もり(現在 げんざい のレベル、見積 みつ もられる変化 へんか )
7a
高齢 こうれい 者 しゃ 所得 しょとく の相対 そうたい 的 てき 中央 ちゅうおう
65歳 さい 以上 いじょう の所得 しょとく の中央 ちゅうおう 値 ち を 65歳 さい 未満 みまん の所得 しょとく の中央 ちゅうおう 値 ち で割 わ った率 りつ
7b
総合 そうごう 代替 だいたい 率 りつ
50-59歳 さい までの個人 こじん の労働 ろうどう 収入 しゅうにゅう の中央 ちゅうおう 値 ち と比較 ひかく した年金 ねんきん 以外 いがい の公的 こうてき 扶助 ふじょ を除 のぞ いた65-74歳 さい までの個人 こじん の年金 ねんきん 収入 しゅうにゅう の中央 ちゅうおう 値 ち
8
医療 いりょう における自己 じこ 申告 しんこく の対処 たいしょ されていない必要 ひつよう 性 せい
所得 しょとく 5分 ふん 位階 いかい 級 きゅう ごとの、金銭 きんせん 的 てき 問題 もんだい 、待 ま ち時間 じかん の問題 もんだい 、距離 きょり の問題 もんだい を理由 りゆう とした、医療 いりょう における自己 じこ 申告 しんこく の対処 たいしょ されていない必要 ひつよう 性 せい 。最近 さいきん 12 カ月 かげつ の間 あいだ の一般 いっぱん 医 い や専門医 せんもんい への訪問 ほうもん 数 すう とともに分析 ぶんせき 。
9
時期 じき を固定 こてい した貧困 ひんこん リスク
インフレを調整 ちょうせい した、2004年 ねん の収入 しゅうにゅう から積算 せきさん した貧困 ひんこん 線 せん 以下 いか の収入 しゅうにゅう の者 もの の割合 わりあい
10
中高年 ちゅうこうねん の雇用 こよう 率 りつ
55-59歳 さい 及 およ び60-64歳 さい の年代 ねんだい に占 し める被用者 ひようしゃ の割合 わりあい
11
労働 ろうどう 者 しゃ の貧困 ひんこん リスク
被用者 ひようしゃ に分類 ぶんるい され、貧困 ひんこん リスクがある者 もの
12
雇用 こよう 率 りつ
15-64歳 さい までの被用者 ひようしゃ と失業 しつぎょう 者 しゃ の割合 わりあい
13
地域 ちいき 結束 けっそく 度 ど
加重 かじゅう 国家 こっか 平均 へいきん による地域 ちいき の就職 しゅうしょく 率 りつ の標準 ひょうじゅん 偏差 へんさ
14
一人 ひとり 当 あ たり総 そう 医療 いりょう 支出 ししゅつ
一人 ひとり 当 あ たり総 そう 医療 いりょう 支出 ししゅつ
アメリカ合衆国 あめりかがっしゅうこく [ 編集 へんしゅう ]
アメリカ合衆国 あめりかがっしゅうこく における1%の富裕 ふゆう 層 そう の収入 しゅうにゅう 比率 ひりつ
「アメリカンドリーム 」という言葉 ことば があるアメリカ だが、特 とく にレーガノミクス 以降 いこう 格差 かくさ の拡大 かくだい ・固定 こてい 化 か が危惧 きぐ されている[113] 。例 たと えば、ニューヨーク市 し の上位 じょうい 層 そう と下位 かい 層 そう の格差 かくさ (上 うえ 2割 わり と下 した 2割 わり の所得 しょとく の比率 ひりつ )は、40倍 ばい となっており、この中 なか には黒人 こくじん 層 そう の失業 しつぎょう 率 りつ が高 たか いなど、人種 じんしゅ 問題 もんだい も影 かげ を落 お としているとされる[113] 。2011年 ねん 10月 がつ には、「たった1パーセントの富裕 ふゆう 層 そう が残 のこ りの99パーセントを搾取 さくしゅ している」と叫 さけ ぶ人々 ひとびと による抗議 こうぎ 行動 こうどう 「ウォ うぉ ール街 るがい を占拠 せんきょ せよ 」が展開 てんかい された。
