葛野川かずのがわダム

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葛野川かずのがわダム
葛野川ダム
所在地しょざいち 左岸さがん:山梨やまなしけん大月おおつき七保町大字瀬戸字小金沢土室
右岸うがん:山梨やまなしけん大月おおつき七保町大字瀬戸字小金沢土室
位置いち 北緯ほくい3543ふん07びょう 東経とうけい13855ふん47びょう / 北緯ほくい35.71861 東経とうけい138.92972 / 35.71861; 138.92972
河川かせん 相模さがみがわ水系すいけい葛野川かずのがわみぎささえ土室つちむろがわ
ダムみずうみ まつひめ
ダムしょもと
ダム型式けいしき 重力じゅうりょくしきコンクリートダム
つつみだか 105.2 m
つつみいただきちょう 263.5 m
つつみ体積たいせき 622,000
流域りゅういき面積めんせき 13.5 km²
たたえ水面すいめんせき 43.0 ha
そう貯水ちょすい容量ようりょう 11,500,000 m³
有効ゆうこう貯水ちょすい容量ようりょう 8,300,000 m³
利用りよう目的もくてき 発電はつでん
事業じぎょう主体しゅたい 東京電力とうきょうでんりょく竣工しゅんこう当時とうじ
電気でんき事業じぎょうしゃ 東京電力とうきょうでんりょくリニューアブルパワー
発電はつでんしょめい
認可にんか出力しゅつりょく
葛野川かずのがわ発電はつでんしょ
(1,200,000kW)
土室つちむろがわ発電はつでんしょ
(350kW)
施工しこう業者ぎょうしゃ あいだぐみ飛島建設とびしまけんせつ
日本にっぽん国土こくど開発かいはつ戸田建設とだけんせつ
着手ちゃくしゅねん/竣工しゅんこうねん 1991ねん/1999ねん
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葛野川かずのがわダム(かずのがわダム)は、山梨やまなしけん大月おおつき相模さがみがわ水系すいけい葛野川かずのがわ支流しりゅう土室つちむろがわ建設けんせつされたダムたかさ105.2メートルの重力じゅうりょくしきコンクリートダムで、東京電力とうきょうでんりょくリニューアブルパワーだい規模きぼ揚水ようすいしき水力すいりょく発電はつでんしょ葛野川かずのがわ発電はつでんしょ下池しもいけ形成けいせいする。ダム人造湖じんぞうこ)のまつひめ(まつひめこ)という。

一方いっぽう上池かみいけ形成けいせいするのは山地さんちをはさんで西側にしがわながれる富士川ふじかわ水系すいけい日川にっかわ建設けんせつしたうえ日川にっかわダムだい菩薩ぼさつ)であり、ことなる水系すいけいあいだみず往来おうらいさせることで揚水ようすい発電はつでんしょとしては世界せかい有数ゆうすう落差らくさ714メートルを確保かくほ。3だい水車みずぐるま発電はつでんによって最大さいだい120まんキロワットの電力でんりょく発生はっせいする。また、葛野川かずのがわダム直下ちょっかには河川かせん維持いじ放流ほうりゅうみず利用りようして発電はつでんする土室つちむろがわ発電はつでんしょがあり、しも流域りゅういき河川かせん環境かんきょう保全ほぜんのため選択せんたく取水しゅすい設備せつびによりダム湖水こすいなかでも水温すいおんたかく、またにごりのすくない表層ひょうそう部分ぶぶんみず放流ほうりゅうしている。

歴史れきし[編集へんしゅう]

山梨やまなしけん南部なんぶ富士ふじとして有名ゆうめい山中湖やまなかこよりなが相模さがみがわ水系すいけいでは、1907ねん明治めいじ40ねん)に東京電力とうきょうでんりょく前身ぜんしんでもあるきゅう東京とうきょう電燈でんとう駒橋こまはし発電はつでんしょ運転うんてんさせたのをはじめとしてふるくから電源でんげん開発かいはつすすめられ、城山しろやま発電はつでんしょ神奈川かながわ県営けんえい)のような揚水ようすい発電はつでん早期そうきからおこなわれてきた。東京電力とうきょうでんりょく大月おおつき相模さがみがわ合流ごうりゅうする葛野川かずのがわにおいて同社どうしゃだい8番目ばんめとなる揚水ようすい発電はつでんしょ建設けんせつ1989ねん平成へいせい元年がんねん)に葛野川かずのがわ水力すいりょく調査ちょうさしょ設置せっち1991ねん平成へいせい3ねん)7がつ開催かいさいだい118かい電源でんげん開発かいはつ調整ちょうせい審議しんぎかいにおいて付議ふぎ決定けっていされたことをけ、1993ねん平成へいせい5ねん)1がつ葛野川かずのがわ発電はつでんしょ建設けんせつ工事こうじ着工ちゃっこうした。

