F-5 (戦闘せんとう)

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ノースロップ F-5

スイス空軍のF-5E タイガーII

スイス空軍くうぐんのF-5E タイガーII

F-5は、アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくノースロップしゃ1950年代ねんだい開発かいはつした戦闘せんとうである。

愛称あいしょうはA/Bがたフリーダム・ファイター(Freedom Fighter)、改良かいりょうがたのE/FがたタイガーII(Tiger II)。

機体きたい概要がいよう[編集へんしゅう]

開発元かいはつもとのアメリカのほか小型こがた軽量けいりょう取得しゅとく運用うんよう容易よういであったため、冷戦れいせん当時とうじアジアアフリカみなみアメリカなどのアメリカと友好ゆうこうてき発展はってん途上とじょうこくにも大量たいりょう輸出ゆしゅつされた。姉妹しまいとして、練習れんしゅうかたT-38 タロン存在そんざいする。また、量産りょうさん配備はいびにはいたらなかったものの、1980ねんだいにはほん後継こうけいとしてF-20 タイガーシャーク計画けいかくされ、3試作しさくされた。

きわめて小型こがた機体きたいに、直線ちょくせんつばさちかいようなあさ後退こうたいかくった主翼しゅよくわせており、つばさはしにはそら対空たいくうミサイルあるいはぞうそう(A/Bがたのみ)を装備そうびする。この主翼しゅよく形式けいしきは、ロッキードF-104影響えいきょうだいであるとされている。主翼しゅよく後退こうたいかくおおきくれば最高さいこう速度そくど遷音そくでの加速かそく性能せいのうすぐれるが、つばさはば荷重かじゅうおおきくなって旋回せんかい性能せいのう運動うんどうせい)は低下ていかする。たいして後退こうたいかくちいさくすれば旋回せんかい性能せいのう向上こうじょうし、とく低速ていそくいきでの運動うんどうせいおおきく向上こうじょうする[ちゅう 1]

主翼しゅよくぜんえん小型こがたLERXいているのも特徴とくちょうである。これは元々もともとぜんえんフラップ電動でんどう作動さどうおさめるため、主翼しゅよくぜんえん胴体どうたいあいだ三角形さんかっけいフェアリングもうけたもので、飛行ひこう性能せいのう向上こうじょう意図いとしたものではなかったが、離着陸りちゃくりく性能せいのう向上こうじょう失速しっそく防止ぼうしなど、まった予想よそうがいおおきな効果こうかられる結果けっかとなった。偶然ぐうぜん産物さんぶつではあったが、のE/FかたF-20では大型おおがたされ、さらにそのあさ後退こうたいかくつばさやLERXは、ノースロップしゃ開発かいはつしたYF-17F/A-18原型げんけい)にも継承けいしょうされている。

F-5の操縦そうじゅうせいたかさには定評ていひょうがあり、カスタマーにはおおむね好評こうひょうってむかえられた。たとえば、原型げんけいN-156Fのはつ飛行ひこうのぞんだノースロップしゃ主任しゅにんテストパイロット、ルー・ネルソンは、「教養きょうようある婦人ふじん(well-educated lady)」のような特性とくせいだとひょうしている。このすぐれた操縦そうじゅうせいは、派生はせいがたちょう音速おんそく練習れんしゅうT-38 タロンはもとより、F-5 の後継こうけい発展はってんがたであるF-20までがれた。また、降着こうちゃく装置そうち外見がいけんからは想像そうぞうしにくいが、整地せいち舗装ほそう滑走かっそうから運用うんようすることもできた。

F-5Eに搭載とうさいされるJ85エンジン

エンジンは、ゼネラル・エレクトリックしゃせいJ85 ターボジェットエンジンを2搭載とうさいする。J85は元来がんらいミサイルようとして開発かいはつされた画期的かっきてき小型こがたジェットエンジンであり、推力すいりょく重量じゅうりょう(エンジン重量じゅうりょうたいしての推力すいりょくおおきさ)は当時とうじおもおおきなだい推力すいりょくターボジェットをはるかにしのぐものであった[ちゅう 2]。J85の双発そうはつとしたことで、F-5はきわめてコンパクトにまとめられたのである。

小型こがたエンジンは整備せいびせい向上こうじょうにも役立やくだっている。重量じゅうりょうかるいため、ジャッキなど特別とくべつ工具こうぐ使つかわなくてもすうにん人手ひとでさえあれば簡単かんたんにエンジンを着脱ちゃくだつでき、設備せつびとぼしい途上とじょうこく前線ぜんせん基地きちでも整備せいび運用うんよう容易よういだった。くわえてF-5は整備せいび便びん考慮こうりょして、エンジンの着脱ちゃくだつななめのラインでおこなえるように後部こうぶ胴体どうたい形状けいじょう工夫くふうしている。双発そうはつであるため、被弾ひだん故障こしょうさい生存せいぞんせいたかい。

小型こがたエンジンを複数ふくすう場合ばあい短所たんしょは、燃費ねんぴ効率こうりつわるくなるてんコスト上昇じょうしょうである。しかし、J85はミサイルや無人むじん標的ひょうてき小型こがたにも大量たいりょう採用さいようされたエンジンであり、機材きざいそのもののコストは量産りょうさん効果こうかによってげることができた。また、後述こうじゅつとおほんは、冷戦れいせんしたにおいてアメリカ友好ゆうこう関係かんけいにあった発展はってん途上とじょうこくけの供与きょうよとして採用さいようされたため、燃費ねんぴ効率こうりつ強力きょうりょくなエンジン単発たんぱつによる長大ちょうだい航続力こうぞくりょくった航空機こうくうきでは周辺しゅうへんこく過度かど脅威きょういあたえることにもなり、供与きょうよするがわのアメリカとしてもあまりのぞましいことではなかったため、かえって好都合こうつごうとなった。

航続力こうぞくりょく搭載とうさいりょく制限せいげんされている一方いっぽうで、F-5は反復はんぷく出動しゅつどう考慮こうりょした設計せっけいとなっており、たとえば給油きゅうゆこう加圧かあつしきの1てん給油きゅうゆで、短時間たんじかんでの燃料ねんりょう補給ほきゅう可能かのうとしている。構造こうぞう単純たんじゅん整備せいびせいたか機体きたいあいまってたか稼働かどうりつ実現じつげんしており、後述こうじゅつのスコシ・タイガー作戦さくせんでは、アメリカ本土ほんどからフェリーされてきたばかりのF-5が、整備せいびさい装填そうてんうえ、わずか5あいだ初出しょしゅつげき記録きろくしたれいもあった。

