虐待ぎゃくたい

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虐待ぎゃくたい(ぎゃくたい、えい:abuse, maltreatment)は、かえしあるいは習慣しゅうかんてきに、暴力ぼうりょくをふるったり、冷酷れいこく冷淡れいたんせっかたをすることである[1]

具体ぐたいてき内容ないよう様々さまざまで、肉体にくたいてき暴力ぼうりょくをふるう、言葉ことばによる暴力ぼうりょくをふるう(暴言ぼうげん侮辱ぶじょくなど)、いやがらせをする、無視むしをする、ひとし行為こういかえおこなうことをいう。

概要がいよう[編集へんしゅう]

児童じどう虐待ぎゃくたい性的せいてき虐待ぎゃくたいなど、虐待ぎゃくたいは、その対象たいしょう行為こういぬし様々さまざまである。たとえば家庭かていでは、おっとつま虐待ぎゃくたいする、父親ちちおや虐待ぎゃくたいする、つまおっと虐待ぎゃくたいする、母親ははおや虐待ぎゃくたいする、夫婦ふうふ虐待ぎゃくたいする、成人せいじんしている高齢こうれいしゃとなったおや虐待ぎゃくたいする、などということがきている[2]職場しょくばでは、雇用こようぬし経営けいえいしゃ)が従業じゅうぎょういんを、また先輩せんぱいかく従業じゅうぎょういん後輩こうはいかく従業じゅうぎょういん虐待ぎゃくたいすることがある。刑務所けいむしょでは、看守かんしゅ囚人しゅうじん虐待ぎゃくたいすることがある。警察官けいさつかん被疑ひぎしゃたいして、「調しらべ」としょうして虐待ぎゃくたいおこなうこともある。また戦時せんじには、(たとえ戦争せんそう捕虜ほりょであっても虐待ぎゃくたいしてはならないことが国際こくさいほうさだめられているにもかかわらず)捕虜ほりょ虐待ぎゃくたいするなどということもしばしばきている。また、近年きんねんではアメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくが、戦闘せんとういんおおくのイスラム教徒きょうとをあえて意図いとてきにアメリカ国境こっきょうがいアブグレイブ収容しゅうようしょ収容しゅうようすることで国内こくないほう適用てきようまぬかれ、かなり組織そしきてき虐待ぎゃくたいおこなっていたこと(アブグレイブ刑務所けいむしょにおける捕虜ほりょ虐待ぎゃくたい)もあきらかになっている。

行為こういしゃは、虐待ぎゃくたいしているという自覚じかくがある場合ばあいもあるが、自覚じかくいこともおおい。たとえば、虐待ぎゃくたいおこなっているおやには自覚じかくいこともおおく、勝手かってに、「しつけ(しつけ)をしている」とおもっていること(勘違かんちがいしていること)もしばしばである。

虐待ぎゃくたいけているかもしれないとかんじたども、虐待ぎゃくたいをしてしまっているかもしれないとかんじたおや虐待ぎゃくたい可能かのうせいのある言動げんどう見聞みききした人々ひとびとは、児童じどう相談そうだんしょ児童じどう相談そうだんしょ虐待ぎゃくたい対応たいおうダイヤル:189, いちはやく)に、ただちに連絡れんらくする必要ひつようがある。児童じどう相談そうだんしょでは、どもとおやへの相談そうだん援助えんじょ活動かつどうどもの一時いちじ保護ほごなどをおこなっている。

虐待ぎゃくたい行為こうい分類ぶんるい[編集へんしゅう]

身体しんたいてき虐待ぎゃくたい
対象たいしょう身体しんたいてき暴力ぼうりょくくわえる
心理しんりてき虐待ぎゃくたい精神せいしんてき苦痛くつう
対象たいしょう心理しんりてき暴力ぼうりょくくわえる(精神せいしんてき苦痛くつうあたえる)
性的せいてき虐待ぎゃくたい
対象たいしょうにセクハラをしたり、性的せいてき暴力ぼうりょくくわえる
経済けいざいてき虐待ぎゃくたい金銭きんせんてき虐待ぎゃくたい
対象たいしょう金銭きんせん使つかわせない、無心むしんする・奨学しょうがくきん勝手かって使つかう(成長せいちょうした子供こども高齢こうれいしゃおおい)
ネグレクト養育よういく放棄ほうき無視むし
対象たいしょう必要ひつよう養育よういく提供ていきょうしない、小学生しょうがくせいぐらいになるとおかねだけわたすこともある
教育きょういく虐待ぎゃくたい
子供こども意思いしはんしてじゅくならごとけにする。子供こども人生じんせいみ、進路しんろ勝手かってめる。反発はんぱつ結果けっかせないと虐待ぎゃくたいする

