港湾こうわん

2010年ねん以来いらい、世界せかい最大さいだいのコンテナ港みなとである上海しゃんはい港こう

積つみ替かえ港こうとして世界せかい最大さいだいのシンガポール港こう

ロッテルダム港こう。マースフラクテ地区ちくにあるコンテナターミナル

名古屋なごや港こう、空そらから見みる鍋田なべた埠頭ふとうと飛島とびしま埠頭ふとう

港湾こうわん（こうわん、英語えいご: Port）とは、古ふるくは泊とまり（とまり）などから発展はってんした港みなと・湊みなと（みなと）であり、島嶼とうしょ・岬みさきなどの天然てんねんの地勢ちせいや防波堤ぼうはていなどの人工じんこう構造こうぞう物ぶつによって風浪ふうろうを防ふせいで、船舶せんぱくが安全あんぜんに停泊ていはくし人じんの乗降じょうこうや荷役にやくが行おこなえる海域かいいきと陸地りくちを指さす。水陸すいりく交通こうつうの結節けっせつ点てんとなる機能きのうを持もつ港湾こうわんには、物流ぶつりゅう・旅客りょかく輸送ゆそうが円滑えんかつに行おこなわれるために各種かくしゅの港湾こうわん施設しせつが整備せいびされ、ポートオーソリティ（港みなと務つとむ局きょく・港湾こうわん局きょく）・地方自治体ちほうじちたいなどの組織そしきによって管理かんり・運営うんえいされている。

歴史れきし

船ふねの運航うんこうのために古代こだいより、河川かせんの河口かこう、湾わん、入いり江えといった天然てんねんの地形ちけいが、波浪はろうや嵐あらしといった自然しぜん災害さいがいからの船舶せんぱくの避難ひなん場所ばしょが泊はくとなったり、補給ほきゅうのための飲料いんりょう水すいや薪たきぎなどの確保かくほも必要ひつようになり、これらの条件じょうけんが停泊ていはくする上じょうでは都合つごうが良よいため時代じだいが進すすむにつれて、これらの場所ばしょが泊はくや港みなと・湊みなととして使つかわれるようになり、海運かいうんの発達はったつともに船ふねの規模きぼが拡大かくだいするなど港みなとの陸上りくじょう部分ぶぶんに桟橋さんばしや岸壁がんぺきが作つくられ、施設しせつも拡充かくじゅうされ、防波堤ぼうはていなどの突堤とっていも突つき出だすようになる。

現代げんだいでは税関ぜいかんや検疫けんえき所しょ、出入国しゅつにゅうこく管理かんり所しょが設もうけられ、旅客船りょかくせんの増加ぞうかと規模きぼの拡大かくだいに応おうじて旅客りょかく施設しせつが作つくられた。貨物かもつ荷役にやくの便益べんえきのために桟橋さんばし上じょうや岸壁がんぺき横よこには上屋うわやが多おおく建たてられ、陸上りくじょう輸送ゆそうとの接続せつぞく地点ちてんとして道路どうろや鉄道てつどうが港みなとに接続せつぞくされるようになった。

交通こうつうの要所ようしょとなると他国たこく・他た地域ちいきとの文化ぶんか的てきな玄関げんかん口こうとなると共ともに、商業しょうぎょう活動かつどうによって経済けいざい的てきな発展はってんを遂とげて港湾こうわん都市としとして繁栄はんえいするようになり、ますます港湾こうわん機能きのうの充実じゅうじつが図はかられた。埋うめ立たて、陸地りくちの掘ほり込こみ、浚渫しゅんせつなどによってそれまでの港湾こうわんの規模きぼを拡大かくだいすることも行おこなわれた。また、天然てんねんの良港りょうこうとして長ながい時間じかんをかけて発展はってんしてきた港みなととは別べつに、人間にんげん活動かつどうの要請ようせいに応おうじて、新あらたな港みなとが作つくられるようになった。鉄鋼てっこう業ぎょうや石油せきゆ化学かがく工業こうぎょうの発展はってんによって専用せんようの貨物かもつ船せんに対応たいおうした工業こうぎょう港みなとが作つくられ、専用せんようターミナルとして発展はってんして行いった。

