MiG-31 (航空機こうくうき)

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MiG-31 / МиГ-31

ロシア空軍のMiG-31

ロシア空軍くうぐんのMiG-31

MiG-31(ミグ31、ロシア:МиГ-31 ミーク・トリーッツァチ・アヂーン)は、ソビエト連邦れんぽうミグ設計せっけいきょく開発かいはつした大型おおがた戦闘せんとう当初とうしょソ連それん防空ぼうくうぐんけの迎撃げいげき戦闘せんとうとして開発かいはつされた機体きたいだが、ソ連それん崩壊ほうかいのちマルチロールとして改修かいしゅうされた機体きたい存在そんざいしている[1]

ソ連それんはつだい4世代せだい戦闘せんとうで、MiG-25をベースに大幅おおはば改良かいりょうおこなった機体きたいである。原型げんけいのMiG-25はこう高度こうど高速こうそく航空機こうくうき迎撃げいげきとくし、低空ていくう進入しんにゅうする巡航じゅんこうミサイルばくげきへの対応たいおう能力のうりょくにはおとっていたが、ほん各種かくしゅ改良かいりょうによってそれを改善かいぜんしている。NATOコードネームフォックスハウンド (Foxhound)。

開発かいはつ経緯けいい[編集へんしゅう]

MiG-25XB-70ばくげき開発かいはつ中止ちゅうし)やSR-71偵察ていさつのような、こう高度こうどマッハ2をおおきくえる速度そくど飛行ひこうするちょう音速おんそく迎撃げいげきとくした迎撃げいげきであった。しかし大陸たいりくあいだかく弾道弾だんどうだん大幅おおはば進歩しんぽもあって、こう高度こうどちょう音速おんそく侵入しんにゅうするばくげき攻撃こうげきによるかく攻撃こうげき時代遅じだいおくれとなり、わってかく搭載とうさいした巡航じゅんこうミサイルや戦闘せんとう護衛ごえいともなったばくげきレーダーくつがえいきした地面じめんすれすれのてい高度こうど侵入しんにゅうする方法ほうほうられるようになっていった。低空ていくう音速おんそくでの燃費ねんぴわるいエンジンを搭載とうさいし、よりてい高度こうど地面じめん背景はいけいにした目標もくひょう探知たんち攻撃こうげきする能力のうりょく(ルックダウン・シュートダウン能力のうりょく)のくないレーダーを搭載とうさいしたMiG-25はこのような目標もくひょう迎撃げいげきには不向ふむきであり、改良かいりょうのぞまれていた(皮肉ひにくにも、てい高度こうど侵入しんにゅう有効ゆうこうせいとルックダウン能力のうりょくおと戦闘せんとう問題もんだいてんりにしたのは、とうのMiG-25による1976ねんの「ベレンコ中尉ちゅうい亡命ぼうめい事件じけん」であった)。低空ていくう飛行ひこうする目標もくひょうへの攻撃こうげき能力のうりょく戦闘せんとう開発かいはつもとめられるようになり、MiG-29Su-27といった機体きたい開発かいはつはじめられたが、これら新型しんがた実用じつようには時間じかんようするため、実用じつようまでの穴埋あなうめをする戦闘せんとう必要ひつようとなった。この新型しんがたていリスクで開発かいはつするため、MiG-25をベースに大幅おおはば改良かいりょうされて誕生たんじょうしたのがMiG-31である。しかし実際じっさいたんなるつなぎではなく、北部ほくぶシベリアなど地上ちじょうレーダーからの管制かんせいけられない地域ちいきでも単独たんどく迎撃げいげきおこなえる、まったべつ長距離ちょうきょり迎撃げいげきとして開発かいはつされた。

開発かいはつ1968ねん着手ちゃくしゅされ、原型げんけいYe-155MP1975ねん9月16にちはつ飛行ひこうたしている。機体きたい構成こうせいはMiG-25とほぼ同様どうようであったが、操縦そうじゅうせき単座たんざからふくとなり、主翼しゅよくぜんえん部分ぶぶん前方ぜんぽう延長えんちょうされ、MiG-25にけられていた主翼しゅよくはしたいフラッタようマスバランスははずされていた。その開発かいはつ試験しけんて、1979ねんには生産せいさん開始かいしされた。1982ねんには国土こくど防空ぼうくうぐん配備はいびされ、従来じゅうらいSu-15およびTu-128えを開始かいしした。1983ねん9月に極東きょくとうサハリン配備はいびされた。1995ねんまでに、500えるMiG-31/Bが生産せいさんされた。

ちょう高速こうそく実現じつげんするため、チタン合金ごうきん採用さいようしていると西側にしがわでは予測よそくしていたが、実際じっさいのところ鋼材こうざいとのハイブリッド使用しようによってちょう高速こうそく機体きたいたいねつ限界げんかい温度おんど向上こうじょう成功せいこうしている。つばさめん荷重かじゅうおなだい4世代せだい戦闘せんとう大型おおがた同様どうよう任務にんむF-14よりもおおきく、世界せかい最大さいだい旋回せんかい半径はんけい戦闘せんとうともばれる。

特徴とくちょう[編集へんしゅう]

