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Anopheles gambiae
地質ちしつ時代じだい
ジュラ紀じゅらき
分類ぶんるい
さかい : 動物界どうぶつかい Animalia
もん : 節足動物せっそくどうぶつもん Arthropoda
つな : 昆虫こんちゅうつな Insecta
: ハエそう翅目) Diptera
: ちょうかくいとかくNematocera
下目しため : 下目しため Culicomorpha
うえ : うえ Culicoidea
: Culicidae
学名がくめい
Culicidae
Meigen1818
英名えいめい
mosquito

)は、ハエそう翅目)いとかく学名がくめい: Culicidae)にぞくする昆虫こんちゅうである。イエカぞくヤブカぞくハマダラカぞくなど35ぞくやく2,500たねやく3000しゅ世界せかい存在そんざいし、うち日本にっぽんは100しゅ程度ていどである(東京とうきょう福祉ふくし保健ほけんきょくによる)[1]ヒトなどから血液けつえき吸血きゅうけつ動物どうぶつであり、たねによっては各種かくしゅ病気びょうき媒介ばいかいする衛生えいせい害虫がいちゅうである。

カのもっとふる化石かせきは、1おく7,000まんねんまえ中生代ちゅうせいだいジュラ紀じゅらき地層ちそうから発見はっけんされている。

形態けいたい

Culiseta longiareolata (Macquart, 1838) のメス
体長たいちょう
成虫せいちゅうハエ同様どうよう、2まいち、後翅こうし退化たいかして平均へいきんになっている。細長ほそなが体型たいけいで、あたままるく、あしながい。おおきさは様々さまざまだが、ほとんどは15mm以下いかである。
消化しょうかかん
カの消化しょうかかんぜんちょうちゅうちょうこうちょうの3つの部分ぶぶんけられる[2]ぜんちょうにはくち唾液だえきせん食道しょくどうなどがある[2]。カにはのほかにはらがわ吸胃とばれる器官きかんがあり、ちゅうちょうくち付近ふきんから分岐ぶんきし、はなみつ樹液じゅえき消化しょうかもちいる[2]ちゅうちょう位置いちしており血液けつえき処理しょりしている[2]ちゅうちょうこうちょう中間ちゅうかんにはマルピーギかんばれる、老廃ろうはいぶつ尿にょうとして排出はいしゅつする器官きかんがある[2]

生態せいたい

飛行ひこう速度そくど
重量じゅうりょうはわずか2–2.5mg飛行ひこう速度そくどやく1.5–2.5km/hほどであり、通常つうじょうでも1秒間びょうかんに520かい以上いじょうばたくが、吸血きゅうけつからだおもくなるため大幅おおはばばたく回数かいすうえ、それにともな飛行ひこう速度そくどちる。カの飛翔ひしょう距離きょりやそれに起因きいんする行動こうどうけんひろさはしゅによって様々さまざまである。
長崎ながさきけんにおける調査ちょうさによるとコガタアカイエカ通常つうじょうの1にち行動こうどう範囲はんいは1km程度ていどであるが、なかには1にちで5.1kmの距離きょり個体こたいもあり、また同種どうしゅ潮岬しおのみさき南方なんぽう500kmの位置いちから採集さいしゅうされている。これは風速ふうそく考慮こうりょすると高知こうちけんから24あいだ、あるいは静岡しずおかけんから19あいだ到達とうたつしたとかんがえられている。その一方いっぽうで、タイ王国おうこくバンコクにおけるネッタイシマカ調査ちょうさでは、24あいだで37mしか移動いどうしていないことが記録きろくされている。
JICA公表こうひょうする資料しりょうによれば、ハマダラカのうちタンザニアダルエスサラーム最大さいだい都市とし)とタンガ北部ほくぶ港湾こうわん都市とし)で流行りゅうこうしている土着どちゃくマラリア主要しゅよう媒介ばいかい Anopheles gambiae真水しみず棲息せいそく)と An. merus塩水えんすい棲息せいそく)の成虫せいちゅう飛翔ひしょう範囲はんい幼虫ようちゅう棲息せいそく中心ちゅうしんすうひゃくmであるという[3]。またおなじハマダラカるいで、いちにち飛翔ひしょう距離きょりAn. funestus で800 m 程度ていどAn. pharoensis で9kmであることが記録きろくされている。
羽音はおと
羽音はおとは400Hz–900Hzへるつ程度ていどであり、種類しゅるいによってことなる。羽音はおと利用りようしたさそえころせ駆除くじょ忌避きひグッズもあるが、羽音はおとの10ばいもの倍音ばいおんつ3–6kHzきろへるつおとはっする忌避きひグッズもある。こういったちょう音波おんぱ音波おんぱけるグッズは、2007ねん11がつ20日はつか日本にっぽん公正こうせい取引とりひき委員いいんかいにより、公的こうてき機関きかんでの実験じっけん結果けっか効果こうかみとめられない」とされ、景品けいひん表示法ひょうじほう違反いはんによる排除はいじょ命令めいれいされた[4]

