格差かくさ社会しゃかい

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格差かくさ社会しゃかい(かくさしゃかい、えい: Social polarization)とは、収入しゅうにゅう財産ざいさんなどの要因よういんにより人間にんげん社会しゃかい構成こうせいいん階層かいそうしょうじ、その階層かいそうあいだ遷移せんい困難こんなん状態じょうたいになっている社会しゃかい意味いみするかたり[1]マスメディアによる造語ぞうごであり、経済けいざいがくなどの学術がくじゅつてき専門せんもん用語ようごではないが[2]、そのバブル崩壊ほうかい平成へいせい不況ふきょう、さらに「うしなわれた20ねん」の世相せそうなかひろ使つかわれるようになり、2006ねんには新語しんご流行りゅうこう大賞たいしょう上位じょういにランクインした。一種いっしゅのブームとなったこの言葉ことばは、「恋愛れんあい格差かくさ」など多数たすう派生はせいおやともなった。

背景はいけい[編集へんしゅう]

早稲田大学わせだだいがく教授きょうじゅ橋本はしもと健二けんじによれば、1970年代ねんだいから1980年代ねんだい日本にっぽんでは「いちおくそう中流ちゅうりゅう」の意識いしきのもとで格差かくさ問題もんだいわすれられており[3]格差かくさ拡大かくだいはじまったことを最初さいしょ指摘してきしたのは小沢おざわ雅子まさこ1985ねん著書ちょしょしん階層かいそう消費しょうひ」の時代じだい』であった[4]小沢おざわ中流ちゅうりゅう階級かいきゅうなかでも消費しょうひ内容ないようしょうじていることを指摘してきした[4]以降いこう、1980年代ねんだいまつまでに「階級かいきゅう」をキーワードやタイトルにふく雑誌ざっし記事きじかずえた[4]

政府せいふが1988ねん発表はっぴょうした『国民こくみん生活せいかつ白書はくしょ』において、高度こうど経済けいざい成長せいちょうからバブル景気けいき時代じだいまでの日本にっぽん社会しゃかいにおける経済けいざいてき格差かくさ拡大かくだいについて言及げんきゅうされた[5]。この政府せいふ発表はっぴょう翌日よくじつの1988ねん11月19にち朝日新聞あさひしんぶん社説しゃせつが「『格差かくさ社会しゃかい』でいいのか」との見出みだしでげたのが、経済けいざいてき社会しゃかいてき不平等ふびょうどうについて「格差かくさ社会しゃかい」というかたり意識いしきてき使用しようされた最初さいしょれいとされている[5]

2003ねんには「ぐみ」というかたり用例ようれい日本にっぽん雑誌ざっし記事きじ急増きゅうぞう[6]よく2004ねんには新聞しんぶん記事きじでも急増きゅうぞうした[6]。「ぐみ」「ぐみ」の格差かくさ拡大かくだい指摘してきした2004ねん山田やまだ昌弘まさひろ著書ちょしょ希望きぼう格差かくさ社会しゃかい』は、格差かくさ社会しゃかいかんする出版しゅっぱんぶつ嚆矢こうしとされているが[7]2001ねん苅谷かりや剛彦たけひこちょ階層かいそう日本にっぽん教育きょういく危機きき 不平等ふびょうどうさい生産せいさんから意欲いよく格差かくさ社会しゃかいへ』が出版しゅっぱんされており、こちらが先行せんこう研究けんきゅうとなる。一般いっぱん読者どくしゃけの通俗つうぞく社会しゃかいがくてき山田やまだ著作ちょさくくらべ、信頼しんらいのおけるデータを統計とうけいてき分析ぶんせきし、また日本にっぽん教職員きょうしょくいん組合くみあい教育きょういく研究けんきゅう全国ぜんこく集会しゅうかい記録きろくから教育きょういく認識にんしき変遷へんせん歴史れきしをたどるなど、本格ほんかくてき教育きょういく研究けんきゅうしょとなっている[8]

概説がいせつ[編集へんしゅう]

格差かくさ社会しゃかいにおいては、社会しゃかいてき地位ちい変化へんか困難こんなん社会しゃかい移動いどうすくなく、社会しゃかい閉鎖へいさせいつよいことを意味いみするため、格差かくさ社会しゃかい社会しゃかい問題もんだいひとつとしてかんがえられている。

格差かくさ拡大かくだい主因しゅいんとして、国際こくさい通貨つうか基金ききん (IMF) は「技術ぎじゅつ革新かくしん」と「金融きんゆうのグローバル」を指摘してきしている[9][10]。また『ニューズウィーク日本語にほんごばん』2007ねん12月5にちごうでは「経済けいざいがく通説つうせつでは、格差かくさ拡大かくだいはグローバル自由じゆう貿易ぼうえきけがたい副産物ふくさんぶつであるとされている」と紹介しょうかいされている。

学問がくもんてきには、経済けいざいがくにおける所得しょとく資産しさんさい分配ぶんぱい研究けんきゅう社会しゃかいがくにおける社会しゃかい階層かいそう研究けんきゅう教育きょういく社会しゃかいがくにおける不平等ふびょうどう地位ちい達成たっせい研究けんきゅう進学しんがく実績じっせき教育きょういく志望しぼう職業しょくぎょう志望しぼう研究けんきゅう)などの領域りょういき関連かんれんする。

格差かくさ社会しゃかい影響えいきょうとして過少かしょう消費しょうひせつなどをもとに、経済けいざい活動かつどう衰退すいたい生活せいかつ水準すいじゅん悪化あっか経済けいざいによる多重たじゅう債務さいむしゃ増加ぞうか経済けいざいによるホームレスの増加ぞうか経済けいざいによる自殺じさつしゃ増加ぞうかなどが懸念けねんされ、国民こくみん公平こうへいかん減少げんしょうすることで規範きはん意識いしき低下ていか治安ちあん悪化あっかこることも懸念けねんされる。貧困ひんこんそうてい所得しょとくしゃそう増加ぞうかは、所得しょとく婚姻こんいんりつられるように経済けいざいてき要因よういんによる婚姻こんいん減少げんしょう少子化しょうしかこす。少子しょうしによる労働ろうどう人口じんこう減少げんしょうにより社会しゃかい保障ほしょう制度せいど破綻はたんなども懸念けねんされる。

国際こくさいてき社会しゃかい疫学えきがく調査ちょうさなどによると、一般いっぱん社会しゃかいてき格差かくさおおきいくにほど国民こくみん平均へいきん寿命じゅみょうみじかく、そのなかでもまずしいそう寿命じゅみょうみじかい。これは先進せんしんこくより、まずしくとも平等びょうどうくににおける平均へいきん寿命じゅみょうながいケースがあることから、絶対ぜったいてき経済けいざいりょくではなく、社会しゃかい格差かくさ健康けんこう影響えいきょうおよぼしている可能かのうせい指摘してきされている[11]

スタンフォード監獄かんごく実験じっけんは、人為じんいてきつくられた格差かくさによって看守かんしゅやく日々ひびより残虐ざんぎゃくになり、囚人しゅうじん虐待ぎゃくたいにより精神せいしんむか死亡しぼうすることを証明しょうめいした。すなわち平等びょうどう社会しゃかいにおいてのみ、社会しゃかい健全けんぜんせい安全あんぜん道徳どうとくおよび世界せかい平和へいわ維持いじされ、人々ひとびと幸福こうふくきることが証明しょうめいされた。

貧困ひんこん悪循環あくじゅんかん[編集へんしゅう]

大阪大学おおさかだいがく社会しゃかい経済けいざい研究所けんきゅうじょ教授きょうじゅ大竹おおたけ文雄ふみおの『賃金ちんぎん格差かくさ拡大かくだいえられる社会しゃかいに』のなかでは、つぎのように著述ちょじゅつされている[よう出典しゅってん]

ニューヨーク大学だいがくのフリンは、一時いちじてん賃金ちんぎん格差かくさ米国べいこくほうイタリアよりもはるかにおおきいにもかかわらず、生涯しょうがい賃金ちんぎん格差かくさ両国りょうこくでほぼおなじであることをしめしている。転職てんしょく比較的ひかくてき容易ようい米国べいこくにおいては、現在げんざい賃金ちんぎん水準すいじゅんひくくても、転職てんしょくによってよりよい条件じょうけん仕事しごと将来しょうらい可能かのうせいがあり、生涯しょうがい賃金ちんぎんでみると賃金ちんぎん格差かくさは、一時いちじてんでの賃金ちんぎん格差かくさくらべるとちいさくなる。これにたいし、転職てんしょく困難こんなんだったり、将来しょうらい賃金ちんぎん上昇じょうしょう可能かのうせいちいさい社会しゃかいにおいては、現在げんざい賃金ちんぎん格差かくさ永続えいぞくてきつづくことになるため、 現在げんざい賃金ちんぎん格差かくさはそのまま生涯しょうがい賃金ちんぎん格差かくさとなってしまうのである。 — 大竹おおたけ文雄ふみお賃金ちんぎん格差かくさ拡大かくだいえられる社会しゃかいに』[ようページ番号ばんごう]

貧困ひんこんは、物質ぶっしつてきめんだけでなく、精神せいしんてきにも負担ふたんおおきいあくのスパイラルにおちいっている。専門せんもんは、貧困ひんこんそうどもたちは、かくとなる自尊心じそんしんひくく、その結果けっか自分じぶん能力のうりょくしんじることができず、チームで仕事しごとをすると不利ふりになるとかんがえてチームに参加さんかしたがらず、それが中高年ちゅうこうねんになったときにひとよりまずしくなる傾向けいこうがあると分析ぶんせきしている[12]

貧困ひんこん文化ぶんか[編集へんしゅう]

1960年代ねんだい以降いこうアメリカでは「貧困ひんこん文化ぶんか」(Culture of poverty)という概念がいねん提示ていじされ、格差かくささい生産せいさん固定こていつよ関与かんよしているとわれている。この概念がいねん人類じんるい学者がくしゃオスカー・ルイス著書ちょしょ貧困ひんこん文化ぶんか-メキシコの“いつつの家族かぞく”』からそのる。「貧困ひんこん文化ぶんか」とは、貧困ひんこんしゃ貧困ひんこん生活せいかつつぎ世代せだいぐような生活せいかつ習慣しゅうかん世界せかいかん伝承でんしょうしているサブカルチャーであり、このサイクルを打破だはすることが格差かくさ社会しゃかい解決かいけつするために不可欠ふかけつだ、というかんがかたである。民主党みんしゅとうモニハン英語えいごばん上院じょういん議員ぎいんのレポートなどに採用さいようされ、アメリカのたい貧困ひんこん政策せいさく影響えいきょうあたえている。

しかし貧困ひんこん文化ぶんか概念がいねんには、人類じんるい学者がくしゃ社会しゃかい学者がくしゃなどからすうおおくの批判ひはんがなされており[13]、しかも現実げんじつのデータとっていないという指摘してきもある[14]。またこの概念がいねん本来ほんらい発展はってん途上とじょうこく対象たいしょうとしたものである[13]という制約せいやくがある。

格差かくさ是正ぜせい[編集へんしゅう]

格差かくさ是正ぜせいのため「教育きょういく拡充かくじゅう」「技術ぎじゅつ革新かくしんにより賃金ちんぎん低下ていか余儀よぎなくされたてい技能ぎのう労働ろうどうしゃさい訓練くんれん」を提言ていげんする意見いけんもある[10]

国際こくさい通貨つうか基金ききん (IMF) の報告ほうこくしょ『World Economic Outlook Oct.2007』(世界せかい経済けいざい概要がいよう、2007ねん10がつばん)では、格差かくさ是正ぜせい手段しゅだんとして、職業しょくぎょう教育きょういく訓練くんれん機会きかい増加ぞうかげており、これらによってこう技能ぎのうしゃやし、所得しょとく水準すいじゅん底上そこあげ、格差かくさ縮小しゅくしょう目指めざすとしている[10]

過去かこ格差かくさ社会しゃかい[編集へんしゅう]

日本にっぽん

日本にっぽん[編集へんしゅう]

1962ねん以降いこうさい分配ぶんぱいまえ当初とうしょ所得しょとく)とさい分配ぶんぱいさい分配ぶんぱい所得しょとく)のジニ係数けいすう推移すいい所得しょとくさい分配ぶんぱい調査ちょうさによる