1980年代 ねんだい のアメリカで貧富 ひんぷ の格差 かくさ が拡大 かくだい したとされる統計 とうけい データ、「富裕 ふゆう 層 そう がより豊 ゆた かになり、貧困 ひんこん 層 そう はそのままであった」という見解 けんかい について、経済 けいざい 学者 がくしゃ のスティーヴン・ランズバーグ は、
1980年代 ねんだい のアメリカでは所得 しょとく 税率 ぜいりつ の大幅 おおはば な引 ひ き下 さ げが実施 じっし された。税率 ぜいりつ が下 さ がると、人 ひと は所得 しょとく 隠 かく しに熱心 ねっしん でなくなる。それだけで富裕 ふゆう 層 そう の所得 しょとく が上昇 じょうしょう したかのように見 み える。低 てい 所得 しょとく 者 しゃ 層 そう は、税率 ぜいりつ が低 ひく く賃金 ちんぎん など捕捉 ほそく されやすい収入 しゅうにゅう が主 おも な所得 しょとく 源 げん であるため、所得 しょとく の100%を申告 しんこく する。よって、低 てい 所得 しょとく 者 しゃ 層 そう の所得 しょとく に変化 へんか はない。一方 いっぽう で高 こう 所得 しょとく 者 しゃ は所得 しょとく 隠 かく しの動機 どうき ・機会 きかい も多 おお いが税率 ぜいりつ が下 さ がれば、所得 しょとく 隠 かく しをしなくなる。結果 けっか 、高 こう 所得 しょとく 者 しゃ 層 そう の所得 しょとく が増 ふ え格差 かくさ が広 ひろ がったように見 み える
家庭 かてい 崩壊 ほうかい が貧困 ひんこん の拡大 かくだい があったかのような統計 とうけい 的 てき 錯覚 さっかく を生 う んだ。家族 かぞく が離散 りさん すると中産 ちゅうさん 階級 かいきゅう 世帯 せたい が1つなくなり、そのかわり低 てい 所得 しょとく 者 しゃ 層 そう が2つ生 う まれる
年間 ねんかん 所得 しょとく の格差 かくさ は必 かなら ずしも生涯 しょうがい 所得 しょとく 格差 かくさ の拡大 かくだい を意味 いみ しない
と反論 はんろん している。
フリードリヒ・ハイエク は、自由 じゆう の伝統 でんとう を持 も つアメリカで、「社会 しゃかい 保障 ほしょう 制度 せいど 」「累進 るいしん 課税 かぜい 」など「結果 けっか の平等 びょうどう 」を目指 めざ した政策 せいさく が導入 どうにゅう された結果 けっか 、自由 じゆう への脅威 きょうい が生 う まれたと考 かんが えていた[115] 。
ノーベル経済 けいざい 学 がく 賞 しょう 受賞 じゅしょう 者 しゃ のポール・クルーグマン は、格差 かくさ の拡大 かくだい は主 おも に「市場 いちば 原理 げんり 主義 しゅぎ 」が原因 げんいん だとしている[116] 。クルーグマンによれば、「研究 けんきゅう 者 しゃ の間 あいだ では、技術 ぎじゅつ 革新 かくしん ではなくて、結局 けっきょく アメリカ政治 せいじ が右 みぎ にシフトしたことで、平等 びょうどう を促進 そくしん してきた規制 きせい や制度 せいど が損 そこ なわれ、そのことが不平等 ふびょうどう と格差 かくさ を拡大 かくだい するうえで決定的 けっていてき な役割 やくわり を果 は たしてきたと理解 りかい されるようになった」としている[117] 。また、格差 かくさ の拡大 かくだい は「グローバリゼーションが主要 しゅよう な要素 ようそ ではない」「グローバリゼーションが引 ひ き起 お こした格差 かくさ は、広 ひろ い格差 かくさ 問題 もんだい のほんの一部 いちぶ 」と指摘 してき している[116] 。