えさ吸血きゅうけつ

口吻こうふんえさ
すべてのカはオスもメスもなが口吻こうふんつ。この口吻こうふん円筒えんとうじょういた上唇うわくちびる食物しょくもつ吸収きゅうしゅうするかんとなり、その下面かめんには唾液だえきおくかんとなっているした咽頭いんとう左右さゆうにははりじょうだいあごしょうあごえられている。そしてその全体ぜんたいといじょうになったしもくちびるさやとなって保護ほごしている。吸血きゅうけつ対象たいしょう動物どうぶつ皮膚ひふとげはりときは、しもくちびる外部がいぶで「く」のげ、吸血きゅうけつとげはりふたたおおう。
通常つうじょうえさは、植物しょくぶつみつ果汁かじゅうなどの糖分とうぶんふく液体えきたいである。
吸血きゅうけつ
吸血きゅうけつさいしてはしもくちびる以外いがい部分ぶぶんが、しょうあご先端せんたん鋸歯きょしひらかれたきず侵入しんにゅうしていき、毛細血管もうさいけっかんさぐてる。メスはたまご発達はったつさせるために必要ひつような、タンパク質たんぱくしつるために吸血きゅうけつする。吸血きゅうけつ対象たいしょうヒトふく哺乳類ほにゅうるい鳥類ちょうるいだが、爬虫類はちゅうるい両生類りょうせいるい魚類ぎょるいから吸血きゅうけつする種類しゅるいもある。オスはメスとちがい、うことはない。またオオカ場合ばあい、メスであっても吸血きゅうけつおこなわない。
吸血きゅうけつさい皮膚ひふ口吻こうふんし、吸血きゅうけつ容易よういにする様々さまざまタンパク質たんぱくしつなどの生理せいり活性かっせい物質ぶっしつふく唾液だえき注入ちゅうにゅうしたのち吸血きゅうけつはいる。この唾液だえきにより血小板けっしょうばん凝固ぎょうこ反応はんのうさまたげられる。このこう凝固ぎょうこ作用さようがないと血液けつえき体内たいないかたまり、自身じしんんでしまう。吸血きゅうけつおこなこと体内たいない卵巣らんそう成熟せいじゅく開始かいしされ[5]たまご発達はったつにもつながる。
おおくの気温きおんが15以上いじょうになると吸血きゅうけつはじめるとわれており、26から31くらいでもっとさかんに吸血きゅうけつ活動かつどうおこなう。通常つうじょう活動かつどう期間きかんないであっても気温きおんが15以下いかがったり、35えたりするようなことがあると、野外やがいでは物陰ものかげしたなどでじっとして活動かつどうしなくなる。
されたかゆ
また、この唾液だえき人体じんたいアレルギー反応はんのうこし、その結果けっかとして血管けっかん拡張かくちょうなどによりかゆしょうずる。唾液だえき本来ほんらい吸引きゅういんしたとともに体内たいないもどされる。血液けつえき吸引きゅういんわれば、された箇所かしょかゆみは、唾液だえきもどされなかった場合ばあいよりは軽度けいどになるとよくわれているものの、実際じっさいには、っているあいだ唾液だえき一緒いっしょながれていくのでかならずしも軽度けいどになるとはれない[6]。また、なんらかの理由りゆう吸引きゅういん中断ちゅうだんった場合ばあい唾液だえきされた体内たいないのこしたままであるため、かゆみがのこる。中和ちゅうわざい存在そんざいせず、こうヒスタミンやくリドカインふく軟膏なんこう塗布とふによりおさえることになる。

生活せいかつたまき

幼虫ようちゅう(ボウフラ)

一生いっしょうのうちで、たまご幼虫ようちゅうさなぎ成虫せいちゅう完全かんぜん変態へんたいする。たまごからさなぎまでの期間きかんたね温度おんどによってわる。イエカの一種いっしゅ Culex tarsalis は、20℃の環境かんきょうでは14にち生活せいかつたまき完成かんせいさせる。25℃の環境かんきょうでは10日とおかである。