現代げんだい日本にっぽん社会しゃかいで「格差かくさ」を場合ばあいおも経済けいざいてき要素ようそ、それも税制ぜいせい社会しゃかい保障ほしょうによるさい分配ぶんぱいまえ所得しょとく格差かくさしていることがおおい。ここでは経済けいざいてき要素ようそかんする格差かくさ社会しゃかいおよび格差かくさ拡大かくだいについて詳説しょうせつする。

経緯けいい[編集へんしゅう]

かつて高度こうど経済けいざい成長せいちょうからその安定あんてい成長せいちょうまでは「いちおくそう中流ちゅうりゅう」とわれ、所得しょとくめんでの格差かくさ社会しゃかい問題もんだいとされることはおおくはなかった。ただし、経済けいざい学者がくしゃたちばなしゅんみことのり1998ねん自著じちょで、しょ外国がいこく比較ひかくして1980年代ねんだい日本にっぽん収入しゅうにゅう格差かくさおおきかったと指摘してきしている[15]

厚生こうせい労働省ろうどうしょうは、バブルには、おも株価かぶか地価ちか上昇じょうしょう資産しさんインフレ)を背景はいけいとして「てるもの」と「たざるもの」との資産しさんめんでの格差かくさ拡大かくだいし、勤労きんろうという個人こじん努力どりょくとは無関係むかんけい格差かくさ拡大かくだいしたとして当時とうじ問題もんだいしていたが、そのバブル崩壊ほうかいによる資産しさんデフレ進行しんこうとともに、資産しさんめんでの格差かくさ縮小しゅくしょうしたとしている[16]

1997ねん平成へいせい9ねん)のアジア金融きんゆう危機きき契機けいきとしてはじまった正社員せいしゃいん削減さくげん、サービスぎょう製造せいぞうぎょうにおける現業げんぎょういん正規せいき雇用こようへのえにより、就職しゅうしょくなん就職しゅうしょく氷河期ひょうがき)にあえ若年じゃくねんそうなかから登場とうじょうした、安定あんていしたしょくけないフリーターや、真面目まじめはたらきながら貧困ひんこんあえワーキングプアといった存在そんざい注目ちゅうもくされるようになったこと、ジニ係数けいすう拡大かくだいや、ヒルズぞくなどセレブブームにられる富裕ふゆうそう豪奢ごうしゃ生活せいかつりがさかんに報道ほうどうされるようになったこととう契機けいきとして、日本にっぽんにおける格差かくさ社会しゃかい格差かくさ拡大かくだい主張しゅちょうされるようになった[よう出典しゅってん]。また同時どうじさかんにほうじられるようになった言葉ことばに「ニート」がある。

1997ねんから2007ねんあいだに、企業きぎょう経常けいじょう利益りえきは28ちょうえんから53ちょうえん増加ぞうかしたが、従業じゅうぎょういん給与きゅうよは147ちょうえんから125ちょうえん減少げんしょうしている[17]

日本にっぽんでは20世紀せいき初頭しょとう欧州おうしゅうどう程度ていど高水準こうすいじゅん格差かくさ存在そんざいし、一握ひとにぎりの富裕ふゆうそう国民こくみん所得しょとくだい部分ぶぶん独占どくせんしていた[18]。そのふたつの世界せかい大戦たいせんて、エリートのとみだい部分ぶぶん破壊はかいされてしまったため、格差かくさ急速きゅうそく縮小しゅくしょうした[18]

高度こうど成長せいちょうからてい成長せいちょうへの変化へんか工業こうぎょう製品せいひん大量たいりょう生産せいさん大量たいりょう消費しょうひオールドエコノミーから情報じょうほうやサービスを重視じゅうしするニューエコノミーへの変換へんかん、IT、グローバルにより、企業きぎょうもとめる社員しゃいんぞうは、「多数たすう熟練じゅくれん社員しゃいん多数たすう学生がくせい採用さいようし、OJTによってそだげ、熟練じゅくれん職員しょくいんにしていく)」から、「少数しょうすう創造そうぞうてき社員しゃいんと、多数たすう単純たんじゅん労働ろうどう社員しゃいん」とに変化へんかしていった。

1995ねん日本にっぽん経営けいえいしゃ団体だんたい連盟れんめい当時とうじ現在げんざい日本にっぽん経済けいざい団体だんたい連合れんごうかい)は『しん時代じだい日本にっぽんてき経営けいえいちゅうで「労働ろうどうしゃ長期ちょうき蓄積ちくせき能力のうりょくがた経営けいえい関与かんよする幹部かんぶ)、高度こうど専門せんもん能力のうりょく活用かつようがた開発かいはつ業務ぎょうむくエキスパート)、雇用こよう柔軟じゅうなんがた製造せいぞう部門ぶもんなどにたずさわるその大勢おおぜい)の3グループに階層かいそうすべきである」との提言ていげんおこなっている。

このながれは、バブル崩壊ほうかいによる長期ちょうき不況ふきょうおよび、1997ねん山一證券やまいちしょうけん破綻はたんはしはっした金融きんゆう不安ふあん対応たいおうする社会しゃかい経済けいざい構造こうぞう改革かいかくなどによって加速かそくした[19]年功序列ねんこうじょれつ制度せいど廃止はいし正社員せいしゃいんベアゼロなどの給与きゅうよ抑制よくせい採用さいよう抑制よくせい人員じんいん削減さくげんおこなわれ、パートタイマー・アルバイトや契約けいやく社員しゃいん[ちゅう 1] などの賃金ちんぎんやす正規せいき雇用こようもの増加ぞうかした。ぜん雇用こようしゃめる正規せいき雇用こようしゃ割合わりあいは、1980年代ねんだいから増加ぞうか傾向けいこう推移すいいしており、2013ねんにはぜん雇用こようしゃの36.7%をめている[20]

また日本にっぽんでは学歴がくれきだけではなく、企業きぎょう規模きぼによって格差かくさしょうじているめんがある[21][22][23]欧米おうべい給与きゅうよ体系たいけい産業さんぎょう横断おうだんてき職務しょくむきゅうであるため、企業きぎょう規模きぼによる格差かくさすくない。

2000年代ねんだい格差かくさ社会しゃかいがテーマとしてげられたころには、一定いってい景気けいき回復かいふく前提ぜんていとしたうえで、企業きぎょう利益りえき賃金ちんぎん増加ぞうかのアンバランスないしは、そのかげ進行しんこうしている不具合ふぐあいという視点してんられることがおおかった。[よう出典しゅってん]

小泉こいずみ政権せいけん以前いぜんから存在そんざいしていた以上いじょう格差かくさ存在そんざいするようになったのか、格差かくさ拡大かくだいしているのか、については論争ろんそうがある(たとえば、小泉こいずみ内閣ないかく2001ねん-2006ねん)において、正規せいき雇用こようが190まんにんり、正規せいき雇用こようは330まんにんえた[20]。そのため、小泉こいずみ内閣ないかくによって正規せいき雇用こようしゃ増加ぞうかすすんだとわれることがあるが、統計とうけいでは小泉こいずみ内閣ないかく以前いぜんから増加ぞうかしている)。総務そうむしょう全国ぜんこく消費しょうひ実態じったい調査ちょうさによると近年きんねん所得しょとく格差かくさ拡大かくだい傾向けいこうられる。世帯せたいぬし年齢ねんれいべつでは50だい以下いか世帯せたい格差かくさ拡大かくだいしている一方いっぽう、60だい以上いじょう世帯せたいでは、格差かくさ縮小しゅくしょうしている。

厚生こうせい労働省ろうどうしょう2010ねん平成へいせい22ねんばん労働ろうどう経済けいざい白書はくしょ[ようページ番号ばんごう]では「だい企業きぎょうでは利益りえき株式かぶしき配当はいとうける傾向けいこうつよまり、人件じんけん抑制よくせいてき賃金ちんぎん処遇しょぐう制度せいど改革かいかくつよめられてきた側面そくめんもある。こうしたなかで、正規せいき雇用こようしゃしぼみなどをともな雇用こよう形態けいたい変化へんか業績ぎょうせき成果せいか主義しゅぎてき賃金ちんぎん処遇しょぐう制度せいどひろがり、賃金ちんぎん所得しょとく格差かくさ拡大かくだい傾向けいこうすすんできた」と指摘してきしている。

2014ねん時点じてんで、日本にっぽん富裕ふゆうそう上位じょうい10%が、日本にっぽん全体ぜんたいとみの41%をめているという調査ちょうさがある。これはOECD加盟かめいこくなかで、スロバキアいで格差かくさすくないである。一方いっぽう所得しょとく独占どくせんについては、富裕ふゆうそう上位じょうい10%が、全体ぜんたい所得しょとくの24%をめている[24]

日本にっぽん指標しひょう統計とうけい[編集へんしゅう]