ノーベル経済 けいざい 学 がく 賞 しょう 受賞 じゅしょう 者 しゃ のジョセフ・E・スティグリッツ は「先進 せんしん 経済 けいざい 諸国 しょこく の中 なか で、アメリカは壊滅 かいめつ 的 てき なマクロ経済 けいざい の結果 けっか 、所得 しょとく と機会 きかい における格差 かくさ が最悪 さいあく である。アメリカのGDPはこの40年間 ねんかん で4倍 ばい 以上 いじょう となり、この25年間 ねんかん で倍増 ばいぞう しているが、利益 りえき はトップに集中 しゅうちゅう している。アメリカ人 じん の間 あいだ での格差 かくさ は、富裕 ふゆう 層 そう への減税 げんぜい と金融 きんゆう 機関 きかん への規制 きせい 緩和 かんわ に伴 ともな い、30年 ねん 前 まえ から拡大 かくだい しはじめた。インフラ、教育 きょういく 、健康 けんこう 保険 ほけん 制度 せいど 、さらに社会 しゃかい 的 てき セーフティーネット への投資 とうし を減 へ らすにつれ格差 かくさ は著 いちじる しくなった。拡大 かくだい する格差 かくさ は、アメリカの政治 せいじ 制度 せいど ・民主 みんしゅ 的 てき な国家 こっか 統治 とうち が蝕 むしば まれることでますます強化 きょうか されている[118] 」「先進 せんしん 工業 こうぎょう 国 こく の中 なか でアメリカがもっとも格差 かくさ がひどいのは、規制 きせい 緩和 かんわ という政策 せいさく のせいであり、規制 きせい 緩和 かんわ のせいで、不安定 ふあんてい 性 せい 、非 ひ 効率 こうりつ 性 せい 、不平等 ふびょうどう 性 せい がアメリカにもたらされた[119] 」と指摘 してき している。
政治 せいじ 学者 がくしゃ のジェイコブ・ハッカーとポール・ピアソン はその著書 ちょしょ 『Winner-Take-All Politics (勝者 しょうしゃ がすべてを得 え る政治 せいじ )』で、アメリカの不平等 ふびょうどう 拡大 かくだい は経済 けいざい 構造 こうぞう の変化 へんか でなく、政治 せいじ の変質 へんしつ によるものだと分析 ぶんせき した[120] 。
中野 なかの 剛志 たけし は、2011年 ねん 現在 げんざい のアメリカは貧富 ひんぷ の格差 かくさ が拡大 かくだい し、中間 なかま 層 そう が失 うしな われており、オバマ 政権 せいけん も中間 なかま 層 そう の再生 さいせい に失敗 しっぱい したとしており、アメリカが対外 たいがい 的 てき に稼 かせ げそうな分野 ぶんや は、農業 のうぎょう のような一 いち 次 じ 産業 さんぎょう か、金融 きんゆう ・保険 ほけん ・ソフトウェア のような三 さん 次 じ 産業 さんぎょう であるが、農業 のうぎょう は大 だい 規模 きぼ 効率 こうりつ 化 か しており、金融 きんゆう ・保険 ほけん ・ソフトウェアの分野 ぶんや で稼 かせ ぐことができるのは高学歴 こうがくれき のエリート 層 そう だけであり、雇用 こよう の拡大 かくだい や所得 しょとく 格差 かくさ の是正 ぜせい には程遠 ほどとお いとしている。さらに、格差 かくさ 是正 ぜせい には権力 けんりょく と地位 ちい を支配 しはい している富裕 ふゆう 層 そう が既得 きとく 権益 けんえき を諦 あきら めて所得 しょとく の再 さい 分配 ぶんぱい に同意 どうい する必要 ひつよう があることや、アメリカはイデオロギー 的 てき に貧富 ひんぷ の格差 かくさ には寛容 かんよう な国民 こくみん であること、自助 じじょ 努力 どりょく を求 もと める建国 けんこく 以来 いらい の精神 せいしん などが障害 しょうがい となっており、アメリカはさらなる金融 きんゆう 化 か ・帝国 ていこく 化 か を進 すす め、グローバル・インバランスをさらに拡大 かくだい させていくというプロセスに入 はい っていかざるを得 え ないとしている。