へいそう[編集へんしゅう]

M39A2 20㎜機関きかんほう機関きかんほう本体ほんたいした弾薬だんやくばこがある。

固定こていへいそうは、単座たんざがたのF-5AとF-5Eはともに、機首きしゅに2もんポンティアック M39 20mmリボルバーカノン搭載とうさいし、1もんあたり280はつけい560はつ)の弾薬だんやく搭載とうさいする。ふくがたについては、F-5Bは機関きかんほう搭載とうさいしておらず、F-5Fは機関きかんほうを1もんらしたうえ弾薬だんやくすうも140はつ削減さくげんされている。射撃しゃげきさい砲身ほうしんまえ格納かくのうされているガス・デフレクターが展開てんかいし、発射はっしゃガスがエンジンに吸入きゅうにゅうされるのをふせぐ。

機外きがいへいそうについては、りょう主翼しゅよくはしりょう主翼しゅよくに2つずつ、胴体どうたいけい7箇所かしょハードポイントがあり、胴体どうたいりょう主翼しゅよく内側うちがわのハードポイントにはぞうそう装着そうちゃくできる[ちゅう 3]

そら対空たいくうミサイルについては、つばさはしのミサイル発射はっしゃレールにAIM-9 サイドワインダーを1はつずつ搭載とうさいする。

そら対地たいち攻撃こうげきについては、おもMk82 500ポンドばくだんM117 750ポンドばくだんなどの誘導ゆうどうばくだんや、ハイドラ70ロケットだんナパームだんクラスターばくだんなどの誘導ゆうどう兵器へいきおも使用しようされる。イランサウジアラビアモロッコけのF-5E/Fにはマーベリックそら対地たいちミサイル運用うんよう能力のうりょく追加ついかされた。F-5E/Fの近代きんだい改修かいしゅうでは視程していがいそら対空たいくうミサイルや精密せいみつ誘導ゆうどう兵器へいき運用うんよう能力のうりょく付与ふよされていることがおおい。

開発かいはつ経緯けいい[編集へんしゅう]

F-5A/B[編集へんしゅう]

試作しさくがたYF-5A

他社たしゃとのしん戦闘せんとう競争きょうそうおおきくみずをあけられていたノースロップしゃは、だい世界せかい大戦たいせんなか建造けんぞうされて当時とうじまだ多数たすうのこっていたアメリカ海軍かいぐん護衛ごえい空母くうぼよう艦上かんじょう戦闘せんとうとして、ウェルコ・ガシッチ(Welko Gasich)技師ぎしたちの設計せっけいによるN-156を提案ていあんした。しかし海軍かいぐんがこれらの護衛ごえい空母くうぼ退役たいえきさせることとしたため、1954ねんにこの提案ていあんげられ[1]、ノースロップは海外かいがい輸出ゆしゅつ市場いちば活路かつろ見出みいだすこととなった。同時どうじ空軍くうぐん練習れんしゅうT-33後継こうけいにもをつけ、戦闘せんとうがたをN-156F、練習れんしゅうがたをN-156Tとして並行へいこうして開発かいはつすすめた。このN-156Tは空軍くうぐんT-38として採用さいようされ、N-156Fも自社じしゃ資金しきん開発かいはつ継続けいぞくした。

1950年代ねんだいすえより東側ひがしがわ諸国しょこくやその友好国ゆうこうこくMiG-17MiG-19供与きょうよすすめていたソビエト連邦れんぽう対抗たいこうするべく、アメリカはこれらのソ連それんせい戦闘せんとう上回うわまわ性能せいのうち、かつ廉価れんか運用うんよう整備せいび容易ようい戦闘せんとう西側にしがわ諸国しょこく友好ゆうこう関係かんけいにある発展はってん途上とじょうこくけに供与きょうよする計画けいかくすすめていた。しかし、すでF-86F-84旧式きゅうしきしており、よりあたらしい機体きたい複雑ふくざつさ・性能せいのう価格かかく軍事ぐんじ機密きみつなどのめん途上とじょうこく輸出ゆしゅつできるものではなかった[ちゅう 4]。これにたいし、航法こうほうはか距用のレーダー見越みこ計算けいさんしき照準しょうじゅんさえも搭載とうさいせず、小型こがたエンジン使用しようしたN-156Fは、廉価れんかかつ運用うんよう整備せいび容易よういだったため途上とじょうこくけの海外かいがい供与きょうよ戦闘せんとうえらばれることとなる。こうしてN-156FはF-5A命名めいめいされるとともに、機関きかんほう装備そうびしないふく練習れんしゅうがたF-5B開発かいはつされ、1964ねんから配備はいび開始かいしされた。

F-5B

供与きょうよされたくには、みなみベトナムタイイランエチオピアサウジアラビアヨルダン大韓民国だいかんみんこくリビア(王政おうせい時代じだいモロッコなどの発展はってん途上とじょうこくである。また、高価こうかなF-104を保有ほゆうしていた中華民国ちゅうかみんこくノルウェーギリシャトルコにも、せんきゅう補助ほじょ戦闘せんとうとして供与きょうよされた。このほかパキスタンだいさんしるし戦争せんそうなかに、リビアのF-5Aをパイロットともに「提供ていきょう」され、すう使用しようしていたとされる(サウジアラビアがF-5E飛行ひこうたい同国どうこく派遣はけんしていたともいわれる)[ちゅう 5]

ベトナム戦争せんそうでは、みなみベトナム空軍くうぐんおもきたベトナムぐんへの対地たいち攻撃こうげき使用しようしたほか、きたベトナムぐん鹵獲ろかくしたみなみベトナム空軍くうぐんのF-5Aでサイゴンみなみベトナム大統領だいとうりょうばくげきした。南北なんぼく統一とういつベトナムでは、みなみベトナム空軍くうぐんから接収せっしゅうしたF-5A(ベトナム空軍くうぐん展示てんじではF-5E)が対地たいち攻撃こうげき任務にんむとしてカンボジア・ベトナム戦争せんそうもちいられていた。