MiG-31Eの「ザスロン」レーダー

MiG-31の基本きほんてき外形がいけいはMiG-25とているが、改良かいりょうてん多岐たきわたっている。おもなものは以下いかとおりである。

  • 作戦さくせん任務にんむでのパイロットの負担ふたんらすため、コクピットは単座たんざからタンデムふく変更へんこうとなり、こうせきにレーダー操作そうさいん作業さぎょう分担ぶんたんするようにした。こうせき段差だんさがないため、ぜんせきから胴体どうたい上部じょうぶのドーサル・スパインへけてのラインにんでいるが、左右さゆうがわかたまどがあるだけでそと視界しかいきわめてわるくなっている。
  • エンジン従来じゅうらいターボジェットエンジンから、より燃費ねんぴターボファンエンジンかわそうした。そのぶんこう高度こうど性能せいのうとくたか高度こうどでの高速度こうそくど性能せいのうおさえられている[ちゅう 1]
  • 主翼しゅよく後退こうたいかくぜんえんで40主翼しゅよくつばさつるちょうの25%で33らし、ぜんえん部分ぶぶんストレーキ(LEX)がけられた。胴体どうたい延長えんちょうして燃料ねんりょう搭載とうさいりょうを15%やしており、操縦そうじゅうせきひだりよこがわにはしき空中くうちゅう給油きゅうゆようプローブが装備そうびされた。これにより長時間ちょうじかんにわたる低速ていそくでの戦闘せんとう空中くうちゅう哨戒しょうかい(CAP)を可能かのうにした。
  • 機体きたい構造こうぞうへのニッケルはがね使用しよう割合わりあいおさえ、チタンアルミニウム使用しようやし、軽量けいりょうはかった。
  • 世界せかいはつ戦闘せんとうようパッシブフェーズドアレイレーダーRP-37 N007 S-800「ザスロン」を搭載とうさいし、ルックダウンシュートダウン能力のうりょく強化きょうかした。これにより探知たんち距離きょり延伸えんしんされ、同時どうじ目標もくひょう対処たいしょ能力のうりょくをも獲得かくとくした。
  • レーダーを補完ほかんするため、しきのSTP/TP-8 IRST赤外線せきがいせん捜索そうさく追尾ついび装置そうち)を搭載とうさいした。
  • しん開発かいはつちょう射程しゃていそら対空たいくうミサイルR-33(NATOめいAA-9)を胴体どうたい下面かめんに4はつ搭載とうさい可能かのうとした。
  • 格闘かくとうせんそなえ、固定こてい武装ぶそうとして23 mm機関きかんほうGSh-6-23)を装備そうびした。もっとも、MiG-31の荷重かじゅう制限せいげんは5Gぎず、燃料ねんりょう満載まんさいはさらに2.5Gに制限せいげんされ、1970年代ねんだい当時とうじとしても一般いっぱん戦闘せんとうして機動きどう性能せいのうおとっている。

また、MiG-31は操縦そうじゅう複雑ふくざつあつかいの困難こんなん機体きたいであり、操縦そうじゅうによればわずかな過失かしつ判断はんだんおくれが致命ちめいてき事故じこもたらすとう。MiG-31の操縦そうじゅうとして訓練くんれん課程かていはいるには、Su-27やMiG-29といった機種きしゅでの一定いってい以上いじょう勤務きんむ年数ねんすうおよび飛行ひこう時間じかん飛行ひこう中有ちゅうう視界しかい状況じょうきょうにおいてすべての戦闘せんとう行動こうどう完全かんぜん遂行すいこう可能かのうであることがもとめられ、こうした条件じょうけんたす操縦そうじゅうのみがさい訓練くんれんけることとなる。機体きたいそらりょく特性とくせい戦闘せんとう行動こうどう習得しゅうとく、КТЭ-31というMiG-31でこりうるあらゆる状況じょうきょう再現さいげんするシミュレータでの訓練くんれん完了かんりょうしたのち実機じっき慣熟かんじゅく飛行ひこう移行いこうし、上記じょうきの、機種きしゅ転換てんかん完了かんりょうしたうえでパイロットとして勤務きんむすることになる。このためかMiG-31の操縦そうじゅう階級かいきゅうたかものおお[ちゅう 2]

設計せっけい[編集へんしゅう]

ぜんせきコックピット
こうせきコックピット
R-33ミサイルを搭載とうさいした初期しょきがたMiG-31
MiG-31BMの胴体どうたい下部かぶ。R-33、あし構造こうぞうなどがわかる

機体きたい[編集へんしゅう]

MiG-25にちか外形がいけいつMiG-31であるが、構造こうぞうてき変更へんこうおおい。使用しよう材料ざいりょう見直みなおしをはかり、MiG-25の構造こうぞう重量じゅうりょうで80%あったニッケルこうを50%までらした。一方いっぽうでチタンは8%から16%、アルミニウムは11%から33%にやし、速度そくどめんである程度ていど妥協だきょうして機体きたい軽量けいりょうしている。胴体どうたい大型おおがたと、垂直すいちょく尾翼びよくない燃料ねんりょうタンクをもうけたことなどにより燃料ねんりょう搭載とうさいりょうは15%ほどして16,350kgになっている。主翼しゅよく構造こうぞう強化きょうかされ、ぜんえんフラップあらたにもうけるとともにのちえんフラップも自動じどう制御せいぎょとなり、機動きどう性能せいのう向上こうじょう貢献こうけんしている。主翼しゅよくぜんえんにはストレーキがあり、MiG-31M/Fがたでは円弧えんこえが形状けいじょう変更へんこうされている。

機動きどうせいくなったとはいえ、ちょう音速おんそくでの荷重かじゅうは5Gに制限せいげんされている。

降着こうちゃく装置そうちについては、前輪ぜんりんうししき変更へんこうしゅあしはダブルタイヤのボギーしきとなり40tを重量じゅうりょうささえる。滑走かっそうへの影響えいきょうかんがえてしゅあしわだちかさならないようになっている。

エンジン[編集へんしゅう]

MiG-31はアビアドビガーテル (きゅうソロヴィヨフ) D-30F-6ターボファンエンジン搭載とうさいする。ドライで93.0kN(9493kg)、アフターバーナーときで151.9kN(15,500kg)の出力しゅつりょく発揮はっきしており、MiG-25のR-15にくらべて4,000kgほど向上こうじょうしている。大型おおがたしたエンジンにわせノズル形状けいじょう変更へんこうされている。初期しょきがたではノズルは可動かどうしきだったが、1984ねん生産せいさんがたから可動かどうになっている。胴体どうたいはばひろげられたので2つのノズルは接触せっしょくしていない。MiG-31Mでは機体きたい重量じゅうりょう増加ぞうかわせて、エンジンも出力しゅつりょく向上こうじょうほどこされたD-30F-6Mを搭載とうさいしている。

電子でんし機器きき[編集へんしゅう]