週刊 しゅうかん 東洋 とうよう 経済 けいざい は、アメリカでの格差 かくさ 拡大 かくだい の原因 げんいん として以下 いか を挙 あ げている[113] 。
フランス は、2007年 ねん 時点 じてん では経済 けいざい は好調 こうちょう なものの、雇用 こよう 格差 かくさ が大 おお きく若年 じゃくねん 層 そう や移民 いみん の失業 しつぎょう 率 りつ が高 たか いため、2005年 ねん パリ郊外 こうがい 暴動 ぼうどう 事件 じけん が起 お こるなど社会 しゃかい 問題 もんだい となっている[113] 。
フランスは労働 ろうどう 者 しゃ を手厚 てあつ く保護 ほご しているが、これが雇用 こよう 格差 かくさ を生 う み出 だ しているとされている[113] 。
解雇 かいこ の制限 せいげん による就業 しゅうぎょう 機会 きかい の減少 げんしょう - 上述 じょうじゅつ したとおり、労働 ろうどう 者 しゃ が労働 ろうどう 法 ほう によって手厚 てあつ く守 まも られているため、経営 けいえい 者 しゃ は解雇 かいこ がしづらい。解雇 かいこ が困難 こんなん なため、経営 けいえい 者 しゃ は景気 けいき 等 とう に対応 たいおう して雇用 こよう 調整 ちょうせい を行 おこな うことが簡単 かんたん にはできない。その結果 けっか 、新規 しんき 雇用 こよう のリスクが高 たか くなってしまっている[113] 。
最低 さいてい 賃金 ちんぎん の高 たか さによる就業 しゅうぎょう 機会 きかい の減少 げんしょう - フランスの最低 さいてい 賃金 ちんぎん は、欧州 おうしゅう でも高 たか い水準 すいじゅん となっている。そのため、技能 ぎのう 水準 すいじゅん が低 ひく く、経験 けいけん が少 すく ない若年 じゃくねん 層 そう を雇 やと いづらくなる[113] 。仮 かり に自社 じしゃ には不適切 ふてきせつ な者 もの を雇 やと ってしまったとしても、解雇 かいこ しづらく、高 たか い賃金 ちんぎん を支払 しはら わなければならない状況 じょうきょう では、経営 けいえい 者 しゃ は雇用 こよう に対 たい して慎重 しんちょう になる。フランスの雇用 こよう 政策 せいさく は、「現在 げんざい の雇用 こよう を守 まも る代 か わりに、新 あら たな雇用 こよう の機会 きかい を奪 うば う」形 かたち となってしまっており、これが雇用 こよう 格差 かくさ を生 う み出 だ しているという[113] 。
ワークシェアリング として導入 どうにゅう された「週 しゅう 35時 じ 間 あいだ 労働 ろうどう 」も、雇用 こよう 拡大 かくだい に役立 やくだ たず、経済 けいざい 成長 せいちょう を鈍化 どんか させているとして批判 ひはん されている[113] 。その対策 たいさく として、若者 わかもの を対象 たいしょう にレイオフ可能 かのう な体制 たいせい をとることで若者 わかもの を雇 やと いやすくすることが必要 ひつよう と考 かんが えられたが[113] 、この考 かんが えに基 もと づいて政府 せいふ が推進 すいしん したCPE(初期 しょき 雇用 こよう 契約 けいやく )法 ほう 改正 かいせい は、当 とう の若者 わかもの の反発 はんぱつ を受 う けて頓挫 とんざ した。