貨物かもつ船せんはしだいに大おおきくなり、港みなとでの荷役にやくに数日すうじつが掛かかるようになったため、港外こうがいで桟橋さんばしや岸壁がんぺきの空あきを待まつ「滞とどこお船ふね」（たいせん）が起おきるようになった。また、大型おおがた貨物かもつ船せんが直接ちょくせつ接せっ舷ふなばたできない多おおくの港みなとでは、沖仲仕おきなかし（おきなかし）が湾わん外がいで停泊ていはくする貨物かもつ船せんと陸りくの間あいだを艀はしけ（はしけ）に貨物かもつを積つみ替かえることで荷役にやくを行おこなうなど、非常ひじょうに非ひ効率こうりつであった。

コンテナ船せんの登場とうじょうで港みなとでの荷役にやく作業さぎょうは効率こうりつ化かされたが、同時どうじに港みなとの荷役にやく設備せつびは更新こうしんを迫せまられた。コンテナ船せんの巨大きょだい化かに応おうじて浚渫しゅんせつやクレーンの大型おおがた化かが図はかられ、コンテナターミナルとして発展はってんしていった。21世紀せいきに入はいると国際こくさい貨物かもつコンテナを扱あつかう港みなとは、ハブ港こうとフィーダー港こうに峻別しゅんべつされる傾向けいこうが鮮明せんめいになってきた。

機能きのう

島しま・岬みさきや湾入わんにゅうなどにより遮蔽しゃへいされた地形ちけいは、しばしば天然てんねんの良港りょうこうと呼よばれる。近代きんだいに入はいってからは、防波堤ぼうはてい・岸壁がんぺきといった構造こうぞう物ぶつや掘ほり込こみ式しき港湾こうわんなどの建設けんせつ技術ぎじゅつが著いちじるしく向上こうじょうし、天然てんねんの地形ちけいに恵めぐまれない場所ばしょでも大だい規模きぼな港湾こうわんが造つくられている。英語えいごの"Harbour"は、古こ英語えいごの軍隊ぐんたい "here" をかくまう "beorg" という意味合いみあいに由来ゆらいを持もち、船舶せんぱくが安全あんぜんに停泊ていはくできる港みなとという避難ひなん港みなと的てきな意味合いみあいが強つよい。そしてそれは、港湾こうわんとして求もとめられる最もっとも重要じゅうような機能きのうでもある。

旅客りょかくの乗降じょうこうや貨物かもつの荷役にやく・保管ほかんといった水陸すいりく輸送ゆそうの転換てんかん機能きのう、すなわち、ターミナル機能きのうも港湾こうわんの重要じゅうような機能きのうである。そのため、港湾こうわんには船舶せんぱくの係留けいりゅうのみならず、貨物かもつの荷にさばきと保管ほかん、旅客りょかくの乗降じょうこう、港湾こうわんから後背こうはい地ちへの陸上りくじょう輸送ゆそうなどを行おこなうための施設しせつが整備せいびされている。英語えいご"port"の語源ごげんは、古代こだいローマのラテン語らてんごの「運はこぶ」を意味いみする"portare"である。そして運はこび入いれたり運はこび出だす場所ばしょをport（門もん）と呼よぶようになり、都市とし・国家こっか間あいだの輸送ゆそうの門もんである港湾こうわんの意味いみに転てんじた。すなわち、port には水陸すいりく輸送ゆそうの転換てんかん場所ばしょという意味合いみあいが強つよい。

これらの他ほかの港湾こうわんの機能きのうとしては船舶せんぱくへ水みず・燃料ねんりょう・食糧しょくりょう・船ふね用品ようひんなどを補給ほきゅうする運航うんこう援助えんじょ機能きのうなどがある。

分類ぶんるい

主要しゅような分類ぶんるい

港湾こうわんは機能きのう・用途ようと・運営うんえい主体しゅたい・規模きぼ・法令ほうれいなどによって分類ぶんるいすることができる。代表だいひょう的てきな分類ぶんるいとしては、用途ようとによる分類ぶんるいがある。港湾こうわんの用途ようとに応おうじた分類ぶんるいであるが、出で入港にゅうこうする船舶せんぱく種類しゅるいに応おうじた分類ぶんるいであるとも言いえる。用途ようとによる分類ぶんるいの概略がいりゃくを以下いかに示しめす。