レーダーはチホミーロフNIIPザスロンパッシブフェーズドアレイレーダー(NATOコード:フラッシュダンス)を搭載とうさいする。探知たんち距離きょりは200km、追尾ついび距離きょりは120kmにおよぶ。10目標もくひょう同時どうじ追跡ついせき可能かのうで、R-33の搭載とうさい能力のうりょくによるが4目標もくひょう同時どうじ交戦こうせん可能かのうである。捜索そうさく範囲はんい左右さゆうかく70(モードによってはかく120)、上方かみがた70下方かほう60とかなりひろい。また、攻撃こうげき目標もくひょう選択せんたくにおいては、ミッション・コンピュータの脅威きょうい優先ゆうせん順位じゅんい判断はんだんにより自動的じどうてきおこなわれる。

MiG-31Mの搭載とうさいする「ザスロンM」はRCSが0.95m2 ほどAWACSなどの目標もくひょうなら400kmの距離きょり探知たんちできる能力のうりょくゆうし、24目標もくひょう同時どうじ追尾ついび、6目標もくひょう同時どうじ交戦こうせん可能かのう素子そしめん直径ちょっけいは1.4mと「ザスロン」よりさらにおおきい。

MiG-25になかった赤外線せきがいせん捜索そうさく追尾ついび装置そうち(IRST)を機首きしゅ収納しゅうのう装備そうびしており、使用しようのみ機体きたいそとにせりして作動さどうする。また、レーダーとの併用へいよう可能かのうである。MiG-31Mでは同様どうよう場所ばしょ固定こてい装備そうびされ、能力のうりょく向上こうじょうしているとされる。

MiG-31MではECMポッドの搭載とうさい検討けんとうされており、MiG-31Mの7号機ごうきが、Ye-155P3…11がつけていたような三角さんかくのフィンをつECMポッドをつばさはし装備そうびした。

電子でんし機器きき全般ぜんぱんについては、MiG-25のような真空しんくうかんなどはもちいられておらず、完全かんぜんソリッドステートされている。

MiG-31はAK-RLDNとAPD-518という2種類しゅるいのデジタルデータリンクシステムをそなえており、これは4のMiG-31による連携れんけい運用うんよう前提ぜんていとするものである。前者ぜんしゃは4ちゅうのリーダー地上ちじょう管制かんせいしょにあるレーダーの自動じどう誘導ゆうどうネットワークに組込くみこむためのシステムであり、ソ連それん防空ぼうくう戦闘せんとう地上ちじょうからの誘導ゆうどうしたがって行動こうどうするのを原則げんそくとしていたので、交戦こうせん指示しじなどをけるためにこの能力のうりょくっている。後者こうしゃのこる3のMiG-31との情報じょうほう交換こうかんようのもので、4よこならんで飛行ひこうさせ、個々ここ機上きじょうレーダーで情報じょうほうをデータリンクで共有きょうゆうすることで、水平すいへい方向ほうこうに140範囲はんいで800-1000kmのはばによる機上きじょうレーダーでの哨戒しょうかい可能かのうとなっており、探知たんちした目標もくひょうたいしては、リーダーのこる3のMiG-31に任意にんい攻撃こうげき指示しじすることができる。また、MiG-25のような旧式きゅうしきでもMiG-31がわのサポートで情報じょうほう共有きょうゆう可能かのうにしている。さらに、平行へいこうならんだ4のレーダーの情報じょうほうをデータリンクをかいして後方こうほうせいそら戦闘せんとうである1のSu-27で統合とうごうして、これをもと最適さいてき攻撃こうげきおこなあらたな戦法せんぽう開発かいはつされている。

コックピット[編集へんしゅう]

MiG-31BM/BSMのぜんせきコックピット。HUDの右側みぎがわにMFDがある

MiG-31はタンデムしき前後ぜんごせきはいし、ぜんせきにパイロット、こうせきにWSO (Weapon System Officer; へいそうシステム士官しかん) がる。ぜんせきには3しょくカラー表示ひょうじHUD装備そうびされ、こうせきには大型おおがたのレーダースコープやIRSTようかくがたディスプレイが装備そうびされている。レーダーの操作そうさこうせきでのみおこなえるようになっている。こうせきにも操縦そうじゅう装置そうちそなえられており、ぜんせき操縦そうじゅう不能ふのうとなった場合ばあいにはこうせき前方ぜんぽうるためのペリスコープを使用しようしてわりに操縦そうじゅうすることが可能かのうである。これは緊急きんきゅうへの配慮はいりょというより、練習れんしゅうとしての使用しよう目的もくてきがあったものとおもわれる。

MiG-31BM/BSMののちせきコックピット

MiG-31MではこうせきCRT機能きのうディスプレイ(MFD)3装備そうびされ、ぜんせきもHUDにレーダースコープ(MFDではない)がついた。キャノピーのふくらみがされわくったため視界しかいはかなり向上こうじょうしている。こうせきのCRTについてはMiG-31Fでも同様どうようであるが、MiG-31BMではスコープがくなり、液晶えきしょう機能きのうディスプレイが2つ追加ついかされている。おおくの対地たいちへいそうあつかうために改良かいりょうくわえられ、レーダーモードの追加ついかや、HOTAS概念がいねん導入どうにゅうもなされている。

へいそう[編集へんしゅう]

固定こていへいそうとしてGSh-6-23 23mm ガトリングほうみぎ胴体どうたい装備そうびしている。弾倉だんそうなどは胴体どうたいないおさめているが、砲身ほうしんのみを機外きがいりつけるかたちをとっている。MiG-31Mでははずされている。Su-24での事故じこけてロシア空軍くうぐん現在げんざいこの機関きかんほう実用じつよう禁止きんししているので、搭載とうさいしているでも弾薬だんやくんでいない。

MiG-31は胴体どうたいに4はつR-33搭載とうさいでき、胴体どうたい下面かめん形状けいじょうもこれにわされている。まえの2はつはんしき搭載とうさいされる。このミサイルはアメリカぐんAIM-54 フェニックス運用うんよう思想しそうつ。誘導ゆうどう方式ほうしきはセミアクティブレーダー誘導ゆうどうか、慣性かんせい誘導ゆうどうののち終末しゅうまつ誘導ゆうどうでセミアクティブレーダー誘導ゆうどうわるモードを選択せんたくできる。射程しゃていは160km、飛翔ひしょう速度そくどはM4.5。MiG-31Bの製作せいさくわせてR-33Sに改良かいりょうされ、射程しゃていが228kmに延長えんちょうされた。さらにMiG-31Mは6はつR-37はんしき搭載とうさいできる。こちらは制御せいぎょつばさめんたたむことができ、R-33と同様どうようAWACSなど大型おおがた目標もくひょうねらうためのもので、射程しゃていは300kmをえる。1994ねん4がつおこなわれたMiG-31Mの試験しけん飛行ひこうでは実際じっさいに300kmさき標的ひょうてき撃墜げきついした。