格差かくさ実態じったい調査ちょうさするため、様々さまざま主体しゅたいによって様々さまざま調査ちょうさおこなわれている。

日本にっぽん貧困ひんこん格差かくさ指標しひょう
貧困ひんこん格差かくさ実態じったい総合そうごうてき継続けいぞくてき把握はあくするための指標しひょう(厚生こうせい労働省ろうどうしょう)[25]
指標しひょう
1 相対そうたいてき貧困ひんこんりつ 所得しょとく中央ちゅうおうの50%(貧困ひんこんせん)以下いかもの割合わりあい
2 就業しゅうぎょう世帯せたい相対そうたいてき貧困ひんこん 就業しゅうぎょう世帯せたいぞくするもののうち所得しょとく貧困ひんこんせん以下いかもの割合わりあい
3 時期じき固定こていした相対そうたいてき貧困ひんこん 過去かこ貧困ひんこんせんをもとに算出さんしゅつした相対そうたいてき貧困ひんこんりつ
4 貧困ひんこんギャップ 貧困ひんこんせん以下いか所得しょとく中央ちゅうおう」÷「貧困ひんこんせん
5 所得しょとく分配ぶんぱいりつ 所得しょとく5ふん位階いかいきゅうさい上層じょうそう合計ごうけい所得しょとく」÷「最下さいかそう合計ごうけい所得しょとく
6 高齢こうれいしゃ所得しょとく相対そうたいてき中央ちゅうおう 「65さい以上いじょう所得しょとく中央ちゅうおう」÷「65さい未満みまん所得しょとく中央ちゅうおう
7 年金ねんきん受給じゅきゅうがく所得しょとく代替だいたいりつ 年金ねんきん受給じゅきゅうがく現役げんえき世代せだい勤労きんろう収入しゅうにゅうたいする割合わりあい
8 労働ろうどうりょくりつ 15さいから64さい就業しゅうぎょうしゃ求職きゅうしょくしゃ割合わりあい
9 中高年ちゅうこうねん就業しゅうぎょうりつ 55さいから64さい就業しゅうぎょうしゃ割合わりあい
10 若年じゃくねん人口じんこうめる若年じゃくねん無業者むぎょうしゃ割合わりあい 15さいから34さい就業しゅうぎょう求職きゅうしょく家事かじ通学つうがくもしていないもの割合わりあい
11 就業しゅうぎょうしゃのいない世帯せたいぞくするもの割合わりあい 0さいから59さいもので、就業しゅうぎょうしゃのいない世帯せたいぞくするもの割合わりあい
12 地域ちいき就業しゅうぎょうりつのばらつき 都道府県とどうふけんごとの就業しゅうぎょうりつ標準ひょうじゅんへん
13 健康けんこう寿命じゅみょう 男女だんじょべつ
14 医療いりょう のアクセス 受診じゅしん時間じかん
15 一人ひとりあたりそう医療いりょう支出ししゅつ
  • 国際こくさい比較ひかく可能かのうにする観点かんてんからEUの「社会しゃかいてき保護ほご社会しゃかいてき包摂ほうせつかんする指標しひょう」を参考さんこうにして開発かいはつ
    • 1 - 7:「所得しょとく」からのアプローチ
    • 8 - 12:「就業しゅうぎょう」からのアプローチ
    • 13 - 15:「生活せいかつしつ」からのアプローチ
日本にっぽん貧困ひんこんりつ推移すいい
日本にっぽん貧困ひんこんりつ推移すいい[26][27]
年度ねんど 相対そうたいてき貧困ひんこんりつ[ちゅう 2] どもの貧困ひんこんりつ どもがいる現役げんえき世帯せたい 名目めいもく(まんえん) じつ数値すうち(昭和しょうわ60ねん基準きじゅん)
大人おとな一人ひとり 大人おとなにん以上いじょう 中央ちゅうおう(a) 貧困ひんこんせん(a/2) 中央ちゅうおう(b) 貧困ひんこんせん(b/2)
1985 12.0 10.9 10.3 54.5 9.6 216 108 216 108
1988 13.2 12.9 11.9 51.4 11.1 227 114 226 113
1991 13.5 12.8 11.7 50.1 10.8 270 135 246 123
1994 13.7 12.1 11.2 53.2 10.2 289 144 255 128
1997 14.6 13.4 12.2 63.1 10.8 297 149 259 130
2000 15.3 14.5 13.1 58.2 11.5 274 137 240 120
2003 14.9 13.7 12.5 58.7 10.5 260 130 233 117
2006 15.7 14.2 12.2 54.3 10.2 254 127 228 114
2009 16.0 15.7 14.6 50.8 12.7 250 125 224 112
2012 16.1 16.3 15.1 54.6 12.4 244 122 221 111
2015 15.7 13.9 12.9 50.8 10.7 244 122
2018 15.4 13.5 12.6 48.1 10.7 253 127
2018
(しん基準きじゅん)
15.7 14 13.1 48.3 11.2 248 124
2021
(しん基準きじゅん)
15.4 11.5 10.6 44.5 8.6 254 127
所得しょとく金額きんがく階級かいきゅうべつにみた世帯せたいすう分布ぶんぷおよ平均へいきん所得しょとく金額きんがく
所得しょとく金額きんがく階級かいきゅうべつにみた世帯せたいすう分布ぶんぷおよ平均へいきん所得しょとく金額きんがく(2022ねん)[28]
所得しょとく金額きんがく階級かいきゅう ぜん世帯せたい 高齢こうれいしゃ世帯せたい 児童じどうのいる世帯せたい 母子ぼし世帯せたい
累積るいせき度数どすう分布ぶんぷ 相対そうたい度数どすう分布ぶんぷ 累積るいせき度数どすう分布ぶんぷ 相対そうたい度数どすう分布ぶんぷ 累積るいせき度数どすう分布ぶんぷ 相対そうたい度数どすう分布ぶんぷ 累積るいせき度数どすう分布ぶんぷ 相対そうたい度数どすう分布ぶんぷ
総数そうすう 100 100 100 100
50まんえん未満みまん 1.2 1.2 1.6 1.6 0.1 0.1
50~100まんえん未満みまん 6.7 5.5 11.6 10 1.2 1.1 3.3 3.3
100~150まんえん未満みまん 13.1 6.4 23.1 11.6 2.9 1.7 11.8 8.5
150~200まんえん未満みまん 19.7 6.6 35.4 12.3 4.6 1.7 25.2 13.4
200~250まんえん未満みまん 27.4 7.7 48.7 13.4 6.9 2.3 40.5 15.3
250~300まんえん未満みまん 34.3 6.9 59.9 11.2 9.2 2.3 50.6 10.1
300~350まんえん未満みまん 41.4 7.1 70.2 10.3 12.4 3.2 63.7 13.1
350~400まんえん未満みまん 47.0 5.5 77.0 6.8 15.9 3.5 73.9 10.2
400~450まんえん未満みまん 52.6 5.6 82.6 5.6 20.4 4.6 83.7 9.8
450~500まんえん未満みまん 57.3 4.7 86.2 3.6 25.2 4.6 85.9 2.2
500~550まんえん未満みまん 61.9 4.6 89.1 2.9 31.1 6 88.5 2.6
550~600まんえん未満みまん 65.7 3.8 91.1 2 36.6 5.5 89.6 1.1
600~650まんえん未満みまん 69.6 3.9 93.0 1.9 42.8 6.2 93.7 4.1
650~700まんえん未満みまん 72.9 3.3 94.3 1.3 48.5 5.7 97.9 4.2
700~750まんえん未満みまん 76.1 3.2 95.1 0.8 54.2 5.7 98.3 0.4
750~800まんえん未満みまん 79.1 3 96.0 1 59.8 5.5
800~850まんえん未満みまん 81.8 2.7 96.6 0.5 64.6 4.9
850~900まんえん未満みまん 84.0 2.2 97.1 0.5 68.7 4.1
900~950まんえん未満みまん 86.0 2 97.3 0.2 73.0 4.3
950~1000まんえん未満みまん 87.6 1.6 97.7 0.4 76.1 3.1
1000まんえん~1100まんえん未満みまん 90.7 3.1 98.0 0.3 82.8 6.7
1100まんえん~1200まんえん未満みまん 92.8 2.1 98.4 0.4 87.2 4.4 - -
1200まんえん~1500まんえん未満みまん 96.5 3.7 99.0 0.6 94.3 7.1 100.0 1.7
1500まんえん~2000まんえん未満みまん 98.6 2.1 99.4 0.4 97.9 3.7 - -
2000まんえん以上いじょう 100.0 1.4 100.0 0.5 100.0 2.1 - -
ぜん世帯せたい 高齢こうれいしゃ世帯せたい 児童じどうのいる世帯せたい 母子ぼし世帯せたい
平均へいきん所得しょとく金額きんがく以下いか割合わりあい(%) 61.6 64.1 58.5 59.3
1世帯せたいたり平均へいきん所得しょとく金額きんがく(まんえん) 545.7 318.3 785.0 328.2
世帯せたい人員じんいん1にんたり平均へいきん所得しょとく金額きんがく(まんえん) 235.0 206.1 194.8 123.7
中央ちゅうおう(まんえん) 423 253 710 297
  • ちゅう[29]
    • 高齢こうれいしゃ世帯せたいとは、65さい以上いじょうもののみで構成こうせいするか、またはこれに18さい未満みまん未婚みこんものくわわった世帯せたいをいう。
    • 児童じどうとは、18さい未満みまん未婚みこんものをいう。
    • 母子ぼし世帯せたいとは、死別しべつ離別りべつ・その理由りゆう未婚みこん場合ばあいふくむ。)で、げん配偶はいぐうしゃのいない65さい未満みまんおんな配偶はいぐうしゃ長期間ちょうきかん生死せいし不明ふめい場合ばあいふくむ。)と20さい未満みまんのその養子ようしふくむ。)のみで構成こうせいしている世帯せたいをいう。
日本にっぽん資産しさん格差かくさ所得しょとく格差かくさ推移すいい
日本にっぽん資産しさん格差かくさ所得しょとく格差かくさ推移すいい[30]
とし 土地とち資産しさん格差かくさ 貯蓄ちょちく動向どうこう調査ちょうさ 家計調査かけいちょうさ 国民こくみん生活せいかつ基礎きそ調査ちょうさ
金融きんゆう資産しさん格差かくさ 所得しょとく格差かくさ 処分しょぶん所得しょとく格差かくさ 所得しょとく格差かくさ 所得しょとく格差かくさ
1978 ‐‐ ‐‐ 0.2796 0.1752 ‐‐ ‐‐
1979 ‐‐ 0.5331 0.2825 0.1662 0.2717 ‐‐
1980 0.5992 0.5203 0.2728 0.1677 0.2729 ‐‐
1981 ‐‐ 0.5138 0.2760 0.1719 0.2722 ‐‐
1982 ‐‐ 0.5215 0.2737 0.1697 0.2774 ‐‐
1983 ‐‐ 0.5124 0.2789 0.1698 0.2750 ‐‐
1984 ‐‐ 0.5101 0.2862 0.1700 0.2725 ‐‐
1985 0.5639 0.5097 0.2922 0.1779 0.2848 ‐‐
1986 ‐‐ 0.5107 0.2951 0.1758 0.2910 ‐‐
1987 0.6531 0.5210 0.2988 0.1798 0.2862 ‐‐
1988 0.6475 0.5128 0.2952 0.1787 0.2812 ‐‐
1989 0.6510 0.5146 0.3040 0.1794 0.2869 ‐‐
1990 0.6313 0.5092 0.3053 0.1742 0.2914 ‐‐
1991 0.6245 0.5064 0.3053 0.1798 0.2963 ‐‐
1992 0.6098 0.5015 0.3086 0.1716 0.2921 0.3771
1993 0.6091 0.4939 0.3027 0.1691 0.2924 ‐‐
1994 0.6041 0.4938 0.3044 0.1741 0.2928 0.3918
1995 0.6177 0.4862 0.3113 0.1712 0.2955 ‐‐
1996 -- 0.4836 0.3145 0.1763 0.2965 ‐‐
1997 0.5803 0.4903 0.3058 0.1788 0.2974 0.3954
1998 0.5624 0.4707 0.3088 0.1793 0.2913 ‐‐
1999 0.5756 0.4834 0.3195 0.1772 0.3010 ‐‐
2000 0.5601 0.4839 0.3128 0.1800 0.2972 0.3997
2001 0.56347 ‐‐ ‐‐ 0.1831 0.2946 0.3965
2002 0.56281 ‐‐ ‐‐ 0.1831 0.2946 0.3986
2003 0.58916 ‐‐ ‐‐ 0.1828 0.2841 0.3882
2004 0.57959 ‐‐ ‐‐ 0.1826 0.2830 0.3999
2005 0.59139 ‐‐ ‐‐ 0.1905 0.2819 --

日本にっぽん格差かくさ是正ぜせい[編集へんしゅう]

経済けいざい協力きょうりょく開発かいはつ機構きこう(OECD)は2008ねんに「日本にっぽん若者わかもの安定あんていした仕事しごとにつけるよう、もっとやれることがある」とだいした報告ほうこくしょなかで、「正規まさき正規せいきあいだ保護ほごのギャップをめて、賃金ちんぎん手当てあて格差かくさ是正ぜせいせよ。すなわち、有期ゆうき、パート、派遣はけん労働ろうどうしゃ雇用こよう保護ほご社会しゃかい保障ほしょう適用てきよう強化きょうかするとともに、正規せいき雇用こよう雇用こよう保護ほご緩和かんわせよ」と勧告かんこくおこなっている[31]企業きぎょう規模きぼ雇用こよう形態けいたいフルタイムパートタイム派遣はけんなど)にかかわらず、どういち職務しょくむには同等どうとう賃金ちんぎん支払しはらう、どういち労働ろうどうどういち賃金ちんぎん原則げんそくEU各国かっこく導入どうにゅうされている。

社会しゃかい政策せいさく観点かんてんからは、とみさい分配ぶんぱい仕組しくみとして、社会しゃかい保険ほけん直接ちょくせつぜいひとしによるとみさい分配ぶんぱいとおして格差かくさ是正ぜせいすることがかんがえられる。厚生こうせい労働省ろうどうしょう所得しょとくさい分配ぶんぱい調査ちょうさると、さい分配ぶんぱいまえ当初とうしょ所得しょとくは1996ねんの0.441(ジニ係数けいすう)から2005ねんの0.526へと拡大かくだい一途いっとをたどっているが、さい分配ぶんぱい所得しょとくるとわずかな拡大かくだいにとどまる(0.361→0.387)。この背景はいけいとしては直接ちょくせつぜいによる改善かいぜん低下ていかする反面はんめん社会しゃかい保障ほしょうによる改善かいぜん上昇じょうしょうしていることがあげられる。全体ぜんたいてきには、ほとんどが社会しゃかい保障ほしょうによる改善かいぜんとなっている。

1989ねん本格ほんかくてき間接かんせつぜいである消費しょうひぜい導入どうにゅうされ、相続そうぞくぜいは2003年度ねんど税率ぜいりつ改定かいていなどで軽減けいげんされている。消費しょうひぜいなどの間接かんせつぜいぎゃく累進るいしんてき性質せいしつ税制ぜいせいである。また、相続そうぞくぜい軽減けいげん本人ほんにん努力どりょくなしでれた財産ざいさん保護ほごするもので、格差かくさ固定こてい助長じょちょうにつながるという批判ひはんがある[よう出典しゅってん]。なお、てい所得しょとくしゃにはほとんどメリットがないとわれていた所得しょとくぜい個人こじん住民じゅうみんぜい定率ていりつ減税げんぜい1999ねんより実施じっし)は、2005年度ねんどから段階だんかいてき廃止はいしされている。

自治体じちたいあいだ収入しゅうにゅう格差かくさたいしては、消費しょうひぜい地方ちほうへの配分はいぶんげが検討けんとうされている[32]

教育きょういく格差かくさ地域ちいき格差かくさ[編集へんしゅう]

