認知にんちしょう

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認知にんちしょう
正常せいじょう高齢こうれいしゃひだり)と、アルツハイマーびょう罹患りかん高齢こうれいしゃみぎ)ののう比較ひかく
概要がいよう
診療しんりょう 神経しんけいがく, 精神せいしん医学いがく
頻度ひんど 3.8 to 4% (アジア), 6.1 to 6.3% (ヨーロッパ), 6.4 to 6.6% (アメリカしゅう), 2.5 to 2.7% (アフリカ)
分類ぶんるいおよび外部がいぶ参照さんしょう情報じょうほう
ICD-10 F00-F07
ICD-9-CM 290-294
DiseasesDB 29283
MedlinePlus 000739
Patient UK 認知にんちしょう
MeSH D003704
OECD各国かっこく人口じんこうせんにんあたり認知にんちしょうしゃ

認知にんちしょう(にんちしょう、えい: Dementiaどく: Demenz)は認知にんち障害しょうがい一種いっしゅであり、ヒトののう後天的こうてんてき器質きしつてき障害しょうがいにより、いったん正常せいじょう発達はったつした知能ちのう知性ちせい可逆かぎゃくてき低下ていかする状態じょうたいである。初期しょき段階だんかい周囲しゅういにも、老化ろうかによる物忘ものわす混同こんどうされやすいが、どれかが並行へいこうしてきる(物忘ものわすれに自己じこ対処たいしょ出来できない、物忘ものわすれしたこと自体じたい忘却ぼうきゃく妄想もうそう幻覚げんかく依存いぞん徘徊はいかい攻撃こうげきてき行動こうどう睡眠すいみん障害しょうがい介護かいごへの抵抗ていこうしょく過食かしょくそもそもうつ状態じょうたいなど)。ひとによって症状しょうじょう様々さまざまであり、発症はっしょうまえよりいかりっぽくなったり、不安ふあん性格せいかくになったり、異常いじょう行動こうどうられるようになる[1][2][3][4]

ほんこうではおもヒト人間にんげん)について記述きじゅつするが、認知にんちしょう人間にんげん以外いがい動物どうぶついぬねこなど)でも発症はっしょうする。狭義きょうぎでは「知能ちのう後天的こうてんてき低下ていかした状態じょうたい」のことすが、医学いがくてきには「知能ちのう」のほかに「記憶きおく」「見当けんとう」をふく認知にんち障害しょうがいや「人格じんかく変化へんか」などをともなった症候群しょうこうぐんとして定義ていぎされる[1][3]。これにし、先天的せんてんてきのう器質きしつてき障害しょうがいがあり、運動うんどう障害しょうがい知能ちのう発達はったつめんでの障害しょうがいなどがあらわれる状態じょうたい知的ちてき障害しょうがい先天的せんてんてき認知にんち障害しょうがいがある場合ばあい認知にんち障害しょうがいという。たん老化ろうかともなって物覚ものおぼえがわるくなるといっただれにでもきる現象げんしょうふくまず、病的びょうてき能力のうりょく低下ていかして性格せいかく先鋭せんえいつよ承認しょうにん欲求よっきゅう理性りせいてき思考しこうりょく衰退すいたい被害ひがい妄想もうそうまね症状しょうじょう[5][6]

日本にっぽんにおいて、このやまいはかつて痴呆ちほう(ちほう)とばれていた。しかし、日本にっぽんでは、2004ねん厚生こうせい労働省ろうどうしょう用語ようご検討けんとうかいによって「認知にんちしょう」へのいいかえをもとめる報告ほうこくがまとまった。これをけて、まず行政ぎょうせい分野ぶんやおよび高齢こうれいしゃ介護かいご分野ぶんやにおいて「痴呆ちほう」のかたり廃止はいしされ「認知にんちしょう」にえられた。かく医学いがくかいにおいても2007ねんごろまでにほぼいいかえがなされている。朝鮮半島ちょうせんはんとうでは漢字かんじ義務ぎむ教育きょういくから廃止はいしされたため、「痴呆ちほうしょう)」という漢字かんじ問題もんだいにならず、現在げんざいもそのままである(詳細しょうさいについては#名称めいしょう変更へんこうこう参照さんしょう)。日本にっぽんでは物忘ものわすれと混同こんどうされやすいため、物忘ものわす外来がいらいという認知にんちしょうかもとおもったさい専門せんもん設置せっちされているところがある[7]

認知にんちしょうは70さい以上いじょう人口じんこうにおいて2番目ばんめ多数たすうめる障害しょうがい疾患しっかんである[8]ぜん世界せかいで3560まんにん認知にんちしょうかかえて生活せいかつおくっており[6]、その経済けいざいてきコストはぜん世界せかい毎年まいとし0.5-0.6ちょうあめりかドル以上いじょうとされ、これはスイス国内こくないそう生産せいさん (GDP) を上回うわまわ[9][6]患者かんじゃ毎年まいとし770まんにんずつ増加ぞうかしており[6]世界せかい認知にんちしょう患者かんじゃは2030ねんには2012ねん時点じてんの2ばい、2050ねんには3ばい以上いじょうになるとWHOは推測すいそくしている[10]

現在げんざい医学いがくにおいて、認知にんちしょう治療ちりょうする方法ほうほうはまだつかっていない[11][12]安全あんぜん効果こうかてき治療ちりょうほう模索もさくする研究けんきゅうおこなわれているが、そのあゆみは難航なんこうしている[12]

予防よぼうも、知的ちてき活動かつどう他人たにんとのコミュニケーション、身体しんたい運動うんどうなどによりこころみられており、日本にっぽんでは日本にっぽん認知にんちしょう予防よぼう学会がっかい組織そしきされ、アルツハイマーしょうのこすドイツの医学いがくしゃアロイス・アルツハイマー誕生たんじょうである6がつ14にちを「認知にんちしょう予防よぼう」とさだめている[13]

老化ろうかともなのう器質きしつてき障害しょうがいとともに、身体しんたいのいずれかが機能きのう不全ふぜんこすことがおおかったため社会しゃかい問題もんだいすることはなかった。近年きんねんでは身体しんたい老化ろうかによる障害しょうがい投薬とうやくなどにより機能きのうをある程度ていど維持いじすることが可能かのうになったが、のう機能きのう投薬とうやくなどでは劣化れっかふせぐことができなかったために顕在けんざいした。

症状しょうじょう[編集へんしゅう]

以前いぜんよりものう機能きのう低下ていかするが、おも以下いかよう症状しょうじょう分類ぶんるいされる。

中核ちゅうかく症状しょうじょう[編集へんしゅう]

程度ていど発生はっせい順序じゅんじょはあれ、すべての認知にんちしょう患者かんじゃ普遍ふへんてき観察かんさつされる症状しょうじょうを「中核ちゅうかく症状しょうじょう」と表現ひょうげんする。 記憶きおく障害しょうがい見当けんとう障害しょうがい時間じかん場所ばしょ人物じんぶつしつ見当けんとう)、認知にんち機能きのう障害しょうがい計算けいさん能力のうりょく判断はんだんりょく低下ていか失語しつごしつみとめしつぎょう実行じっこう機能きのう障害しょうがい)などから[14][15]

これらは神経しんけい細胞さいぼう脱落だつらくによって発生はっせいする症状しょうじょうであり、患者かんじゃ全員ぜんいんられる。病気びょうき進行しんこうとともに徐々じょじょ進行しんこうする。

周辺しゅうへん症状しょうじょう (BPSD)[編集へんしゅう]

すべての患者かんじゃ普遍ふへんてきあらわれる中核ちゅうかく症状しょうじょうたいし、患者かんじゃによってたりなかったり、発現はつげんする種類しゅるいしょうじる症状しょうじょうを「周辺しゅうへん症状しょうじょう」、近年きんねんではとく症状しょうじょう発生はっせい要因よういん注目ちゅうもくした表現ひょうげんとして「BPSD(Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia:行動こうどう心理しんり症状しょうじょう)」、「non-cognitive symptoms」とぶ。

おも症状しょうじょうとしては幻覚げんかく(20-30%[2])、妄想もうそう(30-40%[2])、徘徊はいかい異常いじょうしょく行動こうどうしょくしょう)、睡眠すいみん障害しょうがいそもそもうつと不安ふあん(40-50%)、焦燥しょうそう暴言ぼうげん暴力ぼうりょくく)、性的せいてき羞恥心しゅうちしん低下ていか異性いせいたいする卑猥ひわい発言はつげん頻出ひんしゅつなど)などがある[14][1]

発生はっせい原因げんいんとしては中核ちゅうかく症状しょうじょう進行しんこうともなって低下ていかする記憶きおくりょく見当けんとう識・判断はんだんりょくなかで、不安ふあん状況じょうきょう打開だかいはかるために第三者だいさんしゃからは異常いじょうおもえる行動こうどうにおよび、それが周囲しゅういとの軋轢あつれきむことで不安ふあん状態じょうたい進行しんこうし、さらに症状しょうじょうのエスカレートが発生はっせいすることがげられる。前述ぜんじゅつとおり、中核ちゅうかく症状しょうじょうちが一定いってい割合わりあい患者かんじゃられ、かならずしもすべての患者かんじゃ同一どういつ症状しょうじょうられるとはかぎらない。またその症状しょうじょう上記じょうきのもの以外いがいにも非常ひじょう多岐たきにわたり、多数たすう周辺しゅうへん症状しょうじょう同時どうじられることもめずらしくない。中核ちゅうかく症状しょうじょう認知にんちしょう初期しょき軽度けいど中等ちゅうとう重度じゅうど段階だんかいんで進行しんこうしていくのにたいし、周辺しゅうへん症状しょうじょう初期しょき中等ちゅうとうでは症状しょうじょう急変きゅうへんすることもおおきな特徴とくちょうである。初期しょきでは不安ふあん気分きぶんしずみといった精神せいしん症状しょうじょうおおく、中等ちゅうとうになると幻覚げんかく妄想もうそうなどが発現はつげんする。

かつては中等ちゅうとうになると、患者かんじゃ日常にちじょう生活せいかつおこな能力のうりょく急速きゅうそく喪失そうしつしてゆくことがおおいと認識にんしきされていた。そのため「周辺しゅうへん症状しょうじょう中等ちゅうとう」との固定こてい観念かんねん存在そんざいしたが[注釈ちゅうしゃく 1]現在げんざいでは軽度けいどでも一定いってい症状しょうじょう発生はっせいすることがかってきた。よってその固定こてい観念かんねん払拭ふっしょくと、より原因げんいん着目ちゃくもくした表現ひょうげんとしてBPSDがもちいられるようになった。

オーストラリアにおけるBPSD管理かんり指針ししん[16]
Tier 診断しんだん ゆうびょうりつ 症状しょうじょう 管理かんり
1 認知にんちしょうなし - - 予防よぼうつとめる
2 BPSDのない認知にんちしょう 40% - 予防よぼう進行しんこうおくらせる処置しょちをする
3 けい程度ていどBPSDの認知にんちしょう 30% 夜間やかん騒乱そうらん徘徊はいかいかるそもそもうつ、無気力むきりょく反復はんぷく質問しつもん、シャドーイング(ひときまとう[17] プライマリケア管理かんり
4 ちゅう程度ていどBPSDの認知にんちしょう 20% だいうつびょう攻撃こうげきてき言動げんどう精神病せいしんびょう性的せいてきだつ抑制よくせい放浪ほうろう 専門医せんもんい受診じゅしんのうえプライマリケア管理かんり
5 おもいBPSDの認知にんちしょう 10% 深刻しんこくそもそもうつ、さけび、はげしい錯乱さくらん せんもん認知にんちしょうケアが提供ていきょうされる施設しせつ
6 非常ひじょうおもいBPSDの認知にんちしょう 1%以下いか 物理ぶつりてき攻撃こうげき深刻しんこくそもそもうつ、自殺じさつ傾向けいこう 老年ろうねん精神せいしん施設しせつにて管理かんり
7 はげしいBPSDの認知にんちしょう まれ 物理ぶつりてき暴力ぼうりょく 集約しゅうやくされた特別とくべつ治療ちりょう施設しせつ