種類しゅるい	内容ないよう	主おもな入港にゅうこう船舶せんぱく
商港しょうこう	外国がいこく貿易ぼうえき・内国ないこく貿易ぼうえきによる貨物かもつ取扱とりあつかいを主おもとする港湾こうわん	貨物かもつ船せん、コンテナ船せんなど
工業こうぎょう港みなと	工業こうぎょう地域ちいきに接せっし原料げんりょうや工業こうぎょう製品せいひんの取扱とりあつかいを主おもとする港湾こうわん	タンカー、原料げんりょう輸送ゆそう船せんなど
漁港ぎょこう	水産物すいさんぶつの取扱とりあつかいを主おもとする港湾こうわん	漁船ぎょせんなど
フェリー港みなと	車両しゃりょう・旅客りょかくを運送うんそうするフェリーが出で入港にゅうこうする港湾こうわん	フェリー
マリーナ	趣味しゅみ・娯楽ごらく・観光かんこう目的もくてきの船舶せんぱくが停泊ていはく・発着はっちゃくする港湾こうわん	ヨット、プレジャーボート、遊覧ゆうらん船せんなど
軍港ぐんこう	軍事ぐんじ的てきな性格せいかくを持もった港湾こうわん	軍艦ぐんかんなど
避難ひなん港こう	小型こがた船舶せんぱくが強つよい風浪ふうろうから避難ひなんするための港湾こうわん	小型こがた船舶せんぱくなど

また、港湾こうわんの立地りっち・地形ちけいに着目ちゃくもくした分類ぶんるいもある。港湾こうわんの多おおくは海洋かいように面めんしている海港かいこう・沿岸えんがん港みなとであるが、河口かこうや河川かせん・湖みずうみに建設けんせつされた港湾こうわんも少すくなくない。概略がいりゃくは以下いかのとおり。

種類しゅるい	内容ないよう	港みなとの例れい
海港かいこう・沿岸えんがん港みなと	海洋かいように面めんした港湾こうわん	多数たすう
河口かわくち港こう	河口かこうに位置いちする港湾こうわん	ルアーブル港みなと、水島みずしま港こう、新潟港にいがたこう
河川かせん港みなと・河港かこう	河川かせんに面めんした港湾こうわん	ロッテルダム港こう、ロンドン港みなと、旧きゅう伏見ふしみ港こう、上海しゃんはい港こう、ハンブルク港こう、デュースブルク港みなと、ベオグラード港こう、モントリオール港みなと、ニューヨーク港こう、ニューオーリンズ港みなと、ブエノスアイレス港みなと
湖みずうみ港みなと	湖みずうみに面めんした港湾こうわん	シカゴ港みなと、ジュネーヴ港みなと、バクー港みなと、大津港おおつみなと、土浦つちうら港こう、米子よなご港みなと、長浜ながはま港こう、ダルース港みなと

多おおくの河川かせんが航行こうこうに利用りようされ、運河うんがも発達はったつしている欧米おうべいでは、海うみを航行こうこうする船ふねが直接ちょくせつ入港にゅうこうする港みなとを港みなと（海港かいこう）、河川かせんや運河うんがを航行こうこうする船ふねが入はいる港みなとを内陸ないりく港湾こうわん（Inland port）と呼よんで区別くべつしている。この区分くぶんによると、たとえば海うみを航行こうこうする船ふねが入港にゅうこうしているハンブルク港こうは、エルベ川がわの河口かこうから約やく100km上流じょうりゅうに位置いちしているが「内陸ないりく港湾こうわん」ではない。

以上いじょうのほか、天然てんねんの地勢ちせいに恵めぐまれた「天然てんねん港こう」と、海浜かいひん掘ほ込こみなど人為じんい的てきに建設けんせつされた「人工じんこう港こう」という建設けんせつ方法ほうほうによる分類ぶんるい、高緯度こういど地域ちいきにおいて冬季とうきでも暖流だんりゅうなどによって凍結とうけつすることのない不凍港ふとうこうの分類ぶんるいなどがある。

日本にっぽんにおける分類ぶんるい

日本にっぽんにおいては、いくつかの港湾こうわん関係かんけい法令ほうれいが制定せいていされており、それぞれの法令ほうれい目的もくてきに従したがって港湾こうわん分類ぶんるいがなされている。

