MiG-27 (航空機こうくうき)

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MiG-27 / МиГ-27

MiG-27ML

MiG-27ML

MiG-27(ミグ27;ロシア:МиГ-27)は、ソ連それんミグ設計せっけいきょく開発かいはつした戦闘せんとう爆撃ばくげきである。MiG-23前線ぜんせん戦闘せんとうソ連それん国内こくない戦闘せんとう爆撃ばくげきがたとして製作せいさくされた。1980年代ねんだいスホーイ設計せっけいきょくSu-17M3/4とともにソ連それん空軍くうぐん戦闘せんとう爆撃ばくげき部隊ぶたい中核ちゅうかくになった。北大西洋きたたいせいよう条約じょうやく機構きこう(NATO)の使用しようするNATOコードネームフロッガーD/F/H/J/J-2 (Flogger D/F/H/J/J-2)。

なお、このページであつかうMiG-27シリーズはMiG-23の戦闘せんとう爆撃ばくげきがたであり、その輸出ゆしゅつがたはMiG-23BK/BNとばれている。このように、MiG-23シリーズとMiG-27シリーズはあわせてかんがえるべきである。MiG-23/27シリーズの全体ぜんたいについてはMiG-23 (航空機こうくうき)参照さんしょうのこと。

概要がいよう[編集へんしゅう]

背景はいけい[編集へんしゅう]

1960年代ねんだいソ連それんでは1950年代ねんだいより開発かいはつしてきた大型おおがたSu-7BKL戦闘せんとう爆撃ばくげき空軍くうぐん対地たいち攻撃こうげきりょく中核ちゅうかくとなっていた。また、小型こがたMiG-17F前線ぜんせん戦闘せんとうはたMiG-21前線ぜんせん戦闘せんとうシリーズなども簡易かんい戦闘せんとう爆撃ばくげきとして運用うんようされていた。

しかしながら、これらの機体きたいはいずれも充分じゅうぶん能力のうりょくゆうしているとはえず、1960年代ねんだいまつにはあらたな戦闘せんとう爆撃ばくげきたいする要求ようきゅうかく設計せっけいきょくされた。スホーイ設計せっけいきょくでは従来じゅうらいのSu-7シリーズを可変かへんつばさしたSu-17シリーズを開発かいはつし、それまでの領分りょうぶん確保かくほすることに成功せいこうした。

一方いっぽうMiG-15以降いこう小型こがた前線ぜんせん戦闘せんとう開発かいはつ領分りょうぶんとなっていたミグ設計せっけいきょくでは、以後いご可能かのうせいひろげるため、ぐん要求ようきゅうたい当時とうじ開発かいはつちゅうであったMiG-23S前線ぜんせん戦闘せんとうあらため設計せっけいし、大型おおがたのSu-17に匹敵ひってきする戦闘せんとう爆撃ばくげき開発かいはつすることとした。

攻撃こうげきがたMiG-23の開発かいはつ[編集へんしゅう]

MiG-23Sの戦闘せんとう爆撃ばくげきは、まずエンジンをカチャツロフ設計せっけいきょくR-29-300からより出力しゅつりょくおおきなR-29B-300にかわそうすることからはじめられた。この機体きたいは'MiG-23B(МиГ-23Б)または32-24ばれ、機首きしゅレーダー撤去てっきょかわりにソコル23S照準しょうじゅんシステムやフォーンレーザーはか距儀などの対地たいち攻撃こうげきようしんシステムを装備そうびした。

はつ飛行ひこう1971ねんおこなわれた。生産せいさんモスクワ機械きかい製作せいさく工場こうじょう(MMZ)「ズナーミャ・トルダー労働ろうどうはた)」でおこなわれ、1972ねんから1973ねんあいだに24製作せいさくされた。

MiG-27とMiG-23BNの開発かいはつ[編集へんしゅう]