はげしすぎる周辺しゅうへん症状しょうじょう発生はっせいした場合ばあいこう精神せいしんやくなどをもちいて鎮静ちんせいさせることもあるがだいいち選択せんたくとしては推奨すいしょうされず、前述ぜんじゅつとお不安ふあん状態じょうたい、および認知にんち能力のうりょく低下ていかした状態じょうたいでの不安ふあん打開だかい方法ほうほうとしての行動こうどう原因げんいんであるため、まずその不安ふあん原因げんいんとなっている要素ようそのぞくことが対処たいしょ基本きほんとなる[18]中核ちゅうかく症状しょうじょう進行しんこう阻止そしする有効ゆうこう方法ほうほう確立かくりつされていないが、適切てきせつ介護かいご・ケア方法ほうほうによって周辺しゅうへん症状しょうじょう発生はっせいおさえ、明確めいかく症状しょうじょうられないままターミナルむかえることも可能かのうである。初期しょき状態じょうたいでの適切てきせつなケアが重要じゅうようとなる。

その症状しょうじょう[編集へんしゅう]

じつ臨床りんしょうにおいては、アルツハイマーびょうしろしつがた多発たはつせいのう梗塞こうそく合併がっぺいおおく、後者こうしゃでは歩行ほこう障害しょうがいパーキンソン症候群しょうこうぐんひらきあしせいともなうこともすくなくない)および排尿はいにょう障害しょうがい進行しんこうすると尿にょう失禁しっきんいたる)がしばしばみられる。レビーしょう体型たいけい認知にんちしょうでは、認知にんちしょう幻覚げんかく妄想もうそうともに、歩行ほこう障害しょうがい活動かつどう膀胱ぼうこうふくめた自律じりつ神経しんけい障害しょうがいがしばしばみられる。

分類ぶんるい[編集へんしゅう]

認知にんちしょう原因げんいんとなるおも疾患しっかんには、のう血管けっかん障害しょうがいアルツハイマーびょうなどの変性へんせい疾患しっかん正常せいじょうあつすいあたましょうビタミンなどの代謝たいしゃ栄養えいよう障害しょうがい甲状腺こうじょうせん機能きのう低下ていかなどがあり、これらの原因げんいんにより生活せいかつ支障ししょうをきたすような認知にんち機能きのう障害しょうがい表出ひょうしゅつしてきた場合ばあい認知にんちしょう診断しんだんされる。

以下いか原因げんいん疾患しっかんによる認知にんちしょうのおおよその分類ぶんるい

また、認知にんちしょう患者かんじゃのおよそ10%程度ていど混合こんごうがた認知にんちしょう (mixed dementia) であり、一般いっぱんてきにアルツハイマーびょうとその認知にんちしょう前頭まえがしらがわあたまがた血管けっかんせいがた)を併発へいはつしている[22][23]

のう血管けっかん障害しょうがい場合ばあい画像がぞう診断しんだん微小びしょう病変びょうへんつかっているような場合ばあいでも、これらが認知にんち症状しょうじょう原因げんいんになっているかどうかの判別はんべつむずかしく、これまではのう血管けっかんせい認知にんちしょう (VaD) と診断しんだんされてきたが、実際じっさいはむしろアルツハイマーびょう認知にんちしょう原因げんいんとなっている、いわゆる、「のう血管けっかん障害しょうがいともなうアルツハイマーがた認知にんちしょう混合こんごうがた認知にんちしょう)」である場合ばあいすくなくなく、純粋じゅんすいなVaDは7.3%とわれている[23]

皮質ひしつせい認知にんちしょう皮質ひしつせい認知にんちしょうという分類ぶんるいがなされることもある。血管けっかん障害しょうがいせい変性へんせいせいという分類ぶんるいもあり、Hachinskiのきょスコアが両者りょうしゃ区別くべつにある程度ていど有用ゆうようである。日本にっぽんでは従来じゅうらいより血管けっかんせい認知にんちしょうもっとおおいといわれていたが、最近さいきんアルツハイマーがた認知にんちしょう増加ぞうかしている。

軽度けいど認知にんち障害しょうがい[編集へんしゅう]

軽度けいど認知にんち障害しょうがい(Mild Cognitive Impairment:MCI)とは、正常せいじょう老化ろうか過程かてい予想よそうされるよりも認知にんち機能きのう低下ていかしているが、認知にんちしょうとはいえない状態じょうたい認知にんちしょうぜん段階だんかいにあたるが、認知にんち機能きのう低下ていかよりも記憶きおく機能きのう低下ていかしゅ兆候ちょうこうとなる。主観しゅかんてき客観きゃっかんてき記憶きおく障害しょうがいみとめるが、一般いっぱんてき認知にんち機能きのう日常にちじょう生活せいかつ能力のうりょくはほぼたもたれる。「認知にんちしょう」の診断しんだんができる程度ていど進行しんこうするまで、通常つうじょう5〜10ねん平均へいきんで6〜7ねんかかる。医療いりょう機関きかん受診じゅしんした軽度けいど認知にんち障害しょうがいでは、年間ねんかん10%〜30%が認知にんちしょう移行いこうするとされる[24]。さらに、たん軽度けいど記憶きおく障害しょうがいのみのれいより、認知にんち障害しょうがいわせてれいほうが、認知にんちしょうへの進行しんこうリスクははるかにたかい(4ねん認知にんちしょうへの移行いこうりつは、記憶きおく障害しょうがいのみの場合ばあいは24%、言語げんご注意ちゅうい空間くうかん認知にんち障害しょうがいのいずれかの合併がっぺいれいでは77%であった)。

認知にんちしょうにおける疾患しっかん修飾しゅうしょく治療ちりょう(disease-modifying therapy)、いわゆる根治こんじ療法りょうほう企図きとした100以上いじょう臨床りんしょう試験しけんがすべて失敗しっぱいわり、すくなくともMCIの段階だんかいからの治療ちりょう開始かいしのぞましいとかんがえられている。しかし、MCIから認知にんちしょうへの進行しんこう確実かくじつめる治療ちりょうほうはまだつかっておらず、認知にんちしょう治療ちりょうやく効果こうかはないとする研究けんきゅうおお[24]。そのため予防よぼうてき観点かんてんから、認知にんち機能きのう維持いじする成分せいぶん(DHA、イチョウエキス、エルゴチオネインなど)をふくんだ機能きのうせい表示ひょうじ食品しょくひん研究けんきゅう活発かっぱつおこなわれている。

MCIの段階だんかいでは、軽症けいしょうであるがゆえにその背景はいけいにある病気びょうき、つまりアルツハイマーびょう前駆ぜんく段階だんかいなのか、血管けっかんせい認知にんちしょう前駆ぜんく段階だんかいなのかを判定はんていするのがしばしば困難こんなんであること、さらに2013ねん報告ほうこく (Brain 2013) では、80さい以上いじょうのアルツハイマーびょう患者かんじゃの8わりなんらかののう血管けっかん障害しょうがいともなっていることがあきらかとなり、のう血管けっかん障害しょうがいたいする介入かいにゅうが、血管けっかんせい認知にんちしょうはもちろんのこと、アルツハイマーびょう前駆ぜんく段階だんかいであるMCI(MCI due to ADとばれる)にたいしても有効ゆうこうなのではないかという期待きたい世界中せかいじゅうたかまっている。日本にっぽんでも、のう血管けっかん障害しょうがいたいする治療ちりょうやくがMCIにたいして有効ゆうこうかどうかをたしかめようとする医師いし主導しゅどう治験ちけん (COMCID Study) が2015ねん平成へいせい27ねん)5がつよりはじまっている[25]

国立こくりつ長寿医療研究ちょうじゅいりょうけんきゅうセンターの研究けんきゅうはんがまとめた発表はっぴょうによると、認知にんちしょうぜん段階だんかいわれるMCIの高齢こうれいしゃを4年間ねんかん追跡ついせき調査ちょうさしてみたところ、14%が認知にんちしょうになったものの、46%は正常せいじょうもどった。研究けんきゅうは、認知にんちしょう患者かんじゃではない65さい以上いじょう住民じゅうみんやく4200にんを2011ねんから4あいだ追跡ついせき国際こくさいてきなMCI判定はんてい基準きじゅんもとづく150項目こうもく回答かいとうするかたちでの認知にんち機能きのう検査けんさにより、最初さいしょ時点じてんやく740にん(18%)がMCIと判定はんていされた。4ねんおな検査けんさおこなったところ、MCIと当初とうしょ判定はんていされたひとの46%は正常せいじょう範囲はんいもどっていた。この認知にんち機能きのう検査けんさは、記憶きおくりょく注意ちゅういりょく処理しょり速度そくど実行じっこう機能きのうの4項目こうもく検査けんさするが、MCIのなかでも、1項目こうもくだけスコアがひくいタイプが正常せいじょうもどった割合わりあいが39〜57%であるのにたいし、複数ふくすう項目こうもくのスコアがひくいタイプは20%だいであった。MCIのなかでも、問題もんだいのある項目こうもくすくないほど回復かいふくりつたか傾向けいこうがあった。また、4ねんあいだ認知にんちしょう診断しんだんされたひと割合わりあいは、当初とうしょMCIと判定はんていされたひとでは14%と、当初とうしょ正常せいじょうだったひとの5%にくらべ、大幅おおはばたかくなっていた。[26]

若年じゃくねんせい認知にんちしょう[編集へんしゅう]

65さい未満みまん発症はっしょうする認知にんちしょう[27]である場合ばあいは「若年じゃくねんせい認知にんちしょう(Young onset dementia, YOD)」と呼称こしょうされている。ゆうびょうりつ研究けんきゅう途中とちゅうではあるが、45-64さい人口じんこう10まんあたりの男性だんせいで101-120にん女性じょせいで61-77にんというデータがある[27]

3がた糖尿とうにょうびょう[編集へんしゅう]

アルツハイマーがた認知にんちしょう糖尿とうにょうびょうふか関連かんれんがあることから、別名べつめいとして「3がた糖尿とうにょうびょう」とばれる[28]

原因げんいん[編集へんしゅう]

運動うんどう不足ふそく[編集へんしゅう]

毎週まいしゅう5あいだ運動うんどうは、認知にんちしょう症例しょうれいすう減少げんしょうにつながる[29]

危険きけん因子いんし[編集へんしゅう]