たまご
たまごヤブカるいでは水際みずぎわに、オオカるいやハマダラカるいでは水面すいめんにばらばらにけるが、イエカるいでは水面すいめんたまごぶねばれるボートじょうたまごかたまりかべ、数日すうじつのうちに孵化ふかする。なお、けられたたまご幼虫ようちゅう産卵さんらん誘因ゆういんフェロモン放出ほうしゅつしており、たまご幼虫ようちゅうがいるみずほど産卵さんらんしやすい。特定とくてい細菌さいきん産卵さんらん誘因ゆういん物質ぶっしつさんしている。
幼虫ようちゅう (ボウフラ)
幼虫ようちゅう全身ぜんしん使つかってぼうるようなおよぎをすることから、古名こみょうの「ぼうり」「ぼうちゅう」がなまってボウフラ(孑孒、孑孑ぼうふら[7])となった。地方ちほうによっては「ボウフリ」の呼称こしょうのこる。ボウフラは定期ていきてき水面すいめん浮上ふじょうして空気くうき呼吸こきゅうをしつつ、水中すいちゅう水底みなそこ摂食せっしょく活動かつどうおこなう。呼吸こきゅうかんちかくにあるえら呼吸こきゅうのためではなく、塩分えんぶん調節ちょうせつ使つかわれるとかんがえられている。
生息せいそく場所ばしょとしては、おもながれのないよごれたぬまいけなどに生息せいそくするが、ハマダラカの一部いちぶなどでられるようにきれいなみずこのたねや、それ以外いがいにもみずたまりみずはいった容器ようきなかなど、わずかなみずじょうでも生息せいそくするたねがいる。トウゴウヤブカにみられるように、海水かいすいこんじるため海浜かいひんにある岩礁がんしょうくぼみの、しばしばたか塩分えんぶん濃度のうどになるみずたまりにも生息せいそくするものもられる。また、水田すいでん生息せいそくとしては重要じゅうようである。
ボウフラは環境かんきょう変化へんかにはよわく、水質すいしつ変化へんかしたり、みずがなくなったりすると死滅しめつしやすい。みずかわのようなながれがあると生活せいかつできないものがいる一方いっぽう渓流けいりゅうのよどみをおも生活せいかつ場所ばしょとするものもいる。特殊とくしゅ環境かんきょう成長せいちょうする種類しゅるいもおり、樹木じゅもく着生ちゃくせいしたアナナスるいあいだにたまったみず食虫植物しょくちゅうしょくぶつサラセニア捕虫ほちゅうないみず波打なみうちぎわカニあなないなどで成長せいちょうする種類しゅるいもいる。
ボウフラは空気くうき呼吸こきゅうするのに尾端びたんにある呼吸こきゅうかん使用しようするが、ハマダラカるいでは呼吸こきゅうかんがないため、からだ水面すいめん平行へいこうかべて、背面はいめんもん直接ちょくせつ水面すいめんせっして呼吸こきゅうする。幼虫ようちゅうのほとんどは水中すいちゅうデトリタス細菌さいきんるいなどをべ、ハマダラカるいでは水面すいめん吸着きゅうちゃくした微生物びせいぶつ、イエカるいでは水中すいちゅう浮遊ふゆうする微生物びせいぶつこまかいデトリタス粒子りゅうし、ヤブカるいでは水底みなそこしずんだ粗大そだいなデトリタスかたまり摂食せっしょくする傾向けいこうつよい。オオカ幼虫ようちゅう幼虫ようちゅう捕食ほしょくする。
さなぎ
さなぎオニボウフラ[1]おに孑孒)とばれる。むねからびた呼吸こきゅうかんおにかくのようにえることに由来ゆらいする。昆虫こんちゅうさなぎおなじくえさはとらないが、さなぎとしてはめずらしく幼虫ようちゅうおなじくらい活発かっぱつうごく。呼吸こきゅうむねの「ホルン」とばれる器官きかん使つかっておこなう。

人間にんげんとのかかわり

感染かんせんしょう媒介ばいかいしゃ

カは人類じんるいにとってもっと有害ゆうがい害虫がいちゅうである。メスが人体じんたい血液けつえきってかゆみをしょうじさせる以外いがいに、感染かんせんしょう有力ゆうりょく媒介ばいかいしゃともなる。カによって媒介ばいかいされる病気びょうきによる死者ししゃは1年間ねんかんに75まんにんにもおよび、2人間にんげん(47まん5000にん)をおさえて「地球ちきゅうじょうでもっとも人類じんるい殺害さつがいする生物せいぶつ」となっている[8]マラリアなどの原生動物げんせいどうぶつ病原びょうげんたいフィラリアなどのせんちゅう病原びょうげんたい黄熱病おうねつびょうデング熱でんぐねつ脳炎のうえんウエストナイルねつチクングニアねつリフトバレーねつなどのウイルス病原びょうげんたい媒介ばいかいする。日本にっぽんふく東南とうなんアジアでは、おもコガタアカイエカ日本脳炎にほんのうえん媒介ばいかいする。地球ちきゅう温暖おんだん影響えいきょう範囲はんいひろくなっている問題もんだいもある。カによる病気びょうきなかもっと罹患りかんしゃおよ死者ししゃおお病気びょうきはマラリアであり、2015ねんには2おく1400まんにん罹患りかんして43まん8000にん死亡しぼうした[9]。こうしたカによる感染かんせんしょうはカのおお生息せいそくする熱帯ねったい地方ちほう発生はっせいするものがおおく、マラリアをはじめ黄熱病おうねつびょうデング熱でんぐねつなどはほぼ熱帯ねったい特有とくゆう病気びょうきとなっている。また、カが媒介ばいかいする伝染でんせんびょう特定とくてい種類しゅるいのカによって媒介ばいかいされることがおおく、マラリアはハマダラカ、黄熱病おうねつびょうデング熱でんぐねつはネッタイシマカやヒトスジシマカ、ウエストナイルねつイエカ、ヤブカ、ハマダラカによって媒介ばいかいされる[10]