MiG-31は翼下よくかのパイロンにR-40R-60R-73搭載とうさいできる。たん射程しゃていミサイルについては軽量けいりょうなため専用せんようのアタッチメントをパイロンにりつけることでかく2はつ装備そうびできる。MiG-31MではR-77を4ヶ所かしょ翼下よくかパイロンにかく1はつずつ装備そうびできる。これはMiG-31BMでも同様どうようである。

MiG-31BMはマルチロールとして計画けいかくされたため、各種かくしゅ対地たいちへいそう装備そうびできる。Kh-31Pたいレーダーミサイルをはじめ、Kh-25MPたいレーダーミサイルKh-29Tテレビ誘導ゆうどうミサイル、Kh-59画像がぞう・データリンク誘導ゆうどうミサイルなどを運用うんようでき、ばくだんならKAB-1500英語えいごばんを3はつまで、KAB-500ポーランドばんを6はつまで装備そうびできた。

性能せいのう変化へんか[編集へんしゅう]

MiG-31は、搭載とうさいレーダーの情報じょうほうがスパイによって西側にしがわれたため[2]各種かくしゅ変更へんこう改良かいりょうおこなったMiG-31B開発かいはつされた。

MAKS95にて撮影さつえいされたMiG-31M

1990年代ねんだいには大幅おおはば能力のうりょく向上こうじょうがたMiG-31M完成かんせいされた。「ザスロン-A」より大型おおがたのチホミーロフNIIP「ザスロン-M」を大型おおがたしたレドームに搭載とうさいし、R-33のわりに発展はってんがたR-37長距離ちょうきょりミサイルを胴体どうたいに6はつR-77中距離ちゅうきょりミサイルを主翼しゅよくパイロンに4はつ搭載とうさいできるようになった。アビオニクスも能力のうりょく向上こうじょうはかられ、コクピットせきはCRTを3そなグラスコックピットされている。キャノピーもわく大型おおがた視界しかい改善かいぜんされている。機首きしゅプローブは右側みぎがわうつり、胴体どうたいみぎ機関きかんほうはいされている。主翼しゅよくのストレーキ形状けいじょうかたことなる。7号機ごうきには、つばさはしにはECM/ECCMの大型おおがたポッドを装備そうびして、その後部こうぶ大型おおがた三角さんかくがた安定あんていばん上下じょうげびている。これらの機体きたい重量じゅうりょう増加ぞうかわせて、エンジンはパワーアップがたのD-30F-6Mが搭載とうさいされている。既存きそんのMiG-31に前部ぜんぶ胴体どうたい移植いしょくしたふくめ7完成かんせいしたのみで、当時とうじ財政難ざいせいなんであったロシアには採用さいようされなかった。

この機体きたいアビオニクスをMiG-31Bに搭載とうさいしたMiG-31BM多目的たもくてき戦闘せんとうとして開発かいはつされた。外見がいけんじょうMiG-31Bとのおおきな差異さいられないが、コクピットせきは2つの機能きのうディスプレイ(MFD)がそなわり、ぜんせきにもHUDの右側みぎがわ従来じゅうらい操作そうさパネルをえるかたちで1装備そうびされている。そのほかにも、新型しんがたのHUD(ヘッドアップディスプレイ)、MFDにより拡張かくちょうされた戦術せんじゅつ状況じょうきょう表示ひょうじ機能きのう、さらに対地たいち攻撃こうげき能力のうりょく付与ふよされ、Kh-31たいかん/たいレーダーミサイル、Kh-59たいレーダーミサイルなどを運用うんよう可能かのうとなっている。新造しんぞうとしては製造せいぞうされてはいないが、さらにレーダーなどを改良かいりょうしたかたが、2011ねん契約けいやくで60改修かいしゅうされている。

ミグでは対地たいち攻撃こうげき性能せいのうたせるとうしたいくつかの輸出ゆしゅつがた提案ていあんしているが、現在げんざいのところ輸出ゆしゅつには成功せいこうしていない。通常つうじょう輸出ゆしゅつがたMiG-31E完成かんせいされながらく飛行ひこう状態じょうたいにあるが、やはり機体きたい性能せいのう比例ひれいして高価こうかであるため発注はっちゅうれていない。一時期いちじきイラン中華人民共和国ちゅうかじんみんきょうわこく関心かんしんせていたが、経済けいざいせい政治せいじてき問題もんだいから売買ばいばい契約けいやく締結ていけつされなかった。

派生はせいがた[編集へんしゅう]

試作しさく[編集へんしゅう]

Ye-155MP(Е-155МП, Izdeliye 83)
MiG-31の原型げんけいで、MiG-25MP(МиГ-25МП)とも呼称こしょうされる。Izdeliye 83(製品せいひん83)として、モスクワだい155機械きかい工場こうじょう(ММЗ No.155)で2てられた。原型げんけい初号しょごうのIzdeliye 83/1は機体きたい番号ばんごう831を付与ふよされ、MiGの主任しゅにんテストパイロットであったアレクサンドル・フェドトフ少将しょうしょうヴァレリー・セルゲーヴィチ・ザイツェフ試験しけん航法こうほうによって1975ねん9月16にちはつ飛行ひこうたしている。MiG-25RBの主翼しゅよく流用りゅうようしているため主翼しゅよくのストレーキやぜんえんフラップがなく、エアブレーキをねるしゅあしとびら形状けいじょうことなっている。号機ごうきの83/2は胴体どうたい下面かめん面積めんせき縮小しゅくしょうほどこされた。1976ねん4がつ22にちはつ飛行ひこうし、レーダー、アビオニクスとすべてのへいそうシステムの試験しけんおこなわれた。その機体きたい国家こっか試験しけんのためだい929ヴァレリー・P・チカロフ・レーニン勲章くんしょう授与じゅよ赤旗あかはた飛行ひこう試験しけんセンター(GNIKI VVS、現在げんざいだい929国立こくりつ飛行ひこう試験しけんセンター、929 GLITs)へ移送いそうされた。