首都しゅとけん大卒だいそつりつ自治体じちたいべつ
関西かんさいけん大卒だいそつりつ自治体じちたいべつ

企業きぎょうもとめる社員しゃいんぞう規模きぼ変化へんかしたことにより、企業きぎょう人材じんざいおくす、学校がっこう状況じょうきょう変化へんかした。企業きぎょう多数たすう正社員せいしゃいん必要ひつようとしなくなったため、大学だいがくても、企業きぎょう採用さいようしてもらえるとはかぎらなくなった。また、かく個人こじん価値かちかん多様たようなものとなり、学生がくせいほうでも、かならずしも一流いちりゅうだい企業きぎょうわれる企業きぎょうのぞまなくなった。これにより、「大学だいがくて、企業きぎょうはいる」というシステムがうまくはたらかなくなった。また、受験じゅけん競争きょうそう過熱かねつもあって、じゅく予備校よびこうなどが普及ふきゅうし、しょうなか高校こうこうにおける公立こうりつ学校がっこう地位ちい国立こくりつ学校がっこう私立しりつ学校がっこうくらべて低下ていかしており、一般いっぱん一流いちりゅうわれるような難易なんい社会しゃかいてき評価ひょうかたか大学だいがく進学しんがくするには、義務ぎむ教育きょういく公立こうりつこうによってなされる授業じゅぎょうのみではむずかしくなっており、保護ほごしゃにある程度ていど資力しりょくがないと教育きょういくようするコストを十分じゅうぶん負担ふたんすることが出来できなくなっている。

また地域ちいきによる教育きょういく格差かくさもあるため、地方ちほうそうせい会議かいぎでは、大学だいがく東京とうきょういちきょく集中しゅうちゅう問題もんだいされている[33]

地方ちほうにより産業さんぎょう構造こうぞう人口じんこう分布ぶんぷことなっているため、財政ざいせい状況じょうきょうにもがある。このため従来じゅうらいから公共こうきょう事業じぎょう補助ほじょきん地方ちほう交付こうふぜい交付こうふきんなどによってさい配分はいぶんおこなわれてきた[34]。しかし近年きんねん公共こうきょう事業じぎょう補助ほじょきん世論せろんもとめや財政ざいせい赤字あかじ拡大かくだいなか削減さくげんされており、これまでくに地方ちほうまわしていた予算よさん地方ちほう交付こうふぜい大幅おおはばらされたため、かさねられた地方ちほうさいなどの借金しゃっきん負担ふたんあいまって、財政ざいせい状況じょうきょうくるしくなる地方自治体ちほうじちたい相次あいついでいる。

森永もりなが卓郎たくろうは「首都しゅとけん中京ちゅうきょうけんといった都会とかいと、北海道ほっかいどう東北とうほく九州きゅうしゅうなどの地方ちほうでは、平均へいきん給料きゅうりょう失業しつぎょうりつ人口じんこう増加ぞうかりつなどほとんどの分野ぶんやている」と指摘してきしている[35]

地域ちいき格差かくさについては、エコノミストのたにひろしかいが「東京とうきょうはにぎわっているが、地方ちほう停滞ていたいしている」「名古屋なごやは、日本にっぽん一番いちばんさかえている」」などと、実態じったい乖離かいりしたイメージでかたられることが非常ひじょうおおいと指摘してきしている[36]

一方いっぽうで、地域ちいき格差かくさ拡大かくだいそのものにたいして否定ひていてき意見いけんもある。「日経にっけいビジネスオンライン」2007ねん8がつ7にちごう記事きじによれば、県民けんみん経済けいざい計算けいさん使用しようしてジニ係数けいすう作成さくせいすると、県民けんみん所得しょとく1990ねん平成へいせい2ねん)から2004ねん平成へいせい16ねん)にかけてジニ係数けいすう縮小しゅくしょうしており、地域ちいきあいだ格差かくさ縮小しゅくしょうしめしている。県内けんないそう生産せいさんでも1990ねんから2004ねんにかけてジニ係数けいすう縮小しゅくしょうしており、地域ちいきあいだ格差かくさ縮小しゅくしょうしめしている[37]。この記事きじでも、格差かくさについて実態じったい把握はあくせずイメージでかたられがちなことがべられている[37]。また、教育きょういく格差かくさにより社会しゃかい階層かいそうすすむという指摘してきもあるが、日本にっぽん高卒こうそつ大卒だいそつ生涯しょうがい賃金ちんぎん先進せんしんこくでも非常ひじょうひく部類ぶるいはいる。

山田やまだ昌弘まさひろは、

勉強べんきょうをして大学だいがくはいれば、企業きぎょうれるといった社会しゃかい仕組しくみ(パイプラインシステム)が、社会しゃかいがリスク社会しゃかいになることによって十分じゅうぶん機能きのうしなくなった。一方いっぽうで、パイプラインシステムは機能きのう停止ていしはしていないので、勉強べんきょうすればむくわれるとおもっているひとは、勉強べんきょうをすることによって企業きぎょう傾向けいこうにある一方いっぽうで、勉強べんきょうしても効果こうかはないとおもっているひとは、勉強べんきょうをせず就職しゅうしょくもうまくいかなくなる傾向けいこうにある」

指摘してきしている[38]

これに関連かんれんして、内田うちだいつきは、

上流じょうりゅう階層かいそう努力どりょくむくわれるとしんじており、下流かりゅう階層かいそう努力どりょくをしても意味いみはないとしんじている。
下流かりゅう勉強べんきょうをしても企業きぎょうれるとはかぎらない。だから勉強べんきょうをする必要ひつようはない」と、上流じょうりゅう「そもそも勉強べんきょうをしなければ企業きぎょうにはれない。だから勉強べんきょうをする」のちがい)
子供こども自分じぶん所属しょぞくする階層かいそう価値かちかんしたがうため、上流じょうりゅう階層かいそう子供こども勉強べんきょうをする一方いっぽうで、下流かりゅう階層かいそう子供こどもはむしろ勉強べんきょう否定ひていすることに価値かちいだす。こうして階層かいそう加速度かそくどてき進行しんこうした」

べている[39]

一流いちりゅう大学だいがくへの進学しんがく私立しりつ名門めいもん中高なかだか一貫いっかんこう有利ゆうりだが、学費がくひ高額こうがくであり入学にゅうがく試験しけん合格ごうかくするための学習がくしゅうじゅく学費がくひ無視むしできない金額きんがくである。これにたいし、公立こうりつこうなかにも中高なかだか一貫いっかんこうがあり学費がくひやすいが、藤田ふじた英典ひでのりは「小学生しょうがくせい自主じしゅてきとおくの公立こうりつ中高なかだか一貫いっかんこうえらぶことはありえず、おや関心かんしん選択せんたく優先ゆうせんすることとなり、公立こうりつ中高なかだか一貫いっかんこう教育きょういく熱心ねっしんめぐまれた家庭かてい生徒せいとばかりになる」と指摘してきしている[40]。また、国立こくりつ学校がっこうについては、学費がくひ公立こうりつ同様どうようやすいが、入学にゅうがくしゃ選抜せんばつには学力がくりょく試験しけんがあるため、その入試にゅうしけて教育きょういく熱心ねっしんであり、学習がくしゅうじゅくとう費用ひようをまかなえる経済けいざいりょくのある家庭かてい優秀ゆうしゅう子弟していあつまる傾向けいこうにあり、とく都市としにおいては私立しりつ名門めいもんこうおなじようにエリートこうしている。

日本にっぽん格差かくさ社会しゃかいかんする議論ぎろん[編集へんしゅう]

内閣ないかく太田おおたきよしは、若年じゃくねんそう所得しょとく格差かくさ原因げんいんとして正規せいき雇用こようしゃ構成こうせいたかまりをげており、1997ねん以降いこう景気けいき低迷ていめいくわえ、雇用こよう流動りゅうどうなどの構造こうぞうてき要因よういん寄与きよした可能かのうせい指摘してきしている[41]太田おおた論文ろんぶん「フリーターの増加ぞうか労働ろうどう所得しょとく格差かくさ拡大かくだい」(2005ねん)で、1997-2002ねんにすべての年齢ねんれいそうでジニ係数けいすうおおきくなっているが、とくに20だいと30だい若年じゃくねんそう所得しょとく格差かくさ拡大かくだいられることをあきらかにしている[42]。また太田おおたは、2003ねん以降いこう若年じゃくねんそう所得しょとく格差かくさ拡大かくだいまっていることを指摘してきしている[43]

三菱みつびし総合そうごう研究所けんきゅうじょ政策せいさく経済けいざい研究けんきゅうセンターは「日本にっぽんでジニ係数けいすう上昇じょうしょうしているおおきな要因よういん高齢こうれい進行しんこうにある。一般いっぱん若年じゃくねん世代せだい収入しゅうにゅう格差かくさちいさく、年齢ねんれいかさねるにつれ格差かくさひろがっていく。人口じんこう全体ぜんたい高齢こうれいすすめば格差かくさ拡大かくだいしていく」と指摘してきしている[44]

経済けいざい学者がくしゃ伊藤いとうおさむは「ジニ係数けいすうなどの数字すうじによる格差かくさおおきさが同義どうぎてき問題もんだいなのではなく、必要ひつよう最低限さいていげん生活せいかつができていない貧困ひんこんそう実在じつざいしている実態じったいこそが問題もんだいなのである」と指摘してきしている[45]

経済けいざい学者がくしゃ飯田いいだ泰之やすゆきは「1990年代ねんだいまつきょう深刻しんこくするだいいち段階だんかいでは、新卒しんそつ求人きゅうじん縮小しゅくしょうというかたち人員じんいん絞込しぼりこみがおこなわれ、格差かくさ問題もんだいんだ。雇用こよう格差かくさ問題もんだいかんがえるさいには、マクロ経済けいざい悪化あっかデフレーション影響えいきょう注目ちゅうもくする必要ひつようがある」と指摘してきしている[46]飯田いいだ日本にっぽん貧富ひんぷひろがった理由りゆうについて「富裕ふゆうそう減税げんぜいして貧困ひんこんそう増税ぞうぜいしたからである」と指摘してきしている[47]飯田いいだは「日本にっぽんさい配分はいぶん政策せいさくは、貧者ひんじゃからかねって富者ふしゃあたえているという側面そくめんがある。日本にっぽんさい配分はいぶん仕組しくみは、都市としの20-50だいから税金ぜいきんあつめ、60さい以上いじょうやしな仕組しくみとなっている。20-30だいまずしい状態じょうたいにある」と指摘してきしている[48]飯田いいだは「20だい貧困ひんこんりつは、税金ぜいきんまえよりもそれをさい配分はいぶんしたのちのほうがたかいというデータもあり、やらないほうがましとなっている。一方いっぽう高齢こうれいしゃあいだへのさい配分はいぶんはうまくいっている」と指摘してきしている[49]