年齢ねんれい
最大さいだい危険きけん因子いんしである(とくにアルツハイマーがた)ことがられている。23の疫学えきがく研究けんきゅうもとにしたメタ分析ぶんせきでは、年齢ねんれいとともにアルツハイマーがた発症はっしょうりつ指数しすう関数かんすうてき上昇じょうしょうすることがしめされた。また、75〜85さい高齢こうれいしゃ追跡ついせき調査ちょうさしたthe Bronx Aging studyでは、認知にんちしょう全体ぜんたい発症はっしょうりつが85さいまではゆっくり上昇じょうしょうし、85さいえると急激きゅうげき上昇じょうしょうする、というデータがられている。
家族かぞくれき
片親かたおや認知にんちしょう場合ばあい本人ほんにん発症はっしょうする危険きけんは10〜30%上昇じょうしょうする。とくに、片親かたおや早期そうき発症はっしょうのアルツハイマーがた認知にんちしょう場合ばあい本人ほんにん発症はっしょう危険きけんはかなりたかくなる(たとえばおや発症はっしょうが50だい前半ぜんはんなら、本人ほんにん発症はっしょう危険きけんやく20ばい)。
遺伝いでん因子いんし
神経しんけい保護ほご関与かんよするApolipoprotein Eの遺伝子いでんしがたe4などがアミロイド沈着ちんちゃく関係かんけいするとわれる。遺伝子いでんし危険きけん因子いんしとして確定かくていしているものはない。
各種かくしゅ薬物やくぶつ医薬品いやくひん漢方薬かんぽうやく、サプリメントなど)による薬害やくがい
血圧けつあつ降下こうかざいによる薬害やくがい
こうコリンざいによる薬害やくがい
ベンゾジアゼピン短期たんき使用しよう
ベンゾジアゼピンの短期たんき使用しようは、認知にんちしょうやアルツハイマーびょうのリスクをすこ増加ぞうかさせる。しかし、長期ちょうき使用しようはリスク増加ぞうか関連付かんれんづけられていない。このことから、短期たんき使用しようとリスク増加ぞうか関連かんれんは、前駆症状ぜんくしょうじょう治療ちりょうあらわした可能かのうせい示唆しさされる[30]
Zくすり(アルファベットのZではじまる名称めいしょうのものがおおいことからの俗称ぞくしょうZくすり参照さんしょう。)
60さい以上いじょう患者かんじゃにおけるZくすり定期ていきてき使用しようは、認知にんちしょうのリスク増加ぞうか有意ゆうい関連かんれんしめした。補正ほせいオッズは 1.21 (95%CI: 1.13 - 1.29) であった。長時間ちょうじかんタイプは関連かんれんすこつよかった[31]
さけさ (Rosacea)
病院びょういんさけ (Rosacea診断しんだんけた患者かんじゃ認知にんちしょうハザードが 1.42 (95%CI: 1.17 - 1.72)、アルツハイマーがた認知にんちしょうのハザードが 1.92 (95%CI: 1.44 - 2.58) と報告ほうこくされた。さけさは認知にんちしょうとくにアルツハイマーがた有意ゆうい関連かんれんしめした[32]
動脈どうみゃく硬化こうか危険きけん因子いんし
高血圧こうけつあつ糖尿とうにょうびょう喫煙きつえんこうコレステロールしょうなどが、のう血管けっかんがたやアルツハイマーがたなどのほんしょう危険きけん因子いんしとなる。
よわい関連かんれん認知にんち低下ていか(Aging-associated Cognitive Decline:AACD)
記憶きおく障害しょうがいのみにとどまらず認知にんち機能きのう低下ていかをもふくむ、「広義こうぎ軽度けいど認知にんち障害しょうがい」の概念がいねんのひとつとして国際こくさい老年ろうねん精神せいしん学会がっかい診断しんだん基準きじゅんをまとめたもの。
よわい関連かんれん認知にんち低下ていかとは、6かげつ以上いじょうにわたる緩徐かんじょ認知にんち機能きのう低下ていか本人ほんにん家族かぞくなどから報告ほうこくされ、客観きゃっかんてきにも認知にんち評価ひょうか異常いじょうみとめるが、認知にんちしょうにはいたっていない状態じょうたいである。認知にんち機能きのう低下ていかは、(a)記憶きおく学習がくしゅう、(b)注意ちゅうい集中しゅうちゅう、(c)思考しこうたとえば、問題もんだい解決かいけつ能力のうりょく)、(d)言語げんごたとえば、理解りかい単語たんご検索けんさく)、(e)空間くうかん認知にんち、のいずれかのめん該当がいとうする。
ある地域ちいき高齢こうれいしゃ対象たいしょうにした研究けんきゅうでは、3ねんでの認知にんちしょうへの進行しんこうりつは、軽度けいど認知にんち障害しょうがいが11.1%、よわい関連かんれん認知にんち低下ていかでは28.6%であった。しかも、軽度けいど認知にんち障害しょうがい一般いっぱん地域ちいき高齢こうれいしゃめる割合わりあいは3.2%のみだが、よわい関連かんれん認知にんち低下ていかは19.3%にものぼる、と報告ほうこくされている。
イソフラボンのリスク
イソフラボン摂取せっしゅおお対象たいしょうしゃでは、認知にんち機能きのう障害しょうがいのリスクがたかかった。一方いっぽうで、大豆だいず製品せいひん摂取せっしゅりょう豆腐とうふ、みそ、納豆なっとう発酵はっこう大豆だいず食品しょくひん摂取せっしゅりょうは、認知にんち機能きのう障害しょうがいとの統計とうけいがくてき有意ゆうい関連かんれんみとめられなかった[33]。さらに、大豆だいずちょうない細菌さいきん代謝たいしゃぶつであるエクオール認知にんちしょうリスクを低下ていかさせる可能かのうせい報告ほうこくされている[34]

難聴なんちょうとの関係かんけい[編集へんしゅう]

アメリカ国立こくりつよわい研究所けんきゅうじょ (NIA) 縦断じゅうだん研究けんきゅう部門ぶもんちょうボルティモアよわい縦断じゅうだん研究けんきゅう責任せきにんしゃのLuigi Ferrucci博士はかせらの研究けんきゅうで、難聴なんちょうゆうする成人せいじんはそうでない成人せいじんくらべて、認知にんちしょうおよびアルツハイマーびょう発症はっしょうするリスクがたかく、難聴なんちょう重度じゅうどであるほどリスクもたかいことをめた。この研究けんきゅうは、36-90さい男女だんじょ639にん対象たいしょうに、難聴なんちょう認知にんちしょうとの関連かんれんせいについて調しらべたもので、1990ねん研究けんきゅう開始かいし認知にんちしょうみとめられた被験者ひけんしゃはいなかった。研究けんきゅうグループは4年間ねんかんにわたり、認知にんちりょく聴力ちょうりょく検査けんさ実施じっしし、2008ねんまで平均へいきんやく12ねんおよ追跡ついせき調査ちょうさおこない、認知にんちしょうやアルツハイマーびょう徴候ちょうこうをモニターした。その結果けっか、125にん被験者ひけんしゃが「軽度けいど」、53にんが「中等ちゅうとう」、6にんが「重度じゅうど」の難聴なんちょう診断しんだんされた。最終さいしゅうてきには、58れい認知にんちしょう診断しんだんされ、そのうち37れいはアルツハイマーびょうであった。軽度けいど難聴なんちょうでは認知にんちしょうリスクがわずかに上昇じょうしょうし、中等ちゅうとう重度じゅうど難聴なんちょう患者かんじゃではリスクが大幅おおはば増大ぞうだいしていた。また、60さい以上いじょう被験者ひけんしゃでは、認知にんちしょう発症はっしょうリスクの36%ちょう難聴なんちょう関連かんれんしていることがかった。難聴なんちょう悪化あっかするほどアルツハイマーびょうのリスクは増大ぞうだいし、聴力ちょうりょくが10デシベル低下ていかするごとに、発症はっしょうリスクは20%ずつ増大ぞうだいした。研究けんきゅう結果けっかは、医学いがく「Archives of Neurology(神経しんけいがく)」2011ねん2がつごう掲載けいさいされた。この結果けっか関連かんれんして、アメリカのアルバート・アインシュタイン医科いか大学だいがくのリチャード・B・リプトン博士はかせは『HealthDay News』2がつ14にちづけにて、「難聴なんちょうよわい生物せいぶつがくてき測定そくてい一種いっしゅかもしれない。また、難聴なんちょう神経しんけい細胞さいぼう損傷そんしょう結果けっかしょうじた可能かのうせいがあり、かり聴覚ちょうかく介在かいざいするニューロン障害しょうがいがあるなら、記憶きおくやより高度こうど認知にんち機能きのうをつかさどる神経しんけい細胞さいぼう損傷そんしょうマーカーにもなる」とべた[35]

診断しんだん[編集へんしゅう]

意識いしき障害しょうがいときには診断しんだんできない。ICD-10DSM-IVでさえ診断しんだん基準きじゅんことなるが、一般いっぱんに、日常にちじょう生活せいかつ支障ししょう程度ていど記憶きおく障害しょうがい認知にんち機能きのう低下ていかの2つの中核ちゅうかく症状しょうじょうられるとき診断しんだんする。周辺しゅうへん症状しょうじょう有無うむわれない。機能きのう以前いぜんくらべて低下ていかしていることが必須ひっすであり、まれつきひく場合ばあい精神せいしん遅滞ちたい知的ちてき障害しょうがい)に分類ぶんるいされる。

記憶きおく認知にんち機能きのうなどの程度ていど客観きゃっかんてき数値すうち評価ひょうかする検査けんさとしてWAIS-R(ウェクスラー成人せいじん知能ちのう検査けんさ)などがあるが、施行しこう時間じかんよう日常にちじょう診療しんりょうもちいるには煩雑はんざつである。簡便かんべんなスクリーニング検査けんさとしては、世界せかいてきにはミニメンタルステート検査けんさ (MMS、MMSE) が頻用ひんようされている[36][37]日本にっぽんでは聖マリアンナ医科大学せいまりあんないかだいがく長谷川はせがわ和夫かずおらが開発かいはつした「長谷川はせがわしき認知にんちしょうスケール」(HDS-R)がよく利用りようされる。

けい程度ていどうたがわしい認知にんちしょう患者かんじゃについては脳波のうは検査けんさふくめるべきである[38]

英国えいこく国立こくりつ医療いりょう技術ぎじゅつ評価ひょうか機構きこう (NICE) はアルツハイマーがた認知にんちしょうのう血管けっかんせい認知にんちしょう診断しんだん基準きじゅんにはNINCDS-ADRDAアルツハイマー基準きじゅん英語えいごばん前頭まえがしらがわあたまがた認知にんちしょう診断しんだん基準きじゅんにはLund–Manchester基準きじゅん推奨すいしょうしている[39]

鑑別かんべつ疾患しっかん[編集へんしゅう]

せんもう、FTD、クロイツフェルト・ヤコブびょううたがわれる場合ばあいには、脳波のうは検査けんさ検討けんとうすべきである[38]

うつびょうせんもう間違まちがわれやすい[2][40]難聴なんちょうとも鑑別かんべつようする。

  • 認知にんちしょうは、日内ひない変動へんどうともなわず、ゆっくり記憶きおく障害しょうがいから発症はっしょうする[40]深刻しんこくさをき、質問しつもんたいしてははぐらかしたりおこったりする。原因げんいんかならずしも特定とくていされない。
  • うつびょうは、日内ひない変動へんどうつよ典型てんけいてきにはあさ悪化あっか[40]比較的ひかくてき急激きゅうげきそもそもうつ症状しょうじょうから発症はっしょうする。自責じせきてき深刻しんこくあじをおび、質問しつもんたいする返答へんとうおくれたりわからないとったりする。早期そうき覚醒かくせいられる[40]
  • せんもうは、日内ひない変動へんどうつよ急激きゅうげき発症はっしょうし、対話たいわ成立せいりつしないこともある[40]薬剤やくざい身体しんたい疾患しっかんなどの原因げんいん存在そんざいする。せんもう可能かのうせいがある場合ばあい中間ちゅうかん尿にょう検査けんさかならおこな[38]