量産りょうさん[編集へんしゅう]

MiG-31(МиГ-31, Izdeliye 01)
初期しょき生産せいさんがたで349生産せいさんされ[3]、1981ねんより運用うんよう開始かいしされた。原型げんけいてと飛行ひこう試験しけんおこなわれるなか設計せっけいだい21工場こうじょう発行はっこうされ、最初さいしょすう低率ていりつ初期しょき生産せいさん(LRIP)として生産せいさんされた。プロダクトコードはIzdeliye 01で、原型げんけい比較ひかくして主翼しゅよくえんのフラップが延長えんちょうされ、可動かどういき制限せいげんのため水平すいへい尾翼びよく小型こがたされた。また垂直すいちょく方向ほうこうテールアーム水平すいへい垂直すいちょく尾翼びよく移動いどうわせて増加ぞうかし、しゅあしドアとエアブレーキの形状けいじょう現行げんこう機体きたい同様どうようかたち変更へんこうされた。生産せいさんバッチ01としててられた最初さいしょ機体きたいには戦術せんじゅつ番号ばんごうあお011が付与ふよされ、1977ねん6がつ13にちにゴーキー・ソルモヴォ飛行場ひこうじょうでロールアウトとはつ飛行ひこうえた。この試験しけんでは原型げんけい初号しょごう同様どうよう安定あんていせい操縦そうじゅうせい強度きょうどかんする評価ひょうかおこなわれた。レーダー、アビオニクスるいへいそうシステムを搭載とうさいし、そら対空たいくう目標もくひょうへの迎撃げいげき能力のうりょくについて評価ひょうか実施じっしされたのは2戦術せんじゅつ番号ばんごうあお012の機体きたいで、同機どうき同月どうげつの6がつ30にちはつ飛行ひこうたしている。1977ねん5がつから1978ねん12月のあいだに、アフトゥビンスクのウラジミロフカ空軍くうぐん基地きちにおいて統合とうごう国家こっか承認しょうにん試験しけん「A」がおこなわれ、ほとん全員ぜんいんのMiGのテストパイロットが参加さんかした。いくつか発生はっせいした問題もんだいなかでも深刻しんこくだったのはエンジンであり、飛行ひこうちゅう制御せいぎょ不能ふのうとなる事態じたい度々どど発生はっせいしていた。エンジンの不具合ふぐあい量産りょうさん配備はいびされたのち依然いぜんとしてのこっており、Ye-155MPのはつ飛行ひこうたしたA.V.フェドトフ少将しょうしょうとV.S.ザイツェフ試験しけん航法こうほうは1984ねん4がつ4にち試験しけん飛行ひこうちゅうきたエンジンの事故じこ殉職じゅんしょくしている。暫定ざんていてきにYe-155MPがMIG-31の量産りょうさんとして承認しょうにんされたのち、1979ねん試験しけん統合とうごう国家こっか承認しょうにん試験しけん「B」へ移行いこうし、へいそうシステムの包括ほうかつてき実戦じっせんてきなテストと高緯度こういど地域ちいきにおける航法こうほうシステムの動作どうさ確認かくにんおこなわれた。NATOコードネームはフォックスハウンドA
MiG-31DZ(МиГ-31ДЗ, Izdeliye 01DZ)
100製造せいぞうされた空中くうちゅう給油きゅうゆようのプローブを機首きしゅひだりそなえたMiG-31。1987ねんから1991ねんまで生産せいさんされた。この規格きかくはアビオニクス、レーダーの改良かいりょうけておらず、のBがた、BSがた適用てきようされた近代きんだい改修かいしゅうプログラムにはふくまれていないが、いくつかの機体きたいはKh-47M2 キンジャール発射はっしゃプラットフォームとしてMiG-31BPへ転用てんようされた[4]、DZがた改修かいしゅうしたとおもわれる新型しんがた衛星えいせい攻撃こうげきミサイルを装備そうびした機体きたい確認かくにんされている[5]
MiG-31B(МиГ-31Б, Izdeliye 01B)
西側にしがわへの情報じょうほう漏洩ろうえいけて各種かくしゅ改良かいりょうおこなわれたかた。ECCM性能せいのうたかめた「ザスロン-A」レーダーを搭載とうさいしている。航法こうほう機器ききのアップグレードがおこなわれ、A-723長距離ちょうきょり航法こうほうシステムが装備そうびされているほか、空中くうちゅう給油きゅうゆプローブを標準ひょうじゅん装備そうびしている。へいそう改良かいりょうがたのR-33SのほかにR-37を搭載とうさい可能かのうとなり、全体ぜんたい戦闘せんとう能力のうりょくは30%もたかまった計算けいさんになるという。1990ねんから1994ねんまで生産せいさんされた。
MiG-31BS(МиГ-31БС, Izdeliye 01BS)
既存きそんのMiG-31(初期しょき生産せいさんがた)をMiG-31B相当そうとう改修かいしゅうしたかた。レーダーなどの電子でんし機器ききはアップグレードされていないが、へいそうはR-37とR-77の搭載とうさい可能かのうとなった。
MiG-31E(МиГ-31Э)
てき味方みかた識別しきべつ装置そうち・レーダー・防御ぼうぎょ支援しえんサブシステムなどの性能せいのうげるなど、輸出ゆしゅつようにダウングレードされたかた既存きそん機体きたい改造かいぞうしてテストをおこなった。
MiG-31BM(МиГ-31БМ, Izdeliye 01BM)、MiG-31BSM(МиГ-31БСМ, Izdeliye 01BSM)
1997ねん開始かいしされただい規模きぼ近代きんだいによる改修かいしゅうで、MiG-31MのアビオニクスをMiG-31Bにフィードバックして改修かいしゅうされたマルチロールかた。1999ねん公開こうかいデモンストレーションがおこなわれた。新造しんぞうとしては製造せいぞうされておらず、2010ねんよりMiG-31BとBSがたをベースにまず69改修かいしゅうされた[6]衛星えいせい航法こうほう装置そうちふくめ、MiG-29SMTとおおきく統合とうごうされたナヴィゲーションシステムを搭載とうさいしている。MiG-31B、MiG-31BSと区別くべつできる外見がいけんてき特徴とくちょうとしては、小型こがたされたよっつの主翼しゅよくのパイロン、前方ぜんぽうキャノピーにけられた後方こうほう視認しにんミラー、前輪ぜんりん付近ふきん左側ひだりがわ追加ついかされたアンテナなどがある。
MiG-31BP(МиГ-31БП)
Kh-47M2 キンジャール装備そうびがた。アルミヤ-2018でMiG-31BPという名称めいしょう公開こうかいされた[7][8]MiG-31K(МиГ-31К)とも呼称こしょうされ、ニュースメディアとうではおもにこちらの名称めいしょう記述きじゅつされる。開発かいはつはMiG-31DZをベース機体きたいとして[4]、キンジャールの開発かいはつ並行へいこうして実施じっしされた[9]。レーダーをはずして燃料ねんりょうやし、パトロール時間じかん増加ぞうかしている。コックピットはさい設計せっけいされ、あたらしいへいそう管理かんりのためのシステムが導入どうにゅうされた。従来じゅうらい胴体どうたい下面かめんられた4つのR-33S、R-37のランチャーはキンジャールの発射はっしゃ装置そうちえられ、レーダーのわりに照準しょうじゅんおこなうための信号しんごう受信じゅしんするあたらしい通信つうしん機器きき装備そうびされた[10]

