神流川かんながわ発電はつでんしょ

出典しゅってん: フリー百科ひゃっか事典じてん『ウィキペディア(Wikipedia)』
神流川かんながわ発電はつでんしょ
神流川発電所の位置(群馬県内)
神流川発電所
群馬ぐんまけんにおける神流川かんながわ発電はつでんしょ位置いち
所在地しょざいち 群馬ぐんまけん多野たのぐん上野うえのむら楢原ならはら
座標ざひょう 北緯ほくい362ふん0びょう 東経とうけい13842ふん0びょう / 北緯ほくい36.03333 東経とうけい138.70000 / 36.03333; 138.70000 (神流川かんながわ発電はつでんしょ)座標ざひょう: 北緯ほくい362ふん0びょう 東経とうけい13842ふん0びょう / 北緯ほくい36.03333 東経とうけい138.70000 / 36.03333; 138.70000 (神流川かんながわ発電はつでんしょ)
現況げんきょう 運転うんてんちゅう
着工ちゃっこう 1997ねん5がつ (1997-05)
運転うんてん開始かいし 運転うんてん開始かいし2005ねん12月22にち (2005-12-22)
事業じぎょう主体しゅたい 東京電力とうきょうでんりょくリニューアブルパワー
貯水池ちょすいち
上流じょうりゅう貯水池ちょすいち 南相木みなみあいきダム
上流じょうりゅう貯水ちょすい容量ようりょう 12,670,000
上流じょうりゅう流域りゅういき面積めんせき 6.2 km²
上流じょうりゅう表面積ひょうめんせき 59.0 ha
下流かりゅう貯水池ちょすいち 上野うえのダム
下流かりゅう貯水ちょすい容量ようりょう 12,670,000
下流かりゅう流域りゅういき面積めんせき 31.2 km²
下流かりゅう表面積ひょうめんせき 56.0 ha
揚水ようすい発電はつでんしょ
ポンプ発電はつでんすう 6だい
タービン製造元せいぞうもと 東芝とうしば 電力でんりょくシステムしゃ[1]
発電はつでんりょう
最大さいだい出力しゅつりょく 2,820 MW
2012-04-27現在げんざい
テンプレートを表示ひょうじ

神流川かんながわ発電はつでんしょ(かんながわはつでんしょ)とは、東京電力とうきょうでんりょくホールディングス群馬ぐんまけん多野たのぐん上野うえのむら設置せっちしている水力すいりょく発電はつでんしょである。

概要がいよう[編集へんしゅう]

長野ながのけんがわ上池かみいけ南相木みなみあいきダムみずうみ群馬ぐんまけんがわ下池しもいけ上野うえのダムみずうみとのあいだ揚水ようすい発電はつでんおこなう、2けん2水系すいけいにまたがるだい規模きぼじゅん揚水ようすいしき発電はつでんしょである。発電はつでんしょりょうダムのあいだ位置いちし、地下ちか500mの空洞くうどう内部ないぶ発電はつでん6だいおさめられる。

揚水ようすい発電はつでんしょとしては世界せかい最大さいだいきゅう設計せっけい最大さいだい出力しゅつりょく2,820MWとなる。最大さいだい使用しよう水量すいりょうは6だいわせて毎秒まいびょう510t。有効ゆうこう落差らくさは653mである[1]

なお、この発電はつでんしょうえ地上ちじょう)は御巣鷹おすたかさんである。1985ねん8がつ12にちきた日本航空にほんこうくう123便びん墜落ついらく事故じこいては、墜落ついらく現場げんば御巣鷹おすたかさんであると報道ほうどうされたことがあるが、実際じっさい事故じこ現場げんば高天原たかまがはらさん尾根おねであって、墜落ついらく現場げんば地下ちかにこの発電はつでんしょ存在そんざいするわけではない。なお、墜落ついらく現場げんばは、当時とうじ上野うえのむら村長そんちょう黒沢くろさわ丈夫たけおもと大日本帝国だいにっぽんていこく海軍かいぐん少佐しょうさ)によって「御巣鷹おすたか尾根おね」と命名めいめいされた[2]