港湾こうわんの管理かんり・建設けんせつを目的もくてきとした港湾こうわん法ほうにおいては、次つぎのような港湾こうわん区分くぶんを設もうけている。

区分くぶん	概要がいよう
国際こくさい戦略せんりゃく港湾こうわん	重要じゅうよう港湾こうわんの中なかでも東ひがしアジアのハブ化か目標もくひょうとする港湾こうわん
国際こくさい拠点きょてん港湾こうわん	重要じゅうよう港湾こうわんの中なかでも国際こくさい海上かいじょう輸送ゆそう網もうの拠点きょてんとして特とくに重要じゅうような港湾こうわん
重点じゅうてん港湾こうわん	重要じゅうよう港湾こうわんのうち国くにが重点じゅうてんして整備せいび・維持いじする港湾こうわん
重要じゅうよう港湾こうわん	国際こくさい海上かいじょう輸送ゆそう網もうまたは国内こくない海上かいじょう輸送ゆそう網もうの拠点きょてんとなる港湾こうわんで今後こんごも国くにが整備せいびを行おこなう港湾こうわん
その他たの重要じゅうよう港湾こうわん	国際こくさい海上かいじょう輸送ゆそう網もうまたは国内こくない海上かいじょう輸送ゆそう網もうの拠点きょてんとなる港湾こうわんなど
地方ちほう港湾こうわん	重要じゅうよう港湾こうわん以外いがいで地方ちほうの利害りがいにかかる港湾こうわん
56条じょう港湾こうわん	港湾こうわん区域くいきの定さだめがなく都道府県とどうふけん知事ちじが港湾こうわん法ほう第だい56条じょうに基もとづいて公告こうこくした水域すいいき
避難ひなん港こう	小型こがた船舶せんぱくが荒天こうてん・風浪ふうろうを避さけて停泊ていはくするための港湾こうわん

旧きゅう運輸省うんゆしょう（現げん国土こくど交通省こうつうしょうが1995年ねんに策定さくていした港湾こうわん政策せいさく「大だい交流こうりゅう時代じだいを支ささえる港湾こうわん」に明記めいきされた通称つうしょうで、次つぎのような港湾こうわん区分くぶんを設もうけていた。

区分くぶん	概要がいよう
スーパー中枢ちゅうすう港湾こうわん	国家こっか的てき見地けんちでみた日本にっぽんのコンテナ重要じゅうよう港湾こうわん
中枢ちゅうすう国際こくさい港湾こうわん	日本にっぽんの中枢ちゅうすう的てきな国際こくさいコンテナ港湾こうわん
中核ちゅうかく国際こくさい港湾こうわん	国際こくさい海上かいじょうコンテナターミナルを有ゆうする港湾こうわん

※スーパー中枢ちゅうすう港湾こうわんの政令せいれい上じょうの呼よび名なは「指定してい特定とくてい重要じゅうよう港湾こうわん」。

※スーパー中枢ちゅうすう港湾こうわんは、東京とうきょう港こう・横浜よこはま港こう・名古屋なごや港こう・四日市よっかいち港こう・大阪おおさか港こう・神戸こうべ港こうが指定していされていた。

水産すいさん業ぎょうの発展はってんを図はかり、漁港ぎょこう漁場ぎょじょうの整備せいびの推進すいしんを目的もくてきとした漁港ぎょこう漁場ぎょじょう整備せいび法ほうにおける漁港ぎょこうに関かんする区分くぶんがなされている。行政ぎょうせいにおいては、港湾こうわんは港湾こうわん法ほうに基もとづく港みなと（国土こくど交通省こうつうしょう所管しょかん）、漁港ぎょこうは漁港ぎょこう漁場ぎょじょう整備せいび法ほうに基もとづく港みなと（農林水産省のうりんすいさんしょう所管しょかん）として明確めいかくに区別くべつされている。

港内こうないにおける船舶せんぱく交通こうつう安全あんぜんの確保かくほを目的もくてきとした港みなと則そく法ほうは、喫水きっすいの深ふかい船舶せんぱく・外国がいこく船舶せんぱくが常時じょうじ出入でいりできる港みなとを特定とくてい港こうとして分類ぶんるいしているほか、港みなと則そく法ほうを適用てきようする港みなとを港みなと則そく法ほう適用てきよう港こう（港みなと則そく法ほう施行しこう令れい別表べっぴょう第だい1）としている。