によって媒介ばいかいされる感染かんせんしょうは、感染かんせんげんによって3つのタイプにかれる。家畜かちく野生やせい動物どうぶつなどからしか人間にんげん感染かんせんしないもの、家畜かちく野生やせい動物どうぶつおよび感染かんせんした人間にんげんから人間にんげん感染かんせんするもの、そして人間にんげんあいだでしか感染かんせんしないものである。最初さいしょのタイプは日本脳炎にほんのうえんなどが該当がいとうし、野生やせい動物どうぶつ日本脳炎にほんのうえん場合ばあい水鳥みずとり)や家畜かちく日本脳炎にほんのうえん場合ばあいブタ)から吸血きゅうけつしたがウイルスを保持ほじするようになり、その人間にんげんから吸血きゅうけつすることでその人間にんげん感染かんせんする。このタイプの場合ばあい感染かんせんした人間にんげんから人間にんげん動物どうぶつには感染かんせんしない。2番目ばんめのタイプには黄熱病おうねつびょうデング熱でんぐねつなどが該当がいとうし、野生やせい動物どうぶつ黄熱病おうねつびょうデング熱でんぐねつ場合ばあいサル)およびそれらに感染かんせんした人間にんげんから吸血きゅうけつしたがウイルスを保持ほじするようになり、そのべつ人間にんげん吸血きゅうけつすることでその人間にんげん感染かんせんする。3番目ばんめのタイプにはマラリアなどが該当がいとうするが、これらの病原菌びょうげんきん動物どうぶつ保持ほじしておらず、感染かんせんした人間にんげんから吸血きゅうけつすることによってのみ病原びょうげんたいひろまる。このため、周囲しゅういにマラリア感染かんせんしゃがまったく存在そんざいしない場合ばあいは、マラリアに感染かんせんする可能かのうせいはない。一方いっぽうぜんしゃのタイプにおいては感染かんせん経路けいろにおいてひと一部いちぶのみ、またはまった関与かんよしていないので、感染かんせんしゃがいなくとも流行りゅうこうきることはありうる[11]

不快ふかい害虫がいちゅう

深夜しんやの3~5あたりでも活動かつどうしており、されたいたみ(かゆみ)や羽音はおと睡眠すいみん阻害そがいされることもあり、日常にちじょう生活せいかつ悪影響あくえいきょうおよぼすめんでもきらわれている。

吸血きゅうけつ宿主しゅくしゅ選択せんたくせいされやすいひとされにくいひと

血液けつえきがた
よくされやすい血液けつえきがたと、されにくい血液けつえきがたがあるとわれる。一般いっぱんてきには、Oがたされやすく、Aがたされにくいとわれている。これにかんして検証けんしょうした事例じれい世界せかいてきてもほとんどいが、富山医科薬科大学とやまいかやっかだいがく研究けんきゅうおこなわれ、論文ろんぶん発表はっぴょうされた[12]
しかし、血液けつえきがた性格せいかく分類ぶんるいでされる批判ひはんおなじく、かずある血液けつえきがたなか特別とくべつABOしき基準きじゅんにする科学かがくてき根拠こんきょはなく、吸血きゅうけつ行動こうどう影響えいきょうあたえそうな血液けつえきがた由来ゆらい物質ぶっしつも、現在げんざいのところられていない。
二酸化炭素にさんかたんそ温度おんど
二酸化炭素にさんかたんそ密度みつどたかいところへ、まわりより温度おんどたかいところへかう習性しゅうせいがある。体温たいおんにおいまわりとの二酸化炭素にさんかたんそ密度みつどちがいなどで相手あいてさがしている。そのため体温たいおんたかく、呼吸こきゅう回数かいすうおおい、つまり新陳代謝しんちんたいしゃはげしいひととくされやすい。生物せいぶつ呼吸こきゅう代謝たいしゃ以外いがいに、かりはらいなどの内燃ないねん機関きかん排気はいきガスにもってくる。普段ふだんされにくいひとでも、新陳代謝しんちんたいしゃりょうえる運動うんどうをしたのちや、ビールんだのちされやすくなる。また、あしのにおいをこのみ、あしほう集中しゅうちゅうする。
吸血きゅうけつ宿主しゅくしゅである動物どうぶつ呼気こきちゅう排出はいしゅつする炭酸たんさんガスりょうは、ニワトリは25ml/min、ヒトは250ml/min、ウシウマなどの大型おおがた家畜かちくは2,500ml/minであり、炭酸たんさんガスりょうたいする複数ふくすう種類しゅるい反応はんのうと、これらの動物どうぶつへの嗜好しこうせいがよく一致いっちすることから、関連かんれんせいがあるといわれている[13]
湿度しつど
湿度しつどにも反応はんのうする。たとえばあせをかいて、それが蒸発じょうはつすると反応はんのうし、されやすくなる。したがって、あせかきのひとされやすい。あせなかのL(+)-乳酸にゅうさん誘引ゆういん物質ぶっしつとしてみとめられている[13]
はだふくいろ
黒色こくしょくふくねつ吸収きゅうしゅうしやすいため、くろふくているとされやすくなる。白色はくしょくふくねつ吸収きゅうしゅうしにくいので、されにくくなる。またはだいろについても、インドじんビルマじん中国人ちゅうごくじん華人かじん)のこんじゅうするミャンマーではインドじんもっとによる感染かんせんしょうリスクがたかく、からだしょくちがいとともににおいが関連かんれんしていると予想よそうされている[13]
羽音はおと聴音ちょうおん
成人せいじん(25〜30さい以上いじょう)になると聴音ちょうおん範囲はんい徐々じょじょせばまり、高音こうおんいき羽音はおと(およそ17kHzきろへるつてい周波しゅうはおん。「モスキートおん」とばれる)をききとること(“キーン” “フーン”という擬音ぎおん形容けいようされる)が困難こんなんとなり接近せっきんしているのがわからずされやすくなる。
性別せいべつ
男性だんせいほうされやすい。これは発汗はっかんによる水分すいぶん蒸散じょうさんりょう関連かんれんしているとかんがえられる。50にん男性だんせい平均へいきんとげ咬数は50にん女性じょせいのそれよりおおきいことが実験じっけんされている[13]
せいホルモン
月経げっけい関連かんれんして、平均へいきんとげ咬数がおお吸血きゅうけつ誘引ゆういんせいつまりされやすさに周期しゅうきせいみとめることができることが実験じっけんされている[13]
その誘引ゆういん物質ぶっしつ
一部いちぶたんくさり脂肪酸しぼうさん[13]含硫アミノ酸あみのさん[13]アンモニア[14]1-オクテン-3-オール[15][16]、その体臭たいしゅう[17]