2005ねん12月より1号機ごうきが、2012ねん6がつより2号機ごうき運転うんてん開始かいし。3号機ごうきから6号機ごうきまでは2020ねん以降いこう運転うんてん開始かいし予定よていである。

この発電はつでんしょ付随ふずいする施設しせつとして TEPCO GEO E SiTE 神流川かんながわという市民しみん見学けんがくできる広報こうほう施設しせつがあったが2011ねん3がつ11にち福島ふくしまだいいち原子力げんしりょく発電はつでんしょ事故じこにより東京電力とうきょうでんりょく広報こうほう活動かつどう縮小しゅくしょうしているため、この施設しせつ廃止はいしされている。

上野うえのむら主催しゅさい見学けんがくツアーにより、発電はつでんしょ内部ないぶられる。つきみず金曜日きんようび各日かくじつ1便びんのみの運行うんこう事前じぜん予約よやく必要ひつよう

歴史れきし[編集へんしゅう]

  • 1993ねん7がつ - 神流川かんながわ水力すいりょく調査ちょうさしょ設置せっち建設けんせつけての調査ちょうさ着手ちゃくしゅ
  • 1995ねん7がつ - だい130かい 電源でんげん開発かいはつ調整ちょうせい審議しんぎかい開催かいさい神流川かんながわ発電はつでんしょ建設けんせつ決定けってい
  • 1997ねん5がつ - 本体ほんたい工事こうじ着工ちゃっこう
  • 2003ねん10がつ - 上野うえのダムのたたえすい(たんすい)を開始かいし
  • 2004ねん9がつ - 南相木みなみあいきダムのたたえすい開始かいし
  • 2005ねん12月22にち - 神流川かんながわ発電はつでんしょ1号機ごうき運転うんてん開始かいし[3]
  • 2012ねん6がつ7にち - 神流川かんながわ発電はつでんしょ2号機ごうき運転うんてん開始かいし[4]

構成こうせい[編集へんしゅう]

上池かみいけ[編集へんしゅう]

神流川かんながわ発電はつでんしょ上池かみいけとなるのは、長野ながのけん南佐久みなみさくぐん南相木みなみあいきむら建設けんせつされた南相木みなみあいきダムによって形成けいせいされる人造湖じんぞうこである。調整ちょうせい区分くぶんされる。

南相木みなみあいきダムは信濃川しなのがわ水系すいけい南相木みなみあいきがわ奥地おくちにある。2004ねん9がつたたえすい(たんすい)開始かいし。ダムのたかさは136m、形式けいしきロックフィルダムである。神流川かんながわ発電はつでんしょじゅん揚水ようすいしきであり、南相木みなみあいきダムみずうみへの流入りゅうにゅうりょう増水ぞうすいかぎられる。

南相木みなみあいきダムの完成かんせい南相木みなみあいきむら固定こてい資産しさんぜい収入しゅうにゅうをもたらし、2006年度ねんど平成へいせい18年度ねんど)からは地方ちほう交付こうふぜい交付こうふとしている。

下池しもいけ[編集へんしゅう]

神流川かんながわ発電はつでんしょ下池しもいけとなるのは、群馬ぐんまけん多野たのぐん上野うえのむら建設けんせつされた上野うえのダムによって形成けいせいされる人造湖じんぞうこで、調整ちょうせい区分くぶんされる。

上野うえのダムは利根川とねがわ水系すいけい神流川かんながわ奥地おくちにある。2003ねん10がつたたえすい開始かいし。ダムのたかさは120m、形式けいしき重力じゅうりょくしきコンクリートダムである。

発電はつでんしょ[編集へんしゅう]

神流川かんながわ発電はつでんしょは、御巣鷹おすたかさん地下ちか建設けんせつされた地下ちかしき発電はつでんしょである。

南相木みなみあいきダムと上野うえのダムとのあいだ群馬ぐんまけんがわ地表ちひょうより深度しんど500mの地下ちか空洞くうどうもうけ、発電はつでん変電へんでん設備せつびおさめる。1-4号機ごうきと、5、6号機ごうきとで水路すいろ系統けいとうことなる設計せっけいとなっている。