貨物かもつの輸出入ゆしゅつにゅうの手続てつづきについて定さだめる関税かんぜい法ほうにおいては、外国がいこく船舶せんぱくが寄港きこうできる開港かいこうとそうでない不ふ開港かいこうを区分くぶんしている。その他た、検疫けんえき法ほう、港湾こうわん運送うんそう事業じぎょう法ほう、出入国しゅつにゅうこく管理かんり及および難民なんみん認定にんてい法ほう（入国にゅうこく管理かんり法ほう）などの法令ほうれいによる港湾こうわん分類ぶんるいがある。

管理かんり・運営うんえい

港湾こうわん管理かんり者しゃ

港湾こうわんを管理かんり・運営うんえいしている主体しゅたい、すなわち港湾こうわん管理かんり者しゃには、ポートオーソリティ（港みなと務つとむ局きょく）・地方自治体ちほうじちたいなどがある。

ポートオーソリティとは、公営こうえい企業きぎょうの形態けいたいをとった港湾こうわん管理かんり組織そしきであり、独立どくりつ採算さいさんによって港湾こうわんおよび港湾こうわん隣接りんせつ区域くいきの運営うんえいを行おこなうもので、主おもにヨーロッパ・北米ほくべいで広ひろく普及ふきゅうしている。日本にっぽんでは第だい2次じ世界せかい大戦たいせん後ご、占領せんりょう軍ぐんが港湾こうわん管理かんり運営うんえい主体しゅたいの民主みんしゅ化かを狙ねらいにポートオーソリティ制度せいどの導入どうにゅうを勧告かんこく。1950年ねん公布こうふの港湾こうわん法ほうに同どう制度せいどをそのまま移植いしょくし、その和訳わやくである港みなと務つとむ局きょく制度せいどが港湾こうわん管理かんり者しゃ制度せいどの柱はしらとして確立かくりつされた。しかし港みなと務つとむ局きょくは終戦しゅうせん直後ちょくごの財政ざいせい的てきな制約せいやくもあって日本にっぽんにおいては普及ふきゅうせず、大半たいはんの港湾こうわんが都府県とふけん、政令せいれい指定してい都市としなどの地方ちほう公共こうきょう団体だんたい単独たんどく管理かんりとなった。現在げんざい港こう務つとむ局きょくが港湾こうわん管理かんり者しゃを務つとめる日本にっぽん港湾こうわんは新居浜にいはま港こうのみである（※ポート・オーソリティ内うち「日本にっぽんへの影響えいきょう」項こうも参照さんしょうのこと）。

関係かんけい機関きかん

港湾こうわんに関かかわる公的こうてきな機関きかんには、港湾こうわん管理かんり者しゃのほか港みなと長ちょう・沿岸えんがん警備けいび隊たい・税関ぜいかん・検疫けんえき所しょ・出入国しゅつにゅうこく管理かんり機関きかんなどがある。

港みなと長ちょうは、港湾こうわん内ないの水域すいいきにおける船舶せんぱくの安全あんぜんな航行こうこう・停泊ていはく・荷役にやくなどを司つかさどる職しょくである。港みなと長ちょうのもとでこれらの任務にんむに当あたるのは沿岸えんがん警備けいび隊たい（日本にっぽんでは海上保安庁かいじょうほあんちょう）であることが多おおい。税関ぜいかんは、港湾こうわんを通つうじて輸出入ゆしゅつにゅうする貨物かもつ・物資ぶっしを検査けんさし、関税かんぜいの課税かぜい・徴収ちょうしゅうを行おこなう機関きかんである。このほか、密輸みつゆ取締とりしまりなども税関ぜいかんの業務ぎょうむである。検疫けんえき所しょは、外国がいこくから国内こくないに伝染でんせん病びょうの病原菌びょうげんきんが侵入しんにゅうするのを防ふせぐ機関きかんであり、外国がいこくから来きた船舶せんぱくは、検疫けんえき所しょの検疫けんえきが完了かんりょうするまで人ひとの上陸じょうりく・貨物かもつの陸揚りくあげを行おこなうことができない。国くに・地域ちいきにより異ことなるが検疫けんえき所しょには動物どうぶつ検疫けんえき所しょ・植物しょくぶつ防疫ぼうえき所しょなどがある。また、出入国しゅつにゅうこく管理かんり機関きかんも港湾こうわんに関係かんけいする機関きかんである。多おおくの国くに・地域ちいきで、港湾こうわんを通つうじた出入国しゅつにゅうこくを公正こうせいに管理かんりするために設置せっちされている。