計画けいかくのみ[編集へんしゅう]

MiG-31A(МиГ-31А)
MiG-31Dにじゅんずる商業しょうぎょうよう衛星えいせいはは単体たんたいで100kg、「イシム」固体こたい燃料ねんりょうブースター装備そうびで160kgまでの小型こがた衛星えいせいてい軌道きどうせられる能力のうりょくった[11]計画けいかくのみで制作せいさくされていない。メディアや文献ぶんけんにおいてはMiG-31I(МиГ-31И)という呼称こしょうあつかわれる場合ばあいおおい。
MiG-31D(МиГ-31Д)
2製造せいぞうされた79M6 衛星えいせい攻撃こうげきミサイルの発射はっしゃ母体ぼたいとして開発かいはつされた機体きたいである。機体きたいとミサイルがそれぞれ30P6 カンタークト衛星えいせい攻撃こうげきシステムの構成こうせい要素ようそとなっている。たい衛星えいせいミサイル搭載とうさいのため、胴体どうたい4のハードポイントがカバーされ単一たんいつのハードポイントがもうけられている。主翼しゅよくのストレーキはMiG-31Mとおな形状けいじょうで、同様どうようつばさはしにウィングレットが追加ついかされている。1987ねん完成かんせいした。ほん規格きかくとミサイルをそれぞれ改良かいりょうしてMiG-31DM、95M6とする計画けいかく存在そんざいしたがのちに破棄はきされている。
MiG-31F(МиГ-31Ф)
MiG-31Bをベースに対地たいち攻撃こうげき能力のうりょく付与ふよされたかたで、テレビ・レーダー・レーザー誘導ゆうどうそら対地たいちミサイルを搭載とうさいできるとされた、1995ねんのパリ航空こうくうショーでミグ設計せっけいきょくによって存在そんざいあきらかにされた[11]。このかた技術ぎじゅつはのちのMiG-31BMに吸収きゅうしゅうされた。
MiG-31FE(МиГ-31ФЭ)
MiG-31FおよびBMの輸出ゆしゅつがた中国ちゅうごく、イラク、リビア、アルジェリアに提案ていあんされた。
MiG-31M(МиГ-31М)
1985ねん原型げんけいはつ飛行ひこうした大幅おおはば能力のうりょく向上こうじょうがた。エンジンがアップグレードされ、機体きたい後部こうぶ排気はいきこう形状けいじょうわっている。操縦そうじゅうせきにはCRTを使用しようした機能きのう表示ひょうじ装置そうち装備そうびされ、操縦そうじゅう系統けいとうはデジタルしきのフライ・バイ・ワイヤとなっている。また、コックピット後部こうぶ座席ざせきまど側面そくめんだけの小型こがたとなり、操縦そうじゅう装置そうち操縦そうじゅう桿がなくなり、それにわせてペリスコープもはずされている。機首きしゅのレーダーは大型おおがたのチホミーロフNIIP「ザスロン-M」に変更へんこうされ、空中くうちゅう給油きゅうゆようプローブは左側ひだりがわから右側みぎがわ変更へんこうされている。NATOコードネームはフォックスハウンドB最終さいしゅうてき当時とうじのソビエト連邦れんぽう自体じたい財政難ざいせいなんおちいったため量産りょうさんされずに、試作しさく1量産りょうさんがた試作しさくが6生産せいさんされただけで終了しゅうりょうした。

運用うんようじょうきょう[編集へんしゅう]

MiG-31採用さいようこく

MiG-31は特殊とくしゅかつ高度こうど性能せいのうった迎撃げいげきであるため、ソ連それん防空ぼうくうぐんにのみ配備はいびされた。ソビエト連邦れんぽう崩壊ほうかい、それらのMiG-31はロシア防空ぼうくうぐんカザフスタン防空ぼうくうぐんがれ、現在げんざいでも迎撃げいげき能力のうりょくのかなりの部分ぶぶんになっている。ロシア防空ぼうくう軍機ぐんきは、同軍どうぐん廃止はいし再編さいへんともな空軍くうぐん海軍かいぐん航空こうくうたい移管いかんされた。前者ぜんしゃは2015ねん空軍くうぐん航空こうくう宇宙うちゅう防衛ぼうえいぐん統合とうごうされ、航空こうくう宇宙うちゅうぐん機体きたいとなっている。ロシアかんしては「ロシアのそらはMiG-31とSu-27半分はんぶんずつまもっている」(前線ぜんせん戦闘せんとうであり要撃ようげき任務にんむにはもちいられないMiG-29を「まもっている」すうにはふくめていない)とたとえられることもあるほど重要じゅうよう位置いちにある。極東きょくとう方面ほうめんでは、沿海えんかい地方ちほうカムチャッカ地方ちほう配備はいびされている[12]