ライセンス生産せいさんけん取得しゅとくしたカナダでは、自己じこ資金しきんによって空戦くうせんフラップや2だん伸縮しんしゅくしきぜんあし追加ついかといった改良かいりょうおこなわれ、カナダけをCF-5オランダけをNF-5呼称こしょうして製造せいぞうした。独自どくじ改良かいりょうくわえて2かこく使用しようされたこのライセンス生産せいさんかたは、ベトナム戦争せんそうでの使用しよう経験けいけんとともに、改良かいりょうがたであるF-5E/F開発かいはつおおきなヒントとなった。にライセンス生産せいさんおこなったくににはスペインがある。

スコシ・タイガー作戦さくせんによってベトナム戦争せんそう投入とうにゅうされたF-5C

上記じょうきとおり、F-5A/Bは純粋じゅんすい供与きょうよとしてもちいられ、外国がいこく空軍くうぐんへの技術ぎじゅつ指導しどう訓練くんれん以外いがいにアメリカ空軍くうぐんでの使用しよう予定よていはなかった。しかし、供与きょうよされたくにからの実績じっせき要求ようきゅうなどから、評価ひょうか試験しけんようのF-5A飛行ひこうたい臨時りんじ編成へんせいされ、ベトナム戦争せんそうにおいて対地たいち攻撃こうげき投入とうにゅうされた。このF-5Aは空中くうちゅう給油きゅうゆプローブ装甲そうこう追加ついかなど、従来じゅうらいのF-5Aとはことなる「特別とくべつ仕様しよう」のため、F-5Cという非公式ひこうしき形式けいしき番号ばんごうばれることもある。

F-5Cが参加さんかする作戦さくせんは「スコシ・タイガー作戦さくせん」と命名めいめいされ、F-5の作戦さくせん能力のうりょく双発そうはつエンジンによる被弾ひだん生存せいぞんせいたか評価ひょうかされることとなった。機体きたい試験しけん終了しゅうりょうみなみベトナム空軍くうぐんわたされている。なお、「スコシ」とはベトナム戦争せんそうにおける前進ぜんしん基地きちがおかれた日本にっぽん公用こうようである日本語にほんごの「すこし」であり、元来がんらいは「リトル・タイガー」とすべきところを、外国がいこくふう語感ごかんにするため「スコシ・タイガー(Skoshi Tiger)」とした[ちゅう 6]

F-5A/Bは、発展はってん途上とじょうこくにおけるはつちょう音速おんそくジェット戦闘せんとうとしての利便りべんせい経済けいざいせいくわえ、高価こうか戦闘せんとうまさるともおとらない抜群ばつぐん機動きどうせいくにわずひろ使用しようされた戦闘せんとうである。ベトナム戦争せんそう以外いがい目立めだった戦績せんせきはないものの、西にしサハラ紛争ふんそうモロッコモロッコ王立おうりつ空軍くうぐん)が、オガデン紛争ふんそうで(革命かくめいの)エチオピア実戦じっせん使用しようしたといわれる。そのおおくは対地たいち攻撃こうげきもちいられたが、モロッコの機体きたいだいよん中東ちゅうとう戦争せんそうにおいてイスラエルミラージュIII撃墜げきついする戦果せんかげている。

改良かいりょうがたのF-5E/Fを導入どうにゅうしたくにでは早々そうそうみなみベトナムといった他国たこく放出ほうしゅつされていった。これにともない、ギリシャ空軍くうぐんトルコ空軍くうぐんはアメリカをかいして各地かくち退役たいえきしたF-5A/Bを長期ちょうきわたって大量たいりょう入手にゅうしゅし、主力しゅりょく戦闘せんとう補助ほじょ対地たいち攻撃こうげき訓練くんれんようて、後者こうしゃでは現在げんざい運用うんようちゅうである。スペイン空軍くうぐんではF-5Bを高等こうとう練習れんしゅうとして使用しようしている。このほかにカナダで退役たいえきしたCF-5が、さらなる近代きんだい改修かいしゅうのちボツワナ国防こくぼうぐんさい就役しゅうえきしており、アフリカゾウなどの動物どうぶつたいする密猟みつりょう監視かんしもちいたという。

F-5E/F[編集へんしゅう]

F-5E(おく)とF-5F(手前てまえ

1960年代ねんだい後半こうはんはいると、ソビエト連邦れんぽうMiG-21中小ちゅうしょうこく空軍くうぐんけにも輸出ゆしゅつはじめた。MiG-21は簡易かんいながらレーダー装備そうびしており、レーダーをたず目視もくし戦闘せんとうおこなうF-5A/Bでは対抗たいこう困難こんなんになりつつあり、エンジンパワーもおとっていた。そのためアメリカ国防省こくぼうしょうでは、F-5A/Bにわるあらたな供与きょうよ戦闘せんとう比較ひかく審査しんさ1970ねんびかけた。

比較ひかく審査しんさにはロッキードCL-1200チャンスボートV-1000F-4簡易かんいがたなどかくメーカーによる提案ていあんがあったが、アメリカ空軍くうぐんノースロップ提案ていあんしたF-5-21あん採用さいようF-5E命名めいめい1974ねんから配備はいび開始かいしした。

F-5E/Fは、基本きほんてきにF-5A/Bの改良かいりょうがたであるが、

  1. エンジンを強化きょうか
  2. F-5Aでは皆無かいむであったレーダーるい追加ついか
  3. CF-5やNF-5で採用さいようされた空戦くうせんフラップや2だん伸縮しんしゅくしきぜんあし採用さいよう

などがおこなわれ、F-5Aよりよこはば多少たしょうひろくなっている。搭載とうさいされたAN/APQ-153 レーダーは機能きのう限定げんていてき目標もくひょう追尾ついび機能きのうたず、射程しゃていながAIM-7運用うんようできない。それでもレーダー搭載とうさいのA/Bがたくらべれば格段かくだん進歩しんぽであり、MiG-21を仮想かそうてきとするには必要ひつようにして十分じゅうぶんられた[ちゅう 7]。オプションで空中くうちゅう受油プローブ慣性かんせい航法こうほう装置そうちなどを装備そうび可能かのうほか後期こうき生産せいさんがた一部いちぶには、F-20採用さいようされたシャークノーズ(Shark Nose)[ちゅう 8]大型おおがたストレーキがれられており、機動きどうせい向上こうじょうしている。

当初とうしょ、F-5Eのパイロット訓練くんれんにはF-5Bが使用しようされていたが、性能せいのうおおきいこと、そしてレーダー操作そうさ訓練くんれん必要ひつようというてんから専用せんようふく練習れんしゅうかたF-5F開発かいはつされた。F-5Fは機関きかんほう装備そうびしないF-5Bとことなり、機関きかんほう搭載とうさいすうは1もん減少げんしょう)やレーダーをのこし、燃料ねんりょう搭載とうさいりょうもF-5Eと同様どうようにした。このため、機首きしゅが107cm延長えんちょうされている。