1998ねん平成へいせい10ねん)9がつたたえすい開始かいしし、1999ねん平成へいせい11ねん12月3にちより葛野川かずのがわ発電はつでんしょ1号機ごうき営業えいぎょう運転うんてん開始かいしをもって完成かんせいとされた。つづいて2000ねん平成へいせい12ねん6月8にちに2号機ごうき運転うんてん開始かいし2014ねん平成へいせい26ねん6月9にちには変速へんそく揚水ようすい発電はつでんシステムそなえる4号機ごうき運転うんてん開始かいしした[1]のこる3号機ごうき運転うんてん開始かいしは2024ねん(「平成へいせい36ねん」)以降いこう予定よていである[1]

葛野川かずのがわ発電はつでんしょ[編集へんしゅう]

葛野川かずのがわ発電はつでんしょは、4だい水車みずぐるま発電はつでん設置せっち最大さいだい160まんキロワットの出力しゅつりょくるものとして計画けいかくされた。揚水ようすい発電はつでんしょ出力しゅつりょく決定けっていする要素ようそひとつとして、上池かみいけ下池しもいけとの水面すいめん標高ひょうこうがあるが、従来じゅうらい揚水ようすい発電はつでんしょではおおきくとも300メートルから500メートル程度ていどであった。葛野川かずのがわ発電はつでんしょではこれが714メートルもある。これにより発電はつでん1だいあたりの出力しゅつりょく拡大かくだいされ、東京電力とうきょうでんりょく揚水ようすい発電はつでんしょとしては最大さいだいであったしん高瀬川たかせがわ発電はつでんしょ出力しゅつりょく128まんキロワットを上回うわまわ出力しゅつりょくられるのである。

発電はつでんしょ建設けんせつにあたっては、随所ずいしょ効率こうりつのためのあたらしい手法しゅほう導入どうにゅうされており、建設けんせつコストの削減さくげん建設けんせつ工期こうき短縮たんしゅくはかられている。葛野川かずのがわダムとうえ日川にっかわダムとをむすぶ、最大さいだい52.5というきゅうこうばい水路すいろはトンネルボーリングマシンを導入どうにゅう一気いっき掘削くっさく。その中間ちゅうかんには発電はつでん収容しゅうようするための人工じんこう地下ちか空間くうかんもうけられ、コンピュータ利用りようした分析ぶんせきにより岩盤がんばん補強ほきょうざい配置はいち最適さいてきしている。また、この地下ちか空間くうかん掘削くっさくするさい排出はいしゅつされた土砂どしゃコンクリートダムほねざいとして利用りようし、さらにRCD工法こうほう採用さいよう結果けっかとして900おくえんもの建設けんせつコスト削減さくげん実現じつげんした。

なお発電はつでんしょ最寄もよえきであるJR中央ちゅうおう本線ほんせん猿橋さるはしえきちかくにはTEPCO葛野川かずのがわPRかんという施設しせつがあったが、福島ふくしまだいいち原子力げんしりょく発電はつでんしょ事故じこによる東京電力とうきょうでんりょく広報こうほう活動かつどう規模きぼ縮小しゅくしょうのため、2011ねんはる閉鎖へいさされた。

周辺しゅうへん[編集へんしゅう]

うえ日川にっかわダム葛野川かずのがわ発電はつでんしょ上池かみいけとなるだい菩薩ぼさつみずうみ形成けいせいする、たかさ87メートルの中央ちゅうおうさえぎみずかべがたロックフィルダム
深城ふかしろダム葛野川かずのがわダムの下流かりゅう建設けんせつされた山梨やまなし県営けんえいのダム。葛野川かずのがわダムよりもおそい、2005ねん完成かんせいした。

葛野川かずのがわダムは、中央ちゅうおう自動車じどうしゃどう 大月おおつきインターチェンジより国道こくどう139ごう北上ほくじょうすればたどりける。みち途中とちゅうには山梨やまなし県営けんえい深城ふかしろダムがあり、さらにすすまつひめとうげえれば奥多摩湖おくたまこえてくる。

一方いっぽう上部じょうぶダムであるうえ日川にっかわダムへかうには一度いちどやまくだり、山梨やまなしけんどう218ごうだい菩薩ぼさつ初鹿野はじかのせん日川にっかわ上流じょうりゅうかってすす経路けいろ現実げんじつてきである。

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

  1. ^ a b 東京電力とうきょうでんりょく葛野川かずのがわ発電はつでんしょ4号機ごうき営業えいぎょう運転うんてん開始かいしについて」および別紙べっし葛野川かずのがわ発電はつでんしょ概要がいよう」2014ねん6がつ9にちづけ、2023ねん4がつ1にち閲覧えつらん

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]