2011ねん時点じてんやく170[13]、2013ねんには122配備はいびすう減少げんしょうしているが、すで改修かいしゅうされた60くわえてさらに50のBMがたへの改修かいしゅう国防省こくぼうしょうでは要求ようきゅうしている[14]

ロシア航空こうくう宇宙うちゅうぐんでは2026ねんころまでMiG-31を運用うんようする予定よてい[15]後継こうけいとしてはMiG-41開発かいはつちゅう2028ねんから配備はいび予定よていである[16]

カザフスタンでの運用うんようながらく情報じょうほう公開こうかいされていなかったが2006ねんには運用うんよう一般いっぱん公開こうかいされ、運用うんよう継続けいぞくされている。

ロシアがウクライナ紛争ふんそうにおいて併合へいごうしたクリミア半島くりみあはんとうにあったセヴァストポリ国際こくさい空港くうこうは、ロシア航空こうくう宇宙うちゅうぐんのベルベク空軍くうぐん基地きちとして使用しようされており、MiG-31BMが配備はいびされている。MiG-31BMはちょう高空こうくうから200マイル(やく321キロ)の射程しゃてい長距離ちょうきょりそら対空たいくうミサイルR-37Mで攻撃こうげきできるため、50マイル(やく80キロ)の射程しゃていしかないR-27ミサイル搭載とうさいのウクライナ空軍くうぐんのSu-27にとって脅威きょういとなっていると報道ほうどうされた[17]

2023ねん4がつ27にち、ロシアのムルマンスク地方ちほうのモンチェゴルスクでロシア航空こうくう宇宙うちゅうぐんのMiG-31BMがエンジン火災かさいにより墜落ついらくした。なおパイロットは2人ふたりども脱出だっしゅつ成功せいこう無事ぶじである。7月4にちには飛行ひこう訓練くんれんちゅう機体きたいアバチャわん付近ふきん墜落ついらくし、乗員じょういん2めい死亡しぼうした[18]

ロシアの旗 ロシア

航空こうくう宇宙うちゅうぐん(2015-)

海軍かいぐん航空こうくうたい(1998-)

カザフスタンの旗 カザフスタン

防空ぼうくうぐん(1991-)

スペック[編集へんしゅう]

MiG-31B
乗員じょういん:2めい
  • 全長ぜんちょう:21.6m(機首きしゅピトーかんふくまない)、22.67m(機首きしゅピトーかんふくむ)
  • 全幅ぜんぷく:13.46m
  • 全高ぜんこう:6.15m
  • つばさ面積めんせき:61.60m2
  • つばさめん荷重におもりょう:665.0kg/m2
  • 空虚くうきょ重量じゅうりょう:21,820kg
  • 通常つうじょう離陸りりく重量じゅうりょう:41,000kg
  • 最大さいだい離陸りりく重量じゅうりょう:46,220kg(R-33×4、ぞうそう×2)
  • 発動はつどうソロヴィヨーフ D-30F-6×2
    • ドライ推力すいりょく:9,493kg×2
    • アフターバーナー推力すいりょく:15,500kg×2
  • 推力すいりょく重量じゅうりょう:0.85
  • 最大さいだい速度そくど:M2.83 (3,000km/h)
  • 最大さいだい巡航じゅんこう速度そくど:M2.35
  • 経済けいざい巡航じゅんこう速度そくど:M0.80
  • 航続こうぞく距離きょり:720km (M2.35、R-33×4)
    1,200km (M0.80、R-33×4)
    1,400km (M0.80、R-33×4、ぞうそう×2)
    2,200km (同上どうじょう空中くうちゅう給油きゅうゆ1かい)
  • フェリー航続こうぞく距離きょり:3,300km
  • 上昇じょうしょうりつ:208m/びょう(12,480m/ぶん)/10,000mまで7.9ふん
  • 実用じつよう上昇じょうしょう限度げんど:20,600m
  • 着陸ちゃくりく速度そくど:260km
  • 離陸りりく滑走かっそう距離きょり:1,200m
  • 着陸ちゃくりく滑走かっそう距離きょり:800m
  • 武装ぶそう

登場とうじょう作品さくひん[編集へんしゅう]

アニメ・漫画まんが[編集へんしゅう]

アニメ『ストラトス・フォー アドヴァンス』
作中さくちゅう登場とうじょうするたい隕石いんせき迎撃げいげきとして使用しようされているTSR-2MS次世代じせだいとしてMiG-31MSが登場とうじょうする。
漫画まんが夜光やこうくものサリッサ』(松田まつだ未来みらい徳間書店とくましょてん
「MiG-31WX セマルグル」として登場とうじょうする。機体きたい全体ぜんたいたいねつコーティングと燃料ねんりょう循環じゅんかんによる冷却れいきゃくシステムを採用さいようたいねつセラミックせいキャノピーフレーム採用さいよう機首きしゅ上面うわつら左側ひだりがわIRST装備そうび主翼しゅよくじょう加速かそくようロケットブースター2装着そうちゃく主翼しゅよく下面かめん補強ほきょうぬしけた+コンフォーマルタンクを装着そうちゃく機首きしゅ上下じょうげめんにはピッチング制御せいぎょようバーニア、主翼しゅよくはしにはローリング制御せいぎょようRCSポッドを追加ついか。エンジンはMiG-25に搭載とうさいされている、高々たかだか性能せいのうすぐれるツマンスキーR-15ターボジェットにさいかわそうされている。デジタル制御せいぎょによりエンジンの燃費ねんぴ改善かいぜんされている。へいそう胴体どうたい下面かめんR-33を4はつ主翼しゅよくR-77PD ラムジェットミサイルを4はつ

ゲーム[編集へんしゅう]