その一方いっぽう、F-5の得意とくい分野ぶんやといえる利便りべんせい経済けいざいせいがれ、F-5A/Bを運用うんようしていたくにほかにも、メキシコホンジュラスなどがF-5E/Fを採用さいようした。また、スイス韓国かんこく台湾たいわんではライセンス生産せいさんおこなわれた。すで旧式きゅうしきした現在げんざいでも途上とじょうこく中心ちゅうしんとしたおおくのくに現役げんえきにあり、だい規模きぼ近代きんだい改修かいしゅうほどこしてつづ運用うんようしているくにもある。

アメリカ空軍くうぐん海軍かいぐん海兵かいへいたいは、ベトナム戦争せんそう終結しゅうけつともなみなみベトナムへの供与きょうよわなかった機体きたいり、トップガンなどの空戦くうせん訓練くんれん教程きょうていでの仮想かそうMiG-21あるいは汎用はんよう仮想かそうてきとしてなが使用しようした。空軍くうぐんではすで退役たいえきしているが、海軍かいぐん海兵かいへいたいでは現在げんざい運用うんようちゅうである。とく海軍かいぐん既存きそんのF-5Eの更新こうしんようとしてスイス退役たいえきしたF-5Eを購入こうにゅうし、再生さいせいおよび改造かいぞうほどこしたうえでF-5Nとしてさい就役しゅうえきさせている。

実戦じっせんではイラン・イラク戦争せんそうでイランが、西にしサハラ紛争ふんそうでモロッコが対地たいち攻撃こうげき使用しようした。前述ぜんじゅつオガデン戦争せんそうではエチオピアのF-5Eがソマリア空軍くうぐんMiG-15などの撃墜げきつい記録きろくしている。また、湾岸わんがん戦争せんそうにはサウジアラビアバーレーン機体きたい参戦さんせんした。韓国かんこく機体きたい麗水れいすい潜水せんすいてい撃沈げきちん事件じけんさい出撃しゅつげきし、機銃きじゅう掃射そうしゃ北朝鮮きたちょうせんはん潜水せんすいてい無力むりょく鹵獲ろかくこころみたが、夜間やかん照明しょうめいだん支援しえんけながらったものであったため失敗しっぱいし、はん潜水せんすいてい海軍かいぐんコルベットにより撃沈げきちんされた。

派生はせいがた[編集へんしゅう]

F-5A/B系列けいれつ[編集へんしゅう]

RF-5A
カナディアせいのVF-5A。
胴体どうたい側面そくめん補助ほじょ空気くうきこう注目ちゅうもく
SF-5B
F-5A
初期しょきがた。エンジンはJ85-GE-13(ドライ推力すいりょく:1,234kg、アフターバーナー使用しよう推力すいりょく:1,850kg)を2搭載とうさい
RF-5A
F-5Aの偵察ていさつかた機首きしゅにカメラを搭載とうさい武装ぶそうはF-5Aとまったく同一どういつのため、そのままでもF-5Aと同等どうとうそら対空たいくう戦闘せんとう/そら対地たいち攻撃こうげき能力のうりょくゆうするほか、機首きしゅかわそうでF-5Aにもどすことも可能かのうイラントルコみなみベトナムタイギリシャ韓国かんこくモロッコ採用さいよう
F-5B
F-5Aのふく練習れんしゅう攻撃こうげきかたT-38機首きしゅ流用りゅうようしているため、機関きかんほう装備そうびしていないが、それ以外いがいのサイドワインダー、ばくだん、ロケットだん運用うんよう能力のうりょくはF-5Aと同等どうとう
F-5A導入どうにゅうこく採用さいようされただけでなく、F-5Eの初期しょき導入どうにゅうこくのうちでF-5Aを導入どうにゅうしていなかったブラジルサウジアラビアも、F-5Eへの転換てんかん訓練くんれんようにF-5Bを導入どうにゅうしている。
F-5C
スコシ・タイガー作戦さくせんのために改修かいしゅうされたF-5A。ただし、公式こうしき形式けいしきめいではなく、部内ぶないでの「通称つうしょう」とされている。作戦さくせんめいから「スコシ・タイガー」とばれることもある。
F-5A(G)/B(G)、RF-5A(G)
ノルウェー空軍くうぐんけのF-5A/BおよびRF-5A。寒冷かんれいでの運用うんようのため、JATOアレスティング・フックキャノピーおよびそら気取きどり入口いりくちじょごおり装置そうち追加ついか
SF-5A/B、SRF-5A
スペインCASAでライセンス生産せいさんされたF-5A/BおよびRF-5A。
機体きたいそのものは後述こうじゅつするカナディアせいことなり、ノースロップせいとまったく同一どういつであるほか、エンジンもアメリカからの輸入ゆにゅうひんである。
はつ飛行ひこうは1968ねん5がつ22にちふくがたのSF-5B(AE.9)34と、単座たんざがたのSF-5A(A.9)と単座たんざ偵察ていさつがたのSRF-5A(AR.9)が18ずつの、けい70製造せいぞうされた。
CF-5A/D、CF-5A(R)英語えいごばん
カナダカナディアライセンス生産せいさんされたF-5A/B。CF-5A(R)はRF-5Aにじゅんじた偵察ていさつがたカナダ空軍くうぐんではCF-116、ベネズエラ空軍くうぐんではVF-5と呼称こしょうされる。
基本きほんてきにはノルウェー空軍くうぐん仕様しようのF-5A/Bとおなじであるが、以下いか改良かいりょうくわえられた。
  1. エンジンは、オリジナルのF-5A/Bよりこう出力しゅつりょくのJ85-CAN-15(ドライ推力すいりょく:1,361kg、アフターバーナー使用しよう推力すいりょく:1,950kg。オレンダ・エンジンズでライセンス生産せいさん)に変更へんこう。これにともない、エンジン直前ちょくぜん後部こうぶ胴体どうたい側面そくめんルーバー開閉かいへいしき補助ほじょ空気くうきこう追加ついか
  2. ぜんあしを33cm延長えんちょうする機能きのう追加ついか。これにより離陸りりくやく3°のむかかくけ、離陸りりく滑走かっそう距離きょりを20%ほど短縮たんしゅく
  3. フェランティせいのリード・コンピュータしき照準しょうじゅん装備そうび
  4. 機体きたい右側みぎがわめんに、ボルトめの空中くうちゅう受油プローブを追加ついかはず可能かのう)。
はつ飛行ひこうは1968ねん5がつ4にち単座たんざがたのCF-5Aが89ふくがたのCF-5Dが46の、けい135製造せいぞうされた。
カナダ以外いがいではベネズエラが導入どうにゅうしたほか、カナダ空軍くうぐん中古ちゅうこボツワナ国防こくぼうぐん導入どうにゅうしている。
NF-5A/B
オランダ空軍くうぐんけにカナディアが製造せいぞうしたF-5A/B。オランダのフォッカー製造せいぞうしたコンポーネントを、カナディアにんでてる方式ほうしき生産せいさんされた。
基本きほんてきにはカナダ空軍くうぐん仕様しようのCF-5と同一どういつ仕様しようであるが、照準しょうじゅん旧式きゅうしき光学こうがくしき照準しょうじゅんもどし、ドップラー航法こうほう装置そうち追加ついか。さらに主翼しゅよく構造こうぞう強化きょうかし、ぜんえんフラップを自動じどう空戦くうせんフラップとして使つかえるようにしたほか、主翼しゅよく内側うちがわのハードポイントに275ガロン(1,041リットル)ぞうそう装着そうちゃく可能かのうとした。
はつ飛行ひこうは1969ねん3がつ24にち単座たんざがたのNF-5Aが75ふくがたのNF-5Bが30の、けい105製造せいぞうされた。
オランダ空軍くうぐん退役たいえきした機体きたい一部いちぶは、ギリシャ空軍くうぐんトルコ空軍くうぐんわたされており、トルコ空軍くうぐん曲技きょくぎ飛行ひこうたいターキッシュ・スターズ英語えいごばんトルコばん」でも運用うんようされている。