うえである南相木みなみあいきダムみずうみめられたみずは、4kmさきまで地下ちか導水どうすいトンネルを経由けいゆして発電はつでんしょいたる。導水どうすいのうち発電はつでんしょがわ1.4km部分ぶぶんは48というきゅう傾斜けいしゃ水圧すいあつかんである。

水圧すいあつかんトンネルボーリングマシンによってしたがわ発電はつでんしょがわ)より掘削くっさくされた。内壁ないへきコンクリートおおわれ、一部いちぶこう張力ちょうりょくこう補強ほきょうされている。

発電はつでんしょには最終さいしゅうてきには6だい水車みずぐるま発電はつでん配置はいちされる予定よていで、そのいずれも発電はつでん電動でんどう日立製作所ひたちせいさくしょせい空冷くうれいしき)とポンプ水車みずぐるまによって構成こうせいされた、揚水ようすい運転うんてん可能かのう可逆かぎゃくしき揚水ようすいである。1だいあたりの出力しゅつりょく揚水ようすい464,000kW。

水車みずぐるまたてじくがたフランシスポンプ水車みずぐるま(VFR-1RS)で、東芝とうしば東京電力とうきょうでんりょくとの共同きょうどう研究けんきゅうにより開発かいはつした最新さいしんスプリッタランナ採用さいよう容量ようりょう525,000kVAのさんそう同期どうき発電はつでん電動でんどう接続せつぞくされている。

これはちょうつばさたんつばさ、それぞれ5まい水車みずぐるま羽根ばね交互こうご配置はいちしたポンプ水車みずぐるまで、当初とうしょ45まんkWで計画けいかくしていたが新型しんがたスプリッタランナの開発かいはつにより水量すいりょう落差らくさえることなく2まんkWのぞう出力しゅつりょく可能かのうとし、最大さいだい出力しゅつりょくは47まんkWになった。

発生はっせいした電力でんりょくは、変圧へんあつによって50まんVに昇圧しょうあつされ、東京電力とうきょうでんりょく送電そうでんせん 神流川かんながわせんつうじて首都しゅとけん送電そうでんされる。

みず発電はつでんしょ使用しようしたのち、放水ほうすいトンネルをつうじて2.4kmさき下池しもいけ上野うえのダムみずうみ放流ほうりゅうされる。揚水ようすいみずながれはこれとまったくぎゃくきとなる。

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

  1. ^ a b 戸田とだ一典かずのり黒川くろかわ敏史としふみ近内こんないただし世界せかい最大さいだい容量ようりょうこう落差らくさ揚水ようすい発電はつでんようポンプ水車みずぐるま--東京電力とうきょうでんりょく(かぶ)神流川かんながわ発電はつでんしょ納入のうにゅう」(PDF)『東芝とうしばレビュー』だい61かんだい5ごう東芝とうしば技術ぎじゅつ企画きかくしつ、2006ねん5がつ、58-61ぺーじISSN 03720462NAID 400072737212012ねん4がつ27にち閲覧えつらん 
  2. ^ 上野うえのむら観光かんこう案内あんない (PDF) 群馬ぐんまけん上野うえのむら役場やくば(2008ねん8がつ1にち)
  3. ^ 神流川かんながわ発電はつでんしょ号機ごうき営業えいぎょう運転うんてん開始かいしについて〜出力しゅつりょく世界せかい最大さいだいきゅう揚水ようすいしき発電はつでんしょ』(プレスリリース)東京電力とうきょうでんりょく、2005ねん12月22にちhttp://www.tepco.co.jp/cc/press/05122201-j.html 
  4. ^ 神流川かんながわ発電はつでんしょ号機ごうき営業えいぎょう運転うんてん開始かいしについて』(プレスリリース)東京電力とうきょうでんりょく、2012ねん6がつ7にちhttp://www.tepco.co.jp/cc/press/2012/1205191_1834.html 

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]