※なお、虐待ぎゃくたいにおいても、しつけしょうしてくわえるケースもおおい。

虐待ぎゃくたい対策たいさく仕事しごと[編集へんしゅう]

虐待ぎゃくたい対象たいしょうによる分類ぶんるい[編集へんしゅう]

虐待ぎゃくたいしゃへの心理しんりてきケア[編集へんしゅう]

まず、加害かがい被害ひがい関係かんけいなかかれたままの状況じょうきょうでは治療ちりょう成立せいりつしがたいことをきもめいじ、虐待ぎゃくたいしゃ安全あんぜん保証ほしょうされる場所ばしょ関係かんけいへとうつしたうえで、虐待ぎゃくたい専門せんもん機関きかん連携れんけいつづけることが大切たいせつである[3]。そのさい虐待ぎゃくたいをされるがわなにわるくなく今後こんご丁寧ていねい支援しえん・ケアをしていくということをしんめてつたえ、虐待ぎゃくたいしゃをサポートする[3]

虐待ぎゃくたいをされたことが原因げんいんで、PTSDトラウマ症状しょうじょう場合ばあいおお[4]

また虐待ぎゃくたいは、気分きぶん障害しょうがい不安ふあん障害しょうがい様々さまざまなレベルでの解離かいりなど、様々さまざま症状しょうじょうをもこす[4]虐待ぎゃくたい長期間ちょうきかんけると、虐待ぎゃくたいけたひとのう萎縮いしゅくかえしのつかないことがきる[5]具体ぐたいてきには、東京とうきょう福祉ふくし専門せんもん学校がっこう講師こうし石坂いしざかわたるによると、きのなさ、どう衝動しょうどうおさえられないなど、発達はったつ障碍しょうがいきわめて症状しょうじょう問題もんだい行動こうどうくるしむどももいる[6]治療ちりょうについては、「うつびょう#治療ちりょう」・「不安ふあん障害しょうがい#治療ちりょう」・「解離かいりせい障害しょうがい#治療ちりょう」を参照さんしょう

さらに、虐待ぎゃくたいをされるという体験たいけんは、つよ恐怖きょうふ不安ふあんいかりやそもそもうつ、無力むりょくかんやあきらめ、孤立こりつ無援むえんかんなどの否定ひていてき感情かんじょうをもたらすほか、自責じせきかん罪悪ざいあくかん自尊じそん感情かんじょう自己じこ評価ひょうか低下ていか安心あんしんかん信頼しんらいかん喪失そうしつなど、否定ひていてき認知にんちつよめる[4]。また、対人たいじん関係かんけい学習がくしゅう能力のうりょく日常にちじょう生活せいかつにおける問題もんだい解決かいけつ能力のうりょく感情かんじょう調整ちょうせい行動こうどう制御せいぎょ能力のうりょくなどにことごとく影響えいきょうおよぼし、心身しんしん健全けんぜん発達はったつ阻害そがいする[4]。これらへの心理しんりてきケアについては、「心理しんり療法りょうほう一覧いちらん」を参照さんしょう

代表だいひょうてき虐待ぎゃくたい事件じけん[編集へんしゅう]

児童じどう虐待ぎゃくたいについては、児童じどう虐待ぎゃくたい事件じけん一覧いちらん参照さんしょう

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

  1. ^ Oxford Dictionaries
  2. ^ 熊谷くまがい文枝ふみえ『アメリカの家庭かていない暴力ぼうりょく』サイエンスしゃ、1983ねん
  3. ^ a b 倭文しず真智子まちこ (2010).虐待ぎゃくたいによる被害ひがい支援しえんのありかた 日本にっぽん心理しんり臨床りんしょう学会がっかい監理かんり支援しえんがく――91のキーワードでわかる緊急きんきゅう事態じたいにおける心理しんり社会しゃかいてきアプローチ―― (pp. 101-102) 遠見とおみ書房しょぼう
  4. ^ a b c d かめおか智美ともみ (2016).虐待ぎゃくたいへのトラウマケア 児童じどう青年せいねん精神せいしん医学いがくとその近接きんせつ領域りょういき 2016ねん 57かん 5ごう p.738-747, doi:10.20615/jscap.57.5_738
  5. ^ 虐待ぎゃくたいで「のうきずつく」衝撃しょうげきデータ2わりちか萎縮いしゅく
  6. ^ 家族かぞく学校がっこう

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]