F-5E/F系列けいれつ[編集へんしゅう]

フィリピン空軍くうぐんのF-5A(手前てまえひだり)と、アメリカ空軍くうぐんのF-5E(手前てまえみぎ
空気くうきこうおおきさや、主翼しゅよくのストレーキの形状けいじょう注目ちゅうもく
RF-5E タイガーアイ
F-5N
F-5E
F-5Aの改良かいりょうがた。1972ねん8がつ11にちはつ飛行ひこう
レーダーの装備そうび中心ちゅうしんに、カナディアせいのCF-5/NF-5やノルウェー空軍くうぐんけのF-5A(G)/B(G)でれられた改良かいりょうてん導入どうにゅうされている。
  1. エンジンをさらに強力きょうりょくなJ85-GE-21(ドライ推力すいりょく:1,588kg、アフターバーナー使用しよう推力すいりょく:2,268kg)に変更へんこう。これにともな空気くうきこう面積めんせきを20%拡大かくだいしたほか、胴体どうたい側面そくめんにCF-5/NF-5と同型どうけいルーバーかた開閉かいへいしき補助ほじょ空気くうきこう追加ついか
  2. AN/APQ-153 そら対空たいくうレーダー後期こうきがた改良かいりょうがたAN/APQ-159英語えいごばん)を装備そうび。これにともない、照準しょうじゅんもAN/ASG-29 LCOSS(Lead Computing Optical Sight System)を装備そうび
  3. 胴体どうたい中央ちゅうおうを38.1cm延長えんちょうし、左右さゆうはばも41cm拡大かくだい。さらにコクピット直後ちょくごから垂直すいちょく尾翼びよくまでのドーサルスパインを胴体どうたい一体化いったいかし、燃料ねんりょう搭載とうさいりょう増加ぞうか。これにともない、コクピット直後ちょくごからびていたドーサルスパインと胴体どうたい中央ちゅうおう段差だんさも、コクピットからすこはなれた部分ぶぶんなめらかに成形せいけいされており、F-5Eの外見がいけんじょう特徴とくちょうひとつとなっている。
  4. つばさめん荷重かじゅうをF-5Aと同等どうとうにするため、重量じゅうりょう増加ぞうかわせて主翼しゅよくつるちょう部分ぶぶんで14cm拡大かくだいおもストレーキ(LEX)の部分ぶぶん面積めんせき拡大かくだいされたため、ストレーキのぜんえんだん後退こうたいかくいた形状けいじょうとなっている。
  5. CF-5/NF-5やF-5A(G)/B(G)で導入どうにゅうされた、伸縮しんしゅくしきぜんあしやアレスティング・フック、空気くうきこう前面ぜんめん風防ふうぼうじょごおり装置そうちなどを追加ついかしたほか、フラップを自動じどう空戦くうせんフラップとして運用うんよう可能かのうとした。
RF-5E
RF-5Aと同様どうよう機首きしゅのレーダーおよびコーンを撤去てっきょし、わりにカメラを搭載とうさいした専用せんようコーンを装着そうちゃくした簡易かんい偵察ていさつかた。ただし、ちいさすぎて新型しんがた偵察ていさつ装置そうち搭載とうさいできないという問題もんだいてんがあり、サウジアラビア後述こうじゅつするタイガーアイ配備はいびまでの暫定ざんていがたとして運用うんようしたのみ。
RF-5E タイガーアイ(Tigereye)
F-5Eの偵察ていさつがた機首きしゅを20cm延長えんちょうし、レーダーと右側みぎがわ機関きかんほう撤去てっきょして設置せっちした大型おおがたカメラしつにカメラを搭載とうさい。ミッションにおうじて様々さまざまなカメラにかわそうできる。1979ねん1がつ29にちはつ飛行ひこう
ノースロップしゃは「RF-4Eの60%のライフサイクルコストで90%の能力のうりょく発揮はっきできる」とうたっていたが、価格かかくがF-5Eの1.5ばい高価こうかであったため、サウジアラビア、マレーシアシンガポール台湾たいわんでのみ採用さいようされた。うちノースロップせい新造しんぞうはサウジアラビア(10)とマレーシア(2)のみで、シンガポール(8)と台湾たいわん(7)の機体きたいは、シンガポールのSTアエロスペース英語えいごばんがF-5Eから改造かいぞうしたものである[2]台湾たいわんでは「タイガーゲイザー(Tigergazer)」とばれる[2]
F-5F
F-5Eのふく練習れんしゅう戦闘せんとうかたふくでの運用うんよう対応たいおうしたAN/APQ-157 レーダーを搭載とうさいし、機関きかんほう1もんたますうは、140はつ半減はんげん)を固定こてい装備そうび。1974ねん9がつ25にちはつ飛行ひこう
F-5Eをもとに、前部ぜんぶ座席ざせきやレーダー、機関きかんほう搭載とうさいするスペースを確保かくほするため、機首きしゅ部分ぶぶんを107cm前方ぜんぽう延長えんちょうしているほか、主翼しゅよく上面うわつら境界きょうかいそうばん(フェンス)を装着そうちゃくしている。
F-5N
スイス余剰よじょうとなったF-5Eがアメリカ海軍かいぐんアグレッサーとしてさい就役しゅうえきしたさい呼称こしょう機関きかんほうはずし、レーダーをAN/APG-69かわそう
中正ちゅうせいごう戦闘せんとう
中華民国ちゅうかみんこく台湾たいわん)のAIDC(航空こうくう工業こうぎょう発展はってんセンター、現在げんざいかんしょう航空こうくう工業こうぎょう)でライセンス生産せいさんされたF-5E/F。「中正ちゅうせい」は蔣介せきがくごう由来ゆらいする。
1973ねん2がつ9にちに「ピース・タイガー」の計画けいかくめいでF-5E 100のライセンス契約けいやくむすばれたのをきっかけに、以後いご6にわたる「ピース・タイガー」計画けいかくした、1986ねんまでに242のF-5Eと66のF-5Fがライセンス生産せいさんされた[3]
また、1990年代ねんだいなかばに7のF-5EがシンガポールのSTアエロスペース英語えいごばんにおいてRF-5Eタイガーアイに改造かいぞうされた。最初さいしょのRF-5Eは1997ねん8がつ中華民国ちゅうかみんこく空軍くうぐんわたされ、RF-104G後継こうけいとしてだい12偵察ていさつ中隊ちゅうたい(12th TRS)に配備はいびされた[2]