検査けんさ[編集へんしゅう]

神経しんけい心理しんりがくてき検査けんさ[編集へんしゅう]

知能ちのう検査けんさをはじめとする神経しんけい心理しんりがくてき検査けんさ診断しんだんおよび重症じゅうしょう評価ひょうかなどにもちいられる。記憶きおく検査けんさとしてはウェクスラー記憶きおく検査けんさほう (WMS-R) や日本語にほんごばんリバーミード行動こうどう記憶きおく (RBMT) が標準ひょうじゅんとされているが認知にんちしょう診療しんりょうでは実際じっさいてきではないため、ここでは認知にんちしょうもちいられる検査けんさ中心ちゅうしん概説がいせつする。認知にんちしょう評価ひょうか、スクリーニングでは記憶きおくなど中核ちゅうかく症状しょうじょう、BPSD、ADLの3つの症候しょうこうあつかう。それぞれ質問しつもんしき認知にんち機能きのう検査けんさもちいたり観察かんさつしき行動こうどう評価ひょうか尺度しゃくどもちいたりする。それぞれの検査けんさ特徴とくちょう以下いかにまとめる。

質問しつもんしき 観察かんさつしき
最低限さいていげん情報じょうほう実施じっし可能かのう 十分じゅうぶん把握はあくしている家族かぞく介護かいごスタッフが必要ひつよう
本人ほんにんのみであっても実施じっし可能かのう 家族かぞくなどからの情報じょうほうのみで評価ひょうか可能かのう
本人ほんにん協力きょうりょくてきでなければ実施じっし不可能ふかのう 本人ほんにん拒否きょひてきであっても評価ひょうか可能かのう
いちじるしい視聴覚しちょうかく障害しょうがいがあると実施じっし不可能ふかのう 視聴覚しちょうかく障害しょうがい影響えいきょうをほとんどけない
施行しこうしゃによるばらつきはすくない 結果けっかのばらつきをらすにはマニュアルによる訓練くんれん必要ひつよう
居宅きょたく入院にゅういん入所にゅうしょわない 評価ひょうか項目こうもくによっては入院にゅういん入所にゅうしょでは評価ひょうかできない
認知にんち機能きのう障害しょうがい評価ひょうかできるがBPSDは評価ひょうかできない 認知にんち機能きのう障害しょうがいもBPSDも評価ひょうかできる
質問しつもんしき機能きのう障害しょうがい測定そくていする尺度しゃくど[編集へんしゅう]

General practitioner Assessment of Cognition (GPCOG) やMini-CogおよびMemory Impairment Screen (MIS) は日本語にほんごばん作成さくせいされていないため一般いっぱんてきではない。

長谷川はせがわしき認知にんちしょうスケール (HDS-R)
長谷川はせがわ和夫かずおによって作成さくせいされた認知にんちしょう診断しんだんのための簡易かんいスケールで、現在げんざい日本にっぽんもっとひろ使用しようされている。かつては「長谷川はせがわしき簡易かんい知能ちのう評価ひょうかスケール」とばれていたが、2004ねん4がつ痴呆ちほうしょうから認知にんちしょう改称かいしょうされたことにともな現在げんざい名称めいしょう変更へんこうされている。自分じぶん年齢ねんれい現在げんざい日付ひづけ現在げんざい位置いちもの名称めいしょう簡単かんたんざんなどの9つの設問せつもんからなり、最高さいこう得点とくてんは30てんであり20てん以下いか認知にんちしょううたがいありとする。あくまで簡易かんいスクリーニング検査けんさであり、認知にんちしょうとの判断はんだんくだしたり重症じゅうしょう分類ぶんるいさいには使用しようされない。参考さんこうとなる平均へいきんてん認知にんちしょうは24.3±3.9てん軽度けいどは19.1±5.0、中等ちゅうとう15.4±3.7、やや高度こうど10.7±5.4、非常ひじょう高度こうど4.4±2.6とされている。
ミニメンタルステート検査けんさ (Mini-Mental State Examination, MMSE)
国際こくさいてきにはもっと普及ふきゅうしている方法ほうほうで、英国えいこく豪州ごうしゅうでは推奨すいしょうされている[36][37]日本にっぽんでも長谷川はせがわしき認知にんちしょうスケールと併用へいようされることがおおい。11の設問せつもんからなり、満点まんてんは30てんはらほうでは20てん以下いか認知にんちしょうとしたが23てん以下いか認知にんちしょうとするのが2010ねん現在げんざい一般いっぱんてきである。HDS-Rと比較ひかくして記憶きおくかんする負荷ふかひくく、教育きょういく年数ねんすうによる影響えいきょうられている。一方いっぽう長谷川はせがわしきには存在そんざいしない、認知にんち機能きのう低下ていかによる影響えいきょうおおきい空間くうかん構成こうせい能力のうりょく判断はんだんする図形ずけい模写もしゃもとめる設問せつもんがある。
時計とけい描画びょうが試験しけん (Clock Drawing test、CDT)
空間くうかん構成こうせい能力のうりょく評価ひょうかする簡便かんべん検査けんさほうである[37]時計とけい文字もじばんいてもらい、指定していした時刻じこくしめ長針ちょうしん短針たんしんくわえてもらうだけの簡便かんべん検査けんさである。課題かだいとしてはコンセンサスをられた採点さいてんほう存在そんざいしないことである。
The Seven Minites Screen (7MS)
軽度けいどのADと健常けんじょうしゃ区別くべつにすぐれた検査けんさほうであり、こう感度かんどこう特異とくいであるがベットサイドで簡便かんべんおこなうことはできない。
年齢ねんれい生年せいねん質問しつもんするスクリーニングほう
2つの簡単かんたん質問しつもん「あなたはなんさいですか」「あなたはなんねんまれですか」のみをもちいるスクリーニングは有用ゆうようという報告ほうこくがある。「2つの質問しつもんへの回答かいとうがどちらもあやまっているときには認知にんちしょうである」とすると感度かんど61.2%、特異とくい97.8%、陽性ようせい適中てきちゅうりつ44.5%、陰性いんせい適中てきちゅうりつ98.9%であった[41]
Alzheimer's Disease Assessment Scale (ADAS)
臨床りんしょうてき診断しんだんされたADにたいするコリン作動さどうやくによる認知にんち機能きのう変化へんか評価ひょうかすること目的もくてきとしている。スクリーニングとしてもちいられることはない。ADASの認知にんち機能きのう下位かい尺度しゃくどであるADAS cog.が臨床りんしょう試験しけんでよくももちいられる。アルツハイマーがた認知にんちしょうでは年間ねんかん得点とくてん変化へんかが9-11てんであり、変化へんか軽度けいど高度こうど認知にんちしょうではちいさく、中等ちゅうとう認知にんちしょうではおおきい傾向けいこう指摘してきされている。
Severe Impairment Battery
高度こうど障害しょうがいされた認知にんち機能きのう評価ひょうかする。
日本語にほんごばんリバーミード行動こうどう記憶きおく検査けんさ (RBMT)
記憶きおく検査けんさであるが、日本語にほんごばんでは認知にんちしょうにももちいられるように標準ひょうじゅん高齢こうれいしゃ被験者ひけんしゃふくまれている。日常にちじょう生活せいかつのさまざまな状況じょうきょう再現さいげんしているのが特徴とくちょう
日本語にほんごばんNeurobehavioral Cognitive Status Examination (CONISTAT)
多面ためんてき評価ひょうか可能かのうである。
観察かんさつしきによる認知にんち機能きのう障害しょうがい評価ひょうかする尺度しゃくど[編集へんしゅう]
Clinical Dementia Rating (CDR)
もっと一般いっぱんてきもちいられている観察かんさつしき認知にんちしょう重症じゅうしょう評価ひょうかほうである。健康けんこうがCDR=0、認知にんちしょううたがいがCDR=0.5、軽度けいど認知にんちしょうがCDR=1、中等ちゅうとう認知にんちしょうCDR=2、高度こうど認知にんちしょうCDR=3と判定はんていする。
Functinal Assessment Staging (FAST)
CDRととも国際こくさいてき頻用ひんようされている観察かんさつしき重症じゅうしょう評価ひょうかほうである。ADLを総合そうごうてき判断はんだん認知にんちしょうなかでもADの重症じゅうしょう判定はんていすることを目的もくてきとする。境界きょうかい領域りょういき軽度けいど認知にんちしょうのADL行動こうどう変化へんか非常ひじょう検出けんしゅつしやすいことが特徴とくちょうである。その特徴とくちょうとしてはそれぞれのstageの期間きかんしめされているてんかくstageの認知にんち機能きのう低下ていかしめ状態じょうたい鑑別かんべつ疾患しっかんしめされているてん特徴とくちょうである。
Nしき老年ろうねんしゃよう精神せいしん状態じょうたい尺度しゃくど(NMスケール)
CDRにくらべて対象たいしょうしゃ日常にちじょう生活せいかつ具体ぐたいてき状況じょうきょうてはめることで評価ひょうかできるため介護かいご施設しせつもちいられることがおおい。
介護かいごしゃからの情報じょうほうによる認知にんちしょうスクリーニング尺度しゃくど[編集へんしゅう]
Short Memory Questionnaire (SMQ)
この尺度しゃくど日常にちじょう生活せいかつにおいてよう介護かいご高齢こうれいしゃかかわる機会きかいおおしゅたる介護かいごしゃよう介護かいご高齢こうれいしゃ認知にんち障害しょうがい程度ていど評価ひょうかするために作成さくせいされたものである。
Informant Questionnaire on Cognitive Decline in the Elderly (IQCODE)
高齢こうれいしゃにおける認知にんち機能きのう低下ていかのインフォアンケート。高齢こうれいしゃにおける認知にんち機能きのう低下ていか認知にんちしょう評価ひょうかするために設計せっけいされたみじかいアンケート。
日常にちじょう生活せいかつ動作どうさ能力のうりょく (ADL) 、道具どうぐてき日常にちじょう生活せいかつ動作どうさ能力のうりょく (IADL) を評価ひょうかする尺度しゃくど[編集へんしゅう]
Physical self-Maintenance Scale(PSMS)/Instrumental Activities of Daily Living (IADL)
家族かぞく介護かいごしゃからの情報じょうほうもとづき評価ひょうかする。簡便かんべん日常にちじょう生活せいかつなか活用かつよう可能かのうである。認知にんちしょうではやや複雑ふくざつなIADLがbasic ADLよりさき障害しょうがいされるため、IADLの評価ひょうか意味いみおおきい。
Nしき老年ろうねんしゃよう日常にちじょう生活せいかつ動作どうさ能力のうりょく評価ひょうか尺度しゃくど (N-ADL)
老年ろうねんしゃおよび痴呆ちほう患者かんじゃ歩行ほこうおこり着脱ちゃくだつころもなどの日常にちじょう生活せいかつ動作どうさ能力のうりょく多面ためんてきにとらえ、点数てんすうして評価ひょうかする行動こうどう評価ひょうか尺度しゃくどである。
認知にんちしょうのための障害しょうがい評価ひょうかひょう (Disability Assessment for Dementia:DAD)
基本きほんてきには在宅ざいたくのAlzheimerびょう患者かんじゃ対象たいしょうとした尺度しゃくどである。運動うんどう機能きのう障害しょうがいのない患者かんじゃたいしておこなわれる。
ADCS-ADL (Alzheimer's Disease Cooperative Study-ADL scale)
家族かぞく介護かいごしゃからの情報じょうほうもと評価ひょうかがなされる。おもにAD患者かんじゃ対象たいしょうとした治験ちけんもちいられる。
認知にんちしょう周辺しゅうへん症状しょうじょう (BPSD) を評価ひょうかする尺度しゃくど[編集へんしゅう]
Neuropsychiatric Inventory (NPI)
介護かいごしゃによる精神せいしん症状しょうじょう評価ひょうかするための方法ほうほう妄想もうそう幻覚げんかく興奮こうふん、うつ、不安ふあん多幸たこう感情かんじょうだつ抑制よくせいえき刺激しげきせい異常いじょう行動こうどうの10項目こうもくにつき、それぞれの頻度ひんどを1〜4の4段階だんかいで、重症じゅうしょうを1〜3の3段階だんかい評価ひょうかする。
Behavioral Pathology in Alzheimer's Disease (Behave-AD)
ADに特徴とくちょうてき妄想もうそう盗癖とうへき孤独こどくへの恐怖きょうふ睡眠すいみん障害しょうがいなどに注目ちゅうもくしたもので、薬物やくぶつ療法りょうほうへの評価ひょうか目的もくてき使用しようされる。
Cohen-Mansfield Agitation Inventory (CMAI)
たたく、足踏あしぶみする、さけぶなどの行動こうどう注目ちゅうもくし、過去かこ2週間しゅうかん行動こうどう頻度ひんどについて38項目こうもく質問しつもんおこなうものである。
そもそもうつ状態じょうたい評価ひょうかする尺度しゃくど[編集へんしゅう]
Geriatric Depression Scale (GDS)
老年ろうねんうつびょう評価ひょうか尺度しゃくど。15の質問しつもんからなる。評価ひょうか基準きじゅん: 0-4 うつ症状しょうじょうなし; 5-10 軽度けいどのうつびょう; 11+ 重度じゅうどのうつびょう
Cornell Scale for depression in Dementia (CSDD)
認知にんちしょうでうつびょうのためのコーネル尺度しゃくど。19の質問しつもんからなる。評価ひょうか基準きじゅん: >10 おそらくだいうつびょう; >18 明確めいかくだいうつびょう
多元的たげんてき認知にんちしょう評価ひょうか尺度しゃくど[編集へんしゅう]
GBSスケール (GBSS)
運動うんどう機能きのう6項目こうもく知的ちてき機能きのう11項目こうもく感情かんじょう機能きのう3項目こうもく精神せいしん症状しょうじょう6項目こうもくを6段階だんかい評価ひょうかとする。認知にんちしょう重症じゅうしょうとともにしつてき差異さい評価ひょうかできる尺度しゃくどであるが、認知にんちしょう診断しんだん目的もくてきではない。
認知にんちしょう生活せいかつしつ (QOL) を評価ひょうかする尺度しゃくど[編集へんしゅう]
日本語にほんごばんAlzheimer's Disease-Health Related Quality of Life (AD-HRQ-J)
アルツハイマーびょうひと生活せいかつ健康けんこう関連かんれん品質ひんしつ評価ひょうかするために使用しようされる。ADのひと介護かいごしゃ質問しつもんされる。
日本語にほんごばんDementia Quality of life Instrument (DQoL)
日本語にほんごばんDQoLは29項目こうもくから構成こうせいされ、(1)自尊じそん感情かんじょう、(2)肯定こうていてき情動じょうどう、(3)否定ひていてき情動じょうどう、(4)所属しょぞくかん、(5)美的びてき感覚かんかくの5つの下位かい尺度しゃくどから構成こうせいされる。
介護かいごしゃ介護かいご負担ふたん評価ひょうかする尺度しゃくど[編集へんしゅう]
Burden Interview
負担ふたんのインタビューは、介護かいごしゃ経験けいけんしたストレスを反映はんえいするように設計せっけいされている。22の一連いちれん質問しつもん回答かいとうするようにもとめられる。