文化ぶんか

俳句はいくでは「」「孑孑ぼうふら(ボウフラ)」ともになつ季語きごとされる[18][19]滋賀しがけん守山もりやま湿地しっちおおく、ふるくは名所めいしょとしてられ、人間にんげんほどのるという伝説でんせつがあった。この狂言きょうげん相撲すもう』に登場とうじょうし、人間にんげん相撲すもうろうとちかけてちかづき、おうとするが正体しょうたい見破みやぶられ、おうぎあおがれて退治たいじされる。

のDNA検査けんさ

ひとった体内たいないのこるヒトDNAかた鑑定かんていすることで、吸血きゅうけつ2にちまで個人こじん特定とくていできることを、名古屋大学なごやだいがく大学院だいがくいん医学いがくけい研究けんきゅう山本やまもとさとしたかしじゅん教授きょうじゅらの研究けんきゅうグループが実験じっけんたしかめた。この研究けんきゅうでは、グループは殺虫さっちゅうざいキンチョール」でられるだい日本にっぽん除虫菊じょちゅうぎく(KINCHO)の協力きょうりょくて、無菌むきん状態じょうたい飼育しいくされた入手にゅうしゅした。国内こくない一般いっぱんてきなヒトスジシマカ、アカイエカにヒトのわせ、一時いちじあいだから72あいだまで数時間すうじかんごとに体内たいないのヒトDNAを抽出ちゅうしゅつりょう分解ぶんかい程度ていど調しらべるとともに、DNAがたによる個人こじん識別しきべつこころみた。7にん被験者ひけんしゃ検証けんしょうした結果けっか吸血きゅうけつから48あいだまでDNAがた判定はんてい可能かのうだったという。いつわれたか、半日はんにち単位たんい推定すいていできることもわかった。グループは今後こんご、1ひき複数ふくすうのヒトのった場合ばあい識別しきべつや、経過けいか時間じかん精度せいど向上こうじょう目指めざし、実験じっけんつづける。山本やまもとじゅん教授きょうじゅは「犯罪はんざい現場げんばではにもされてはいけない、というおそれが犯罪はんざい抑止よくしにつながれば」とはなす。研究けんきゅう成果せいかは2017ねん6がつ15にちづけまい科学かがく電子でんしばん掲載けいさいされた[20]

駆除くじょ忌避きひ防除ぼうじょ

成虫せいちゅう活動かつどうする時期じき場所ばしょ

みずたまりが発生はっせいげんで、成虫せいちゅう樹木じゅもくくさむらでやす[21]ため、そのちかくはされないよう警戒けいかいしたり、駆除くじょおこなったりする対象たいしょうエリアとなる。気温きおんが18℃以上いじょうあれば活動かつどうでき、さらにぶしによる気温きおん変化へんかおおきい日本にっぽんでは、成虫せいちゅうなつ活発かっぱつ行動こうどうせる。日本にっぽん気象きしょう協会きょうかいス製薬すせいやく協力きょうりょくし、地域ちいきごとに注意ちゅういすべき度合どあいを「ケア指数しすう」として公表こうひょうしている[22]

化学かがくてき防除ぼうじょ殺虫さっちゅうざい

使用しようちゅう蚊取線香かとりせんこう
液体えきたい方式ほうしき電気でんきアースノーマット

除虫菊じょちゅうぎく殺虫さっちゅう効果こうかがあるとことは、ふるくから経験けいけんてきられていた。また、一部いちぶたね柑橘かんきつけい樹木じゅもく果実かじつきら習性しゅうせいがあり、ネペタラクトンシトロネラ忌避きひざいとして利用りようされるほか、なつみかんひとし果実かじつかわじる果汁かじゅう人体じんたい塗布とふする地方ちほうもある。

消費しょうひしゃ心理しんりとして「天然てんねん成分せいぶんほう安全あんぜん」との先入観せんにゅうかんいだきがちであるが、天然てんねん成分せいぶん効果こうかしめされるレモンユーカリは、ユーカリあぶら含有がんゆうするシネオール呼吸こきゅう神経しんけいへの危険きけんせい指摘してきされているため、3さい未満みまん乳幼児にゅうようじ使用しようには注意ちゅうい喚起かんきがなされている[23]

動物どうぶつには忌避きひ効果こうかのある成分せいぶんふく植物しょくぶつからだこすりつける習性しゅうせいたねもある[24]

どうしずめると、ボウフラをよわらせる効果こうか発見はっけんされており[25]みずなかじゅうえん硬貨こうかなどのどうへんれる、みず容器ようきどうせいにする対策たいさくおこなわれたり、洗剤せんざいみずかすと、界面かいめん活性かっせいざいによってボウフラが窒息ちっそく死滅しめつすることがられている。