しかしながら、MiG-23Bは機体きたい強度きょうどとう致命ちめいてき欠陥けっかんおおくあったMiG-23Sをもと製作せいさくされていたためそれ同様どうよう欠陥けっかんがあり、戦闘せんとうがたMiG-23の改良かいりょうってすぐにあたらしい機体きたい設計せっけいかる必要ひつようがあった。その結果けっか開発かいはつされたのがMiG-23BM(МиГ-23БМ)または32-25ばれる機体きたいで、1972ねんはつ飛行ひこうおこなった。この機体きたい戦闘せんとうがた改良かいりょうがたであるMiG-23M同様どうようぜんえん面積めんせきすためしをもうけてドッグトゥース形成けいせいさせた主翼しゅよくゆうし、アフターバーナー簡略かんりゃくした。また、最大さいだい速度そくど低下ていかした。29B-300エンジンを搭載とうさいした。また、空気くうきこうのランプ固定こていされており、これらの改装かいそうにより機体きたい構造こうぞう簡略かんりゃくし、軽量けいりょうされていた。この機体きたいMiG-27(МиГ-27)として1973ねんより生産せいさんはいり、1977ねんまでに360イルクーツク航空機こうくうき工場こうじょう製作せいさくされた。

MiG-23BMには前線ぜんせん偵察ていさつかた開発かいはつされておりMiG-23R(МиГ-23Р)とばれたが、結局けっきょく前線ぜんせん偵察ていさつとしてはSu-17M3R/4R使用しようされることとなり、MiG-23Rは量産りょうさんされなかった。また、空気くうきこう従来じゅうらい可動かどうしきとしたままの32-24B(32-24Б)はMiG-23BN(МиГ-23БН)としてMMZ「ズナーミャ・トゥルダー」工場こうじょう生産せいさんはいり、輸出ゆしゅつけに多数たすう製作せいさくされた。なお、MiG-23BNにたいしては1998ねんMiG-23B-98(МиГ-23Б-98)近代きんだい改修かいしゅう規格きかく提示ていじされている。

MiG-27への発展はってん[編集へんしゅう]

MiG-27D

MiG-23BMの発展はってんがたとして開発かいはつされた32-26は、MiG-23BK(МиГ-23БК)として1974ねん12月30にちはつ飛行ひこうおこなった。この機体きたい1976ねんよりイルクーツク航空機こうくうき工場こうじょう生産せいさんはじめられ、1982ねんまでに197製作せいさくされた。部隊ぶたい配備はいび1980ねん、この機体きたいたいMiG-27K(МиГ-27К)と名称めいしょうあらためるよう指示しじされた。また、1976ねんから1977ねんあいだMiG-27R(МиГ-27Р)または32-35ばれる偵察ていさつがた開発かいはつされた。この機体きたい電波でんぱ探知たんち装置そうちのコンテナーを機体きたい搭載とうさいするものであったが、結局けっきょく実際じっさい生産せいさんされたものはなかった。

つぎ生産せいさんされたのはMiG-27M(МиГ-27М)または32-27ばれた機体きたいで、これはMiG-27Kが高価こうかぎたことから開発かいはつされた簡略かんりゃくがたであった。はつ飛行ひこう1976ねんおこなわれ、ウラーン・ウデー航空機こうくうき工場こうじょう1978ねんから1983ねんあいだに162生産せいさんされた。また、合計ごうけい304の32-25も1983ねんから1987ねんあいだに32-27規格きかく改修かいしゅうされ、MiG-27D(МиГ-27Д)としょうされた。

1986ねんはつ飛行ひこうしたMiG-27ML(МиГ-27МЛ)または32-29(32-29Л)としょうされる機体きたいインドけに開発かいはつされたMiG-27の輸出ゆしゅつがたで、インドではMiG-27Mバハドゥール(MiG-27M Bahadur)とび、1985ねんからヒンドスタン航空機こうくうきで165がライセンス生産せいさんされた[1]。また、MiG-27L(МиГ-27Л)とかれることもある。インドではにMiG-23BNも併用へいようしており、これらはだいさんしるし戦争せんそうでも使用しようされたSu-7BMK代替だいたいである。インドでは当初とうしょエンジンをAL-31Fかわそうし、イスラエルと共同きょうどう開発かいはつしたTakshak電子でんしせんシステムの搭載とうさいなどをふく大幅おおはば近代きんだいおこなったうえで、2020年代ねんだいまで運用うんようするつもりであったが、予算よさん関係かんけいでエンジンかわそう見送みおくられ、電子でんしせんシステムについても大幅おおはば開発かいはつおくれた。くわえて、搭載とうさいするエンジンに起因きいんする事故じこ発生はっせいしたことで[2]、2020年代ねんだいまでの運用うんよう断念だんねんされ、2019ねん12月27にち退役たいえきした[1]