生化学せいかがく検査けんさ[編集へんしゅう]

CSF Aβべーた[編集へんしゅう]

ベータアミロイド (Aβべーた) はのう脊髄せきずいえき (CerebroSpinal Fluid、CSF)、血漿けっしょうちゅうにAβべーた40とAβべーた42として存在そんざいする。高齢こうれいしゃではCSF Aβべーた42が低下ていかするがAD患者かんじゃではAβべーた40が高度こうど低下ていかしAβべーた40/Aβべーた42増加ぞうかする。

CSF タウ[編集へんしゅう]

タウ蛋白質たんぱくしつはADで上昇じょうしょうするとされている。AD以外いがいでは血管けっかんせい認知にんちしょう、パーキンソンびょう進行しんこうせいかくうえせい麻痺まひ、HIV感染かんせんしょうでは上昇じょうしょうみとめられない。しかし前頭まえがしらがわあたまがた認知にんちしょう、レビーしょう体型たいけい認知にんちしょう皮質ひしつ基底きていかく変性へんせいしょう、クロイツフェルトヤコブびょうでは上昇じょうしょうれいみとめられている。よりADに特異とくいたか検査けんさとしてリン酸化さんかタウが期待きたいされている。

血漿けっしょう Aβべーた[編集へんしゅう]

血漿けっしょうAβべーたもAD発症はっしょう危険きけん因子いんし病態びょうたい進行しんこうのマーカーとなりえる。

生理せいり検査けんさ[編集へんしゅう]

脳波のうは[編集へんしゅう]

アルツハイマーがた認知にんちしょう患者かんじゃでは脳波のうは以下いかのように推移すいいすることがられている。コリネステラーぜ阻害そがいやくによってじょなみ減少げんしょうすることがられている。

  • 正常せいじょう波形はけい
  • αあるふぁなみ貧困ひんこんθしーたなみ混在こんざい
  • てい-ちゅう振幅しんぷくθしーたなみ主体しゅたいじょなみ
  • なか-こう振幅しんぷくθしーたδでるたなみδでるたバーストをともなだいじょなみ
  • だいじょなみてい振幅しんぷく不規則ふきそく
  • 平坦へいたん

画像がぞう検査けんさ[編集へんしゅう]

疾患しっかんとの鑑別かんべつ認知にんちしょうタイプ判別はんべつのため、認知にんちしょううたがいのある場合ばあい画像がぞう撮影さつえい実施じっししなければならない[39]

頭部とうぶCT[編集へんしゅう]

脳腫瘍のうしゅよう慢性まんせいかたまく血腫けっしゅ正常せいじょうあつすいあたましょうなどの治療ちりょう可能かのう疾患しっかん検出けんしゅつ目的もくてきとなる。のう萎縮いしゅく評価ひょうかはMRIにくらべておとる。内側うちがわがわ頭部とうぶ萎縮いしゅく評価ひょうか間接かんせつ所見しょけんとしてがわのうしつ下角したすみ拡大かくだい程度ていど判定はんていするが下角したすみ拡大かくだいつね海馬かいば海馬かいばはたかい萎縮いしゅく合致がっちするとはかぎらない。

頭部とうぶMRI[編集へんしゅう]

statistical parametric mapping (SPM) やvoxel-based morphometry (VBM) がさかんである。認知にんちしょう鑑別かんべつとしてDLBとADを比較ひかくすると、ADでは海馬かいばがわあたま頭頂とうちょう皮質ひしつ萎縮いしゅくつよい。無名むめいしつはADのほうが、ちゅうのうぶたはDLBのほう萎縮いしゅくつよいことがしめされている。ADでは高齢こうれい発症はっしょうでは内側うちがわがわ頭部とうぶ萎縮いしゅく目立めだつが初老しょろう発症はっしょうではがわあたま頭頂とうちょう皮質ひしつ萎縮いしゅく目立めだつ。

SPECT[編集へんしゅう]

認知にんちしょう疾患しっかん鑑別かんべつとして単一たんいつ光子こうし放射ほうしゃ断層だんそう撮影さつえい (SPECT) は非常ひじょう重要じゅうようされている。AD, VaD, FTDかの診断しんだんうたがわしい場合ばあいはSPECTを実施じっしすべきである[39]シンチグラフィー参照さんしょうりゅう神経しんけい細胞さいぼうすうよりもシナプス活動かつどう反映はんえいしているとかんがえられており、ADではパペッツ回路かいろとして嗅内皮質ひしつ解剖かいぼうがくてき密接みっせつ繊維せんい連絡れんらくつとされている帯状おびじょうかい後部こうぶくさび前部ぜんぶりゅう低下ていかみとめられる。DLBではこうあたまりゅう低下ていかみとめられる。

PET[編集へんしゅう]

アミロイドまだら検出けんしゅつできるPETトレーサーが開発かいはつされておりアミロイドイメージングとして注目ちゅうもくされている。11C-PIBがもっと研究けんきゅうされておりADでは前頭まえがしら前野まえのくさび前部ぜんぶなどの大脳皮質だいのうひしつつよ集積しゅうせきみとめられるのにたいして、せい常例じょうれいでは大脳皮質だいのうひしつ集積しゅうせきとぼしいとされている。

管理かんり[編集へんしゅう]

治療ちりょう可能かのう判明はんめいしているタイプ以外いがい認知にんちしょうについて、治療ちりょうほう存在そんざいしない[1]。AChEやく初期しょき状態じょうたい認知にんちしょうおお処方しょほうされているが、しかしその利益りえきおおきくない[42]

治療ちりょう可能かのう認知にんちしょう (treatable dementia)」の場合ばあい原因げんいんとなる疾患しっかん治療ちりょうすみやかにおこなう。慢性まんせいかたまく血腫けっしゅまたは正常せいじょうあつすいあたましょう原因げんいん場合ばあい手術しゅじゅつなおことができる。

ハーバード健康けんこう出版しゅっぱんきょくによると、「認知にんちしょうさま症状しょうじょうけっしてもともどらない」(Dementia-like symptoms are never reversible)という認識にんしき不正確ふせいかくであり、バドソン医師いし(Dr. Budson)は「おおくの場合ばあい体調たいちょう治療ちりょうすることが認知にんちしょうさま症状しょうじょう逆戻ぎゃくもどりさせるかもしれない」(In many cases, treating the condition may reverse the dementia-like symptoms)とべている[43]

援助えんじょ方針ほうしん[編集へんしゅう]

介護かいごしゃには、認知にんちしょう介護かいごはもどかしく非常ひじょうにストレスになることを心理しんり教育きょういくし、ネグレクトにならないよう陰性いんせい感情かんじょう認識にんしきさせる[1]介護かいごしゃについてもうつびょう罹患りかんしている可能かのうせい診察しんさつする[1]

介護かいご保険ほけん障害しょうがい年金ねんきんデイケア通所つうしょなど社会しゃかい資源しげん利用りよう有用ゆうようである[1]専門医せんもんい老年ろうねん内科ないか精神せいしん神経しんけい内科ないかなど)、介護かいごしょく介護かいご福祉ふくしなど)の協力きょうりょく連携れんけいもとチーム医療いりょうおこなことのぞましい[1]

心理しんり療法りょうほう[編集へんしゅう]