アジア通貨 つうか 危機 きき 以降 いこう 慢性 まんせい 的 てき に不 ふ 況 きょう ・雇用 こよう 不足 ふそく が続 つづ いている上 うえ 、伝統 でんとう 的 てき な男女 だんじょ 格差 かくさ ・地域 ちいき 対立 たいりつ ・学歴 がくれき 崇拝 すうはい が存在 そんざい しそれが大 おお きな社会 しゃかい 格差 かくさ を生 う み出 だ している。但 ただ し韓国 かんこく の場合 ばあい 大学 だいがく 進学 しんがく 率 りつ は9割 わり を超 こ え、格差 かくさ は学歴 がくれき 間 あいだ というよりは学校 がっこう 間 あいだ が主 しゅ たる問題 もんだい となりつつある。
韓国 かんこく においては男子 だんし のみに兵役 へいえき 義務 ぎむ があり、男女 だんじょ 間 あいだ 格差 かくさ については、この分 ぶん 除隊 じょたい 後 ご の男性 だんせい を優遇 ゆうぐう せざるを得 え ないという主張 しゅちょう が性別 せいべつ 格差 かくさ 擁護 ようご 派 は からは主張 しゅちょう されている。また、他国 たこく 同様 どうよう に移民 いみん 差別 さべつ が激 はげ しく、韓国 かんこく 永住 えいじゅう 他国 たこく 市民 しみん への地方 ちほう 参政 さんせい 権 けん が与 あた えられ小康 しょうこう 状態 じょうたい になるまでの間 あいだ 、華僑 かきょう 差別 さべつ が問題 もんだい となってきた[要 よう 出典 しゅってん ] 。
韓国 かんこく における原因 げんいん
全羅南道 ぜんらなんどう などに教育 きょういく の地域 ちいき 格差 かくさ が存在 そんざい する[123] 。
男女 だんじょ 間 あいだ における教育 きょういく 格差 かくさ 、賃金 ちんぎん 格差 かくさ が依然 いぜん として存在 そんざい する。
特 とく に学歴 がくれき による格差 かくさ が大 おお きく、大卒 だいそつ 者 しゃ の賃金 ちんぎん は高卒 こうそつ 者 しゃ の1.5倍 ばい 程度 ていど となっている。
移民 いみん を中心 ちゅうしん としたマイノリティや元 もと 受刑 じゅけい 者 しゃ への差別 さべつ がある。[要 よう 出典 しゅってん ] 。
2010年代 ねんだい においても格差 かくさ は解消 かいしょう されておらず、若年 じゃくねん 層 そう においては低 てい 所得 しょとく 世帯 せたい の出身 しゅっしん 者 しゃ を意味 いみ する「泥 どろ スプーン」組 ぐみ 、裕福 ゆうふく な家庭 かてい の子息 しそく を示 しめ す「金 きむ スプーン」組 ぐみ という言葉 ことば が用 もち いられ、泥 どろ スプーンから脱出 だっしゅつ する困難 こんなん さが話題 わだい となる[124] 。
中華人民共和国 ちゅうかじんみんきょうわこく [ 編集 へんしゅう ]
鄧小平 ひらた 時代 じだい に改革 かいかく 開放 かいほう が進 すす められ、国家 こっか 資本 しほん 主義 しゅぎ 経済 けいざい が導入 どうにゅう された。沿岸 えんがん 部 ぶ 、特 とく に歴史 れきし 的 てき に早 はや くから開 ひら かれていた上海 しゃんはい や、改革 かいかく 開放 かいほう 当初 とうしょ に経済 けいざい 特区 とっく とされた14沿海 えんかい 都市 とし などでは裕福 ゆうふく 層 そう が多 おお い。一方 いっぽう で内陸 ないりく 部 ぶ 、特 とく に各 かく 自治 じち 区 く では非常 ひじょう に貧 まず しく、民 みん 工 こう とよばれる出稼 でかせ ぎ労働 ろうどう 者 しゃ への賃金 ちんぎん 格差 かくさ や、人身 じんしん 売買 ばいばい もされる黒 くろ 孩子 などの社会 しゃかい 問題 もんだい が発生 はっせい している。