運用うんようこく[編集へんしゅう]

過去かこ運用うんようこく[編集へんしゅう]

MiG-27シリーズ(MiG-23Bをふくむ)の運用うんようこく[編集へんしゅう]

MiG-23BNの運用うんようこく[編集へんしゅう]

MiG-27の運用うんようこく

スペック (MiG-27K)[編集へんしゅう]

  • はつ飛行ひこう1970ねん
  • 全幅ぜんぷく
    • 後退こうたいかく72°:7.78 m
    • 後退こうたいかく16°:13.97 m
  • 全長ぜんちょう:17.10 m
  • 全高ぜんこう:5.00 m
  • つばさ面積めんせき
    • 後退こうたいかく72°:34.16 m2
    • 後退こうたいかく16°:37.35 m2
  • つばさめん荷重におもりょう:605 kg/m2
  • 空虚くうきょ重量じゅうりょう:11,908 kg
  • 通常つうじょう重量じゅうりょう:18,100 kg
  • 最大さいだい離陸りりく重量じゅうりょう:20,670 kg
  • 発動はつどう:R-29B-300エンジン×1
  • 推力すいりょく重量じゅうりょう:0.62
  • 最高さいこう速度そくど:1,018
    • こう高度こうど:1,885 km/h
    • 地表ちひょう高度こうど:1,350 km/h
  • フェリー航続こうぞく距離きょり:2,500 km
  • 上昇じょうしょうりつ:200 m/びょう
  • 実用じつよう上昇じょうしょう限度げんど:14,000 m
  • 固定こてい武装ぶそう:30 mmガトリング機関きかんほう GSh-6-30 ×1(装弾そうだんすう260-300はつ

登場とうじょう作品さくひん [編集へんしゅう]

漫画まんが・アニメ[編集へんしゅう]

エリア88
アスラン王国おうこくはん政府せいふ空軍くうぐん傭兵ようへい部隊ぶたい機体きたいとして登場とうじょう

ゲーム[編集へんしゅう]

エアフォースデルタシリーズ
IIとブルーウィングナイツに登場とうじょう
IIではコードネームであるフロッガーの英語えいご表記ひょうきを「Frogger」とスペルミスした状態じょうたい表記ひょうきされている。
ブルーウィングナイツでは主人公しゅじんこう一人ひとりであるリック・キャンベルとてきライバルであるセルゲイ・キンスキーが使用しようする。
フィクショナル・トルーパーズ
ゲームだい2かいからエストビア連邦れんぽうぐんのランク2としてMiG-27を選択せんたく可能かのう航続こうぞく距離きょりみじかいのが難点なんてん一応いちおうせいそら任務にんむにも対応たいおう可能かのうだが不向ふむき。

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

  1. ^ a b c d 井上いのうえ隆司たかし航空こうくう最新さいしんニュース・海外かいがい軍事ぐんじ航空こうくう インド空軍くうぐんからMiG-27MLが退役たいえき」『航空こうくうファン通巻つうかん807ごう(2020ねん3がつごうぶん林堂はやしどう P.115
  2. ^ 17.05.10 ПРОБЛЕМЫ С ДВИГАТЕЛЕМ МОГУТ ПРИВЕСТИ К ДОСРОЧНОМУ ВЫВОДУ МИГ-27 ИЗ СОСТАВА ВВС ИНДИИ

関連かんれん項目こうもく[編集へんしゅう]