けいちゅう程度ていど認知にんちしょう患者かんじゃ(タイプをわない)にたいしては、NICEは投薬とうやく認知にんち機能きのう改善かいぜん目的もくてきとする)の有無うむかかわらず、認知にんち刺激しげきグループ療法りょうほう(Cognitive Stimulation Therapy)プログラムへの参加さんか機会きかいあたえられるべきであるとしている[44]にちちゅう散歩さんぽ作業さぎょう療法りょうほうなどで昼夜ちゅうやリズムをととのえる(ひかり療法りょうほう[45]おもしな写真しゃしん手元てもと安心あんしんさせる回想かいそうほうテレビ回想かいそうほうなども有効ゆうこう場合ばあいがある。

患者かんじゃ不安ふあんかんなど精神せいしん状態じょうたい影響えいきょうける周辺しゅうへん症状しょうじょうは、介護かいごしゃがそれらをのぞこと発症はっしょう抑制よくせいすることが可能かのうとなることもある(ユマニチュード)。

BPSDにたいして、多数たすう薬理やくりがくてき介入かいにゅう手法しゅほうがあるが、音楽おんがく療法りょうほうなどアートセラピー行動こうどう管理かんり技術ぎじゅつ効果こうかてきである[46]興奮こうふん状態じょうたいたいしては、介護かいご施設しせつにおいて、パーソンセンタードケア、コミュニケーション技術ぎじゅつ訓練くんれん認知にんちしょうケアマッピングが、ただちに、あるいは6かげつでも有効ゆうこうであり、音楽おんがく療法りょうほうと、活動かつどう標準ひょうじゅんてき活動かつどう状態じょうたい)は有効ゆうこうだが長期ちょうきてき試験しけんはなく、アロマテラピーとひかり療法りょうほう有効ゆうこうでない[47]

認知にんちしょう患者かんじゃ睡眠すいみん障害しょうがいたいして、薬物やくぶつもちいない方法ほうほうでは、ひかり療法りょうほう有効ゆうこうだとするランダム比較ひかく試験しけん複数ふくすう存在そんざいする[48]

薬物やくぶつ療法りょうほう[編集へんしゅう]

アルツハイマーがた認知にんちしょう (AD) の認知にんち機能きのう改善かいぜんやくには、アセチルコリンエステラーゼ阻害そがいやく(AChE、こうコリンざい)としてドネペジル商品しょうひんめいアリセプト)、ガランタミン商品しょうひんめいレミニール)、リバスチグミン商品しょうひんめいイクセロン、リバスタッチ)が存在そんざいする。NICEの2006ねんのガイドラインはAChEをけいちゅうADへの選択肢せんたくしとして推奨すいしょうしている[49]

またまったことなる薬理やくりじょもとづく治療ちりょうやくNMDA受容じゅようたい拮抗きっこうやくとしてメマンチン商品しょうひんめいメマリー)があり、NICEは重度じゅうどまたはAChEが不適ふてき中等ちゅうとうアルツハイマーびょうへの管理かんりのオプションとして推奨すいしょうしている[49]

しかしこれらの薬剤やくざいは、診断しんだん確定かくていされた場合ばあいのみに投与とうよすべきであり、ルーチンてきもちいてはならない[1]。NICEは、血管けっかんせい認知にんちしょうにAChEおよびメマンチンを処方しょほうしてはならない、および軽度けいど認知にんち障害しょうがい (MCI) にAChEを処方しょほうしてはならないとしている[49]

だいうつびょう併発へいはつする認知にんちしょうについては、NICEは教育きょういくけた専門せんもんによってこううつやく投与とうよすべきであるとしている[50]

薬物やくぶつでのBPSD管理かんり[編集へんしゅう]

また認知にんちしょう患者かんじゃ認知にんち機能きのう低下ていかのみならず、不眠ふみんそもそもうつえきいかせい幻覚げんかく(とくに幻視げんし)、妄想もうそうといった周辺しゅうへん症状しょうじょう (BPSD) とばれる症状しょうじょうていすことがある。これらにはこう精神せいしんやく投与とうよ有効ゆうこうでありえるが、だいいち心理しんり療法りょうほうこころみるべきであり[1]薬物やくぶつただしい利用りようつと[53]てい用量ようりょうにて副作用ふくさよう監視かんししながら慎重しんちょう投与とうよすべきである[52][18]厚労省こうろうしょうはBPSDにたいして、こう精神せいしんやく原則げんそく使用しようすべきではないとしている[18]

NICEの2006ねんガイドラインは、BPSDにたいして薬物やくぶつ介入かいにゅうだいいち選択肢せんたくしとするのは、深刻しんこく苦痛くつうまたは緊急きんきゅうせいのある自害じがいがいリスクのある場合ばあいかぎらなければならない[注釈ちゅうしゃく 3]、2013ねん厚労省こうろうしょうのガイドラインではだいいち選択せんたく薬物やくぶつ介入かいにゅう原則げんそくであり処方しょほうには患者かんじゃ保護ほごしゃ承諾しょうだくるべきである[18]としている。

こう精神病せいしんびょうやく[編集へんしゅう]

イギリス政府せいふは、こう精神病せいしんびょうやく死亡しぼうにつながるため使用しよう削減さくげん国家こっか戦略せんりゃくとしており、2006ねんやく17%の使用しようりつを5ねんにはやく7%までらしたことを、2013ねん認知にんちしょうG8サミットにて報告ほうこくした[54]。アメリカでは2016ねんまつまでに16%まで削減さくげんすることを目標もくひょうとしている[55]

  • 米国べいこく老年ろうねん学会がっかい (AGS) は2014ねん、BPSDにたいしてはこう精神病せいしんびょうやく処方しょほうだいいち選択肢せんたくしとしてはならないと勧告かんこくしている[51]
  • 厚労省こうろうしょうは2013ねんのガイドラインで、BPSDへのこう精神病せいしんびょうやく投与とうよ適応てきおうがい処方しょほうであり、使用しようしない姿勢しせい必要ひつようで、中等ちゅうとうから重度じゅうどのBPSDが対象たいしょうとなり、身体しんたい拘束こうそく意図いとした投薬とうやくざい併用へいようはすべきではないとしている[18]
  • NICEの2006ねんのガイドラインは、アルツハイマーびょう (AD)、血管けっかんせい認知にんちしょう (VaD)、混合こんごうがた認知にんちしょうについて、軽度けいどから中等ちゅうとうのBPSDであるならば有害ゆうがい事象じしょうおよび死亡しぼうリスクが増加ぞうかするためこう精神病せいしんびょうやく処方しょほうしてはならないとしている[注釈ちゅうしゃく 4]
    • またNICEはDLB認知にんちしょうについて、軽度けいどから中等ちゅうとうのBPSDであるならば、重大じゅうだい有害ゆうがい事象じしょうリスクのためこう精神病せいしんびょうやく処方しょほうしてはならないとしている[56]
漢方薬かんぽうやく[編集へんしゅう]

とおこころざしイトヒメハギで、その主治しゅじ鎮静ちんせい作用さようであるが、『かみみのり本草ほんぞうけい』(こうかんさんこく時代じだい成立せいりつ)に「忘」とあり、健忘症けんぼうしょうじょう有効ゆうこうであることが記載きさいされている。近年きんねん研究けんきゅうでは、とおこころざし高齢こうれいしゃへの記憶きおくふくめた認知にんち機能きのう改善かいぜんさせた報告ほうこくや、βべーたアミロイド(Aβべーた)によるラット皮質ひしつニューロンへの傷害しょうがい抑制よくせいした報告ほうこくなどがある。『かみみのり本草ほんぞうけい』の記載きさいは、現在げんざい認知にんちしょう中核ちゅうかく症状しょうじょう同等どうとうのものとはかんがえにくいが、健忘けんぼう使用しよう目標もくひょうのひとつとして、とおこころざし含有がんゆうする漢方薬かんぽうやく考慮こうりょできる。[57][58]

健忘けんぼう主治しゅじとする生薬きぐすりの「とおこころざし」をふく漢方かんぽうエキス製剤せいざいは、かえり脾湯加味かみ脾湯、人参にんじんやしなえさかえである。「とおこころざし」をふくまないが、認知にんちしょう効果こうか期待きたいできる漢方薬かんぽうやくには、そもそもきもそもそもきも加味かみひねがわはんなつつりふじとう芍薬しゃくやくはちあじ地黄じおうまるがある。[58]

ランダム比較ひかく試験しけん (RCT) では、そもそもきも(TJ54, 構成こうせい生薬きぐすり:しばえびすつりふじかぎあおいうけらふく苓、とうかわ芎、甘草かんぞう)はBPSDを有意ゆうい抑制よくせいし、かつ患者かんじゃのADLを改善かいぜんし、さらに介護かいごしゃ介護かいご負担ふたんかん減少げんしょうさせると報告ほうこくされている[59][60][61]

その[編集へんしゅう]
  • 厚労省こうろうしょう(2013)では、こううつやくは、患者かんじゃのコリンエステラーゼ阻害そがいやく反応はんのうしないそもそもうつ管理かんりにおいて検討けんとうされる。
  • WHOのガイドラインではジアゼパム使用しようきんじている[11]。AGS(2014)は、高齢こうれいしゃ不眠症ふみんしょう興奮こうふん・せんもうたいして、ベンゾジアゼピン催眠さいみん鎮静ちんせいやくだいいち選択肢せんたくしとすべきではないとしている。
  • ビフィズスきんMCC1274の摂取せっしゅによる認知にんち機能きのう改善かいぜん作用さよう可能かのうせい報告ほうこくされている[62]
  • 2004ねんUCLA研究けんきゅうチームはアルツハイマーびょうモデルマウスをもちいて実験じっけんおこない、クルクミンのうにおけるβべーたアミロイド蓄積ちくせき抑制よくせいし、アミロイドまだら減少げんしょうさせることをしめした[63]。クルクミンが精神せいしんてき機能きのう影響えいきょうをおよぼすとの疫学えきがくてき調査ちょうさ結果けっか存在そんざいする。高齢こうれいのアジアじん対象たいしょうとしたミニメンタルステート検査けんさで、半年はんとしに1以上いじょう黄色おうしょくカレーをしょくするぐんにおいて相対そうたいてきたかいスコア(より健康けんこう精神せいしんてき機能きのう)がられた[64]

2015ねん4がつから機能きのうせい表示ひょうじ食品しょくひん制度せいどがスタートしたことにより、記憶きおくりょく注意ちゅういりょくなどの認知にんち機能きのう維持いじ・サポートする成分せいぶん(DHA、イチョウエキス、エルゴチオネインなど)が研究けんきゅうされている。機能きのうせい表示ひょうじ食品しょくひんは、事業じぎょうしゃ責任せきにんにおいて、科学かがくてき根拠こんきょもとづいた機能きのうせい表示ひょうじしており、販売はんばいまえに「最終さいしゅう製品せいひんもちいた臨床りんしょう試験しけん」または「最終さいしゅう製品せいひんまたは機能きのうせい関与かんよ成分せいぶんかんする研究けんきゅうレビュー」を消費しょうひしゃちょう届出とどけでし、受理じゅりされれば表示ひょうじ可能かのうとなる。軽度けいど認知にんち障害しょうがい (MCI) や周辺しゅうへん症状しょうじょう (BPSD) にたいする作用さよう期待きたいされている[65][66]

嚥下えんか困難こんなん[編集へんしゅう]