現代げんだいてき駆除くじょは、家庭かていないではおも夜間やかん蚊取線香かとりせんこうりリキッドハエゴキブリなども対象たいしょうのスプレータイプの殺虫さっちゅうざい使用しようして駆除くじょおこなう。日本にっぽんにおいてなどにもちいる殺虫さっちゅうざい医薬品いやくひん医療いりょう機器ききとうほうのっとり、厚生こうせい労働省ろうどうしょう承認しょうにんした、医薬いやく部外ぶがいひんとしてあつかわれる。

のための殺虫さっちゅうざいは、以下いかのとおり。

ピレスロイドけい殺虫さっちゅうざい
除虫菊じょちゅうぎく成分せいぶん改変かいへんした一連いちれん化合かごうぶつ即効そっこうせいで、家庭かていようとしても多用たようされる。揮発きはつせい一部いちぶ化合かごうぶつのぞいてひくい。除虫菊じょちゅうぎく殺虫さっちゅう成分せいぶん分解ぶんかいはやく、殺虫さっちゅう効力こうりょくひく異性いせいたいおおじっており、効力こうりょくひくいために様々さまざま構造こうぞう化合かごうぶつ開発かいはつされている。除虫菊じょちゅうぎくは、かつて蚊取かと線香せんこう原材料げんざいりょうとして使つかわれていたが、現在げんざいではぜん化学かがく合成ごうせい生産せいさんされている。
忌避きひせいもあるため、開発途上国かいはつとじょうこくではピレスロイドけい殺虫さっちゅうざいんだ蚊帳かや世界せかい保健ほけん機関きかん(WHO)が採用さいようして、普及ふきゅう目指めざしている。またかべよう塗料とりょうにもれられている[26]
有機ゆうきリンけい殺虫さっちゅうざい
ピレスロイドと比較ひかくして、相対そうたいてき毒性どくせいたかいため、防除ぼうじょ業者ぎょうしゃようとしてもちいられている。DDVP揮発きはつせいたかいためにビル地下街ちかがいなど、閉鎖へいさ空間くうかんでの防除ぼうじょ利用りようされる。
DEETイカリジン(ピカリジン)
忌避きひざいであり殺虫さっちゅうりょくはない。野外やがい活動かつどう皮膚ひふ塗布とふしたり、特殊とくしゅ加工かこうにより繊維せんいりこませてもちいる。DEETはアメリカにて1946ねん開発かいはつされ日本にっぽんでは1962ねん認可にんか、イカリジンは1985ねん開発かいはつされ、2015ねん本邦ほんぽうにて認可にんかされた。DEETは海外かいがいでの動物どうぶつ実験じっけんによる神経しんけい毒性どくせい指摘してきされている[27]。そのため、国民こくみん生活せいかつセンターでは、厚生こうせい労働省ろうどうしょう殺虫さっちゅうざいメーカーにたいし、DEETの使用しようについて以下いかのようにさだめた[注釈ちゅうしゃく 1][28]
DEET12%以下いか商品しょうひん
    • 6かげつ未満みまん乳児にゅうじには使用しよう不可ふか
    • 6かげつ以上いじょう2さい未満みまんは、1にち1かいまで
    • 2さい以上いじょう12さい未満みまんは、1にち1~3かいまで
DEET30%の商品しょうひん
    • 12さい未満みまんには使用しよう不可ふか
なお、イカリジンの年齢ねんれい制限せいげんとくもうけられていない。
ちまたでは「DEET使用しよう」をアピールした忌避きひざい販売はんばいされているため、DEETがさも危険きけんであるかのように見受みうけられるが、DEET自体じたい危険きけんではなく、用法ようほうどおりに使用しようすれば、安全あんぜんである[28]。とくに、海外かいがい渡航とこうへの感染かんせんしょう対策たいさくにDEET配合はいごう忌避きひざい使用しよう推奨すいしょうされている[29]
BT
土壌どじょう微生物びせいぶつBacillus thuringiensisislaelensis かぶは、たいして殺虫さっちゅう効果こうかしめすが、価格かかくたかく、利用りようできる場面ばめんかぎられているため、今後こんご応用おうよう期待きたいされている。
DDT
環境かんきょう人体じんたいへの影響えいきょうおおきい薬剤やくざいである。リスクを考慮こうりょしてもなお、みなみアジアなどマラリアによる被害ひがいはるかにおおきい地域ちいきで、限定げんていてきもちいられる。

代表だいひょうてき駆除くじょ器具きぐ

かつて日本にっぽんにおいては、ヨモギカヤスギマツ青葉あおばなどをにくべて、いぶしたけむりはら蚊遣かやという風習ふうしゅうひろおこなわれていた。また、こうしたによってはら道具どうぐ蚊遣かや、またはとよばれ、全国ぜんこくてき使用しようされており、大正たいしょう時代じだいまではこれらの風習ふうしゅうのこっていた。

駆除くじょ器具きぐとして使用しようされているものとしては、蚊取かと線香せんこうがある。ただしその歴史れきし自体じたい非常ひじょうあたらしいものであり、和歌山わかやまけん出身しゅっしん上山うえやま英一郎えいいちろう線香せんこう除虫菊じょちゅうぎく粉末ふんまつんだものを1890ねん明治めいじ23ねん)に開発かいはつしたのがはじまりである。蚊取線香かとりせんこう殺虫さっちゅう能力のうりょくたかく、大正たいしょう時代じだいすえには、蚊遣かや蚊遣かやってわった。ただし蚊取線香かとりせんこうもちいることにはわりなく、安全あんぜんせいたかはい処理しょり容易よういにするために、蚊遣かやりばれる陶器とうきせい容器ようきブタをかたどったものとく有名ゆうめい)にれて使用しようすることもおおかった。