関係かんけい事業じぎょう者しゃ

港湾こうわんに関かかわる事業じぎょう者しゃには、船舶せんぱく代理だいり店てん、通関つうかん業者ぎょうしゃ、港湾こうわん運送うんそう事業じぎょう者しゃ（港湾こうわん荷役にやく事業じぎょう者しゃ、はしけ運送うんそう事業じぎょう者しゃ、検けん数すう事業じぎょう者しゃ、検定けんてい事業じぎょう者しゃなど）、水先みずさき人じん、曳船えいせん業者ぎょうしゃ（タグボート）などがある。

ターミナルオペレーター

ガントリークレーンなど多大ただいな設備せつび投資とうしを必要ひつようとし、コンテナ船せんの利用りように供きょうされるコンテナターミナルは、特定とくていの船ふね会社かいしゃが定期ていき的てきに利用りようする特性とくせいを有ゆうするため、受益じゅえき者しゃとなる船ふね会社かいしゃ・港湾こうわん運送うんそう事業じぎょう者しゃが施設しせつを港湾こうわん管理かんり者しゃなどから一体いったい的てきに借かり受うけ、自みずからも投資とうししながら運営うんえいする形態けいたいが一般いっぱん的てきである。コンテナターミナルの運営うんえい業務ぎょうむを担になう事業じぎょう者しゃはターミナルオペレーターと呼よばれ、特とくに国際こくさい海上かいじょうコンテナ輸送ゆそうの大だい規模きぼ化かに伴ともない世界せかい規模きぼで急きゅう成長せいちょうした巨きょ大会たいかい社しゃをメガターミナルオペレーターという。

シップチャンドラー

港みなとに停泊ていはくする船舶せんぱくに、食料しょくりょう、日にち用品ようひん、船具せんぐや船舶せんぱく機械きかいを販売はんばいして納おさめる業者ぎょうしゃは「シップチャンドラー」（船舶せんぱく納入のうにゅう業者ぎょうしゃ）と呼よばれ、国際こくさい航路こうろの船ふねには国内こくない税ぜいを掛かけずに食料しょくりょうや酒類しゅるいを販売はんばいできるため、免税めんぜい販売はんばいの免許めんきょを取得しゅとくしている。

給油きゅうゆ

多おおくの港みなとでは小型こがたタンカーにも似にた、「給油きゅうゆ船せん」と呼よばれる船ふねが接せっ舷ふなばたし、ホースを繋つないで主しゅ機械きかい用ようの重油じゅうゆや軽油けいゆの供給きょうきゅうを行おこなう。この他ほか、専用せんようの給油きゅうゆ施設しせつを備そなえる港みなともあれば、タンクローリーによって行おこなう港みなともある。

給水きゅうすい

給油きゅうゆと同様どうように「給水きゅうすい船せん」が接せっ舷ふなばたして、飲料いんりょう用水ようすいや造水ぞうすい機きを持もたない小型こがた船せんのボイラー用ようの清浄せいじょう水すいを供給きょうきゅうする。

港湾こうわん運営うんえいの民営みんえい化か

2011年ねん現在げんざい、国土こくど交通省こうつうしょうは港湾こうわん法ほうを改正かいせいして、港湾こうわん運営うんえい会社かいしゃを設立せつりつできるようにし、民間みんかんの経営けいえい手法しゅほうを導入どうにゅうして、独自どくじに資金しきん調達ちょうたつや岸壁がんぺき使用しよう料りょうの設定せっていやポートセールスができるようにすることを検討けんとうしている。対象たいしょうは、特定とくてい重要じゅうよう港湾こうわんの23港こうとされる。

(参考さんこう)港湾こうわん法ほう及および特定とくてい外がい貿埠頭ふとうの管理かんり運営うんえいに関かんする法律ほうりつの一部いちぶを改正かいせいする法律ほうりつ案あんについて - 国土こくど交通省こうつうしょう平成へいせい23年ねん2月がつ4日にち