認知にんちしょう患者かんじゃおおくは嚥下えんか困難こんなんかかえている。しかしAGSは高度こうど認知にんちしょう患者かんじゃたいけいかん栄養えいようほう)は推奨すいしょうせず、わりに経口けいこう摂取せっしゅ援助えんじょ提案ていあんしている[51]瘻は患者かんじゃ動揺どうよう関連かんれんせいがあり、身体しんたいてき薬物やくぶつてき拘束こうそく使用しよう増加ぞうかさせ、しとねかさ悪化あっかをまねく[51]はんなつあつしほお(TJ16, 構成こうせい生薬きぐすり:はんなつふく苓、あつほおよう生姜しょうが)はのう血管けっかんせい障害しょうがい患者かんじゃ嚥下えんか反射はんしゃせき反射はんしゃ改善かいぜんし、障害しょうがい高齢こうれいしゃにおけるあやまえんせい肺炎はいえん発生はっせい予防よぼうする。[67][68][69]

疫学えきがく[編集へんしゅう]

2002ねんの100,000にんあたりの認知にんちしょう障害しょうがい調整ちょうせい生命せいめいねん (DALY)[70]
  データなし
  50以下いか
  50-70
  70-90
  90-110
  110-130
  130-150
  150-170
  170-190
  190-210
  210-230
  230-250
  250以上いじょう

認知にんちしょうゆうびょうりつは、65さい未満みまん労働ろうどう年齢ねんれいそうでは2-10%とまれであるが[8]、80さいえるときゅうたかまり、95さい以上いじょうになると欧州おうしゅうではやく半数はんすう罹患りかんしている[8]。OECDはもし年齢ねんれいべつ有症ゆうしょうりつ現在げんざいのペースのままであれば、20ねん欧州おうしゅう認知にんちしょう患者かんじゃすう現在げんざいの1.5ばいになると予想よそうしている[8]

認知にんちしょうゆうびょうりつ年齢ねんれいべつ[71]
年齢ねんれい 60–64 65–69 70–74 75–79 80–84 85–89 90+
西にしヨーロッパ[72] 1.6% 2.6 % 4.3 % 7.4 % 12.9% 21.7% 43.1%
中央ちゅうおうヨーロッパ 0.9% 1.3% 3.3% 5.8% 12.2% 24.7%
ひがしヨーロッパ 0.9% 1.3% 3.2% 5.8% 11.8% 24.5%
米国べいこく 1.1% 1.9% 3.4% 6.3% 11.9% 21.7% 47.5%
ラテンアメリカ 1.3% 2.4% 4.5% 8.4% 15.4% 28.6% 63.9%
ひがしアジア 0.7% 1.2% 3.1% 4.0% 7.4% 13.3% 28.7%
みなみアジア 1.3% 2.1% 3.5% 6.1% 10.6% 17.8% 35.4%
東南とうなんアジア 1.6% 2.6% 4.2% 6.9% 11.6% 18.7% 35.4%
オーストララシア 1.8% 2.8% 4.5% 7.5% 12.5% 20.3% 38.3%

日本にっぽんについては、65さい以上いじょう高齢こうれいしゃゆうびょうりつは3.0〜8.8%(調査ちょうさによってばらつきがおおきい)とされ、OECDでは2009ねんでは6.1%と報告ほうこくされている[73]。2026ねんには10%に上昇じょうしょうするとの推計すいけいもある。

2010ねんには、日本にっぽんでの認知にんちしょう患者かんじゃすうやく462まんにん(65さい以上いじょう人口じんこうの15%)、そのぜん段階だんかい軽度けいど認知にんち障害しょうがい(MCI)はやく400まんにん(13%)と推定すいていされた[74]。2014ねんでは、日本にっぽん認知にんちしょう患者かんじゃすうやく500まんにん社会しゃかいてき費用ひようは14.5ちょうえんと、国民こくみん医療いりょう全体ぜんたいの3ぶんの1をめていると推計すいけいされた(厚労省こうろうしょう認知にんちしょう対策たいさく総合そうごう研究けんきゅう事業じぎょう[75]。また2035ねんには22.9ちょうえんふくらむ見込みこみとされる[75]認知にんちしょう高齢こうれいしゃ厚生こうせい労働省ろうどうしょう統計とうけいで、2012ねんは462まんにん、2020ねんは602まんにん、2025ねん675まんにん、2030ねん744まんにん推定すいていされている[24][76]

アメリカ・バーモント大学だいがく研究けんきゅうしゃが30,000にん以上いじょう平均へいきん3.4ねん追跡ついせきしたところABがた認知にんちしょうとの関連かんれんられた[77][78]RTIインターナショナル英語えいごばん研究けんきゅうしゃ現在げんざいまでの発見はっけんをまとめており、血液けつえき凝固ぎょうこ因子いんしがかかわる可能かのうせいがあり、Oがた以外いがいがなりやすい可能かのうせいがあり、心臓しんぞう疾患しっかん糖尿とうにょうびょう高血圧こうけつあつとのかかわりから認知にんちしょうになりやすくなっているような可能かのうせいかんがえられる[79]関係かんけいするFVIIIの体内たいない濃度のうどは、ABがた>Bがた>Aがた>Oがたじゅんである[79]

社会しゃかいてきしょ問題もんだい[編集へんしゅう]

経済けいざいてきコスト[編集へんしゅう]

認知にんちしょうたいしての経済けいざいてきコストは、オランダでは保健ほけん支出ししゅつの5.5%、ドイツでは3.7%をめている[8]。コストの総額そうがくは、ぜん世界せかいでは推定すいてい6450おくドル(2010ねん、スイスのGDPと同額どうがく)、米国べいこくでは1680-2300おくドル、欧州おうしゅう全体ぜんたいでは2130おくドルにのぼると試算しさんされている[8]

介護かいご問題もんだい[編集へんしゅう]

介護かいごについては、現在げんざいでもおおくの家族かぞく認知にんちしょう患者かんじゃ介護かいごしているが、その負担ふたんおおきさから心中しんちゅうの問題もんだい発展はってんすることもある。認知にんちしょう患者かんじゃ介護かいごは、24あいだ見守みまもりが必要ひつようであり、これは地域ちいきぐるみでないと対策たいさくむずかしい。患者かんじゃおおくは場所ばしょ自宅じたく希望きぼうしているが、現状げんじょうではだい部分ぶぶん病院びょういんくなっている[12]

しかし、この問題もんだい家族かぞく貧困ひんこん問題もんだいとされており、社会しゃかい問題もんだいとされることはまだまだすくない。日本にっぽんにおいては、患者かんじゃの9わりちかくが65さい以上いじょうであり65さい未満みまん初老しょろう認知にんちしょう患者かんじゃ若年じゃくねんせい認知にんちしょう)の対策たいさくおくれているため、その患者かんじゃ家族かぞく負担ふたんは65さい以上いじょうよりもおもいとされている。介護かいご保険ほけんにおいては、よう支援しえん2以上いじょう患者かんじゃ認知にんちしょう高齢こうれいしゃグループホーム利用りようできる。

介護かいご負担ふたん[編集へんしゅう]

2018ねんに70だい認知にんちしょう男性だんせい包丁ほうちょうって施設しせつ内部ないぶ徘徊はいかいしていたのを発見はっけんしたさい介護かいご男性だんせい包丁ほうちょうげたところ、おそいかかってきたために自衛じえいのためにだおし、認知にんちしょう男性だんせい軽傷けいしょうった。高山たかやまはこれを認知にんちしょう患者かんじゃへの介護かいごによる虐待ぎゃくたい判断はんだんした。岐阜ぎふけん虐待ぎゃくたいにあたるか捜査そうさちゅうである。認知にんちしょう患者かんじゃ面倒めんどう介護かいご職員しょくいんの9わりちかくがセクハラや暴言ぼうげんなどをけている[80]

自動車じどうしゃ運転うんてんをめぐる問題もんだい[編集へんしゅう]

判断はんだんりょく低下ていかした認知にんちしょう患者かんじゃによる自動車じどうしゃ運転うんてんなどの問題もんだいもある。かくけん公安こうあん委員いいんかい認知にんちしょうにかかっているもの運転うんてん免許めんきょ取消とりけしまたは停止ていしすることができる(道路どうろ交通こうつうほうだい103じょう)。認知にんちしょう関連かんれん5学会がっかい連名れんめいでガイドラインを策定さくていし、認知にんちしょう判断はんだんしたさいは、医師いし患者かんじゃおよび家族かぞくたい自動車じどうしゃ運転うんてん中止ちゅうしならびに運転うんてん免許めんきょしょう返納へんのうおこなうよう説明せつめいし、かつそのてんをカルテに記載きさいするよう勧告かんこくしている[81]

鉄道てつどう事故じこをめぐる問題もんだい[編集へんしゅう]

認知にんちしょう患者かんじゃうたがいがある場合ばあいふくむ)が鉄道てつどう事故じこまれるケースが、2005ねんから2012ねんまでの8年間ねんかんで149けん発生はっせいしていることがあきらかになった。事故じこ被害ひがいしゃのうち115にん死亡しぼうしているが、こうしたケースについて鉄道てつどう事業じぎょうしゃが、事故じこ被害ひがいしゃ認知にんちしょうであることを考慮こうりょせずに賠償ばいしょう請求せいきゅうをするケースがおお見受みうけられており、安全あんぜん対策たいさくや、だれ賠償ばいしょう責任せきにんうかなど、あらたな課題かだいとして浮上ふじょうしている[82]事故じこ被害ひがいしゃ遺族いぞくらからは、四六時中しろくじちゅう見守みまもりは無理むりなどとして、鉄道てつどう事業じぎょうしゃうごきに反発はんぱつするこえつよ[83]

2007ねん12月に認知にんちしょう男性だんせいがJR共和きょうわえき線路せんろないりてこした事故じこJR東海とうかい親族しんぞくやく720まんえん賠償ばいしょうもとめるうったえをこしたが、2016ねん3がつ1にち最高裁さいこうさいはこの損害そんがい賠償ばいしょう請求せいきゅう棄却ききゃくし、認知にんちしょう患者かんじゃやその家族かぞくにとっては画期的かっきてき判決はんけつとなったが、くに政策せいさくふくめ、責任せきにん能力のうりょくがないひとこした事故じこ損害そんがい回復かいふくをどうすべきかという課題かだいかびがった[84]

所在しょざい不明ふめいしゃをめぐる問題もんだい[編集へんしゅう]

警察庁けいさつちょうのまとめによると、2013ねん捜索そうさくねがい行方ゆくえ不明ふめいしゃとどけ)がされた認知にんちしょうひとかずは1まん322にんであり[85]、2012年度ねんどと2013年度ねんど届出とどけでのあった19,929にん不明ふめいしゃのうち、2014ねん4がつ現在げんざい所在しょざい確認かくにんできていない人数にんずうが258にんである[86]一方いっぽう警察けいさつ保護ほごされたものの住所じゅうしょ名前なまえなどの身元みもと不明ふめいひとが13にん(2013ねん5がつ現在げんざい)いた[87]

2019ねん6がつ20日はつか警察庁けいさつちょう発表はっぴょうによれば、2018ねんちゅう警察けいさつとどがあった認知にんちしょう行方ゆくえ不明ふめいしゃはのべ16,927にんで、前年ぜんねん1064にんぞうであり、統計とうけいはじめた2012ねんから連続れんぞく増加ぞうか最多さいたとなった。行方ゆくえ不明ふめいしゃ全体ぜんたい87,962にんめる割合わりあいは19.2パーセントで過去かこ最大さいだい。70さい以上いじょうが9わりめた。[88]