やがて1963ねんには、アレスリン電熱でんねつによって揮発きはつさせ、殺虫さっちゅう効果こうか電気でんき開発かいはつされ、けむりはいないことから、1970年代ねんだいには普及ふきゅうし、従来じゅうらい蚊取線香かとりせんこうってわった。また、どう時期じきにはスプレーかた殺虫さっちゅうざい防虫ぼうちゅうざい開発かいはつされ、これも対策たいさくとしてひろ使用しようされるようになった。

上記じょうきのような駆除くじょ器具きぐ代表だいひょうてき企業きぎょうとしては、上山うえやまおこしたきむとりだい日本にっぽん除虫菊じょちゅうぎくや、ス製薬すせいやくフマキラーなどがある。

生物せいぶつがくてき防除ぼうじょ

天敵てんてき用法ようほう
ボウフラを捕食ほしょくするゲンゴロウるい幼虫ようちゅう
クモなど、 捕食ほしょくする動物どうぶつ天敵てんてき)で駆除くじょおこなう。ヒトスジシマカなどのひるぎょうせいにはトンボ有効ゆうこう。トンボの幼虫ようちゅうヤゴ)も水中すいちゅうでボウフラを捕食ほしょくする。カエル、その幼生ようせいであるオタマジャクシ有効ゆうこう天敵てんてきとなる。
ボウフラは肉食にくしょくせい水生すいせい昆虫こんちゅう小型こがた淡水魚たんすいぎょにとって格好かっこうえさであることから、自然しぜん保護ほご地域ちいきでは、メダカカダヤシ日本にっぽんでは特定とくてい外来がいらい生物せいぶつ指定してい)とウナギ稚魚ちぎょなどによって駆除くじょおこなわれている。屋外おくがいいけなどにはフナなどを生息せいそくさせて捕食ほしょくさせる。また、飼育しいくのメダカもボウフラよりおおきなヒメダカクロメダカであれば、ボウフラ退治たいじ有効ゆうこうである[30]
遺伝子いでんし利用りよう
デング熱でんぐねつなどへの対策たいさくとして 遺伝子いでんしえによって、つぎ世代せだい成虫せいちゅうになるまえぬネッタイシマカをつくこと成功せいこうしている。これらを自然しぜんかいはな実験じっけんも2009ねんからおこなわれているが、これには環境かんきょうへの影響えいきょう懸念けねんするこえもある[31]
事実じじつブラジルでは遺伝子いでんしえカと野生やせいカが交配こうはいして強化きょうかされたというせつもある。[32]
感染かんせんびょう利用りよう
ころ伝染でんせんびょう感染かんせんさせることで駆除くじょおこなうことができる[よう出典しゅってん]

物理ぶつりてき防除ぼうじょ

物理ぶつりてき忌避きひ

わくからるされた蚊帳かや

侵入しんにゅうふせぎながら空気くうきとおりをさまたげないものとして、まど網戸あみど屋内おくない蚊帳かやがある。いずれもが1mm程度ていどこまかなあみ侵入しんにゅう方向ほうこうめぐらせて侵入しんにゅうふせぐものであり、人間にんげん寝所ねどことうまわりにるして防御ぼうぎょするものが蚊帳かや、それをすすめてまどあみ全体ぜんたいへの侵入しんにゅうふせぐものが網戸あみどである。このちからも推測すいそくできるとおり、使用しよう歴史れきしとしては蚊帳かやほうがはるかにふるく、古代こだいから世界中せかいじゅう使用しようされていた。日本にっぽんにおいても中国ちゅうごくから伝来でんらいし、すで江戸えど時代じだいには一般いっぱん庶民しょみん用品ようひんとなっていた。その昭和しょうわ時代じだい後期こうきはいりガラスまどとそれをせるサッシ普及ふきゅうして気密きみつせい大幅おおはば向上こうじょうし、侵入しんにゅうする隙間すきままど以外いがいなくなったことからまどでの防御ぼうぎょ意味いみまれ、網戸あみど誕生たんじょうして急速きゅうそく普及ふきゅうした。現代げんだいにおいては網戸あみどは、ほぼ日本にっぽんちゅういえ採用さいようされているとおもわれるが、蚊帳かや現代げんだい日本にっぽんではあまりもちいられていない。ただし日本にっぽん以外いがい国々くにぐに、とくに熱帯ねったい地域ちいき諸国しょこくにおいては蚊帳かや現在げんざいでも非常ひじょうによく使用しようされる。蚊帳かや使用しよう熱帯ねったい地域ちいきにおける伝染でんせんびょう感染かんせん減少げんしょうさせる有効ゆうこう手段しゅだんとされ、とくに2000ねんごろに5年間ねんかんほど効果こうか持続じぞくする[33]ピレスロイドけい殺虫さっちゅうざい添加てんかした蚊帳かや開発かいはつされると、世界せかい保健ほけん機関きかん(WHO)やおおくのNPOがこれを採用さいようして無償むしょう配布はいふ援助えんじょおこなうようになった。