経済けいざい学者がくしゃ原田はらだやすし大和総研だいわそうけんは「日本にっぽん格差かくさ拡大かくだいしている原因げんいんは、てい賃金ちんぎんのサービス労働ろうどう拡大かくだいにある」と指摘してきしている[50]原田はらだやすしは「若年じゃくねん失業しつぎょうりつは2002ねんにピークに下降かこうしたが、2002ねんさかい突然とつぜん若者わかもの社会しゃかい適応てきおう能力のうりょく上昇じょうしょうしたり、実業じつぎょう無視むし教育きょういく改善かいぜんしたり、若者わかもの自分じぶんさが思考しこう変化へんかしたということはありえない」と指摘してきしている[51]原田はらだは「1990年代ねんだい前半ぜんはんまで日本にっぽんでは若者わかもの格差かくさがなかったのに、1990年代ねんだいまつ以降いこう若者わかもの格差かくさ拡大かくだいするようになったのは、正社員せいしゃいんになれた若者わかものとフリーターのままの若者わかもの所得しょとく格差かくさおおきかったからである。正社員せいしゃいん同士どうし格差かくさより、正社員せいしゃいんとフリーターの格差かくさほうおおきいため、正社員せいしゃいんになれない若者わかもの比率ひりつたかまれば、所得しょとく格差かくさ拡大かくだいする。若者わかもの正社員せいしゃいんとフリーターに分化ぶんかしたもっとおおきな理由りゆうは、1980年代ねんだい景気けいきくて1990年代ねんだい以降いこう景気けいきわるかったからである。景気けいきければよりたか比率ひりつ若者わかもの正社員せいしゃいんになれるが、景気けいきわるければよりひく比率ひりつ若者わかものしか正社員せいしゃいんになれなくなり、若年じゃくねん失業しつぎょうしゃえる」と指摘してきしている[52]原田はらだは「格差かくさ拡大かくだい高齢こうれいともな現象げんしょうであり、高齢こうれい影響えいきょう調整ちょうせいしてみると、格差かくさひろがっていないというのがおおくの経済けいざい学者がくしゃ分析ぶんせき結果けっかである。1990年代ねんだい後半こうはん以降いこう若年じゃくねんそう所得しょとく格差かくさ拡大かくだいしたのは、正社員せいしゃいんになれた若者わかものとフリーターの若者わかもの所得しょとく格差かくさおおきかったからである。正社員せいしゃいん同士どうし格差かくさより、正社員せいしゃいん・フリーターの格差かくさほうおおきいため、正社員せいしゃいんになれない若者わかもの比率ひりつたかまれば、所得しょとく格差かくさ拡大かくだいする。そうなったもっとおおきな理由りゆうは、1990年代ねんだい景気けいきわるかったからである」と指摘してきしている[53]原田はらだやすしは「経済けいざい成長せいちょうへの貢献こうけん所得しょとく比例ひれいしない場合ばあいおおい。ただし、既存きそんとみ公正こうせいであるため、略奪りゃくだつするべきだとするかんがえは、社会しゃかい災厄さいやくむ」と指摘してきしている[54]原田はらだは「明治めいじ日本人にっぽんじんは、とみみずか創造そうぞうするものと認識にんしきしていた一方いっぽうで、昭和しょうわ初期しょき日本人にっぽんじんとみ略奪りゃくだつだと認識にんしきした。こういった認識にんしき戦争せんそうまねいた。また、戦前せんぜん昭和しょうわでも石橋いしばし湛山たんざんのように、とみ略奪りゃくだつとする認識にんしき否定ひていした日本人にっぽんじんもいた。戦後せんご繁栄はんえい平和へいわ自由じゆうは、戦前せんぜん昭和しょうわ否定ひていとみ創造そうぞうできると認識にんしきしたことからはじまったことをわすれてはならない」と指摘してきしている[55]原田はらだは「日本にっぽん社会しゃかい保障ほしょう政策せいさくには、格差かくさ縮小しゅくしょうしていないという問題もんだいがある。日本にっぽん社会しゃかい保障ほしょう政策せいさくは、貧困ひんこんそうおも負担ふたんひく給付きゅうふ貧困ひんこんそうかる負担ふたん手厚てあつ給付きゅうふおこなっている。これは、まずしくない高齢こうれいそうに、多額たがく年金ねんきん給付きゅうふされているからである」と指摘してきしている[56]原田はらだやすしは「ただこう所得しょとくしゃそう増税ぞうぜいするよりも、てい所得しょとくしゃそうたい子供こどもじゅくかよわせるための補助ほじょきんくばるなどの政策せいさく実行じっこうするほうが、日本にっぽんでは有効ゆうこう格差かくさ対策たいさくになる」と指摘してきしている[57]原田はらだやすしは、格差かくさ縮小しゅくしょうには経済けいざい成長せいちょうつづけることが重要じゅうようであると提言ていげんしている[58]原田はらだは「デフレ脱却だっきゃくは、日本にっぽんでは格差かくさ拡大かくだい対策たいさくになる」と指摘してきしている[57]原田はらだやすし大和総研だいわそうけんは「必要ひつようなのは、セーフティーネットを拡充かくじゅうすることで、無理むりやり格差かくさ是正ぜせいすることではない 」と指摘してきしている[59]

経済けいざい学者がくしゃ野口のぐちあさひ田中たなか秀臣ひでおみは「日本にっぽんてき雇用こようシステムが維持いじできなくなった原因げんいんは、効率こうりつせいではなくデフレによる実質じっしつ賃金ちんぎん上昇じょうしょうである」と指摘してきしている[60]

経済けいざい学者がくしゃ田中たなか秀臣ひでおみは「戦後せんごの『終身しゅうしん雇用こよう』は、景気けいきがよかったために出現しゅつげんした『長期ちょうき雇用こよう関係かんけい』にぎない。景気けいき次第しだいで『終身しゅうしん雇用こよう』は容易よういにご破算はさんになる可能かのうせいがあったにもかかわらず、おおくの労働ろうどうしゃはその幻想げんそう社会しゃかい通念つうねんしんじていた。つまり、会社かいしゃ組織そしきのありかたよりも、景気けいき動向どうこうなどのマクロ経済けいざい要因よういんほう影響えいきょうおおきかった」と指摘してきしている[61]田中たなか秀臣ひでおみは「中小ちゅうしょう企業きぎょうでは、戦後せんご一貫いっかんして雇用こよう流動りゅうどうせいたかかった[62]」「中小ちゅうしょう企業きぎょう労働ろうどうしゃななわりは、定年ていねんまでにすうかい転職てんしょくおこなっている[63]」と指摘してきしている。田中たなか秀臣ひでおみは「きょう悪化あっかすると、やす採用さいようコスト・賃金ちんぎん労働ろうどうしゃ調達ちょうたつできる。結果けっか正規せいき雇用こようえる」と指摘してきしている[64]田中たなかは「きょうは、どう世代せだい正規せいき雇用こようしゃ正規せいき雇用こようしゃとのあいだ経済けいざい格差かくさをもたらし、同時どうじにバブルまでの市場いちば就職しゅうしょくした世代せだいとそれ以降いこう世代せだいあいだ世代せだいあいだ経済けいざい格差かくさをもたらしている」と指摘してきしている[65]田中たなか秀臣ひでおみは「経済けいざい格差かくさは、きょう原因げんいんとした新卒しんそつ市場いちばでの就職しゅうしょくなん中高年ちゅうこうねんリストラ起因きいんしている[66]」「『格差かくさ社会しゃかい』は、1990年代ねんだいからの長期ちょうきてき停滞ていたいがもたした雇用こよう悪化あっかもとづいている。わか世代せだい正規せいきしょく従事じゅうじしているひとたち増加ぞうかしたことで所得しょとく格差かくさ拡大かくだいしていることでもある[67]」と指摘してきしている。田中たなかは「『格差かくさ社会しゃかい』は、長期ちょうきにわたるだい停滞ていたい産物さんぶつであり、構造こうぞうてき問題もんだいというよりも、きょう長期ちょうきがもたらしたものである。『格差かくさ社会しゃかい』は、短期たんきてき問題もんだいであるはずの景気けいき循環じゅんかんてき問題もんだいであり、政府せいふ政策せいさく失敗しっぱいによって長期ちょうきしたことが問題もんだい真相しんそうである」と指摘してきしている[68]田中たなか秀臣ひでおみは「若年じゃくねんそう所得しょとく格差かくさ拡大かくだいには、フリーターの増加ぞうかおおきく関係かんけいしており、景気けいき回復かいふくもっと効果こうかてきである」と指摘してきしている[69]田中たなかは「若年じゃくねんそう世代せだいあいだ格差かくさは1997ねん以降いこう拡大かくだいしていったが、2003ねん以降いこう景気けいき回復かいふくによって若年じゃくねんそう所得しょとく低下ていか歯止はどめがかかっている」と指摘してきしている[70]田中たなかは、フリーターのかずは2002ねんは208まんにんであったが、2007ねんには181まんにんまでに低下ていかしている[71]べている。

経済けいざい学者がくしゃ竹中たけなか平蔵へいぞうは「戦前せんぜん日本にっぽん強国きょうこくなかでももっと所得しょとく格差かくさおおきいくにひとつであった。日本にっぽん平等びょうどう社会しゃかいは、高度こうど成長せいちょう時代じだいのごくかぎられた期間きかん実現じつげんした特殊とくしゅ現象げんしょうである。日本にっぽんはもともと文化ぶんかてき社会しゃかいてき極端きょくたん平等びょうどうくにではなかった」と主張しゅちょうしている[72]竹中たけなかは「日本にっぽん所得しょとく不平等ふびょうどうは、1980年代ねんだいから1990年代ねんだいはいって一気いっきたかまったという事実じじつ重要じゅうようである」と指摘してきしている[73]竹中たけなかは「1920年代ねんだいに、日本にっぽんがた雇用こよう慣行かんこう基礎きそができあがった。それ以前いぜん日本にっぽんは、従業じゅうぎょういん定着ていちゃくりつきわめてひくく、従業じゅうぎょういん企業きぎょうたいする忠誠ちゅうせいしんひくかったとかんがえられている。1920年代ねんだいまれひろがった終身しゅうしん雇用こよう定期ていき昇給しょうきゅうは、戦後せんご定着ていちゃくし、労働ろうどう生産せいさんせい長期ちょうき安定あんていてき改善かいぜんかうための重要じゅうよう基盤きばんがつくられた。日本にっぽんがた雇用こよう慣行かんこう歴史れきしあさいものであり、けっして日本にっぽん固有こゆう文化ぶんかざしたものではなかった」と指摘してきしている[74]竹中たけなか平蔵へいぞうは「格差かくさそのものがダメなのではなく、格差かくさ固定こていされることがダメなのである。格差かくさ固定こていされている社会しゃかいは、非常ひじょう閉塞へいそくかんがある。日本にっぽん社会しゃかいは、意外いがい格差かくさ固定こていされている。おや所得しょとく格差かくさによって、金持かねもちがさい生産せいさんされるシステムが日本にっぽんにはある。所得しょとく格差かくさがあっても、自分じぶんこう所得しょとくしゃになれるというチャンスがある社会しゃかいは、ゆめのある社会しゃかいであり、わる社会しゃかいではない」と指摘してきしている[75]竹中たけなかは「重要じゅうようなのは、競争きょうそう否定ひていすることではなく、だれもが平等びょうどう競争きょうそうかっていける環境かんきょうととのえることである」と指摘してきしている[76]竹中たけなかは「本来ほんらい重要じゅうようなのは、生涯しょうがい所得しょとく比較ひかくである」と指摘してきしている[77]

池田いけだ信夫しのぶは「派遣はけん労働ろうどう規制きせい緩和かんわ格差かくさ原因げんいんである」という議論ぎろんについて、「原因げんいん結果けっかちがえており、派遣はけん労働ろうどうしゃ正規せいき雇用こようの8%にぎない」と指摘してきしている(2009ねん時点じてん[78]池田いけだ信夫しのぶは「格差かくさ拡大かくだい原因げんいんは、市場いちば原理げんり主義しゅぎ構造こうぞう改革かいかくではなく、バブル崩壊ほうかい長期ちょうき不況ふきょうである」と指摘してきしている[79]池田いけだは「格差かくさ原因げんいんは『しん自由じゆう主義しゅぎ』ではなく、1990年代ねんだい終身しゅうしん雇用こよう維持いじできなくなった状況じょうきょうで、中高年ちゅうこうねん社員しゃいんまもるために若年じゃくねんそう犠牲ぎせいにした結果けっかなのである」と指摘してきしている[80]池田いけだは、雇用こよう規制きせい緩和かんわ主張しゅちょうし「労働ろうどう市場いちば柔軟じゅうなんになれば、新卒しんそつ就職しゅうしょくできなかったひと一生いっしょう台無だいなしにするような絶対ぜったいてき格差かくさがなくなる。問題もんだい結果けっか平等びょうどうではなく機会きかい平等びょうどうである」と指摘してきしている[81]池田いけだは「格差かくさたんなる所得しょとくかんがえるかぎり、解決かいけつ簡単かんたんであり、こう所得しょとくしゃ課税かぜいてい所得しょとくしゃ分配ぶんぱいすればよい。ただし増税ぞうぜいについて国民こくみん合意ごういることは困難こんなんである」と指摘してきしている[82]

経済けいざい学者がくしゃ伊藤いとう元重もとしげは「戦後せんご日本にっぽんのすべての企業きぎょう終身しゅうしん雇用こよう年功ねんこう賃金ちんぎん企業きぎょうべつ労働ろうどう組合くみあいといった慣行かんこうっていたわけではなく、こうした慣行かんこうとは無縁むえん労働ろうどうしゃ多数たすう存在そんざいした」と指摘してきしている[83]伊藤いとうは「経済けいざい成熟せいじゅくし、少子しょうし高齢こうれいすすなか日本にっぽんてき雇用こよう慣行かんこう維持いじすることが困難こんなんとなっている」と指摘してきしている[83]