2023ねん6がつの2022ねんちゅう全国ぜんこく警察けいさつとどのあった認知にんちしょう行方ゆくえ不明ふめいしゃはおよそ1まん8700にんと10ねん連続れんぞく増加ぞうかし、最多さいた更新こうしん。 77.5%はとど受理じゅりした当日とうじつに、99.6%が受理じゅりから1週間しゅうかん以内いない所在しょざい確認かくにんされている。[89]

法的ほうてき保護ほご[編集へんしゅう]

すでに、認知にんちしょう患者かんじゃ対象たいしょうにした悪徳あくとく商法しょうほうなどが発生はっせいしている。悪質あくしつリフォームや、金融きんゆう機関きかんによる認知にんちしょう患者かんじゃ金融きんゆう商品しょうひん無断むだん解約かいやく[90]などは、発生はっせい発覚はっかくにはよくほうじられるが、解決かいけつさくについて議論ぎろんされることはすくない。このため、家族かぞくなどや弁護士べんごし司法しほう書士しょし社会しゃかい福祉ふくし地域ちいき包括ほうかつ支援しえんセンター成年せいねん後見人こうけんにん制度せいどによる対策たいさくもとめられている。

法曹ほうそう関係かんけい論文ろんぶんでは「判断はんだん不十分ふじゅうぶんしゃ」というかたり認知にんちしょう患者かんじゃ場合ばあいがある。

刑事けいじ手続てつづき[編集へんしゅう]

名称めいしょう変更へんこう[編集へんしゅう]

経緯けいい[編集へんしゅう]

日本にっぽん老年ろうねん学会がっかいにおいて、2004ねん3がつ柴山しばやまばくじんが「『痴呆ちほう』という言葉ことば差別さべつてきである」と問題もんだい提起ていきしたのをけ、6がつから厚生こうせい労働省ろうどうしょうにおいて、医療いりょう福祉ふくしなどの専門せんもん中心ちゅうしんとした用語ようご検討けんとうかい検討けんとうはじまった。その過程かていにおいて、厚生こうせい労働省ろうどうしょうは、関係かんけい団体だんたい有識者ゆうしきしゃからヒアリングをおこなうとともに、「痴呆ちほう」にわる用語ようごとして選定せんていした複数ふくすう候補こうほれいなどについてひろ国民こくみんかんがえをうため、ウェブページなどをつうじて意見いけん募集ぼしゅうおこなった。この結果けっか一般いっぱんてき用語ようご行政ぎょうせい用語ようごとしての「痴呆ちほう」について、つぎのような結論けつろんいたった。

  • 痴呆ちほう」という用語ようごは、侮蔑ぶべつてき表現ひょうげんであるうえに、「痴呆ちほう」の実態じったい正確せいかくあらわしておらず、早期そうき発見はっけん早期そうき診断しんだんなどのみの支障ししょうとなっていることから、できるだけすみやかに変更へんこうすべきである。
  • 痴呆ちほう」にわるあらたな用語ようごとしては、「認知にんちしょう」がもっと適当てきとうである。
  • 認知にんちしょう」に変更へんこうするにあたっては、たん用語ようご変更へんこうするむね広報こうほうおこなうだけではなく、これにあわせて、「認知にんちしょう」にたいする誤解ごかい偏見へんけん解消かいしょうなどにつとめる必要ひつようがある。くわえて、そもそもこの分野ぶんやにおける各般かくはん施策しさく一層いっそう強力きょうりょくにかつ総合そうごうてき推進すいしんしていく必要ひつようがある。

国民こくみん人気にんき投票とうひょうでは「認知にんち障害しょうがい」がトップであったが、従来じゅうらい医学いがくじょうの「認知にんち障害しょうがい」と区別くべつできなくなるため、この呼称こしょう見送みおくられた。こうして2004ねん12月24にちづけで、法令ほうれい用語ようご変更へんこうすべきだとの報告ほうこくしょ(「痴呆ちほう」にわる用語ようごかんする検討けんとうかい報告ほうこくしょ)がまとめられた。厚生こうせい労働省ろうどうしょう老健ろうけんきょく同日どうじつづけ行政ぎょうせい用語ようご変更へんこうし、「ろうはつだい1224001ごう」により老健ろうけん局長きょくちょうめい自治体じちたい関係かんけい学会がっかいなどに「認知にんちしょう(にんちしょう)」を使用しようするむね協力きょうりょく依頼いらい通知つうちした。関連かんれんする法律ほうりつじょう条文じょうぶんは、2005ねん通常つうじょう国会こっかい介護かいご保険ほけんほう改正かいせいによりおこなわれた。

医学いがく用語ようごとしては、まず日本にっぽん老年ろうねん精神せいしん学会がっかいが「認知にんちしょう」を正式せいしき学術がくじゅつ用語ようごとしてさだめ、関係かんけい40学会がっかいにそのむね通知つうちした。現在げんざい医学いがくかいでは、「痴呆ちほう」はほぼ「認知にんちしょう」といいかえられている。

おも心理しんりがく神経しんけい科学かがくけい学会がっかいでは、従来じゅうらいより「認知にんち」というかたり厳密げんみつもちいてきたため、学会がっかいとして認知にんちしょうというかたり反対はんたいしている[94]

行政ぎょうせい用語ようご改正かいせい[編集へんしゅう]

平成へいせい16ねん12月24にちけ、厚生こうせい労働省ろうどうしょう老健ろうけん局長きょくちょう通知つうちによる「痴呆ちほう」からの改正かいせい用語ようごれいは、以下いかのとおりである。

  • 痴呆ちほう認知にんちしょう
  • 痴呆ちほうせい高齢こうれいしゃ認知にんちしょう高齢こうれいしゃ
  • 痴呆ちほう状態じょうたいにある高齢こうれいしゃ認知にんちしょう高齢こうれいしゃ
  • 痴呆ちほうせい高齢こうれいしゃグループホーム → 認知にんちしょう高齢こうれいしゃグループホーム

現在げんざいだい162かい国会こっかいにおいて審議しんぎされている「介護かいご保険ほけんほうとう一部いちぶ改正かいせいする法律ほうりつあん」による改正かいせい介護かいご保険ほけんほうでは「のう血管けっかん疾患しっかん、アルツハイマーびょうその要因よういんもとづくのう器質きしつてき変化へんかにより日常にちじょう生活せいかつ支障ししょうしょうじる程度ていどにまで記憶きおく機能きのうおよびその認知にんち機能きのう低下ていかした状態じょうたい」として認知にんちしょう定義ていぎしている。

表記ひょうき改正かいせいへの賛否さんぴ議論ぎろん[編集へんしゅう]

痴呆ちほう」という差別さべつてきであるとされたのは、「」「ほけ」ともに「おろか」「馬鹿ばか」という意味いみ漢字かんじだからである。実際じっさい厚生こうせい労働省ろうどうしょうのアンケートでは、「痴呆ちほう」という呼称こしょう一般いっぱんてき用語ようご行政ぎょうせい用語ようごとしてもちいられる場合ばあい、また病院びょういんなどで診断しんだんめい疾病しっぺいめいとして使用しようされる場合ばあいでも、不快ふかいかん軽蔑けいべつしたかんじを「かんじる」にんは、「かんじない」ひと上回うわまわった。

痴呆ちほう」の代替だいたいあんとして「認知にんちしょう」とすることとしたことかんして、「認知にんち」の意味いみまさしくつたわらず、適切てきせつではないのではないか、また日本語にほんごとして破綻はたんしているのではないか、という議論ぎろんている。

心理しんりがくかい関係かんけい検討けんとうかいには参加さんかしゃなし)からは、「認知にんち」は人間にんげん知的ちてき機能きのうをあらわす概念がいねんであり、それをそのまま病名びょうめいとしてもちいると意味いみ不明ふめいかく誤解ごかいしょうじる危険きけんがあるとして異論いろんもある。社団しゃだん法人ほうじん日本にっぽん心理しんり学会がっかい日本にっぽん基礎きそ心理しんり学会がっかい日本にっぽん認知にんち学会がっかい日本にっぽん認知にんち心理しんり学会がっかいから連名れんめいされた意見いけんしょなかでその不適切ふてきせつさが指摘してきされ、代案だいあんとして「認知にんち失調しっちょうしょう」を提起ていきする意見いけんしょ厚生こうせい労働省ろうどうしょう提出ていしゅつされている。

また、「痴呆ちほう」と言葉ことばは「いち獲得かくとくされた知能ちのうが、後天的こうてんてき大脳だいのう器質きしつてき障害しょうがいのため進行しんこうてき低下ていかする状態じょうたい」をし、「認知にんちしょう」と言葉ことばより症状しょうじょう的確てきかくあらわしているという意見いけんもある。

日本にっぽん法制ほうせい[編集へんしゅう]

2023ねん6がつ14にち認知にんちしょうかんするはつ法律ほうりつ共生きょうせい社会しゃかい実現じつげん推進すいしんするための認知にんちしょう基本きほんほう」が成立せいりつした。社会しゃかい活動かつどう参加さんかする機会きかい確保かくほなど様々さまざま認知にんちしょう施策しさくみ、認知にんちしょうひとらしやすくするのがねらい。「世界せかいアルツハイマーデー」の9がつ21にちを「認知にんちしょう」とさだめるとした。 国民こくみん責務せきむとして「共生きょうせい社会しゃかい実現じつげんへの寄与きよ」をみ、認知にんちしょう施策しさく基本きほん理念りねんとして7項目こうもくかかげ、具体ぐたいさくとして、バリアフリー推進すいしん意欲いよく能力のうりょくおうじた雇用こよう継続けいぞく就職しゅうしょくする施策しさく保健ほけん医療いりょう福祉ふくしサービスのない提供ていきょう認知にんちしょう早期そうき発見はっけん早期そうき診断しんだん早期そうき対応たいおう推進すいしん、などをげた。政府せいふ具体ぐたいてき目標もくひょう達成たっせい時期じきれて基本きほん計画けいかくつくるよう義務ぎむづけ、自治体じちたい計画けいかく策定さくてい努力どりょく義務ぎむした[95][96]

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

注釈ちゅうしゃく[編集へんしゅう]

  1. ^ この固定こてい概念がいねんには、周辺しゅうへん症状しょうじょう発現はつげん深刻しんこくによって患者かんじゃたちの家族かぞくなどの介護かいご負担ふたんえてしまうため、それをできるだけおさえるという目的もくてきもあった。
  2. ^ 欧米おうべいではVD=venereal disease=性病せいびょうであるため、血管けっかんせい痴呆ちほうはVaDとりゃくして区別くべつする。
  3. ^ 原文げんぶん:People with dementia who develop non-cognitive symptoms or behaviour that challenges should be offered a pharmacological intervention in the first instance only if they are severely distressed or there is an immediate risk of harm to the person or others(英国えいこく国立こくりつ医療いりょう技術ぎじゅつ評価ひょうか機構きこう 2006, Chapt.1.7.2.1)
  4. ^ 原文げんぶん:People with Alzheimer's disease, vascular dementia or mixed dementias with mild-to-moderate non-cognitive symptoms should not be prescribed antipsychotic drugs because of the possible increased risk of cerebrovascular adverse events and death (英国えいこく国立こくりつ医療いりょう技術ぎじゅつ評価ひょうか機構きこう 2006, Chapt.1.7.2.2)

出典しゅってん[編集へんしゅう]

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参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

国際こくさい機関きかん
診療しんりょうガイドライン

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]