構成こうせい・施設しせつ

港湾こうわんの構成こうせい

港湾こうわんは水域すいいきと陸りく域いきに二分にぶんされる。国くに・地域ちいきによって異ことなるが、水域すいいき部分ぶぶんについては一定いっていの区域くいきを港湾こうわん区域くいきとして定さだめ、陸りく域いき部分ぶぶんについても臨港りんこう地区ちくとして指定していすることが一般いっぱん的てきである。陸りく域いきにおける臨港りんこう地区ちくは商港しょうこう区く・工業こうぎょう港みなと区く・鉄道てつどう連絡れんらく港みなと区く・漁港ぎょこう区く・保安ほあん港みなと区くなどに区分くぶんされ、港湾こうわん機能きのうの有効ゆうこうな発揮はっきが図はかられている。

また、港湾こうわんの一定いっていの区域くいきを埠頭ふとうという。埠頭ふとうは、岸壁がんぺき・荷にさばき地ち・荷役にやく機械きかい・上屋うわや・臨港りんこう道路どうろ・臨港りんこう鉄道てつどうなど、その区域くいき内ないの港湾こうわん施設しせつを総称そうしょうしたものであり、港湾こうわん機能きのうの中枢ちゅうすうをなす（→詳細しょうさいは埠頭ふとうを参照さんしょう）。

港湾こうわん施設しせつ

詳細しょうさいは「港湾こうわん施設しせつ 」を参照さんしょう

水域すいいき・陸りく域いきそれぞれに各種かくしゅの港湾こうわん施設しせつが整備せいびされている。主要しゅような港湾こうわん施設しせつは下表かひょうのように区分くぶんされている（→詳細しょうさいは各かく項目こうもくを参照さんしょう）。

区分くぶん	施設しせつの例れい
水域すいいき施設しせつ	航路こうろ、泊地はくちおよび船ふねだまり
外郭がいかく施設しせつ	防波堤ぼうはてい、防潮ぼうちょう堤つつみ、防砂ぼうさ堤つつみ、導しるべ流りゅう堤つつみ、堤防ていぼうなど
係留けいりゅう施設しせつ	岸壁がんぺき、物もの揚場あげば、係船けいせん浮標ふひょう、桟橋さんばし、浮桟橋きょうなど
臨港りんこう交通こうつう施設しせつ	臨港りんこう道路どうろ、臨港りんこう鉄道てつどう、運河うんがなど
荷にさばき施設しせつ	ガントリークレーン、アンローダー、荷役にやく機械きかい、上屋うわやなど
旅客りょかく施設しせつ	旅客りょかく乗降じょうこう用よう施設しせつ、旅客りょかくターミナルなど
保管ほかん施設しせつ	倉庫そうこ、野積のづみ場じょう、貯木場じょう、コンテナターミナル（コンテナヤード）など
船舶せんぱく役務えきむ用よう施設しせつ	給水きゅうすい施設しせつ、給油きゅうゆ施設しせつなど
航行こうこう援助えんじょ施設しせつ	灯台とうだい、灯ひ浮標ふひょう

世界せかいの主要しゅよう港湾こうわん

詳細しょうさいは「en:List of seaports」を参照さんしょう

アフリカ

「en:Ports and harbours in South Africa」も参照さんしょう

アフリカ最大さいだいの港湾こうわんは、エジプトのポートサイドである。

アジア

「en:List of East Asian ports」も参照さんしょう

上海しゃんはい港こうは、載貨さいかトン数とんすう及および活動かつどうにおいて世界せかい最大さいだいの港湾こうわんである。2009年ねん及および2010年ねん、同港どうこうは載の荷にトン数とんすう及およびコンテナ取扱とりあつかい量りょうで世界せかい最大さいだいの港湾こうわんの地位ちいを取とり戻もどした。同港どうこうの後のちには、いずれもシンガポール港こう及および香港ほんこん港こうや釜山ぷさん港こうが続つづく。

ヨーロッパ

「en:List of busiest ports in Europe」も参照さんしょう

コンテナ取扱とりあつかい量りょう及および載貨さいかトン数とんすうでヨーロッパ最大さいだいの港湾こうわんは、第だい2位いに大差たいさをつけてオランダのロッテルダム港こうである。同港どうこうの後のちには、測定そくてい基準きじゅんに応おうじ、アントワープ港こう又またはハンブルク港こうが続つづく。