社会しゃかい学者がくしゃ山田やまだ昌弘まさひろは、格差かくさには、上位じょういそうがますますくなる「うえばなれ」と、下位かいそうがさらにむ「底抜そこぬけ」(たとえばワーキングプアなど)があるとし、このうち「底抜そこぬけ」の増加ぞうかが、社会しゃかいあたえる不安ふあんおおきくなるとしている[19]。「底抜そこぬけ」そうは、収入しゅうにゅうひくい、努力どりょくむくわれないとおもう、 未来みらい希望きぼうがもてない、などの特性とくせいつため、このそう増加ぞうか社会しゃかい活力かつりょくうしなわれたり、犯罪はんざい増加ぞうかなどにより社会しゃかい不安定ふあんていするとしている[19]山田やまだは、大元おおもとには「なに格差かくさととらえるか」という国民こくみん意識いしき変化へんかがあり、そして意識いしき変化へんかには社会しゃかい変化へんか影響えいきょうあたえている[19]とする。また山田やまだは、家庭かていのありかたわったことも指摘してきする。だい家族かぞくで、おっとそとはたらき、つま専業せんぎょう主婦しゅふとして家事かじをこなすというモデルが主流しゅりゅうであったころは、つぎのような対策たいさくることによって社会しゃかいリスクを回避かいひし、格差かくさ顕在けんざいさせなかった[19]家庭かていかせしゅおっとのため、年功序列ねんこうじょれつ制度せいどによって将来しょうらい収入しゅうにゅうぞう見通みとおしをてるとともに、おっとくなった場合ばあい遺族いぞく年金ねんきんなどによって収入しゅうにゅうをカバーしていた。老化ろうかはたらけなくなった場合ばあいは、子供こどもやしなってもらうことによって生活せいかつすることを前提ぜんていとしていた。だが、この家庭かていモデルはかく家族かぞく、さらには離婚りこん増加ぞうかによるひとりおや家庭かてい増加ぞうかによってくずれていく。さらに「社会しゃかいリスクを回避かいひするためのもの」だった家庭かていは、社会しゃかい変化へんかによってぎゃくに「社会しゃかいリスクを増幅ぞうふくし、格差かくさ生産せいさんするためのもの」へとその役割やくわりえていった[19]。ライフステージののなかで、おもに3つの段階だんかい格差かくさ発生はっせいする[19]就職しゅうしょく生涯しょうがい収入しゅうにゅうふかかかわるため失敗しっぱいすると格差かくさしょうじる。とく日本にっぽんのように新卒しんそつ一括いっかつ採用さいようかたよっていると、さいチャレンジ機会きかいすくなく格差かくさ固定こていされやすい。出産しゅっさん育児いくじ時期じき労働ろうどう機会きかいるため、リスクにさらされたときに格差かくさしょうじやすい。また老人ろうじんになると、収入しゅうにゅうえる機会きかい激減げきげんする一方いっぽうで、健康けんこうがいするなどリスクがたかまる。さらに「子供こどもがいる・いない」「いえがある・い」「たくわえがある・い」といった状況じょうきょうちがいがひとによってあるため、格差かくさしょうじやすくなる。ただし、高齢こうれいしゃ所得しょとく貯蓄ちょちく水準すいじゅん様々さまざまでありいちくくりにすることは現実げんじつてきではない[84]

山田やまだ昌弘まさひろ教育きょういく社会しゃかい学者がくしゃ苅谷かりや剛彦たけひこは、「努力どりょくむくわれる社会しゃかい以前いぜんに、「格差かくさ社会しゃかいにおいては、努力どりょくする環境かんきょう格差かくさしょうじている(おや収入しゅうにゅう教育きょういく水準すいじゅん教育きょういくたいする意識いしきとう家庭かてい環境かんきょう子供こどものやるとう)」と指摘してきしている[19][85]

大竹おおたけ文雄ふみおは「『おとこ正規せいき』は、かつてうまく機能きのうしていた制度せいど慣行かんこうが、効率こうりつせい安心あんしん障害しょうがいとなってしまうことがあるという実例じつれいである」と指摘してきしている[86]大竹おおたけは「かつては正規せいき雇用こようしゃ雇用こよう調整ちょうせいは、深刻しんこく貧困ひんこん問題もんだいこさなかったが、世帯せたいぬし単身たんしん男性だんせい正規せいき雇用こようしゃとして増加ぞうかしたため、正規せいき雇用こよう雇用こよう調整ちょうせい貧困ひんこん問題もんだい直結ちょっけつするようになった。1990ねんなかばまで、正規せいき雇用こよう中心ちゅうしん既婚きこん女性じょせい労働ろうどうしゃであり、家計かけい生計せいけいおもにな存在そんざいではなかった。家計かけい所得しょとく補助ほじょてき役割やくわりを、正規せいき雇用こようしゃになっていたのである」と指摘してきしている[87]大竹おおたけは「正規せいき雇用こよう雇用こよう調整ちょうせいべん位置いちづけ、その増加ぞうかをデフレ労務ろうむ削減さくげんツールとすることで、正規せいき雇用こよう解雇かいこ規制きせい賃金ちんぎんまもっていくという戦略せんりゃくに、経団連けいだんれん連合れんごう利害りがい一致いっちした。少数しょうすう正規せいき雇用こよう過重かじゅう労働ろうどう多数たすう正規せいき雇用こよう不安定ふあんていというきょくきたのは当然とうぜん帰結きけつである」と指摘してきしている[88]大竹おおたけは「『正規せいきり』に象徴しょうちょうされる問題もんだいは、雇用こようきょくという格差かくさ社会しゃかい全体ぜんたい不安定ふあんてい閉塞へいそくかんである。世代せだいあいだ不公平ふこうへい固定こていされてしまうことは問題もんだいである」と指摘してきしている[89]大竹おおたけは「日本にっぽん格差かくさ社会しゃかいであることを否定ひていしない。日本にっぽん所得しょとく格差かくさ拡大かくだい要因よういん高齢こうれいである。現在げんざい所得しょとくだけで格差かくさ社会しゃかい議論ぎろんしてもあまり意味いみがなく、資産しさん将来しょうらい所得しょとくふくめた生涯しょうがい所得しょとく格差かくさこそ大事だいじで、その生涯しょうがい所得しょとく格差かくさ拡大かくだいすで観察かんさつされている。現在げんざい(2008ねん)が格差かくさ社会しゃかいであるというのなら1970年代ねんだい・1980年代ねんだい日本にっぽん格差かくさ社会しゃかいだったのであり、『いちおくそう中流ちゅうりゅう』こそ幻想げんそうだったということである。日本にっぽん所得しょとく格差かくさひくえたのは、まだ所得しょとくがない若者わかもの人口じんこう比率ひりつたかかったことが原因げんいんである」と指摘してきしている[90]大竹おおたけは「人々ひとびと努力どりょく水準すいじゅん把握はあくすることは、もっとむずかしいことのひとつである。ひとによってまれもっての素質そしつちがうため、おな成果せいかるために必要ひつようとされる努力どりょく水準すいじゅんは、おおきくことなる」と指摘してきしている[91]大竹おおたけ文雄ふみおは、格差かくさ解消かいしょうについて、経済けいざいがくでは「市場いちば競争きょうそうによって効率こうりつせいたかめ、貧困ひんこん問題もんだいセーフティーネットによる所得しょとくさい配分はいぶん解決かいけつすることがのぞましい」とされている[92]大竹おおたけは「おおくの経済けいざい学者がくしゃは、市場いちば競争きょうそうゆたかさ・成果せいか分配ぶんぱいすることで格差かくさ対処たいしょすべきだとかんがえている」と指摘してきしている[93]大竹おおたけは、市場いちば競争きょうそう格差かくさ発生はっせいした場合ばあい政府せいふによる社会しゃかい保障ほしょうつうじたさい配分はいぶん政策せいさくてい所得しょとくしゃ技能ぎのうにつけさせ、たか所得しょとくられるための教育きょういく訓練くんれん拡充かくじゅう、の2つの対策たいさくがあるとしている[94]。また大竹おおたけは「規制きせい強化きょうかすると、規制きせいわくうちひとなかでの格差かくさ縮小しゅくしょうするが、規制きせい枠外わくがいひとたちとの格差かくさ拡大かくだいする。規制きせいわくないれるかどうかで、うん不運ふうん要素ようそおおきくなる」と指摘してきしている[95]

経済けいざい学者がくしゃ土居どいたけろうは「格差かくさ拡大かくだいへの批判ひはん世界せかいてききているが、その内容ないよう権利けんり機会きかい平等びょうどううったえるものと、結果けっか平等びょうどううったえているものがいる。日本にっぽんでは、どちらかといえば結果けっか平等びょうどううったえるものおおい。これはあやうい傾向けいこうである」と指摘してきしている[96]

経済けいざい学者がくしゃ高橋たかはし洋一よういちは「日本にっぽん格差かくさは、アングロサクソンくにくらべればそれほどではなく、高齢こうれい説明せつめいできる程度ていどである」と指摘してきしている[97]

経済けいざい学者がくしゃ岩田いわた規久男きくおは「さい配分はいぶんぜん所得しょとく格差かくさ拡大かくだいさせる最大さいだい要因よういんは、完全かんぜん雇用こよう達成たっせいできないてい成長せいちょうつづくことにある」と指摘してきしている[98]岩田いわたは「長期ちょうきてきには、金融きんゆう政策せいさくによるマクロ経済けいざい安定あんていともなった経済けいざい改革かいかくは、成長せいちょうりつげ、格差かくさ拡大かくだい抑制よくせいできる」と指摘してきしている[99]

経済けいざい学者がくしゃ若田部わかたべあきらきよしは「格差かくさ是正ぜせいをいかにおこなうべきか。税制ぜいせいだけでなく、教育きょういく立法りっぽうによる機会きかい不平等ふびょうどう格差かくさ是正ぜせい重要じゅうようである」と指摘してきしている[100]若田部わかたべは「貧困ひんこん原因げんいんとして自己じこ責任せきにん部分ぶぶんがあったとしても、自己じこ責任せきにんえない状況じょうきょう自己じこ責任せきにんうのは論理ろんりてきではない」と指摘してきしている[101]

経済けいざい学者がくしゃ松原まつばらさとしは「貧富ひんぷはげしい社会しゃかいでは、犯罪はんざい発生はっせいしやすくなる」と指摘してきしている[102]

経済けいざい学者がくしゃ吉川よしかわひろしは「偶然ぐうぜん左右さゆうされる分配ぶんぱい放置ほうちすれば、社会しゃかい安定あんていおおきくそこなう。よって『結果けっか平等びょうどう』をもとめるのはそれなりに合理ごうりせいがある」と指摘してきしている[103]

三橋みつはし貴明たかあきは「資本しほん主義しゅぎである以上いじょう、ある程度ていど人々ひとびとあいだ格差かくさしょう拡大かくだいするのはたりまえである。歴史れきしじょう人々ひとびとあいだ格差かくさ存在そんざいしなかった時代じだいなど、いちたりとも存在そんざいしない[104]」「実際じっさい問題もんだい日本にっぽん所得しょとく問題もんだい貧困ひんこんりつ格差かくさ拡大かくだいではなく、名目めいもくGDPが成長せいちょうしていないことであり、人々ひとびと所得しょとく水準すいじゅん上昇じょうしょうしていないことにある[105]」と指摘してきしている。

加藤かとうたいさんは「現実げんじつ格差かくさおおきさと、格差かくさ意識いしき深刻しんこくさとは関係かんけいない」と主張しゅちょうする[106]加藤かとうは「ぐみ」は日本にっぽん以上いじょう格差かくさおおきいアメリカにもない概念がいねんであり、現代げんだい日本にっぽん社会しゃかいカレン・ホルナイ神経症しんけいしょうてき競争きょうそうにとらわれたひとたちが必要ひつよう敵対てきたい意識いしきってしまっていることをしめすものだとしている[107]

トマ・ピケティ日本にっぽん格差かくさについて「日本にっぽんは1950ねんから1980ねんにかけて目覚めざましい経済けいざい成長せいちょうげたが、いま(2014ねん)の成長せいちょうりつひくく、人口じんこう減少げんしょうしている。成長せいちょうりつひくくには、経済けいざい全体ぜんたいのパイが拡大かくだいしないため、相続そうぞく資産しさんおおきな意味いみつ。資産しさん相続そうぞくとはえんがなく、はたらくことで収入しゅうにゅう生活せいかつする一般いっぱんひとたちは、賃金ちんぎんがりづらいことからとみにすることがむずかしくなっている。その結果けっか格差かくさ拡大かくだいしやすい」と指摘してきしている[108]