1989年 ねん の天安門 てんあんもん 事件 じけん は、沿岸 えんがん 部 ぶ の経済 けいざい 特区 とっく と内陸 ないりく 部 ぶ の農村 のうそん 地帯 ちたい の激 はげ しい所得 しょとく 格差 かくさ を背景 はいけい として起 お きた。
2010年 ねん 時点 じてん では、上海 しゃんはい ・北京 ぺきん ・広州 こうしゅう などの大都市 だいとし ・沿海 えんかい 部 ぶ の4億 おく 人 にん の地域 ちいき と、内陸 ないりく 農村 のうそん 部 ぶ の9億 おく 人 にん の地域 ちいき で経済 けいざい 格差 かくさ が存在 そんざい する[126] 。上海 しゃんはい などの主要 しゅよう 都市 とし 部 ぶ と内陸 ないりく 農村 のうそん 部 ぶ の賃金 ちんぎん 格差 かくさ は、10倍 ばい 以上 いじょう あるとされている(2009年 ねん 時点 じてん )。2010年 ねん 時点 じてん の栄養 えいよう 不足 ふそく 人口 じんこう は1億 おく 人 にん 以上 いじょう となっている[126] 。
中華人民共和国 ちゅうかじんみんきょうわこく における原因 げんいん
インドにはカースト制度 せいど の伝統 でんとう が残 のこ っており、先進 せんしん 産業 さんぎょう に従事 じゅうじ する者 もの 以外 いがい の人口 じんこう の3分 ぶん の2は低 てい 所得 しょとく 者 しゃ という格差 かくさ 社会 しゃかい である。女性 じょせい の識字 しきじ 率 りつ は58%とされている。
学者 がくしゃ の見解 けんかい [ 編集 へんしゅう ]
ジョセフ・E・スティグリッツは「格差 かくさ はグローバリゼーション 、労働 ろうどう ・資本 しほん ・モノ・サービスの移動 いどう 、スキルや高学歴 こうがくれき の従業 じゅうぎょう 員 いん の優遇 ゆうぐう 、技術 ぎじゅつ 変化 へんか の副産物 ふくさんぶつ だというものは真実 しんじつ ではない」と指摘 してき する一方 いっぽう で「グローバル化 か による不 ふ 均衡 きんこう は、世界中 せかいじゅう に被害 ひがい をもたらした。国境 こっきょう を越 こ え移動 いどう する資本 しほん は、労働 ろうどう 者 しゃ に賃金 ちんぎん の譲歩 じょうほ 、政府 せいふ に法人 ほうじん 税 ぜい の減税 げんぜい を要求 ようきゅう した。その結果 けっか 、底辺 ていへん への競争 きょうそう が起 お き、賃金 ちんぎん ・労働 ろうどう 条件 じょうけん が脅 おびや かされるようになった」と指摘 してき しているしている[118] 。
トマ・ピケティは、資本 しほん 主義 しゅぎ では、資本 しほん 収益 しゅうえき 率 りつ が所得 しょとく 成長 せいちょう 率 りつ より高 たか いのが常 つね であり、先進 せんしん 国 こく でも格差 かくさ は拡大 かくだい するとしている[129] [130] 。ピケティは「資本 しほん 主義 しゅぎ を否定 ひてい しているわけではなく、格差 かくさ 自体 じたい が問題 もんだい だと言 い うつもりはない。経済 けいざい 成長 せいちょう のためには、ある程度 ていど の格差 かくさ は必要 ひつよう であるが、限度 げんど がある。格差 かくさ が行 い きすぎると、共同 きょうどう 体 たい が維持 いじ できず、社会 しゃかい が成 な りたなくなるおそれがある。