また風速ふうそく1m以上いじょうかぜ環境かんきょうでは飛行ひこうできない(横風おうふうけてばされてしまう。ヒトにこと出来できない)ため、扇風機せんぷうきかぜてることでも防除ぼうじょはできる。

駆除くじょ目的もくてきとしたものには、紫外線しがいせん誘引ゆういんし、通電つうでんした格子こうしれさせ感電かんでんさせる電気でんき捕虫ほちゅう[34]電撃でんげき殺虫さっちゅう[35])があり、同様どうよう紫外線しがいせん二酸化炭素にさんかたんそ誘引ゆういんした風力ふうりょく捕獲ほかくする機器きき登場とうじょうしている[36]

侵入しんにゅうした駆除くじょする方法ほうほうとしては、電気でんきながれるラケットじょう器具きぐ電気でんき蠅叩はえたたき」が登場とうじょうしている。

物理ぶつりてき予防よぼう

ボウフラの生息せいそく場所ばしょとなる「みずたまり」を、可能かのうかぎつくらないことが重要じゅうようである。それが困難こんなん場合ばあいには以下いか方法ほうほうがある。

あぶら
水面すいめんあぶらおおことでボウフラを窒息ちっそくさせることができ、アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくパナマ運河うんが建設けんせつしたさいにもこの手法しゅほうでマラリアの発生はっせいおさえられている[37]
なみ
エアレーション水面すいめんらすことでもボウフラを窒息ちっそくさせることができる[38]。これを応用おうようして水面すいめんかべる小型こがた機器きき考案こうあんされている[39]
どう
みずどうファイバー、繊維状せんいじょうのものをれることで、ボウフラの9わり羽化うかせずに死滅しめつするとの実験じっけん結果けっかもある[40]
わな
簡単かんたん加工かこうほどこしたペットボトル水源すいげん設置せっちしてボウフラをめるわな考案こうあんされている[41][42]

また、水源すいげんからはなれた場所ばしょ設置せっちし、えて産卵さんらんさせたうえ羽化うかした成虫せいちゅうめるわな商品しょうひんされている[43]おなじようなわなをペットボトルなどで作成さくせいすることもできる[44]

生態せいたいけいにおける役割やくわり

みず浄化じょうか

ボウフラは水中すいちゅう有機物ゆうきぶつ分解ぶんかいし、バクテリアしょくして排泄はいせつぶつす。微生物びせいぶつおなじように有機物ゆうきぶつ分解ぶんかい排泄はいせつぶつすが、呼吸こきゅう水中すいちゅうおこなうため、バクテリアがえすぎると水中すいちゅう酸素さんそすくなくなり生物せいぶつめなくなってしまう場合ばあいがある。ボウフラはバクテリアをべ、呼吸こきゅう空気くうきちゅうからおこなうことで、みず環境かんきょう浄化じょうかする作用さようがある[45][46]

受粉じゅふん手助てだす

カカオのはな

吸血きゅうけつだけでなくはなみつってきており、結果けっかとして植物しょくぶつ受粉じゅふん手助てだすけしている。なかでも、チョコレート原料げんりょうであるカカオは、はな非常ひじょうちいさく複雑ふくざつ構造こうぞうであるため、3ミリメートル未満みまんおくこなしゃ必要ひつようとする。一種いっしゅであるヌカカ[注釈ちゅうしゃく 2][47]は、カカオの貴重きちょうおくこなしゃである。もしも地球ちきゅうじょうから全滅ぜんめつしてしまったと仮定かていすると、カカオの生育せいいくおおきな悪影響あくえいきょうおよぼし、人々ひとびとはチョコレートやココアたしなむことが不可能ふかのうとなる[48][49]

生態せいたいけい維持いじ

ボウフラは、すうひゃく種類しゅるいにわたるさかな捕食ほしょくされており、もしもボウフラがいなくなると、それらのエサがうしなわれることから、生態せいたいけい秩序ちつじょみだれ、おもいもよらぬ影響えいきょうおよぼされることが懸念けねんされる。また、トンボアリクモコオロギトカゲカエルなどにも一定いってい影響えいきょうおよぼすとかんがえられている[48]

人道的じんどうてき見地けんち排斥はいせきした視点してんからは、駆逐くちく人口じんこう爆発ばくはつ加勢かせいし、ぜい負担ふたん増加ぞうか国家こっか発展はってんさまたげとなる可能かのうせい示唆しさされる[50]

下位かい分類ぶんるい

脚注きゃくちゅう

注釈ちゅうしゃく

  1. ^ ディート・イカリジンの濃度のうどは、つよさではなく持続じぞく時間じかんしめしている。ディート30%でやく6あいだ、15%で5あいだ、10%で3あいだ作用さよう時間じかんとしている。また、商品しょうひんわず使用しようじょう注意ちゅういみ、使用しようほう遵守じゅんしゅして使つかうことが肝心かんじんである。
  2. ^ 「スケベちゅう」「干拓かんたくちゅう」ともばれ、鳥取とっとりけん米子よなご鹿児島かごしまけん奄美あまみ大島おおしま沖縄おきなわけん久米島くめじまなどの一部いちぶ近年きんねん被害ひがい相次あいつぐ。体長たいちょうちいささゆえに網戸あみどをすりけ、まれるとつよかゆみが1ヶ月かげつあいだ以上いじょうつづくこともある。

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参考さんこう文献ぶんけん

関連かんれん項目こうもく

外部がいぶリンク