経済けいざい学者がくしゃゲイリー・ベッカーは「日本にっぽん経済けいざい格差かくさ原因げんいんきょうであり、景気けいき回復かいふくつづけば問題もんだい大半たいはん解消かいしょうされる」と指摘してきしている[109]

社会しゃかい政治せいじ学者がくしゃマルガリータ・エステベス・アベは、日本にっぽんでは年功序列ねんこうじょれつ終身しゅうしん雇用こよう慣行かんこう代表だいひょうされる正社員せいしゃいん雇用こよう保護ほごつよく、均等きんとう待遇たいぐう実現じつげんむずかしくしていると指摘してきしている[110]

世界せかいてき傾向けいこう[編集へんしゅう]

国際こくさい通貨つうか基金ききん報告ほうこくしょ『World Economic Outlook Oct.2007』では、過去かこ20年間ねんかん傾向けいこうとして、ほとんどのくに地域ちいき所得しょとく国内こくない格差かくさ拡大かくだいしているとしている[9]

経済けいざい学者がくしゃトマ・ピケティは「ヨーロッパや日本にっぽんではいま(2014ねん)、20世紀せいき初頭しょとうおなじレベルにまで格差かくさひろがっている。格差かくさのレベルは、だいいち世界せかい大戦たいせんより以前いぜん水準すいじゅんまで逆戻ぎゃくもどりしている」と指摘してきしている[108]

EU における社会しゃかいてき保護ほご社会しゃかいてき包摂ほうせつかんする指標しひょう
EU における社会しゃかいてき保護ほご社会しゃかいてき包摂ほうせつかんする指標しひょう(2008ねん)[111][112]
指標しひょう
1a 貧困ひんこんりつ さい分配ぶんぱい世帯せたい等価とうか所得しょとく中央ちゅうおうの60%以下いか世帯せたいぞくする人数にんずう割合わりあい
1b 貧困ひんこんギャップの相対そうたいてき中央ちゅうおう 貧困ひんこんせん以下いか所得しょとくもの中央ちゅうおう貧困ひんこんせん差異さい
1c 貧困ひんこん継続けいぞく 過去かこ3ねんのうちすくなくとも2ねんにおいて、世帯せたい等価とうか所得しょとく中央ちゅうおうの60%以下いか世帯せたいぞくする人数にんずう
2 所得しょとく分配ぶんぱいりつ 所得しょとくふん位階いかいきゅう最下さいかそうたいするさい上層じょうそう所得しょとく比率ひりつ
3 健康けんこう寿命じゅみょう 0さい、45さい、65さいもの健康けんこう状態じょうたい生活せいかつすることが期待きたいされる年数ねんすう
4 てい学歴がくれきりつ 18-24さいもののうち、セカンドエデュケーション以下いかで、最近さいきん4週間しゅうかん以内いない教育きょういく訓練くんれんをうけていないもの割合わりあい
5 1人ひとり就労しゅうろうしゃのいない世帯せたいぞくする人数にんずう 1人ひとり就労しゅうろうしゃのいない世帯せたいむ 0-59 さい割合わりあい
6 公的こうてき社会しゃかい支出ししゅつ見積みつもり GDP にめるぜん公的こうてき社会しゃかい支出ししゅつ年金ねんきん医療いりょう介護かいご教育きょういく失業しつぎょうしゃ)の年齢ねんれいごとの見積みつもり(現在げんざいのレベル、見積みつもられる変化へんか
7a 高齢こうれいしゃ所得しょとく相対そうたいてき中央ちゅうおう 65さい以上いじょう所得しょとく中央ちゅうおうを 65さい未満みまん所得しょとく中央ちゅうおうったりつ
7b 総合そうごう代替だいたいりつ 50-59さいまでの個人こじん労働ろうどう収入しゅうにゅう中央ちゅうおう比較ひかくした年金ねんきん以外いがい公的こうてき扶助ふじょのぞいた65-74さいまでの個人こじん年金ねんきん収入しゅうにゅう中央ちゅうおう
8 医療いりょうにおける自己じこ申告しんこく対処たいしょされていない必要ひつようせい 所得しょとく5ふん位階いかいきゅうごとの、金銭きんせんてき問題もんだい時間じかん問題もんだい距離きょり問題もんだい理由りゆうとした、医療いりょうにおける自己じこ申告しんこく対処たいしょされていない必要ひつようせい最近さいきん 12 カ月かげつあいだ一般いっぱん専門医せんもんいへの訪問ほうもんすうとともに分析ぶんせき
9 時期じき固定こていした貧困ひんこんリスク インフレを調整ちょうせいした、2004ねん収入しゅうにゅうから積算せきさんした貧困ひんこんせん以下いか収入しゅうにゅうもの割合わりあい
10 中高年ちゅうこうねん雇用こようりつ 55-59さいおよび60-64さい年代ねんだいめる被用者ひようしゃ割合わりあい
11 労働ろうどうしゃ貧困ひんこんリスク 被用者ひようしゃ分類ぶんるいされ、貧困ひんこんリスクがあるもの
12 雇用こようりつ 15-64さいまでの被用者ひようしゃ失業しつぎょうしゃ割合わりあい
13 地域ちいき結束けっそく 加重かじゅう国家こっか平均へいきんによる地域ちいき就職しゅうしょくりつ標準ひょうじゅん偏差へんさ
14 一人ひとりたりそう医療いりょう支出ししゅつ 一人ひとりたりそう医療いりょう支出ししゅつ

アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく[編集へんしゅう]

アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくにおける1%の富裕ふゆうそう収入しゅうにゅう比率ひりつ

アメリカンドリーム」という言葉ことばがあるアメリカだが、とくレーガノミクス以降いこう格差かくさ拡大かくだい固定こてい危惧きぐされている[113]たとえば、ニューヨーク上位じょういそう下位かいそう格差かくさうえ2わりした2わり所得しょとく比率ひりつ)は、40ばいとなっており、このなかには黒人こくじんそう失業しつぎょうりつたかいなど、人種じんしゅ問題もんだいかげとしているとされる[113]。2011ねん10がつには、「たった1パーセントの富裕ふゆうそうのこりの99パーセントを搾取さくしゅしている」とさけ人々ひとびとによる抗議こうぎ行動こうどうウォうぉル街るがい占拠せんきょせよ」が展開てんかいされた。

1980年代ねんだいのアメリカで貧富ひんぷ格差かくさ拡大かくだいしたとされる統計とうけいデータ、「富裕ふゆうそうがよりゆたかになり、貧困ひんこんそうはそのままであった」という見解けんかいについて、経済けいざい学者がくしゃスティーヴン・ランズバーグは、

  1. 1980年代ねんだいのアメリカでは所得しょとく税率ぜいりつ大幅おおはばげが実施じっしされた。税率ぜいりつがると、ひと所得しょとくかくしに熱心ねっしんでなくなる。それだけで富裕ふゆうそう所得しょとく上昇じょうしょうしたかのようにえる。てい所得しょとくしゃそうは、税率ぜいりつひく賃金ちんぎんなど捕捉ほそくされやすい収入しゅうにゅうおも所得しょとくげんであるため、所得しょとくの100%を申告しんこくする。よって、てい所得しょとくしゃそう所得しょとく変化へんかはない。一方いっぽうこう所得しょとくしゃ所得しょとくかくしの動機どうき機会きかいおおいが税率ぜいりつがれば、所得しょとくかくしをしなくなる。結果けっかこう所得しょとくしゃそう所得しょとく格差かくさひろがったようにえる
  2. 家庭かてい崩壊ほうかい貧困ひんこん拡大かくだいがあったかのような統計とうけいてき錯覚さっかくんだ。家族かぞく離散りさんすると中産ちゅうさん階級かいきゅう世帯せたいが1つなくなり、そのかわりてい所得しょとくしゃそうが2つまれる
  3. 年間ねんかん所得しょとく格差かくさかならずしも生涯しょうがい所得しょとく格差かくさ拡大かくだい意味いみしない

反論はんろんしている[114]

フリードリヒ・ハイエクは、自由じゆう伝統でんとうつアメリカで、「社会しゃかい保障ほしょう制度せいど」「累進るいしん課税かぜい」など「結果けっか平等びょうどう」を目指めざした政策せいさく導入どうにゅうされた結果けっか自由じゆうへの脅威きょういまれたとかんがえていた[115]

ノーベル経済けいざいがくしょう受賞じゅしょうしゃポール・クルーグマンは、格差かくさ拡大かくだいおもに「市場いちば原理げんり主義しゅぎ」が原因げんいんだとしている[116]。クルーグマンによれば、「研究けんきゅうしゃあいだでは、技術ぎじゅつ革新かくしんではなくて、結局けっきょくアメリカ政治せいじみぎにシフトしたことで、平等びょうどう促進そくしんしてきた規制きせい制度せいどそこなわれ、そのことが不平等ふびょうどう格差かくさ拡大かくだいするうえで決定的けっていてき役割やくわりたしてきたと理解りかいされるようになった」としている[117]。また、格差かくさ拡大かくだいは「グローバリゼーションが主要しゅよう要素ようそではない」「グローバリゼーションがこした格差かくさは、ひろ格差かくさ問題もんだいのほんの一部いちぶ」と指摘してきしている[116]

ノーベル経済けいざいがくしょう受賞じゅしょうしゃジョセフ・E・スティグリッツは「先進せんしん経済けいざい諸国しょこくなかで、アメリカは壊滅かいめつてきなマクロ経済けいざい結果けっか所得しょとく機会きかいにおける格差かくさ最悪さいあくである。アメリカのGDPはこの40年間ねんかんで4ばい以上いじょうとなり、この25年間ねんかん倍増ばいぞうしているが、利益りえきはトップに集中しゅうちゅうしている。アメリカじんあいだでの格差かくさは、富裕ふゆうそうへの減税げんぜい金融きんゆう機関きかんへの規制きせい緩和かんわともない、30ねんまえから拡大かくだいしはじめた。インフラ、教育きょういく健康けんこう保険ほけん制度せいど、さらに社会しゃかいてきセーフティーネットへの投資とうしらすにつれ格差かくさいちじるしくなった。拡大かくだいする格差かくさは、アメリカの政治せいじ制度せいど民主みんしゅてき国家こっか統治とうちむしばまれることでますます強化きょうかされている[118]」「先進せんしん工業こうぎょうこくなかでアメリカがもっとも格差かくさがひどいのは、規制きせい緩和かんわという政策せいさくのせいであり、規制きせい緩和かんわのせいで、不安定ふあんていせい効率こうりつせい不平等ふびょうどうせいがアメリカにもたらされた[119]」と指摘してきしている。

政治せいじ学者がくしゃのジェイコブ・ハッカーとポール・ピアソンはその著書ちょしょWinner-Take-All Politics勝者しょうしゃがすべてを政治せいじ)』で、アメリカの不平等ふびょうどう拡大かくだい経済けいざい構造こうぞう変化へんかでなく、政治せいじ変質へんしつによるものだと分析ぶんせきした[120]

中野なかの剛志たけしは、2011ねん現在げんざいのアメリカは貧富ひんぷ格差かくさ拡大かくだいし、中間なかまそううしなわれており、オバマ政権せいけん中間なかまそう再生さいせい失敗しっぱいしたとしており、アメリカが対外たいがいてきかせげそうな分野ぶんやは、農業のうぎょうのようないち産業さんぎょうか、金融きんゆう保険ほけんソフトウェアのようなさん産業さんぎょうであるが、農業のうぎょうだい規模きぼ効率こうりつしており、金融きんゆう保険ほけん・ソフトウェアの分野ぶんやかせぐことができるのは高学歴こうがくれきエリートそうだけであり、雇用こよう拡大かくだい所得しょとく格差かくさ是正ぜせいには程遠ほどとおいとしている[121]。さらに、格差かくさ是正ぜせいには権力けんりょく地位ちい支配しはいしている富裕ふゆうそう既得きとく権益けんえきあきらめて所得しょとくさい分配ぶんぱい同意どういする必要ひつようがあることや、アメリカはイデオロギーてき貧富ひんぷ格差かくさには寛容かんよう国民こくみんであること、自助じじょ努力どりょくもとめる建国けんこく以来いらい精神せいしんなどが障害しょうがいとなっており、アメリカはさらなる金融きんゆう帝国ていこくすすめ、グローバル・インバランスをさらに拡大かくだいさせていくというプロセスにはいっていかざるをないとしている[122]