どの段階 だんかい から行 い きすぎた格差 かくさ かは、決 き まった数式 すうしき があるわけではない」と指摘 してき している[108] 。ピケティは、富裕 ふゆう 層 そう の資産 しさん が増 ふ えるスピードが一般 いっぱん の人 ひと の賃金 ちんぎん などが増 ふ えるスピードを上回 うわまわ っていることが問題 もんだい の根源 こんげん だとしており、勤労 きんろう よりも相続 そうぞく ・結婚 けっこん などのほうが資産 しさん を蓄積 ちくせき できる構造 こうぞう になっているとしている[108] 。ピケティは、資産 しさん を持 も つ者 もの がさらに資産 しさん を蓄積 ちくせき していく傾向 けいこう にあり、格差 かくさ は世襲 せしゅう を通 つう じて拡大 かくだい すると結論 けつろん づけている[108] 。トマ・ピケティは「格差 かくさ の拡大 かくだい が数 すう 十 じゅう 年 ねん 続 つづ くと、社会 しゃかい 基盤 きばん が揺 ゆ らぐ」と指摘 してき している[131] 。
政治 せいじ 経済 けいざい 学者 がくしゃ のアルベルト・アレジーナらの研究 けんきゅう によれば、ヨーロッパとアメリカの格差 かくさ に対 たい する意識 いしき の違 ちが いについて、ヨーロッパでは不平等 ふびょうどう 感 かん が高 たか まると人々 ひとびと は幸福 こうふく 感 かん が低下 ていか するのに対 たい して、アメリカでは不平等 ふびょうどう 感 かん が高 たか まっても幸福 こうふく 感 かん に影響 えいきょう を受 う けないとしている。アメリカでは所得 しょとく 階層 かいそう 間 あいだ の移動 いどう 率 りつ が高 たか いため、現在 げんざい 貧 まず しいことは必 かなら ずしも将来 しょうらい の貧 まず しさを意味 いみ しないのが、ヨーロッパでは所得 しょとく 階層 かいそう 間 あいだ の移動 いどう 率 りつ が低 ひく いため、所得 しょとく の不平等 ふびょうどう 感 かん が深刻 しんこく な問題 もんだい だと考 かんが えられているとしている。
スティーヴン・ランズバーグは「幸福 こうふく と所得 しょとく が同等 どうとう であれば、全員 ぜんいん が中 ちゅう 程度 ていど の所得 しょとく の国 くに の方 ほう が、一部 いちぶ が豊 ゆた かで一部 いちぶ が貧 まず しい国 くに よりも優 すぐ れていることになる。同時 どうじ に最 さい 底辺 ていへん の人々 ひとびと にも生活 せいかつ 水準 すいじゅん 以上 いじょう の福利 ふくり が保証 ほしょう されている場合 ばあい なら不平等 ふびょうどう も認 みと められる。所得 しょとく 格差 かくさ が大 おお きくても最 さい 貧困 ひんこん 者 しゃ が十分 じゅうぶん に食 た べていける社会 しゃかい の方 ほう が、全員 ぜんいん が等 ひと しく飢 う えている社会 しゃかい よりも望 のぞ ましい」と指摘 してき している。
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文春 ぶんしゅん 新書 しんしょ 編集 へんしゅう 部 ぶ 編 へん 『論争 ろんそう 格差 かくさ 社会 しゃかい 』文芸春秋 ぶんげいしゅんじゅう (文春 ぶんしゅん 新書 しんしょ 522)、2006年 ねん 8月 がつ 。ISBN 4-16-660522-4 。
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朝日新聞 あさひしんぶん 連載 れんさい ルポルタージュ『公 おおやけ 貧 ひん 社会 しゃかい 』