近代きんだい改修かいしゅうがた[編集へんしゅう]

シンガポール空軍くうぐんのF-5S
ブラジル空軍くうぐんのF-5EM
右舷うげん機関きかんほう撤去てっきょされ、機関きかんほうほうこうがあった場所ばしょ電子でんし機器きき冷却れいきゃくようそら気取きどり入口いりくちもうけている。
チリ空軍くうぐんF-5E タイガーIII
NASAのSSBDよう改造かいぞうされたF-5E
F-5S/T、RF-5S
シンガポール空軍くうぐん近代きんだい改修かいしゅうがたF-5E/FおよびRF-5E。右側みぎがわ機関きかんほう撤去てっきょしてレーダーをグリフォF英語えいごばんモードレーダーにかわそうし、AMRAAMおよびパイソンそら対空たいくうミサイル運用うんよう能力のうりょく付加ふかHUD機能きのうディスプレイHOTAS概念がいねん慣性かんせい航法こうほう装置そうちなどが導入どうにゅうされたほか機動きどうせい強化きょうかのため主翼しゅよくストレーキ拡大かくだいされている。
F-5EM/FM
ブラジル空軍くうぐん近代きんだい改修かいしゅうがたF-5E/F。レーダーをF-5S/TとおなじくグリフォFにかわそうしたため右側みぎがわ機関きかんほう撤去てっきょされている。レーザー誘導ゆうどうばくだんダービーそら対空たいくうミサイルの運用うんよう能力のうりょくち、コックピットは完全かんぜんグラスコックピットされている。
タイガーIII
イスラエル協力きょうりょく改修かいしゅうされた、チリ空軍くうぐん近代きんだい改修かいしゅうがたF-5E/F。レーダーはラビよう開発かいはつされたものを改良かいりょうしたEL/M-2032かわそう右側みぎがわ機関きかんほう撤去てっきょしたとされるが、外見がいけんじょう撤去てっきょされていないようにえる。イスラエルせい偵察ていさつポッドやパイソン、ダービーの運用うんよう可能かのう。HUD、機能きのうディスプレイ、HOTAS概念がいねんなどが導入どうにゅうされたてんはF-5S/Tと同様どうよう
タイガーIV
ノースロップしゃ独自どくじ開発かいはつしたF-5Eの近代きんだい改修かいしゅうデモンストレーター。右側みぎがわ機関きかんほう撤去てっきょしてレーダーをF-16 MLUとおなAN/APG-66(V)かわそうし、機体きたい構造こうぞう強化きょうか。HUD、機能きのうディスプレイ、HOTAS概念がいねんなどが導入どうにゅうされたてんはF-5S/Tと同様どうよう台湾たいわんでも「タイガー2000」の名称めいしょうどう仕様しようじゅんじた改修かいしゅう計画けいかくしていたが中止ちゅうしされている。
F-5T ティグリス(Tigris)
イスラエルの協力きょうりょく改修かいしゅうされた、タイ空軍くうぐん近代きんだい改修かいしゅうがたF-5E。形式けいしき番号ばんごうこそおなじだがシンガポール空軍くうぐんのF-5Tとは別物べつもの。レーダーはタイガーIIIとおなじEL/M-2032にかわそうされたが、視程していがい戦闘せんとう能力のうりょく付加ふかされていない。のちにダービーそら対空たいくうミサイルの運用うんよう能力のうりょく戦術せんじゅつデータリンク装備そうびなどさらなる改修かいしゅうおこなわれF-5TH スーパーティグリスばれるようになっている。

その派生はせいがた[編集へんしゅう]