週刊しゅうかん東洋とうよう経済けいざいは、アメリカでの格差かくさ拡大かくだい原因げんいんとして以下いかげている[113]

フランス[編集へんしゅう]

フランスは、2007ねん時点じてんでは経済けいざい好調こうちょうなものの、雇用こよう格差かくさおおきく若年じゃくねんそう移民いみん失業しつぎょうりつたかいため、2005ねんパリ郊外こうがい暴動ぼうどう事件じけんこるなど社会しゃかい問題もんだいとなっている[113]

フランスは労働ろうどうしゃ手厚てあつ保護ほごしているが、これが雇用こよう格差かくさしているとされている[113]

  • 解雇かいこ制限せいげんによる就業しゅうぎょう機会きかい減少げんしょう - 上述じょうじゅつしたとおり、労働ろうどうしゃ労働ろうどうほうによって手厚てあつまもられているため、経営けいえいしゃ解雇かいこがしづらい。解雇かいこ困難こんなんなため、経営けいえいしゃ景気けいきとう対応たいおうして雇用こよう調整ちょうせいおこなうことが簡単かんたんにはできない。その結果けっか新規しんき雇用こようのリスクがたかくなってしまっている[113]
  • 最低さいてい賃金ちんぎんたかさによる就業しゅうぎょう機会きかい減少げんしょう - フランスの最低さいてい賃金ちんぎんは、欧州おうしゅうでもたか水準すいじゅんとなっている。そのため、技能ぎのう水準すいじゅんひくく、経験けいけんすくない若年じゃくねんそうやといづらくなる[113]かり自社じしゃには不適切ふてきせつものやとってしまったとしても、解雇かいこしづらく、たか賃金ちんぎん支払しはらわなければならない状況じょうきょうでは、経営けいえいしゃ雇用こようたいして慎重しんちょうになる。フランスの雇用こよう政策せいさくは、「現在げんざい雇用こようまもわりに、あらたな雇用こよう機会きかいうばう」かたちとなってしまっており、これが雇用こよう格差かくさしているという[113]

ワークシェアリングとして導入どうにゅうされた「しゅう35あいだ労働ろうどう」も、雇用こよう拡大かくだい役立やくだたず、経済けいざい成長せいちょう鈍化どんかさせているとして批判ひはんされている[113]。その対策たいさくとして、若者わかもの対象たいしょうにレイオフ可能かのう体制たいせいをとることで若者わかものやといやすくすることが必要ひつようかんがえられたが[113]、このかんがえにもとづいて政府せいふ推進すいしんしたCPE(初期しょき雇用こよう契約けいやくほう改正かいせいは、とう若者わかもの反発はんぱつけて頓挫とんざした。

韓国かんこく[編集へんしゅう]

アジア通貨つうか危機きき以降いこう慢性まんせいてききょう雇用こよう不足ふそくつづいているうえ伝統でんとうてき男女だんじょ格差かくさ地域ちいき対立たいりつ学歴がくれき崇拝すうはい存在そんざいしそれがおおきな社会しゃかい格差かくさしている。ただ韓国かんこく場合ばあい大学だいがく進学しんがくりつは9わりえ、格差かくさ学歴がくれきあいだというよりは学校がっこうあいだしゅたる問題もんだいとなりつつある。

韓国かんこくにおいては男子だんしのみに兵役へいえき義務ぎむがあり、男女だんじょあいだ格差かくさについては、このぶん除隊じょたい男性だんせい優遇ゆうぐうせざるをないという主張しゅちょう性別せいべつ格差かくさ擁護ようごからは主張しゅちょうされている。また、他国たこく同様どうよう移民いみん差別さべつはげしく、韓国かんこく永住えいじゅう他国たこく市民しみんへの地方ちほう参政さんせいけんあたえられ小康しょうこう状態じょうたいになるまでのあいだ華僑かきょう差別さべつ問題もんだいとなってきた[よう出典しゅってん]

韓国かんこくにおける原因げんいん
  • 全羅南道ぜんらなんどうなどに教育きょういく地域ちいき格差かくさ存在そんざいする[123]
  • 男女だんじょあいだにおける教育きょういく格差かくさ賃金ちんぎん格差かくさ依然いぜんとして存在そんざいする。
  • とく学歴がくれきによる格差かくさおおきく、大卒だいそつしゃ賃金ちんぎん高卒こうそつしゃの1.5ばい程度ていどとなっている。
  • 移民いみん中心ちゅうしんとしたマイノリティやもと受刑じゅけいしゃへの差別さべつがある。[よう出典しゅってん]

2010年代ねんだいにおいても格差かくさ解消かいしょうされておらず、若年じゃくねんそうにおいてはてい所得しょとく世帯せたい出身しゅっしんしゃ意味いみする「どろスプーン」ぐみ裕福ゆうふく家庭かてい子息しそくしめす「きむスプーン」ぐみという言葉ことばもちいられ、どろスプーンから脱出だっしゅつする困難こんなんさが話題わだいとなる[124]

中華人民共和国ちゅうかじんみんきょうわこく[編集へんしゅう]

鄧小ひらた時代じだい改革かいかく開放かいほうすすめられ、国家こっか資本しほん主義しゅぎ経済けいざい導入どうにゅうされた。沿岸えんがんとく歴史れきしてきはやくからひらかれていた上海しゃんはいや、改革かいかく開放かいほう当初とうしょ経済けいざい特区とっくとされた14沿海えんかい都市としなどでは裕福ゆうふくそうおおい。一方いっぽう内陸ないりくとくかく自治じちでは非常ひじょうまずしく、みんこうとよばれる出稼でかせ労働ろうどうしゃへの賃金ちんぎん格差かくさや、人身じんしん売買ばいばいもされるくろ孩子などの社会しゃかい問題もんだい発生はっせいしている。

1989ねん天安門てんあんもん事件じけんは、沿岸えんがん経済けいざい特区とっく内陸ないりく農村のうそん地帯ちたいはげしい所得しょとく格差かくさ背景はいけいとしてきた[125]

2010ねん時点じてんでは、上海しゃんはい北京ぺきん広州こうしゅうなどの大都市だいとし沿海えんかいの4おくにん地域ちいきと、内陸ないりく農村のうそんの9おくにん地域ちいき経済けいざい格差かくさ存在そんざいする[126]上海しゃんはいなどの主要しゅよう都市とし内陸ないりく農村のうそん賃金ちんぎん格差かくさは、10ばい以上いじょうあるとされている(2009ねん時点じてん[127]。2010ねん時点じてん栄養えいよう不足ふそく人口じんこうは1おくにん以上いじょうとなっている[126]

中華人民共和国ちゅうかじんみんきょうわこくにおける原因げんいん

インド[編集へんしゅう]

インドにはカースト制度せいど伝統でんとうのこっており、先進せんしん産業さんぎょう従事じゅうじするもの以外いがい人口じんこうの3ぶんの2はてい所得しょとくしゃという格差かくさ社会しゃかいである[128]女性じょせい識字しきじりつは58%とされている[128]

学者がくしゃ見解けんかい[編集へんしゅう]

ジョセフ・E・スティグリッツは「格差かくさグローバリゼーション労働ろうどう資本しほん・モノ・サービスの移動いどう、スキルや高学歴こうがくれき従業じゅうぎょういん優遇ゆうぐう技術ぎじゅつ変化へんか副産物ふくさんぶつだというものは真実しんじつではない」と指摘してきする一方いっぽうで「グローバルによる均衡きんこうは、世界中せかいじゅう被害ひがいをもたらした。国境こっきょう移動いどうする資本しほんは、労働ろうどうしゃ賃金ちんぎん譲歩じょうほ政府せいふ法人ほうじんぜい減税げんぜい要求ようきゅうした。その結果けっか底辺ていへんへの競争きょうそうき、賃金ちんぎん労働ろうどう条件じょうけんおびやかされるようになった」と指摘してきしているしている[118]

トマ・ピケティは、資本しほん主義しゅぎでは、資本しほん収益しゅうえきりつ所得しょとく成長せいちょうりつよりたかいのがつねであり、先進せんしんこくでも格差かくさ拡大かくだいするとしている[129][130]。ピケティは「資本しほん主義しゅぎ否定ひていしているわけではなく、格差かくさ自体じたい問題もんだいだとうつもりはない。経済けいざい成長せいちょうのためには、ある程度ていど格差かくさ必要ひつようであるが、限度げんどがある。格差かくさきすぎると、共同きょうどうたい維持いじできず、社会しゃかいりたなくなるおそれがある。どの段階だんかいからきすぎた格差かくさかは、まった数式すうしきがあるわけではない」と指摘してきしている[108]。ピケティは、富裕ふゆうそう資産しさんえるスピードが一般いっぱんひと賃金ちんぎんなどがえるスピードを上回うわまわっていることが問題もんだい根源こんげんだとしており、勤労きんろうよりも相続そうぞく結婚けっこんなどのほうが資産しさん蓄積ちくせきできる構造こうぞうになっているとしている[108]。ピケティは、資産しさんものがさらに資産しさん蓄積ちくせきしていく傾向けいこうにあり、格差かくさ世襲せしゅうつうじて拡大かくだいすると結論けつろんづけている[108]。トマ・ピケティは「格差かくさ拡大かくだいすうじゅうねんつづくと、社会しゃかい基盤きばんらぐ」と指摘してきしている[131]

政治せいじ経済けいざい学者がくしゃのアルベルト・アレジーナらの研究けんきゅうによれば、ヨーロッパとアメリカの格差かくさたいする意識いしきちがいについて、ヨーロッパでは不平等ふびょうどうかんたかまると人々ひとびと幸福こうふくかん低下ていかするのにたいして、アメリカでは不平等ふびょうどうかんたかまっても幸福こうふくかん影響えいきょうけないとしている[132]。アメリカでは所得しょとく階層かいそうあいだ移動いどうりつたかいため、現在げんざいまずしいことはかならずしも将来しょうらいまずしさを意味いみしないのが、ヨーロッパでは所得しょとく階層かいそうあいだ移動いどうりつひくいため、所得しょとく不平等ふびょうどうかん深刻しんこく問題もんだいだとかんがえられているとしている[133]

スティーヴン・ランズバーグは「幸福こうふく所得しょとく同等どうとうであれば、全員ぜんいんちゅう程度ていど所得しょとくくにほうが、一部いちぶゆたかで一部いちぶまずしいくによりもすぐれていることになる。同時どうじさい底辺ていへん人々ひとびとにも生活せいかつ水準すいじゅん以上いじょう福利ふくり保証ほしょうされている場合ばあいなら不平等ふびょうどうみとめられる。所得しょとく格差かくさおおきくてもさい貧困ひんこんしゃ十分じゅうぶんべていける社会しゃかいほうが、全員ぜんいんひとしくえている社会しゃかいよりものぞましい」と指摘してきしている[134]

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

注釈ちゅうしゃく[編集へんしゅう]

  1. ^ 企業きぎょう経営けいえいしゃが、人件じんけん削減さくげん雇用こよう調整ちょうせい要員よういん(いつでも解雇かいこできる要員よういん確保かくほのために、新規しんき採用さいよう抑制よくせいするとともに、正社員せいしゃいんよりやす賃金ちんぎん体系たいけいのアルバイト・パートタイマー・契約けいやく社員しゃいん派遣はけん社員しゃいんなどの正社員せいしゃいん採用さいようすすめていったとされる。
  2. ^ 等価とうか可処分かしょぶん所得しょとく世帯せたい処分しょぶん所得しょとく世帯せたい人員じんいん平方根へいほうこんって調整ちょうせいした所得しょとく)の中央ちゅうおう半分はんぶんたない世帯せたいいん割合わりあい算出さんしゅつしたもの。
    そしてしん基準きじゅんは、OECDの基準きじゅんわせて、従来じゅうらい調査ちょうさでの「消費しょうひ支出ししゅつ」に「自動車じどうしゃぜい軽自動車けいじどうしゃぜい自動車じどうしゃ重量じゅうりょうぜい」、「企業きぎょう年金ねんきん個人こじん年金ねんきんひとし掛金かけきんおよび「親族しんぞく知人ちじんなどへの仕送しおくがく」をくわえて貧困ひんこんりつ算出さんしゅつしている。2022(れい4)ねん 国民こくみん生活せいかつ基礎きそ調査ちょうさ概況がいきょう 用語ようご説明せつめい”. 厚生こうせい労働ろうどうしょう. 2022ねん11月23にち閲覧えつらん

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関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]