エアフォースデルタシリーズ』
エアフォースデルタシリーズにおける皆勤かいきんしょうひとつ。
エースコンバットシリーズ
いくつかの作品さくひんにおいて操縦そうじゅう可能かのうおよびてきとして登場とうじょう実機じっき特徴とくちょうである「たか高速こうそく飛行ひこう性能せいのう一方いっぽう旋回せんかい半径はんけいひろい」ことを反映はんえいしてか、作品さくひんじょうにおいても最高さいこう速度そくどはトップクラスであるが旋回せんかい性能せいのういちじるしくひく機体きたい設定せっていされており、ファンのあいだでは「直線ちょくせん番長ばんちょう」というあだばれることもある[よう出典しゅってん]
凱歌がいか号砲ごうほう エアランドフォース
日本にっぽん占拠せんきょしたロシアぐん機体きたいとして登場とうじょう。プレイヤーも購入こうにゅうして使用しようできる。

脚注きゃくちゅう[編集へんしゅう]

注釈ちゅうしゃく[編集へんしゅう]

  1. ^ MiG-31もMiG-25もカタログスペックじょうさい高速度こうそくど時速じそく3,000km(やくマッハ2.83)であるが、この最高さいこう速度そくど機体きたい耐用たいよう限界げんかいである。そしてMiG-25はしばしば耐用たいよう限界げんかいえた速度そくど運用うんようされており、中東ちゅうとう上空じょうくうにてマッハ3.4を記録きろくしている(出典しゅってん『ミグ戦闘せんとうソ連それん戦闘せんとう最新さいしんテクノロジー メカニックブックス』はら書房しょぼうから)。MiG-31については、すくなくとも現在げんざいまでそのような高速こうそくでの飛行ひこう事例じれい存在そんざいしない。
  2. ^ ソ連それん防空ぼうくうぐん時代じだいほんさい訓練くんれん条件じょうけんは、パイロットが2とうクラス以上いじょうであること(6ねん勤務きんむ年数ねんすう飛行ひこう時間じかん450時間じかん以上いじょうゆう視界しかいのあらゆる戦闘せんとう行動こうどう従事じゅうじできる)であった。階級かいきゅう大尉たいい以上いじょう通例つうれいであったという(イカロス出版いかろすしゅっぱん世界せかいシリーズ MiG-31 フォックスハウンド』 pp.63-65)。

出典しゅってん[編集へんしゅう]

  1. ^ ターボファンジェットエンジンの理論りろん限界げんかい速度そくどがマッハ3.4前後ぜんこうのため、最高さいこう速度そくどマッハ2.83におさえた設計せっけいとなっている。旧式きゅうしき『MiG-25 フォックスバット』のたたしたマッハ3.2の公式こうしき最大さいだい速度そくど最大さいだい水平すいへい飛行ひこう速度そくどぎず、『MiG-31 フォックスハウンド』では「最大さいだい水平すいへい飛行ひこう速度そくど最大さいだい速度そくど」の見解けんかいにより、“最大さいだい速度そくど:マッハ2.83/最大さいだい巡航じゅんこう速度そくど:マッハ2.35”との指標しひょうになっている
  2. ^ David E. Hoffman(ちょ)、花田はなた 知恵ちえ (こぼし)『最高さいこう機密きみつエージェント: CIAモスクワ諜報ちょうほうせん "The Billion Dollar Spy: A True Story of Cold War Espionage and Betrayal"』 げん書房しょぼう、2016ねん7がつ25にち
  3. ^ MiG-31 (Foxhound) Russian Interceptor/Attack AircraftOE Data Integration Network
  4. ^ a b МиГ МиГ-31К”. airwar.ru. 2022ねん8がつ20日はつか閲覧えつらん
  5. ^ Exclusive: Russian MiG-31 Foxhound Carrying Huge Mystery Missile Emerges Near Moscow
  6. ^ Russia's MiG-31 Fighter Is a Mach 3 Monster (Even at 35 Years Old) The National Interest
  7. ^ Сергей Шойгу осмотрел выставку новейшей авиатехники, представленной в Кубинке в рамках форума "Армия-2018"
  8. ^ Шойгу осмотрел Су-57, комплекс «Кинжал» и другую авиатехнику перед открытием «Армии-2018»
  9. ^ МиГ-31 модернизировали одновременно с разработкой высокоточной гиперзвуковой ракеты "Кинжал" - Рогозин
  10. ^ «Кинжал» доверили новому носителю
  11. ^ a b MiG-31 Foxhound
  12. ^ H24防衛ぼうえい白書はくしょだい4せつロシア 4わがくに周辺しゅうへんのロシアぐん
  13. ^ ロシア空軍くうぐん近代きんだい、2000調達ちょうたつ計画けいかく 小泉こいずみゆう 軍事ぐんじ研究けんきゅう 2011ねん3がつごう P60-69 ジャパン・ミリタリー・レビューしゃ
  14. ^ 軍事ぐんじ研究けんきゅう 2013ねん11がつごうミリタリーニュース P184 ジャパン・ミリタリー・レビューしゃ
  15. ^ Глава корпорации: МиГ-31 прослужат в российской авиации до 2026 года
  16. ^ Russian air force commander eyes MiG-31 replacement
  17. ^ ロシアの戦闘せんとうMiG-31はやく320キロさきからてきねらう、ウクライナ反撃はんげきできず『Forbes』2022ねん11がつ10日とおか 2022ねん11がつ10日とおか閲覧えつらん
  18. ^ 井上いのうえ孝司たかし「ロシア空軍くうぐんのMiG-31 カムチャツカおき墜落ついらく」『航空こうくうファンだい72かんだい9ごうぶん林堂はやしどう、2023ねん7がつ21にち、115ぺーじJAN 4910037430939 

参考さんこう文献ぶんけん[編集へんしゅう]

  • 戦闘せんとう年鑑ねんかん2013-2014』イカロス出版いかろすしゅっぱん、2014ねん ISBN 978-4-86320-703-5
  • Yefim Gordon, Dmitriy Komissarov "Flight Craft 8: Mikoyan MiG-31: Defender of the Homeland" October 2011. ISBN 978-1473823921

外部がいぶリンク[編集へんしゅう]