F-5G(F-20)
F-5のエンジンをJ85の双発そうはつから、F/A-18 ホーネットけの新型しんがたエンジンであるF404 ターボファンエンジン単発たんぱつ変更へんこうし、電子でんし機器きき近代きんだいした機体きたい台湾たいわんF-16導入どうにゅう検討けんとうしたさいにF-16/79(F-16 ファイティング・ファルコンのデチューンがた、いわゆる「モンキーモデル」)とともに提案ていあんされたが、台湾たいわん要求ようきゅう能力のうりょくたしていないとされたことや、アメリカ合衆国あめりかがっしゅうこくによる台湾たいわんへの兵器へいき輸出ゆしゅつ禁止きんし実際じっさい自粛じしゅくちかかった)を理由りゆう採用さいようとなった。その台湾たいわんはF-16などをベースに、国産こくさん戦闘せんとう(ただしエンジンはアメリカ企業きぎょうせい)の経国けいこく開発かいはつした。同国どうこく対立たいりつする中国ちゅうごく刺激しげきしないよう、あえてしん形式けいしきとせずF-5の派生はせいがたとしての命名めいめいであったが、台湾たいわんへの輸出ゆしゅつ断念だんねんした時点じてんしん形式けいしきのF-20と改名かいめいした。
X-29
グラマンしゃがF-5部品ぶひんより製造せいぞうした前進ぜんしんつばさ実験じっけん
アザラフシュ(Azarakhsh)
イランのHESAがF-5をベースに開発かいはつした戦闘せんとう
サーエゲ(Ṣā‘eqeh)
アザラフシュをさら発展はってんさせた、イランの自称じしょう"国産こくさん戦闘せんとう"。F-5を強引ごういんそう垂直すいちょく尾翼びよくしたような外観がいかんつ。飛行ひこう性能せいのう、エンジン、武装ぶそう電子でんし機器ききなどの詳細しょうさい一切いっさい非公開ひこうかいだが、空気くうきこうやそこからエンジンにつながるダクトがまった変更へんこうされていないことから、エンジンはF-5のものをそのままもちいているとおもわれる。
コウサル(Kowsar)
イランが2018ねん8がつ21にちに「はじめて自国じこく製造せいぞう」したとして公開こうかいした、自称じしょうだい4世代せだい戦闘せんとう[4][5]
その
NASAは、ソニックブーム低減ていげんのためのSSBD(ていソニック・ブーム設計せっけい手法しゅほう飛行ひこう実証じっしょう英語えいごばんプログラムに、特殊とくしゅ改造かいぞうほどこしたF-5Eを使用しようしている。

採用さいようこく[編集へんしゅう]

E/Fがた採用さいようしたくに太字ふとじしめす。

F-5を採用さいようしたくにあか退役たいえきずみ

要目ようもく (F-5E)[編集へんしゅう]

F-5E タイガーII 三面図
F-5E タイガーII さんめん

出典しゅってん: Federation of American Scientists (2011ねん). “Federation of American Scientists :: F-5 Freedom Fighter / Tiger” (英語えいご). 2012ねん5がつ31にち閲覧えつらん

しょもと

性能せいのう

  • 最大さいだい速度そくど: 1,743km/h (941kts)
  • 戦闘せんとう行動こうどう半径はんけい: 1,055 km (570 nmi)(最大さいだい燃料ねんりょう+AIM-9×2
  • 航続こうぞく距離きょり: 2,483 km (1,341 nmi)
  • 実用じつよう上昇じょうしょう限度げんど: 15,789m (51,800ft)
  • 上昇じょうしょうりつ: 10,516m/ぶん

武装ぶそう

お知らせ。 使用しようされている単位たんい解説かいせつウィキプロジェクト 航空こうくう/物理ぶつり単位たんいをごらんください。

登場とうじょう作品さくひん[編集へんしゅう]

映画えいが[編集へんしゅう]

インデペンデンス・デイ
エリア51配備はいびされている。キャノピーけた状態じょうたいちゅうしている機体きたいられるのみで飛行ひこうシーンはいため、エイリアンとの戦闘せんとう参加さんかしたかどうかは不明ふめい
地獄じごく黙示録もくしろく
アメリカ空軍くうぐんのF-5Aが登場とうじょうナパームだん投下とうかしてベトコンひそはやしはらう。このシーンは直後ちょくごのキルゴア中佐ちゅうさのセリフととも著名ちょめいで、どうさくの1つでもある。
撮影さつえいには、マーキングなどをしたフィリピン空軍くうぐんのF-5Aが使用しようされている。撮影さつえいたっては、実際じっさいにF-5から本物ほんもののナパームだん投下とうかされたものを撮影さつえいした。
トップガン
F-5E/Fが架空かくうのソビエトせい戦闘せんとう「MiG-28」として登場とうじょう
なお、トップガン入校にゅうこうのシーンで「仮想かそうてきとしてF-5、A-4使用しようする」とのセリフがあるが、F-5自体じたい登場とうじょうしない。これはとうさくではF-5が"MiG-28"として登場とうじょうするため(おな機体きたい役柄やくがらえて登場とうじょうすると観客かんきゃく混乱こんらんしてしまうおそれがある)とおもわれる。ほんさくにはT-38登場とうじょうしているが、地上ちじょうちゅう状態じょうたいのものがうつるのみで、飛行ひこうシーンはない。
プラトーン
終盤しゅうばんきたベトナムぐん防衛ぼうえいせん突破とっぱされ、てき味方みかたはいじった状態じょうたい大隊だいたい陣地じんち制圧せいあつするためにハリス大尉たいい要請ようせい飛来ひらいし、空爆くうばくおこなう。撮影さつえいにはフィリピン空軍くうぐん機体きたい使用しようされた。

漫画まんが[編集へんしゅう]

エリア88
主人公しゅじんこう搭乗とうじょうとしてF-5Eおよび後継こうけいF-20 タイガーシャーク登場とうじょうするほか、さまざまな場面ばめん多数たすう登場とうじょうしている。
少女しょうじょ政府せいふ ベルガモット・ドミニオンズ
カリブ海かりぶかい上空じょうくうメキシコぐんのF-5Eが2登場とうじょう
『レッズ・イン・ブルーシリーズ』
主人公しゅじんこう所属しょぞくするアグレッサー部隊ぶたい使用しようとして、F-5E、F-5F、F-20 タイガーシャーク登場とうじょう
ファントム無頼ぶらい
アメリカ空軍くうぐんのアグレッサー部隊ぶたい使用しよう

ゲーム[編集へんしゅう]

エースコンバットシリーズ
エースコンバット04』『エースコンバット5』『エースコンバットZERO』『エースコンバットX』『エースコンバットX2』『エースコンバット∞』において、プレイヤーが使用しよう可能かのう機体きたいとして登場とうじょう。『エースコンバット5』では初期しょき機体きたいになっており、キルレートが一定いっていたっすると、現実げんじつ世界せかいでもF-5の後継こうけいとして開発かいはつされたF-20 タイガーシャーク購入こうにゅう可能かのうになる。最終さいしゅうてきにはX-29へと発展はってんする。
だい戦略せんりゃくシリーズ
War Thunder
アメリカのRankVIIとしてF-5E、またRankVIのプレミアム機体きたいとしてF-5A,F-5Cが登場とうじょう

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

注釈ちゅうしゃく[編集へんしゅう]