北きたアメリカ

「en:List of North American ports」および「en:Ports of the United States」も参照さんしょう

北きたアメリカ各国かっこくの最大さいだいの港湾こうわんとしては、アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくではロサンゼルス港こう及およびサウスルイジアナ港こう、メキシコではマンザニーロ港こう、カナダではバンクーバー港こうが挙あげられる。パナマには太平洋たいへいよう及および大だい西洋せいようを結むすぶパナマ運河うんががあり、貿易ぼうえきの肝要かんようなルートとなっている。

オセアニア

オーストラリア最大さいだいの港湾こうわんは、メルボルン港こうである。

南みなみアメリカ

南みなみアメリカ最大さいだいの港湾こうわんは、ブラジルのサントス港みなとである。

最もっとも忙いそがしい港みなと

2012年ねん〜2015年ねん

ランク	港湾こうわん	国くに	測定そくてい	2015 キロトン	2014 キロトン	2013 キロトン	2012 キロトン
1	宁波舟山ふなやま港こう（寧やすし波なみ市しと舟山ふなやま市し）	中国ちゅうごく	メートルトン	889,000	873,470	810,000	744,000
2	上海しゃんはい港こう	中国ちゅうごく	メートルトン	646,514	678,376	696,985	644,659
3	シンガポール港こう	シンガポール	貨物かもつトン	575,846	581,268	560,888	538,012
4	青島ちんたお市し	中国ちゅうごく	メートルトン	476,216	465,055	450,111	407,340
5	広州こうしゅう市し	中国ちゅうごく	メートルトン	475,481	500,975	472,760	438,000
6	ロッテルダム港こう	オランダ	メートルトン	466,363	444,733	440,464	441,527
7	ヘッドランド港みなと（ポートヘッドランド）	オーストラリア	メートルトン	452,940	446,922	488,000	288,443
8	天津てんしん市し	中国ちゅうごく	メートルトン	440,430	445,780	477,399	477,000
9	釜山ぷさん港こう	韓国かんこく	収入しゅうにゅうトン	347,713	335,411	313,295	298,689
10	大連たいれん市し	中国ちゅうごく	メートルトン	320,658	337,366	320,843	303,000
11	光陽こうよう港こう（光陽こうよう市し）	韓国かんこく	収入しゅうにゅうトン	272,007	134,947	127,642	109,730
12	香港ほんこんの港みなと（香港ほんこん）	香港ほんこん	メートルトン	256,488	297,737	276,055	269,282
13	秦皇島しんのうとう市し	中国ちゅうごく	メートルトン	246,550	261,702	253,293	233,235
14	南みなみルイジアナ港こう（ルイジアナ州しゅう）	アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく	メートルトン	235,058	242,578	216,445	228,677
15	クラン港こう	マレーシア	メートルトン	219,768	217,289	198,928	195,856
16	ヒューストン港こう	アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこく	メートルトン	218,575	212,561	207,973	216,082
17	アントワープ港こう（アントワープ）	ベルギー	メートルトン	208,423	199,012	190,849	184,136
18	厦门港みなと （廈門市し）	中国ちゅうごく	メートルトン	200,500	184,604	171,885	155,131
19	名古屋なごや港こう	日本にっぽん	貨物かもつトン	197,947	207,621	208,241	202,556
20	深ふか圳市	中国ちゅうごく	メートルトン	191,037	192,093	201,546	196,458

参考さんこう文献ぶんけん

• 小林こばやし義久よしひさ（監修かんしゅう）、池田いけだ宗雄むねお『港湾こうわん知識ちしきのABC』成山なりやま堂どう書店しょてん年ねん、1994年ねん。ISBN 4425391241。 

関連かんれん項目こうもく

• Anchorage (maritime)
• メガプロジェクト

港湾こうわん

• Bandar (ペルシア語ごで「港湾こうわん」の意い)
• マリーナ - レクリエーション用ようボート対象たいしょうの港湾こうわん
• 港湾こうわん運送うんそう業ぎょう
• 湾わん
• 海運かいうん

他たの種類しゅるいの港みなと

• 空港くうこう
• ヘリポート
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• Spaceport
• Port of entry

一覧いちらん

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• World's busiest port
• Sea rescue organisations

外部がいぶリンク

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