  1. ^ デルタつばさ採用さいようすれば、つばさはば荷重かじゅうおおきくなっても、つばさ面積めんせきおおきくとれるのでつばさめん荷重におもちいさくなり、こちらの場合ばあいおも高速こうそくいきでの運動うんどうせい向上こうじょうする。ほんのような直線ちょくせんつばさちか主翼しゅよく形式けいしきとは、一長一短いっちょういったんである
  2. ^ 理論りろんてきにジェットエンジンは2じょう3じょう法則ほうそくしたがって小型こがたであるほど推力すいりょく重量じゅうりょうおおきくなる。あるジェットエンジンを、おな技術ぎじゅつもちいたまま寸法すんぽうをそのままにサイズを2ぶんの1にすると、開口かいこう面積めんせきが4ぶんの1になる。つまり推力すいりょくもおおよそ4ぶんの1になる。一方いっぽう重量じゅうりょうは8ぶんの1になり、推力すいりょくが4ぶんの1で重量じゅうりょうが8ぶんの1なので、結果けっかとして推力すいりょく重量じゅうりょうは2ばいになる
  3. ^ F-5A/Bではりょう主翼しゅよくはしに50ガロンぞうそう装着そうちゃくすることもできるが、F-5E/Fではミサイル発射はっしゃレールが固定こていされている。
  4. ^ F-86の後継こうけいにあたるちょう音速おんそくジェット戦闘せんとうセンチュリーシリーズ嚆矢こうしとしてられるF-100性能せいのうめんではMiG-19に比肩ひけんしたが、戦闘せんとう爆撃ばくげきとしての性格せいかくつよかったため途上とじょうこくけとしては攻撃こうげきりょく過大かだいで、かつチタニウム多用たようしたため性能せいのうわり高価こうかだった。 F-101長距離ちょうきょり侵攻しんこう戦闘せんとうとして開発かいはつされた大型おおがた戦闘せんとうF-102およびその改良かいりょうがたF-106当時とうじ高度こうど電子でんし機器きき搭載とうさいする要撃ようげきF-104はマッハ2きゅう快速かいそく先進せんしんてき武装ぶそうほこった高性能こうせいのうF-105戦闘せんとうばくげきたかいレベルで両立りょうりつする万能ばんのうであり、どれも中小ちゅうしょうこく途上とじょうこくけとしては過剰かじょう性能せいのうこう価格かかく取扱とりあつかい困難こんなんであった。以上いじょう理由りゆうから、これらの機体きたいNATO加盟かめいこく筆頭ひっとうとする先進せんしんこくなかすすむこく以上いじょう有力ゆうりょく同盟どうめいこくへの供与きょうよ、あるいは性能せいのうてき陳腐ちんぷしたのち中古ちゅうこ輸出ゆしゅつかぎられていた。さい新鋭しんえいF-105F-106機密きみつたかく、ある程度ていど実力じつりょくった同盟どうめいこくにすら輸出ゆしゅつされなかった。ちなみにどう時代じだいソ連それんも、高度こうど電子でんし機器きき高性能こうせいのうSu-9自国じこくのみで運用うんようし、同盟どうめいこくには供与きょうよしなかった
  5. ^ パキスタンにおいてもF-5Aが新型しんがた戦闘せんとう候補こうほとしてげられたが、フランスせいミラージュIII敗北はいぼくしている。しかし、ミラージュIIIは廉価れんか戦闘せんとうとはえず、当時とうじ追加ついか購入こうにゅう困難こんなんであったこと(のち中古ちゅうこオーストラリアレバノンから購入こうにゅう)から、よりていコストでシンプルなミラージュ5J-6導入どうにゅうされることとなった
  6. ^ 英語えいごのlittleには「すこし」という意味いみと「ちいさい、可愛かわいい」という2つの意味いみがあり、そこからの誤訳ごやくである。本来ほんらい意図いととしては「すことら」ではなく「ちいさなとら」であった。また、「すこし」のマ字まじ表記ひょうき(ヘボンしき本来ほんらい"Sukoshi"となるはずだが、"u"がけて"Skoshi tiger"となっている。Sukoshiのuおとは、とくに標準ひょうじゅん日本語にほんごにおいては無声むせいされやすいため、日本語にほんご母語ぼご話者わしゃ以外いがいにはれない場合ばあいおお
  7. ^ セミアクティブしきレーダー誘導ゆうどうミサイルを装備そうびできないというてんはMiG-21も同様どうようであり、かつレーダーの搭載とうさい方法ほうほうから探知たんち範囲はんいきわめてちいさいという欠点けってんかかえていた
  8. ^ さめ鼻先はなさき、の扁平へんぺい機首きしゅ形状けいじょうで、空気くうき抵抗ていこうらし揚力ようりょく効果こうかがある
  9. ^ ユーロファイター タイフーン導入どうにゅうされるまでのあいだスイスからリースして運用うんよう
  10. ^ だいさんしるし戦争せんそうときにリビアからすう供与きょうよ。リビアがわはパイロットを派遣はけんしている。
  11. ^ ホー・チ・ミン作戦さくせんサイゴン陥落かんらくともな鹵獲ろかくしたきゅうみなみベトナム空軍くうぐん運用うんよう
  12. ^ 1982ねんにアメリカからのFMSでF-5E 10とF-5F 2訓練くんれん課程かてい整備せいび機材きざいへいそうともに11おくドルで導入どうにゅうした。2のF-5Eを事故じこうしない、2019ねん時点じてんで6稼働かどう状態じょうたいにある[6]
  13. ^ ベトナムからきゅうみなみベトナム空軍くうぐんのF-5Eをすう提供ていきょうされた。

出典しゅってん[編集へんしゅう]

  1. ^ Fred Anderson (2016). Northrop: An Aeronautical History. Wipf and Stock. pp. 173-177. ISBN 978-1532603563 
  2. ^ a b c TaiwanAirPower.org - Northrop / STAe RF-5E Tigergazer
  3. ^ TaiwanAirPower.org - Northrop F-5E/F Tiger II
  4. ^ イラン、はつ国産こくさん戦闘せんとう「コウサル」公開こうかい - AFP通信つうしん
  5. ^ イラン、「はつ国産こくさん戦闘せんとう公開こうかい 国防こくぼうへのそなえを誇示こじ - CNN
  6. ^ 「FMA F-5E/F TigerIIs メキシコ空軍くうぐん唯一ゆいいつ戦闘せんとうF-5E/FタイガーII」『航空こうくうファン通巻つうかん807ごう(2020ねん3がつごうぶん林堂はやしどう P.30-33

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]